四半期報告書-第113期第1四半期(令和3年1月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/05/14 14:41
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41項目
(1)経営成績の概況
当第1四半期連結累計期間の世界経済は、堅調に推移している半導体関連業界を含む一部製造業で回復の兆しはあるものの、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の大流行による世界的な経済活動抑制の影響により、依然として厳しい状況にある。国内経済においては、個人消費は弱含んでいるものの、企業収益は輸出に増加傾向が見られ一部製造業を中心に持ち直すなど、企業の業況判断は底打ち感が見られた。
当社を巡る経営環境は、COVID-19の終息が見えないなか世界的なカーボンニュートラルをめぐる政策論議や米中貿易摩擦など不透明な要因もあったが、半導体関連業界は堅調に推移し、自動車生産にも回復の動きが見られた。
当社グループは、昨年のCOVID-19流行初期より、お客様、お取引先、従業員など関係する皆様の安全・健康を第一に考え、感染予防の施策を実施してきた。具体的には、主要な事業所、部署において在宅勤務を導入し、特に本社においては抜本的な業務の見直しも併せて行うことで政府が求める水準を上回るテレワークを現在においても継続実施している。また、感染懸念時における特別休暇の付与、海外出張の原則禁止、国内出張の制限、混雑を避けるための時差出勤の励行、会食の自粛要請など従業員の安全確保と感染拡大防止を最優先にした施策を現在も継続している。同時に、生産拠点では、感染防止策を徹底した上で生産活動の維持に努め、お客様に対する製品供給の継続など社会インフラ機能の維持に注力している。
当社グループは長期的に目指す姿を設定し、2019年より連結中期経営計画「The TOP 2021」を推進している。当社グループが持続的に発展し、社会から信頼・評価されるためには、株主様をはじめ、お客様、お取引先、地域関係者、従業員など、全てのステークホルダーの皆様にご満足いただけるよう、企業価値の向上を図ることが重要である。当社はこれをグループ経営理念として明確にし、株主価値・顧客価値・社会価値の最大化に向けた経営を推進する。
当社グループは、「The TOP 2021」の完遂により収益力基盤の強靭化と収益変動幅の抑制を図り、企業価値を向上させるとともに、昭和電工マテリアルズ㈱との2021年7月の実質的な統合、2023年1月の法人格統合を目指す。当社は、昭和電工マテリアルズ㈱との統合により将来に向けて成長基盤を確立するための“統合新会社の長期ビジョン(2021~2030)”を2020年12月に発表した。両社は統合新会社としての存在意義(パーパス)として、「化学の力で社会を変える」ことを掲げていく。先端材料パートナーとして、時代が求める機能を創出し、グローバル社会の持続可能な発展に貢献するという意味合いが包含されている。また、この存在意義(パーパス)の充足に向けた目指す姿として「世界で戦える会社」「持続可能なグローバル社会に貢献する会社」の2つを掲げ、実現に向けて邁進していく。
当第1四半期連結累計期間の連結営業成績については、売上高は、エレクトロニクスセグメントはHDメディアの数量減、無機セグメントは黒鉛電極において販売数量の回復はあったものの市況低下の影響を受け、その他セグメントも販売減により減収となったが、昭和電工マテリアルズセグメントは前第3四半期連結会計期間期首からの新規連結により大幅な増収となり、石油化学、化学品、アルミニウムの3セグメントはCOVID-19の影響から徐々に回復するなかで数量が増加し増収となるなど、総じて大幅な増収となる3,396億79百万円(前年同四半期連結累計期間比97.8%増)となった。
営業利益は、その他セグメントは小幅減益となったが、石油化学セグメントは製品市況上昇により増益、昭和電工マテリアルズセグメントの通期連結化、化学品セグメントやアルミニウムセグメントもそれぞれ増益となり、総じて大幅増益となる208億14百万円(同742.9%増)となった。経常利益は、支払利息は増加したが、為替差益、持分法による投資利益が加わり250億83百万円(同678.7%増)となった。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、特別損失として環境対策費等の計上があり、また法人税等の増加もあり、51億91百万円(同92.4%増)となった。
(2)セグメントの状況
(石油化学)
当セグメントでは、オレフィン事業は、中国需要の回復による東アジアの需給バランスの改善、原料価格上昇によるエチレン・プロピレン等の製品市況の改善により増収となった。有機化学品事業は、酢酸エチル・酢酸ビニルは定修のあった前年同四半期連結累計期間に比べ販売数量の増加に加え市況も大幅に上昇し増収となった。
