有価証券報告書-第16期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績
ⅰ 業績全般
当社グループの当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日:以下同じ)における事業環境は、上期を中心に自動車用途等の需要が低調に推移するなど新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響を受けたものの、下期以降は経済活動の回復とともに国内外の需要が持ち直し、一部の製品において市況が改善するなど、全般的に回復基調となりました。
このような状況下、売上収益は、3兆2,575億円(前連結会計年度比3,230億円減)となりました。利益面では、コア営業利益は固定費の削減も寄与し1,747億円(同201億円減)、営業利益は非経常項目においてヘルスケア分野に関連する減損損失等を計上したことにより475億円(同968億円減)、税引前利益は329億円(同891億円減)、親会社の所有者に帰属する当期利益(△損失)は、△76億円(同617億円減)となりました。
(注)1 当社グループは、IFRS(国際会計基準)に基づいて、連結財務諸表を作成しております。
2 コア営業利益は、営業利益(又は損失)から非経常的な要因により発生した損益(事業撤退や縮小から生じる損失等)を除いて算出しております。
3 それぞれ、2019年4月~2020年3月、2020年4月~2021年3月の平均
ⅱ 各セグメントの業績
各セグメントにおける売上収益及びコア営業利益の状況は、以下のとおりです。
(金額単位:億円)
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 第1四半期連結会計期間より、一部の事業及び連結子会社の所管セグメントを見直しております。また、第2四半期連結会計期間より、クオリカプス㈱及びその子会社の所管セグメントをヘルスケアセグメントから機能商品セグメントに変更しております。これらに伴い、前連結会計年度の実績を組み替えております。
<コア営業利益 増減要因>(金額単位:億円)
(注) その他差には、受払差の前連結会計年度(△28億円)と当連結会計年度(△75億円)の差額△47億円及び持分法投資損益の前連結会計年度(134億円)と当連結会計年度(129億円)の差額△5億円等の金額が含まれております。
(金額単位:億円)

セグメント別の業績の概要の詳細は、以下のとおりであります。
イ 機能商品セグメント(機能部材、機能化学)
当セグメントの売上収益は1兆339億円(前連結会計年度比842億円減)となり、コア営業利益は前期並みの613億円となりました。
機能部材においては、下期以降、需要は回復しつつあるものの、前期比では高機能成形材料の高機能エンジニアリングプラスチック等の自動車向けの販売数量が減少したことにより、売上収益は減少しました。
機能化学においては、高機能ポリマーの機能性樹脂等の自動車向けの販売数量が減少したことに加え、フェノール・ポリカーボネートチェーンにおいて定期修理等の影響により販売数量が減少したことにより、売上収益は減少しました。
当セグメントのコア営業利益は、高機能成形材料等の自動車向けの販売数量が減少したことや高機能ポリマーにおける定期修理の影響があったものの、下期以降の需要回復に加え、フェノール・ポリカーボネートチェーンの市況が上昇したこと等により、前期並みとなりました。
当連結会計年度に当セグメントにて実施又は発生した主な事項は、以下のとおりです。
・三菱ケミカル㈱は、コンタクトレンズ原料や抗菌剤などのケイ素化合物、半導体プリカーサー等に用いられる金属化合物等の領域において、高度な分子設計・合成技術を保有するジェレスト社(本社:米国・ペンシルバニア州)を買収することを2020年4月に決定し、同年10月に連結子会社としました。同社の広範な知見と、三菱ケミカル㈱の技術、経営資源、顧客ネットワーク等を組み合わせることで、提供可能なソリューションの大幅な拡充を目指します。
・三菱ケミカル㈱と宇部興産株式会社(本社:東京都港区)は、2020年3月に発表した電解液事業の統合について、両社の同事業に関する資産を合弁新社(社名:MUアイオニックソリューションズ㈱ 本社:東京都千代田区)に承継・統合する旨の共同新設分割計画書に同年7月に合意し、同合弁新社を10月に設立しました。
ロ ケミカルズセグメント(MMA、石化、炭素)
当セグメントの売上収益は8,582億円(前連結会計年度比1,853億円減)となり、コア営業利益は142億円(同156億円減)となりました。
MMAにおいては、下期以降、MMAモノマー等の市況が上昇しているものの、前期比では低水準で推移したことにより、売上収益は減少しました。
石化においては、エチレンセンターの定期修理の影響が拡大したことにより販売数量が減少したことに加え、原料価格の下落等に伴い販売価格が低下したことにより、売上収益は減少しました。
炭素においては、原料価格の下落等に伴う販売価格の低下及びコークス等の需要減退に伴う販売数量の減少により、売上収益は減少しました。
当セグメントのコア営業利益は、MMAモノマー等の市況が下落したことに加え、炭素製品において販売数量が減少したこと等により、減少しました。
当連結会計年度に当セグメントにて実施又は発生した主な事項は、以下のとおりです。
・三菱ケミカル㈱の連結子会社である日本ポリプロ㈱は、収益力の強化に向けた構造改革の一環として、同 社の五井工場(所在地:千葉県市原市)におけるポリプロピレン製造設備1系列(生産能力:7万トン/年)を2021年1月に停止しました。
・三菱ケミカル㈱の連結子会社である日本ポリエチレン㈱は、同社の鹿島工場(所在地:茨城県神栖市)における高圧法低密度ポリエチレン製造設備1系列(生産能力:6.2万トン/年)を2021年5月に停止し、同製品の生産を川崎工場(所在地:神奈川県川崎市)に集約するとともに、事業再構築の一環として川崎工場で生産しているエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)の生産・販売を終了することを2020年9月に決定しました。
・三菱ケミカル㈱は、香川事業所(所在地:香川県坂出市)における高炉向けコークス事業について、最適な生産及び販売体制に向けた構造改革として、コークス炉323門を250門に縮小するとともに、輸出出荷設備を増強(2022年3月末稼働予定)することを決定しました。
・三菱ケミカル㈱は、MMA事業の競争力の強化と供給体制の最適化を図るため、同社の連結子会社であるルー サイト・インターナショナル社(現 三菱ケミカルアメリカ社)のボーモント工場(所在地:米国・テキサス州)におけるMMAモノマー及びMAA生産(生産能力:13.5万トン/年)を終了し、2021年3月末に閉鎖しました。
・三菱ケミカル㈱は、独自技術である新エチレン法(アルファ法)を用いた、米国におけるMMAモノマーのプラント建設プロジェクト(生産能力:35万トン/年)について、今般プラントの建設を前提にルイジアナ州ガイスマーの土地を取得しました。2022年半ばを目途に投資の最終判断を行い、2025年中の稼働を目標としています。
ハ 産業ガスセグメント(産業ガス)
当セグメントの売上収益は8,118億円(前連結会計年度比315億円減)となり、コア営業利益は851億円(同29億円減)となりました。
産業ガスにおいては、エレクトロニクス関連向けガスが好調に推移したものの、国内外の需要が総じて減退したことにより、売上収益及びコア営業利益はともに減少しました。
当連結会計年度に当セグメントにて実施又は発生した主な事項は、以下のとおりです。
・大陽日酸㈱は、グローバルガスメジャーとして競争力のあるグループ運営体制を構築するため、2020年10月1日に持株会社体制へ移行し、商号を日本酸素ホールディングス㈱に変更しました。
ニ ヘルスケアセグメント(医薬品、ライフサイエンス)
当セグメントの売上収益は3,906億円(前連結会計年度比25億円減)となり、コア営業利益は179億円(同14億円増)となりました。
