有価証券報告書-第139期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析内容は以下のとおりです。
また、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っています。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2019年12月31日)現在において当社が判断したものです。
(1) 経営成績の概況及び分析
当連結会計年度における世界経済は、長期化する米中貿易戦争と各地域における地政学的リスクの顕在化に伴い、期を追うごとに不確実性が増大し、減速の傾向が浮き彫りになりました。かかる状況下、当社グループの業績においても、売上高は前年同期比27,188百万円(4.5%)減の575,807百万円、営業利益は11,620百万円(17.7%)減の54,173百万円、経常利益は12,896百万円(21.1%)減の48,271百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は1,956百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益33,560百万円)と前年同期を下回る結果となりました。なお、当連結会計年度において、2018年5月に米国子会社で発生した火災事故に対する訴訟に関し、和解費用を含む合理的に見積りが可能な損失など(50,590百万円)を特別損失に、受取保険金(10,360百万円)を特別利益に計上しました。
当社グループは2018年度より中期経営計画「PROUD 2020」をスタートさせました。最終年度となる2020年度においても、ありたい姿である「独自の技術に新たな要素を取り込み、持続的に成長するスペシャリティ化学企業」を目指して、「PROUD 2020」で掲げた主要経営戦略の具体的施策を順次実施し、中長期的な視点に基づく、新たな事業ポートフォリオ構築に継続して取り組んでまいります。
[ビニルアセテート]
当セグメントの売上高は266,105百万円(前年同期比4.8%減)、営業利益は47,368百万円(同13.5%減)となりました。
① ポバール樹脂は景気減速により販売量が減少しました。光学用ポバールフィルムは、液晶パネルの在庫調整の影響を受け、出荷が減少しました。なお、倉敷事業所の設備増強工事は第4四半期連結会計期間に完了しました。PVBフィルムは、建築用途でアイオノマーガラス中間膜<セントリグラス>の需要が伸長しましたが、自動車用途は苦戦しました。一方、水溶性ポバールフィルムは個包装洗剤用途の販売が拡大しました。
② EVOH樹脂<エバール>は、ガソリンタンク用途で自動車生産台数減少の影響を受けました。食品包材用途は、第3四半期以降、徐々に販売の回復が進みましたが、年度では数量が減少しました。
[イソプレン]
当セグメントの売上高は53,276百万円(前年同期比6.9%減)、営業利益は4,232百万円(同41.8%減)となりました。
① イソプレン関連では、景気減速の影響を受け、熱可塑性エラストマー<セプトン>の販売量が減少しました。
② 耐熱性ポリアミド樹脂<ジェネスタ>は、電気・電子デバイス向けの需要が停滞しました。一方、車載用コネク
タ向けの新規採用が進みました。
[機能材料]
当セグメントの売上高は125,982百万円(前年同期比4.2%減)、営業利益は3,836百万円(同12.7%減)となりました。
① メタクリルは、樹脂の販売が減少したことに加え、市況悪化の影響を受けました。
② メディカルは、歯科材料の審美修復関連製品を中心に堅調に推移しました。
③ カルゴン・カーボンは、北米での需要は底堅く推移しましたが、欧州は需要停滞に伴い伸び悩みました。炭素材料は高付加価値品の販売が拡大しました。
[繊維]
当セグメントの売上高は64,513百万円(前年同期比0.3%減)、営業利益は5,654百万円(同9.9%減)となりました。
① 人工皮革<クラリーノ>は、ラグジュアリー商品用途が引き続き堅調に推移しましたが、靴用途は苦戦しました。
② 繊維資材は、ビニロンでセメント補強用が低調に推移し、ゴム資材向けも自動車生産台数減少の影響を受けました。一方、<ベクトラン>は輸出を中心に拡大しました。
③ 生活資材は、<クラフレックス>で汎用品の数量が減少しましたが、高付加価値品の販売が拡大しました。
[トレーディング]
繊維関連事業は、スポーツ衣料用途などの縫製品販売が堅調に推移し、高機能原糸の輸出も拡大しました。一方、樹脂・化成品関連事業は中国向けを中心に輸出が苦戦しました。その結果、売上高は130,911百万円(前年同期比5.7%減)、営業利益は4,224百万円(同0.2%増)となりました。
[その他]
その他事業は、国内関連会社の販売が低調であったことにより、売上高は51,128百万円(前年同期比11.9%減)、営業利益は649百万円(同44.9%減)となりました。
(2) 当期の財政状態の概況
総資産は、有形固定資産の増加57,381百万円等の一方、無形固定資産の減少14,215百万円等により前連結会計年度末比44,053百万円増の991,149百万円となりました。負債は、コマーシャル・ペーパーの発行24,000百万円、未払費用の増加38,289百万円及びその他固定負債の増加17,087百万円等の一方、短期借入金の減少11,675百万円等により前連結会計年度末比72,541百万円増の452,604百万円となりました。有形固定資産及びその他固定負債増加の要因は、主として当連結会計年度より一部の海外関係会社について「リース」(IFRS第16号)を適用したため、使用権資産とリース負債がそれぞれ増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末比28,488百万円減少し、538,545百万円となりました。自己資本は525,151百万円となり、自己資本比率は53.0%となりました。
