有価証券報告書-第141期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当年度の業績および財政状態は以下のとおりとなりました。
なお、当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績の記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
(「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」参照)
③ 生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績
当年度における生産実績は次のとおりであります。
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 生産実績金額は、消費税等を除いた販売価格によっております
(b) 商品仕入実績
当年度における商品仕入実績は次のとおりであります。
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 商品仕入実績金額は、消費税等を除いた実際仕入額によっております。
3 商品仕入実績が前年度と比べ大幅に減少しておりますが、その主な理由は、ファイザー社との一部製品にかかる仕入販売契約の終了および和光純薬工業株式会社の連結除外により同社の商品仕入実績が当年度に含まれていないことによるものであります。
(c) 受注状況
当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しております。
一部の事業において受注生産を行っていますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はありません。
(d) 販売実績
当年度における販売実績は次のとおりであります。
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。
3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
4 販売実績金額は、消費税等を除いた金額であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 当年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 当年度の経営成績の分析
(ⅰ) 当年度の業績の概要
[売上収益]
売上収益は、タケダの成長ドライバー(消化器系疾患領域、オンコロジー(がん)領域、ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域および新興国事業)の継続的な伸長と、為替の円安による増収影響(439億円)が、事業等の売却による減収影響(943億円)を吸収し、前年度から385億円増収(+2.2%)の17,705億円となりました。
為替影響と事業等の売却影響を除いた実質的な売上収益は、前年度から+12.8%と力強く伸長したタケダの成長ドライバーに牽引され、+5.5%の成長率となりました。
(タケダの成長ドライバー)
・消化器系疾患領域の売上収益の成長率は+23.5%(実質ベース+21.6%)となりました。当社のトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」の売上が伸長し、582億円増収(+40.6%、実質ベース+35.9%)の2,014億円となり、売上成長を牽引しました。「エンティビオ」は生物学的製剤の新規患者シェアを順調に拡大しております。承認国数は60カ国以上となり、日本でも2017年8月に厚生労働省に製造販売承認申請を行いました。酸関連疾患治療剤「タケキャブ」も、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍の再発抑制等の効能を中心として、日本において処方が拡大し、売上は210億円増収(+61.7%、実質ベース+61.7%)の551億円となりました。なお、2018年3月、当社とTiGenix NV(以下、「タイジェニクス社」)は、クローン病に伴う肛囲複雑瘻孔治療剤「ALOFISEL」について、欧州委員会より承認を取得したことを公表しました。「ALOFISEL」は、欧州で初めて承認された同種異系脂肪由来幹細胞懸濁剤であり、当社は米国外の独占的開発・販売権を有しています。
・オンコロジー領域の売上収益の成長率は+14.6%(実質ベース+12.1%)となりました。多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」の売上が、米国をはじめとした各国で伸長し、171億円増収(+58.1%、実質ベース+54.2%)の464億円となりました。「ニンラーロ」は、高い有効性、安全性、利便性を有する週1回経口投与のプロテアソーム阻害剤です。また、2017年2月のアリアド・ファーマシューティカルズ Inc.(以下「アリアド社」)の買収により獲得した白血病治療剤「アイクルシグ」も231億円の売上を計上し、オンコロジーの売上成長に貢献しました。さらに、同買収により獲得した肺がん治療剤「ALUNBRIG」は、米国での販売を2017年5月に開始し、28億円の売上を計上しました。なお、多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」の売上については、前年度から微減の1,373億円(△0.2%、実質ベース△2.4%)となりました。
