四半期報告書-第142期第1四半期(平成30年4月1日-平成30年6月30日)

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2018/08/10 15:20
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12項目

(1) 業績の状況
当第1四半期の連結業績は、以下のとおりとなりました。
売上収益4,498億円[対前年同期16億円(0.4%)増]
Core Earnings1,168億円[ 〃105億円(9.8%)増]
営業利益989億円[ 〃961億円(49.3%)減]
税引前四半期利益939億円[ 〃1,044億円(52.7%)減]
四半期利益
(親会社の所有者帰属分)
782億円[ 〃665億円(46.0%)減]
EPS100円05銭[ 〃85円56銭(46.1%)減]

[売上収益]
売上収益は、タケダの成長ドライバー(消化器系疾患領域、オンコロジー(がん)領域、ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域および新興国事業)の継続的な伸長が、事業等の売却による減収影響(230億円)および為替の円高による減収影響(21億円)を吸収し、前年同期から16億円増収(+0.4%)の4,498億円となりました。
タケダの成長ドライバーは前年同期から+11.8%と力強く伸長し、為替影響と事業等の売却影響を除いた実質的な売上収益は+6.4%の成長率となりました。
(タケダの成長ドライバー)
・消化器系疾患領域の売上収益の成長率は+17.5%(実質ベース+19.3%)となりました。当社のトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」(国内製品名:「エンタイビオ」)の売上が伸長し、154億円増収(+33.6%、実質ベース+34.1%)の613億円となり、売上成長を牽引しました。「エンティビオ」は生物学的製剤の新規患者シェアを順調に拡大しています。承認国数は60カ国以上であり、日本でも、2018年7月に中等症から重症の活動期の潰瘍性大腸炎に対する治療剤として製造販売承認を取得しました。酸関連疾患治療剤「タケキャブ」も、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍の再発抑制等の効能を中心として、日本において処方が拡大し、売上は30億円増収(+26.5%、実質ベース+26.5%)の143億円となりました。なお、2018年6月、当社は株式公開買付けによりTiGenix NVを子会社化しました。本買収により、当社は、クローン病に伴う肛囲複雑瘻孔治療剤「ALOFISEL」のグローバルな開発・販売権を得ることになりました。
・オンコロジー領域の売上収益の成長率は+5.5%(実質ベース+6.7%)となりました。多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」の売上が、米国をはじめとした各国で伸長し、40億円増収(+39.6%、実質ベース+43.3%)の140億円となりました。「ニンラーロ」は、高い有効性、安全性、利便性を有する週1回経口投与のプロテアソーム阻害剤です。なお、「ニンラーロ」については、2018年7月、幹細胞移植後の多発性骨髄腫患者を対象に実施した維持療法に関する臨床第3相試験で、統計学的に有意に無増悪生存期間を延長したことを公表しました。多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」は昨年に米国における独占販売期間満了を迎えましたが、48億円減収(△13.4%、実質ベース△10.8%)に留まっています。また、2017年2月のアリアド・ファーマシューティカルズ Inc.の買収により獲得した白血病治療剤「アイクルシグ」と肺がん治療剤「ALUNBRIG」は、それぞれ18億円増収(+35.1%、実質ベース+39.1%)および8億円増収(+339.9%、実質ベース+351.3%)と堅調に伸長しており、実質ベースのオンコロジーの売上収益の成長(+6.7%)の45%は両剤の成長からもたらされました。
・ニューロサイエンス領域の売上収益の成長率は+21.3%(実質ベース+23.5%)となりました。大うつ病治療剤「トリンテリックス」の売上は29億円増収(+25.8%、実質ベース+29.4%)の141億円となりました。「トリンテリックス」は、患者さんに対するエンゲージメントを推進しています。2018年5月には、認知機能の症状の一つである処理速度の低下に対する改善効果データが「トリンテリックス」の米国の添付文書に追記されました。なお、パーキンソン病治療剤「アジレクト錠」は、2018年3月に日本において製造販売承認を取得し、2018年6月に販売を開始しました。
