有価証券報告書-第14期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/25 14:23
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【項目】
89項目
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
① 業績全般
当社グループの当連結会計年度における事業環境は、ヘルスケア分野における2018年4月に実施された薬価改定の影響や、機能商品分野における需要の減速や原料高の影響はあったものの、上期は素材分野において市況が好調に推移しました。一方で、下期は米中貿易摩擦の深刻化等への警戒感から、一部の製品において需給が緩和するなど、先行きに対する不透明感が高まりました。
このような状況の下、売上収益は、3兆9,234億円(前連結会計年度比1,990億円増)となりました。利益面では、コア営業利益は3,172億円(同633億円減)、営業利益は2,980億円(同577億円減)、税引前利益は2,881億円(同560億円減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は、1,695億円(同423億円減)となりました。
(金額単位:億円)
前連結会計年度
自 2017年4月1日
至 2018年3月31日
当連結会計年度
自 2018年4月1日
至 2019年3月31日
増減額増減率(%)
売上収益37,24439,2341,9905.3
コア営業利益3,8053,172△633△16.6
非経常項目△248△19256
営業利益3,5572,980△577△16.2
金融収益/費用△116△9917
税引前利益3,4412,881△560△16.3
法人所得税△677△714△37
当期利益2,7642,167△597△21.6
親会社の所有者に帰属する当期利益2,1181,695△423△20.0
非支配持分に帰属する当期利益646472△174

(注)1 当社グループは、IFRS(国際会計基準)に基づいて、連結財務諸表を作成しております。
2 コア営業利益は、営業利益(または損失)から非経常的な要因により発生した損益(事業撤退や縮小から生じる損失等)を除いて算出しております。
② 売上収益及びコア営業利益
各セグメントにおける売上収益及びコア営業利益の状況は、以下のとおりです。
(金額単位:億円)
セグメント前連結会計年度当連結会計年度増減額
売上収益コア営業利益売上収益コア営業利益売上収益コア営業利益
機能商品11,45994011,701686242△254
ケミカルズ11,7731,47912,7071,311934△168
産業ガス6,3875757,32863394158
ヘルスケア5,5668125,457569△109△243
その他2,059712,04176△184
調整額-△72-△103-△30
合計37,2443,80539,2343,1721,990△633

