有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/01/24 15:00
【資料】
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【項目】
104項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
第28期連結会計年度(自 2017年5月1日 至 2018年4月30日)
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は5,738百万円(前連結会計年度末4,654百万円)となり、前連結会計年度末と比較して1,083百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金が211百万円増加、受取手形及び売掛金が854百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は2,526百万円(前連結会計年度末2,138百万円)となり、前連結会計年度末と比較して387百万円増加しました。主な要因は、未払法人税等が158百万円減少したものの、買掛金が486百万円、未払費用が13百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は3,212百万円(前連結会計年度末2,516百万円)となり、前連結会計年度末と比較して695百万円増加しました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を713百万円計上したこと等により利益剰余金が690百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は56.0%(前連結会計年度末は54.1%)となりました。
第29期第2四半期連結累計期間(自 2018年5月1日 至 2018年10月31日)
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における流動資産は5,305百万円となり、前連結会計年度末に比べ137百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が521百万円増加し、受取手形及び売掛金が473百万円減少したことによるものであります。固定資産は623百万円となり、前連結会計年度末に比べ52百万円増加いたしました。これは主に繰延税金資産が68百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、5,929百万円となり、前連結会計年度末に比べ190百万円増加いたしました。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における流動負債は2,071百万円となり、前連結会計年度末に比べ165百万円減少いたしました。これは主に未払法人税等が71百万円増加したものの、未払費用が189百万円減少したことによるものであります。固定負債は298百万円となり、前連結会計年度末に比べ8百万円増加いたしました。これは主に役員退職慰労引当金が5百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、2,369百万円となり、前連結会計年度末に比べ156百万円減少いたしました。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は3,559百万円となり、前連結会計年度末に比べ347百万円増加いたしました。これは主に剰余金の配当により26百万円減少したものの、親会社株主に帰属する四半期純利益を355百万円計上したこと等により利益剰余金が328百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は60.0%(前連結会計年度末は56.0%)となりました。
②経営成績の状況
第28期連結会計年度(自 2017年5月1日 至 2018年4月30日)
当連結会計年度におけるわが国の経済は、企業収益や雇用環境の改善など、全体として緩やかな回復基調で推移しました。一方で、個人消費については、雇用環境の改善が見られるものの、実質賃金の伸び悩み等の影響により力強さを欠いております。また、世界経済は、米国の保護主義政策や不安定な国際経済などから、先行きに不透明感があるものの、引き続き堅調に推移しました。
2017年(1~12月)の日本の総広告費(「2017年(平成29年)日本の広告費」株式会社電通調べ)は、継続する景気拡大に伴い、6兆3,907億円、前年比101.6%となり、6年連続でプラス成長となりました。
このような経済環境の中、当社グループにおきましては、大規模ゲーム等のイベント案件や季節イベント案件を獲得したこと、継続的な展示イベント受注等、積極的な営業を行うのと合わせ、利益率の向上に努めてまいりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は12,193百万円(前年同期比13.8%増)、売上総利益2,627百万円(同8.8%増)、営業利益1,046百万円(同24.2%増)、経常利益1,047百万円(同24.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益713百万円(同41.7%増)となりました。
なお、当社グループはプロモーション事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載は省略しております。
第29期第2四半期連結累計期間(自 2018年5月1日 至 2018年10月31日)
当第2四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな景気回復が続いているものの、米中間の貿易摩擦の強まりが見られるなど、景気の先行きは不透明な状況となっております。当社グループが属する広告業界は、経済産業省が2018年11月20日に発表した「特定サービス産業動態統計調査」によると、国内の広告市場の2018年5月から2018年9月の売上高は、前年同期間比99.8%と前年とほぼ同水準となっております。このような経済環境の中、当社グループにおきましては、展示イベント等の継続的な案件による売上高の確保及び嗜好品のプロモーション等の新規案件を実施することで売上高の向上をはかるとともに、収益面では利益率向上を進めてまいりました。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は5,832百万円、売上総利益1,360百万円、営業利益538百万円、経常利益540百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益355百万円となりました。
なお、当社グループはプロモーション事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載は省略しております。
③キャッシュ・フローの状況
第28期連結会計年度(自 2017年5月1日 至 2018年4月30日)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動による資金の増加284百万円、投資活動による資金の減少135百万円、財務活動による資金の減少27百万円などにより、前連結会計年度末と比較して122百万円増加し、794百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、284百万円(前連結会計年度は178百万円の増加)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益1,044百万円、仕入債務の増加額486百万円による資金の増加要因に対して、売上債権の増加額857百万円による資金の減少要因があった為になります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、135百万円(前連結会計年度は95百万円の減少)となりました。主な要因は、定期預金の純増加額93百万円、投資有価証券の取得による支出48百万円、敷金及び保証金の差入による支出18百万円等による資金の減少によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、27百万円(前連結会計年度は70百万円の減少)となりました。主な要因は、配当金の支払額23百万円等による資金の減少によるものです。
第29期第2四半期連結累計期間(自 2018年5月1日 至 2018年10月31日)
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ441百万円増加し、1,236百万円(前連結会計年度末比55.5%増)となりました。
第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の増加は、515百万円となりました。主な要因は、税金等調整前四半期純利益543百万円、売上債権の減少額472百万円による資金の増加要因に対して、未成業務支出金の増加額188百万円、法人税等の支払額174百万円による資金の減少要因があった為になります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は、52百万円となりました。主な要因は、投資有価証券の売却による収入54百万円による資金の増加要因に対して、定期預金の純増加額47百万円、投資有価証券の取得による支出54百万円による資金の減少要因があった為になります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の減少は、20百万円となりました。要因は、自己株式の処分による収入6百万円による資金の増加要因に対して、配当金の支払額26百万円による資金の減少要因があった為になります。
④制作、受注及び販売の実績
a.制作実績
当連結会計年度の制作実績は、次のとおりであります。
事業の名称当連結会計年度
(自 2017年5月1日
至 2018年4月30日)
前年同期比(%)
プロモーション事業(千円)9,566,161115.3
合計(千円)9,566,161115.3