・新興国事業の売上は4億円減収(△0.7%、実質ベース+6.2%)の654億円となりました。新興国事業では、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」などのオンコロジーの製品や、「エンティビオ」をはじめとする消化器系疾患領域の製品が伸長し、実質ベースでは+6.2%の増収となりましたが、為替の円高による減収影響(26億円)の影響により減収となりました。なお、主要国であるブラジルと中国においては、実質ベースで、それぞれ+41.7%、+28.6%と堅調な進捗となっております。
売上収益の内訳は以下のとおりです。
金額対前年同期実質的な売上収益(注)
金額実質的な成長
医療用医薬品4,345億円73億円(1.7%)増4,262億円+324億円+8.2%
米国1,611億円125億円(8.4%)増1,565億円+194億円+14.1%
日本1,290億円103億円(7.4%)減1,288億円+79億円+6.6%
欧州およびカナダ791億円55億円(7.5%)増793億円+15億円+2.0%
新興国654億円4億円(0.7%)減617億円+36億円+6.2%
コンシューマーヘルスケア
およびその他
153億円57億円(27.2%)減153億円△57億円△27.2%
合計4,498億円16億円(0.4%)増4,415億円+267億円+6.4%

(注) 実質的な売上収益:為替影響および事業等の売却影響を控除した実質ベースの売上収益です。
医療用医薬品にかかる売上収益は、73億円増収(+1.7%、実質ベース+8.2%)の4,345億円となりました。このうち、米国は125億円増収(+8.4%、実質ベース+14.1%)の1,611億円となり、欧州およびカナダは55億円増収(+7.5%、実質ベース+2.0%)の791億円となりました。日本は、前年同期に長期収載品7製品の売却に伴う一時収益を計上したことにより、103億円減収(△7.4%)の1,290億円となりましたが、成長ドライバー製品の伸長により実質ベースでは+6.6%の成長となりました。
(事業等の売却影響)
・当期の事業等の売却影響は前年同期から230億円の減収影響となりました。主な事業等の売却影響としては、当社の日本の長期収載品7製品を、2017年5月に武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に売却したことによる減収影響168億円がありました。その他にも事業等の売却がありましたが、これらはあわせて62億円の減収影響となりました。
(注)当期より、個別製品売上のグローバルな管理体系にあわせて、国内の一部製品について、値引・割戻等を個別製品毎に売上から控除して表示しています。比較を容易にするため、前期の数値についても組み替えて表示しています。当該組み替えは連結財務諸表に影響を与えるものではなく、また前期数値の修正を意味するものではありません。
[営業利益]
前年同期から961億円減益(△49.3%)の989億円となりました。
・売上総利益は、成長ドライバー製品の売上の力強い伸長および製品構成の改善により、19億円増益(+0.6%)の3,292億円となり、売上総利益率は73.2%(+0.2pp)となりました。事業等の売却影響と為替影響を除いた実質的な売上総利益は対前年同期+8.8%となり、実質ベースの売上総利益率は+1.6pp向上しました。
・販売費及び一般管理費は、Shire社買収に向けたアドバイザリー費用等の買収関連費用46億円の発生がありましたが、グローバル経費削減イニシアチブによる削減効果と株式報酬費用の減少等により、対前年同期8億円減少(△0.6%)の1,450億円となりました。買収関連費用、事業等の売却影響および為替影響を除いた実質的な費用は対前年同期△3.4%となり、実質ベースでは減少となりました。
・研究開発費は、37億円の減少(△4.9%)となりました。事業等の売却影響と為替影響を除いた実質的な費用は対前年同期△3.6%となりました。
・製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、「ベルケイド」にかかる無形資産の償却が前期中に終了したことによる減少影響119億円により、対前年同期85億円減少(△26.1%)の240億円となりました。
・その他の営業収益は、対前年同期1,220億円減少(△92.9%)の93億円となりました。この減少は、主に、前年同期に和光純薬工業株式会社の株式売却益1,063億円を計上したこと、および固定資産売却益が104億円減少したことによります。