(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
イ 機能商品セグメント(機能部材、機能化学)
当セグメントの売上収益は1兆1,701億円(前連結会計年度比242億円増)となり、コア営業利益は686億円(同254億円減)となりました。
機能部材サブセグメントにおいては、高機能成形材料の高機能エンジニアリングプラスチック等の販売数量が増加したものの、下期を中心に需要が減速する中、情電・ディスプレイ関連製品等で販売数量が減少し、売上収益は前期並みとなりました。
機能化学サブセグメントにおいては、高機能ポリマーのフェノール・ポリカーボネートチェーンの市況が、下期において下落したものの上期は好調に推移したことに加え、新エネルギー関連製品の自動車用電池材料の販売数量が伸長したことにより、売上収益は増加しました。
当セグメントのコア営業利益は、総じて原料価格が上昇したことに加え、固定費の増加及び高機能ポリマーのフェノール・ポリカーボネートチェーンにおける定期修理の影響等により、減少しました。
ロ ケミカルズセグメント(MMA、石化、炭素)
当セグメントの売上収益は1兆2,707億円(前連結会計年度比934億円増)となり、コア営業利益は1,311億円(同168億円減)となりました。
MMAサブセグメントにおいては、下期において中国を中心に需要の減速がみられたものの、上期はMMAモノマー等の市況が好調に推移したことにより、売上収益は前期並みとなりました。
石化サブセグメントにおいては、エチレンセンターの定期修理の影響が拡大したことにより販売数量が減少したものの、原料価格が上昇したことに伴い販売価格が上昇し、売上収益は増加しました。
炭素サブセグメントにおいては、コークス等の需要が堅調に推移する中、ニードルコークスの市況が上昇したこと等により、売上収益は増加しました。
当セグメントのコア営業利益は、炭素製品において原料と製品の価格差が拡大したものの、石化製品において定期修理の影響が拡大したこと及び昨年末以降の原料価格急落に伴う在庫評価損が発生したことに加え、MMAにおいて販売数量が減少したこと等により、減少しました。
ハ 産業ガスセグメント(産業ガス)
当セグメントの売上収益は7,328億円(前連結会計年度比941億円増)となり、コア営業利益は633億円(同58億円増)となりました。
産業ガスは、海外事業が堅調に推移したことに加え、プラクスエア社(米国)の欧州事業の一部及びリンデ・ガス・ノース・アメリカ社の米国HyCO事業の一部の取得等により、売上収益、コア営業利益はともに増加しました。
ニ ヘルスケアセグメント(医薬品、ライフサイエンス)
当セグメントの売上収益は5,457億円(前連結会計年度比109億円減)となり、コア営業利益は569億円(同243億円減)となりました。
医薬品においては、米国で筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬「ラジカヴァ」が伸長したものの、国内医療用医薬品において、2018年4月に実施された薬価改定やロイヤリティ収入の減少等により、売上収益は減少しました。コア営業利益は、売上収益の減少の影響に加え研究開発費の増加等により、減少しました。なお、ノバルティス・ファーマ社(スイス)に導出した多発性硬化症治療剤「ジレニア」のロイヤリティ収入については、仲裁手続きに入ったことを受け、IFRS第15号に従い一部を認識しないことによる減少がありました。
ホ その他
その他部門の売上収益は2,041億円(前連結会計年度比18億円減)となり、コア営業利益は76億円(同4億円増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上収益コア営業利益率(ROS)については8.1%となり、前連結会計年度(10.2%)を下回りました。
なお、当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、また、受注生産形態をとらない製品も多く、セグメント毎に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
また、主な販売先別の販売実績及び総販売額実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
③ 非経常項目と営業利益
当連結会計年度の非経常項目は、減損損失118億円、固定資産除売却損85億円等の発生により、192億円の損失(前連結会計年度比56億円の損失減)となりました。
なお、非経常項目の主な内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.事業セグメント」セグメント損益から、税引前利益への調整についての説明に記載のとおりです。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は2,980億円(同577億円減)となりました。
④ 金融収益/金融費用と税引前利益
当連結会計年度における金融収益は、受取利息及び受取配当金の増加等により102億円(前連結会計年度比18億円増)となりました。
当連結会計年度における金融費用は、為替差損の減少がありましたが、大陽日酸㈱による欧米事業取得に係る有利子負債の増加に伴う支払利息の増加により201億円(同1億円増)となりました。
なお、金融収益及び金融費用の主な内訳については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 10.金融収益及び金融費用」に記載のとおりです。
以上の結果、当連結会計年度の税引前利益は2,881億円(同560億円減)となりました。
⑤ 法人所得税と当期利益
当連結会計年度における法人所得税は714億円(前連結会計年度比37億円増)となりました。税引前利益が前連結会計年度比減少となっている一方で、法人所得税が増加した理由は、主に前連結会計年度において米国連邦法人税率の引き下げに伴う繰延税金負債の取崩しがあった影響です。
税効果適用後の法人所得税負担税率は24.8%となり、法定実効税率との差は5.8ポイントとなりました。
なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11.法人所得税」に記載のとおりです。
以上の結果、当連結会計年度における当期利益は2,167億円(同597億円減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,695億円(同423億円減)となりました。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、大陽日酸㈱が欧米事業を取得したことに伴い固定資産及びのれんを中心に増加したこと等により、5兆5,725億円(前連結会計年度末比8,711億円増)となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、同取得のための資金調達等に伴い有利子負債が増加したこと等により、3兆5,466億円(同7,647億円増)となりました。
当連結会計年度末の資本合計は、配当金の支払いや自己株式の取得等による減少はありましたが、当期利益の計上等により増加し、2兆259億円(同1,064億円増)となりました。
これらの結果、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末と比べて2.6ポイント減少し、24.7%となりました。
当連結会計年度末における主な勘定科目の残高及び増減内容は次のとおりです。
資産
下記の各勘定科目は、主に大陽日酸㈱による欧米事業の取得に伴い増加しました。
(営業債権)
当連結会計年度末残高は8,551億円(前連結会計年度末比3億円増)となりました。
(棚卸資産)
当連結会計年度末残高は6,230億円(同153億円増)となりました。
(有形固定資産及び無形資産)
当連結会計年度末残高は2兆2,521億円(同4,634億円増)となりました。
(のれん)
当連結会計年度末残高は6,488億円(同3,246億円増)となりました。
負債
(有利子負債)
大陽日酸㈱による欧米事業取得のための資金調達等により、2兆2,468億円(同6,407億円増)となりました。
資本
(利益剰余金)
親会社の所有者に帰属する当期利益の計上等により、10,739億円(同1,170億円増)となりました。
(3) キャッシュ・フロー
(金額単位:億円)
前連結会計年度当連結会計年度
営業活動によるキャッシュ・フロー3,9794,156
投資活動によるキャッシュ・フロー△3,359△8,951
フリー・キャッシュ・フロー620△4,795
財務活動によるキャッシュ・フロー△1,5065,191
為替換算差等2743
現金及び現金同等物の期末残高2,7763,215