医薬品においては、国内医療用医薬品で薬価改定等の影響を受けたものの、重点品の販売数量が伸長したことにより、売上収益は前期並みとなりました。コア営業利益は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う活動自粛等による販売費や研究開発費の減少により増加しました。なお、ノバルティス・ファーマ社(スイス)に導出した多発性硬化症治療剤「ジレニア」のロイヤリティ収入については、2019年2月に仲裁手続に入ったためロイヤリティ収入の一部について、IFRS第15号に従い売上収益の認識を行わないこととしました。当連結会計年度におきましても、仲裁手続が継続しているため、ロイヤリティ収入の一部について、売上収益の認識を行っておりません。
当連結会計年度に当セグメントにて実施又は発生した主な事項は、以下のとおりです。
・田辺三菱製薬㈱は、エダラボン(一般名)(米国製品名:「ラジカヴァ」)の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の適応症について、日本・韓国・米国・カナダ・スイス・中国に次ぎ、2020年7月にインドネシアで承認を取得しました。
・田辺三菱製薬㈱の連結子会社であるメディカゴ社(本社:カナダ・ケベック市)は、新型コロナウイルス感染症の予防をめざした植物由来のウイルス様粒子(Virus Like Particle)ワクチン「MT-2766」について、カナダおよび米国において、第2/3相臨床試験の第3相パートを2021年3月に開始しました。
・田辺三菱製薬㈱は、「ユプリズナ点滴静注100mg」について、視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防を適応症とした国内での承認を2021年3月に取得しました。
・㈱生命科学インスティテュートは、急性心筋梗塞、脳梗塞、表皮水疱症、脊髄損傷に加え、2021年1月に筋萎縮性側索硬化症(ALS)を対象としたMuse細胞製品「CL2020」の臨床試験を開始しました。
ホ その他
その他部門の売上収益は1,630億円(前連結会計年度比195億円減)となり、コア営業利益は119億円(同4億円減)となりました。
なお、当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、また、受注生産形態をとらない製品も多く、セグメント毎に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
また、主な販売先別の販売実績及び総販売額実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
② キャッシュ・フロー
(金額単位:億円)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益や減価償却費に加え、原料価格の下落等による運転資本の減少などにより、4,671億円の収入(前連結会計年度比151億円の収入の増加)となりました。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、手元運用資金を圧縮したことや有形固定資産の売却等による収入があったものの、有形固定資産及び無形資産の取得2,570億円などにより、2,170億円の支出(同1,294億円の支出の増加)となり、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フロー)は、2,501億円の収入(同1,143億円の収入の減少)となりました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローにおいては、田辺三菱製薬㈱の株式の追加取得で954億円、配当金の支払いで451億円を支出したことなどにより、財務活動によるキャッシュ・フローは1,428億円の支出(同3,077億円の支出の減少)となりました。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末と比べて1,214億円増加し、3,496億円となりました。
③ 財政状態
(金額単位:億円)
(注) ネットD/Eレシオ=ネット有利子負債(*1)/親会社の所有者に帰属する持分
(*1)ネット有利子負債=有利子負債-(現金及び現金同等物+手元資金運用額(*2))
(*2)手元資金運用額は、当社グループが余剰資金の運用目的で保有する現金同等物以外の
譲渡性預金・有価証券等であります。
当連結会計年度末の資産合計は、ニューロダーム社(イスラエル)の無形資産にかかる減損等がありましたが、円安の進行に伴う在外連結子会社の資産の円貨換算額の増加や、新型コロナウイルス感染症の影響による不測の事態への備え等により現金及び現金同等物を確保したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,551億円増加し、5兆2,872億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、仕入減少に伴う営業債務の減少等がありましたが、円安の進行に伴う在外連結子会社の負債の円貨換算額の増加等により、前連結会計年度末に比べ348億円増加し、3兆7,161億円となりました。
なお当連結会計年度末のリース負債を含む有利子負債は、前連結会計年度末に比べ943億円増加し、2兆4,824億円であります。
当連結会計年度末の資本合計は、親会社の所有者に帰属する当期損失の計上がありましたが、在外営業活動体の換算差額の増加等により前連結会計年度末に比べ1,203億円増加し、1兆5,711億円となりました。
これらの結果、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末と比べて0.6ポイント増加し、23.4%となりました。なお、ネットD/Eレシオは、前連結会計年度末と比べて0.06減少し、1.73となりました。
(2) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画「APTSIS20」に対する達成・進捗状況については、以下のとおりです。
(金額単位:億円)

コア営業利益は、2017年度に3,800億円まで達したものの、2018年度以降は、「ジレニア」のロイヤリティ収入の一部について2019年2月に仲裁手続に入ったことにより、IFRS第15号に従い売上収益の認識を行っていないことや、米中貿易摩擦、新型コロナウイルス感染症の影響等により収益が悪化しました。中期経営計画最終年度である当連結会計年度においては、田辺三菱製薬㈱によるニューロダーム社の買収により取得した技術に係る無形資産(仕掛研究開発費)及びルーサイト・インターナショナル社(アメリカ)のボーモント(テキサス州)におけるMMAモノマー及びMAA工場の設備について減損損失を計上したこと等により親会社の所有者に帰属する当期利益(△損失)は△76億円となりました。
② 経営環境と今後の見通し
当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の再拡大によるリスクに十分留意する必要があるものの、各国が社会経済活動のレベルを引き上げていく中で緩やかな改善が見込まれます。
このような状況下、当社グループにおいては、当連結会計年度下期以降のケミカルズセグメントの一部製品における堅調な市況の継続、機能商品セグメントにおける自動車用途等での需要の継続、産業ガスセグメントにおける需要の継続が見込まれます。また、ヘルスケアセグメントにおいては新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの2021年内のカナダでの実用化に向けて開発を進めてまいります。
以上を踏まえ、翌連結会計年度の連結業績につきましては、売上収益は3兆6,600億円、コア営業利益は2,300億円、営業利益は2,160億円、税引前利益は2,000億円、当期利益は1,400億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は970億円となる見込みです。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
① 財務政策
