有価証券報告書-第14期(令和1年8月1日-令和2年7月31日)
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は34,518,350千円となり、前連結会計年度末に比べ10,381,607千円増加致しました。これは主に現金及び預金が8,045,016千円、投資有価証券が1,151,922千円それぞれ増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は20,646,901千円となり、前連結会計年度末に比べ8,416,004千円増加致しました。これは主に買掛金が841,807千円減少した一方で、新型コロナウイルス感染症の流行拡大を受け2020年3月に8,050,000千円の借入を行った結果、1年内返済予定の長期借入金が2,266,990千円、長期借入金が6,856,389千円それぞれ増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は13,871,448千円となり、前連結会計年度末に比べ1,965,602千円増加致しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が1,551,104千円増加したことによるもの、当社普通株式の東京証券取引所マザーズへの上場に伴い、当社普通株式367,400株のオーバーアロットメントによる売出しを行ったことにより資本金及び資本準備金がそれぞれ319,417千円ずつ増加したこと及び新株予約権(ストック・オプション)の行使により、資本金及び資本準備金がそれぞれ17,850千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の分析
当連結会計年度における我が国経済は、消費増税の影響による個人消費の落ち込み、米中の通商問題を巡る動向や不安定な海外情勢の影響に加え、新型コロナウイルス感染症の流行によって、緩やかな回復傾向から一転して急激に悪化しました。
このような環境の中、当社グループは「IPディベロッパー」戦略のもと、資本業務提携や子会社化などを進めることで、当社の特長であるワンストップ型メディアミックスモデルをさらに強化してまいりました。また、新型コロナウイルス感染症の日本国内での流行初期から感染対策を迅速に実施し、刻々と変化する状況に柔軟に対応しながら事業活動を推進してまいりました。
その結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高33,000,032千円(前期比2.6%増)、営業利益2,710,543千円(同11.4%減)、経常利益2,755,300千円(同9.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,551,104千円(同13.8%減)となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。なお、セグメント売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。
また、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 注記事項 セグメント情報 1.報告セグメントの概要」に記載のとおりであります。
イ デジタルIP事業
当社グループのデジタルIP事業は、TCG(トレーディングカードゲーム)部門、MOG(モバイルオンラインゲーム)部門、MD(マーチャンダイジング)部門、メディア部門の4部門で展開しております。
当連結会計年度におけるデジタルIP事業のうち、TCG部門は、新しいTCGブランドとして、オリジナルIPを中心として自社・他社IPも取り入れながら展開するハイブリッド型TCG「Reバース for you」を2020年3月に発売開始いたしました。オリジナルIPのTCG「カードファイト!! ヴァンガード」及び自社・他社IPを取り入れて展開するプラットフォーム型TCG「ヴァイスシュヴァルツ」は前期並みの売上を維持したものの、展開終了を発表した低年齢層向けオリジナルIPのTCG「バディファイト」の売上減少が大きく影響し、部門全体では軟調に推移しました。
MOG部門は、新しいアプリゲームとして、「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」(2019年9月配信開始・他社IP・他社配信)、「ヴァンガードZERO」(2019年12月配信開始・自社IP・自社配信)、「ロストディケイド」(2020年2月配信開始・他社IP・自社配信)が好調な滑り出しを見せました。加えて、堅調に推移した「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」(自社IP・他社配信)をはじめとする既存アプリゲームの積み上げにより、部門全体では大きく伸長し、当部門における過去最高の年間売上を達成しました。
MD部門は、上期においては音楽ライブでの会場物販や通販などライブ関連グッズが大きく伸長し、オリジナルカプセルトイブランド「TAMA-KYU」が好評を博すなど、順調に推移しました。一方、下期においては新型コロナウイルス感染症の影響により、中国で生産を行う商品の製造・納品が一時的にストップした他、リアルイベントや店頭での販売機会の減少に伴い、売上規模が縮小しました。
メディア部門は、2020年2月に「株式会社響」を「株式会社ブシロードムーブ」に商号変更し、「A First MOVE(先手を打つ)」を企業理念に掲げ、広告代理店事業・音響制作機能を強化いたしました。また、2020年6月に「株式会社リンガ・フランカ」の株式を取得し、持分法適用関連会社化することで、電子コミック形態でのコンテンツ展開やメディアミックス機能の拡充を図りました。
これらの結果、売上高24,413,197千円(前期比4.3%増)、セグメント利益1,962,828千円(同3.2%増)となりました。
ロ ライブIP事業
当社グループのライブIP事業は、音楽部門、スポーツ部門の2部門で展開しております。
