有価証券報告書-第59期(平成30年5月1日-平成31年4月30日)

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2019/07/23 10:14
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や所得環境に一定の改善が見られるなど、緩やかな回復基調を継続しておりますが、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響懸念もあり、依然として先行き不透明な状況で推移いたしました。
このような中、当社グループは、安全・安心かつおいしさの追求に重点をおいた包装餅及び包装米飯の適正価格での安定供給に努めることを基本に、お客様の消費動向を捉えながら多様化するニーズに対応した販売活動を行ってまいりました。
当社グループは、食品事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しておりますが、製品分類別における販売の動向は以下のとおりであります。
包装米飯製品では、本年度も労働人口の減少等による人件費・物流費等の大幅な上昇が続き、自社の努力のみではコストを吸収することが困難となったことから、前年度の価格改定時に価格を据え置いておりました「新潟県産コシヒカリ」など主力製品である新潟県産米商品を対象に、11月21日出荷分より販売価格を改定させていただきました。
しかしながら、当社製品が独自の製造技術(厚釜ガス直火炊き)により電子レンジ2分で家庭と同様の炊き立てごはんを再現できる利便性に加え、製品名に原料米の産地銘柄を明確に表示していることがお客様の安全・安心意識にマッチしているなどの要因から、販売動向は引き続き堅調に推移いたしました。
その結果、包装米飯製品の売上高は210億19百万円(前年同期比7.8%増)となり、1988年の包装米飯事業開始以来、同製品で初めてとなる売上高200億円超えを達成いたしました。
また、2017年に発売から30周年を迎えた「サトウのごはん新潟県産コシヒカリ」が、長年に渡りお客様からご愛顧を頂いてきた結果、「パックごはん」というカテゴリーを創出した商品として評価をいただき「2018年グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞いたしました。
包装餅製品では、当社グループのみが使用している「ながモチフィルム(酸素吸収機能をもつ透明な個包装フィルム)」の効果をより一層お客様に認知していただけるよう、新しいCMキャラクターに「りんか&あんな」(SNSで50万人を超えるフォロワーを誇る双子の小学校1年生)を起用した新CM「おいしさのしるし篇」を全国放映するなど、販売活動に取り組みました。
新商品としては最高級まる餅の提案として「サトウのまる餅 至高の餅 新潟県魚沼産こがねもち300g」、「サトウのまる餅 至高の餅 滋賀県産羽二重糯300g」を、また、鍋料理に最適な商品として「サトウの切り餅 鍋もち」を発売するなど、さらなる需要拡大に向けた取り組みを実施いたしました。
「サトウの鏡餅」では、外装パッケージを従来の赤色を基調としたものから一新して、華やかなゴールド色やプラチナ色を採用し、より豪華さを演出するとともに、店頭売り場での存在感を示す大幅なリニューアルを実施しました。
また、当社グループの㈱うさぎもちでは、昨年発売しお客様から好評を頂いた「あんこ餅」入り鏡餅の商品拡充を行うなど、年末の最需要期に向けた取り組みを行いました。
その結果、包装餅市場が縮小傾向にある中、当社グループは「ながモチフィルム」がもたらす効果の浸透もあり、販売が堅調に推移し、包装餅製品の売上高は198億50百万円(同3.7%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高はその他30百万円(同19.5%減)を加えた409億円(同5.7%増)となりました。
利益面につきましては、物流費の増加および販売量増加にともなう販売促進にかかる費用等が増加しましたが、売上高の増加にともない売上総利益が増加した結果、営業利益は11億79百万円(同38.7%増)、経常利益は13億47百万円(同39.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益については8億92百万円(同37.0%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して1億55百万円減少し、3億49百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
営業活動の結果得られた資金は25億33百万円となり、前連結会計年度末に比較し2億16百万円減少いたしました。
これは、主に税金等調整前当期純利益が3億61百万円、たな卸資産の増減額が14億96百万円増加したものの、売上債権の増減額が5億30百万円、仕入債務の増減額が5億50百万円、役員退職慰労引当金の増減額が3億64百万円、未収消費税等の増減額が1億77百万円、未払消費税等の増減額が1億59百万円、その他が1億41百万円減少したことによるものです。
投資活動の結果支出した資金は25億28百万円となり、前連結会計年度末に比較し4億7百万円減少いたしました。
これは、定期預金の払戻しにより資金が17億64百万円増加したものの、有形固定資産の取得による支出が25億94百万円増加したことによるものであります。
財務活動の結果支出した資金は1億61百万円となり、前連結会計年度末に比較し84百万円減少となりました。
これは、短期借入金の純増減額が28億円減少したものの、長期借入れによる収入が24億80百万円増加したことに加え、長期借入金の返済による支出が3億94百万円減少したことによるものであります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりであります。
2015年4月期2016年4月期2017年4月期2018年4月期2019年4月期
自己資本比率(%)35.237.940.041.041.5
時価ベースの
自己資本比率(%)
48.356.955.661.259.1
キャッシュ・フロー対
有利子負債比率(年)
2.71.93.03.73.9
インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)
25.443.431.828.643.7

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を製品分類ごとに示すと、次のとおりであります。
製品分類当連結会計年度
(自 2018年5月1日
至 2019年4月30日)
金額(千円)前年同期比(%)
包装米飯製品20,996,315104.4
包装餅製品19,301,434105.8
その他製品4,39998.7
合計40,302,149105.1

