有価証券報告書-第41期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/25 13:17
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143項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりです。
なお、本項に記載した見通し、予想、方針等の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しており、実際の結果と大きく異なる可能性もありますのでご留意ください。
(1)財政状態の分析
① 資産
当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末比166億97百万円増加して、7,011億19百万円となりました。これは主に、機械及び装置97億99百万円、営業貸付金95億10百万円、前払費用33億57百万円及び現金預金23億14百万円が増加した一方、金銭の信託85億1百万円が減少したことによるものです。
② 負債
負債につきましては、前連結会計年度末比19億8百万円増加して、4,643億25百万円となりました。これは主に、一括借上修繕引当金154億48百万円、前受金73億11百万円及び未成工事受入金52億6百万円が増加した一方、長期借入金166億90百万円及び長期預り保証金83億43百万円が減少したことによるものです。
③ 純資産
純資産につきましては、前連結会計年度末比147億88百万円増加し、2,367億94百万円となりました。これは主に、当期純利益の計上により561億9百万円が増加した一方、配当金の支払いにより286億38百万円及び消却目的の自己株式の取得により166億円が減少したことによるものです。
以上により、自己資本比率は前連結会計年度末比1.45ポイント増加して34.31%となりました。
<従業員持株ESOP信託及び株式給付信託について>当社は、従業員の福利厚生制度の拡充を図るとともに当社の業績や株価への意識を高め企業価値向上を図ること並びに株価及び業績向上への従業員の意欲や士気を高めることを目的として、「従業員持株ESOP信託」及び「株式給付信託」を設定しております。
これらの信託に関する会計処理については、経済的実態を重視し、当社とこれらの信託は一体であるとする会
計処理を行っております。このため、これらの信託が所有する当社株式は、連結貸借対照表及び連結株主資本等
変動計算書上において株主資本の控除科目の「自己株式」として表示しております。
a.取引の概要
(従業員持株ESOP信託)
平成23年6月17日開催の取締役会において、当社の中長期的な企業価値を高めることを目的として、従業員インセンティブ・プラン「従業員持株ESOP信託」の導入を決議いたしました。
当社が「大東建託従業員持株会」(以下「当社持株会」といいます。)に加入する従業員(以下「従業員」といいます。)のうち一定の要件を充足する者を受益者とする信託を設定し、当該信託は信託設定後5年間に亘り当社持株会が取得すると見込んだ数の当社株式を、予め定めた取得期間中(平成23年7月1日~平成23年9月22日)に取得しました。その後、当該信託は当社株式を毎月一定日に当社持株会に売却しております。信託終了時に、株価の上昇により信託収益がある場合には、受益者たる従業員の拠出割合に応じて金銭が分配されます。株価の下落により譲渡損失が生じ信託財産に係る債務が残る場合には、金銭消費貸借契約の保証条項に基づき、当社が銀行に対して一括して弁済するため、従業員への追加負担はありません。
(株式給付信託)
平成23年7月4日開催の取締役会において、従業員の新しいインセンティブプランとして「株式給付信託(J-ESOP)」(以下、「本制度」といいます。)を導入することにつき決議いたしました。
本制度は予め当社が定めた株式給付規程に基づき、当社の従業員が株式の受給権を取得した場合に、当該従業員に当社株式を給付する仕組みです。
当社は、当社の従業員の中から業績や成果に応じて「ポイント」(1ポイントを1株とします。)を付与する者を選定し、ポイント付与を行います。一定の要件を満たした従業員に対して獲得したポイントに相当する当社株式を給付します。従業員に対し給付する株式については、予め信託設定した金銭により将来分も含め取得し、信託財産として分別管理するものとします。
本制度により、従業員の勤労意欲の向上や中期的な業績向上と企業価値向上への貢献意欲が高まることが期待されます。
b.「従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第30号 平成27年3月26日)を適用しておりますが、従来採用していた方法により会計処理を行っております。
c.信託が保有する自社の株式に関する事項
(従業員持株ESOP信託)
イ.信託における帳簿価額は前連結会計年度1,909百万円、当連結会計年度839百万円であります。信託が保有する自社の株式は株主資本において自己株式として計上しております。
ロ.期末株式数は前連結会計年度266,900株、当連結会計年度117,300株であり、期中平均株式数は、前連結会計年度361,140株、当連結会計年度188,791株であります。期末株式数及び期中平均株式数は、1株当たり情報の算出上、控除する自己株式に含めておりません。
