有価証券報告書-第30期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。
①財政状況及び経営成績の状況
当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し、日本及び当社グループの重要市場の一つであるフィリピンにおきましても、緊急事態宣言やロックダウン措置等の移動制限が実施され、経済・社会活動や国民生活に甚大な影響をおよぼしました。このような環境下、在宅勤務の増加等の勤務形態やライフスタイルが変化し、主力事業である通信事業分野の需要が大幅に増加いたしました。昨年5月にフィリピンとシンガポール・香港間を結ぶC2C回線の使用権を取得したことにより、国際通信回線の供給能力が増加し、海外通信事業を中心に大幅な事業拡大を果たしました。一方で、医療・美容事業では人の移動の制限により、来院者数が減少しました。
当期の業績につきましては、売上高は9,515百万円(前期比46.2%増)、営業利益は1,921百万円(同79.5%増)となりました。為替差益287百万円を計上したことから、経常利益は2,187百万円(同103.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,487百万円(同130.5%増)となりました。C2C回線による通信ネットワークの販売が、売上高及び営業利益の増加を牽引いたしました。なお、営業利益の増加により、2019年8月22日付で当社が締結しております「時価発行新株予約権信託設定契約」の時価発行新株予約権の行使条件を満たしたことから、株式報酬費用203百万円を営業費用に計上しております。
セグメント別の業績は次の通りであります。
(海外通信事業)
フィリピンにおいてCATV事業者等に国際通信回線を提供し、デジタルデバイドの解消を図り、多くの方々に快適な通信環境を提供することを目的に展開しておりますが、2020年5月に当社及び当社のグループ会社はフィリピンとシンガポール・香港間をそれぞれ結ぶC2C回線及び各国内の陸上回線(光ファイバー)の使用権をIRU契約にて取得して3国間を結ぶ通信ネットワークを構築し、2020年10月に商用提供を開始しました。これによりフィリピンにおける第3番目の国際通信回線キャリアとなり、自社で回線を所有することによるコスト競争力の強化に加えて供給能力が大幅に拡大し、従来からあったCATV事業者向けや法人向けの販売に加え、新たに、大手も含めた通信事業者への回線提供を行うキャリアズキャリアとしてのポジションを確立し、販売が大幅に拡大いたしました。
この結果、売上高は4,259百万円(前期比234.9%増)、セグメント利益は1,201百万円(前期比150.8%増)となりました。
(フィリピン国内通信事業)
InfiniVAN, Inc.による首都圏マカティ市での法人向けインターネット接続サービスの販売が主要事業であり、フィリピン国内の他の地域に比べて需要量が大きく単価の高いお客様向けの販売拡大に努めました。新型コロナウイルス感染症の拡大によりフィリピン国内の通信需要は増加したものの、ロックダウン措置が取られたために、首都圏のオフィスへの出勤者数が急速に減少したことにより新規獲得が低調に推移いたしました。
また、InfiniVAN, Inc.は、無線通信サービスの提供に向け、これまで取得した5G専用の周波数3.7Ghz帯・24Ghz帯に加え、新たに1.5Ghz帯の周波数帯の割当を受けました。今後実証実験等を行い、5G通信サービスの提供を検討してまいります。
この結果、売上高は837百万円(前期比3.2%減)、セグメント利益は251百万円(前期比243.6%増)となりました。
(国内通信事業)
新型コロナウイルス感染症の拡大によりライフスタイルが変化し、在宅勤務や人の移動の制限により通信トラフィックの需要が増加しました。新規採用及び事業の選択と集中による人材の配置変換により営業力を強化して増加した需要の取り込みに努めました。コールセンター事業者向け秒課金サービスである「コールセンターソリューション」(注)の売上も拡大しました。
以上の結果、売上高は3,718百万円(前期比12.6%増)、セグメント利益は410百万円(前期比21.2%増)となりました。
(注)インドのDrishti-soft Solutions Pvt. Ltd.が開発し、当社が日本国内での販売代理権を有するコールセンターシステムの「AmeyoJ」、及び大手電機通信業者が提供している着信課金サービス(フリーダイヤル)を組み合わせた、コールセンター事業者向け秒課金サービスです。
(在留フィリピン人関連事業)
新型コロナウイルス感染症の拡大により、人材関連事業において介護事業者等を除いて求人需要が大きく減少する一方、国際間の人の移動も制限されて海外人材の日本での就労が困難な状況が続きました。
この結果、売上高は77百万円(前期比60.8%減)、セグメント利益は73百万円の損失(前期は89百万円の損失)となりました。
(医療・美容事業)
2020年3月にSLACにおいて、マニラ首都圏の新興都市であるBonifacio Global Cityに医院を新たに開設いたしました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大により、マニラ首都圏が3月中よりロックダウン措置となり、開院したばかりのBonifacio院を含む3院全てが5月末までの休業となりました。以後は、コミュニティ隔離措置の強化・緩和に応じて開院日・開院時間を調整し、ソーシャルディスタンスの確保のようなコロナウイルス感染症対策を取りながら開院いたしました。
この結果、売上高は623百万円(前期比28.5%減)、セグメント利益は129百万円(前期比51.6%減)となりました。
また、財政状態は次のとおりであります。
(資産の状況)