当社グループは、中期経営計画「APTSIS20」において、「機能商品、素材、ヘルスケア分野の事業を通じて、高成長・高収益型の企業グループをめざす」を基本方針に掲げ、コア営業利益、ROS(売上収益コア営業利益率)、親会社の所有者に帰属する当期利益、ROE(親会社所有者帰属持分利益率)及びネットD/Eレシオを基礎的経営指標として選定し、「成長事業への投資」、「株主還元の充実」及び「財務体質の強化」の適切なバランスを維持し、企業価値の向上を図ってまいりました。
財務体質を強化するため、資産の効率化にも取り組み、着実に進展しました。個々の会社による資金管理から極(地域)ごとでの一体的な資金管理にシフトしてグループ内の資金調達・管理を一元化することで、資金の効率的な活用と調達コストの削減を実現するキャッシュ・マネジメントシステム(CMS)の欧米日亜4極体制の確立に取り組んだほか、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮化、定期的な保有意義の検証を通じた、保有意義の低下した資産の売却等の施策を実施しました。新中期経営計画「APTSIS25」においてもこの方針を継続し、Step1の期間である2021年度及び2022年度の2年間で1,800億円の財務構造改革達成をめざしてまいります。
また、当社グループは、ネットD/Eレシオを基礎的経営指標として、収益の改善とともに財務基盤の安定強化に努めております。前連結会計年度において当社の連結子会社である田辺三菱製薬㈱を完全子会社化したことにより一時的に悪化しましたが、当連結会計年度においてはネットD/Eレシオは1.73と前連結会計年度比0.06の改善となりました。今後も資本効率化の施策を通じて有利子負債を着実に削減し、2024年3月期までに1.0以下の水準に改善するよう引き続き努めてまいります。
② 企業価値の向上
当社グループでは、資本コストを意識した経営に取り組んでおり、複数の手法から資本コストを推計し経営指標の策定や投資判断に活用しております。企業価値向上のため、株主資本コストを上回るROEを経営指標として設定するとともに、ROICが加重平均資本コスト(WACC)を下回るような低収益事業は従来より見直しの対象にしてまいりました。今後のポートフォリオマネジメントにあたっては、そうしたMOE中心の評価から、サステナビリティ貢献、イノベーションの余地を含む総合評価に見直し、中長期的な成長に貢献する事業を見極めてまいります。
また、2011年度より本格的に推進してきたKAITEKI経営において、企業価値=KAITEKI価値の向上に取り組み、その成果についてはKAITEKI REPORT(統合報告書)などで開示してきた結果、Dow Jones Sustainability World Indicesの構成銘柄に4年連続で採用され、KAITEKI REPORTがWICIジャパン統合リポート・アウォード2020の「優良企業賞(シルバー・アウォード)」、日経アニュアルリポートアウォード2020の「準グランプリ」を受賞するなど評価いただけることも多くなってまいりました。今後もKAITEKI価値の向上に努めるとともに、海外向けも含めIR情報発信の充実・投資家などとのエンゲージメントの推進を通じ、企業リスクを下げることにより、資本コストの低減、ひいては企業価値の向上に努めてまいります。
③ 資金調達及び資金需要
当社グループは、運転資金及び設備資金については、内部資金に加え借入金、社債等による調達を実施しているほか、複数の金融機関とのコミットメント・ラインの設定に加え複数の金融機関との間のアンコミットメントベースの当座借越契約、コマーシャル・ペーパー発行枠及び国内社債発行登録枠等の確保により資金調達手段の多様化を図り、十分な流動性の確保を行っております。
当社グループは調達した資金を、新中期経営計画「APTSIS25」のもと、Step1の期間である2021年度から2022年度において、設備投資に4,500億円、投融資に1,000億円、R&D投資に3,000億円を配分することを計画しておりますが、投資の実行にあたっては事業環境等を見極めながら慎重に検討を行っております。
④ 配当政策
株主還元については、企業価値の向上を通して株主価値の向上を図ることを基本方針としており、配当については、成長投資・財務体質の改善とのバランスを考慮しつつ、中期的な利益水準の30%を連結配当性向の目安として安定的に配当を実施することとしております。また、経営環境の変化に対応して自己株式の取得等の機動的な資本政策を遂行しております。
当連結会計年度においては、上期を中心に自動車用途等の需要が低調に推移するなど新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響を受け、下期以降は経済活動の回復とともに国内外の需要が持ち直し全般的に回復基調となったものの、コア営業利益は減少し、親会社の所有者に帰属する当期利益(△損失)は△76億円となりましたが、上記の株主還元にかかる当社の基本方針を踏まえ、中間配当金・期末配当金ともに前事業年度と同額の当社普通株式1株につき12円の配当としました。
当事業年度の剰余金の配当の実績については、「第4 提出会社の状況 3.配当政策」をご参照ください。
(4) 重要な会計上の見積り
連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。見積り及びその基礎となる仮定は、継続して見直されます。会計上の見積りの変更による影響は、その見積りが変更された会計期間及び影響を受ける将来の会計期間において認識されます。
当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある会計上の判断、見積り及び仮定に関する主な情報は、以下のとおりであります。
1.非金融資産の減損
(1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
当社グループは、連結財政状態計算書に、有形固定資産1,813,838百万円、のれん 671,889百万円、無形資産 455,317百万円(うち、耐用年数を確定できない無形資産及び未だ使用可能でない無形資産 79,474百万円)を計上しております。
なお、当連結会計年度において減損損失を127,193百万円計上し、連結損益計算書の「その他の営業費用」に含めております。その主な内訳は、田辺三菱製薬㈱によるニューロダーム社の買収により取得した技術に係る無形資産(仕掛研究開発)及びルーサイト・インターナショナル社(アメリカ)のボーモント(テキサス州)におけるMMAモノマー及びMAA工場の設備であります。減損損失の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 16.減損損失」をご参照ください。
(2) 連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報
①算出方法
当社グループは有形固定資産、のれん及び無形資産について、減損の兆候がある場合、及び資産に年次の減損テストが必要な場合、その資産の使用価値や処分費用控除後の公正価値の算定を行っております。
使用価値の算定にあたっては、貨幣の時間価値及びその資産に特有のリスクについて現在の市場の評価を反映した税引前の割引率を用いて、見積将来キャッシュ・フローの割引現在価値を計算しております。なお、将来キャッシュ・フローの見積りにあたって利用する事業計画は原則として5年を限度とし、事業計画の予測の期間を超えた後の将来キャッシュ・フローは個別の事情に応じた長期平均成長率をもとに算定しております。
②主要な仮定
使用価値の算定における主要な仮定は以下のとおりであります。
(技術に係る無形資産(仕掛研究開発))
規制当局の販売承認の取得の可能性、上市後の売上収益の予測及び割引率
(有形固定資産・上記を除く無形資産、のれん)
原則として5年を限度とする事業計画における将来キャッシュ・フローの見積り、割引率及び成長率。将来 キャッシュ・フローの見積額は主として、売上収益の予測及び市場の成長率に影響を受けます。
③翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響
主要な仮定について、経営者は妥当と判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、前提とした状況が変化すれば回収可能価額の算定結果が異なる可能性があります。なお、提出日現在において、これらの見積りの見直しが必要となる事象は生じておりません。