この結果、当セグメントの売上高は577億54百万円(前年同四半期連結累計期間比5.0%増)となり、営業利益は55億33百万円(同56億89百万円増益)となった。
(化学品)
当セグメントでは、基礎化学品事業は、液体アンモニアは数量増、アクリロニトリルは市況上昇、クロロプレンゴムは輸出数量が増加し、総じて増収となった。機能性化学品事業は、国内、輸出の数量増により増収となった。産業ガス事業は前年同四半期連結累計期間並みとなった。情報電子化学品事業は、半導体業界向け数量増により増収となった。コーティング材料事業は数量増により増収となった。
この結果、当セグメントの売上高は412億83百万円(前年同四半期連結累計期間比13.7%増)となり、営業利益は48億50百万円(同112.1%増)となった。
(エレクトロニクス)
当セグメントでは、ハードディスク事業はデータセンター向け出荷は増加したがPC向け出荷が減少したため総じて販売数量は減少し、減収となった。化合物半導体は輸出数量が増加し増収となった。リチウムイオン電池材料事業は、車載・PC・モバイル向けLIB用アルミラミネート包材SPALF®の販売量が増加し増収となった。SiCエピタキシャルウェハー事業は、海外向け販売量の減少を国内向け販売量でカバーし小幅の減収となった。
この結果、当セグメントの売上高は216億53百万円(前年同四半期連結累計期間比8.1%減)となったが、営業利益はSPALF®の販売量増加が原価低減に寄与したこともあり13億96百万円(同41.4%増)となった。
(無機)
当セグメントでは、黒鉛電極事業は、前年同四半期連結累計期間に比べ市況が低下したものの、前年後半からの世界的な鉄鋼需要の高まりに伴い販売数量が増加し4四半期ぶりに営業黒字となった。セラミックス事業は研削材、電子材料用ファインセラミックスの販売数量が改善し増収となった。
この結果、当セグメントの売上高は212億28百万円(前年同四半期連結累計期間比0.7%減)となったが、営業利益は10億27百万円(同21.2%増)となった。
(アルミニウム)
当セグメントでは、アルミ機能部材事業は、自動車部品、工作機械、OA機器業界向けに需要が回復し増収となった。アルミ圧延品事業のアルミ電解コンデンサー用高純度箔は、産業機器・車載向け等の需要増加により増収となった。アルミ缶事業は、国内は生産能力の削減に伴い減収となったが、ベトナムは前年後半に本格稼働した新設工場が寄与して増収となり、総じて増収となった。
この結果、当セグメントの売上高は224億93百万円(前年同四半期連結累計期間比17.3%増)となり、営業利益は22億75百万円(同22億27百万円増益)となった。
(昭和電工マテリアルズ)
前第2四半期連結会計期間より、昭和電工マテリアルズ㈱及びその子会社を連結の範囲に含めたことから、報告セグメントを新設し、前第3四半期連結会計期間期首より売上高、営業利益を取り込んだ。
当セグメントでは、旺盛な半導体需要や中国をはじめとする各国の自動車生産台数の回復などを背景に、半導体回路平坦化用研磨材料等の電子材料、銅張積層板等の配線板材料、樹脂成形品等のモビリティ部材が堅調に推移した。
この結果、当セグメントの売上高は1,596億6百万円となり、営業利益は75億74百万円となった。なお、当セグメントの営業利益には、昭和電工マテリアルズ㈱の株式取得に伴って計上したのれん等の償却費約86億円が含まれている。
(その他)
当セグメントでは、昭光通商㈱は製品市況の下落や需要低迷の影響等により減収となり、総じて売上高は281億91百万円(前年同四半期連結累計期間比1.5%減)となり、営業利益は1億57百万円(同18.5%減)となった。
(3)財政状態の概況
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、現金及び預金、無形固定資産は減少したものの、営業債権、棚卸資産は増加し、前連結会計年度末比372億96百万円増加の2兆2,409億2百万円となった。負債合計は、有利子負債(借入金、コマーシャル・ペーパー、社債及びリース債務)は減少したものの、営業債務が増加し、前連結会計年度末比229億21百万円増加の1兆5,084億46百万円となった。純資産は、前期配当金の支払い及び四半期純利益の計上の結果、利益剰余金が減少したものの為替換算調整勘定等の増加により、前連結会計年度末比143億76百万円増加の7,324億56百万円となった。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
(当社グループの対処すべき課題)
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの対処すべき課題について重要な変更はない。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、117億69百万円である。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はない。