当連結会計年度末の流動資産は7,665百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,544百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が1,127百万円、リース投資資産が1,163百万円増加したことによるものです。
また、有形固定資産は2,510百万円となり前連結会計年度末に比べ773百万円増加いたしました。これは主に、機械装置及び運搬具が369百万円、建設仮勘定が397百万円それぞれ増加したことによります。無形固定資産は829百万円となり、前連結会計年度末に比べ656百万円増加いたしました。通信回線使用権が645百万円増加したことが要因になります。この結果、資産合計は11,762百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,971百万円増加いたしました。
(負債の状況)
当連結会計年度末の流動負債は3,361百万円となり、前連結会計年度末に比べ916百万円増加いたしました。これは主に、買掛金が282百万円、未払法人税等が284百万円、及び繰延延払利益が281百万円それぞれ増加したことによるものです。
また、固定負債は1,645百万円となり前連結会計年度末に比べ1,016百万円増加いたしました。これは主に、長期借入金が981百万円増加したことによるものです。
この結果、負債合計は5,007百万円となり、前連結会計年度に比べ1,932百万円増加いたしました。
(純資産の状況)
当連結会計年度末の純資産は6,754百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,039百万円増加いたしました。これは主に、新株予約権が203百万円増加、親会社株主に帰属する当期純利益1,487百万円の計上により利益剰余金が同額増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は45.1%(前連結会計年度末は49.9%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、3,589百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動において獲得した資金は1,636百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益2,140百万円、減価償却費が337百万円、仕入債務が281百万円それぞれ増加した一方、リース投資資産の増加により1,140百万円減少したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動において使用した資金は1,889百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,119百万円、無形固定資産の取得による支出693百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動において獲得した資金は1,333百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出344百万円があった一方、長期借入れによる収入1,500百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.仕入実績
当社の国内通信事業及び海外通信事業においては、提供するサービスの性質上、有形の物品ではなく無形の資産(通信回線の使用権)に対しての支払が原価の大部分を占めておりますため、これらを仕入と見做します。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 仕入高(千円) | 前年同期比(%) |
| 海外通信事業 | 2,595,473 | 322.7 |
| フィリピン国内通信事業 | 134,653 | 323.5 |
| 国内通信事業 | 2,524,688 | 107.3 |
| 在留フィリピン人関連事業 | 9,102 | 4.5 |
| 医療・美容事業 | 176,185 | 45.1 |
| 合計 | 5,440,104 | 143.5 |
(注) 1.セグメント間取引は相殺消去しております。
2.金額は、仕入価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社グループは受注生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
| 海外通信事業 | 4,259,025 | 334.9 |
| フィリピン国内通信事業 | 837,126 | 96.8 |
| 国内通信事業 | 3,718,782 | 112.6 |
| 在留フィリピン人関連事業 | 77,020 | 39.2 |
| 医療・美容事業 | 623,612 | 71.5 |
| 合計 | 9,515,567 | 146.2 |
(注) 1.セグメント間取引は相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
| 販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
| 株式会社NTTドコモ | 1,263,641 | 19.4 | 1,119,799 | 22.2 |
| Sky Cable Corporation | - | - | 2,110,279 | 11.8 |
前連結会計年度のSky Cable Corporationに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
