四半期報告書-第143期第2四半期(2023/04/01-2023/06/30)

【提出】
2023/08/09 14:21
【資料】
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【項目】
36項目
当第2四半期連結累計期間における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析内容は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2023年1月1日~2023年6月30日)における世界経済は、サプライチェーンの混乱収束や半導体不足による供給制限の緩和などにより、一部の地域を除いて緩やかに回復しました。一方で、インフレ抑制のための各国における金融引き締めの継続や、回復が期待されたものの力強さを欠く中国経済、出口の見えないロシア・ウクライナ情勢など、先行き不透明な状況が続きました。
かかる環境下、当社グループの業績においては、売上高は前年同期比22,957百万円(6.4%)増の380,998百万円、営業利益は2,880百万円(7.6%)増の40,970百万円、経常利益は642百万円(1.7%)増の38,538百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は2,364百万円(9.8%)減の21,842百万円となりました。
2018年5月に米国子会社で発生した火災事故に関して提起された民事訴訟について、訴え却下の申立てが認められる見込みの1名を除き、係争中であったすべての原告との間で2023年4月に和解が成立しました。これに伴い、当第2四半期連結累計期間において、本件訴訟などに関する訴訟関連損失として7,520百万円を特別損失に計上しています。なお、この1名については、2023年7月に訴え却下の申立てが認められ、本件訴訟は解決しました。
(単位:百万円)
2022年度 第2四半期
連結累計期間
2023年度 第2四半期
連結累計期間
増減
売上高営業利益売上高営業利益売上高営業利益
ビニルアセテート185,44033,617198,91940,24713,4796,630
イソプレン31,9052,47731,795△2,703△110△5,181
機能材料77,7913,31193,3715,74915,5802,437
繊維31,7953,79530,163665△1,632△3,130
トレーディング29,7052,77628,9702,302△734△474
その他23,6681,22122,864575△803△646
消去又は全社△22,266△9,110△25,087△5,865△2,8203,244
合計358,04038,089380,99840,97022,9572,880


[ビニルアセテート]
当セグメントの売上高は198,919百万円(前年同期比7.3%増)、営業利益は40,247百万円(同19.7%増)となりました。

① ポバール樹脂は、世界的な需要減退により販売量は減少しましたが、高付加価値品へのシフトを一層進めました。光学用ポバールフィルムは、液晶パネルの在庫調整は一巡したものの、大型液晶ディスプレイの需要回復が遅れ出荷が減少しました。高機能中間膜は、PVBフィルムの自動車向け需要の回復に加え、建築用途も堅調に推移しました。水溶性ポバールフィルムは、インフレによる買い控えなどの影響により、主に欧州で個包装洗剤向けの出荷が減少しました。
② EVOH樹脂〈エバール〉は、食品包装用途が堅調に推移したことに加え、自動車用途の需要に回復が見られました。
[イソプレン]
当セグメントの売上高は31,795百万円(前年同期比0.3%減)、営業損失は2,703百万円(前年同期は営業利益2,477百万円)となりました。なお、タイの新プラントは2月より順次稼働を開始しました。

① イソプレンケミカル、エラストマーは、昨年後半から続く需要減退による販売量の減少に加え、市況悪化の影響を受けました。
② 耐熱性ポリアミド樹脂〈ジェネスタ〉は、自動車向けは回復の兆しが見られたものの、電気・電子デバイスの在庫調整の影響を受け、販売量が減少しました。
[機能材料]
当セグメントの売上高は93,371百万円(前年同期比20.0%増)、営業利益は5,749百万円(同73.6%増)となりました。

① メタアクリルは、電気・電子デバイスの在庫調整などによる販売量の減少に加え、原燃料価格上昇の影響を受けました。
② メディカルは、審美治療用歯科材料の販売が国内外で順調に推移しました。
③ 環境ソリューションは、北米の飲料水用途で需要が増え、活性炭の販売が堅調に推移しました。
[繊維]
当セグメントの売上高は30,163百万円(前年同期比5.1%減)、営業利益は665百万円(同82.5%減)となりました。

① 人工皮革〈クラリーノ〉は、スポーツ用途などで需要減退の影響を受け、出荷が減少しました。
② 繊維資材は、〈ベクトラン〉が堅調に推移しました。ビニロンは自動車向けで回復の兆しが見られたものの、欧州の建材用途が低調でした。
③ 生活資材は、〈クラフレックス〉で外食産業の需要が低調でした。
[トレーディング]
当セグメントの売上高は28,970百万円(前年同期比2.5%減)、営業利益は2,302百万円(同17.1%減)となりました。

① 繊維関連事業は、スポーツ衣料が堅調に推移しましたが、資材関連が苦戦しました。
② 樹脂・化成品関連事業は、アジア市場での販売が低調でした。
[その他]
その他事業の売上高は22,864百万円(前年同期比3.4%減)、営業利益は575百万円(同52.9%減)となりました。

(2)財政状態の状況
総資産は、有形固定資産の増加25,305百万円及び棚卸資産の増加15,402百万円等の一方、現金及び預金の減少18,105百万円等により、前連結会計年度末比35,725百万円増の1,257,258百万円となりました。負債は、主として未払金の増加に伴うその他流動負債の増加18,286百万円等の一方、有利子負債の減少38,510百万円及び支払手形及び買掛金の減少10,863百万円等により、前連結会計年度末比29,505百万円減の523,492百万円となりました。
純資産は、為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末比65,231百万円増の733,765百万円となりました。自己資本は711,617百万円となり、自己資本比率は56.6%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
(単位:百万円)
第142期
第2四半期連結累計期間
第143期
第2四半期連結累計期間
増減
営業活動によるキャッシュ・フロー21,36257,61636,253
投資活動によるキャッシュ・フロー△27,340△30,184△2,844
財務活動によるキャッシュ・フロー△31,183△50,494△19,310

[営業活動によるキャッシュ・フロー]
税金等調整前四半期純利益31,342百万円に対して、減価償却費36,731百万円、仕入債務の減少12,498百万円及び法人税等の支払額11,043百万円等により、営業活動によるキャッシュ・フローは57,616百万円の収入となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
有形及び無形固定資産の取得30,151百万円等の支出により、投資活動によるキャッシュ・フローは30,184百万円の支出となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
長期借入金の返済22,938百万円、コマーシャル・ペーパーの償還10,000百万円、社債の償還10,000百万円及び配当金の支払額7,697百万円等の支出により、財務活動によるキャッシュ・フローは50,494百万円の支出となりました。
以上の要因に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額等により、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より17,271百万円減少して、110,345百万円となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は11,874百万円です。なお、当社は、当第2四半期連結累計期間において、市場開発機能を強化しつつ生産・販売体制を整備し、事業の加速を図るため、研究開発本部で開発推進してきた〈ベクスター〉・CMPパッドをエレクトロニクスマテリアルズ推進本部に移管しました。