四半期報告書-第63期第1四半期(令和4年5月1日-令和4年7月31日)

【提出】
2022/09/09 10:34
【資料】
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【項目】
32項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型ウイルスの新規感染者が増え続け、かつてないスピードでの感染拡大により、未だピークが見えない状況ではあるものの、政府は「感染症対策と社会経済活動の両立を図る」として、かつてのように緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの行動制限を求めておらず、停滞していた景気の回復が期待される状況となりました。しかし、一方で、ロシア・ウクライナ情勢の深刻化、急速な円安の進行等によって、原材料・エネルギー価格の高騰に起因する仕入れ価格・物流コストの上昇、これらによる商品価格の上昇に伴う個人消費停滞の懸念等、先行き不透明な状況が続いております。
食品業界におきましては、昨今の生活スタイルの変化や消費者の購買行動の変化を背景として、家庭内で消費される食品に対する底堅い需要に支えられている反面、新型ウイルスの感染拡大に伴う景気停滞、ロシア・ウクライナ情勢に端を発する世界規模でのエネルギー供給不足など、先行き不透明な状況下での各種食料品の値上げ発表が相次ぎ、消費者の節約志向に注視が必要な状況を迎えております。こうした環境変化を受けて、当社を取り巻く経営環境は「原材料価格の高騰」「新型ウイルス感染禍の継続」「それに伴う従業員の労働環境における安全の確保」「お客様への万全の供給体制の整備を最優先としたオペレーション」といった複合的な要因によって各種コストが上昇基調にあることもあり、引き続き厳しい局面が続くものと予想しております。
このような状況のもと、当社グループは引き続き、安全・安心に重点をおいた包装米飯及び包装餅製品の安定供給、並びに適正価格での販売に努めることを基本に事業活動を推進してまいりました。具体的には、おいしさの追求はもちろんのこと、お客様の消費動向を捉えながら、多様化するニーズに対応可能な生産体制の整備を進めるとともに、新型ウイルスと“共生”する事を前提とした市場変化に対応すべく、「米食回帰・健康維持・多様化をキーワードとした新たな食の創造」を提案し、全社一体となった営業活動に取り組むことで業績の拡大を図ってまいりました。また、前年に引き続き包装米飯及び包装餅双方の通年需要の喚起を目的とした広告宣伝を実施する事で、喫食機会とブランド認知の拡大に努めて参りました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、包装米飯及び包装餅製品ともに主力製品を中心に堅調に推移し、67億29百万円(前年同期比12.4%増)となりました。利益面につきましては、販売の増加と生産性向上による利益率の改善を要因として、営業利益は2億64百万円(前年同期比243.8%増)、経常利益は3億62百万円(前年同期比151.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2億85百万円(前年同期比182.0%増)と、いずれも前年同期を大きく上回る結果となりました。なお、親会社株主に帰属する四半期純利益については、第1四半期連結累計期間としては過去最高の実績となりました。また、当社グループは主力製品である包装餅が季節商品(特に鏡餅)であり、その販売が年末に集中するため、第3四半期連結会計期間の売上高及び利益が他の四半期連結会計期間に比べ著しく増加する傾向があります。
製品分類別の販売動向
当社グループは、食品事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しておりますが、製品分類別における販売の動向は以下のとおりであります。
(包装米飯製品)
包装米飯製品は、近年の社会構造や生活様式の変化に伴い、パックごはん市場全体が拡大傾向にある中、新型ウイルス感染禍において「ストック」できることが、新たな食材選びの重要なポイントとされるなど、消費者の意識に変化が見られております。また、小麦を中心とした穀物の価格高騰を受け、価格が比較的安定しているコメの存在感が高まり、米食に回帰する動きが活発化しております。
これらの消費動向の変化を背景に、まとめ買いニーズへの対応や食物繊維で始めるおいしい新健康生活の提案など様々な販売促進活動により、包装米飯製品の「家庭のご飯に代わる」日常食化に取り組んで参りました。
また、通年需要の喚起を目的に、当社独自の釜炊き製法をアピールするテレビCM『サトウのごはん「ふっくら釜炊き編」』、「サトウのごはん8食パック」の発売に合わせたテレビCM『サトウのごはん「多幸(炊こう)感」』を引き続き全国放映いたしました。これらの取り組みとともに、当社の包装米飯が日本古来の炊飯方法を忠実に再現した独自の製造技術(厚釜ガス直火炊き)により電子レンジによる2分間の加熱で家庭と同様のふっくら炊き立てのごはんを再現できること、また、製品名に原料米の産地銘柄を明確に表示していること、さらに、賞味期間が1年と長期保存が可能であるという特長が、お客様における利便性及び安全・安心のニーズの高まりと昨年から続く新型ウイルス感染禍の新しい生活スタイルを背景とした内食需要の高まりにマッチし、お客様から引き続き高い支持を得られたことで、売上高は堅調に推移いたしました。