当連結会計年度におけるライブIP事業のうち、音楽部門は、新型コロナウイルス感染症の影響により、下期に開催を予定していた音楽ライブや舞台を中止・延期又はオンラインでの開催に切り替えるなどの影響がありましたが、会場とライブ・ビューイングをあわせて2日間で58,584人を動員した「Rausch und/and Craziness」をはじめ上期に開催した音楽ライブと通期で続伸した音楽ソフトの売上が牽引し、前期を上回る年間売上となりました。また、他部門を含めた「バンドリ!」IP全体の通期売上が初めて100億円を突破し、当社が目標としている最初の「年商100億円以上のIP」となりました。
スポーツ部門の主たる柱である新日本プロレスは、2日間で70,071人を動員した東京ドーム2連戦興行「WRESTLE KINGDOM 14」の成功をはじめ2020年2月までは前期を上回る水準で推移いたしました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、3月から6月の殆どの興行を中止又は無観客興行への切り替えを余儀なくされ、7月以降は通常の三分の一から二分の一程度の観客動員での有観客興行を再開したものの、売上・収益は一転して大きく悪化いたしました。一方、動画配信サービス「新日本プロレスワールド」は10万人規模の有料会員数を維持しており、通期で安定した売上・収益を生み出しました。
事業展開につきましては、新日本プロレスのアメリカ進出の次のステップとして、「New Japan Pro-Wrestling of America Inc.」を2019年11月に設立いたしました。さらに12月には女子プロレス団体「スターダム」の事業を譲り受けました。一方、キックボクシングブランド「KNOCK OUT(ノックアウト)」は2020年6月に事業譲渡いたしました。
これらの結果、売上高8,586,834千円(前期比2.0%減)、セグメント利益724,856千円(同39.6%減)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて7,585,816千円増加し、20,152,398千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、736,926千円(前年度は得られた資金2,165,519千円)となりました。主な収入要因は、税金等調整前当期純利益2,759,005千円、主な支出要因は、仕入債務の減少額883,622千円、法人税等の支払額1,131,537千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、2,006,166千円(前年度は使用した資金1,349,839千円)となりました。主な支出要因は、投資有価証券の取得による支出1,001,484千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、8,898,634千円(前年度は得られた資金4,328,661千円)となりました。主な収入要因は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大を受け2020年3月に8,050,000千円の借入を行ったこと等による長期借入れによる収入11,800,000千円、当社普通株式の東京証券取引所マザーズへの上場に伴い、当社普通株式367,400株のオーバーアロットメントによる売出しを行ったこと及び新株予約権(ストック・オプション)の行使による株式の発行による収入674,535千円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループにおいては、提供するサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループにおいては、一部請負業務を行っておりますが、「a 生産実績」に記載の理由から、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来事項に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ①財政状態の分析・②経営成績の分析」をご参照ください。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。また、経営者の問題意識及び今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ③キャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、自社IP開発、他社IP投資、IPを発展させるための広告宣伝費等の営業費用であり、事業運営上必要な資本の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金は、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2020年3月に当社グループの24ヵ月分相当(約240億円)の経常運転資金を確保し財務的基盤のより一層の安定を図り、より機動的に企業活動をするため、8,050,000千円を調達しております。その結果、当連結会計年度末における借入金の残高は、13,955,355千円となっております。
また、グループ全体でのメディアミックスによる収益モデルを確立し、IPづくりのペースを上げること、さらに新型コロナウイルス感染症が国内外において急速に拡大し、当社グループにおきましても、主力事業であるライブIP事業において、新日本プロレスの興行、音楽ライブ及びイベントの延期・中止の事態が発生したことを受け、ライブIP事業におけるオンラインライブの制作、デジタルIP事業における電子コミックの制作及びさらなるEC(オンラインでの販売)、アプリへの注力といったオフラインやアナログのよさを保ちつつDX(Digital transformation:デジタルトランスフォーメーション)をすすめることで、当社のさらなる成長を実現するために、2020年7月30日開催の取締役会において、第三者割当により発行される新株予約権付社債の発行を決議し、2020年8月17日に5,000,000千円の払込が行われております。なお、その概要は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」をご参照ください。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は34,518,350千円となり、前連結会計年度末に比べ10,381,607千円増加致しました。