(3) 当期のキャッシュ・フローの概況
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
税金等調整前当期純利益2,893百万円に対して、減価償却費58,158百万円、未払いの訴訟関連損失39,394百万円、売上債権の減少5,724百万円及び法人税等の支払額19,308百万円等により、営業活動によるキャッシュ・フローは95,577百万円の収入となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
定期預金の増加4,984百万円及び有形及び無形固定資産の取得87,105百万円等の支出により、投資活動によるキャッシュ・フローは89,369百万円の支出となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
コマーシャル・ペーパーの純増額24,000百万円及び長期借入れ7,744百万円等の収入に対して、長期借入金の返済12,050百万円及び配当金の支払い額14,595百万円等の支出により、財務活動によるキャッシュ・フローは1,517百万円の支出となりました。
以上の要因に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額等により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より4,621百万円増加して、75,967百万円となりました。
(単位:百万円)
| 2018年12月期 | 2019年12月期 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 75,171 | 95,577 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △186,982 | △89,369 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | 114,088 | △1,517 |
| 現金及び現金同等物に係る換算差額 | △1,210 | △70 |
| 現金及び現金同等物の増減額 | 1,065 | 4,620 |
| 現金及び現金同等物の期首残高 | 70,234 | 71,345 |
| 新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額 | 45 | 1 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 71,345 | 75,967 |
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標は以下のとおりです。
| 2015年12月期 | 2016年12月期 | 2017年12月期 | 2018年12月期 | 2019年12月期 | |
| 自己資本比率(%) | 70.7 | 70.7 | 71.7 | 58.6 | 53.0 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 73.7 | 85.1 | 96.0 | 57.1 | 46.2 |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 0.6 | 0.6 | 0.7 | 2.9 | 2.5 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 128.7 | 127.1 | 116.0 | 62.7 | 68.5 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表数値により計算しています。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。
4.有利子負債は短期借入金、コマーシャル・ペーパー、長期借入金及び社債の合計額を使用しています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
5.2018年12月期より、たな卸資産の評価方法を変更しています。当該会計方針の変更は遡及適用されるため、2017年12月期の数値は遡及適用後を記載しています。
(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの必要資金は、当社グループ製品の製造販売に係る原材料費、経費、販売費及び一般管理費等の運転資金及び、設備投資、M&A等に係る投資資金が主なものです。
財務状況は健全性を保っており、現金及び現金同等物、有価証券などの流動性資産に加え、営業活動によるキャッシュ・フロー、借入金、社債等による資金調達により、事業拡大に必要な資金を十分に賄えると考えています。また、緊急に資金が必要となる場合や金融市場の混乱に備え、金融機関とコミットメントライン契約、当座貸越契約等を締結し、資金流動性を確保しています。
(5) 生産、受注及び販売の状況
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績の概況及び分析」における各セグメントの業績に関連付けて示しています。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因と対応
経営成績に重要な影響を与える要因と対応については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しています。