四半期報告書-第145期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

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2022/02/10 13:00
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42項目

(1) 業績の概要
当期(2021年4-12月期)の連結業績は、以下のとおりとなりました。
(単位:億円、%以外)
前年同期当期対前年同期
売上収益24,27526,9572,68211.0%
売上原価△7,409△7,985△5767.8%
販売費及び一般管理費△6,413△6,629△2173.4%
研究開発費△3,425△3,825△39911.7%
製品に係る無形資産償却費及び減損損失△3,076△3,236△1615.2%
その他の営業収益1,185343△843△71.1%
その他の営業費用△1,551△1,000551△35.5%
営業利益3,5874,6251,03728.9%
金融収益及び費用(純額)△1,154△1,006148△12.8%
持分法による投資損益△80△5328△34.4%
税引前四半期利益2,3543,5661,21351.5%
法人所得税費用△563△1,151△587104.3%
四半期利益1,7902,41562534.9%

[売上収益]
売上収益は、前年同期から2,682億円増収(+11.0%)の2兆6,957億円となりました。前年同期の実勢為替レートを当期に適用することにより算出した為替影響を除くと、売上収益は6.1%の増収となります。2021年4月、当社は、日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの1,330億円での帝人ファーマ株式会社への譲渡を完了し、これを売上収益に計上しました。当該譲渡価額は、売上収益の増加のうち、5.5パーセントポイント(以下、「pp」)を占めます。なお、当該譲渡価額を除くと、当期の売上収益は5.6%の増収となります。
当社の主要な疾患領域(消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤(免疫疾患)、オンコロジー、およびニューロサイエンス(神経精神疾患))はそれぞれ全社の売上収益の増収に貢献しました。しかしながら、希少疾患領域では、特に希少血液疾患領域の一部の製品が競争の激化による影響を受け、円安によるプラス影響を除くと減収となりました。当期の売上収益は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のグローバルな流行拡大に大きく影響を受けることがありませんでした。
当第3四半期には、2021年9月に米国で発売された非小細胞肺がん治療剤「EXKIVITY」に続き、移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療剤「LIVTENCITY」が12月に米国で上市されました。
当社の主要な疾患領域以外の売上収益は、主に日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの譲渡価額1,330億円が事業等の売却影響を吸収し、367億円増収(+8.2%)の4,822億円となりました。また、日本におけるModerna社の
COVID-19ワクチン「スパイクバックス筋注」の供給による収益も成長に貢献しました。
各疾患領域における売上収益の前年同期からの増減は、主に以下の製品によるものです。
・消化器系疾患
消化器系疾患領域の売上収益は、前年同期から769億円増収(+13.1%)の6,657億円となりました。当社のトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」(国内製品名:「エンタイビオ」)の売上が伸長し、前年同期から761億円増収(+23.8%)の3,954億円となり、売上成長を牽引しました。本剤の米国における売上は、炎症性腸疾患の潰瘍性大腸炎とクローン病に対する生物学的製剤の新規投与患者が増加したことにより、前年同期から467億円増収(+21.3%)の2,660億円となりました。欧州およびカナダにおける売上は、前年同期から217億円増収(+26.9%)の1,022億円となりました。成長新興国においては、主にブラジルおよび中国における売上が伸長しました。酸関連疾患治療剤「タケキャブ」も、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制等の効能を中心として、主に日本において新規処方が拡大し、売上は142億円増収(+22.2%)の784億円となりました。短腸症候群治療剤「レベスティブ」の売上は、主に市場浸透が進んだこと、および日本を含む新たな国での上市により、65億円増収(+12.9%)の566億円となりました。慢性便秘症治療剤「AMITIZA」は、2021年1月の米国における後発品参入により、売上は130億円減収(△68.8%)の59億円となりました。
・希少疾患
希少疾患領域の売上収益は、前年同期から162億円増収(+3.6%)の4,629億円となりました。
希少代謝性疾患領域の売上収益は、116億円増収(+9.5%)の1,334億円となりました。ハンター症候群治療剤「エラプレース」、酵素補充療法のゴーシェ病治療剤「ビプリブ」およびファブリー病治療剤「リプレガル」の売上は、主に欧州及び成長新興国において増収となりました。
希少血液疾患領域の売上収益は、70億円減収(△3.2%)の2,116億円となりました。「アドベイト」は78億円減収(△8.0%)の893億円となりました。「アディノベイト」は、円安の影響も一部あり、21億円増収(+4.8%)の459億円となりました。いずれも、米国の血友病Aのインヒビター非保有市場における競争の激化による影響を受けました。また、「ファイバ」の売上は、主に、成長新興国における政府による入札のタイミングが前年同期と比較して後ろ倒しになった影響により、53億円減収(△15.4%)の290億円となりました。
遺伝性血管性浮腫領域の売上収益は、114億円増収(+10.7%)の1,177億円となりました。「TAKHZYRO」は、主に予防薬市場の拡大、販売エリアの拡大、および処方の増加により、125億円増収(+19.0%)の784億円となりました。「CINRYZE」は、主に「TAKHZYRO」への処方切り替えと他社の競合する新薬へのシフトにより、26億円減収(△14.8%)の147億円となりました。
・血漿分画製剤(免疫疾患)
血漿分画製剤(免疫疾患)領域の売上収益は、前年同期から502億円増収(+16.0%)の3,632億円となりました。免疫グロブリン製剤の売上合計は、303億円増収(+12.2%)の2,783億円となりました。特に、原発性免疫不全症(PID)と多巣性運動ニューロパチー(MMN)の治療に用いられる静注製剤「GAMMAGARD LIQUID」の売上は需要の増加により、前年同期から増収となりました。また、皮下注製剤である「CUVITRU」と「HYQVIA」は2桁台の増収率となりました。主に血液量減少症と低アルブミン血症の治療に用いられる「HUMAN ALBUMIN」と「FLEXBUMIN」を含むアルブミン製剤の売上合計は、前年度の下期に影響を与えた「HUMAN ALBUMIN」の中国における出荷中断が解消されて売上が伸長したことにより、前年同期から179億円増収(+41.0%)の615億円となりました。
・オンコロジー
オンコロジー領域の売上収益は、前年同期から406億円増収(+12.8%)の3,591億円となりました。多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」の売上は、前年同期から86億円増収(+11.3%)の845億円となりました。米国内の売上は、COVID-19の流行拡大初期に処方者が点滴や注射よりも経口投与の薬剤を選好したことで前年第1四半期は売上が低下しましたが、当期は需要の回復があったことから前年同期から96億円の増収(+13.3%)となりました。また、本剤は新規患者さんの初期治療に使用される薬剤の一つとして、米国における成長に貢献しました。米国外の売上にかかるロイヤルティ収益は、後発品の浸透が継続したことにより減収となりました。多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」の売上は、前年同期から29億円増収(+4.2%)の707億円となりました。「ニンラーロ」は有効な経口投与の製品であり、その製品特性により自宅での服薬を容易にすることから、2020年のCOVID-19流行拡大初期の米国において一時的に需要が増加しました。当期は、米国における需要増加の影響は弱まりましたが、他の国々、特に中国において需要が増加しました。子宮内膜症・子宮筋腫・閉経前乳がん・前立腺がん等の治療に用いられる特許満了製品の「リュープリン」(一般名:「リュープロレリン」)は、主に米国に向けた供給売上の増加があったものの日本における後発品の浸透および競合品による減収影響によって一部相殺され、前年同期から70億円増収(+9.2%)の822億円となりました。また、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」の売上は、2020年5月に承認された中国を中心に成長新興国において伸長し、前年同期から74億円増収(+16.7%)の518億円となりました。非小細胞肺がん治療剤「アルンブリグ」の売上は、全世界における上市および市場浸透により、前年同期から36億円増収(+56.2%)の101億円となりました。
・ニューロサイエンス(神経精神疾患)
ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域の売上収益は、前年同期から475億円増収(+15.1%)の3,626億円となりました。注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤「バイバンス」(国内製品名:「ビバンセ」)の売上は、前年同期から426億円増収(+21.0%)の2,450億円となりました。同剤は、COVID-19パンデミックの期間を通じて、特に外出制限期間中の外来患者数および診断数の減少と、服薬の一時的な中断による減収影響を受けました。この傾向は2020年から2021年にかけて変動してきましたが、当期は前年同期に対して処方の増加によるプラス影響がありました。大うつ病(MDD)治療剤「トリンテリックス」の売上は、主に米国および日本における処方の増加により、前年同期から104億円増収(+19.6%)の630億円になりました。これらの製品の増収は、主に後発品参入による競争の影響を受けたアルツハイマー病治療剤「レミニール」等の他のニューロサイエンス(神経精神疾患)領域の製品の減収によって一部相殺されました。