・ニューロサイエンス領域の売上収益の成長率は+24.5%(実質ベース+22.6%)となりました。大うつ病治療剤「トリンテリックス」の売上は165億円増収(+51.6%、実質ベース+47.9%)の484億円となりました。「トリンテリックス」は、患者さんに対するエンゲージメント推進などにより、米国の抗うつ薬市場における先発品シェアを順調に拡大しています。なお、2018年3月、日本において、テバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ社から導入したパーキンソン病治療剤「アジレクト錠」の製造販売承認を取得しました。
・新興国事業の売上は66億円増収(+2.4%、実質ベース+2.0%)の2,781億円となりました。新興国事業では、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」などのオンコロジー領域や、「エンティビオ」をはじめとする消化器系疾患領域の製品ポートフォリオが伸長しています。
売上収益の内訳は下記のとおりです。
(注) 実質的な売上収益:為替影響および事業等の売却影響を控除した実質ベースの売上収益です。
医療用医薬品にかかる売上収益は、1,227億円増収(+7.8%、実質ベース+6.0%)の16,915億円となりました。このうち、米国は816億円増収(+15.8%、実質ベース+13.5%)の5,983億円となり、欧州およびカナダは377億円増収(+13.7%、実質ベース+6.7%)の3,137億円となりました。日本は、成長ドライバー製品の伸長があったものの、ファイザー社との一部製品にかかる仕入販売契約が終了したことに伴う減収影響(316億円)などにより、33億円減収(△0.7%、実質ベース△0.2%)の5,014億円となりました。
(事業等の売却影響)
・当年度の事業等の売却影響は前年度から943億円の減収となりました。主な事業等の売却影響としては、当社の連結子会社であった和光純薬工業株式会社の株式を、2017年4月に売却したことに伴う同社連結除外の減収影響(791億円)に加え、2016年8月に肥満症治療剤「コントレイブ」の米国における独占販売契約を解消したことに伴う収益を前年度に計上したこと等による減収影響(111億円)がありました。また、当社の日本の長期収載品7製品を、2017年5月に武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に売却した件については、製品売上を失う減収影響の一方、売却時に当該製品の売却益に関連する売上収益を計上したことにより、全体としては2億円の減収影響となりました。その他にも事業等の売却がありましたが、これらはあわせて39億円の減収影響となりました。
[営業利益]
前年度から859億円増益(+55.1%)の2,418億円となりました。
・売上総利益は、成長ドライバー製品の売上の力強い伸長により、1,013億円増益(+8.6%)の12,746億円となりました。製品構成の改善により、事業等の売却影響と為替影響を除いた実質的な売上総利益は対前年度+9.7%となり、実質ベースの売上総利益率は69.1%から71.8%に向上しました。
・販売費及び一般管理費は対前年度90億円の増加(+1.5%)の6,281億円となりましたが、主にグローバル経費削減イニシアチブの削減効果および規律ある経費管理により、売上収益の増加率(+2.2%)を下回りました。事業等の売却影響と為替影響を除いた実質的な費用は対前年度+2.0%となり、実質ベースでも売上収益の増加率(+5.5%)を下回りました。なお、当該増加は、株式報酬費用の増加(26億円)、売上収益の増収に伴う共同プロモーション費用の増加(48億円)、および業績連動賞与関連費用の増加(38億円)を含んでおり、これらの影響を除いた費用は対前年度+0.2%となります。
・研究開発費は、131億円の増加(+4.2%)の3,254億円となりました。事業等の売却影響と為替影響を除いた実質的な費用は対前年度+4.5%となりました。
・製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、対前年度346億円減少(△22.1%)の1,221億円となりました。無形資産償却費は、アリアド社の買収に伴う償却費(197億円)が当年度は年間を通じて発生し136億円の増加となりました。減損損失は、前年度において痛風治療剤「コルクリス」にかかる減損損失160億円を計上した一方、当年度においては、「コルクリス」の販売見通し改善により減損損失の戻入を226億円計上したことなどにより、482億円の減少となりました。
・その他の営業収益は、対前年度259億円の増加(+18.0%)の1,694億円となりました。前年度は、日本における長期収載品事業の武田テバ薬品株式会社への事業譲渡益1,154億円(移管時1,029億円、繰り延べた事業譲渡益のうち前年度の実現額125億円)を計上しましたが、当年度は和光純薬工業株式会社の株式売却益1,063億円、繰り延べた長期収載品事業の事業譲渡益のうち当年度実現額275億円、および賃貸用オフィスビルの固定資産売却益160億円等を計上しました。
・その他の営業費用は、対前年度537億円の増加(+73.6%)の1,266億円となりました。研究開発体制の変革やグローバル経費削減イニシアチブにかかる費用、アリアド社買収後の事業統合関連費用をはじめとする事業構造再編費用447億円、海外子会社再編に伴い資本の部に計上していた為替換算調整勘定が実現したことによる損失417億円、および「コルクリス」にかかる条件付対価(注)の変動に伴う費用95億円などが含まれています。
(注)企業結合に起因して、将来の特定事象が発生した場合に、追加的に発生する取得対価の公正価値を負債計上したものです。
[当期利益(親会社の所有者帰属分)]
持分法による投資損失の増加があったものの、主に営業利益の増益により、前年度から719億円増益(+62.6%)の1,869億円となりました。