これは主に現金及び預金が8,045,016千円、投資有価証券が1,151,922千円それぞれ増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は20,646,901千円となり、前連結会計年度末に比べ8,416,004千円増加致しました。これは主に買掛金が841,807千円減少した一方で、新型コロナウイルス感染症の流行拡大を受け2020年3月に8,050,000千円の借入を行った結果、1年内返済予定の長期借入金が2,266,990千円、長期借入金が6,856,389千円それぞれ増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は13,871,448千円となり、前連結会計年度末に比べ1,965,602千円増加致しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が1,551,104千円増加したことによるもの、当社普通株式の東京証券取引所マザーズへの上場に伴い、当社普通株式367,400株のオーバーアロットメントによる売出しを行ったことにより資本金及び資本準備金がそれぞれ319,417千円ずつ増加したこと及び新株予約権(ストック・オプション)の行使により、資本金及び資本準備金がそれぞれ17,850千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の分析
当連結会計年度における我が国経済は、消費増税の影響による個人消費の落ち込み、米中の通商問題を巡る動向や不安定な海外情勢の影響に加え、新型コロナウイルス感染症の流行によって、緩やかな回復傾向から一転して急激に悪化しました。
このような環境の中、当社グループは「IPディベロッパー」戦略のもと、資本業務提携や子会社化などを進めることで、当社の特長であるワンストップ型メディアミックスモデルをさらに強化してまいりました。また、新型コロナウイルス感染症の日本国内での流行初期から感染対策を迅速に実施し、刻々と変化する状況に柔軟に対応しながら事業活動を推進してまいりました。
その結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高33,000,032千円(前期比2.6%増)、営業利益2,710,543千円(同11.4%減)、経常利益2,755,300千円(同9.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,551,104千円(同13.8%減)となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。なお、セグメント売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。
また、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 注記事項 セグメント情報 1.報告セグメントの概要」に記載のとおりであります。
イ デジタルIP事業
当社グループのデジタルIP事業は、TCG(トレーディングカードゲーム)部門、MOG(モバイルオンラインゲーム)部門、MD(マーチャンダイジング)部門、メディア部門の4部門で展開しております。
当連結会計年度におけるデジタルIP事業のうち、TCG部門は、新しいTCGブランドとして、オリジナルIPを中心として自社・他社IPも取り入れながら展開するハイブリッド型TCG「Reバース for you」を2020年3月に発売開始いたしました。オリジナルIPのTCG「カードファイト!! ヴァンガード」及び自社・他社IPを取り入れて展開するプラットフォーム型TCG「ヴァイスシュヴァルツ」は前期並みの売上を維持したものの、展開終了を発表した低年齢層向けオリジナルIPのTCG「バディファイト」の売上減少が大きく影響し、部門全体では軟調に推移しました。
MOG部門は、新しいアプリゲームとして、「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」(2019年9月配信開始・他社IP・他社配信)、「ヴァンガードZERO」(2019年12月配信開始・自社IP・自社配信)、「ロストディケイド」(2020年2月配信開始・他社IP・自社配信)が好調な滑り出しを見せました。加えて、堅調に推移した「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」(自社IP・他社配信)をはじめとする既存アプリゲームの積み上げにより、部門全体では大きく伸長し、当部門における過去最高の年間売上を達成しました。
MD部門は、上期においては音楽ライブでの会場物販や通販などライブ関連グッズが大きく伸長し、オリジナルカプセルトイブランド「TAMA-KYU」が好評を博すなど、順調に推移しました。一方、下期においては新型コロナウイルス感染症の影響により、中国で生産を行う商品の製造・納品が一時的にストップした他、リアルイベントや店頭での販売機会の減少に伴い、売上規模が縮小しました。
メディア部門は、2020年2月に「株式会社響」を「株式会社ブシロードムーブ」に商号変更し、「A First MOVE(先手を打つ)」を企業理念に掲げ、広告代理店事業・音響制作機能を強化いたしました。また、2020年6月に「株式会社リンガ・フランカ」の株式を取得し、持分法適用関連会社化することで、電子コミック形態でのコンテンツ展開やメディアミックス機能の拡充を図りました。
これらの結果、売上高24,413,197千円(前期比4.3%増)、セグメント利益1,962,828千円(同3.2%増)となりました。
ロ ライブIP事業
当社グループのライブIP事業は、音楽部門、スポーツ部門の2部門で展開しております。
当連結会計年度におけるライブIP事業のうち、音楽部門は、新型コロナウイルス感染症の影響により、下期に開催を予定していた音楽ライブや舞台を中止・延期又はオンラインでの開催に切り替えるなどの影響がありましたが、会場とライブ・ビューイングをあわせて2日間で58,584人を動員した「Rausch und/and Craziness」をはじめ上期に開催した音楽ライブと通期で続伸した音楽ソフトの売上が牽引し、前期を上回る年間売上となりました。また、他部門を含めた「バンドリ!」IP全体の通期売上が初めて100億円を突破し、当社が目標としている最初の「年商100億円以上のIP」となりました。
