有価証券報告書-第57期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/30 9:14
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144項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
(a) 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて175億97百万円減少し、645億92百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて182億18百万円減少し、329億70百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて6億21百万円増加し、316億22百万円となりました。
(b) 経営成績
経営成績の概要は、次のとおりであります。
当連結会計年度の経営成績は、新型コロナウイルスの感染拡大が継続したことにより、前年同期比で連結売上高、連結営業利益及び連結経常利益は減収減益となったものの、連結納税制度導入による繰延税金資産増加に伴う法人税等調整額等の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益の計上となりました。その結果、連結売上高は314億97百万円(前年同期比10.2%減)、連結営業利益は20億17百万円(同13.3%減)、連結経常利益は18億23百万円(同17.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は8億54百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失26億71百万円)となりました。
(売上高)
各事業領域で新型コロナウイルスの感染拡大の影響が継続し、売上高が対前年同期で減収となりました。その結果、連結売上高は314億97百万円(前年同期比10.2%減)となりました。
(営業利益)
情報セグメントでは、印刷業界における競争激化に伴う受注価格の下落等による減収の影響を受けましたが、固定費等のコスト削減や前期の不採算子会社の譲渡等により、セグメント利益は増益となった一方、人材セグメントは減収の影響を大きく受けました。その結果、連結営業利益は20億17百万円(同13.3%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
前連結会計年度は、豊中工場の閉鎖を意思決定したことによる減損損失等の計上により、大幅な減益となりました。また、当連結会計年度は、連結納税制度導入による繰延税金資産増加に伴う法人税等調整額等の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は8億54百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失26億71百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
前連結会計年度より、セグメント区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。なお、ゴルフ場の資産所有及び管理事業等で構成されておりました「その他」セグメントは、唯一のゴルフ場所有会社「株式会社トムソンナショナルカントリー倶楽部」の株式を2020年6月8日付で譲渡し、当セグメントを構成する事業が無くなりましたので、第2四半期より記載しておりません。
(イ) 情報セグメント
情報セグメントは、主に情報ソリューション事業及び出版事業で構成されております。
情報ソリューション事業は、出版印刷・商業印刷を始めとする印刷関連ソリューションと、IT関連の受託開発やオリジナルのITサービスの提供、データ入力や処理などのデジタルソリューション、事務局代行やコールセンター業務などお客様の事業をサポートするBPOサービス、そして環境配慮型の商品・サービスの提案を行うプロダクト営業で構成されております。出版事業は、教科書・補助教材等の教育図書の企画と出版で構成されております。
情報セグメントにおきましては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が継続し、セグメント全体で売上高が対前年同期で大幅な減収となりましたが、固定費等のコスト削減や前期の不採算子会社の譲渡等により、セグメント利益は増益となりました。当セグメントを構成する各事業の状況は以下のとおりです。
情報ソリューション事業では、出版印刷分野で外出自粛による一部書籍における需要の堅調な推移や、大型のBPO案件の受注増加等がありましたが、一方で新型コロナウイルス感染拡大による市況悪化の影響を大きく受けた商業印刷分野では、プロモーションやイベントの中止、旅行パンフレットやカタログ等の販促物の需要減少等が継続しており、その結果、情報ソリューション事業は大幅な減収となりましたが、工場再編や希望退職の募集等によるコスト削減の効果により、対前年同期で増益となりました。
出版事業では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が継続し、学校教材の受注が低調に推移したこと等により、売上高は減収、営業損失の計上となり損失額は前年同期より拡大しました。なお、2021年5月14日公表の「連結子会社の異動(株式の譲渡)及び債権放棄、並びに特別損失の計上に関するお知らせ」でお知らせしたとおり、教育図書出版子会社の廣済堂あかつき株式会社を同日付で譲渡しております。
以上の結果、売上高は184億96百万円(前年同期比11.0%減)、セグメント利益は1億63百万円(前年同期比195.2%増)となりました。
(売上高)
印刷事業及び出版事業は依然厳しい事業環境にあり、また、コロナウイルス感染拡大による市況悪化の影響を大きく受けた結果、前年同期比11.0%減の184億96百万円となりました。
(セグメント利益)
