四半期報告書-第64期第2四半期(2023/08/01-2023/10/31)

【提出】
2023/12/15 11:14
【資料】
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【項目】
33項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日において判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、社会・経済活動の活性化が一層進み、外国人旅行者のインバウンド需要や個人消費に持ち直しの動きがみられました。一方で、不安定な国際情勢による地政学リスクの影響、エネルギー価格の高止まり、人件費や物流費の上昇、金融情勢の変化や原材料価格等の高騰など、先行き不透明な状況が続いております。
食品業界においてもこうした事業環境の影響を受け、商品の値上げの波は収まらず、消費者の節約志向・低価格志向が強まり、依然として厳しい経営環境が続くものと推測されます。
このような状況のもと、当社グループは引き続き、安全・安心に重点をおいた包装米飯及び包装餅製品の安定供給、並びに適正価格での販売に努めることを基本に事業活動を推進してまいりました。具体的には、おいしさの追求はもちろんのこと、消費者の消費動向を捉えながら、拡大する商品需要に対応可能な生産体制の整備を進めるとともに、生活スタイルの変化や消費者ニーズの多様化といった市場変化に対応すべく、「米食回帰・健康維持・多様化をキーワードとした新たな食の創造」を引き続き提案し、全社一体となった営業活動に取り組むことで業績の拡大を図ってまいりました。また、包装米飯及び包装餅の通年需要の喚起を目的とした広告宣伝を継続的に実施することで、喫食機会とブランド認知の拡大に努めており、今後も、「プチ贅沢」、「健康・機能性」、「タイムパフォーマンス(タイパ)志向」などの多様な消費者ニーズに応える商品価値を提案してまいります。
他方、昨今のエネルギー・資材価格の急激な高騰及び物流費・人件費等の上昇を自社の企業努力だけで吸収し続けることは極めて困難であるとの判断により、包装米飯製品は2023年7月1日出荷分より、包装餅製品についても2023年9月1日出荷分より商品価格の改定を行っております。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は、主力製品である包装米飯が堅調に推移し、165億74百万円(前年同期比4.2%増)となりました。
利益面につきましては、各種調達価格等の高騰を要因として製造原価の増加があったものの、生産性の向上とコスト削減による収益性の改善や商品価格の改定を実施し適正利益の確保に努めたことなどから、営業利益は9億86百万円(前年同期比41.3%増)、経常利益は11億66百万円(前年同期比28.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は8億34百万円(前年同期比28.4%増)と、いずれも前年を上回る結果となりました。
製品分類別の販売動向
当社グループは、食品事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しておりますが、製品分類別における販売の動向は以下のとおりであります。
(包装米飯製品)
包装米飯製品は、近年の働き方や暮らし方の価値観の多様化による生活スタイルの変化に伴い、「タイムパフォーマンス志向」のニーズが高まったことで、家庭内での需要が拡大し、ストック及びレンジ調理が可能なパックごはんの販売は堅調に推移しております。また、世界的な穀物の価格高騰を受け、価格が比較的安定しているコメの存在感が高まり、米食に回帰する動きが活発化しております。
これらの消費動向の変化を背景に、まとめ買いニーズへの対応や食物繊維で始めるおいしい新健康生活の提案など様々な販売促進活動により、包装米飯製品の「家庭のご飯に代わる」日常食化に引き続き取り組んでまいりました。
また、さらなる需要喚起を目的に、2023年5月より人気お笑いコンビ「オードリー」を起用し「“ふっくら釜炊き”ごはんのおいしさ」を表現した新テレビCM『「釜炊き圧トゥー的」篇』を全国放映しております。
これらの取り組みとともに、1988年の発売当初より「炊きたてのおいしさ」を目指してきた「サトウのごはん」がより多くの食卓に受け入れられ、パックごはん市場で確固たるブランドを確立したこと、さらに、電子レンジ調理などの簡便、時短調理等、家庭内での調理ニーズが多様化する中で、パックごはんが備蓄食ではなく日常食というポジションに変わってきていることも、売上高が堅調に推移した要因として捉えております。
その結果、包装米飯製品の売上高は123億47百万円(前年同期比6.9%増)となりました。
なお、当社は、約45億円を投じて当社のパックごはん専用工場である聖籠ファクトリー(新潟県北蒲原郡聖籠町)に新たな生産ラインを増設し、2024年の稼働時には年間4億食の生産能力を確保することで、将来的な需要拡大に対応してまいります。
(包装餅製品)
年末に需要が集中する鏡餅を中心に国内における包装餅製品は季節需要であり、また、新型ウイルス禍を背景とした内食需要の減退により包装餅市場全体は縮小傾向を見せ始めておりますが、当社グループは引き続き、「ながモチフィルム」に代表される独自の強みを活かした販売提案や、様々なお餅の召し上がり方のご提案による通年需要の喚起を積極的に行う施策に取り組んでおります。
まず、切り餅につきましては、「プレミアムライン」・「レギュラーライン」・「トライアルライン」に、普段の生活や行動の範囲内で手を出しやすい、いわゆる“プチ贅沢”需要にお応えする「プライムライン」を加え、4つにセグメンテーションされた商品ラインナップを、全国にて展開しております。
マーケティングコミュニケーションにおいては、女優の芦田愛菜さんが、当社グループのみが個包装に使用している「ながモチフィルム」の特徴(鮮度保持剤なしでつきたての美味しさを24か月保持)を紹介するテレビCMや、「サトウの切り餅いっぽん」のスティック形状を活かした様々な召し上がり方を提案するテレビCMの継続的な放映及び、人気動画クリエイターとタイアップした動画配信などに積極的に取り組んでおります。
また、人気アニメ「SPY×FAMILY」とコラボした特別企画商品「サトウの切り餅乳酸菌プラスSPY×FAMILYデザインパッケージ全2種」や、料理のトッピングやお鍋の具材として、食べやすい大きさの「サトウの切り餅シングルパックミニ300g」を市場に投入し、新たな顧客層の獲得に取り組んでまいりました。
