有価証券報告書-第58期(平成29年5月1日-平成30年4月30日)

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2018/07/25 15:44
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策を背景に企業収益の改善や雇用情勢の持ち直しがみられるなど、緩やかな回復基調となりましたが、米国の政策動向、欧州の政治情勢、新興国経済の先行きや地政学的リスクの高まりなど不安定要素の世界経済への影響が懸念され、依然として先行き不透明な状況で推移いたしました。
このような中、当社グループは、安全・安心かつおいしさの追求に重点をおいた包装米飯及び包装餅の適正価格での販売と製品の安定供給に努めることを基本に、お客様の消費動向を捉えながら多様化する消費者ニーズに対応した販売活動を行ってまいりました。
当社グループは、食品事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しておりますが、製品分類別における販売の動向は以下のとおりであります。
包装米飯製品では、当社が業界初の無菌化包装技術により開発・製品化した「サトウのごはん」が発売30周年となったことを記念し「サトウのごはん誕生 30周年キャンペーン」を実施するとともに、他社との製法の違いをアピールする新CM『サトウのごはん「ず~っと釜炊き」篇』を全国放映いたしました。さらに、新潟県からの開発要望を受け、「JA全農にいがた」と連携し、同県が開発した新品種のお米「新之助」を使用した「サトウのごはん 新潟県産新之助」を10月より全国発売し配荷拡大につとめました。また、原料となる「国内産うるち米」の市場価格の上昇に加えて、人手不足による人件費や物流コストの上昇が重なり、自社の努力のみではコストを吸収することが困難となったことから、主力の新潟県産コシヒカリを除く商品について昭和63年の発売以来初めてとなる販売価格の値上げを11月21日出荷分より実施いたしました。しかし、当社では日本古来の炊飯方法を忠実に再現した独自の製造技術(厚釜ガス直火炊き)により、電子レンジ2分で家庭と同様の炊き立てごはんを再現できることや、製品名に原料米の産地銘柄を明確に表示していることが、お客様の利便性及び安全・安心意識にそれぞれマッチし、売上は堅調に推移いたしました。その結果、包装米飯製品の売上高は194億99百万円(前年同期比9.3%増)となりました。
包装餅製品では、昨年に引き続いて、当社と大手資材メーカーが共同開発し平成28年秋より当社の全製品に展開してまいりました「ながモチフィルム」(酸素吸収機能をもつ透明な個包装フィルム)の特徴をCM等を通じて告知をおこない、当社子会社である株式会社うさぎもちとのシナジー効果を高めるべく取り組みました。さらに、「サトウの鏡餅」シリーズのリニューアルとして「らくポイ鏡餅」、「賀正いっぽん洋風デコ」のデザインの刷新や、マスコット商品へのコリラックマの追加等ラインナップを充実させ、年末の最需要期への配荷拡大につとめました。また、新商品として外食産業におけるメニュー用途提案商品として「サトウの切り餅 業務用うす切り餅」を発売し、さらなる需要拡大に向けた取り組みを実施いたしました。しかしながら、子会社の決算期変更の影響もあり、包装餅製品の売上高は191億48百万円(同0.2%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高はその他38百万円(同19.2%減)を加えた386億86百万円(同4.3%増)となりました。
利益面につきましては、売上高の増加にともない売上総利益が増加したものの、人件費、物流費および拡販施策の実施や販売量増加にともなう販売促進にかかる費用等の増加によって、営業利益は8億49百万円(同31.9%減)、経常利益は9億65百万円(同27.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6億50百万円(同22.5%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して4億14百万円増加し、5億5百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
営業活動の結果得られた資金は27億49百万円となり、前連結会計年度末に比較し6億26百万円減少いたしました。
これは、主に未収消費税等の減少額が3億33百万円増加、未払消費税等の増加額が2億80百万円増加、仕入債務の増加額が1億94百万円増加、法人税等の支払額が2億64百万円減少したことにより得られた資金が増加いたしましたが、税金等調整前当期純利益の2億80百万円減少およびたな卸資産の増加額が15億49百万円増加したことによるものであります。
投資活動の結果支出した資金は21億21百万円となり、前連結会計年度末に比較し10億52百万円減少いたしました。
これは、主に有形固定資産の取得による支出が10億72百万円減少したことによるものであります。なお、前年同期における有形固定資産の取得による支出は、東港工場包装米飯製造ライン新設等にともなうものであります。
財務活動の結果支出した資金は2億45百万円となり、前連結会計年度末に比較し1億88百万円減少となりました。
これは、主に長期借入れによる収入が8億円減少しましたが、長期借入金の返済並びに社債の償還による支出が2億55百万円減少したことに加え、運転資金としての短期借入金の純増額が6億80百万円増加したことによるものであります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりであります。
平成26年4月期平成27年4月期平成28年4月期平成29年4月期平成30年4月期
自己資本比率(%)35.237.940.041.0
時価ベースの
自己資本比率(%)
48.356.955.661.2
キャッシュ・フロー対
有利子負債比率(年)
2.71.93.03.7
インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)
25.443.431.828.6

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
4 平成27年4月期より連結財務諸表を作成しておりますので、各指標の平成26年4月期以前については記載しておりません。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を製品分類ごとに示すと、次のとおりであります。
製品分類当連結会計年度
(自 平成29年5月1日
至 平成30年4月30日)
金額(千円)前年同期比(%)
包装米飯製品20,110,683113.2
包装餅製品18,239,18194.9
その他製品4,45898.6
合計38,354,322103.7