その結果、包装米飯製品の売上高は56億86百万円(前年同期比14.0%増)となり、第1四半期連結累計期間としては過去最高の実績となりました。
(包装餅製品)
包装餅製品においても通年需要の喚起に積極的に取り組んでおります。
まず、これまで「プレミアムライン」、「レギュラーライン」、「トライアルライン」の3つにセグメンテーションしていた切り餅の商品ラインナップに、普段の生活や行動の範囲内で手を出せる高級品、いわゆる “プチ贅沢”需要にお応えする、「プライムライン」を追加し、「サトウの切り餅 特別栽培米新潟県産こがねもち」の商品開発を進めてまいりました。
次に、女優の芦田愛菜さんが当社グループのみが個包装に使用している酸素を吸収する「ながモチフィルム」の特徴(鮮度保持剤なしでつきたての美味しさを24か月保持)を紹介するテレビCMや、切り餅「いっぽん」のスティック形状を活かした様々な召し上がり方を消費者の皆様に提案するテレビCMを継続的に放映することで、当社包装餅商品のブランド認知の深化に努めてまいりました。さらに、餅商品の喫食機会向上と新たな消費者層の獲得を目的として、人気動画クリエイターとタイアップした動画制作を行ってまいりました。
年末商材である鏡餅については、引き続きダウンサイジング化が全体的に進んでいることから、「どこでも簡単に飾れる手頃なサイズの鏡餅!」をコンセプトとして商品開発を進めるとともに、その気軽さから市場に広く受け入れられている小飾りシリーズのアイテム充実やパッケージリニューアル、サッと鏡餅シリーズのパッケージリニューアルを図るなど、年末の販売増加に向けての取り組みを実施してまいりました。
また、流通における取り組みとして、鏡餅を店舗で陳列する際の開封作業の軽減を目的として開発した、段ボールを開封するとそのまま商品の陳列ができる「簡単!楽ちん段ボール」を引き続き採用し、取扱店の拡大に努めてまいりました。
包装餅の販売は、昨年末から続く様々な食料品の値上げに対して、当社餅商品は従来通りの価格で販売提案を行った結果、小売店各社の売上対策と当社提案が合致したことで、例年以上に販促機会が増加し、売上高は堅調に推移いたしました。その結果、包装餅製品の売上高は10億37百万円(前年同期比4.6%増)となりました。
(2) 財政状態の分析
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は164億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億53百万円増加いたしました。
これは主に売掛金が15億21百万円、原材料及び貯蔵品が5億27百万円、現金及び預金が4億5百万円減少したものの、商品及び製品が28億30百万円増加したことによるものであります。
固定資産は200億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億1百万円減少いたしました。
これは主に投資有価証券の新規取得および保有する投資有価証券の時価総額の増加により、投資有価証券が3億43百万円増加したものの、減価償却の進行に伴い有形固定資産が4億77百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は364億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億51百万円増加いたしました。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は127億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億69百万円増加いたしました。
これは主に未払金が20億82百万円、未払法人税等が5億13百万円減少したものの、運転資金としての短期借入金が29億円、買掛金が2億77百万円増加したことによるものであります。
固定負債は71億83百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億15百万円減少いたしました。これは主に長期借入金の減少によるものであります。
この結果、負債合計は199億24百万円となり、前連結会計年度末に比べ53百万円増加いたしました。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は165億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ97百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上及び剰余金の配当があったことによるものであります。
この結果、自己資本比率は45.4%(前連結会計年度末は45.3%)となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更及び新たに生じたものはありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は35百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。