工場再編に伴うコスト削減や前期の不採算子会社の譲渡等により、前年同期比195.2%増の1億63百万円となりました。
(セグメント資産)
廣済堂あかつき株式会社の譲渡等により、前年連結会計年度に比べ27億59百万円減少の232億25百万円となりました。
(ロ) 人材セグメント
人材セグメントは、人材サービス事業で構成されております。
人材セグメントは、求人媒体事業を始めとして、人材紹介・人材派遣、RPO(リクルートメントプロセスアウトソーシング)、海外(ベトナム等)における、人材紹介、人材教育・研修、日本語教育、留学サポート等の事業を手掛けており、人材の発掘から採用、教育・研修まで、総合的な人材ソリューションを提供しております。
当セグメントでは、人材派遣事業及びHRテック事業は健闘しましたが、これまで主力事業であった求人媒体においては求人広告掲載件数が回復傾向にあるものの前年対比では大きく減少しており、新型コロナウイルス感染拡大による渡航禁止等の影響を受けた海外人材事業の停滞等もあり、売上高は46億63百万円(前年同期比15.9%減)、セグメント損失は65百万円(前年同期セグメント利益159百万円)となりました。
(売上高)
人材派遣事業が健闘し、サブスクリプション型の採用管理システムを提供するHRテック事業が伸長しましたが、一方でこれまで主力だった求人媒体事業では、ウェブ求人媒体市場における単価下落及び競争激化に加え、新型コロナウイルス感染拡大による全国的な求人広告掲載件数の激減等の影響を受け、大幅な減収となり、前年同期比15.9%減の46億63百万円となりました。
(セグメント利益)
求人媒体における紙媒体からWebへの移行やHRテック事業の伸長等により収益構造の改善を進めたものの、減収の影響から大幅な減益となり、前連結会計年度に比べ224百万円減少のセグメント損失65百万円となりました。
(セグメント資産)
前年連結会計年度に比べ45百万円減少の34億83百万円万円となりました。
(ハ) 葬祭セグメント
葬祭セグメントは、葬祭事業で構成されております。
葬祭事業は、当社子会社の東京博善株式会社により、火葬炉併設の総合斎場を都内6カ所で運営しております。
葬祭セグメントにおきましては、火葬取扱い件数は増加したものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、従来からの葬儀の簡素化や来場者の減少傾向が顕著になり、式場利用の単価下落や火葬中の休憩室の利用率減少、菓子飲料などの売上減少等が継続しました。その結果、売上高は83億33百万円(前年同期比4.6%減)、セグメント利益につきましては24億37百万円(同5.0%減)となりました。
(売上高)
火葬取扱い件数は増加したものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、従来からの葬儀の簡素化や来場者の減少傾向が顕著になり、前年同期比4.6%減の83億33百万円となりました。
(セグメント利益)
減収の影響により、前年同期比5.0%減の24億37百万円となりました。
(セグメント資産)
子会社の自己株式の取得による支出が増加したことにより、前年連結会計年度に比べ140億57百万円減少の379億35百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ126億33百万円(前年同期比49.1%減)減少し、当連結会計年度末には130億93百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に比べ8億65百万円(前年同期比21.8%減)減少し31億10百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に比べ14億11百万円増加し56百万円(前年同期は13億54百万円の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に比べ233億16百万円減少し158億38百万円(前年同期は74億77百万円の増加)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
情報15,041△13.0
人材3,055△3.7
合計18,096△11.6

(注) 1.上記金額には消費税等は含まれておりません。
2.葬祭、その他は、生産実績の記載が困難であるため、省略しております。
3.セグメント間取引は消去しております。
4.当連結会計年度より、セグメント区分を変更しております。
(b) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)
情報16,566△9.73,2914.4
人材6,733△14.6--
合計23,300△11.23,2914.4

(注) 1.上記金額には消費税等は含まれておりません。
2.葬祭、その他は、受注の記載が困難であるため記載を省略しております。
3.セグメント間取引は消去しております。
4.当連結会計年度より、セグメント区分を変更しております。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
情報18,496△11.0
人材4,663△15.9
葬祭8,333△4.6
その他4△76.7
合計31,497△10.2

(注) 1.上記金額には消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間取引は消去しております。
3.相手先別販売実績については、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はないため、記載を省略しております。
4.当連結会計年度より、セグメント区分を変更しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 経営成績等