(株式給付信託)
イ.信託における帳簿価額は前連結会計年度2,894百万円、当連結会計年度5,063百万円であります。信託が保有する自社の株式は株主資本において自己株式として計上しております。
ロ.期末株式数は前連結会計年度403,467株、当連結会計年度569,359株であり、期中平均株式数は、前連結会計年度408,591株、当連結会計年度521,460株であります。期末株式数及び期中平均株式数は、1株当たり情報の算出上、控除する自己株式に含めておりません。
なお、これらの信託が所有する当社株式は、会社法上の自己株式に該当せず、議決権や配当請求権など通常の株式と同様の権利を有しております。また、会社法第461条第2項の分配可能額の計算に際して、会社法上の自己株式は控除されますが、これらの信託が所有する当社株式は控除されません。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① セグメント別業績
セグメント別業績については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」をご参照ください。
② 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べ2.5%増加し、2,389億46百万円となりました(前連結会計年度は2,330億98百万円)。これは主に、労務費高騰による外注費上昇などの影響で完成工事総利益率が低下したものの、着工促進等による完成工事高の増加及び一括借上物件の増加に伴う家賃収入の増加により売上総利益が58億47百万円増加したことによるものです。
③ 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ2.9%増加し、1,474億25百万円となりました(前連結会計年度は1,433億17百万円)。これは主に、租税公課が13億64百万円増加したこと、支払手数料が8億27百万円増加したこと及び広告宣伝費が7億43百万円増加したことによるものです。
④ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ1.9%増加し、915億20百万円となりました(前連結会計年度は897億80百万円)。これは、販売費及び一般管理費が41億8百万円増加した一方、売上総利益が58億47百万円増加したことによるものです。
⑤ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ2.7%増加し、958億87百万円となりました(前連結会計年度は933億35百万円)。これは主に、営業利益が17億39百万円増加したことによるものです。
(3)キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」をご参照ください。
(5)経営者の問題意識と今後の方針
平成27年1月に施行された50年ぶりの相続税法の大改正を踏まえ、高齢化の進む土地所有者の皆様にとって資産承継や税務対策を背景とした土地活用ニーズは一層高まっており、今後もそのニーズは底堅く推移するものと予測されます。
一方、少子・高齢化で人口減少は進むものの、核家族化・晩婚化等により、一人住まい世帯数の増加が見込まれるため、世帯数は平成32年まで増加し、以降も比較的なだらかに減少していくものと予測されております。また、賃貸住宅の居住世帯は、過去より総世帯数の3分の1強を占めており、今後も同水準で推移していくものと見込まれます。
このような市場環境の中、当社グループは、「賃貸住宅にできることを、もっと。」を中期経営スローガンに、平成30年3月期を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画を策定しております。土地所有者の皆様には資産承継・資産活用法として「30年~40年の長期に亘る賃貸住宅事業の安定運営」を、入居者の皆様には「安心・便利で快適な暮らし」を提供してまいります。
中期経営計画の概要は次のとおりです。
①受注進展 お客様(土地所有者の皆様)の資産活用から資産承継を実現するトータルサービスの提供
②完成工事 7,000億円の施工体制構築と適正利益の確保
③健全入居率維持 入居者斡旋力の強化と商品価値の向上
中期経営目標といたしましては、平成27年3月期の実績を踏まえ、向こう3年の目標の見直しを行い、平成30年3月期に、売上高1兆6,017億円、営業利益1,050億円、親会社株主に帰属する当期純利益726億円、自己資本当期純利益率26%の実現を目指すとともに、貸家住宅着工戸数においては、シェア20%以上(賃貸市場規模を356千戸と想定)獲得することを設定しております。
中期経営計画(平成30年3月期(第44期)計画)は次のとおりです。
売上高1兆6,017億円(年平均成長率 +6.8%)
営業利益1,050億円(年平均成長率 +5.0%)
経常利益1,100億円(年平均成長率 +5.2%)
親会社株主に帰属する当期純利益726億円(年平均成長率 +7.1%)
自己資本比率38.6%
自己資本当期純利益率26.0%
1株当たり配当金476円
配当性向50.0%
総還元性向80.0%