2. 繰延税金資産の回収可能性
(1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
繰延税金資産(純額) 67,346百万円
(2) 連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報
①算出方法
当社グループでは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、予定される繰延税金負債の取崩、予測される将来課税所得及びタックス・プランニングを考慮し、繰延税金資産を計上しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (7) 法人所得税」をご参照ください。
②主要な仮定
将来課税所得の基礎となる将来の事業計画における主要な仮定は売上収益の予測及び原料価格の市況推移の見込みです。
③翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響
認識された繰延税金資産については、過去の課税所得水準及び将来減算一時差異と繰越欠損金の解消が予測される期間の予測に基づき、回収される可能性が高いと考えております。これらの仮定は、経営者は妥当と判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、将来課税所得の結果が予測・仮定と異なる場合は繰延税金資産の回収可能性の評価が異なる可能性があります。
3. 確定給付制度債務の測定
(1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
退職給付に係る負債 112,272百万円
(2) 連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報
確定給付制度に係る負債又は資産は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除して算定しております。確定給付制度債務は年金数理計算により算定しており、その前提条件には割引率等の見積りが含まれております。経営者は、使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、金利環境の変動等により前提条件と実際の結果が異なる場合又は前提条件に変化がある場合には、確定給付制度債務の評価額が異なる可能性があります。
確定給付制度債務にかかる詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 28.退職給付」をご参照ください。
4. 金融商品の公正価値
(1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
株式及び出資金(同一の資産又は負債の活発な市場における無調整の公表価格により測定された公正価値により測定している資産を除く) 133,322百万円
なお、上記の金額は、連結財政状態計算書の「その他の金融資産」及び「売却目的で保有する資産」に含めております。
(2) 連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報
当社グループにおいて活発な市場における公表価格が入手できない非上場株式及び出資金の公正価値は、合理的に入手可能なインプットにより、類似企業比較法又はその他の適切な評価技法を用いて算定しております。経営者は選択された価値評価技法と使用した仮定は、金融商品の公正価値を評価する際において適切であると判断しておりますが、これらの評価技法とインプットは将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、予測不能な前提条件の変化等により金融商品の評価に関する見積りが変化した場合には、公正価値の評価額が異なる可能性があります。
詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 36.金融商品 (8) 金融商品の公正価値」をご参照ください。
また、上記のほか、当連結会計年度において見積りを行う上での特に重要な仮定は以下のとおりであります。
(新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定)
新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により当連結会計年度においては経済活動が抑制され、需要が落ち込みました。一部の国・地域においては既に流行前の水準まで回復しているものの、当連結会計年度末においても依然先行きが不透明な状況が継続していることから2022年度まではその影響が残ると仮定して、繰延税金資産の評価における将来の課税所得や非金融資産の減損テストにおける将来キャッシュ・フローなどの見積りを行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績
ⅰ 業績全般
当社グループの当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日:以下同じ)における事業環境は、上期を中心に自動車用途等の需要が低調に推移するなど新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響を受けたものの、下期以降は経済活動の回復とともに国内外の需要が持ち直し、一部の製品において市況が改善するなど、全般的に回復基調となりました。
このような状況下、売上収益は、3兆2,575億円(前連結会計年度比3,230億円減)となりました。利益面では、コア営業利益は固定費の削減も寄与し1,747億円(同201億円減)、営業利益は非経常項目においてヘルスケア分野に関連する減損損失等を計上したことにより475億円(同968億円減)、税引前利益は329億円(同891億円減)、親会社の所有者に帰属する当期利益(△損失)は、△76億円(同617億円減)となりました。
| (金額単位:億円) | ||||||
| 前連結会計年度 自 2019年4月1日至 2020年3月31日 | 当連結会計年度 自 2020年4月1日至 2021年3月31日 | 増減額 | 増減率(%) | |||
| 継続事業 | 売上収益 | 35,805 | 32,575 | △3,230 | △9.0 | |
| コア営業利益 (注2) | 1,948 | 1,747 | △201 | △10.3 | ||
| 営業利益 | 1,443 | 475 | △968 | △67.1 | ||
| 税引前利益 | 1,220 | 329 | △891 | △73.0 | ||
| 継続事業からの当期利益 | 697 | 227 | △470 | △67.4 | ||
| 非継続事業からの当期利益 | 169 | - | △169 | △100.0 | ||
| 当期利益 | 866 | 227 | △639 | △73.8 | ||
| 親会社の所有者に帰属する 当期利益(△損失) | 541 | △76 | △617 | - | ||
| ナフサ (円/KL) (注3) | 42,900 | 31,300 | △11,600 | |||
| 為替 (円/$) (注3) | 109.0 | 105.9 | △3.1 | |||
(注)1 当社グループは、IFRS(国際会計基準)に基づいて、連結財務諸表を作成しております。
2 コア営業利益は、営業利益(又は損失)から非経常的な要因により発生した損益(事業撤退や縮小から生じる損失等)を除いて算出しております。
3 それぞれ、2019年4月~2020年3月、2020年4月~2021年3月の平均
ⅱ 各セグメントの業績
各セグメントにおける売上収益及びコア営業利益の状況は、以下のとおりです。
(金額単位:億円)
| セグメント | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | |||
| 売上収益 | コア営業利益 | 売上収益 | コア営業利益 | 売上収益 | コア営業利益 | |