スポーツ部門の主たる柱である新日本プロレスは、2日間で70,071人を動員した東京ドーム2連戦興行「WRESTLE KINGDOM 14」の成功をはじめ2020年2月までは前期を上回る水準で推移いたしました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、3月から6月の殆どの興行を中止又は無観客興行への切り替えを余儀なくされ、7月以降は通常の三分の一から二分の一程度の観客動員での有観客興行を再開したものの、売上・収益は一転して大きく悪化いたしました。一方、動画配信サービス「新日本プロレスワールド」は10万人規模の有料会員数を維持しており、通期で安定した売上・収益を生み出しました。
事業展開につきましては、新日本プロレスのアメリカ進出の次のステップとして、「New Japan Pro-Wrestling of America Inc.」を2019年11月に設立いたしました。さらに12月には女子プロレス団体「スターダム」の事業を譲り受けました。一方、キックボクシングブランド「KNOCK OUT(ノックアウト)」は2020年6月に事業譲渡いたしました。
これらの結果、売上高8,586,834千円(前期比2.0%減)、セグメント利益724,856千円(同39.6%減)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて7,585,816千円増加し、20,152,398千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、736,926千円(前年度は得られた資金2,165,519千円)となりました。主な収入要因は、税金等調整前当期純利益2,759,005千円、主な支出要因は、仕入債務の減少額883,622千円、法人税等の支払額1,131,537千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、2,006,166千円(前年度は使用した資金1,349,839千円)となりました。主な支出要因は、投資有価証券の取得による支出1,001,484千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、8,898,634千円(前年度は得られた資金4,328,661千円)となりました。主な収入要因は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大を受け2020年3月に8,050,000千円の借入を行ったこと等による長期借入れによる収入11,800,000千円、当社普通株式の東京証券取引所マザーズへの上場に伴い、当社普通株式367,400株のオーバーアロットメントによる売出しを行ったこと及び新株予約権(ストック・オプション)の行使による株式の発行による収入674,535千円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループにおいては、提供するサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループにおいては、一部請負業務を行っておりますが、「a 生産実績」に記載の理由から、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年8月1日 至 2020年7月31日) | 前年同期比(%) |
デジタルIP事業(千円) | 24,413,197 | 104.3 |
ライブIP事業(千円) | 8,586,834 | 98.0 |
合計(千円) | 33,000,032 | 102.6 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来事項に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ①財政状態の分析・②経営成績の分析」をご参照ください。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。また、経営者の問題意識及び今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ③キャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、自社IP開発、他社IP投資、IPを発展させるための広告宣伝費等の営業費用であり、事業運営上必要な資本の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金は、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2020年3月に当社グループの24ヵ月分相当(約240億円)の経常運転資金を確保し財務的基盤のより一層の安定を図り、より機動的に企業活動をするため、8,050,000千円を調達しております。その結果、当連結会計年度末における借入金の残高は、13,955,355千円となっております。
また、グループ全体でのメディアミックスによる収益モデルを確立し、IPづくりのペースを上げること、さらに新型コロナウイルス感染症が国内外において急速に拡大し、当社グループにおきましても、主力事業であるライブIP事業において、新日本プロレスの興行、音楽ライブ及びイベントの延期・中止の事態が発生したことを受け、ライブIP事業におけるオンラインライブの制作、デジタルIP事業における電子コミックの制作及びさらなるEC(オンラインでの販売)、アプリへの注力といったオフラインやアナログのよさを保ちつつDX(Digital transformation:デジタルトランスフォーメーション)をすすめることで、当社のさらなる成長を実現するために、2020年7月30日開催の取締役会において、第三者割当により発行される新株予約権付社債の発行を決議し、2020年8月17日に5,000,000千円の払込が行われております。なお、その概要は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」をご参照ください。