半期報告書-第65期(2024/05/01-2024/10/31)

【提出】
2024/12/12 10:25
【資料】
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【項目】
34項目
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、継続的な物価上昇等の影響で一部に足踏みがみられたものの、雇用・所得環境の改善により個人消費が増加基調で推移したことで緩やかに回復しました。一方で不安定な為替相場や国際情勢により、景気の先行きは不透明な状況が続いています。
食品業界においても、こうした物価上昇等の事業環境の変化による影響を受け、消費者の節約・低価格志向が継続することが予想され、依然として厳しい経営環境が続くものと推測されます。
しかしながらこのような状況のもと、当社は、日本の食文化を大切にし、良質の米を原料に最新の技術を駆使した独自の製法にこだわりつつ、安全・安心に重点をおいた包装米飯や包装餅製品の生産及び安定供給、並びに適正価格での販売に努めることを基本に事業活動を推進してまいりました。具体的には、おいしさの追求はもちろんのこと、無菌化包装技術を駆使した利便性の高い製品の生産及び消費者の消費動向を捉えながら拡大する商品需要に対応可能な生産体制の整備を進めてまいりました。また、当社が提案する「米食回帰・健康維持・多様化をキーワードとした新たな食の創造」を通じて持続的な成長の実現を目指し、全社一体となった営業活動に取り組むことで業容の拡大を図ってまいりました。
また、当社は、テレビCMの全国放映や有名アニメキャラクターとのコラボレーション商品の展開など、積極的に広告宣伝及び販売促進活動を実施することで喫食機会の拡大及び商品ブランドの認知度向上に努めてまいりました。加えて、「プチ贅沢」、「健康・機能性」、「タイムパフォーマンス(タイパ)志向」などに対応した商品ラインナップを拡充することで、時代とともに変化する消費者ニーズにお応えするとともに、引き続き消費者目線での商品開発を進め、商品ブランドのさらなる価値向上に努めてまいりました。
以上の結果、当中間連結会計期間の売上高は、包装米飯及び包装餅製品ともに主力製品を中心に販売が堅調に推移し、186億47百万円(前年同期比12.5%増)となりました。
利益面につきましては、販売の増加と生産性向上により収益性の改善に努めましたが、各種原材料費・物流費の価格高騰の影響や、設備投資に伴う減価償却費の増加により、営業利益は8億62百万円(前年同期比12.6%減)、経常利益は10億73百万円(前年同期比8.0%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は7億31百万円(前年同期比12.3%減)と、いずれも前年を下回る結果となりました。
当社は、食品ロスの削減などの環境問題に対する社会的な問題意識の高まりを考慮し、年末に需要が集中する鏡餅につきましては、受注締日をこれまでよりも早期に設定することで、過剰生産や製造現場における人材不足の課題解消に取り組んでおります。また、鏡餅商品の仕様変更により、プラスチック・アルミ箔等の資材の削減や化粧箱のダウンサイジングなど、環境配慮へ向けた取り組みを進めております。その他、流通業界を取り巻く環境課題の解決に取り組むとともに、鏡餅の伝統文化継承を持続的に展開できるよう努めてまいります。
物流に関しても、運送会社との連携強化により出荷の平準化、人員の最適化を図るとともに、環境負荷の低い輸送手段への変更を行ってまいります。さらに、今後は積載効率、運航効率のさらなる向上を目指し、「2024年物流問題」に対応してまいります。
なお、昨今の原料米の急激な高騰及び資材費・人件費・物流費の上昇を自社の企業努力だけで吸収し続けることは極めて困難であるとの判断により、包装米飯製品は2024年12月2日出荷分より、商品価格を改定しております。また、包装餅製品についても2025年3月3日出荷分より商品価格の改定を予定しております。
製品分類別の販売動向
当社グループは、食品事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しておりますが、製品分類別における販売の動向は以下のとおりであります。なお、主力製品である包装餅が季節商品(特に鏡餅)であり、その販売が年末に集中するため、第3四半期連結会計期間の売上高及び利益が他の四半期連結会計期間に比べ著しく増加する傾向があります。
(包装米飯製品)
近年の少子高齢化を背景とした消費者のライフスタイルの変容に伴い「タイパ志向」が高まったことで、家庭での炊飯機会は減少し、ご飯は「家庭で炊くもの」から「買うもの」へと変化しております。電子レンジ調理などの簡便、時短調理等、家庭内での調理ニーズが多様化する中で、包装米飯製品は、家庭内での日常の需要が拡大し、ストック及びレンジ調理が可能なパックごはん市場は堅調に推移しております。
これらの消費動向の変化を背景に、まとめ買いニーズへの対応や「食物繊維で始めるおいしい新健康生活」の提案など様々な販売促進活動により、包装米飯製品の「家庭のご飯に代わる」日常食化に引き続き取り組んでまいりました。また、人気お笑いコンビ「オードリー」を起用し「“ふっくら釜炊き”ごはんのおいしさ」を表現したテレビCM『「釜炊き圧トゥー的」篇』を全国放映しました。
これらの取り組みとともに、1988年の発売当初より「炊きたてのおいしさ」を目指してきた「サトウのごはん」がパックごはん市場で確固たるブランドを確立し、より多くの食卓に受け入れられたこと、さらに、パックごはんが備蓄食だけではなく日常食という消費者ニーズの変化を捉えた販売活動等から、価格改定後も販売数量
(前年同期比8.9%増)、売上高(前年同期比12.8%増)ともに堅調に推移しました。
その結果、包装米飯製品の売上高は139億22百万円となり、前年同期を上回りました。
なお、当社は、約80億円を投じて聖籠ファクトリー(新潟県北蒲原郡聖籠町)の敷地内に新たな工場を建設することを決定いたしました。新工場は2026年12月より稼働を開始する予定であり、稼働開始後は聖籠ファクトリー全体で日産約60万食のパックごはんを生産することが可能となります。この新工場建設により、商品を市場に安定供給できる体制を構築するとともに、販売体制のさらなる強化を目指し、拡大するパックごはん需要に積極的に対応してまいります。
(包装餅製品)
年末に需要が集中する鏡餅を中心に包装餅製品は国内における消費の需要に季節性があり、内食需要の減退により包装餅市場全体は縮小傾向を見せ始める中、当社は引き続き、「ながモチフィルム」に代表される独自の強みを活かした提案販売や様々な餅の食し方提案による通年需要の喚起に積極的に取り組んでまいりました。