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度においては、税引前利益の計上等により4,156億円の収入(前連結会計年度比177億円の収入の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度においては、資産売却や事業ポートフォリオ改革に伴う事業売却を進める一方、大陽日酸㈱による欧米事業取得等により、8,951億円の支出(同5,592億円の支出の増加)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度においては、大陽日酸㈱による欧米事業取得の資金を短期及び長期借入金や社債により調達したこと等により、5,191億円の収入(同6,697億円の収入の増加)となりました。
これらの結果、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フロー(営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フロー)は4,795億円の支出(同5,415億円の支出の増加)となり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べて439億円増加し、3,215億円となりました。
(4) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、中期経営計画「APTSIS 20」のもと、「機能商品、素材、ヘルスケア分野の事業を通じて、高成長・高収益型の企業グループをめざす」を基本方針に掲げ、コア営業利益、ROS(売上収益コア営業利益率)、親会社の所有者に帰属する当期利益、ROE(親会社所有者帰属持分利益率)及びネットD/Eレシオを基礎的経営指標として、「成長事業への投資」、「株主還元の充実」及び「財務体質の強化」の適切なバランスを維持し、企業価値の向上を図ってまいります。
当社グループは、運転資金及び設備資金については、内部資金又は借入金、社債等により調達しております。また、当社グループは、資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。さらに、グループ内の資金調達・管理の一元化を行い、より一層グループ全体の資金効率化を進めてまいります。
(5) 経営環境と今後の見通し
日本経済は、雇用・所得環境の改善が続くなかで、緩やかな回復が継続することが見込まれるものの、世界経済全体では、米国・中国間の通商問題や、英国のEU離脱問題の動向等が懸念され、引き続き先行き不透明な状況が見込まれます。
このような状況下、当社グループにおいては、ケミカルズセグメントの一部製品において当連結会計年度下期に軟調になった市況が継続し、また、ヘルスケアセグメントにおいて薬価改定の影響及びロイヤリティ収入の減少等が見込まれるものの、産業ガスセグメントにおける当連結会計年度下期に取得した欧米事業の通年寄与に加えて、機能商品セグメントにおける米国のポリエステルフィルムや国内の光学用ポリビニルアルコールフィルム等の新増設プラントが収益に通年寄与します。更には、拡販やコスト削減にも継続して取り組んでまいります。
以上を踏まえ、翌連結会計年度の業績につきましては、売上収益は4兆800億円、コア営業利益は3,000億円、営業利益は3,000億円、税引前利益は2,780億円、当期利益は2,130億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,680億円となる見込みです。
今後の予想
財務指標前連結会計年度(2017年度実績)当連結会計年度(2018年度実績)翌連結会計年度(2019年度予想)2020年度
目標
(注1)
コア営業利益(億円)3,8053,1723,0004,100
ROS(売上収益コア営業利益率)(%)10.28.17.49.0
親会社の所有者に帰属する当期利益(億円)2,1181,6951,6802,200
ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)(%)17.812.713.0
ネットD/Eレシオ(倍)0.891.261.0

(注)1 当連結会計年度において、2020年度の財務指標目標値を見直ししております。
詳細は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
上記の見通しにおける主要指標の想定値は以下のとおりです。
当連結会計年度
(2018年度実績)
翌連結会計年度
(2019年度想定値)
設備投資額(億円)2,3172,980
減価償却費(注2)(億円)1,9932,390
研究開発費(億円)1,4381,510
為替(注3)(円/$)111110
ナフサ価格(注3)(円/KL)49,40048,000

(注)2 翌連結会計年度の減価償却費は、IFRS第16号「リース」の適用による影響を含めております。
3 それぞれ、2018年4月~2019年3月、2019年4月~2020年3月の平均
(6) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
(IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異)
日本基準では、のれんの償却については一定期間にわたり償却をしておりました。IFRSでは、IFRS移行日以降の償却を停止しております。
この影響により、当連結会計年度において、IFRSでは日本基準に比べて「販売費及び一般管理費」が346億円減少しております。

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