有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/06/24 15:00
【資料】
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【項目】
109項目
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の分析
第12期連結会計年度(自 2017年8月1日 至 2018年7月31日)
(資産)
当連結会計年度末における総資産は18,232,806千円となり、前連結会計年度末に比べ6,472,135千円増加致しました。これは主に現金及び預金が3,633,522千円、売掛金が904,692千円それぞれ増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末におけるにおける負債合計は11,312,740千円となり、前連結会計年度末に比べ4,599,105千円増加致しました。これは主に買掛金が1,823,481千円、長期借入金が1,038,407千円増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末におけるにおける純資産は6,920,065千円となり、前連結会計年度末に比べ1,873,030千円増加致しました。これは主に利益剰余金が1,637,465千円増加したことによるものです。
第13期第3四半期連結累計期間(自 2018年8月1日 至 2019年4月30日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は20,073,368千円となり、前連結会計年度末に比べ1,840,562千円増加致しました。これは主に現金及び預金が801,041千円、売掛金が495,705千円、長期貸付金が418,873千円それぞれ増加したことによるものです。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は12,103,227千円となり、前連結会計年度末に比べ790,487千円増加致しました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が707,236千円、長期借入金が1,002,062千円それぞれ増加しましたが、買掛金が260,738千円、未払金が355,456千円、未払法人税等が708,570千円それぞれ減少したことによるものです。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は7,970,140千円となり、前連結会計年度末に比べ1,050,075千円増加致しました。これは主に利益剰余金が1,450,018千円増加したことによるものです。
② 経営成績の分析
第12期連結会計年度(自 2017年8月1日 至 2018年7月31日)
当連結会計年度における我が国経済は、緩やかな回復基調が続いておりますが、他方で、世界経済のリスクの高まりや、国内需要に力強さが欠けていること等を背景に一部に弱さもみられております。
このような環境の下で、当社グループは、エンターテイメントIPとスポーツIPをディベロップし、それらを軸にメディアミックス展開することでプロダクトやサービスを提供し、突き抜けた楽しさと感動をお客さまにお届けできるよう、積極的な事業活動を推進してまいりました。
その結果、当連結会計年度の業績は、売上高28,889,777千円(前年同期比26.9%増)、営業利益2,929,659千円(同855.9%増)、経常利益2,996,022千円(同825.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,637,465千円(前年同期親会社株主に帰属する当期純損失22,301千円)となりました。
各セグメントの業績は次のとおりであります。なお、セグメント売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。
イ エンターテイメント事業
自社IP「BanG Dream!(バンドリ!)」プロジェクトは、キャラクターの声を演じる声優が実際に楽器を演奏し、生のライブ活動を行うというユニークな発想を起点としたプロジェクトであり、音楽活動をはじめ、アニメ、モバイルオンラインゲーム、トレーディングカードゲーム、グッズとさまざまなサービスやプロダクトを世に送り出してきております。モバイルオンラインゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ」は2018年7月に全世界のユーザー数が1,000万人を超えており、グループ会社が担うライブやイベントの動員数、音楽ソフト販売数、グッズの売上等も大きく伸長しています。グループの機能をフルに活用することでIPを成長させ、またその成長が各部門の売上を牽引するという「IPディベロッパー」として理想的なビジネスモデルを展開しているIPです。また、他社IPにおいても、トレーディングカードゲーム「ヴァイスシュヴァルツ」は現在80を超えるIPを取り入れて展開をしており、IPファン、また「ヴァイスシュヴァルツ」そのもののファンそれぞれに牽引される形で売上は順調に推移しております。海外においても日本のアニメIPの需要は高まっており、トレーディングカードゲーム「カードファイト!! ヴァンガード」においては英語、イタリア語、タイ語などに翻訳され、61カ国にて販売を行っております。ローカライズはモバイルオンラインゲームにおいても注力している最中であり、「バンドリ! ガールズバンドパーティ」の英語、韓国語、繁体字配信を始め、さらに多くのタイトル、言語、地域において展開すべく準備を進めております。
これらの結果、売上高23,869,989千円(前年同期比26.6%増)、セグメント利益2,159,056千円(前年同期セグメント利益9,715千円)となりました。
ロ スポーツ事業