地域別売上収益
(単位:億円、%は売上収益の構成比)
売上収益:前年同期当期
日本(注1)4,35117.9%5,30219.7%
米国11,89049.0%12,97048.1%
欧州およびカナダ5,00020.6%5,41020.1%
アジア(日本を除く)1,1924.9%1,3985.2%
中南米9543.9%9353.5%
ロシア/CIS3871.6%4361.6%
その他(注2)5022.1%5061.9%
合計24,275100.0%26,957100.0%

(注1) 当期は、日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの譲渡価額1,330億円を含みます。
(注2) その他の地域は中東、オセアニアおよびアフリカを含みます。
[売上原価]
売上原価は、前年同期から576億円増加(+7.8%)の7,985億円となりました。この増加は主に、Shire社買収に伴い計上された棚卸資産の公正価値調整等にかかる非資金性の費用が425億円減少したものの、前年同期と比較し当期において円安の影響を受けたこと、および原価率の高い品目の売上が増加したことによります。
売上原価率は前年同期から0.9pp減少の29.6%となりました。この低下は主に、日本において糖尿病治療剤を帝人ファーマ株式会社に譲渡したことに伴い、譲渡価額1,330億円の売上収益を計上したことによるものです。
[販売費及び一般管理費]
販売費及び一般管理費は、前年同期から217億円増加(+3.4%)の6,629億円となりました。この増加は主に、当期における円安の為替影響に伴うものです。
[研究開発費]
研究開発費は、主に新規候補物質へのさらなる投資、および当期における円安の為替影響により、前年同期から399億円増加(+11.7%)の3,825億円となりました。
[製品に係る無形資産償却費及び減損損失]
製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、当期計上した一部の開発中の製品に係る減損損失により前年同期から161億円増加(+5.2%)の3,236億円となりました。
[その他の営業収益]
その他の営業収益は、前年同期から843億円減少(△71.1%)の343億円となりました。この減少は主に、前年同期においてSHP647および関連する権利の売却に関する当社グループの義務を解除する2020年5月の欧州委員会の決定に伴い、当社グループがSHP647に関する臨床試験プログラムを中止する意思決定を行ったことを反映し、それまで計上していた当該プログラムに関連する負債の再見積りを行った結果、602億円の再評価益を計上したこと、また、アジア・パシフィック、ヨーロッパ、カナダにおける非中核資産の譲渡完了に伴い372億円の譲渡益を計上したことによるものです。
[その他の営業費用]
その他の営業費用は、前年同期から551億円減少(△35.5%)の1,000億円となりました。この減少は主に、Shire社との統合費用の減少に伴い、事業構造再編費用が対前年同期から273億円減少したこと、また前年同期において当社グループが譲渡したXIIDRAにかかる条件付対価契約に関する金融資産の公正価値の変動により、187億円の損失を計上したことによるものです。
[営業利益]
営業利益は、上記の要因を反映し、前年同期から1,037億円増益(+28.9%)の4,625億円となりました。
[金融損益]
金融収益と金融費用をあわせた金融損益は1,006億円の損失となり、前年同期から損失が148億円(△12.8%)減少しました。当期の金融損失の減少は主に社債及び借入金の残高の減少に伴う利息費用の減少、また、これまで持分法適用会社であったMaverick Therapeutics社を2021年4月に買収したことに伴い、投資の再測定に係る利益を計上したこと等によるものです。
[持分法による投資損益]
当期の持分法による投資損益は、前年同期の持分法による投資損失から28億円減少(△34.4%)の53億円の損失となりました。この減少は主に、前年同期に武田テバファーマ株式会社においてジェネリック医薬品事業の一部および製造拠点の売却を決定したことによる関連資産の回収可能価額の再評価に伴い認識された減損損失の当社グループ持分相当額の計上によるものです。
[法人所得税費用]
法人所得税費用は、前年同期から587億円増加(+104.3%)の1,151億円となりました。この増加は主に、2014年にShire社がAbbVie社からの買収申し出の取下げに関連して受領した違約金に対するアイルランドでの課税を巡る税務評価から生じた税金および利息の合計と関連する税務便益5億円との純額646億円ならびに税引前四半期利益の増加によるものです。これらの増加は、税額控除の増加および外国子会社合算税制による課税額の減少により一部相殺されております。
[四半期利益]
四半期利益は、上記の要因を反映し、前年同期から625億円増益(+34.9%)の2,415億円となりました。
当期(2021年4-12月期)における実質的な成長の概要
Coreと実質的な成長の定義
当社は、事業の計画策定および業績評価において、「実質的な成長」(Underlying Growth)の概念を採用しております。
「実質的な成長」は、当年度と前年度(四半期もしくは年間)の業績を共通の基準で比較するものであり、マネジメントによる業績評価に使用されています。これら共通の基準で比較される業績は、年間計画レートを用いた為替レートを一定として、事業等の売却影響およびその他の非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(非中核)事象による影響を控除し算定されます。当社は、この「実質的な成長」が、事業活動のパフォーマンスを表す共通の基準を提供するため、投資家に有用であると考えています。なお、本指標は、国際会計基準(IFRS)に準拠したものではありません。
当社は、「Underlying Revenue Growth」(実質的な売上収益の成長)、「Underlying Core Operating Profit Growth」(実質的なCore営業利益の成長)および「Underlying Core EPS Growth」(実質的なCore EPSの成長)を重要な財務指標としています。
実質的な売上収益は、為替レートを一定として、財務ベースの売上収益に、報告期間における非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響を調整して計算します。
実質的なCore営業利益は、為替レートを一定として、Core営業利益(以下に定義)に、報告期間における事業等の売却影響を調整して計算します。
実質的なCore EPSは、為替レートを一定として、純利益から、事業等の売却影響、およびCore EPS(以下に定義)の算出において控除された項目を調整した後、比較年度末の自己株式控除後の発行済株式総数で除して算定します。
Core売上収益は、売上収益から、重要性のある本業に起因しない(非中核)事象による影響を控除して算出します。
Core営業利益は、純利益から、法人所得税費用、持分法による投資損益、金融損益、その他の営業収益およびその他の営業費用、製品に係る無形資産償却費及び減損損失を控除して算出します。その他、非定常的な事象に基づく影響、企業買収に係る会計処理の影響や買収関連費用など、本業に起因しない(非中核)事象による影響を調整します。
Core EPSは、純利益から、Core営業利益の算出において控除された項目と営業利益以下の各科目のうち、重要性のある、非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(非中核)事象による影響を調整します。これらには、条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響などが含まれます。さらに、これらの調整項目に係る税金影響を控除した後、報告期間の自己株式控除後の平均発行済株式総数で除して算定します。
実質的な業績
当期
実質的な売上収益の成長+7.1%
実質的なCore営業利益の成長+5.4%
実質的なCore営業利益率29.4%
実質的なCore EPSの成長+9.9%

[実質的な売上収益の成長]
実質的な売上収益の成長は、前年同期から+7.1%となりました。タケダの14のグローバル製品(注)の実質的な売上収益は、実質的な売上収益全体の約42%を占め、「エンティビオ」、「TAKHZYRO」、「HUMAN ALBUMIN/FLEXBUMIN」、「GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG」、「CUVITRU」を中心に、前年同期から+12.0%成長しました。
(注)タケダの14のグローバル製品消化器系疾患:エンティビオ、レベスティブ、アロフィセル 希少疾患:NATPARA/NATPAR、アディノベイト、TAKHZYRO、エラプレース、ビプリブ血漿分画製剤(免疫疾患):GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、CUVITRU、HUMAN ALBUMIN/FLEXBUMINオンコロジー:ニンラーロ、アルンブリグ
疾患領域別の実質的な売上収益の成長(注)当期
消化器系疾患+7.6%
希少疾患△1.0%
希少代謝性疾患+5.2%
希少血液疾患△7.6%
遺伝性血管性浮腫+5.4%
血漿分画製剤(免疫疾患)+10.3%
オンコロジー+8.2%
ニューロサイエンス(神経精神疾患)+10.0%
その他+10.6%
合計+7.1%

(注) 実質的な売上収益は、為替レートを一定として、非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響を調整します。本調整前の疾患領域別の売上収益や主要な製品売上については、「第2 事業の状況 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績の概要 [売上収益]」をご参照ください。
実質的な売上収益の計算において控除した主な非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響は次の通りです。
・2020年11月に売却が完了したアジア太平洋における一部の一般用医薬品および非中核資産に係る前年同期の売上収益を控除して調整しております。