(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 金額には、消費税等は含まれておりません。
b.製品仕入実績
当連結会計年度の製品仕入実績を製品分類ごとに示すと、次のとおりであります。
製品分類当連結会計年度
(自 2018年5月1日
至 2019年4月30日)
金額(千円)前年同期比(%)
包装餅製品452,235111.1
その他製品13,44068.9
合計465,676109.2

(注) 1 金額は、実際仕入金額によっております。
2 金額には、消費税等は含まれておりません。
c.商品仕入実績
該当事項はありません。
d.受注実績
当社グループは、受注見込による生産方式をとっておりますので、該当事項はありません。
e.販売実績
当連結会計年度の販売実績を製品分類ごとに示すと、次のとおりであります。
製品分類当連結会計年度
(自 2018年5月1日
至 2019年4月30日)
金額(千円)前年同期比(%)
包装米飯製品21,019,060107.8
包装餅製品19,850,821103.7
その他製品30,58480.5
合計40,900,466105.7

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2017年5月1日
至 2018年4月30日)
当連結会計年度
(自 2018年5月1日
至 2019年4月30日)
販売実績(千円)割合(%)販売実績(千円)割合(%)
加藤産業㈱10,497,11727.111,056,27727.0
三菱食品㈱9,826,64925.410,632,25526.0
三井物産㈱7,519,58619.47,876,49419.3
伊藤忠商事㈱5,293,34213.75,739,82914.0

2 金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社が判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、詳細につきましては、「 第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 」に記載しております。
②財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、308億32百万円となり、前連結会計年度末に比較し13億23百万円増加いたしました。
流動資産は、119億27百万円となり、前連結会計年度末に比較し21億10百万円減少いたしました。
これは、受取手形及び売掛金が増加(前年同期比5億13百万円増)したものの、現金及び預金の減少(同19億19百万円減)、原材料及び貯蔵品の減少(同4億53百万円減)、仕掛品の減少(同2億86百万円減)が主な要因となっております。
固定資産は、189億3百万円となり、前連結会計年度末に比較し34億37百万円増加いたしました。
これは、聖籠工場の建設にともなう建設仮勘定の増加(前年同期比38億95百万円増)が主な要因となっております。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、180億39百万円となり、前連結会計年度末に比較し6億37百万円増加いたしました。
流動負債は、100億8百万円となり、前連結会計年度末に比較し1億6百万円増加いたしました。
これは、短期借入金の減少(前年同期比15億50百万円減)、支払手形及び買掛金が減少(同3億17百万円減)したものの、未払金の増加(同12億18百万円増)、流動負債のその他の増加(同4億95百万円増)が主な要因となっております。流動負債のその他の主なものは1年内償還予定社債であります。
固定負債は、80億30百万円となり、前連結会計年度末に比較し5億31百万円増加いたしました。
これは、社債の減少(前年同期比5億64百万円減)、役員退職慰労引当金が減少(同1億91百万減)したものの、長期借入金の増加(同13億73百万増)が主な要因となっております。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、127億92百万円となり、前連結会計年度末に比較し、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益により6億86百万円増加いたしました。
③資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの主な資金需要は、原材料費、労務費、販売費及び一般管理費等に係る運転資金と、製造設備の更新・改修等に係る設備投資資金となっており、資金調達については主に銀行等金融機関からの借入により行っております。
短期運転資金については、主に銀行からの短期借入金を基本とし、設備投資や長期運転資金については銀行等金融機関からの長期借入金を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は98億96百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3億49百万円となっております。
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(3) 経営成績の分析
(売上高及び営業利益)
当連結会計年度の売上高は、409億円(前年同期比5.7%増)となりました。主な内訳は、包装米飯製品が210億19百万円(同7.8%増)、包装餅製品が198億50百万円(同3.7%増)であります。
なお、売上高の概況につきましては、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
売上総利益率は38.9%となり、売上総利益は159億14百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、当社グループのみが使用している「ながモチフィルム(酸素吸収機能をもつ透明な個包装フィルム)」の効果をより一層お客様に認知していただけるよう、新しいCMを制作し、全国放映したことなどにより、広告宣伝費が増加いたしました。加えて、売上の増加にともなう販売促進費並びに物流コストの増加により、前連結会計年度に比較し5億71百万円増加し147億35百万円となりました。
物流費の増加および販売量増加にともなう販売促進にかかる費用等が増加しましたが、売上高の増加にともない売上総利益が増加した結果、営業利益は前連結会計年度に比較し3億29百万円増加し11億79百万円となり、営業利益率は2.8%となりました。
(営業外損益及び経常利益)
営業外収益は、前連結会計年度に比較し副産物収入および営業外収益のその他が増加したことから4億22百万円となりました。営業外収益のその他の主なものは雑収入であります。営業外費用は、前連結会計年度に比較し支払利息が減少したことから2億54百万円となりました。
以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比較し3億81百万円増加し、13億47百万円となりました。
(特別損益及び税金等調整前当期純利益)
特別利益は、投資有価証券売却益および固定資産売却益の計上により11百万円となりました。特別損失は、前連結会計年度に比較し固定資産売却損が増加したものの、当連結会計年度は固定資産除却損の発生がないため、前連結会計年度に比較し20百万円減少し2百万円となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比較し3億61百万円増加し13億56百万円となりました。
(法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等合計は、前連結会計年度に比較し1億20百万円増加し4億64百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比較し2億41百万円増加し8億92百万円となり、1株当たり当期純利益は176円84銭となりました。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2[事業等のリスク]」に記載しております。
(5) 経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、「1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]」に記載しております。