・持分法による投資損失は、前年度から307億円増加の322億円となりました。長期収載品事業およびジェネリック医薬品事業を営む武田テバファーマ株式会社(その子会社である武田テバ薬品株式会社を含む)において、日本における2018年の薬価制度改革や事業環境の変化に伴い保有する資産の評価を見直した結果、減損損失が認識されたことなどによるものです。
・法人所得税費用は、当年度において米国の税制改革法の成立による税金費用の減少がありましたが、税引前当期利益の増益による税金費用の増加に加えて前年度において海外子会社の減資に伴う税金費用の減少があったことなどにより、全体では前年度から27億円の増加(+9.6%)となりました。
・基本的1株当たり当期利益(EPS)は、前年度から92円20銭増加(+62.7%)し、239円35銭となりました。
(ⅱ) 当年度の実質的な成長の概要
当社は、事業の計画策定および業績評価において、「実質的な成長」(Underlying Growth)の概念を採用しております。「実質的な成長」は、為替影響、事業等の売却影響およびその他の非定常的もしくは本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を控除し、当年度と前年同期(四半期もしくは年間)の業績を共通の基準で比較するものです。当社は、この「実質的な成長」が、実際の事業活動のパフォーマンスを表していると考え、「Underlying Revenue Growth」(実質的な売上収益(注1)の成長)、「Underlying Core Earnings(注2)Growth」(実質的なコア・アーニングスの成長)および「Underlying Core EPS(注3)Growth」(実質的なコアEPSの成長)を重要な経営指標としています。なお、本指標は、国際会計基準(IFRS)に準拠したものではありません。
当年度の実質的な成長率は、以下のとおりとなりました。
(注1)実質的な売上収益は、財務ベースの売上収益に、為替影響および事業等の売却影響を調整して計算します。当年度の実質的な成長を算定するにあたっての調整項目の主な内容は、和光純薬工業株式会社の株式を売却したこと、武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に当社の日本の長期収載品7製品を売却したことに伴う事業等の売却影響、および、肥満症治療剤「コントレイブ」の独占販売契約を前年度に解消したこと、並びに為替影響であります。
(注2)Core Earningsは、売上総利益から販売費及び一般管理費、および、研究開発費を控除して算出します。さらに、非定常的もしくは本業に起因しない(ノン・コア)事象であり、かつ、金額の大きい影響を調整します。これらには、自然災害による影響、企業買収に係る会計処理の影響、主な訴訟費用、事業構造再編費用、政府による法令変更の措置の影響などが含まれます。実質的なCore Earningsの成長の算定は、上記に加え、為替影響および事業等の売却影響を調整します。Core Earningsから当年度の実質的なCore Earningsの成長を算定するにあたっての調整項目の主な内容は、和光純薬工業株式会社の株式を売却したこと、武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に当社の日本の長期収載品7製品を売却したことに伴う事業等の売却影響、および、前年度においてミオバント・サイエンシズ社に女性疾患および前立腺がんの候補化合物relugolix等にかかる権利を供与したことに伴う収益、並びに為替影響であります。
(注3)Core EPSの算定にあたっては、Core Earningsから、営業利益以下の各科目のうち、非定常的もしくは本業に起因しない(ノン・コア)事象であり、かつ、金額の大きい影響を調整します。ここには、条件付対価に係る公正価値変動影響などが含まれます。さらに、これらにかかる税金影響に加え、Core Earnings調整に係る税金影響を合わせて調整します。Core EPSから当年度の実質的なCore EPSの成長を算定するにあたっての調整項目の主な内容は、和光純薬工業株式会社の株式を売却したこと、武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に当社の日本の長期収載品7製品を売却したことに伴う事業等の売却影響、および、前年度においてミオバント・サイエンシズ社に女性疾患および前立腺がんの候補化合物relugolix等にかかる権利を供与したことに伴う収益、並びに為替影響であります。なお、調整項目にかかる税金影響も控除しています。
・実質的な売上収益の成長率は、潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」や酸関連疾患治療剤「タケキャブ」、多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」、白血病治療剤「アイクルシグ」、大うつ病治療剤「トリンテリックス」をはじめとしたタケダの成長ドライバーの製品が力強く伸長したことにより、対前年度+5.5%となりました。タケダの成長ドライバー全体では+12.8%の伸長となりました。
・実質的なCore Earningsの成長率は、実質的な売上収益の力強い成長や、グローバル経費削減イニシアチブの削減効果、および規律ある経費管理により前年度から大きく伸長し+40.2%となりました。製品構成の改善により、実質的な売上総利益率が2.8pp向上し、売上総利益は+9.7%伸長しました。実質的な営業経費は、グローバル経費削減イニシアチブの削減効果や、規律ある経費管理により、対売上収益比率が1.4pp向上しました。上記の要因の組み合わせにより、実質的なCore Earningsの対売上収益比率は4.2pp向上し、16.8%となりました。
・実質的なCore EPSの成長率は、実質的なCore Earningsの力強い成長(+40.2%)を反映し、前年度から+44.8%となりました。