新日本プロレスリング㈱は2012年の子会社化以降、観客動員数、売上ともに右肩上がりに成長しております。国内の試合では「G1 CLIMAX 27」両国国技館3連戦、「WRESTLE KINGDOM12 in 東京ドーム」など、ビッグマッチは軒並み超満員札止めとなりました。また、海外の試合では、ロサンゼルスのWALTER PYRAMIDで開催された「STRONG STYLE EVOLVED」のチケットは10分で売り切れ、サンフランシスコのCOW PALACEで開催された「G1 SPECIAL IN SAN FRANCISCO」は、海外における音楽を含めた日本IPのエンターテイメントイベントで過去最大級の動員となるなど、海外の大きな潜在需要が顕在化してきました。
また、キックボクシング事業である「KNOCK OUT(ノックアウト)」は、「新日本プロレス」に続く日本の代表的な格闘技IPとすべく、確実に増加するファンを定着させながらブランドを育成している最中です。
この結果、売上高5,019,787千円(前年同期比28.7%増)、セグメント利益770,602千円(同159.7%増)となりました。
第13期第3四半期連結累計期間(自 2018年8月1日 至 2019年4月30日)
当第3四半期連結累計期間における経済環境は、国内外とも緩やかな回復基調が続いておりますが、他方で、原油高による原材料高や人手不足による人件費の上昇に加え、米国発の貿易摩擦問題が懸念材料となるなど、先行きが不透明な状況が続きました。
このような環境の下で、当社グループはIPの開発・取得・発展によって事業を拡大させる「IPディベロッパー」戦略のもと、エンターテイメント事業とスポーツ事業においてIPを軸にメディアミックス展開し、様々な形でプロダクトやサービスを提供することで突き抜けた楽しさと感動をもたらす新時代のエンターテイメントをお客さまにお届けできるよう、積極的な事業活動を推進しております。
その結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高23,522,851千円、営業利益2,500,784千円、経常利益2,522,223千円、親会社株主に帰属する四半期純利益1,450,017千円となりました。
各セグメントの業績は次のとおりであります。なお、セグメント売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。
イ エンターテイメント事業
当第3四半期連結累計期間におけるエンターテイメント事業は、主に自社IP「BanG Dream!(バンドリ!)」が各部門を牽引し売上を伸ばしました。まず音楽部門においては2月20日に同日発売した関連楽曲シングルCDの6タイトルすべてがオリコン週間シングルランキングTOP10ならびにビルボード“JAPAN Hot Animation”チャートウィークリーTOP10にランクインし、また3月に発売した「バンドリ! ガールズバンドパーティ! カバーコレクションVol.2」は3日間連続でオリコンデイリーランキング1位を獲得、のちに2週連続でウィークリーランキングTOP10にランクインするなど関連音楽パッケージが好調に展開いたしました。MD部門においては2月中旬から3月中旬にかけて、アニメ・コミック・ゲーム・キャラクターグッズの専門店『アニメイト』の国内119店舗ならびに上海、香港、ソウル、台北、台中、バンコクの全125店舗のアニメイトにて「BanG Dream! アニメイトワールドフェア」を実施し、アニメイト史上初となる全世界でのフェアということで話題を呼び、当フェア限定のグッズやノベルティ等が好評を博しました。3月にはモバイルオンラインゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」が2周年を迎え、生配信やSNSを含めた各種キャンペーン施策を展開し、App Storeトップセールスランキング首位を獲得いたしました。同じく3月にはトレーディングカードゲーム部門においてヴァイスシュヴァルツ「バンドリ! ガールズバンドパーティ!Vol.2」が発売され、各小売店にて完売が続出し再販を決定いたしました。また、当商品の前弾にあたるヴァイスシュヴァルツ「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」にも大きく注文が集まるなど既存商品にも好影響を与えました。また、モバイルオンラインゲーム部門においては4月に配信を開始した「名探偵コナンランナー 真実への先導者」が好調な滑り出しで推移しており、今後は海外も視野に入れた展開を図ってまいります。
これらの結果、売上高19,458,811千円、セグメント利益1,981,993千円となりました。
ロ スポーツ事業
スポーツ事業の柱である「新日本プロレス」は4月にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンにてビッグマッチ「G1 SUPERCARD」を実施し、16,534人(札止め) の観客動員数となりました。“格闘技の殿堂”とも称されるマディソン・スクエア・ガーデンでの興行は、メディアにも多く取り上げられ高い宣伝効果を得たほか、今後見据えている海外への本格進出においても大きな一歩であり、続く6月のメルボルン大会、7月のダラス大会においても海外へ通用する「新日本プロレス」のポテンシャルを示してまいります。国内においても創立47周年の節目となった「旗揚げ記念シリーズ」や「NEW JAPAN CUP」「NEW JAPAN ROAD ~飯塚高史引退記念大会~」などの各種興行が好調に推移し、また地方巡業先でのサイン会等のイベントや選手たちのマスメディア露出等、IPとしてのブランド強化とさらなるファンの獲得へ精力的に活動いたしました。
この結果、売上高4,064,039千円、セグメント利益518,791千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