・2020年12月に売却が完了した主に欧州における一部の非中核資産である医療用医薬品に係る前年同期の売上収益を控除して調整しております。
・2021年1月に売却が完了した中南米における一部の一般用医薬品および非中核資産に係る前年同期の売上収益を控除して調整しております。
・2021年1月に売却が完了した「TachoSil」(手術用パッチ剤)の前年同期の売上を控除して調整しております。
・2021年3月に売却が完了した主に欧州における一部の一般用医薬品および非中核資産に係る前年同期の売上収益を控除して調整しております。
・2021年3月に売却が完了した従来子会社であった武田コンシューマーヘルスケア株式会社の前年同期の売上収益を控除して調整しております。
・2021年4月1日に売却が完了した日本における糖尿病治療剤ポートフォリオ(ネシーナ錠、リオベル配合錠、イニシンク配合錠、ザファテック錠)に係る前年同期の売上を控除して調整しております。また、売却完了により計上された非定常的な譲渡価額1,330億円は当期の売上収益から控除して調整しております。
・売却が公表され、当年度上期中の売却完了を見込んでいた中国における一部の非中核資産である医療用医薬品に係る当期と前年同期の売上収益を控除して調整しております。本件は、当年度下期中に売却完了する見込みです。
[当期の実質的なCore営業利益の成長]
当期の実質的なCore営業利益の成長は、実質的な売上収益の成長を反映し、前年同期から+5.4%となりました。
日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの売却など、当社の本業に起因しない(非中核)事象による影響を控除した当期のCore営業利益は7,579億円となりました。
[当期の実質的なCore営業利益率]
当期の実質的なCore営業利益率は、29.4%となりました。
[当期の実質的なCore EPSの成長]
当期の実質的なCore EPSの成長は、+9.9%となりました。
(2) 財政状態の分析
[資産]
当第3四半期末における資産合計は、前年度末から2,138億円減少し、12兆6,985億円となりました。現金及び現金同等物は2,419億円減少し、無形資産は主に償却により1,172億円減少しました。これらの減少は、主に為替換算の影響によるのれんの増加1,341億円と一部相殺されております。
なお、当第3四半期の株価下落により、当社株式の時価総額は当社グループの単一の資金生成単位の帳簿価額を下回りましたが、当第3四半期末においてのれんの減損の兆候は存在しないと判断しております。
[負債]
当第3四半期末における負債合計は、前年度末から3,684億円減少し、7兆3,667億円となりました。社債及び借入金は、借入金の返済および社債の償還の結果、前年度末から2,805億円減少の4兆3,549億円(注)となりました。さらに、その他の金融負債が1,147億円減少しております。
(注)当第3四半期末における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ3兆6,537億円および7,012億円です。なお、社債及び借入金の内訳は以下の通りです。
社債:
銘柄
(外貨建発行額)
発行時期償還期限帳簿価額
米ドル建無担保普通社債
(1,520百万米ドル)
2015年6月2022年6月
~2045年6月
1,751億円
米ドル建無担保普通社債
(5,500百万米ドル)
2016年9月2023年9月
~2026年9月
6,066億円
ユーロ建無担保普通社債
(3,750百万ユーロ)
2018年11月2022年11月
~2030年11月
4,863億円
米ドル建無担保普通社債
(3,250百万米ドル)
2018年11月2023年11月
~2028年11月
3,723億円
ハイブリッド社債
(劣後特約付社債)
2019年6月2079年6月4,980億円
米ドル建無担保普通社債
(7,000百万米ドル)
2020年7月2030年3月
~2060年7月
8,001億円
ユーロ建無担保普通社債
(3,600百万ユーロ)
2020年7月2027年7月
~2040年7月
4,660億円
円貨建無担保普通社債2021年10月2031年10月2,493億円
合計3兆6,537億円

借入金:
名称
(外貨建借入額)
借入時期返済期限帳簿価額
シンジケートローン2016年4月2023年4月
~2026年4月
2,000億円
2017年4月2027年4月1,135億円

(1,500百万米ドル)
2017年4月2027年4月1,724億円
その他のバイラテラルローン2016年3月
~2017年4月
2023年3月
~2026年3月
2,100億円
その他53億円
合計7,012億円


当社グループは、2017年7月に発行した米ドル建無担保普通社債の残高200百万米ドルについて、2022年1月18日の償還期日に先立ち、2021年5月17日に繰上償還を実行しました。2021年6月11日には、2018年12月3日に契約締結した株式会社国際協力銀行ローン(以下、「JBICローン」)の残高3,700百万米ドルのうち2,000百万米ドルについて、2025年12月11日の返済期日に先立ち繰上返済を実行しました。2021年8月10日には、2018年11月に発行したユーロ建無担保普通社債の残高1,500百万ユーロについて、2022年11月21日の償還期日に先立ち繰上償還を実行しました。2021年10月14日には、無担保普通社債(満期10年、償還期日2031年10月14日)元本総額2,500億円を発行しました。2021年12月13日には、JBICローンの残高1,700百万米ドルについて、2025年12月11日の返済期日に先立ち繰上返済を実行しました。
[資本]
当第3四半期末における資本合計は、前年度末から1,546億円増加の5兆3,318億円となりました。この増加は、主に円安の影響による為替換算調整勘定の変動によりその他の資本の構成要素が2,155億円増加したことによるものです。この増加は、利益剰余金の減少430億円および自己株式の増加315億円と一部相殺されております。利益剰余金は、四半期利益の計上があったものの、主に2,842億円の配当金を支払ったことにより減少しております。
[キャッシュ・フロー]
(単位:億円)
前年同期(2020年4-12月期)当期(2021年4-12月期)
営業活動によるキャッシュ・フロー6,1007,475
投資活動によるキャッシュ・フロー1,002△1,725
財務活動によるキャッシュ・フロー△7,183△8,265
現金及び現金同等物の増減額△81△2,514
現金及び現金同等物の期首残高6,3769,662
現金及び現金同等物に係る換算差額△11895
売却目的で保有する資産との振替額(純額)△1-
現金及び現金同等物の期末残高6,1767,243

営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期6,100億円から1,376億円増加の7,475億円となりました。これは非資金項目およびその他の調整項目を調整後の四半期利益が増加したことによるものです。調整項目には、前年同期におけるパイプラインSHP647および関連する権利の売却に関する義務の解除による収益の調整が含まれます。また、主に当期に売上債権売却プログラムを開始したことにより、売上債権及びその他の債権の減少がありました。これらの増加影響は、支払による引当金の減少と一部相殺されております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期1,002億円から2,727億円減少の△1,725億円となりました。これは主に、前年同期における非中核資産売却に伴う事業売却による収入(処分した現金及び現金同等物控除後)の減少1,228億円、投資の売却、償還による収入の減少577億円、および事業取得による支出(取得した現金及び現金同等物控除後)の増加497億円によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期△7,183億円から1,082億円減少の△8,265億円となりました。これは主に、当期に普通社債2,500億円を発行した一方、前年同期に米ドル建社債7,000百万米ドルおよびユーロ建社債3,600百万ユーロを発行したことに伴い、社債の発行及び長期借入れによる収入が9,302億円減少したことによるものです。また、当期の自己株式取得の実施により、自己株式の取得による支出が504億円増加しました。これらは、社債の償還及び長期借入金の返済による支出の減少7,541億円および短期借入金及びコマーシャル・ペーパーにおける増加影響850億円と一部相殺されております。
(3) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第3四半期累計において、経営方針、経営環境及び対処すべき課題等について重要な変更はありません。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による影響と当社の取り組みに関する状況は以下のとおりです。
① 当社の経営成績および財政状態に対するCOVID-19影響
当社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大に対して、引き続きあらゆる取り組みを行っており、業界としても様々な支援を行っております。COVID-19に対するワクチンが広く普及しつつありますが、当社は、およそ二年にわたり実施してきた既存の当社プロトコールに加えて、各国・地域の公衆衛生関連規制を引き続き遵守し、オミクロン株等の新しい変異株を含め、COVID-19が当社の事業活動に及ぼす潜在的な影響を注視してまいります。
当社は、当社製品の需要動向について注視しておりますが、当社の医薬品は病院での待機手術を要しない重篤な慢性疾患や生命を脅かす恐れのある疾患に対するものが多く、影響は限定的です。グローバルなサプライチェーンにおいては、COVID-19の大流行による製品供給の重大な問題は発生しておらず、また、発生の可能性を予測しておりません。各国・地域の公衆衛生関連規制に従い、適切な場合においては、外勤の従業員は、医療従事者との対面の訪問業務を一部再開したものの、現在も大部分はバーチャルで実施しております。前年度に一時的に休止しました臨床試験については、流行拡大の動向を注視しつつ、概ね再開しております。
金融市場の動向も注視を続けており、流動性や資金調達に係る問題は現在見込んでおりません。
② COVID-19影響軽減のための当社の取り組み
