有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/08/27 15:00
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【項目】
79項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
第17期事業年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
当事業年度における我が国経済は、米国の保護主義的な通商政策による貿易摩擦の強まりによる輸出環境への懸念をはじめとした、海外の不安定な政治動向や地政学的リスクなどにより景気の先行きに不透明感があったことで年間株価はアベノミクス相場で初の下落となったものの、雇用環境や企業収益は改善が見られるなど緩やかな回復基調が継続いたしました。
当社の主要販売先である資産運用業界におきましては、資産運用会社の運用資産残高は貯蓄から資産形成へという政策の後押しによって大幅に増加いたしました。IT投資においても、金融規制への対応やグループの統廃合によるシステムの統廃合、他業界からの金融業への参入など、業界全体として需要の高まりが認められました。さらに、今後の注力事業であるRPA市場についても、生産年齢人口の減少や働き方改革によって採用する企業が増加しました。
このような経営環境のもと、つぎの取り組みを実施しました。第一に、既存顧客及び資産運用業界の新規取引先を対象に、顧客現場への深い理解を持つ当社コンサルタントによる業務分析等のコンサルティングや、先端技術(RPAやクラウドプラットフォーム等)を活用した提案を行うことで受注総額を拡大させました。第二に、UiPath株式会社のゴールドパートナーとしてリセラー契約を締結し、上記顧客に加え新規に一般事業会社向けのRPA導入支援サービスを行うことで顧客基盤を拡大させました。第三に、中期的な事業規模拡大のため、RPA・AIの研究開発、人材の採用・教育、及び内部管理体制の強化を実施しました。
以上の結果、売上高は、2,364,018千円(前年同期比10.9%増)、営業利益は、289,326千円(前年同期比0.6%減)、経常利益は、291,086千円(前年同期比0.2%減)、当期純利益は、202,525千円(前年同期比2.1%減)となりました。
これにより、当社が目標とする経営指標である営業利益率は12.2%(前年同期比1.4%減)となりました。
第18期第2四半期累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年6月30日)
当第2四半期累計期間における我が国経済は、米中の過度の貿易摩擦懸念の後退や米国の利下げ期待を背景に、依然として景気の先行きには不透明感があるものの、引き続き緩やかな回復基調が続きました。当社の主要販売先である金融業界におきましては、グループの統廃合によるシステムの統廃合など、業界全体として引き続き需要が高まっております。さらに、今後の注力サービスであるRPA関連サービスの市場は依然として各種メディアでの注目度は高く、生産年齢人口の減少や働き方改革によって金融業界のみならず一層活用期待は高まっております。
当第2四半期累計期間においては、RPA等の活用を含む業務プロセス最適化の継続した需要増加を背景に、顧客からの引き合いが前年同期を上回りました。それに伴い、積極的に採用を進めた結果、当第2四半期累計期間においてコンサルタント経験者を16名採用し、今後の更なる増加案件への体制強化をしております。
以上の結果、当第2四半期累計期間の業績は、売上高1,378,618千円、営業利益213,310千円、経常利益213,172千円、四半期純利益139,074千円となりました。
なお、当社は、前第2四半期累計期間については四半期財務諸表を作成していないため、前年同四半期累計期間との比較分析は行っておりません。
②財政状態の状況
第17期事業年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
(資産)
当事業年度末における流動資産の残高は、前事業年度末に比べ61,689千円増加し、931,106千円(前期比7.1%増)となりました。これは主として、売上債権が89,069千円増加したことによります。固定資産の残高は、前事業年度末に比べ20,281千円増加し、318,066千円(前期比6.8%増)となりました。これは主として、敷金及び保証金が17,559千円増加したことによります。
(負債)
当事業年度末における流動負債の残高は、前事業年度末に比べ81,760千円減少し、452,178千円(前期比15.3%減)となりました。これは主として、一年内返済予定長期借入金が42,638千円、未払法人税等が37,020千円、未払費用が23,419千円減少したことによります。
固定負債の残高は、前事業年度末に比べ38,794千円減少し、9,010千円(前期比81.2%減)となりました。これは、長期借入金が38,794千円減少したことによります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ202,525千円増加し、787,984千円(前期比34.6%増)となりました。これは、当期純利益202,525千円の計上に伴う利益剰余金の増加によるものであります。
第18期第2四半期累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年6月30日)
(資産)
当第2四半期会計期間末における流動資産の残高は、前事業年度末に比べ150,956千円増加し、1,047,903千円となりました。これは主として、現金及び預金が158,329千円増加したことによります。当第2四半期会計期間末における固定資産は、前事業年度末に比べ3,149千円減少し、349,075千円となりました。これは主として、繰延税金資産が9,744千円減少したことによります。
(負債)
当第2四半期会計期間末における流動負債の残高は、前事業年度末に比べ17,742千円増加し、469,920千円となりました。これは主として、未払法人税等が28,880千円増加したことによります。当第2四半期会計期間末における固定負債は、前事業年度末に比べ9,010千円減少し、0千円となりました。これは主として、長期借入金が9,010千円減少したことによります。
(純資産)
当第2四半期会計期間末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ139,074千円増加し、927,059千円となりました。これは、四半期純利益139,074千円の計上に伴う利益剰余金の増加によるものであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号平成30年2月16日)等を第1四半期会計期間の期首から適用しており、財政状態については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前事業年度との比較・分析を行っております。
③キャッシュ・フローの状況
第17期事業年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ12,351千円減少し、319,776千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは101,711千円の収入となりました。
これは、主に売上債権の増加89,069千円、航空券手配代行サービスの株主優待券等の棚卸資産の増加22,382千円等による減少の一方で、税引前当期純利益291,086千円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは32,630千円の支出となりました。これは、主にセキュリティ強化のUTM(Unified Threat Management)導入による有形固定資産の取得による支出6,353千円、航空券手配代行サービスの販売管理システムの入れ替えによる無形固定資産の取得による支出9,324千円、航空券手配代行サービスの航空券仕入への保証金増加及び事務所賃料改定による敷金及び保証金による支出18,086千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは81,432千円の支出となりました。これは、主に長期借入金の約定返済による支出81,432千円があったことによるものであります。