(イ) 財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて175億97百万円減少しております。主な要因は、2020年3月における東京博善の株式併合に伴う端数となった株式の自己株式取得等による「現金及び預金」の減少によるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて182億18百万円減少しております。主な要因は、2020年3月における東京博善の株式併合に伴うみなし株式取得等による「未払金」の減少によるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて6億21百万円増加しております。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益8億54百万円を計上、土地再評価差額金の取崩が1億63百万円発生したことによるものであります。
(ロ) 経営成績
当連結会計年度の経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 (b)経営成績」に記載のとおりであります。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況」の「2.事業等のリスク」をご参照ください。
(ハ) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、増加要因である税金等調整前当期純利益や減価償却費、減損損失があったものの、減少要因である子会社の自己株式の取得による支出があったため、前連結会計年度に比べ126億33百万円(前年同期比49.1%減)減少し、当連結会計年度末には130億93百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ8億65百万円(前年同期比21.8%減)減少し31億10百万円となりました。これは主に、増加要因である関係会社整理損が増加したものの、減少要因である引当金の増減額が減少したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の増加は、前連結会計年度に比べ14億11百万円増加し56百万円(前年同期は13億54百万円の減少)となりました。これは主に、減少要因である有形及び無形固定資産の取得による支出があったものの、増加要因である有形及び無形固定資産の売却による収入が増加したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、前連結会計年度に比べ233億16百万円減少し158億38百万円(前年同期は74億77百万円の増加)となりました。これは主に、子会社の自己株式の取得による支出が増加したこと等によるものであります。
(b) 資本の財源及び資金の流動性
(イ) 資金需要
当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造やシステム開発に関わる原材料等の仕入れ及び外注費等の経費、各事業についての一般管理費等の運転資金需要、印刷事業と葬祭事業における設備投資等の設備資金需要、事業成長のためのM&Aやアライアンス等の事業投資を目的とした資金需要であります。
(ロ) 財政政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入と社債の発行により資金調達を行っており、資金調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクに晒されないよう、金利スワップなどの手段を活用しております。また、国内金融機関において総額40億円のコミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっており、グループ全体の借入金等の削減も図っております。
② 新中期経営計画(2020~2022年度)1年目の総括
当社グループは新中期経営計画(2020~2022年度)「廣済堂大改造計画2020」に基づき、重要な経営課題である「収益構造の大改造」、「事業構成における大改造」、「経営基盤強化に向けた大改造」に取り組んでまいりました。当計画において、連結売上高400億円、連結営業利益31億円を達成目標としております。
新中期経営計画1年目において実行した重点施策は以下のとおりです。
・工場再編の一環としての豊中工場閉鎖
・希望退職の募集
・不採算事業の整理
・印刷、企画、IT、BPO等を含む複合型ソリューション提供の強化
・求人媒体における紙からWeb、HRテックへの転換加速
・都内6カ所で火葬場併設斎場を運営する東京博善との連携強化
これらの施策を、新型コロナウイルスの感染拡大が発生・継続した事業環境において、顧客、取引先、従業員の安全確保を図りながら事業活動を継続し、収益基盤の抜本的改革を着実に実行、収益改善の道筋をつけることが出来ました。
以上の結果、当連結会計年度において、連結売上高314億円、連結営業利益20億円となりました。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りを用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表作成にあたり、見積りが必要になる事項につきましては、合理的な基準に基づき見積りを行っております、当該見積り及び予測については不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積り及び予測と異なる場合があります。
当社は、特に以下の会計上の見積りが当社の財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。
(a) 繰延税金資産
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金について繰延税金資産を慎重に計上しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
なお、当社及び一部の国内子会社は、翌連結会計年度から連結納税制度が適用されることになったため、繰延税金資産の回収可能性の判断については、連結納税グループ全体の課税所得の見積りにより判断しております。
(b) 固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。