次に、鏡餅につきましては、ダウンサイジング化が進む市場動向を踏まえて、「どこでも簡単に飾れる手頃なサイズの鏡餅!」をコンセプトとした、化粧箱入りの「サッと鏡餅」及び、置き場所を選ばない「小飾り」タイプの品揃え拡充を進めるとともに、取扱店の拡大に向けた取り組みの一環として、店舗にて商品を陳列する際に開封作業を軽減する「簡単!楽ちん段ボール」を採用し、流通各社への提案を拡充しております。
また、年末の最需要期に向けて、新潟発のアイドルグループ「Negicco」を起用した新テレビCM『「ハレバレ!もちもち!」篇』を2023年11月より全国へ順次放映しております。
このような取り組みの結果、当社グループ餅商品全体としては新型ウイルス禍以降も同水準の売上高を維持しており、包装餅製品の売上高は42億20百万円(前年同期比3.0%減)となりました。
なお当社グループは、ESGに対する社会的な問題意識の高まりを考慮し、年末に需要が集中する鏡餅については、本年度より受注締日をこれまでより早期に設定することで、過剰生産や製造現場における人材不足の課題を解消しつつ、環境配慮、フードロス・資材廃棄削減という流通業界全体の課題解決に取り組むとともに、鏡餅の伝統文化継承を持続的に展開できるよう努めてまいります。
(2) 財政状態の分析
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における流動資産は280億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ92億89百万円増加いたしました。
これは主に仕掛品が2億85百万円減少したものの、商品及び製品が49億12百万円、売掛金が22億28百万円、現金及び預金が14億10百万円、原材料及び貯蔵品が8億41百万円増加したことによるものであります。
固定資産は207億34百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億36百万円増加いたしました。
これは主に投資有価証券の新規取得及び保有する投資有価証券の時価総額の増加により、投資有価証券が2億77百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は487億97百万円となり、前連結会計年度末に比べ95億25百万円増加いたしました。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における流動負債は183億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ89億79百万円増加いたしました。
これは主に未払金が3億8百万円減少したものの、運転資金としての短期借入金が64億50百万円、買掛金が26億28百万円、未払法人税等が1億84百万円増加したことによるものであります。
固定負債は114億82百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億85百万円減少いたしました。これは主に長期借入金の減少によるものであります。
この結果、負債合計は298億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ87億93百万円増加いたしました。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における株主資本は181億75百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億57百万円増加いたしました。増加要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益8億34百万円であり、減少要因は、剰余金の配当2億77百万円であります。
その他の包括利益累計額は8億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億74百万円増加いたしました。これは主に、その他有価証券評価差額金が、保有する投資有価証券の時価総額の増加により前連結会計年度末に比べ1億67百万円増加したことによるものであります。
この結果、純資産合計は189億92百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億32百万円増加いたしました。
なお、自己資本比率は38.9%(前連結会計年度末は46.5%)となりました。
(3) キャッシュフローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末(34億76百万円)に比べ14億10百万円増加し、48億86百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は32億4百万円(前年同期比5億89百万円の支出増加)となりました。
これは主に、税金等調整前四半期純利益、減価償却費及び仕入債務の増加により資金が増加した一方で、売上債権、棚卸資産の増加及び法人税等の支払により資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は14億72百万円(前年同期比4億14百万円の支出減少)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は60億87百万円(前年同期比19億54百万円の収入増加)となりました。
これは主に、長期借入れの返済及び配当金の支払いにより資金が減少したものの、長期借入れ及び短期借入れによる収入により資金が増加したことによるものであります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更及び新たに生じたものはありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は58百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 主要な設備
①主要な設備の状況
当第2四半期連結累計期間において、主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等により著しい変動はありません。
②設備の新設、除却等の計画
当第2四半期連結累計期間において、前連結会計年度末に計画中であった新設、休止、大規模改修、除却、売却等について重要な変更はありません。