当社は、バリュー(価値観)に基づき、従業員の健康・安全確保、当社医薬品を必要とされている患者さんへの提供、当社従業員が就業・居住するコミュニティでの感染の軽減およびサポートを中心に引き続き取り組んでおります。
COVID-19流行拡大に対する当社の取り組みについて、当期における主なアップデートは次の通りです。
・感染力が強い変異株であるオミクロン株の影響により、新しい働き方であるハイブリッドモデルの導入は一部で一時的に遅延しています。今後、公衆衛生関連規制の違いや流行の分布・動態の推移、実務基準によって、職種や地域・国レベルで本モデルの導入状況が異なる見込みです。
・当社は、COVID-19に対処するため様々な取り組みを世界中で行っており、これには、二つの提携案件を通じてCOVID-19ワクチンを日本に供給することが含まれます。一つ目は、Novavax社のCOVID-19ワクチン候補であるNVX-CoV2373(日本での開発コード:TAK-019)の日本における開発、製造、流通に関する提携です。2021年9月、当社は、TAK-019の製造販売承認取得を条件として、当社が日本で生産するTAK-019について厚生労働省に1億5,000万回接種分を2022年初頭に供給開始する契約を締結しました。また、2021年12月には、TAK-019の製造販売承認申請を厚生労働省に行いました。
二つ目は、Moderna社のCOVID-19 mRNAワクチン「スパイクバックス筋注(旧販売名:COVID-19ワクチンモデルナ筋注)」の日本への輸入および供給に関するModerna社および厚生労働省との提携です。2021年5月以降、当社はModerna社の同ワクチンを日本において供給しています。当社とModerna社は、2021年10月、日本での1つのロットにおいて未穿刺のバイアル内に粒子状異物があるという報告を受け自主回収した計3ロットの同ワクチンについて、調査結果を公表しました。当調査結果では、本件は被接種者の安全を脅かすものではなく、この製品のベネフィット・リスク評価に悪影響を与えるものではないと記載されています。
当社は、Moderna社と厚生労働省との追加の三者間合意を通じて、2022年も日本においてワクチンの供給を継続する予定です。具体的には、2021年12月に三者間で合意に達した追加の1,800万回接種分とあわせ、2022年に合計9,300万回接種分を日本国内に供給します。
③ 2021年度第3四半期実績におけるCOVID-19影響
当期におけるCOVID-19のグローバルな流行拡大に伴う業績への影響は、軽微でありました。COVID-19が流行している期間においては、ニューロサイエンス(神経精神疾患)といった一部の疾患領域において、外出制限期間中に患者さんの医療機関訪問の頻度が減少する等のマイナス影響が見られてきました。これは前年度の最初の数ヶ月において顕著でした。以降この動向は変動してきており、COVID-19流行前の水準にまで完全に回復しておりませんが、当社の生命を救う一定数の医薬品はこのような環境下においても耐久力を示し、また、成長を遂げることが出来ています。また、変異株であるオミクロン株によるCOVID-19の急拡大による当社への重要な影響は見られませんでした。
(4) 研究開発活動の内容および成果
当第3四半期累計の研究開発費の総額は3,825億円であります。
当社の研究開発は、サイエンスにより、患者さんの人生を根本的に変えうるような非常に革新性が高い医薬品を創製することに注力しています。当社は、「革新的なバイオ医薬品」、「血漿分画製剤」および「ワクチン」の3つの分野において研究開発活動を実施しています。革新的なバイオ医薬品に対する研究開発は、当社の研究開発投資の中で最も高い比率を占めています。革新的なバイオ医薬品における重点疾患領域(オンコロジー、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患)には未だ有効な治療法が確立されていない疾患に対する高い医療ニーズ(アンメットメディカルニーズ)が存在し、当社はベストインクラスあるいはファーストインクラスとなりうる画期的な新規候補物質を創出してまいりました。これまでの数年間、最近ではShire社の買収によってさらに強化されましたが、当社では新たな研究開発能力、さらには次世代プラットフォームに対して社内および外部との提携によるネットワークを通じて投資し、細胞療法および遺伝子治療の領域の強化を図ってまいりました。
当社のパイプラインは、当社事業の短期的および持続的な成長を支えるものです。初回の承認取得後も、上市後の製品に対して、地理的拡大や効能追加に加え、市販後調査および剤型追加の可能性を含めた、継続的な研究開発活動による支援が行われます。当社の研究開発チームは、販売部門との緊密な連携を通じ、既発売品の価値の最大化を図り、販売活動を通じて得られた知見を研究開発戦略とポートフォリオに反映します。
当社の2021年4月以降の主要な研究開発活動の進捗は、以下のとおりです。
研究開発パイプライン
オンコロジー
世界中のがん患者さんに革新的な新薬をお届けするために努力し、患者さんの生活を改善するという情熱をもって、画期的なイノベーションの探求に取り組んでいます。本疾患領域では、(1)既発売品である「ニンラーロ」、「アドセトリス」、「アイクルシグ」のライフサイクルマネジメントならびに多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群およびその他血液がんのパイプラインへの継続的な研究開発投資を通じた、血液がんにおける基盤的な専門性の構築、(2)既発売品である「アルンブリグ」「EXKIVITY」を含む肺がんを対象とするポートフォリオおよび標的を絞った肺がん患者さんを対象とする開発プログラムのさらなる拡充、(3)新規のがん免疫療法標的および次世代基盤技術の追求ならびに自然免疫システムを活用した革新的な細胞療法の探索にフォーカスしています。
[ニンラーロ 一般名:イキサゾミブ]
・2021年5月、当社は、「ニンラーロ」について、幹細胞移植歴のない多発性骨髄腫に対する初回治療後の維持療法の治療薬として、厚生労働省より多発性骨髄腫における維持療法の効能又は効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを公表しました。今回の承認は、主に、ランダム化プラセボ対照二重盲検多施設共同国際臨床第3相試験である「TOURMALINE-MM4試験」の結果に基づくものです。本試験では、幹細胞移植歴のない成人の多発性骨髄腫患者を対象に無増悪生存期間(PFS)を主要評価項目として、本剤による維持療法がPFSを統計学的に有意に改善することが確認されました。ニンラーロの維持療法における安全性プロファイルは、単剤療法における既知の安全性プロファイルと同様であり、「TOURMALINE-MM4試験」で新たな懸念は確認されませんでした。
[アイクルシグ 一般名:ポナチニブ]
・2021年6月、当社は、「アイクルシグ」について、バーチャルで開催される第57回米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会および第26回欧州血液学会(EHA)年次総会のオーラルセッションにおいて、臨床第2相試験「OPTIC(Optimizing Ponatinib Treatment In CML)」の主要解析データを発表しました。変異の有無にかかわらず治療抵抗性例の患者群での治療を評価する「OPTIC試験」は主要評価項目を達成しました。慢性期の慢性骨髄性白血病(CP-CML)患者において、「アイクルシグ」1日45mgを開始用量とし、BCR-ABL1IS1%以下達成時に15mgに減量するレジメンにより、同剤の最適なベネフィット・リスクプロファイルが示されました。本試験により、本剤の安全性プロファイルは動脈閉塞イベント(AOE)を含め臨床的に管理可能であることが示唆されました。
[アルンブリグ 一般名:ブリグチニブ]
・2021年6月、当社は、「アルンブリグ」について国内でALK融合タンパクキット「ベンタナ OptiView ALK(D5F3)」(「ベンタナALK」)によりALK融合遺伝子陽性(ALK陽性)が確認された非小細胞肺癌(NSCLC)患者の一次治療に使用が可能となったことを公表しました。「ベンタナALK」は、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社が製造販売する免疫組織化学染色法(IHC法)を測定原理とした体外診断用医薬品で、「アルンブリグ」に対するコンパニオン診断薬として承認されました。蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)法に加え、「ベンタナALK」がコンパニオン診断薬として追加承認されたことで、より幅広く、ALK陽性NSCLC患者に対して「アルンブリグ」による治療機会を提供できることとなりました。
[アドセトリス 一般名:ブレンツキシマブ ベドチン]
・2021年9月、当社は、「アドセトリス」について、CD30陽性ホジキンリンパ腫における小児の一次治療に対する用法用量に関する製造販売承認事項一部変更承認の申請を日本において行ったことを公表しました。今回の申請は、未治療進行期ホジキンリンパ腫の小児患者を対象とし、「アドセトリス」とAVD(「ドキソルビシン」+「ビンブラスチン」+「ダカルバジン」)の併用療法における一次治療としての有効性および安全性を評価した国際共同第1/2相試験「C25004試験」の結果に基づくものです。
[カボメティクス 一般名:カボザンチニブ]
・2021年8月、当社と小野薬品工業株式会社(小野薬品)は、根治切除不能又は転移性の腎細胞がんを対象とした「カボメティクス」と小野薬品のヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体、「オプジーボ」(ニボルマブ)の併用療法について、厚生労働省より国内製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを公表しました。今回の承認は、未治療の進行性又は転移性の腎細胞がん患者を対象に「オプジーボ」と「カボメティクス」の併用療法と、対象群である「スニチニブ」単剤療法を比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第3相「CheckMate-9ER試験」の結果に基づいています。本試験において、「オプジーボ」と「カボメティクス」の併用療法群は、対象群と比較して、最終解析で主要評価項目である盲検下独立中央判定委員会(BICR)の評価による無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目である全生存期間(OS)およびBICRの評価による奏効率(ORR)のいずれにおいても有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。本試験における「オプジーボ」と「カボメティクス」の併用療法の安全性プロファイルは、各々の単剤投与でこれまでに報告されているものと一貫していました。