・その他の営業費用は△14億円となり、対前年同期110億円の減少(△114.1%)となりました。この減少は、主に、当期の承認取得に伴い過去の承認前在庫にかかる評価損の戻入△92億円を計上したことによります。
[四半期利益(親会社の所有者帰属分)]
主に営業利益の減益、金融損益の減益、および法人所得税費用の減少により、前年同期から665億円減益(△46.0%)の782億円となりました。
・金融収益と金融費用をあわせた金融損益は86億円の損失となり、対前年同期121億円の減益となりました。この減益は、主に、前年同期においては、上場株式等にかかる有価証券売却益82億円を金融収益に計上していたものの、会計基準の変更により、当期からは当該売却益が金融収益に計上されないこと、また、当期はShire社買収に向けた財務費用60億円を金融費用に計上したことによります。
・法人所得税費用は、税額控除の減少による税金費用の増加がありましたが、税引前四半期利益の減益による税金費用の減少に加えて当期において不確実性に係る未払法人所得税の見直しがあったことなどにより、全体では前年同期から375億円の減少(△70.4%)となりました。
・基本的1株当たり四半期利益(EPS)は、前年同期から85円56銭減少(△46.1%)し、100円05銭となりました。
[実質的な成長の概要]
当社は、事業の計画策定および業績評価において、「実質的な成長」(Underlying Growth)の概念を採用しております。「実質的な成長」は、当期と前年同期(四半期もしくは年間)の業績を共通の基準で比較するものであり、マネジメントによる業績評価に使用されています。これら共通の基準で比較される業績は、為替レートを一定として、事業等の売却影響およびその他の非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を控除し算定されます。当社は、この「実質的な成長」が、事業活動のパフォーマンスを表す共通の基準を提供するため、投資家に有用であると考え、「Underlying Revenue Growth」(実質的な売上収益(注1)の成長)、「Underlying Core Earnings Growth」(実質的なCore Earnings(注2)の成長)および「Underlying Core EPS Growth」(実質的なCore EPS(注3)の成長)を重要な財務指標としています。なお、本指標は、国際会計基準(IFRS)に準拠したものではありません。
当第1四半期の実質的な成長は、以下のとおりとなりました。
売上収益(注1)+6.4%[対前年同期267億円増]
Core Earnings(注2)+40.3%[ 〃335億円増]
Core EPS(注3)+51.1%[ 〃42円73銭増]

(注1)実質的な売上収益は、為替レートを一定として、財務ベースの売上収益に、報告期間における非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響を調整して計算します。
当期の実質的な売上収益の成長を算定するにあたっての調整項目の主な内容は、武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に当社の日本の長期収載品7製品を売却したことに伴う影響およびMultilab Indústria e Comércio de Produtos Farmacêuticos Ltda.、広東テックプール・バイオファーマCo,.Ltd.にかかる事業等の売却影響であります。
(注2)Core Earningsは、営業利益から、製品に係る無形資産償却費及び減損損失、その他の営業収益およびその他の営業費用を控除して算出します。さらに、重要性のある、その他の非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を調整します。これらには、企業買収に係る会計処理の影響、主な訴訟費用、事業構造再編費用、自然災害による影響、政府による法令変更の措置の影響などが含まれます。
当期のCore Earningsを算定するにあたっての重要性のあるその他の調整項目の主な内容は、Shire社買収に向けたアドバイザリー費用等の買収関連費用です。
実質的なCore Earningsは、為替レートを一定として、Core Earningsに、報告期間における事業等の売却影響を調整して計算します。
