有価証券報告書-第56期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/30 9:19
【資料】
PDFをみる
【項目】
152項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
(a) 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて51億94百万円増加し、821億90百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて202億81百万円増加し、511億89百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて150億87百万円減少し、310億1百万円となりました。
(b) 経営成績
経営成績の概要は、次のとおりであります。
当連結会計年度の経営成績は、前年同期比で連結売上高は減収となったものの、連結営業利益、連結経常利益は増益となりました。一方で、事業構造改革引当金繰入額等の特別損失の計上等により、親会社株主に帰属する当期純損失の計上となりました。その結果、連結売上高は350億88百万円(前年同期比3.1%減)、連結営業利益は23億28百万円(同3.4%増)、連結経常利益は22億10百万円(同35.0%増)、親会社株主に帰属する当期純損失は26億71百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失3億24百万円)となりました。なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響につきましては、当連結会計年度の経営成績へ与える影響は軽微であります。
(売上高)
印刷事業は、商業印刷部門は堅調に推移したものの、出版印刷部門で苦戦し、また不採算事業の撤退により減収分もあり、減収となりました。ビジネスイノベーション事業は堅調に推移いたしました。人材事業は人事派遣事業が堅調に推移いたしましたが、その他で苦戦したことで減収となりました。葬祭セグメントで火葬取り扱い件数の増加したものの、葬儀の簡素化傾向が続いたことで微減となりました。その結果、連結売上高は350億88百万円(前年同期比3.1%減)となりました。
(営業利益)
印刷業界における競争激化に伴う受注価格の下落等による減収の影響を受けましたが、不採算事業の撤退及びコスト削減等の効果により好転となりました。その結果、連結営業利益は23億28百万円(同3.4%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
前期は葬祭事業における減損損失等の計上により、また、当期は、豊中工場の閉鎖を意思決定したことによる減損損失等の計上により、大幅な減益となりました、その結果、親会社株主に帰属する当期純損失は26億71百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失3億24百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
当連結会計年度より、セグメント区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(イ) 情報セグメント
情報セグメントは、主に印刷関連事業、ビジネスイノベーション事業及び出版事業で構成されております。
印刷関連事業は、出版・商業印刷を始めとして新聞印刷、デジタル印刷、水性フレキソ印刷及びパッケージ印刷などの各種印刷事業のほか、デジタルアーカイブ等を手掛ける知財情報事業で構成されております。また、ビジネスイノベーション事業は、主にITサービスやBPOサービスを手掛けるソリューション事業で構成されております。出版事業は、一般書籍の企画・出版と教科書・参考書等の教育図書の企画・出版を行っております。
情報セグメントにおきましては、セグメント全体で売上高が対前年同期で減収となりましたが、利益面では赤字解消となりセグメント利益の計上となりました。当セグメントを構成する各事業の状況は以下のとおりです。
印刷関連事業では、出版市場の縮小や紙媒体の需要低下等の事業環境悪化が継続する中、商業印刷部門は堅調に推移したものの、出版印刷部門で苦戦し、また不採算事業の撤退による減収分等もあり、減収となりました。利益面では不採算事業の撤退及びコスト削減等により損失額は前年同期より縮小しております。
ビジネスイノベーション事業では、官公庁向けの複合型サービスの受注やパッケージ型システムモデルへの転換及びその販促強化が効果を上げたこと等により堅調に推移し、事業全体では売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
出版事業では、教育図書部門は教科書事業での教科書の採択率が低迷し、また学校教材の受注が伸び悩みました。その結果、売上高は前年同期を下回りましたが、低利益商品の見直しや内製化率の向上等により営業損失額は前年同期比で改善しております。なお、一般図書部門の子会社を第2四半期で売却し、損益は第2四半期までを含めております。
以上の結果、売上高は195億44百万円(前年同期比2.3%減)、セグメント利益は5百万円(前年同期セグメント損失2億56百万円)となりました。
(売上高)
印刷事業及び出版事業は依然厳しい事業環境にあり、また、不採算部門の撤退等の影響により、前年同期比2.3%減の195億44百万円となりました。
(セグメント利益)
不採算事業の撤退及びコスト削減等により黒字転換し、前年連結会計年度に比べ2億62百万円増加により5百万円となりました。
(セグメント資産)
豊中工場の閉鎖を意思決定したことにより減損損失等を計上したため、前年連結会計年度に比べ39億24百万円減少の240億68百万円となりました。
(ロ) 人材セグメント