[ゼジューラ 一般名:ニラパリブ]
・2021年9月、当社は、経口のポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬「ゼジューラカプセル100㎎」(「ゼジューラカプセル」)の剤形追加として、「ゼジューラ錠100㎎」(「ゼジューラ錠」)の製造販売承認を厚生労働省より取得したことを公表しました。今回の承認は、「ゼジューラカプセル」と「ゼジューラ錠」の同等性を確認した「ヒト生物学的同等性試験(3000-01-004 study)および溶出試験」の結果に基づいています。「ゼジューラカプセル」の貯法は冷蔵ですが、このたび承認を取得した「ゼジューラ錠」は、室温で管理することが可能です。
[EXKIVITY 一般名:mobocertinib]
・2021年5月、当社は、「mobocertinib」の安全性および有効性を評価する臨床第1/2相試験から、プラチナ製剤ベースの化学療法の治療歴を有する上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異陽性を伴う転移性非小細胞肺がん患者を対象とした最新データを公表しました。試験結果から、「mobocertinib」は1年間の追跡調査後も臨床的に意義のある効果を持続することが示され、バーチャルで開催される第57回米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表されました。本試験の結果、全生存期間(OS)の中央値は24ヶ月、フォローアップ期間の中央値は14ヶ月、多様なEGFRエクソン20挿入変異に対して奏功したことが示されました。その他の主要なデータポイントである客観的奏効率(ORR)、奏功期間(DoR)の中央値および病勢コントロール率(DCR)においては、既報データと一貫していました。また、安全性プロファイルにおいても対応可能なもので、既報データと一貫していました。
・2021年7月、当社は、中国国家薬品監督管理局(NMPA)の国家食品医薬品監督管理局医薬品審査評価センター (CDE)が、EGFRエクソン20の変異を伴うNSCLCの成人患者を対象とする、クラス‐1イノベーティブドラッグ「mobocertinib」の新薬承認申請(NDA)を受理し、優先審査に指定したことを公表しました。
・2021年9月、当社は、プラチナ製剤ベースの化学療法を実施中あるいは実施後に病勢が進行し、米国食品医薬品局(FDA)で承認された検査で検出された上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う局所進行または転移性非小細胞肺がんの成人患者に対する治療薬「EXKIVITY」について、FDAより承認を取得しました。本承認は、プラチナ製剤ベースによる治療歴を有するEGFRエクソン20挿入変異を伴う非小細胞肺がん患者114人を対象とし、「EXKIVITY」160 mgを1日1回投与した臨床第1/2相試験における、プラチナ製剤による前治療を受けた患者集団の解析結果に基づくものです。「EXKIVITY」は、FDAにより優先審査に指定され、Breakthrough Therapy指定、Fast Track指定、およびOrphan Drug指定を受けた、EGFRエクソン20挿入変異を標的とするよう特異的に設計された初めてかつ唯一承認を取得した経口治療薬です。本適応症は、奏効率(ORR)と奏効期間(DoR)に基づき、迅速承認制度のもとで承認されています。本適応症の継続的な承認は、検証試験における臨床的有用性の確認と説明が条件となります。FDAは、EGFRエクソン20挿入変異を伴う非小細胞肺がん患者の特定のために、EXKIVITYの次世代シークエンサー(NGS)であるコンパニオン診断薬として、ThermoFisher Scientific社の「Oncomine Dx Target Test」を同時承認しました。
[開発コード:TAK-924 一般名:pevonedistat]
・2021年9月、当社は、臨床第3相「PANTHER試験(Pevonedistat-3001)」において、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)について、事前に規定した統計学的に有意な延長を達成しなかったことを公表しました。本試験では、高リスク骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)および低芽球性の急性骨髄性白血病(AML)の患者を対象に、ファーストライン治療として「pevonedistat」と「アザシチジン」の併用療法と「アザシチジン」単剤療法を比較しEFSの延長を評価しました。本試験におけるEFSの定義は、高リスクMDSまたはCMML患者では死亡またはAMLへの移行のいずれか早い方までの期間、AML患者では死亡までの期間としています。当社は、すべての研究開発活動を中止しました。
希少遺伝子疾患および血液疾患
当社は、希少遺伝子疾患および血液疾患において、高いアンメット・メディカル・ニーズが存在する複数の疾患に注力しています。遺伝性血管性浮腫においては、「TAKHZYRO」におけるC1インヒビターが正常レベルのブラジキニン介在性血管性浮腫に対する評価を含め、同製品をはじめとするライフサイクルマネジメントプログラムへの継続的な研究開発投資を通じて、既存の治療パラダイムの変革を目指します。希少血液疾患においては、「アドベイト」、「アディノベイト/ADYNOVI」に加えて、免疫性血栓性血小板減少性紫斑病(iTTP)および先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)治療に対するパイプラインである「TAK-755」の開発を通じて、出血性疾患治療における現在のニーズへ対応することに注力しています。希少代謝性疾患においては、ライソゾーム病(LSD)に対し、「ELAPRASE」や「REPLAGAL」を含む既発売品、後期開発段階の治験中の薬剤およびパイプライン候補品を含む治療薬を開発しています。また、当社は、希少疾患の患者さんに対し差別化された遺伝子治療の候補品を開発し、機能回復を提供するための研究開発機能を構築しています。
[TAKHZYRO 一般名:ラナデルマブ]
・2021年7月、当社は、「TAKHZYRO」300mgを最長2.5年間、2週間間隔で投与した場合の長期の安全性(主要評価項目)および有効性を評価した、 臨床第3相「HELP(遺伝性血管性浮腫の長期抑制)試験の非盲検延長(OLE)試験」で得られた2つの最終解析結果を公表しました。最初の解析では、試験対象集団(n=212)で観察された発作発現回数の平均(最小値、最大値)低下率は、ベースラインと比較して87.4%(-100;852.8)であり、低下率の中央値は97.7%、「TAKHZYRO」の患者への平均投与期間(標準偏差)は29.6ヵ月(8.2)でした。安定期間(投与70日目から投与期間終了時)において、発作発現率はさらに平均92.4%、中央値98.2%まで低下しました。また、追加の解析では、特定の背景および疾患の特徴を有するHAE患者のサブグループにおいて、「TAKHZYRO」は予定されていた132週間の延長投与期間でHAE発作を抑制し、良好な忍容性を示しました。これらのデータは、2021年欧州アレルギー臨床免疫学会議(EAACI:European Academy of Allergy and Clinical Immunology)において発表されました。
[リプレガル 一般名:アガルシダーゼ アルファ]
・2021年11月、当社と大日本住友製薬株式会社(大日本住友製薬)は、当社がα-ガラクトシダーゼ酵素製剤「リプレガル点滴静注用3.5mg」の日本における製造販売承認(および販売権)を大日本住友製薬から2022年2月15日付で承継し、同日に大日本住友製薬は当社に「リプレガル」の販売を移管することを公表しました。
[フィラジル 一般名:イカチバント]
・2021年12月、当社は、選択的ブラジキニンB2受容体ブロッカー「フィラジル」について、遺伝性血管性浮腫の小児治療に対する製造販売承認事項一部変更承認申請を日本において行ったことを公表しました。今回の申請は、主に2歳以上18歳未満の小児に「フィラジル」を皮下投与したときの安全性、有効性、および薬物動態を評価した国内第3相非盲検試験や、海外第3相非盲検試験に基づいて行っています。国内第3相非盲検試験でみられた日本人小児の治療反応は、日本人及び海外の成人並びに海外第3相非盲検試験における小児の治療反応と類似していました。
[ボンベンディ 一般名:フォン・ヴィレブランド因子(遺伝子組換え)]
・2022年1月、当社は、出血時治療を受けている重度の3型フォン・ヴィレブランド病の患者における出血エピソードの頻度低下のための「ボンベンディ」の定期補充療法について、米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したことを公表しました。本承認は、出血治療歴がある重度の3型フォン・ヴィレブランド病の成人患者10例での出血エピソードの頻度低下に関する「ボンベンディ」の定期補充療法の有効性および安全性を検討した非盲検前向き国際共同試験のデータに基づくものです。今回の承認により「ボンベンディ」は、成人のフォン・ヴィレブランド病患者における出血時治療および周術期における止血管理の適応症に加えて、出血時治療歴のある重度の3型フォン・ヴィレブランド病の成人患者における定期補充療法の適応症を有します。
[LIVTENCITY 一般名:maribavir]
・2021年5月、当社は、固形臓器移植(SOT)または造血幹細胞移植(HCT)の両移植後の難治性/抵抗性(無しも含む)(R/R)サイトメガロウイルス(CMV)感染の治療薬である「maribavir」について、新薬承認申請(NDA)が米国食品医薬品局(FDA)に受理され、優先審査指定を受けたことを公表しました。この申請はグローバル臨床第3相試験である「TAK-620-303(SOLSTICE)試験」に基づいています。「maribavir」は、FDAから、臨床的に重篤なCMV血症およびCMV感染症リスクの高い患者の治療薬として希少疾病用医薬品指定を受けています。またFDAは、CMV感染およびCMV感染症を有し、既存の治療に抵抗性を有するまたは難治性の移植患者への治療薬として、「maribavir」のBreakthrough Therapy指定を行っています。
