有価証券報告書-第53期(令和2年10月1日-令和3年9月30日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の変異株拡大により、緊急事態宣言が断続的に発令されており、インバウンド効果の高い飲食業界や旅行業界は厳しさを増す一方、製造業における輸出等の回復が見られ、大きく二極化の状況にありました。また、長引く緊急事態宣言の中、コロナ慣れや東京五輪の開催に加え、ワクチン接種の普及に伴い外出の制限は限定的となりつつあり、個人消費動向は改善の傾向にあるといえます。海外経済におきましても、世界的に新型コロナウイルスの変異株が拡大しつつも、先進国のワクチン接種が予想以上に速いペースで進められたこと、米国での追加財政支援施策の実施などから、総じてコロナ危機からの回復の動きを見せており、加えてコロナ禍におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や脱炭素世界への実現に向けた動きがより一層強まりました。一方、一部新興国や途上国においては、変異株の拡大やワクチン接種の遅れにより経済回復の兆しが見られず、世界中で経済と医療の格差が拡大しております。また、中国の不動産バブルの崩壊や、米国の金融緩和政策によるインフレ―ションの進行が懸念されるなど、新型コロナウイルス感染症の影響のみならず、先行き不透明さは依然続いており、わが国の景気を押し下げる可能性がある状況にあります。
当社グループが属する不動産業界におきましては、新型コロナウイルス感染症に伴う在宅ワークの定着、おうち時間の過ごし方の変化により、住まいの中にワークスペースが求められるようになり、一時的に戸建需要の高まりがみられました。しかしながら、緊急事態宣言の長期化により経済全体に対する不安感からくる顧客購入マインドも徐々に下落傾向にあり、加えて新型コロナウイルス感染症における米国での住宅需要の高まりから木材需要が増え、同国国外輸出量が激減したことによる世界の木材価格の高騰(いわゆる「ウッドショック」)や、その他住宅建設に必要な部材も輸出や生産調整による高騰もあり、日本の住宅業界への影響は2022年以降も続くと見られております。
そのような状況下、当社グループにおきましては、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令される中、マスク着用やアルコール消毒、予約制でのご案内、パーテーション越しの接客やオンライン面談等の活用、IT重要事項説明を取り入れるなど、徹底した感染対策を施し、継続して営業活動を実施してまいりました。また、従業員の活動におきましても感染対策マニュアルにより、在宅勤務の実施、リモートでの面談など、従業員の安全を第一に考え、活動を継続してまいりました。各事業におきましては、Withコロナ、またアフターコロナを見据えた分譲建売住宅の新商品開発、新規分譲マンションの売出し、完成在庫の販売強化、戸建賃貸の販売等を進めてまいりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響が、当初の想定をはるかに上回り緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の長期化に加え、九州地方を襲った大雨等の自然災害により、お客様の来場意欲の減少や所得減少不安による購入マインドが低下し、完成在庫の販売に遅れが生じました。更に競合他社との競争による各種サービスが発生したことにより、販売価格の調整を余儀なくされました。売上原価につきましては、販売用不動産の適正販売価格を保守的に再評価した結果、一部の分譲マンションにおいて予想販売価格が販売原価を下回ったことから、棚卸資産評価損を計上致しました。また、販売経費に関しては、広告活動においてインターネット等が主力になったことによる広告宣伝費の削減、コロナ禍における活動量の低下による旅費や会議費等、総じて削減できております。
これらの結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高31,726百万円(前期比9.9%増)、営業利益914百万円(同21.8%減)、経常利益783百万円(同21.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は513百万円(同18.0%減)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(マンション事業)
マンション事業におきましては、「サンパーク川内駅テラス(鹿児島県薩摩川内市、総戸数55戸)」を始めとして、全12棟の竣工を行いました。中でも1LDK、2LDKを中心としたコンパクトマンション「サンレリウス黒崎駅(福岡県北九州市、総戸数54戸)」は単身の方や少人数世帯の方など、コンパクトな都市型住宅への価値の向上により順調に販売が進み、竣工4ヶ月後に完売に至りました。また「ザ・サンパークシティ守恒(福岡県北九州市、総戸数200戸)」を始めとして、竣工在庫全6棟の完売、引渡しを行うことができており、全体として売上戸数は547戸となっております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症等の影響により販売進捗が遅れ、完成在庫が例年より残る結果となりました。一方で、新規分譲マンションの販売として、ファミリー層向けの「サンパーク水前寺公園レジデンス(熊本県熊本市、総戸数52戸)」やコンパクトマンションの「サンレリウス黒崎駅ネクスト(福岡県北九州市、総戸数52戸)」等計13棟の販売を開始し、契約3ヶ月の平均販売率が約35%を超えており、好調に販売が推移しております。
また、子会社であるマンション総合管理会社「株式会社リビングサポート」は、当社の分譲マンション供給増加に伴い、分譲マンション等の管理戸数は3,237戸(前期比16.8%増)となっております。(「株式会社リビングサポート」は2021年10月1日より、社名を「大英リビングサポート株式会社」へ変更しております。)