(b) 当年度の財政状態の分析
[資産]
当年度末における資産合計は4兆1,065億円となりました。和光純薬工業株式会社の株式売却や賃貸用オフィスビルの売却等により、売却目的で保有する資産が1,343億円減少しました。また、償却などで無形資産が488億円減少したことなどにより、資産合計は前期末から2,403億円の減少となりました。
[負債]
当年度末における負債合計は2兆891億円となりました。社債の償還および借入金の返済により、社債および借入金が1,592億円減少しました。また、売却目的で保有する資産に直接関連する負債が854億円減少したことなどにより、前年度末から3,088億円の減少となりました。
[資本]
当年度末における資本合計は2兆174億円となりました。当期利益が配当金による減少を上回り、利益剰余金が455億円増加し、為替の円安による影響等で在外営業活動体の換算差額が463億円増加した一方、和光純薬工業株式会社の株式売却により非支配持分が347億円減少したことなどにより、前期末より684億円の増加となりました。
親会社所有者帰属持分比率(注)は48.6%となり、前年度末から5.1 ポイント増加しております。
(注)日本基準における自己資本比率に相当
(c) 当年度のキャッシュ・フローの状況の分析
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、当期利益が712億円増加したことにより、前年度よりキャッシュ・イン・フローが1,165億円増加し、3,779億円のプラスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、前年度にアリアド社の買収に伴い 5,831億円を支払ったことによる影響で、前年度よりキャッシュ・アウト・フローが 5,623億円減少し、933億円のマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度は配当の支払がありましたが、アリアド社の買収に伴う短期ブリッジローンの借入を行ったことにより2,899億円のプラスとなりました。当年度は配当の支払に加え一部の借入金の返済および社債の償還を行った影響により、3,262億円のマイナスとなりました。これらの結果、当年度末における現金及び現金同等物の残高は、前期末より249億円減少し、2,945億円となりました。なお、当該減少には、売却目的で保有する資産を期首の現金及び現金同等物に振り戻したことによる218億円の増加が含まれております。
当社グループは、製品製造に使用される原材料の調達や設備への投資、営業活動で使用される財およびサービス、自社研究開発パイプラインや基盤技術、新製品上市に対する投資等に資金を投下しており、通常の営業活動に必要な資金については基本的に自己資金でまかなっております。
また、持続的な成長のため、随時、提携や企業買収を実施する可能性があり、主に企業買収のために借入金および社債による資金調達も行っております。当年度については、アリアド社の買収に伴い生じた借入金の一部の返済に充当するため、2017年7月に563億円の社債を発行しました。また、2018年3月には800億円の借入金の返済、および600億円の社債の償還を行ったことにより、当年度末における当社グループの借入金残高は8,128億円、社債残高は1,729億円となっています。
② 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表と日本基準により作成した連結財務諸表における経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異は次のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当年度の業績および財政状態は以下のとおりとなりました。
売上収益 | 17,705億円 | [前年度比 | 385億円 | ( 2.2%) | 増] | |
研究開発費 | 3,254億円 | [ 〃 | 131億円 | ( 4.2%) | 増] | |
営業利益 | 2,418億円 | [ 〃 | 859億円 | ( 55.1%) | 増] | |
税引前当期利益 | 2,172億円 | [ 〃 | 739億円 | ( 51.5%) | 増] | |
当期利益 (親会社の所有者帰属分) | 1,869億円 | [ 〃 | 719億円 | ( 62.6%) | 増] | |
EPS | 239円35銭 | [ 〃 | 92円20銭 | ( 62.7%) | 増] | |
資産合計 | 41,065億円 | [前年度末比 | 2,403億円 | ( 5.5%) | 減] | |
負債合計 | 20,891億円 | [ 〃 | 3,088億円 | ( 12.9%) | 減] | |
資本合計 | 20,174億円 | [ 〃 | 684億円 | ( 3.5%) | 増] |
なお、当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績の記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
(「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」参照)
③ 生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績
当年度における生産実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
医薬品事業 | 618,007 | △6.9 |
合計 | 618,007 | △6.9 |
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 生産実績金額は、消費税等を除いた販売価格によっております