切り餅については、「プレミアムライン」、「レギュラーライン」、「トライアルライン」に、普段の生活や行動の範囲内で手を出しやすい、いわゆる“プチ贅沢”需要に対応する「プライムライン」を加え、4つにセグメンテーションされた商品ラインナップを、全国にて展開しております。また、女優の芦田愛菜さんを起用した当社のみが個包装に使用している「ながモチフィルム」の特徴(鮮度保持剤なしでつきたての美味しさを24か月保持)を紹介するテレビCMや同じく芦田愛菜さんを起用した「サトウの切り餅シングルパックミニ」の“ちょうどいい”サイズを紹介するテレビCM(2024年7月放映開始)、「サトウの切り餅いっぽん」のスティック形状を活かした様々な食し方を提案するテレビCMの放映及び人気動画クリエイターとタイアップした動画配信などに積極的に取り組んでまいりました。特に「サトウの切り餅いっぽん」及び「サトウの切り餅シングルパックミニ」を中心としたバラエティ商品の売上が好調に推移したことから、今後さらなる売上拡大に向けて、テレビCMや動画配信、キャラクターコラボ、メーカーコラボ等のプロモーションを効果的かつ積極的に展開してまいります。
鏡餅については、干支マスコットを中心とした商品デザインをリニューアルしました。また、最需要期に向けて、昨年に引き続き新潟出身アイドル「Negicco」を起用したテレビCMを放映し、販売促進を図ってまいります。さらに、フードロスの削減や物流輸送の効率化、環境への配慮等、持続可能な循環型社会の実現に向けて、一部の鏡餅商品のデザインをリニューアルしております。最後に、ダウンサイジング化が進む市場動向を踏まえて、「どこでも簡単に飾れる手頃なサイズの鏡餅」をコンセプトとした化粧箱入りの「サッと鏡餅」及び置き場所を選ばない「小飾り」タイプの品揃えを拡充するとともに、取扱店の拡大に向けて、商品を陳列する際に開封作業を軽減する「簡単!楽ちん段ボール」を採用し、流通各社への提案を進めております。
このような取り組みのほか、この夏の深刻な米不足が影響し、包装餅の需要が高まり好調な売れ行きを見せた結果、包装餅製品の売上高は47億16百万円(前年同期比11.8%増)となり、前年同期を上回りました。
(2) 財政状態
(資産)
当中間連結会計期間末における流動資産は273億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ68億80百万円増加いたしました。
これは主に、商品及び製品が42億30百万円、売掛金が17億69百万円、現金及び預金が7億34百万円増加したことによるものであります。
固定資産は228億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億32百万円減少いたしました。
これは主に、減価償却の進行に伴い有形固定資産が5億42百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は501億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ64億47百万円増加いたしました。
(負債)
当中間連結会計期間末における流動負債は166億73百万円となり、前連結会計年度末に比べ61億42百万円増加いたしました。
これは主に、未払金が10億30百万円減少したものの、運転資金としての短期借入金が39億円、買掛金が26億89百万円増加したことによるものであります。
固定負債は125億61百万円となり、前連結会計年度末に比べ59百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金の減少によるものであります。
この結果、負債合計は292億34百万円となり、前連結会計年度末に比べ60億83百万円増加いたしました。
(純資産)
当中間連結会計期間末における株主資本は200億64百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億28百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する中間純利益7億31百万円及び配当金3億2百万円により利益剰余金が4億29百万円増加したことによるものであります。
その他の包括利益累計額は8億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ64百万円減少いたしました。これは主に、その他有価証券評価差額金が、保有する投資有価証券の時価総額の減少により前連結会計年度末に比べ72百万円減少したことによるものであります。
この結果、純資産合計は209億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億64百万円増加いたしました。
なお、自己資本比率は41.7%(前連結会計年度末は47.1%)となりました。
(3) キャッシュフローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末(26億65百万円)に比べ7億34百万円増加し、34億円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は14億16百万円(前年同期比17億87百万円の支出減少)となりました。
これは主に、税金等調整前中間純利益に、減価償却費等の非資金項目、売上債権等の営業活動に係る資産及び負債の増減、法人税等の支払額を加減算したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は16億50百万円(前年同期比1億77百万円の支出増加)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は38億2百万円(前年同期比22億84百万円の収入減少)となりました。
これは主に、短期借入金の純増減額、長期借入れによる収入、長期借入金の返済による支出、配当金の支払額によるものであります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更及び新たに生じたものはありません。
(5) 研究開発活動
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は74百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 主要な設備
①主要な設備の状況
当中間連結会計期間において、主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等により著しい変動はありません。
②設備の新設、除却等の計画
当中間連結会計期間において、前連結会計年度末に計画中であった新設、休止、大規模改修、除却、売却等に重要な変更はありません。