これらの結果、マンション事業セグメントの売上高は15,790百万円(前期比10.4%増)、セグメント利益は914百万円(同33.6%減)となりました。
(住宅事業)
住宅事業におきましては、当社ブランド分譲建売住宅「サンコート」に加え、新型コロナウイルス感染症における「おうち時間の過ごし方の変化、お客様の価値の変化」を捉え、遊び心をくすぐる要素を企画化した分譲住宅新プラン「the park」や、女性設計士による女性ならでの発想から生まれた「Sakuhana」のふたつの新商品を開発いたしました。また、分譲建売住宅でありながら、間取りや外観、内装をセレクトできる「ONEHOUSE」を開発し、注文住宅とは異なるオーダー感覚を実現できる新しい住宅のカタチとして、お客様に好評を得ております。また、北九州市及び北九州周辺地区を中心に、山口県宇部市、福岡市・佐賀県など、マーケティング調査を実施しながら、エリアの展開も強化しております。一方で仕入活動におきましては、コロナ禍における地主様との面談数の減少、経済の不安定さから土地や建物の売り控えが発生し、建売住宅の用地、土地分譲事業の用地の仕入購入に遅れが生じたことにより、分譲建売住宅の販売が大きく下振れし、分譲住宅事業における引渡し戸数は429戸となりました。
また、不動産流通事業におきましては、本社北九州市を中心とした福岡県、熊本県にて、中古不動産の買取再販を行い149戸の引渡し、その他土地分譲事業において116区画の引渡しを行いました。
住宅事業セグメントにおける街づくり事業におきましては、タウンハウス28戸の引渡しを行いました。また、コロナ禍における戸建需要の高まり、副業への関心の高まりを受け、新たな商品として投資用の戸建賃貸事業を開始し、7戸の引渡しが完了しております。
これらの結果、住宅事業セグメントにおきましては、売上高15,877百万円(前期比9.4%増)、セグメント利益は900百万円(同21.4%増)となりました。
(その他事業)
鹿児島県鹿児島市や福岡県中間市における水道供給事業や自社保有不動産の不動産賃貸事業につきましては、仕掛販売用不動産を固定資産に振り替え、賃貸売上が増加したことにより、売上高は58百万円(前期比3.2%増)、セグメント利益は24百万円(同47.0%増)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は30,252百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,049百万円減少いたしました。これは、当連結会計年度は分譲マンションの竣工時期が各四半期に分散されていたため、同じく分譲マンションにおける竣工が第4四半期に集中した前連結会計年度末に比べ、販売用不動産が減少致しました。また、分譲マンション融資資金の返済等に充当させたため、現金及び預金も減少、さらに翌期以降の分譲マンション用地の仕入や建築期間の長期化による早期着工等により、仕掛販売用不動産は743百万円増加したものの、販売用不動産が前連結会計年度末に比べ、679百万円減少し6,790百万円、現金及び預金が前連結会計年度末に比べ、2,192百万円減少し7,702百万円になったことなどによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は23,412百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,512百万円減少いたしました。これは、分譲マンション竣工引渡等に伴い、分譲マンションプロジェクト融資資金である借入金を返済したため、1年内返済予定の長期借入金が1,900百万円減少し4,122百万円に、短期借入金が13百万円増加し7,084百万円に、長期借入金が2,276百万円増加し6,875百万円に、支払手形及び買掛金が1,989百万円減少し3,114百万円なったことなどによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は6,840百万円となり、前連結会計年度末に比べ462百万円増加いたしました。親会社株主に帰属する当期純利益513百万円計上による利益剰余金の増加が主な変動要因であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,234百万円減少し、7,316百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動による資金の減少は、1,807百万円(前期は2,256百万円の減少)となりました。これは主に仕入債務の減少額1,989百万円、法人税等の支払額214百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動による資金の減少は、501百万円(前期は235百万円の減少)となりました。これは主に定期預金の預入による支出130百万円、有形固定資産の取得による支出419百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動による資金の増加は、73百万円(前期は2,277百万円の増加)となりました。これは主に短期借入れによる収入16,570百万円及び短期借入金の返済による支出16,557百万円、長期借入れによる収入8,780百万円及び長期借入金の返済による支出8,404百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが営むマンション事業、住宅事業及びその他事業では生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。
b.契約実績
前連結会計年度及び当連結会計年度の契約実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2019年10月1日 至 2020年9月30日) | 当連結会計年度 (自 2020年10月1日 至 2021年9月30日) | ||