(b) 商品仕入実績
当年度における商品仕入実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
医薬品事業 | 168,167 | △25.4 |
合計 | 168,167 | △25.4 |
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 商品仕入実績金額は、消費税等を除いた実際仕入額によっております。
3 商品仕入実績が前年度と比べ大幅に減少しておりますが、その主な理由は、ファイザー社との一部製品にかかる仕入販売契約の終了および和光純薬工業株式会社の連結除外により同社の商品仕入実績が当年度に含まれていないことによるものであります。
(c) 受注状況
当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しております。
一部の事業において受注生産を行っていますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はありません。
(d) 販売実績
当年度における販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
医薬品事業 | 1,770,531 | 2.2 |
(国内) | (580,349) | (△11.4) |
(海外) | (1,190,182) | (10.5) |
連結純損益計算書計上額 (うち知的財産権収益・役務収益) | 1,770,531 (76,693) | 2.2 (27.5) |
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。
3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前年度 | 当年度 | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
㈱メディパルホールディングスおよびそのグループ会社 | 265,646 | 15.3 | 220,249 | 12.4 |
4 販売実績金額は、消費税等を除いた金額であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 当年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 当年度の経営成績の分析
(ⅰ) 当年度の業績の概要
[売上収益]
売上収益は、タケダの成長ドライバー(消化器系疾患領域、オンコロジー(がん)領域、ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域および新興国事業)の継続的な伸長と、為替の円安による増収影響(439億円)が、事業等の売却による減収影響(943億円)を吸収し、前年度から385億円増収(+2.2%)の17,705億円となりました。
為替影響と事業等の売却影響を除いた実質的な売上収益は、前年度から+12.8%と力強く伸長したタケダの成長ドライバーに牽引され、+5.5%の成長率となりました。
(タケダの成長ドライバー)
・消化器系疾患領域の売上収益の成長率は+23.5%(実質ベース+21.6%)となりました。当社のトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」の売上が伸長し、582億円増収(+40.6%、実質ベース+35.9%)の2,014億円となり、売上成長を牽引しました。「エンティビオ」は生物学的製剤の新規患者シェアを順調に拡大しております。承認国数は60カ国以上となり、日本でも2017年8月に厚生労働省に製造販売承認申請を行いました。酸関連疾患治療剤「タケキャブ」も、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍の再発抑制等の効能を中心として、日本において処方が拡大し、売上は210億円増収(+61.7%、実質ベース+61.7%)の551億円となりました。なお、2018年3月、当社とTiGenix NV(以下、「タイジェニクス社」)は、クローン病に伴う肛囲複雑瘻孔治療剤「ALOFISEL」について、欧州委員会より承認を取得したことを公表しました。「ALOFISEL」は、欧州で初めて承認された同種異系脂肪由来幹細胞懸濁剤であり、当社は米国外の独占的開発・販売権を有しています。
・オンコロジー領域の売上収益の成長率は+14.6%(実質ベース+12.1%)となりました。多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」の売上が、米国をはじめとした各国で伸長し、171億円増収(+58.1%、実質ベース+54.2%)の464億円となりました。「ニンラーロ」は、高い有効性、安全性、利便性を有する週1回経口投与のプロテアソーム阻害剤です。また、2017年2月のアリアド・ファーマシューティカルズ Inc.(以下「アリアド社」)の買収により獲得した白血病治療剤「アイクルシグ」も231億円の売上を計上し、オンコロジーの売上成長に貢献しました。さらに、同買収により獲得した肺がん治療剤「ALUNBRIG」は、米国での販売を2017年5月に開始し、28億円の売上を計上しました。なお、多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」の売上については、前年度から微減の1,373億円(△0.2%、実質ベース△2.4%)となりました。