・2021年6月、当社は、「maribavir」について、臨床第3相試験である「TAK-620-303(SOLSTICE)試験」の固形臓器移植(SOT)患者に関する新たなサブグループ解析結果を、オンラインで開催された2021年米国移植学会議(American Transplant Congress:ATC)において発表しました。ベースラインで難治性/抵抗性(無しも含む)(R/R)サイトメガロウイルス(CMV)感染のSOT患者において、投与8週時(投与期終了時)でCMV血症の消失が達成された割合は、既存の抗ウイルス療法群(治験責任医師が定めた治療法[IAT]で、「ガンシクロビル」、「バルガンシクロビル」、「ホスカルネット」もしくは「シドフォビル」のいずれか1つまたはその併用)(26.1%、18/69)と比較して、「maribavir」投与群では2倍以上(55.6%、79/142)でした(調整群間差[95%信頼区間]:30.5%[17.3, 43.6])。発表された結果は、心臓移植、肺移植および腎移植を受けた患者において「maribavir」投与の一貫した有効性を示しました。
・2021年10月、当社は、「maribavir」について、米国食品医薬品局(FDA)抗菌薬諮問委員会(AMDAC)において、移植患者における既存の抗サイトメガロウイルス(CMV)療法である「ガンシクロビル」、「バルガンシクロビル」、「ホスカルネット」、または「シドフォビル」に対して遺伝子型抵抗性を示す難治性のCMV感染治療薬として「maribavir」の使用を勧告することを全員一致で支持し、また移植患者において「ガンシクロビル」、「バルガンシクロビル」、「ホスカルネット」、または「シドフォビル」に対して遺伝子型抵抗性の無い難治性のCMV感染に対する治療薬としても全員一致で使用を勧告したことを公表しました。両勧告は、臨床第2相試験および臨床第3相「TAK-620-303(SOLSTICE)試験」の結果に基づいています。「maribavir」の新薬承認申請(NDA)は、FDAにより優先審査指定を受けています。FDAは、本見解をNDAの審査の一環として考慮し、AMDACの勧告に拘束されることはありません。
・2021年11月、当社は、移植後の成人患者と小児患者(12歳以上で体重が35㎏以上)における既存の抗サイトメガロウイルス(CMV)療法である「ガンシクロビル」、「バルガンシクロビル」、「ホスカルネット」、または「シドフォビル」に対して遺伝子型抵抗性(無しも含む)を示す難治性のCMV感染/感染症の治療薬「LIVTENCITY」について、米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したことを公表しました。FDA承認前には、「LIVTENCITY」は、臨床的に重篤なCMV血症およびCMV感染/感染症リスクの高い患者の治療薬としてFDAからオーファンドラッグ指定を受けていました。さらに、移植後の既存の抗CMV療法に難治性/抵抗性を有するCMV感染/感染症の患者の治療薬としてブレークスルーセラピー指定も受けていました。当社は、進行中の臨床第3相試験において造血幹細胞移植(HCT)の患者におけるCMVのファーストライン治療として「LIVTENCITY」を検討しています。
・2021年12月、当社は、難治性/抵抗性(無しを含む)サイトメガロウイルス(CMV)感染の移植後患者を対象とした「LIVTENCITY」のピボタル臨床第3相「SOLSTICE試験」の結果がClinical Infectious Diseases誌に掲載されたことを公表しました。「SOLSTICE試験」の主要評価項目は達成され、8週目の試験終了時(治療終了時)における 「LIVTENCITY」を投与した成人患者の55.7%(131/235)が CMVのDNA濃度が定量検出限界以下(LLOQ:⦅137 IU/mL)となり、比較して従来の抗ウイルス療法群(ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、シドフォビルのいずれか1つまたはその併用)の患者では23.9%(28/117)でした。(調整群間差:32.8%、95%信頼区間:22.80~42.74、p<0.001])副次評価項目である8週から16週目まで維持されたCMVのDNA値ニューロサイエンス(神経精神疾患)
当社は、高いアンメット・ニーズが存在する神経疾患および神経筋疾患を対象に、革新的治療法に研究開発投資をフォーカスし、当社の専門知識やパートナーとの提携を生かし、パイプラインを構築しています。疾患の生物学的理解、トランスレーショナルなツール、革新的なモダリティの進展により、当社は希少神経疾患、特にオレキシン2受容体作動薬フランチャイズ(「TAK-994」、「TAK-861」、「TAK-925」など)によるナルコレプシーや特発性過眠症などの睡眠・覚醒障害および「soticlestat」(「TAK-935」)による希少てんかんの治療薬の開発に注力しています。その他の希少神経疾患において注力する領域には、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、その他の運動失調症が含まれます。また、当社は神経変性疾患のうち患者セグメントを明確に定義できる可能性のある疾患(例えば、パーキンソン病)に特化した投資を行っています。
[開発コード:TAK-994]
・2021年7月、当社は、臨床第2相試験を実施中の経口投与可能なオレキシン2型受容体選択的作動薬である「TAK-994」につき、米国食品医薬品局(FDA)よりブレークスルーセラピーの指定を受けたことを公表しました。現在「TAK-994」は、睡眠-覚醒サイクルが変化する慢性神経疾患であるナルコレプシータイプ1(NT1)の患者における日中の過度の眠気(EDS)の治療薬として臨床第2相試験(「TAK-994-1501試験」)を実施中です。「TAK-994」のブレークスルーセラピー指定は、NT1の患者において開発中の当社の経口オレキシン受容体作動薬が日中の覚醒状態の客観的および主観的評価項目において大幅な改善を示す可能性を示唆した、初期段階の予備的臨床データなどに基づくものです。
・2021年10月、当社は、「TAK-994」の臨床第2相試験において、安全性シグナルの存在が明らかになったことにより、緊急の対応策として、患者への投与を中断し、2つの臨床第2相試験(「TAK-994-1501試験」および「TAK-994-1504試験」)を予定より早く終了する決定について公表しました。これにより「TAK-994」のベネフィット・リスクプロファイル評価を迅速に実施し、プログラムの次の段階について判断します。
消化器系疾患
消化器系疾患において、消化管疾患および肝疾患の患者さんに革新的で人生を変えうるような治療法をお届けすることにフォーカスしています。炎症性腸疾患においては、「エンティビオ」に関する皮下注射製剤や針なしの医療用デバイスの開発を含め、フランチャイズのポテンシャルを最大化しています。加えて、「GATTEX/レベスティブ」、また米国を含む一層の地理的拡大のために臨床第3相試験が進行中である「アロフィセル」により、当社の消化器系疾患におけるポジショニングの拡大を目指しています。また、当社は、社外との提携を通じて炎症性腸疾患、セリアック病、厳選した肝疾患、消化管運動関連疾患における機会を探索し、パイプラインの構築を進めています。
[エンティビオ/エンタイビオ 一般名:ベドリズマブ]
・2021年10月、当社は、成人の中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者を対象とした維持療法に関する「エンティビオ」の皮下注射製剤の米国における開発プログラムの進捗を公表しました。米国食品医薬品局(FDA)との継続的な協議を通じて、当社は、「エンティビオ」の皮下注射製剤の生物製剤承認再申請のために必要な要件を明確にするフィードバックを受けており、その対応に向けて取り組んでいます。現在、開発プログラムのタイムラインを検討しており、2023年度中に承認される可能性があると予想しています。
・2021年12月、当社は、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)が、潰瘍性大腸炎に対する大腸全摘術および回腸囊肛門吻合術(IPAA)を受け、抗菌剤治療で効果不十分または効果の減弱がみられた中等症から重症の活動性の慢性回腸嚢炎の成人患者における治療薬として、「エンティビオ」点滴静注製剤の承認を勧告したことを公表しました。CHMPの肯定的見解は、欧州消化器病学会年次総会である欧州消化器病週間2021バーチャル会議にて最近発表された「EARNEST試験」に基づくものです。本試験では、活動性の慢性回腸嚢炎の治療における「エンティビオ」点滴静注製剤の安全性および有効性を評価しました。また「エンティビオ」が回腸嚢炎患者に有益である可能性を示す過去のデータに関する数件のレトロスペクティブスタディーの情報も申請に含まれています。2022年1月、「エンティビオ」について、活動性の慢性回腸嚢炎に対するEU全域における初の治療薬として欧州委員会より承認を取得しました。
[GATTEX/レベスティブ 一般名:テデュグルチド]
・2021年6月、当社は、短腸症候群の治療剤である「レベスティブ皮下注用3.8mg」(「レベスティブ」)について、厚生労働省より製造販売承認を取得したことを公表しました。今回の承認は、海外で行われた複数の試験、ならびに国内で小児および成人を対象として実施された臨床第3相試験(「SHP633-302」、「SHP633-305」、「SHP633-306」および「SHP633-307」)等の結果に基づくものです。
・2021年11月、当社は、短腸症候群(SBS)治療剤である「レベスティブ」の剤形追加として、低含量製剤(0.95mg)の製造販売承認申請を厚生労働省に対して行ったことを公表しました。本剤は、3.8mg製剤では投与ができない「体重10kg未満又は体重20kg未満の中等度以上の腎機能障害(クレアチニンクリアランス50mL/min未満)を有するSBS患者」への投与を可能とするものです。
[アロフィセル 一般名:ダルバドストロセル]
・2021年9月、当社は、非活動期又は軽症の活動期クローン病患者における複雑痔瘻の治療製品である「アロフィセル注」について、厚生労働省より製造販売承認を取得したことを公表しました。本製品は、少なくとも1つの既存治療薬による治療を行っても効果が不十分な患者の治療に用いられます。今回の承認は、国内で実施された「Darvadstrocel-3002試験」および、欧州およびイスラエルで実施された「ADMIRE-CD試験」の結果に基づくものです。「アロフィセル」は、当社において日本で初めて承認された同種異系脂肪組織由来間葉系幹細胞の懸濁液であり、炎症部位において、局所的に免疫調節作用および抗炎症作用を示します。