当期の実質的なCore Earningsの成長を算定するにあたっての事業等の売却影響の主な内容は、武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に当社の日本の長期収載品7製品を売却したことに伴う影響およびMultilab Indústria e Comércio de Produtos Farmacêuticos Ltda.、広東テックプール・バイオファーマCo,.Ltd.にかかる事業等の売却影響であります。
(注3)実質的なCore EPSの算定にあたっては、為替レートを一定として、純利益から、事業等の売却影響、およびCore Earningsの算出において控除された項目と営業利益以下の各科目のうち、重要性のある、非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を調整します。これらには、条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響などが含まれます。さらに、これらの調整項目に係る税金影響を控除した後、比較年度末の自社株式控除後の発行済株式総数で除して算定します。
当期の実質的なCore EPSの成長を算定するにあたっての営業利益以下の調整項目の主な内容は、Shire社買収に向けた財務費用および条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響であります。
・実質的な売上収益の成長率は、潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」や酸関連疾患治療剤「タケキャブ」、多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」、白血病治療剤「アイクルシグ」、大うつ病治療剤「トリンテリックス」をはじめとしたタケダの成長ドライバーの製品が力強く伸長したことにより、対前年同期+6.4%となりました。タケダの成長ドライバー全体では+11.8%の伸長となりました。
・実質的なCore Earningsの成長率は、実質的な売上収益の力強い成長や、グローバル経費削減イニシアチブによる削減効果により前年同期から大きく伸長し+40.3%となりました。製品構成の改善により、実質的な売上総利益率が1.6pp向上し、売上総利益は+8.8%伸長しました。実質的な営業経費は、グローバル経費削減イニシアチブの削減効果により、対売上収益比率が4.8pp向上しました。上記の要因の組み合わせにより、実質的なCore Earningsの対売上収益比率は6.4pp向上し、26.4%となりました。
・実質的なCore EPSの成長率は、実質的なCore Earningsの力強い成長(+40.3%)および税負担率の減少(前年同期:21.2%、当期:17.6%)を反映し、前年同期から+51.1%となりました。
(2) 財政状態の分析
[資産]
当第1四半期末における資産合計は4兆1,596億円となりました。TiGenix NVの買収や為替の円安による影響等で無形資産およびのれんがそれぞれ437億円および247億円増加したことなどにより、資産合計額は前年度末から531億円の増加となりました。
[負債]
当第1四半期末における負債合計は2兆930億円となりました。仕入債務及びその他の債務が148億円減少しましたが、繰延税金負債およびその他の流動負債がそれぞれ107億円および81億円増加したことなどにより、前年度末から39億円増加しました。
[資本]
当第1四半期末における資本合計は2兆666億円となりました。利益剰余金は、配当金による減少があったものの、四半期利益の計上、会計基準の変更による期首残高の増加、および株式売却に伴うその他の包括利益からの振替による増加により、360億円増加しました。これにより、資本合計は前年度末から492億円の増加となりました。
親会社所有者帰属持分比率(注)は49.1%となり、前年度末から0.5ポイント増加しております。
(注)日本基準における自己資本比率に相当
[キャッシュ・フロー]
当第1四半期末の現金及び現金同等物は、前年度末より630億円減少し(前年同期は1,128億円の増加)、2,315億円となりました。なお、当該減少は、当第1四半期末の現金及び現金同等物を売却目的で保有する資産に振り替えたことによる42億円のマイナスを含んでおります。
営業活動によるキャッシュ・フローは405億円のプラス(前年同期は746億円のプラス)、投資活動によるキャッシュ・フローは171億円のマイナス(前年同期は993億円のプラス)、財務活動によるキャッシュ・フローは配当金の支払等により822億円のマイナス(前年同期も配当金の支払等により878億円のマイナス)、現金及び現金同等物に係る換算差額は5億円のマイナス(前年同期は50億円のプラス)となりました。
(3) 研究開発活動の内容および成果