・ニューロサイエンス領域の売上収益の成長率は+24.5%(実質ベース+22.6%)となりました。大うつ病治療剤「トリンテリックス」の売上は165億円増収(+51.6%、実質ベース+47.9%)の484億円となりました。「トリンテリックス」は、患者さんに対するエンゲージメント推進などにより、米国の抗うつ薬市場における先発品シェアを順調に拡大しています。なお、2018年3月、日本において、テバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ社から導入したパーキンソン病治療剤「アジレクト錠」の製造販売承認を取得しました。
・新興国事業の売上は66億円増収(+2.4%、実質ベース+2.0%)の2,781億円となりました。新興国事業では、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」などのオンコロジー領域や、「エンティビオ」をはじめとする消化器系疾患領域の製品ポートフォリオが伸長しています。
売上収益の内訳は下記のとおりです。
金額 | 前年度比 | 実質的な売上収益(注) | ||||||
金額 | 実質的な成長 | |||||||
医療用医薬品 | 16,915億円 | 1,227億円 | ( 7.8%) | 増 | 16,321億円 | +930億円 | +6.0% | |
米国 | 5,983億円 | 816億円 | (15.8%) | 増 | 5,873億円 | +701億円 | +13.5% | |
日本 | 5,014億円 | 33億円 | ( 0.7%) | 減 | 4,728億円 | △9億円 | △0.2% | |
欧州およびカナダ | 3,137億円 | 377億円 | (13.7%) | 増 | 2,950億円 | +184億円 | +6.7% | |
新興国 | 2,781億円 | 66億円 | ( 2.4%) | 増 | 2,769億円 | +54億円 | +2.0% | |
コンシューマーヘルスケアおよびその他 | 790億円 | 842億円 | (51.6%) | 減 | 790億円 | △41億円 | △4.9% | |
合計 | 17,705億円 | 385億円 | ( 2.2%) | 増 | 17,111億円 | +889億円 | +5.5% |
(注) 実質的な売上収益:為替影響および事業等の売却影響を控除した実質ベースの売上収益です。
医療用医薬品にかかる売上収益は、1,227億円増収(+7.8%、実質ベース+6.0%)の16,915億円となりました。このうち、米国は816億円増収(+15.8%、実質ベース+13.5%)の5,983億円となり、欧州およびカナダは377億円増収(+13.7%、実質ベース+6.7%)の3,137億円となりました。日本は、成長ドライバー製品の伸長があったものの、ファイザー社との一部製品にかかる仕入販売契約が終了したことに伴う減収影響(316億円)などにより、33億円減収(△0.7%、実質ベース△0.2%)の5,014億円となりました。
(事業等の売却影響)
・当年度の事業等の売却影響は前年度から943億円の減収となりました。主な事業等の売却影響としては、当社の連結子会社であった和光純薬工業株式会社の株式を、2017年4月に売却したことに伴う同社連結除外の減収影響(791億円)に加え、2016年8月に肥満症治療剤「コントレイブ」の米国における独占販売契約を解消したことに伴う収益を前年度に計上したこと等による減収影響(111億円)がありました。また、当社の日本の長期収載品7製品を、2017年5月に武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に売却した件については、製品売上を失う減収影響の一方、売却時に当該製品の売却益に関連する売上収益を計上したことにより、全体としては2億円の減収影響となりました。その他にも事業等の売却がありましたが、これらはあわせて39億円の減収影響となりました。
[営業利益]
前年度から859億円増益(+55.1%)の2,418億円となりました。
・売上総利益は、成長ドライバー製品の売上の力強い伸長により、1,013億円増益(+8.6%)の12,746億円となりました。製品構成の改善により、事業等の売却影響と為替影響を除いた実質的な売上総利益は対前年度+9.7%となり、実質ベースの売上総利益率は69.1%から71.8%に向上しました。
・販売費及び一般管理費は対前年度90億円の増加(+1.5%)の6,281億円となりましたが、主にグローバル経費削減イニシアチブの削減効果および規律ある経費管理により、売上収益の増加率(+2.2%)を下回りました。事業等の売却影響と為替影響を除いた実質的な費用は対前年度+2.0%となり、実質ベースでも売上収益の増加率(+5.5%)を下回りました。なお、当該増加は、株式報酬費用の増加(26億円)、売上収益の増収に伴う共同プロモーション費用の増加(48億円)、および業績連動賞与関連費用の増加(38億円)を含んでおり、これらの影響を除いた費用は対前年度+0.2%となります。
・研究開発費は、131億円の増加(+4.2%)の3,254億円となりました。事業等の売却影響と為替影響を除いた実質的な費用は対前年度+4.5%となりました。
・製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、対前年度346億円減少(△22.1%)の1,221億円となりました。無形資産償却費は、アリアド社の買収に伴う償却費(197億円)が当年度は年間を通じて発生し136億円の増加となりました。減損損失は、前年度において痛風治療剤「コルクリス」にかかる減損損失160億円を計上した一方、当年度においては、「コルクリス」の販売見通し改善により減損損失の戻入を226億円計上したことなどにより、482億円の減少となりました。