人材セグメントは、人材事業及びエコビジネス事業で構成されております。
人材事業は、求人広告等の求人媒体事業を始めとして、主に人材紹介・人材派遣、人材育成・研修、ベトナムでの日本語学校等の事業を手掛けており、人材の発掘から採用、教育・研修までトータルな人材ソリューションを提供しております。また、エコビジネス事業は、LEDエスコシステム等のエコビジネス等のサービスを提供しております。
人材セグメントにおきましては、人材派遣事業は堅調に推移しました。一方、求人媒体事業では、紙の求人媒体の受注落込みに加え、ウェブ求人媒体市場における単価下落及び競争激化により大幅な減収となり、その結果利益面では損失計上となりました。
また、エコビジネス事業では、冷ケースLED拡販が好調に推移し、またLEDの買取案件が増加しましたが、一方で新規LEDエスコ案件が伸び悩み減収となりました。利益面では、利益率の向上に努めた結果、増益となりました。
その結果、売上高は67億91百万円(前年同期比8.7%減)、セグメント利益は2億7百万円(前年同期比39.2%減)となりました。
(売上高)
人材派遣事業は堅調に推移しました。一方、求人媒体事業では、紙の求人媒体の受注落込みに加え、ウェブ求人媒体市場における単価下落及び競争激化により、前年同期比8.7%減の67億91百万円となりました。
(セグメント利益)
受注落込み、単価下落の影響により、前年同期比39.2%減の2億7百万円となりました。
(セグメント資産)
前年連結会計年度に比べ76百万円減少の54億45百万円万円となりました。
(ハ) 葬祭セグメント
葬祭セグメントは、葬祭事業で構成されております。
葬祭事業は、当社子会社の東京博善株式会社により、火葬炉併設の総合斎場を都内6カ所で運営しております。
葬祭セグメントにおきましては、火葬取扱い件数は増加したものの、葬儀の簡素化傾向が続いたことで売上高は微減となり、加えて利益面では販管費の増加により減益となりました。その結果、売上高は87億35百万円(前年同期比0.1%減)、セグメント利益につきましては25億64百万円(同4.3%減)となりました。
(売上高)
火葬取扱い件数は増加したものの、葬儀の簡素化傾向が続いたことで、前年同期比0.1%減の87億35百万円となりました。
(セグメント利益)
販管費の増加により、前年同期比4.3%減の25億64百万円となりました。
(セグメント資産)
前年連結会計年度に比べ2億11百万円増加の519億92百万円となりました。
(ニ) その他セグメント
その他セグメントは、ゴルフ場等の資産管理等を行っております。
その他セグメントにおきましては、売上高は17百万円(前年同期比40.3%増)、セグメント損失8百万円(前年同期セグメント利益2百万円)となりました。
(売上高)
前年同期比40.3%増の17百万円となりました。
(セグメント損失)
8百万円(前年同期セグメント利益2百万円)となりました
(セグメント資産)
前年連結会計年度に比べ59百万円増加の8億89百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ100億94百万円(64.6%)増加し、当連結会計年度末には257億27百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に比べ4億56百万円(前年同期比10.3%減)減少し39億76百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に比べ1億76百万円減少し13億54百万円(前年同期は15億30百万円の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に比べ90億26百万円増加し74億77百万円(前年同期は15億49百万円の減少)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
情報17,983△2.8
人材2,477△1.6
合計20,460△2.6

(注) 1.上記金額には消費税等は含まれておりません。
2.葬祭、その他は、生産実績の記載が困難であるため、省略しております。
3.セグメント間取引は消去しております。
4.当連結会計年度より、セグメント区分を変更しております。
(b) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)
情報18,3441.63,151△6.0
人材7,8851.2--
合計26,2301.43,151△6.0

(注) 1.上記金額には消費税等は含まれておりません。
2.葬祭、その他は、受注の記載が困難であるため記載を省略しております。
3.セグメント間取引は消去しております。
4.当連結会計年度より、セグメント区分を変更しております。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
情報19,544△2.3
人材6,791△8.7
葬祭8,735△0.1
その他1740.3
合計35,088△3.1

(注) 1.上記金額には消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間取引は消去しております。
3.相手先別販売実績については、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はないため、記載を省略しております。
4.当連結会計年度より、セグメント区分を変更しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 経営成績等