当第1四半期の研究開発費の総額は720億円であります。
当社が2016年7月より進めている研究開発体制の変革は現在、再構築の段階にあり、「パイラインの強化」のために以下の3つの優先事項にフォーカスしています。
1. 疾患領域の専門性をいかした革新的研究開発課題の推進
2. 社内育成と外部提携を通じた研究開発力の強化
3. 研究開発のオペレーションの実効性と文化の強化
当社は、「オンコロジー(がん)」、「消化器系疾患」、「ニューロサイエンス(神経精神疾患)」の3つの疾患領域と「ワクチン」にフォーカスし、日本と米国に拠点を集約し研究開発活動を行っています。現在、研究開発組織は外部にも開かれた日本の湘南および米国のマサチューセッツ州ボストンに主に集約し、さらに、両拠点を支える各地域の開発・メディカルを担う、スリムで最先端の拠点が世界中にあり、また、優れたバイオテク企業のような米国カリフォルニア州サンディエゴの研究拠点があります。疾患領域を絞込むことにより、世界レベルの専門的な知見を有する一貫した研究・開発・販売機能が実現します。本変革は、長期的かつ持続的な企業の成長のために、イノベーションを推進し、パートナーシップを強化し、そして研究開発の生産性を向上させる上で必要な組織的また財務的な柔軟性をもたらすという点で非常に重要です。当社は、医薬品開発の成功確率を最も高める幅広いプラットフォームテクノロジーの進歩を活用すべく、生物学的製剤、細胞治療、核酸医薬、再生医療などの新しいモダリティを積極的に採用しています。加えて、臨床早期における実証試験(プルーフ・オブ・コンセプト試験)では、トランスレーショナルメディスンとバイオマーカーに関する機能を引き続き強化し、基礎生物学の知見を活用しています。また、研究開発において当社が取り組んでいる外部とのパートナーシップの規模は非常に際立っていると言えます。当社は、いずれの提携先とも相互利益をもたらすパートナーシップを構築することにより、外部イノベーションにおいて業界の先駆者となっています。さらに、当社はイノベーションのエコシステムが構築されているボストン地区にプレゼンスを有することをいかし、外部のイノベーションや優れた人材を獲得しています。当社は一連のコラボレーションを通じ、価値を創造するパートナーシップを推進することで、オペレーションの効率性を高めています。最も顕著なものとしては、米国PRAヘルス・サイエンシズ社(PRA社)とのパートナーシップであり、同社は当社の開発品や既発売品の臨床開発、さらには市販後に必要な対応へのサポートを行う主要な戦略的パートナーです。アカデミアや業界内との様々な提携を通じ、当社はパートナーシップをコア・バリューとし、且つ、外部提携に対する能力を強化しています。過去数年間にわたり、当社は主な業績評価指標(KPI)の一環として、準備、計画、実行に重点を置いてオペレーションの実効性を測定し改善してきました。当社は、研究開発における成功の重要な要素として、積極的なタレントプールの拡充と日本特有の持続的な人材育成によって、人材と文化の観点から研究開発組織を変革してきました。これには、一部日本人研究者のボストンへの移転も含まれています。
当第1四半期における主要なパイプラインの進捗および事業開発契約の締結は、以下のとおりです。
販売製品の価値最大化
[エンティビオ/一般名:ベドリズマブ]
・2018年6月、当社は、腸管選択的生物学的製剤である「エンティビオ/一般名:ベドリズマブ」とTNFαアンタゴニスト療法との安全性データを比較した新たな実臨床下でのデータ解析を公表しました。データ解析では、エンティビオ投与群が抗TNFα抗体投与群と比較し、統計学的に重症感染率および重篤有害事象率が有意に低いことが示されました。
・2018年7月、当社は、「エンタイビオ※/一般名:ベドリズマブ」について、厚生労働省より中等症から重症の活動期の潰瘍性大腸炎に対する治療剤として、製造販売承認を取得したことを公表しました。
・2018年7月、当社は、「エンタイビオ※/一般名:ベドリズマブ」について、中等症から重症の活動期の成人クローン病に対する治療薬として、厚生労働省に承認事項一部変更承認申請を行ったことを公表しました。
※欧米他では「Entyvio(エンティビオ)」等の製品名で承認されており、日本における製品名は「エンタイビオ」(英語表記はEntyvio)です。
・2018年7月、当社は、「エンティビオ/一般名:ベドリズマブ」皮下投与製剤の「VISIBLE 1試験」の結果を公表しました。本試験では中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎の患者においてベドリズマブが皮下投与により、主要評価項目(52週時点での臨床的寛解)を達成しました。