・その他の営業収益は、対前年度259億円の増加(+18.0%)の1,694億円となりました。前年度は、日本における長期収載品事業の武田テバ薬品株式会社への事業譲渡益1,154億円(移管時1,029億円、繰り延べた事業譲渡益のうち前年度の実現額125億円)を計上しましたが、当年度は和光純薬工業株式会社の株式売却益1,063億円、繰り延べた長期収載品事業の事業譲渡益のうち当年度実現額275億円、および賃貸用オフィスビルの固定資産売却益160億円等を計上しました。
・その他の営業費用は、対前年度537億円の増加(+73.6%)の1,266億円となりました。研究開発体制の変革やグローバル経費削減イニシアチブにかかる費用、アリアド社買収後の事業統合関連費用をはじめとする事業構造再編費用447億円、海外子会社再編に伴い資本の部に計上していた為替換算調整勘定が実現したことによる損失417億円、および「コルクリス」にかかる条件付対価(注)の変動に伴う費用95億円などが含まれています。
(注)企業結合に起因して、将来の特定事象が発生した場合に、追加的に発生する取得対価の公正価値を負債計上したものです。
[当期利益(親会社の所有者帰属分)]
持分法による投資損失の増加があったものの、主に営業利益の増益により、前年度から719億円増益(+62.6%)の1,869億円となりました。
・持分法による投資損失は、前年度から307億円増加の322億円となりました。長期収載品事業およびジェネリック医薬品事業を営む武田テバファーマ株式会社(その子会社である武田テバ薬品株式会社を含む)において、日本における2018年の薬価制度改革や事業環境の変化に伴い保有する資産の評価を見直した結果、減損損失が認識されたことなどによるものです。
・法人所得税費用は、当年度において米国の税制改革法の成立による税金費用の減少がありましたが、税引前当期利益の増益による税金費用の増加に加えて前年度において海外子会社の減資に伴う税金費用の減少があったことなどにより、全体では前年度から27億円の増加(+9.6%)となりました。
・基本的1株当たり当期利益(EPS)は、前年度から92円20銭増加(+62.7%)し、239円35銭となりました。
(ⅱ) 当年度の実質的な成長の概要
当社は、事業の計画策定および業績評価において、「実質的な成長」(Underlying Growth)の概念を採用しております。「実質的な成長」は、為替影響、事業等の売却影響およびその他の非定常的もしくは本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を控除し、当年度と前年同期(四半期もしくは年間)の業績を共通の基準で比較するものです。当社は、この「実質的な成長」が、実際の事業活動のパフォーマンスを表していると考え、「Underlying Revenue Growth」(実質的な売上収益(注1)の成長)、「Underlying Core Earnings(注2)Growth」(実質的なコア・アーニングスの成長)および「Underlying Core EPS(注3)Growth」(実質的なコアEPSの成長)を重要な経営指標としています。なお、本指標は、国際会計基準(IFRS)に準拠したものではありません。
当年度の実質的な成長率は、以下のとおりとなりました。
売上収益(注1) | +5.5% | [ 前年度比 | 889億円 | 増 ] |
Core Earnings (注2) | +40.2% | [ 〃 | 823億円 | 増 ] |
Core EPS (注3) | +44.8% | [ 〃 | 86円16銭 | 増 ] |
(注1)実質的な売上収益は、財務ベースの売上収益に、為替影響および事業等の売却影響を調整して計算します。当年度の実質的な成長を算定するにあたっての調整項目の主な内容は、和光純薬工業株式会社の株式を売却したこと、武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に当社の日本の長期収載品7製品を売却したことに伴う事業等の売却影響、および、肥満症治療剤「コントレイブ」の独占販売契約を前年度に解消したこと、並びに為替影響であります。
(注2)Core Earningsは、売上総利益から販売費及び一般管理費、および、研究開発費を控除して算出します。さらに、非定常的もしくは本業に起因しない(ノン・コア)事象であり、かつ、金額の大きい影響を調整します。これらには、自然災害による影響、企業買収に係る会計処理の影響、主な訴訟費用、事業構造再編費用、政府による法令変更の措置の影響などが含まれます。実質的なCore Earningsの成長の算定は、上記に加え、為替影響および事業等の売却影響を調整します。Core Earningsから当年度の実質的なCore Earningsの成長を算定するにあたっての調整項目の主な内容は、和光純薬工業株式会社の株式を売却したこと、武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に当社の日本の長期収載品7製品を売却したことに伴う事業等の売却影響、および、前年度においてミオバント・サイエンシズ社に女性疾患および前立腺がんの候補化合物relugolix等にかかる権利を供与したことに伴う収益、並びに為替影響であります。
(注3)Core EPSの算定にあたっては、Core Earningsから、営業利益以下の各科目のうち、非定常的もしくは本業に起因しない(ノン・コア)事象であり、かつ、金額の大きい影響を調整します。ここには、条件付対価に係る公正価値変動影響などが含まれます。さらに、これらにかかる税金影響に加え、Core Earnings調整に係る税金影響を合わせて調整します。Core EPSから当年度の実質的なCore EPSの成長を算定するにあたっての調整項目の主な内容は、和光純薬工業株式会社の株式を売却したこと、武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に当社の日本の長期収載品7製品を売却したことに伴う事業等の売却影響、および、前年度においてミオバント・サイエンシズ社に女性疾患および前立腺がんの候補化合物relugolix等にかかる権利を供与したことに伴う収益、並びに為替影響であります。なお、調整項目にかかる税金影響も控除しています。