(イ) 財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて51億94百万円増加しております。主な要因は、「流動資産」が104億89百万円増加したものの「固定資産」が52億76百万円減少したこと等によるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて202億81百万円増加しております。主な要因は、「流動負債」が127億31百万円増加及び「固定負債」が75億51百万円増加したこと等よるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて150億87百万円減少しております。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失26億71百万円を計上、連結子会社である東京博善㈱の持分変動により資本剰余金65億47百万円増加及び非支配株主持分188億13百万円が減少したこと等によるものであります。
(ロ) 経営成績
当連結会計年度の経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 (b)経営成績」に記載のとおりであります。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況」の「2.事業等のリスク」をご参照ください。
(ハ) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、減少要因である税金等調整前当期純損失があったものの、増加要因である減価償却費、減損損失及び長期借入金の収入により前連結会計年度に比べ100億94百万円(64.6%)増加し、当連結会計年度末には257億27百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ4億56百万円(前年同期比10.3%減)減少し39億76百万円となりました。これは主に、増加要因である減損損失の計上が増加したものの、減少要因である税金等調整前当期純損失を計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、前連結会計年度に比べ1億76百万円減少し13億54百万円(前年同期は15億30百万円の減少)となりました。これは主に、減少要因である有価証券の取得による支出があったものの、増加要因である有形及び無形固定資産の売却による収入が増加したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、前連結会計年度に比べ90億26百万円増加し74億77百万円(前年同期は15億49百万円の減少)となりました。これは主に、長期借入れによる収入が増加したこと等によるものであります。
(b) 資本の財源及び資金の流動性
(イ) 資金需要
当社グループの資金需要のうち主なものは、事業活動における印刷事業、出版事業、人材事業、エコビジネス事業、葬祭事業に関わる経費、各事業についての一般管理費等の運転資金需要、印刷事業と葬祭事業における設備投資等の設備資金需要、事業成長のためのM&Aやアライアンス等の事業投資を目的とした資金需要であります。
(ロ) 財政政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入と社債の発行により資金調達を行っており、資金調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクに晒されないよう、金利スワップなどの手段を活用しております。また、国内金融機関において総額40億円のコミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっており、グループ全体の借入金等の削減も図っております。
② 中期経営計画(2017~2019年度)の総括
当社グループは第3次中期経営計画(2017~2019年度)「KOSAIDO Re-Innovation」に基づき、重要な経営課題である「コア事業の競争力強化及び再構築、事業ポートフォリオ改編」、「組織再編、制度意識改革」、「経営管理体制の強化」、「財務体質改善、経営指標改善」及び「子会社のガバナンス強化」に取り組んでまいりました。当計画において、営業利益34億円、ROE5%、株主資本比率35%を達成目標としておりました。
第3次中期経営計画の総括は以下のとおりです。
・東京博善の完全子会社化や不採算事業/ノンコア事業の縮小/撤退を行い、グループ企業価値向上を目指したものの、抜本的な収益性改善にまで至りませんでした。
・事業面では印刷事業、求人媒体事業において、市場の急激な変化に対応できず、コア事業の再構築が停滞。収益を悪化させました。
・事業ポートフォリオの見直しを進め、人材事業におけるM&Aでは一定の成果があったものの、成長分野への投資は大きな成果が生まれませんでした。
以上の結果、最終年度において、営業利益23億円、ROE△9.2%と未達となったものの、株主資本比率は37%と目標達成となりました。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りを用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表作成にあたり、見積りが必要になる事項につきましては、合理的な基準に基づき見積りを行っております、当該見積り及び予測については不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積り及び予測と異なる場合があります。
当社は、特に以下の会計上の見積りが当社の財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。
(a) 繰延税金資産
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を慎重に計上しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(b) 固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。