| 機能商品 | 11,181 | 613 | 10,339 | 613 | △842 | 0 |
| ケミカルズ | 10,435 | 298 | 8,582 | 142 | △1,853 | △156 |
| 産業ガス | 8,433 | 880 | 8,118 | 851 | △315 | △29 |
| ヘルスケア | 3,931 | 165 | 3,906 | 179 | △25 | 14 |
| その他 | 1,825 | 123 | 1,630 | 119 | △195 | △4 |
| 調整額 | - | △131 | - | △157 | - | △26 |
| 合計 | 35,805 | 1,948 | 32,575 | 1,747 | △3,230 | △201 |
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 第1四半期連結会計期間より、一部の事業及び連結子会社の所管セグメントを見直しております。また、第2四半期連結会計期間より、クオリカプス㈱及びその子会社の所管セグメントをヘルスケアセグメントから機能商品セグメントに変更しております。これらに伴い、前連結会計年度の実績を組み替えております。
<コア営業利益 増減要因>(金額単位:億円)
| 前連結 会計年度 | 当連結 会計年度 | 増減 | |||||||||
| 売買差 | 数量差 | コスト 削減 | その他差 (注) | ||||||||
| 全社 | 1,948 | 1,747 | △201 | △50 | △393 | 182 | 60 | ||||
| 機能商品 | 613 | 613 | 0 | 48 | △221 | 68 | 105 | ||||
| ケミカルズ | 298 | 142 | △156 | △26 | △73 | 34 | △91 | ||||
| 産業ガス | 880 | 851 | △29 | 47 | △75 | 4 | △5 | ||||
| ヘルスケア | 165 | 179 | 14 | △125 | △23 | 76 | 86 | ||||
| その他 ・調整額 | △8 | △38 | △30 | 6 | △1 | 0 | △35 | ||||
(注) その他差には、受払差の前連結会計年度(△28億円)と当連結会計年度(△75億円)の差額△47億円及び持分法投資損益の前連結会計年度(134億円)と当連結会計年度(129億円)の差額△5億円等の金額が含まれております。
| 為替影響 | △9 | △21 | △4 | - | 16 | ||||||
| 内、換算差 | △2 | ||||||||||
(金額単位:億円)

| セグメント | 前連結会計年度から当連結会計年度への主なコア営業利益の増減要因 |
| 機能商品 | 数量差:需要は回復しつつあるものの自動車用途を中心に高機能エンジニアリングプラスチック・機能性樹脂等の販売数量の減少等により減益。 売買差・その他差:フェノール・ポリカーボネートチェーンの市況上昇等により増益。 |
| ケミカルズ | 数量差:減販及び石化における定期修理の影響により減益。 その他差:原料価格下落に伴う在庫評価損の発生等により減益。 |
| 産業ガス | 数量差:国内外の需要が総じて減退したこと等により減益。 |
| ヘルスケア | 売買差:国内医療用医薬品の薬価改定の影響等により減益。 コスト削減・その他差:新型コロナウイルス感染症拡大に伴う活動自粛等による販売費や研究開発費の使用減少。 |
セグメント別の業績の概要の詳細は、以下のとおりであります。
イ 機能商品セグメント(機能部材、機能化学)
当セグメントの売上収益は1兆339億円(前連結会計年度比842億円減)となり、コア営業利益は前期並みの613億円となりました。
機能部材においては、下期以降、需要は回復しつつあるものの、前期比では高機能成形材料の高機能エンジニアリングプラスチック等の自動車向けの販売数量が減少したことにより、売上収益は減少しました。
機能化学においては、高機能ポリマーの機能性樹脂等の自動車向けの販売数量が減少したことに加え、フェノール・ポリカーボネートチェーンにおいて定期修理等の影響により販売数量が減少したことにより、売上収益は減少しました。
当セグメントのコア営業利益は、高機能成形材料等の自動車向けの販売数量が減少したことや高機能ポリマーにおける定期修理の影響があったものの、下期以降の需要回復に加え、フェノール・ポリカーボネートチェーンの市況が上昇したこと等により、前期並みとなりました。
当連結会計年度に当セグメントにて実施又は発生した主な事項は、以下のとおりです。
・三菱ケミカル㈱は、コンタクトレンズ原料や抗菌剤などのケイ素化合物、半導体プリカーサー等に用いられる金属化合物等の領域において、高度な分子設計・合成技術を保有するジェレスト社(本社:米国・ペンシルバニア州)を買収することを2020年4月に決定し、同年10月に連結子会社としました。同社の広範な知見と、三菱ケミカル㈱の技術、経営資源、顧客ネットワーク等を組み合わせることで、提供可能なソリューションの大幅な拡充を目指します。
・三菱ケミカル㈱と宇部興産株式会社(本社:東京都港区)は、2020年3月に発表した電解液事業の統合について、両社の同事業に関する資産を合弁新社(社名:MUアイオニックソリューションズ㈱ 本社:東京都千代田区)に承継・統合する旨の共同新設分割計画書に同年7月に合意し、同合弁新社を10月に設立しました。
ロ ケミカルズセグメント(MMA、石化、炭素)
当セグメントの売上収益は8,582億円(前連結会計年度比1,853億円減)となり、コア営業利益は142億円(同156億円減)となりました。
MMAにおいては、下期以降、MMAモノマー等の市況が上昇しているものの、前期比では低水準で推移したことにより、売上収益は減少しました。
石化においては、エチレンセンターの定期修理の影響が拡大したことにより販売数量が減少したことに加え、原料価格の下落等に伴い販売価格が低下したことにより、売上収益は減少しました。
炭素においては、原料価格の下落等に伴う販売価格の低下及びコークス等の需要減退に伴う販売数量の減少により、売上収益は減少しました。
当セグメントのコア営業利益は、MMAモノマー等の市況が下落したことに加え、炭素製品において販売数量が減少したこと等により、減少しました。
当連結会計年度に当セグメントにて実施又は発生した主な事項は、以下のとおりです。
・三菱ケミカル㈱の連結子会社である日本ポリプロ㈱は、収益力の強化に向けた構造改革の一環として、同 社の五井工場(所在地:千葉県市原市)におけるポリプロピレン製造設備1系列(生産能力:7万トン/年)を2021年1月に停止しました。
・三菱ケミカル㈱の連結子会社である日本ポリエチレン㈱は、同社の鹿島工場(所在地:茨城県神栖市)における高圧法低密度ポリエチレン製造設備1系列(生産能力:6.2万トン/年)を2021年5月に停止し、同製品の生産を川崎工場(所在地:神奈川県川崎市)に集約するとともに、事業再構築の一環として川崎工場で生産しているエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)の生産・販売を終了することを2020年9月に決定しました。
・三菱ケミカル㈱は、香川事業所(所在地:香川県坂出市)における高炉向けコークス事業について、最適な生産及び販売体制に向けた構造改革として、コークス炉323門を250門に縮小するとともに、輸出出荷設備を増強(2022年3月末稼働予定)することを決定しました。
・三菱ケミカル㈱は、MMA事業の競争力の強化と供給体制の最適化を図るため、同社の連結子会社であるルー サイト・インターナショナル社(現 三菱ケミカルアメリカ社)のボーモント工場(所在地:米国・テキサス州)におけるMMAモノマー及びMAA生産(生産能力:13.5万トン/年)を終了し、2021年3月末に閉鎖しました。
・三菱ケミカル㈱は、独自技術である新エチレン法(アルファ法)を用いた、米国におけるMMAモノマーのプラント建設プロジェクト(生産能力:35万トン/年)について、今般プラントの建設を前提にルイジアナ州ガイスマーの土地を取得しました。2022年半ばを目途に投資の最終判断を行い、2025年中の稼働を目標としています。