1)経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、9,515百万円(前年同期比46.2%増)となりました。これは主に、海外通信事業の売上高4,259百万円(前年同期比234.9%増)、並びにに国内通信事業の売上高3,718百万円(前年同期比12.6%増)によるものであります。
(営業利益)
上記の結果、営業利益は1,921百万円(前年同期比79.5%増)となりました。これは主に、海外通信事業のセグメント利益が1,201百万円(前年同期比150.8%増)、並びに国内通信事業のセグメント利益が410百万円(前年同期比21.2%増)となったことによるものであります。
(経常利益)
営業外収益として受取利息及び配当金を13百万円、為替差益を287百万円、営業外費用として支払利息を19百万円、計上したこと等により、経常利益は2,187百万円(前年同期比103.4%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税、住民税及び事業税として499百万円、非支配株主に帰属する当期純利益として108百万円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は1,487百万円(前年同期比130.5%増)となりました。
なお、セグメントの概況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
2)財政状態の分析
財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
国内通信事業が、コールセンター向けの電話サービスについて、競合事業者からの顧客獲得が進んだことや同サービスの認知度の向上により、大きな投資を伴わない形で、収益が拡大しております。
一方回線の敷設が必要な、フィリピン国内通信事業は、地方での回線敷設も増え、社内の多くのリソースを割く必要が出てきました。売上は、837百万円 セグメント利益は251百万円となりました。
これまで設備投資は、InfiniVAN社の現地資本に対する増資と手許資金で行ってまいりましたが、今後は、長期借入金を中心とした調達をすることを計画しております。
3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度末(投資活動によるキャッシュ・フロー)における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は3,589百万円となり、投資活動において使用した資金は1,889百万円となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出1,119百万円、無形固定資産の取得による支出693百万円によるものであります。
当社グループは、今回取得した国際海底ケーブルを利用する通信トラフィックをフィリピン各地で獲得するため、今後も、フィリピン国内の通信回線設備の構築等の投資が必要となります。当社グループによる回線構築にあたっては、他の事業者と共用できるように事前に他の事業者と調整する等、当社グループの負担額を抑えることに努めておりますが、当面の間は、投資の需要が大きいことが見込まれます。投資に振り向ける資金の調達は、営業キャッシュフロー、銀行からの長期借入金を充てることを想定しております。手許資金については、今後少なくなることが見込まれますが、銀行からの当座貸越枠の設定・拡大等を通じて対応していく計画です。
フィリピン国内の都市間中継回線・マニラ首都圏地域の設備投資が落ち着き、収益が安定したときは、手許資金を積極的に株主に還元していくことを予定しております。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
当社グループは、過去の実績や取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産、負債の帳簿価額及び収益、費用の全般に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
財政状態及び経営成績に関する以下の分析が行われております。なお、本項に記載した予想、見込み、見通し、方針等の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性があるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。
②経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
③経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループが今後も持続的に成長していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の様々な課題に対応していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するために、経営者は常に外部環境の構造や変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。
(3) 資金調達と資金の流動性についての分析
当社グループの資金調達は、金融機関からの借入による間接調達と資本市場からの調達による直接調達で構成されております。
長期運転資金及び設備投資資金については、営業活動により得られたキャッシュ・フロー、金融機関からの長期借入やリース、及び株式発行による直接調達を基本としております。
短期資金需要については、営業活動により得られたキャッシュ・フロー及び当座貸越契約の融資枠の利用を含めた金融機関からの短期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は1,960百万円、現金及び現金同等物の残高は3,589百万円となりました。