[開発コード:TAK-721(予定製品名:Eohilia) 一般名:ブデソニド経口懸濁液]
・2021年12月、当社は、食道の慢性炎症性疾患である 好酸球性食道炎の治療における「TAK-721」の新薬承認申請(NDA)に対し、米国食品医薬品局(FDA)から審査完了報告通知(Complete Response Letter :CRL)を受領したことを公表しました。審査完了報告通知によると、FDAは「TAK-721」のNDA審査を完了し、現状では承認できないと判断しました。また、FDAは指摘内容を解決するために追加の臨床試験を推奨しています。2022年2月に本開発品の中止を公表しました。
血漿分画製剤
当社は、血漿分画製剤(PDT)に特化したPDTビジネスユニットを設立し、血漿の収集から製造、研究開発および商用化まで、エンド・ツー・エンドのビジネスを運営しています。本疾患領域では、様々な希少かつ複雑な慢性疾患に対する患者さんにとって生命の維持に必要不可欠な治療薬の開発を目指しています。本領域に特化した研究開発部門は、既発売の治療薬の価値最大化、新たな治療ターゲットの特定および現有する製品の製造効率の最適化という役割を担います。短期的には、当社の幅広い免疫グロブリン製剤ポートフォリオ(「HYQVIA」、「CUVITRU」、「GAMMAGARD」および「GAMMAGARD S/D」)における効能追加、地理的拡大および総合的な医療テクノロジーの活用を通じたより良い患者体験を追求しています。血液製剤およびスペシャリティケアのポートフォリオにおいては、「PROTHROMPLEX(4F-PCC)」、「ファイバ」、「CEPROTIN」および「ARALAST」における効能追加や剤型追加の開発機会の追求を優先しています。また、当社は、グローバルに販売している20種類以上にわたる治療薬ポートフォリオに加え、「20% fSCIg」(「TAK-881」)や「IgG Low IgA」(「TAK-880」)といった次世代の免疫グロブリン製剤の開発、およびその他の早期段階の治療薬候補の開発を行っています。
[開発コード:CoVIg-19 (旧 TAK-888) 一般名:抗SARS-CoV-2ポリクローナル高度免疫グロブリン製剤]
・2021年4月、「CoVIg-19 Plasma Alliance」は、米国国立衛生研究所(NIH)の一部である米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が出資し実施した臨床第3相試験「Inpatient Treatment with Anti-Coronavirus Immunoglobulin(ITAC)」において、評価項目を達成しなかったことを公表しました。臨床試験において安全性の重大な懸念は認められませんでした。本試験は、重篤な合併症のリスクのある成人のCOVID-19入院患者に対して、抗コロナウイルス高度免疫グロブリン静注製剤(H-Ig)を、「レムデシビル」を含む標準治療に追加投与した際の、疾患進行のリスク低減を評価することを目的としていました。現在も解析は継続中であり、NIAIDおよびINSIGHT Networkは試験の全結果を近く発表する予定です。「ITAC試験」の結果を受けて、「CoVIg-19アライアンス」の取り組みは終了しました。
ワクチン
ワクチンでは、イノベーションを活用し、デング熱、新型コロナウイルス感染(COVID-19)、ジカウイルス感染、ノロウイルス感染など、世界で最も困難な感染症に取り組んでいます。当社パイプラインの拡充およびプログラムの開発に対する支援を得るために、政府機関(日本、米国)や主要な世界的機関とのパートナーシップを締結しています。これらのパートナーシップは、当社のプログラムを実行し、それらのポテンシャルを最大限に引き出すための重要な能力を構築するために必要不可欠です。
[スパイクバックス(旧販売名:COVID-19ワクチンモデルナ)筋注 (開発コード:mRNA-1273、日本での開発コード:TAK-919)]
・2021年5月 、当社は日本における「TAK-919」の安全性および免疫原性を評価する国内臨床第1/2相試験の結果を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出したことを公表しました。当社はModerna, Inc.(Moderna社)ならびに厚生労働省の三者間の合意により、「TAK-919」の5,000万回接種分を輸入し供給します。本試験の結果では、28日間の間隔で「TAK-919」0.5 mLを2回接種した被験者の100%に、結合抗体と中和抗体の上昇が本剤の2回目接種28日後に確認できたことが示されました。重大な安全性の懸念は報告されず、忍容性は概ね良好でした。当社は本試験の結果を、2021年3月に提出した新薬承認申請の一部として、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出しました。申請資料には、Moderna社が米国において実施中の臨床第3相試験(COVE試験)の安全性と有効性の結果も含まれています。
・2021年5月、「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」について、厚生労働省より医薬品医療機器等法第14条の3に基づく特例承認を取得したことを公表しました。本承認は、米国で実施されたModerna社の臨床第3相試験(「COVE試験」)の結果と同様の免疫反応が得られた、日本で実施した「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」の安全性および免疫原性を評価する臨床第1/2相試験の結果に基づいています。当社は、日本国内において「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」の供給を開始しました。
・2021年7月、当社は、「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」を、追加で早ければ2022年初頭から5,000万回接種分を輸入し、日本において供給することについてModerna社ならびに厚生労働省と合意したことを公表しました。本合意には、Moderna社による開発が成功し、厚生労働省より製造販売の承認が得られた場合には、新型コロナウイルスの変異株に対応するワクチンや追加接種に用いるワクチンを日本国内へ供給する可能性も含まれています。当社は、今回の追加5,000万回接種分と2020年10月に公表済みの5,000万回接種分とを合わせて計1億回接種分を輸入、供給します。
・2021年7月、当社は、「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」の日本における添付文書が改訂され、接種対象年齢が12歳以上に拡大されたことを公表しました。今回の改訂は、Moderna社が米国で実施した12歳以上17歳以下の3,732人を対象とした臨床第2/3相試験結果に基づき行われました。本試験では、主要評価項目として設定したワクチン2回目接種28日後の血清中和抗体価及び中和抗体価応答率において、本試験対象の青少年(12歳以上17歳以下)について、ワクチンの発症予防効果が確認された海外第3相試験(「mRNA-1273-P301試験」)の若年成人(18歳以上25歳以下)に対する非劣性が示されました。また、副次評価項目として設定したワクチン2回目接種後2週間以降のワクチン有効率においても高い発症予防効果を有することを示唆する結果が得られました。安全性については、18歳以上の臨床試験の結果と同様に、重大な安全性の懸念は報告されませんでした。
・2021年12月、当社は、2回目の接種完了から少なくとも6か月以上経過した18歳以上に対する「スパイクバックス筋注(旧販売名:COVID-19ワクチンモデルナ筋注)」の50µgでの追加接種(追加免疫)について、厚生労働省より製造販売承認を取得したことを公表しました。本承認は、今までに報告されたModerna社の第2相臨床試験の良好な結果に基づいています。Moderna社の第2相臨床試験は、Moderna社の新型コロナウイルス感染症ワクチンの2回目の接種を完了した18歳以上の被験者を対象に、2回目の接種から6か月以上経過後に50µg追加接種した際の安全性および免疫原性の評価を行うため、試験の計画が改訂されました。結果において本ワクチンの追加接種によって新型コロナウイルス従来株に対する中和抗体価の顕著な増加が示されました。追加接種後に観察された反応原性プロファイルは2回目接種後と同様であり、安全性プロファイルも初回免疫時と同様でした。
・2021年12月、当社は、厚生労働省およびModerna社と、「スパイクバックス筋注」の日本での追加供給に関して合意したことを公表しました。この三者間の連携での合意は3回目となり、このたび追加供給が決まったものは、2022年に1,800万回接種分(1回あたり50μg、1バイアル当たり15回追加接種(追加免疫)できるものとして算出)となります。当社はこれまでに、2021年より日本国内において「スパイクバックス筋注」5,000万回接種分を供給するための厚生労働省ならびに Moderna社との三者間での初回契約締結を公表し、2022年に追加の5,000万回接種分(両契約で計1億回接種分)を供給するための2回目の契約締結を公表しています。前項にて記載の初回接種(100μg)の半量である50μgの追加接種の承認により、2回目契約による供給は、追加接種としては7,500万回接種分となります(接種回数は追加接種として1バイアル当たり15回接種できるものとして算出)。3回目合意分の1,800万回接種分(前述と同様に算出)と合わせて、当社は2022年に合計9,300万回接種分を日本国内に供給します。
[開発コード:NVX-CoV2373(日本での開発コード:TAK-019) 一般名:新型コロナウイルス感染症ワクチン]
・2021年9月、当社は、Novavax, Inc.(Novavax社)の新型コロナウイルス感染症ワクチン候補である「TAK-019」の製造販売承認取得を条件として、当社が日本で生産する「TAK-019」について厚生労働省が1億5,000万回接種分を購入する契約を締結したことを公表しました。当社は日本の自社工場において「TAK-019」の生産能力の整備を進めており、2022年初頭の供給開始を目指しています。Novavax社は、当社へ「TAK-019」の製造技術の使用を許諾し技術移転を進めており、抗原と共に充填する「Matrix-MTM」アジュバントを供給します。当社は国内での治験および承認申請を行い、厚生労働省の承認取得後、日本において「TAK-019」を供給します。