ハ 産業ガスセグメント(産業ガス)
当セグメントの売上収益は8,118億円(前連結会計年度比315億円減)となり、コア営業利益は851億円(同29億円減)となりました。
産業ガスにおいては、エレクトロニクス関連向けガスが好調に推移したものの、国内外の需要が総じて減退したことにより、売上収益及びコア営業利益はともに減少しました。
当連結会計年度に当セグメントにて実施又は発生した主な事項は、以下のとおりです。
・大陽日酸㈱は、グローバルガスメジャーとして競争力のあるグループ運営体制を構築するため、2020年10月1日に持株会社体制へ移行し、商号を日本酸素ホールディングス㈱に変更しました。
ニ ヘルスケアセグメント(医薬品、ライフサイエンス)
当セグメントの売上収益は3,906億円(前連結会計年度比25億円減)となり、コア営業利益は179億円(同14億円増)となりました。
医薬品においては、国内医療用医薬品で薬価改定等の影響を受けたものの、重点品の販売数量が伸長したことにより、売上収益は前期並みとなりました。コア営業利益は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う活動自粛等による販売費や研究開発費の減少により増加しました。なお、ノバルティス・ファーマ社(スイス)に導出した多発性硬化症治療剤「ジレニア」のロイヤリティ収入については、2019年2月に仲裁手続に入ったためロイヤリティ収入の一部について、IFRS第15号に従い売上収益の認識を行わないこととしました。当連結会計年度におきましても、仲裁手続が継続しているため、ロイヤリティ収入の一部について、売上収益の認識を行っておりません。
当連結会計年度に当セグメントにて実施又は発生した主な事項は、以下のとおりです。
・田辺三菱製薬㈱は、エダラボン(一般名)(米国製品名:「ラジカヴァ」)の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の適応症について、日本・韓国・米国・カナダ・スイス・中国に次ぎ、2020年7月にインドネシアで承認を取得しました。
・田辺三菱製薬㈱の連結子会社であるメディカゴ社(本社:カナダ・ケベック市)は、新型コロナウイルス感染症の予防をめざした植物由来のウイルス様粒子(Virus Like Particle)ワクチン「MT-2766」について、カナダおよび米国において、第2/3相臨床試験の第3相パートを2021年3月に開始しました。
・田辺三菱製薬㈱は、「ユプリズナ点滴静注100mg」について、視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防を適応症とした国内での承認を2021年3月に取得しました。
・㈱生命科学インスティテュートは、急性心筋梗塞、脳梗塞、表皮水疱症、脊髄損傷に加え、2021年1月に筋萎縮性側索硬化症(ALS)を対象としたMuse細胞製品「CL2020」の臨床試験を開始しました。
ホ その他
その他部門の売上収益は1,630億円(前連結会計年度比195億円減)となり、コア営業利益は119億円(同4億円減)となりました。
なお、当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、また、受注生産形態をとらない製品も多く、セグメント毎に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
また、主な販売先別の販売実績及び総販売額実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
② キャッシュ・フロー
(金額単位:億円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 4,520 | 4,671 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △876 | △2,170 |
| フリー・キャッシュ・フロー | 3,644 | 2,501 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △4,505 | △1,428 |
| 為替換算差等 | △72 | 141 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 2,282 | 3,496 |
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益や減価償却費に加え、原料価格の下落等による運転資本の減少などにより、4,671億円の収入(前連結会計年度比151億円の収入の増加)となりました。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、手元運用資金を圧縮したことや有形固定資産の売却等による収入があったものの、有形固定資産及び無形資産の取得2,570億円などにより、2,170億円の支出(同1,294億円の支出の増加)となり、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フロー)は、2,501億円の収入(同1,143億円の収入の減少)となりました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローにおいては、田辺三菱製薬㈱の株式の追加取得で954億円、配当金の支払いで451億円を支出したことなどにより、財務活動によるキャッシュ・フローは1,428億円の支出(同3,077億円の支出の減少)となりました。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末と比べて1,214億円増加し、3,496億円となりました。
③ 財政状態
(金額単位:億円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 資産 | 51,321 | 52,872 | |
| 負債 | 36,813 | 37,161 | |
| (内、有利子負債) | 23,881 | 24,824 | |
| 資本 | 14,508 | 15,711 | |
| 親会社所有者帰属持分比率(%) | 22.8 | 23.4 | |
| ネットD/Eレシオ (注) | 1.79 | 1.73 | |
(注) ネットD/Eレシオ=ネット有利子負債(*1)/親会社の所有者に帰属する持分
(*1)ネット有利子負債=有利子負債-(現金及び現金同等物+手元資金運用額(*2))
(*2)手元資金運用額は、当社グループが余剰資金の運用目的で保有する現金同等物以外の
譲渡性預金・有価証券等であります。
当連結会計年度末の資産合計は、ニューロダーム社(イスラエル)の無形資産にかかる減損等がありましたが、円安の進行に伴う在外連結子会社の資産の円貨換算額の増加や、新型コロナウイルス感染症の影響による不測の事態への備え等により現金及び現金同等物を確保したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,551億円増加し、5兆2,872億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、仕入減少に伴う営業債務の減少等がありましたが、円安の進行に伴う在外連結子会社の負債の円貨換算額の増加等により、前連結会計年度末に比べ348億円増加し、3兆7,161億円となりました。
なお当連結会計年度末のリース負債を含む有利子負債は、前連結会計年度末に比べ943億円増加し、2兆4,824億円であります。
当連結会計年度末の資本合計は、親会社の所有者に帰属する当期損失の計上がありましたが、在外営業活動体の換算差額の増加等により前連結会計年度末に比べ1,203億円増加し、1兆5,711億円となりました。
これらの結果、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末と比べて0.6ポイント増加し、23.4%となりました。なお、ネットD/Eレシオは、前連結会計年度末と比べて0.06減少し、1.73となりました。
(2) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画「APTSIS20」に対する達成・進捗状況については、以下のとおりです。