・実質的な売上収益の成長率は、潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」や酸関連疾患治療剤「タケキャブ」、多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」、白血病治療剤「アイクルシグ」、大うつ病治療剤「トリンテリックス」をはじめとしたタケダの成長ドライバーの製品が力強く伸長したことにより、対前年度+5.5%となりました。タケダの成長ドライバー全体では+12.8%の伸長となりました。
・実質的なCore Earningsの成長率は、実質的な売上収益の力強い成長や、グローバル経費削減イニシアチブの削減効果、および規律ある経費管理により前年度から大きく伸長し+40.2%となりました。製品構成の改善により、実質的な売上総利益率が2.8pp向上し、売上総利益は+9.7%伸長しました。実質的な営業経費は、グローバル経費削減イニシアチブの削減効果や、規律ある経費管理により、対売上収益比率が1.4pp向上しました。上記の要因の組み合わせにより、実質的なCore Earningsの対売上収益比率は4.2pp向上し、16.8%となりました。
・実質的なCore EPSの成長率は、実質的なCore Earningsの力強い成長(+40.2%)を反映し、前年度から+44.8%となりました。
(b) 当年度の財政状態の分析
[資産]
当年度末における資産合計は4兆1,065億円となりました。和光純薬工業株式会社の株式売却や賃貸用オフィスビルの売却等により、売却目的で保有する資産が1,343億円減少しました。また、償却などで無形資産が488億円減少したことなどにより、資産合計は前期末から2,403億円の減少となりました。
[負債]
当年度末における負債合計は2兆891億円となりました。社債の償還および借入金の返済により、社債および借入金が1,592億円減少しました。また、売却目的で保有する資産に直接関連する負債が854億円減少したことなどにより、前年度末から3,088億円の減少となりました。
[資本]
当年度末における資本合計は2兆174億円となりました。当期利益が配当金による減少を上回り、利益剰余金が455億円増加し、為替の円安による影響等で在外営業活動体の換算差額が463億円増加した一方、和光純薬工業株式会社の株式売却により非支配持分が347億円減少したことなどにより、前期末より684億円の増加となりました。
親会社所有者帰属持分比率(注)は48.6%となり、前年度末から5.1 ポイント増加しております。
(注)日本基準における自己資本比率に相当
(c) 当年度のキャッシュ・フローの状況の分析
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、当期利益が712億円増加したことにより、前年度よりキャッシュ・イン・フローが1,165億円増加し、3,779億円のプラスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、前年度にアリアド社の買収に伴い 5,831億円を支払ったことによる影響で、前年度よりキャッシュ・アウト・フローが 5,623億円減少し、933億円のマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度は配当の支払がありましたが、アリアド社の買収に伴う短期ブリッジローンの借入を行ったことにより2,899億円のプラスとなりました。当年度は配当の支払に加え一部の借入金の返済および社債の償還を行った影響により、3,262億円のマイナスとなりました。これらの結果、当年度末における現金及び現金同等物の残高は、前期末より249億円減少し、2,945億円となりました。なお、当該減少には、売却目的で保有する資産を期首の現金及び現金同等物に振り戻したことによる218億円の増加が含まれております。
当社グループは、製品製造に使用される原材料の調達や設備への投資、営業活動で使用される財およびサービス、自社研究開発パイプラインや基盤技術、新製品上市に対する投資等に資金を投下しており、通常の営業活動に必要な資金については基本的に自己資金でまかなっております。
また、持続的な成長のため、随時、提携や企業買収を実施する可能性があり、主に企業買収のために借入金および社債による資金調達も行っております。当年度については、アリアド社の買収に伴い生じた借入金の一部の返済に充当するため、2017年7月に563億円の社債を発行しました。また、2018年3月には800億円の借入金の返済、および600億円の社債の償還を行ったことにより、当年度末における当社グループの借入金残高は8,128億円、社債残高は1,729億円となっています。
② 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表と日本基準により作成した連結財務諸表における経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異は次のとおりです。
前年度 (自2016年4月1日 至2017年3月31日) | 当年度 (自2017年4月1日 至2018年3月31日) |
(のれんの償却停止) 当社グループは、のれん及び負ののれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が445億円減少しております。 | (のれんの償却停止) 当社グループは、のれん及び負ののれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が578億円減少しております。 |