[ニンラーロ/一般名:イキサゾミブ]
・2018年7月、当社は、「ニンラーロ/一般名:イキサゾミブ」に関し、ランダム化臨床第3相試験である「TOURMALINE-MM3試験」で主要評価項目を達成し、維持療法として経口で単剤投与されたニンラーロがプラセボと比較して統計学的に有意な無増悪生存期間の延長を示したことを公表しました。本試験では、多発性骨髄腫と診断され、大量化学療法および自家造血幹細胞移植に奏効を示した成人患者を対象に、維持療法としてのニンラーロの有効性を検討しました。当社は本試験から得られたデータを世界各国の規制当局に提出する予定です。
[ALUNBRIG/一般名: brigatinib]
・2018年7月、当社は、国際共同臨床第3相試験である「ALTA-1L試験」で予定されていた第1回目の中間解析の結果を公表しました。本試験は、これまでALK阻害剤で治療を受けていない未分化リンパ腫キナーゼ陽性(ALK +)の局所進行性または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者を対象に実施され、「ALUNBRIG/一般名:brigatinib)」はクリゾチニブに比し、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意に改善しました。
[トリンテリックス/一般名:vortioxetine]
・2018年5月、当社は、「トリンテリックス/一般名:vortioxetine」について、米国食品医薬品局(FDA)より医薬品承認事項変更申請の承認を取得したことを公表しました。本剤は認知機能の重要な一症状である処理速度の改善が米国添付文書に追記することをFDAに承認された初めての大うつ病治療剤となります。FOCUSおよびCONNECT試験では、本剤が急性うつ病に罹患する成人患者における認知機能の一症状である処理速度に改善効果があることが示されました。
・2018年6月、当社は、「vortioxetine」の日本における成人大うつ病性障害患者を対象とした臨床第3相試験において良好な結果が得られたことを公表しました。
開発パイプラインの進捗
[Relugolix]
・2018年5月、当社は、「relugolix」について、製品価値の最大化を目的に、日本における子宮筋腫の独占的販売権および子宮内膜症の独占的開発・販売権を、日本のあすか製薬に導出するライセンス契約を締結したことを公表しました。なお、今回のライセンス契約の対象は婦人科疾患領域であり、前立腺がんは含まれておりません。
[TAK-164]
・2018年6月、当社は、「TAK-164」の臨床第1相オープンラベル試験において、最初のヒトへの投与を実施しました。本試験では、「TAK-164」を、グアニリルシクラーゼC(GCC)を発現する進行胃がんの患者に単剤静脈内投与し、安全性および忍容性、また有効性および薬物動態を検討します。
[Kuma062]
・2018年7月、当社は、「Kuma062」の臨床第1相試験の最初のヒトへの投与を実施しました。本試験では、「Kuma062」の安全性、忍容性、およびグルテンの分解能を評価します。「Kuma062」はグルテン分解酵素であり、現在セリアック病を対象に開発を進めています。
将来に向けた研究プラットフォームの構築/研究開発における提携の強化
・2018年4月、当社とDrugs for Neglected Diseases initiativeは、内臓リーシュマニア症の革新的な治療薬開発に向け、アミノピラゾール系化合物群の中から見出された医薬品候補化合物の前臨床試験および臨床第1相試験に協働して取り組む旨の契約を締結したことを公表しました。両試験は、開発途上国で必要とされる医薬品やワクチン等の研究開発を促進する国際的な官民パートナーシップである公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(Global Health Innovative Technology Fund)の助成案件に選定されています。
・2018年7月、当社と米国Ovid Therapeutics Inc.は、「TAK-935/OV935」臨床開発プログラムの拡大について概要を公表しました。両社は、3つの臨床試験を開始する予定であり、それぞれドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群を有する小児患者を対象とした試験、サイクリン依存性キナーゼ様5(CDKL5)遺伝子変異症候群および15q重複症候群の小児患者を対象とした試験、実施されたTAK-935/OV935の臨床試験に参加した発達性およびてんかん性脳症(DEE)患者を対象とした延長試験です。