| 財務指標 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | APTSIS20 (2020年度目標) |
| コア営業利益 | 1,948億円 | 1,747億円 | 4,100億円 |
| ROS(売上収益コア営業利益率) | 5.4% | 5.4% | 9% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益(△損失) | 541億円 | △76億円 | 2,200億円 |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 4.2% | △0.6% | 13% |
| ネットD/Eレシオ(負債資本倍率) | 1.79 | 1.73 | 1.0 |
(金額単位:億円)

コア営業利益は、2017年度に3,800億円まで達したものの、2018年度以降は、「ジレニア」のロイヤリティ収入の一部について2019年2月に仲裁手続に入ったことにより、IFRS第15号に従い売上収益の認識を行っていないことや、米中貿易摩擦、新型コロナウイルス感染症の影響等により収益が悪化しました。中期経営計画最終年度である当連結会計年度においては、田辺三菱製薬㈱によるニューロダーム社の買収により取得した技術に係る無形資産(仕掛研究開発費)及びルーサイト・インターナショナル社(アメリカ)のボーモント(テキサス州)におけるMMAモノマー及びMAA工場の設備について減損損失を計上したこと等により親会社の所有者に帰属する当期利益(△損失)は△76億円となりました。
② 経営環境と今後の見通し
当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の再拡大によるリスクに十分留意する必要があるものの、各国が社会経済活動のレベルを引き上げていく中で緩やかな改善が見込まれます。
このような状況下、当社グループにおいては、当連結会計年度下期以降のケミカルズセグメントの一部製品における堅調な市況の継続、機能商品セグメントにおける自動車用途等での需要の継続、産業ガスセグメントにおける需要の継続が見込まれます。また、ヘルスケアセグメントにおいては新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの2021年内のカナダでの実用化に向けて開発を進めてまいります。
以上を踏まえ、翌連結会計年度の連結業績につきましては、売上収益は3兆6,600億円、コア営業利益は2,300億円、営業利益は2,160億円、税引前利益は2,000億円、当期利益は1,400億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は970億円となる見込みです。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
① 財務政策
当社グループは、中期経営計画「APTSIS20」において、「機能商品、素材、ヘルスケア分野の事業を通じて、高成長・高収益型の企業グループをめざす」を基本方針に掲げ、コア営業利益、ROS(売上収益コア営業利益率)、親会社の所有者に帰属する当期利益、ROE(親会社所有者帰属持分利益率)及びネットD/Eレシオを基礎的経営指標として選定し、「成長事業への投資」、「株主還元の充実」及び「財務体質の強化」の適切なバランスを維持し、企業価値の向上を図ってまいりました。
財務体質を強化するため、資産の効率化にも取り組み、着実に進展しました。個々の会社による資金管理から極(地域)ごとでの一体的な資金管理にシフトしてグループ内の資金調達・管理を一元化することで、資金の効率的な活用と調達コストの削減を実現するキャッシュ・マネジメントシステム(CMS)の欧米日亜4極体制の確立に取り組んだほか、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮化、定期的な保有意義の検証を通じた、保有意義の低下した資産の売却等の施策を実施しました。新中期経営計画「APTSIS25」においてもこの方針を継続し、Step1の期間である2021年度及び2022年度の2年間で1,800億円の財務構造改革達成をめざしてまいります。
また、当社グループは、ネットD/Eレシオを基礎的経営指標として、収益の改善とともに財務基盤の安定強化に努めております。前連結会計年度において当社の連結子会社である田辺三菱製薬㈱を完全子会社化したことにより一時的に悪化しましたが、当連結会計年度においてはネットD/Eレシオは1.73と前連結会計年度比0.06の改善となりました。今後も資本効率化の施策を通じて有利子負債を着実に削減し、2024年3月期までに1.0以下の水準に改善するよう引き続き努めてまいります。
② 企業価値の向上
当社グループでは、資本コストを意識した経営に取り組んでおり、複数の手法から資本コストを推計し経営指標の策定や投資判断に活用しております。企業価値向上のため、株主資本コストを上回るROEを経営指標として設定するとともに、ROICが加重平均資本コスト(WACC)を下回るような低収益事業は従来より見直しの対象にしてまいりました。今後のポートフォリオマネジメントにあたっては、そうしたMOE中心の評価から、サステナビリティ貢献、イノベーションの余地を含む総合評価に見直し、中長期的な成長に貢献する事業を見極めてまいります。
また、2011年度より本格的に推進してきたKAITEKI経営において、企業価値=KAITEKI価値の向上に取り組み、その成果についてはKAITEKI REPORT(統合報告書)などで開示してきた結果、Dow Jones Sustainability World Indicesの構成銘柄に4年連続で採用され、KAITEKI REPORTがWICIジャパン統合リポート・アウォード2020の「優良企業賞(シルバー・アウォード)」、日経アニュアルリポートアウォード2020の「準グランプリ」を受賞するなど評価いただけることも多くなってまいりました。今後もKAITEKI価値の向上に努めるとともに、海外向けも含めIR情報発信の充実・投資家などとのエンゲージメントの推進を通じ、企業リスクを下げることにより、資本コストの低減、ひいては企業価値の向上に努めてまいります。
③ 資金調達及び資金需要
当社グループは、運転資金及び設備資金については、内部資金に加え借入金、社債等による調達を実施しているほか、複数の金融機関とのコミットメント・ラインの設定に加え複数の金融機関との間のアンコミットメントベースの当座借越契約、コマーシャル・ペーパー発行枠及び国内社債発行登録枠等の確保により資金調達手段の多様化を図り、十分な流動性の確保を行っております。
当社グループは調達した資金を、新中期経営計画「APTSIS25」のもと、Step1の期間である2021年度から2022年度において、設備投資に4,500億円、投融資に1,000億円、R&D投資に3,000億円を配分することを計画しておりますが、投資の実行にあたっては事業環境等を見極めながら慎重に検討を行っております。
④ 配当政策
株主還元については、企業価値の向上を通して株主価値の向上を図ることを基本方針としており、配当については、成長投資・財務体質の改善とのバランスを考慮しつつ、中期的な利益水準の30%を連結配当性向の目安として安定的に配当を実施することとしております。また、経営環境の変化に対応して自己株式の取得等の機動的な資本政策を遂行しております。
当連結会計年度においては、上期を中心に自動車用途等の需要が低調に推移するなど新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響を受け、下期以降は経済活動の回復とともに国内外の需要が持ち直し全般的に回復基調となったものの、コア営業利益は減少し、親会社の所有者に帰属する当期利益(△損失)は△76億円となりましたが、上記の株主還元にかかる当社の基本方針を踏まえ、中間配当金・期末配当金ともに前事業年度と同額の当社普通株式1株につき12円の配当としました。
当事業年度の剰余金の配当の実績については、「第4 提出会社の状況 3.配当政策」をご参照ください。