(注)1.当社グループはプロモーション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の制作実績の記載はしておりません。
2.上記の金額はイベント制作に要した費用で表示しており、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループの受注実績は、制作段階及び運営段階等において当初の内容や金額が変動することが多いことから、受注残高の正確な把握が困難ため、受注実績の記載を省略しております。
なお、当社グループでは社内の制作受注管理システムにより、案件の進捗度合いの正確な把握に努めております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
事業の名称当連結会計年度
(自 2017年5月1日
至 2018年4月30日)
前年同期比(%)
プロモーション事業(千円)12,193,467113.8
合計(千円)12,193,467113.8

(注)1.当社グループはプロモーション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載はしておりません。
2.最近2連結会計年度及び第29期第2四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第27期連結会計年度
(自 2016年5月1日
至 2017年4月30日)
第28期連結会計年度
(自 2017年5月1日
至 2018年4月30日)
第29期第2四半期連結累計期間
(自 2018年5月1日
至 2018年10月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
株式会社博報堂プロダクツ1,19311.1----

(注)第28期連結会計年度及び第29期第2四半期連結累計期間の株式会社博報堂プロダクツの販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、当連結会計年度末時点の資産・負債及び当連結会計年度の収益・費用を認識・測定するため、見積りを使用する必要があります。経営者はこれらの見積りについて過去の実績などを勘案し合理的に判断しておりますが、結果として見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと実績が異なる場合があります。当社グループが採用しております会計方針のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度は、毎年実施される夏季の大型イベントや外資系ソフトウェア会社の販売促進に係る事務局運営を継続受注したこともあり、売上高は、12,193百万円(前年同期比13.8%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度は、顧客のニーズに対応する一方、コストを見直し、利益率改善に努めた結果、売上原価は、9,566百万円(同15.3%増)となりました。
この結果、売上総利益は2,627百万円(同8.8%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度は、2018年2月の札幌オフィス開設や2018年4月の名古屋オフィス移転などの積極的な投資をした結果、販売費及び一般管理費は、1,580百万円(同0.5%増)となりました。
この結果、営業利益は1,046百万円(同24.2%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当連結会計年度は、営業外収益につきましては、受取配当金2百万円及び経営指導料1百万円等により、4百万円(同40.0%減)となり、営業外費用につきましては、受取手形のファクタリング手数料である売上債権売却損2百万円等により、3百万円(同50.6%減)となりました。
この結果、経常利益は1,047百万円(同24.2%増)となりました。
(特別利益、特別損失及び税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度は、特別利益につきましては、関係会社株式売却益2百万円等により、3百万円(前期は計上無し)となりました。
特別損失につきましては、関係会社株式評価損2百万円及び固定資産除却損3百万円等により、6百万円(同87.1%減)となりました。
この結果、税金等調整前当期純利益は1,044百万円(同31.4%増)となりました。
(法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額及び親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税、住民税及び事業税を302百万円、法人税等調整額を28百万円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は713百万円(同41.7%増)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通り、事業内容、海外での事業展開に伴うリスク等、様々な要因の変化の影響を受ける可能性があります。このため、優秀な人材の採用と組織体制の整備、内部統制システムの強化等により、これらのリスク要因に対応するように努めてまいります。
経営戦略の現状と見直しについては、クライアント各社は、インターネットの普及に伴い、従来のマスメディア4媒体のみの広告効果には疑問を呈しつつ、「マスメディア×インターネット」や「マスメディア×インターネット×イベント」等といった、統合マーケティングコミュニケーションへとマーケティング予算をシフトさせており、今後も流れは加速すると考えております。よって、広告市場におけるプロモーション領域の重要性は増していくと考えられます。
マスメディア自体の効果が相対的に弱まり、クライアント各社が総合的なプロモーションへと予算をシフトさせることは、大手広告会社が従来取り扱ってこなかったプロモーション領域へ進出することにもつながっております。そういったことからもプロモーション業界は、今後も継続的に発展していくものと考えております。一方で、大手広告会社各社がプロモーション専業部門の設置・子会社の再編等、プロモーション領域の強化を行うといったように、今後のプロモーション領域においては、限られた市場の中でのシェア争いという新たな局面を迎える可能性があります。
上記の現状を踏まえ、当社グループはそのような市場環境下においても優位性を保つ手段として、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」にも記載しておりますが、従前の市場に縛られず事業領域を拡大する等の施策を実行してまいります。
経営者の問題意識と今後の方針について、当社グループの今後の成長のためには、当社グループの経営方針に基づき、クライアントへのサービス内容の向上を常に考え、信頼を向上させていくことが不可欠であると考えております。そのためには、今後の事業規模の拡大に合わせて適時に人員補充を進め、これと併せて組織体制の整備を進めていくことが重要と認識しております。
具体的には、優秀な人材の採用を積極的かつ適時に行うとともに、教育研修制度を充実させ、人材の育成を図っていく所存であります。同時に、内部管理体制の強化をはじめとした組織整備を進めてまいります。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
キャッシュ・フローにつきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、イベントやセールスプロモーションの制作費ならびに人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であり、原則として自己資金でまかないますが、一時的な運転資金を効率的に調達するために当座貸越を利用する場合がございます。
今後、既存事業の事業成長の推進と併せて積極的に新規事業の創出などに取り組んで参りますが、その折に必要となる資金に関しましては、資金需要の必要性に応じて柔軟に資金調達を実施致します。