第18期第2四半期累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年6月30日)
当第2四半期累計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ158,329千円増加し、478,105千円となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは191,633千円の収入となりました。これは、主に賞与引当金の減少11,705千円、役員賞与引当金の減少14,800千円等による減少の一方で、たな卸資産の減少20,860千円による増加、税引前四半期純利益213,172千円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは7,019千円の支出となりました。これは、主に福岡オフィス移転(2019年11月予定)等による敷金及び保証金による支出4,907千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは26,285千円の支出となりました。これは、短期借入金の借入9,000千円がありましたが、長期借入金の返済による支出35,285千円があったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
(生産実績)
当社が行う事業では、提供サービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(受注実績)
当社が行う事業では、概ね受注から役務提供までの期間が短いため、当該記載は省略しております。
(販売実績)
第17期事業年度及び第18期第2四半期累計期間における販売実績は次の通りであります。
当社はビジネステクノロジーソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けての記載はしておりません。
セグメントの名称第17期事業年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
第18期第2四半期累計期間
(自 2019年1月1日
至 2019年6月30日)
区分販売高(千円)前年同期比(%)販売高(千円)
ビジネステクノロジーソリューション事業2,364,018110.91,378,618
合計2,364,018110.91,378,618

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先第16期事業年度
(自 2017年1月1日
至 2017年12月31日)
第17期事業年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
第18期第2四半期累計期間
(自 2019年1月1日
至 2019年6月30日)
販売高
(千円)
割合(%)販売高
(千円)
割合(%)販売高
(千円)
割合(%)
NRIプロセスイノベーション株式会社549,18725.8541,98422.9209,29315.2
野村アセットマネジメント株式会社310,89914.6316,42713.4190,96813.9

(注)3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、見積りが必要な事項につきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因に基づき、見積りや判断を行っております。しかし、見積り及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第17期事業年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
当事業年度の経営成績は下記の通りであります。
(売上高)
売上高は、主に資産運用会社、信託銀行の業務プロセス改善支援など既存顧客を中心に受注の増加及び新規顧客からのRPA関連案件の増加の結果、前事業年度に比べ10.9%増加し、2,364,018千円となりました。
(売上原価)
売上原価は、主に資産運用会社、信託銀行の業務プロセス改善支援など既存顧客を中心に受注が堅調に推移したことにより、前事業年度に比べ12.0%増加し、1,616,983千円となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、主に従業員の採用費及び教育費の増加、RPA、AIの研究開発費の増加及び内部管理体制構築のための人員強化に伴う人件費の増加等により、前事業年度に比べ15.3%増加し、457,708千円となりました。
(営業外損益、経常利益)
営業外損益の主な内訳は、営業外収益として助成金収入1,394千円、営業外費用として支払利息725千円となり、経常利益は、前事業年度に比べ0.2%減少し、291,086千円となりました。
(特別損益、当期純利益)
特別利益および特別損失は発生しておりません。
その結果、当期純利益は、前事業年度に比べ2.1%減少し、202,525千円となりました。
第18期第2四半期累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年6月30日)
当第2四半期累計期間の経営成績は以下の通りであります。
(売上高)
売上高は、主に資産運用会社、信託銀行の継続的な業務プロセス改善に対する需要拡大を背景に、既存顧客を中心に受注が堅調に推移したこと及び前事業年度にRPAライセンスを販売した顧客からの業務プロセス改善支援の受注が増加したことにより、1,378,618千円となりました。
(売上原価)
売上原価は、874,013千円となりました。これは主に、現在および将来の受注拡大のための要員を確保するため、コンサルタントの労務費、契約社員の労務費及び外注費(派遣費、業務委託費等)等のコストが増加したことによるものであります。一方、売上原価率は前事業年度に比べ5%低下し、63.4%となりました。これは主に、大型案件および受注件数が増加傾向にあり稼働が高まったことによるものであります。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、主に、従業員の採用費・教育費の増加、AIの研究開発費の増加及び内部管理体制構築のための人員強化に伴う人件費の増加により、291,293千円となりました。
(営業外損益、経常利益)
営業外損益の主な内訳は、営業外費用として支払利息139千円となり、経常利益は、213,172千円となりました。
(特別損益、四半期純利益)
特別利益および特別損失は発生しておりません。
その結果、四半期純利益は、139,074千円となりました。
③資本の財源及び資金の流動性
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金は自己資金及び金融機関からの借入金を基本としております。持続的な成長を図るため既存事業の拡大と研究開発を行っておりますが、これらに必要な資金については必要に応じて多様な資金調達を実施しております。なお、当第2四半期会計期間末における有利子負債(借入金)残高は21,519千円であり、現金及び現金同等物の残高は478,105千円であります。現時点で重要な資本的支出の予定はございません。
④経営者の問題認識と今後の方針について
当社は「俯瞰的な視点で世の中の非効率を解消していくことで、“より満足度の高い未来”を創造する」を企業ビジョンに掲げております。また、ミッションである「企業向けITにおけるラストワンマイルを最適化する」を推し進めるため、事業基盤の強化とUiPath RPA Platformの導入促進による一層広範な業界及び業務プロセスへの関与を目指しております。
当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として営業利益率の安定的な確保を目指しております。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。また、既存事業拡大方針及び新規サービスであるRPA推進への施策については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載をしております。