(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 金額には、消費税等は含まれておりません。
b.製品仕入実績
当連結会計年度の製品仕入実績を製品分類ごとに示すと、次のとおりであります。
製品分類当連結会計年度
(自 平成29年5月1日
至 平成30年4月30日)
金額(千円)前年同期比(%)
包装餅製品407,110100.1
その他製品19,49978.1
合計426,61098.8

(注) 1 金額は、実際仕入金額によっております。
2 金額には、消費税等は含まれておりません。
c.商品仕入実績
該当事項はありません。
d.受注実績
当社グループは、受注見込による生産方式をとっておりますので、該当事項はありません。
e.販売実績
当連結会計年度の販売実績を製品分類ごとに示すと、次のとおりであります。
製品分類当連結会計年度
(自 平成29年5月1日
至 平成30年4月30日)
金額(千円)前年同期比(%)
包装米飯製品19,499,688109.3
包装餅製品19,148,32799.8
その他製品38,00481.8
合計38,686,020104.3

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 平成28年5月1日
至 平成29年4月30日)
当連結会計年度
(自 平成29年5月1日
至 平成30年4月30日)
販売実績(千円)割合(%)販売実績(千円)割合(%)
加藤産業㈱9,484,55525.610,497,11727.1
三菱食品㈱9,150,42924.79,826,64925.4
三井物産㈱7,020,52718.97,519,58619.4
伊藤忠商事㈱4,960,05913.45,293,34213.7

2 金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社が判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、詳細につきましては、「 第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 」に記載しております。
②財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、295億38百万円となり、前連結会計年度末に比較し8億72百万円増加いたしました。
流動資産は、142億10百万円となり、前連結会計年度末に比較し13億46百万円増加いたしました。
これは、仕掛品は減少(同1億61百万円減)いたしましたが、現金及び預金の増加(前年同期比4億15百万円増)、商品及び製品の増加(同4億20百万円増)、原材料及び貯蔵品の増加(同7億35百万円増)が主な要因となっております。
固定資産は、153億24百万円となり、前連結会計年度末に比較し4億71百万円減少いたしました。
これは、投資有価証券が増加(前年同期比77百万円増)したものの、建物及び構築物の減少(同1億6百万円減)、機械装置及び運搬具の減少(同2億80百万円減)、投資不動産の減少(同83百万円減)が主なものとなっております。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、174億31百万円となり、前連結会計年度末に比較し2億41百万円増加いたしました。
流動負債は、99億1百万円となり、前連結会計年度末に比較し12億32百万円増加いたしました。
これは、一年内返済予定の長期借入金の減少(前年同期比2億35百万円減)および未払金が減少(前年同期比2億80百万円減)したものの、支払手形及び買掛金の増加(前年同期比4億19百万円増)、短期借入金の増加(前年同期比13億50百万円増)が主な要因となっております。
固定負債は、75億30百万円となり、前連結会計年度末に比較し9億90百万円減少いたしました。
これは、長期借入金の減少(前年同期比10億07百万円減)が主な要因となっております。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、121億6百万円となり、前連結会計年度末に比較し、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益により6億31百万円増加いたしました。
なお、平成29年5月1日付けで自己株式の無償割当てを実施した結果、利益剰余金及び自己株式がそれぞれ2億71百万円減少しております。
③資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの主な資金需要は、原材料費、労務費、販売費及び一般管理費等に係る運転資金と、製造設備の更新・改修等に係る設備投資資金となっており、資金調達については主に銀行等金融機関からの借入により行っております。
短期運転資金については、主に銀行からの短期借入金を基本とし、設備投資や長期運転資金については銀行からの長期借入を基本としております。
なお、キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]② キャッシュ・フローの状況 」に記載のとおりであります。
(3) 経営成績の分析
(売上高及び営業利益)
当連結会計年度の売上高は、386億86百万円(前年同期比4.3%増)となりました。主な内訳は、包装米飯製品が194億99百万円(同9.3%増)、包装餅製品が191億48百万円(同0.2%減)であります。
なお、売上高の概況につきましては、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
売上総利益率は38.8%となり、売上総利益は150億13百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、当初より計画しておりました「サトウのごはん」の発売30周年を記念した『サトウのごはん誕生 30周年キャンペーン』の実施とCM等の放映により広告宣伝費が増加いたしました。加えて、売上の増加にともなう販売促進費の増加と、人件費および物流コストの増加により、前連結会計年度に比較し9億79百万円増加し141億63百万円となりました。
このため、営業利益は前連結会計年度に比較し3億97百万円減少し8億49百万円となり、営業利益率は2.2%となりました。
(営業外損益及び経常利益)
営業外収益は、前連結会計年度に比較し受取手数料が減少したことから3億80百万円となりました。営業外費用は、前連結会計年度に比較し賃貸費用および支払利息が減少したことから2億64百万円となりました。
以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比較し3億70百万円減少し、9億65百万円となりました。
(特別損益及び税金等調整前当期純利益)
特別利益は、本社新社屋建築にかかる「新潟市本社機能施設立地促進事業補助金」の計上により53百万円となりました。特別損失は、前連結会計年度に比較し固定資産除却損が減少したことと、当連結会計年度は減損損失の発生がないため、前連結会計年度に比較し37百万円減少し23百万円となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比較し2億80百万円減少し9億95百万円となりました。
(法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等合計は、前連結会計年度に比較し91百万円減少し3億44百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比較し1億89百万円減少し6億50百万円となり、1株当たり当期純利益は129円5銭となりました。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「 2[事業等のリスク] 」に記載しております。
(5) 経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、「 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等] 」に記載しております。