・2021年12月、当社は、「TAK-019」の製造販売承認申請を厚生労働省に行ったことを公表しました。今回の申請には、日本において実施中の本ワクチンの免疫原性および安全性を評価する国内臨床第1/2相試験の成績を含みます。また、英国ならびに米国およびメキシコで実施した2つの臨床ピボタル第3相試験を含む、Novavax社が実施した5万人以上の被験者を登録したグローバル臨床試験の安全性および有効性データが含まれます。国内臨床試験の中間成績では、健康な日本人成人を対象に、0.5mLを21日間隔で2回投与することにより、SARS-CoV-2に対する強固な免疫反応が誘導されることが示されました。本ワクチン投与群において重篤な有害事象は認められず、本ワクチンへの忍容性も良好でした。これらの結果は、今までに報告された本ワクチンのグローバル臨床試験の結果と同様でした。当社は2021年12月現在で入手可能なすべてのCMC(化学・製造・品質管理)、非臨床および臨床データを提出しました。製造販売承認申請の審査期間中に、一部のCMCデータを医薬品医療機器総合機構(PMDA)に追加提出する予定です。技術移管を含むNovavax社との提携を通じて、当社は国内の自社工場において本ワクチンの生産能力の整備を進めており、承認取得後、2022年初頭の供給開始を目指しています。
[開発コード:TAK-003 一般名:デング熱ワクチン]
・2021年5月、当社は、「TAK-003」が現在進行中のグローバル臨床第3相試験「TIDES試験(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)」のワクチン接種後3年間にわたる長期評価において、本ワクチンのデング熱感染およびデング熱感染による入院に対して持続的な予防効果(被験者のワクチン接種前のデング熱感染歴の有無を問わない)を示し、懸念されるような安全性リスクも認められなかったことを公表しました。「TIDES試験」には、デング熱流行国であるラテンアメリカやアジア地域において2万人以上の小児・若年層(4歳から16歳)の健常被験者が登録されています。「TIDES試験」の36ヵ月間にわたる追跡調査の安全性および有効性データは、第17回国際渡航医学会(CISTM: Conference of the International Society of Travel Medicine)で発表されました。「TAK-003」の3年間(2回目接種後36ヵ月)にわたる長期評価では、デングウイルスの各血清型(計4種)に対する「TAK-003」のワクチン有効性は、各血清型で異なっていたものの、この結果は、これまで報告してきた結果と一貫性のあるものでした。また、安全性においても全般的に忍容性が良好で、懸念されるような安全性リスクも認められませんでした。病態の増悪のエビデンスは確認されませんでした。「TIDES試験」の36ヵ月間にわたる追跡調査の安全性および有効性データは、欧州連合(EU)およびデング熱流行国における承認申請資料に含まれており、今後、2021年内に承認申請が予定されている米国を含むその他の国々における申請資料にも含まれる予定です。
将来に向けた研究プラットフォームの構築/研究開発における提携の強化
自社の研究開発機能向上への注力に加え、社外パートナーとの提携も、当社研究開発パイプライン強化のための戦略における重要な要素の一つです。社外提携の拡充と多様化に向けた戦略により、様々な新製品の研究に参画し、当社が大きな研究関連のブレイクスルーを達成する可能性を高めます。
・2021年7月、当社とぺプチドリーム株式会社は、2020年12月に公表済みの両社の共同研究および独占的ライセンスの枠組みを拡大し、慢性神経変性疾患において重要な役割を担う複数の中枢神経系(CNS)ターゲットについてペプチド-薬物複合体(Peptide Drug Conjugate)の創製に向けた取り組みを進めることを公表しました。今回の共同研究の拡大により、神経変性疾患に関連する複数のCNSターゲットに対してTfR1結合ペプチドリガンドを用い、当社がTfR1結合ペプチドと医薬品候補化合物の複合体を作成し、医薬品候補化合物に血液脳関門(BBB)通過能を付与する研究が行うことが可能になります。神経変性疾患に効果的な医薬品の開発で大きな課題となるのが、治療薬物のBBB通過能を高め脳内に送達させる技術です。TfR1結合ペプチド(キャリアペプチド)を各種の治療用化合物に結合させることで、化合物のBBB通過能を高め脳内に取り込まれるため、医薬品としての機能が著しく向上します。このTfR1 BBBシャトルアプローチは、BBBの通過が困難なままである治療法の開発を加速する可能性があります。また、このアプローチは現在治療薬がほとんどないかまたは全く存在しない数多くの神経変性疾患を効果的に治療するために必要とされる、広い脳領域への薬物の生体内分布を可能にする可能性があります。
・2021年7月、当社とFrazier Healthcare Partnersは、当社のノロウイルスワクチンの開発および販売を行うバイオ医薬品企業HilleVax, Inc.(HilleVax社)設立に関して提携したことを公表しました。当社は、契約一時対価ならびに将来の売上に応じたキャッシュ・ロイヤルティおよびマイルストンを対価として、HilleVax社へノロウイルスワクチン候補である「HIL-214」(旧開発コード:「TAK-214」)の日本を除く世界における独占的開発および販売の権利を譲渡しました。当社は日本における販売権を保有し、HilleVax社は日本における開発活動をグローバル開発に統合します。ウイルス様粒子技術(VLP)を用いたワクチン候補である「HIL-214」は、4,712例の成人被験者を対象とした無作為割付プラセボ対照臨床第2相後期有効性フィールド試験を完了しています。本試験では、「HIL-214」の良好な忍容性およびノロウイルス感染に起因する中等度から重度の急性胃腸炎に対する予防効果のプルーフ・オブ・コンセプト(proof of concept)が確認されました。本ワクチンについては、これまでに9つの臨床試験が実施されており、4,500例以上の被験者の安全性データおよび2,000例以上の被験者から得られた免疫原性データが集積されています。
・2021年9月、当社とMirum Pharmaceuticals, Inc.(Mirum社)は、Mirum社の有する希少肝疾患に対する治療薬である胆汁酸トランスポーター(ASBT)阻害薬「maralixibat chloride」(一般名)(「maralixibat」)(米国の商品名「LIVMARLI」)について、アラジール症候群、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症および胆道閉鎖症に関する日本における独占的開発・販売権に関するライセンス契約を締結したことを公表しました。「maralixibat」は、経口の薬剤であり、世界でアラジール症候群、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症および胆道閉鎖症について臨床試験が進められています。本契約に基づき当社は、胆汁うっ滞に関連した適応症における臨床試験を含む、「maralixibat」の日本における開発、製造販売承認の取得および販売の責任を担うこととなります。
・2021年9月、当社とJCRファーマ株式会社(JCR)は、抗ヒトトランスフェリン受容体抗体とイズロン酸-2-スルファターゼ(IDS)の融合蛋白質でハンター症候群(ムコ多糖症2型、MPS II)の治療薬として開発中の次世代組換え融合蛋白質「JR-141」(pabinafusp alfa)の特定地域における独占的な共同開発およびライセンス契約を締結したことを公表しました。「JR-141」は、JCRが有する血液脳関門(BBB)通過技術である「J-Brain Cargo」を用い、治療効果をもつ酵素がBBBを通過し、脳内に直接到達して、ハンター症候群の身体症状と、認知機能障害の進行につながりうる神経障害性症状に働きかけるよう設計された物質です。今回の独占的な共同開発およびライセンス契約により、当社は、米国以外のカナダ、欧州およびその他の地域(日本と一部のアジア太平洋諸国を除く)における「JR-141」の事業化を独占的に行います。両社は、JCRが実施するグローバル第3相プログラムの完了後、可能な限り速やかに本治療薬を患者にお届けできるよう連携して活動します。また、当社は、本契約とは別に締結したオプション契約に基づき、当該第3相プログラムの完了時に米国における「JR-141」の事業化について独占的ライセンスを得る権利を取得します。
・2021年10月、当社は、免疫療法としてのガンマ・デルタ(γδ)T細胞がもつユニークな特性の探索に特化した企業であるGammaDelta Therapeutics Limited(GammaDelta社)を買収するオプション権を行使したことを公表しました。今回の買収により、当社は、GammaDelta社の同種可変デルタ1(Vδ1)ガンマ・デルタ(γδ)T細胞療法プラットフォームを取得します。同プラットフォームには血液由来および組織由来のプラットフォームと開発初期段階の細胞療法プログラムが含まれます。本買収は、2022年度第1四半期の完了を予定していますが、米国の1976年ハート・スコット・ロディノ反トラスト改正法を含む独占禁止法に基づく審査完了時期によります。当社は、2022年1月に米国連邦取引委員会より1976年ハート・スコット・ロディノ反トラスト改正法におけるクリアランスを取得しました。
・2022年1月、当社は、可変デルタ1(Vδ1)ガンマ・デルタ(γδ)T細胞を修飾し抗体ベースの治療薬の開発を進める英国に本拠を置く企業であるAdaptate Biotherapeutics Ltd.(Adaptate社)を買収するオプション権を行使したことを公表しました。今回の買収計画により、当社は、Adaptate社の抗体ベースのγδT細胞エンゲージャープラットフォームを前臨床段階の候補品および創薬パイプラインのプログラムを含め取得します。Adaptate社のγδT細胞エンゲージャーは、腫瘍でのみγδT細胞がメディエートする免疫反応を特異的に修飾し、健康な細胞を傷つけないよう設計されています。本買収は、当社によるGammaDelta社の買収オプション件の行使に続き、革新的なγδT細胞ベースの治療薬の開発をさらに加速することを目的としています。本買収は、2022年度第1四半期の完了を予定しています。