| 件数 | 金額(千円) | 件数 | 金額(千円) | |
| マンション事業 | 447 | 12,109,411 | 546 | 15,099,713 |
| 住宅事業 | 721 | 14,713,054 | 754 | 15,147,462 |
| 合計 | 1,168 | 26,822,465 | 1,300 | 30,247,175 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
前連結会計年度及び当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2019年10月1日 至 2020年9月30日) | 当連結会計年度 (自 2020年10月1日 至 2021年9月30日) | ||
| 件数 | 金額(千円) | 件数 | 金額(千円) | |
| マンション事業 | 492 | 14,304,275 | 547 | 15,790,259 |
| 住宅事業 | 687 | 14,518,543 | 729 | 15,877,147 |
| その他 | - | 56,918 | - | 58,720 |
| 合計 | 1,179 | 28,879,737 | 1,276 | 31,726,126 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積もり及び当該見積もりに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績
当社グループの経営成績の分析は次のとおりです。
| 前連結会計年度 (自 2019年10月1日 至 2020年9月30日) | 当連結会計年度 (自 2020年10月1日 至 2021年9月30日) | 差額 | |
| 金額(千円) | 金額(千円) | 金額(千円) | |
| 売上高 | 28,879,737 | 31,726,126 | 2,846,389( 9.9%増) |
| 売上総利益 | 5,577,582 | 5,661,033 | 83,451( 1.5%増) |
| 営業利益 | 1,168,563 | 914,227 | △254,336(21.8%減) |
| 経常利益 | 1,003,140 | 783,847 | △219,292(21.9%減) |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 626,465 | 513,935 | △112,530(18.0%減) |
(売上高・売上総利益)
当連結会計年度の売上高は、31,726百万円(前期比9.9%増)、売上総利益は5,661百万円(前期比1.5%増)となりました。
売上高はマンション分譲、分譲住宅事業、さらに不動産流通事業において、販売件数が増加したことにより、前期と比較し増加いたしました。
また、売上総利益の減少につきましては、新型コロナウイルス感染症による来場顧客の減少や、購入マインドの低下に伴う完成在庫の増加により、手許資金を確保する手法として在庫の早期完売のため販売価格の値下げ等を行ったこと、また、競合他社や当社の販売実績を鑑み、完成在庫に対する価格の再評価を行った結果、棚卸評価損を計上したことによるものです。
(営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費につきましては、売上高の増加に伴い4,746百万円(前期比7.7%増)となり、その結果営業利益は914百万円(同21.8%減)となりました。
(営業外損益及び経常利益)
当連結会計年度の営業外収益につきましては、受取手数料等により、172百万円(前期比16.4%増)となりました。営業外費用につきましては前連結会計年度と比べ大きな変化はなく、302百万円(同3.4%減)となり、経常利益は783百万円(同21.9%減)となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別損失は1百万円(前期比79.0%減)となりました。以上の結果、親会社に帰属する当期純利益は513百万円(同18.0%減)となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの主要事業がすべて土地に関連する事業のため、土地価格の上昇や土地需要の高まりによる各プロジェクト用地の確保が困難になった場合には、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。そのため、地場不動産会社や金融機関との連携した土地情報収集力をさらに強化し、立地条件等良質な土地収集に努めております。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要の主なものは、土地及び物件仕入に加え、各種プロジェクト建設費用等があります。いずれも、金利コスト等を勘案しながら、自己資金又は金融機関からの借入金により調達しております。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、地元に愛され継続性のある優良な企業となるため、安定した収益を確保することが重要であるという認識より、売上高経常利益率を重要視しております。また、総資産から効率的な利益を生み出す指標として、総資産利益率(ROA)も重要視しております。売上高経常利益率は10%の達成を目標とし、総資産利益率は5%以上の達成を目標としております。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の終息が未だに見えない中、安定した収益の確保も重要ではありますが、企業が安全且つ継続的に運営される事こそが最重要だと捉え、直近年度では滞留資金の長期化を避け、資金の回転率を速めることに努め、各事業における利益を確保し、資金の有効的且つ効率化を鑑み、目標達成に努めてまいります。