第12期連結会計年度(自 2017年8月1日 至 2018年7月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて2,815,116千円増加し、7,447,634千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、3,264,882千円(前年度は使用した資金970,437千円)となりました。主な収入要因は、税金等調整前当期純利益2,908,920千円、仕入債務の増加額1,822,248千円であり、主な支出要因は、たな卸資産の増加額1,040,560千円、売上債権の増加額902,401千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,440,310千円(前年度は使用した資金190,645千円)となりました。主な支出要因は、定期預金の預入による支出854,414千円、固定資産の取得による支出406,061千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、969,229千円(前年度は得られた資金2,378,946千円)となりました。主な収入要因は、長期借入れによる収入2,100,000千円であり、主な支出要因は、長期借入金の返済による支出875,439千円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループにおいては、提供するサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループにおいては、一部請負業務を行っておりますが、「a 生産実績」に記載の理由から、記載を省略しております。
c.販売実績
第12期連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第12期連結会計年度
(自 2017年8月1日
至 2018年7月31日)
前年同期比(%)
エンターテイメント事業(千円)23,869,989126.6
スポーツ事業(千円)5,019,787128.7
合計(千円)28,889,777126.9

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度及び第13期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第11期連結会計年度
(自 2016年8月1日
至 2017年7月31日)
第12期連結会計年度
(自 2017年8月1日
至 2018年7月31日)
第13期第3四半期
連結累計期間
(自 2018年8月1日
至 2019年4月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
㈱Craft Egg927,1564.13,254,35711.32,136,2929.1
KLab㈱2,542,81111.22,288,3817.9971,1274.1
㈱スターコーポレーション2,414,29810.62,189,4507.61,514,2126.4

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社は、前記「2 事業等のリスク」に記載のとおり、組織体制に関するリスク及び事業環境に関するリスク等様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は常に市場環境等に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、消費者や市場のニーズに適時適切に対応していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行って参ります。
③ 経営成績等の状況に関する分析・検討内容
第12期連結会計年度(自 2017年8月1日 至 2018年7月31日)
当社グループは、売上総利益金額及び売上高経常利益率を重要な経営指標としております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、自社IP「BanG Dream!(バンドリ!)」を題材としたモバイルオンラインゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」の売上が増加したことにより、売上総利益は13,701,076千円(前年同期比36.6%増)となりました。
また、売上高経常利益率は10%以上を目標としておりますが、販売費及び一般管理費の抑制により10.4%と前年同期の1.4%を上回りました。
第13期第3四半期連結累計期間(自 2018年8月1日 至 2019年4月30日)
当社グループは、売上総利益金額及び売上高経常利益率を重要な経営指標としております。
当社グループの当第3四半期連結累計期間の経営成績等は、自社IP「BanG Dream!(バンドリ!)」を題材としたモバイルオンラインゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」の売上に加え、グループ会社が担うライブやイベントの動員数、音楽ソフト販売数、グッズの売上等も大きく伸長しています。その結果、売上総利益は10,959,742千円となりました。
また、売上高経常利益率は10%以上を目標としておりますが、販売費及び一般管理費の抑制、財務活動を効率的に実施できたことで10.7%となりました。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、自社IP開発、他社IP投資、IPを発展させるための広告宣伝費等の営業費用であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金は、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当第3四半期連結会計期間末における借入金の残高は、5,209,243千円となっております。