(4) 重要な会計上の見積り
連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。見積り及びその基礎となる仮定は、継続して見直されます。会計上の見積りの変更による影響は、その見積りが変更された会計期間及び影響を受ける将来の会計期間において認識されます。
当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある会計上の判断、見積り及び仮定に関する主な情報は、以下のとおりであります。
1.非金融資産の減損
(1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
当社グループは、連結財政状態計算書に、有形固定資産1,813,838百万円、のれん 671,889百万円、無形資産 455,317百万円(うち、耐用年数を確定できない無形資産及び未だ使用可能でない無形資産 79,474百万円)を計上しております。
なお、当連結会計年度において減損損失を127,193百万円計上し、連結損益計算書の「その他の営業費用」に含めております。その主な内訳は、田辺三菱製薬㈱によるニューロダーム社の買収により取得した技術に係る無形資産(仕掛研究開発)及びルーサイト・インターナショナル社(アメリカ)のボーモント(テキサス州)におけるMMAモノマー及びMAA工場の設備であります。減損損失の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 16.減損損失」をご参照ください。
(2) 連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報
①算出方法
当社グループは有形固定資産、のれん及び無形資産について、減損の兆候がある場合、及び資産に年次の減損テストが必要な場合、その資産の使用価値や処分費用控除後の公正価値の算定を行っております。
使用価値の算定にあたっては、貨幣の時間価値及びその資産に特有のリスクについて現在の市場の評価を反映した税引前の割引率を用いて、見積将来キャッシュ・フローの割引現在価値を計算しております。なお、将来キャッシュ・フローの見積りにあたって利用する事業計画は原則として5年を限度とし、事業計画の予測の期間を超えた後の将来キャッシュ・フローは個別の事情に応じた長期平均成長率をもとに算定しております。
②主要な仮定
使用価値の算定における主要な仮定は以下のとおりであります。
(技術に係る無形資産(仕掛研究開発))
規制当局の販売承認の取得の可能性、上市後の売上収益の予測及び割引率
(有形固定資産・上記を除く無形資産、のれん)
原則として5年を限度とする事業計画における将来キャッシュ・フローの見積り、割引率及び成長率。将来 キャッシュ・フローの見積額は主として、売上収益の予測及び市場の成長率に影響を受けます。
③翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響
主要な仮定について、経営者は妥当と判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、前提とした状況が変化すれば回収可能価額の算定結果が異なる可能性があります。なお、提出日現在において、これらの見積りの見直しが必要となる事象は生じておりません。
2. 繰延税金資産の回収可能性
(1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
繰延税金資産(純額) 67,346百万円
(2) 連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報
①算出方法
当社グループでは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、予定される繰延税金負債の取崩、予測される将来課税所得及びタックス・プランニングを考慮し、繰延税金資産を計上しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (7) 法人所得税」をご参照ください。
②主要な仮定
将来課税所得の基礎となる将来の事業計画における主要な仮定は売上収益の予測及び原料価格の市況推移の見込みです。
③翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響
認識された繰延税金資産については、過去の課税所得水準及び将来減算一時差異と繰越欠損金の解消が予測される期間の予測に基づき、回収される可能性が高いと考えております。これらの仮定は、経営者は妥当と判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、将来課税所得の結果が予測・仮定と異なる場合は繰延税金資産の回収可能性の評価が異なる可能性があります。
3. 確定給付制度債務の測定
(1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
退職給付に係る負債 112,272百万円
(2) 連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報
確定給付制度に係る負債又は資産は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除して算定しております。確定給付制度債務は年金数理計算により算定しており、その前提条件には割引率等の見積りが含まれております。経営者は、使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、金利環境の変動等により前提条件と実際の結果が異なる場合又は前提条件に変化がある場合には、確定給付制度債務の評価額が異なる可能性があります。
確定給付制度債務にかかる詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 28.退職給付」をご参照ください。
4. 金融商品の公正価値
(1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
株式及び出資金(同一の資産又は負債の活発な市場における無調整の公表価格により測定された公正価値により測定している資産を除く) 133,322百万円
なお、上記の金額は、連結財政状態計算書の「その他の金融資産」及び「売却目的で保有する資産」に含めております。
(2) 連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報
当社グループにおいて活発な市場における公表価格が入手できない非上場株式及び出資金の公正価値は、合理的に入手可能なインプットにより、類似企業比較法又はその他の適切な評価技法を用いて算定しております。経営者は選択された価値評価技法と使用した仮定は、金融商品の公正価値を評価する際において適切であると判断しておりますが、これらの評価技法とインプットは将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、予測不能な前提条件の変化等により金融商品の評価に関する見積りが変化した場合には、公正価値の評価額が異なる可能性があります。
詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 36.金融商品 (8) 金融商品の公正価値」をご参照ください。
また、上記のほか、当連結会計年度において見積りを行う上での特に重要な仮定は以下のとおりであります。
(新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定)
新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により当連結会計年度においては経済活動が抑制され、需要が落ち込みました。一部の国・地域においては既に流行前の水準まで回復しているものの、当連結会計年度末においても依然先行きが不透明な状況が継続していることから2022年度まではその影響が残ると仮定して、繰延税金資産の評価における将来の課税所得や非金融資産の減損テストにおける将来キャッシュ・フローなどの見積りを行っております。