有価証券報告書-第142期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/27 16:17
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97項目
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当年度の業績および財政状態は以下のとおりとなりました。
売上収益2兆972億円[前年度比3,267億円( 18.5%)増]
研究開発費3,683億円[ 〃429億円( 13.2%)増]
営業利益2,050億円[ 〃368億円( 15.2%)減]
税引前当期利益949億円[ 〃1,223億円( 56.3%)減]
当期利益1,090億円[ 〃777億円( 41.6%)減]
基本的1株当たり利益113円50銭[ 〃125円85銭( 52.6%)減]
資産合計13兆8,723億円[前年度末比9兆7,659億円( 237.8%)増]
負債合計8兆7,087億円[ 〃6兆6,197億円( 316.9%)増]
資本合計5兆1,636億円[ 〃3兆1,462億円( 156.0%)増]

なお、当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績の記載を 省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
(「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」参照)
③ 生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績
当年度における生産実績は次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
医薬品事業619,3530.2
合計619,3530.2

(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 生産実績金額は、消費税等を除いた販売価格によっております。
(b) 受注状況
当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しております。
一部の事業において受注生産を行っていますが、受注高および受注残高の金額に重要性はありません。
(c) 販売実績
当年度における販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
医薬品事業2,097,22418.5
(国内)(571,016)(△1.6)
(海外)(1,526,208)(28.2)
連結純損益計算書計上額
(うち知的財産権収益・役務収益)
2,097,224
(70,951)
18.5
(△7.5)

(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。
3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前年度当年度
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
㈱メディパルホールディングスおよびそのグループ会社220,24912.4225,96210.8

4 販売実績金額は、消費税等を除いた金額であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
(a) 当年度の経営成績の分析
(ⅰ) 当社グループの経営成績に影響を与える事項
事業の概況
当社グループは、既存事業の自立的な伸長と企業買収を通じて成長してまいりました。これまで複数の企業買収を実施したことにより、疾患領域、地理的拠点、パイプラインの拡大を推進してまいりました。特に2019 年1月にShire社を買収したことにより、当社グループの消化器系疾患およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の領域が強化され、希少疾患と血漿分画製剤の主導的地位を獲得しました。また、研究開発エンジンのさらなる強化と相互補完的で強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)の多様なパイプラインの構築を実現しました。さらに、販売においては、本買収は米国におけるプレゼンスを飛躍的に向上させました。
当社グループは、Shire社買収の対価の現金部分の資金を調達するため、多額の負債を計上しましたが、Shire社買収後の営業活動から生じるキャッシュ・フローを用いてレバレッジの低下を速やかに実現させる方針です。当社グループは、レバレッジの低下を加速させるため、また主要ビジネスエリアである消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)およびニューロサイエンス(神経精神疾患)により注力するため、ノンコア資産の処分を開始しております。
当社グループの事業は単一セグメントであり、資源配分、業績評価、および将来業績の予測においてマネジメントの財務情報に対する視点と整合しております。2019年3月期における売上収益は2兆972億円であり、営業利益は2,050億円であります。
当社グループの経営成績に影響を与える事項
当社グループの経営成績は、グローバルな業界トレンドや事業環境における以下の事項に影響を受けます。
買収
当社グループは、研究開発能力を拡大し(新たな手法に展開することを含みます。)、新しい製品(開発パイプラインや上市済み製品)やその他の戦略的領域を獲得するために、新たな事業を買収する可能性があります。同様に、当社グループの主な成長ドライバーに注力するため、また当社グループのポートフォリオを維持するために、随時、事業や製品ラインを売却しております。
これらの買収は企業結合として会計処理され、取得した資産および負債は公正価値で計上されております。当社グループの業績は、通常、棚卸資産、および有形固定資産の公正価値の増加や、主要な無形資産の認識に伴う償却費用の計上を含む企業結合会計により影響を受けます。また、買収が追加的な借入金で賄われている場合、支払利息の増加も当社グループの業績に影響を与えます。
当社グループは、2019年1月8日、約6兆2,100億円を対価としてShire社を買収し、このうち3兆294億円を現金にて、残額を主に当社普通株式にて支払いました。当社グループは、対価の現金部分の資金を調達するため、3兆2,959億円の有利子負債を計上し、また買収を通じ1兆6,032億円のShire社の有利子負債を引き受けました。当社グループはShire社買収に関して、3兆874億円ののれんおよび3兆8,993億円の無形資産を認識しております。Shire社買収は、当社グループの製品ポートフォリオや地理的なプレゼンスの大幅な拡大等を通して、当社グループの事業に大きな変化をもたらしました。当社グループの業績は、売上収益及び関連費用の増加、取得した無形資産に係る償却費、および在庫の公正価値調整の費用化に起因する追加的な費用、買収資金を調達するための借入金に関連する支払利息、また事業統合に係る費用の支払い等により、大きく影響を受けます。Shire社買収完了と当社事業への統合に伴い、Shire社買収完了から3期目の会計年度末までに、売上、販売管理機能、研究開発の合理化に向けた取り組みや製品の製造と供給における効率化を通じ、約20億米ドルの税引前シナジーが継続的に発生すると予想しております。当社グループは、このようなシナジーを実現するために、Shire社買収完了から会計期間3期にわたり、約30億米ドルの臨時的な費用を要すると考えております。当社グループは、Shire社買収により生じると予想される大幅なキャッシュ・フロー創出により、安定した配当政策や、買収完了後のレバレッジ低下を維持することができると考えており、速やかなレバレッジ低下を進めるため、ノンコア資産の処分を開始いたしました。
2017年2月16日、当社グループはARIAD社を5,831億円の対価で買収しました。ARIAD社は米国マサチューセッツ州ケンブリッジに本社をおき、希少疾患である慢性および急性の白血病、肺がん、その他の希少がん患者のための精密治療の発見、開発および販売に注力するバイオテクノロジー会社です。
買収および上記の影響により、当社グループの業績は期間比較ができない可能性があります。
事業売却
当社グループは、主要な成長ドライバーに注力し、ポートフォリオの管理を行い、また、長期借入金を速やかに返済するための追加キャッシュ・フローを創出するため、事業や製品ラインを売却しております。
2017年4月、当社グループが保有する和光純薬工業株式会社の株式を富士フイルム株式会社に1,985億円で売却し、2018年3月期において1,063億円の事業譲渡益を計上しました。和光純薬工業株式会社は、2016年3月期および2017年3月期において、それぞれ766億円、791億円の売上収益を計上しております。
2016年4月、当社グループは、日本における特定の長期収載品を武田テバ薬品株式会社に継承いたしました。同社は、当社とTeva Pharmaceutical Industries Ltd.の合弁会社である武田テバファーマ株式会社(以下、「武田テバファーマ」)の完全子会社であります。当社は継承した事業に対する対価として49%の武田テバファーマの株式を受領しております。事業継承時に、当社は受領した対価(武田テバファーマの株式)の公正価値と当該事業の帳簿価額との差額のうち、実現した範囲で譲渡益を認識しております。残りの譲渡益は繰り延べており、継承日から、継承された製品に係る無形資産の耐用年数である15年にわたり償却する予定です。2017年3月期において、当社グループは、1,154億円を事業譲渡益として計上しております。そのうち1,029億円は継承時点で認識し、残額は同会計期間における未実現利益の償却として収益計上しております。当社グループは武田テバファーマから、49%の持分法による投資損益に加え、製品の供給と流通に係る収益を受領しております。
当社グループは、経営にとってコアでない事業を売却し、売却資金で債務の返済を行うことを公表しており、2019年5月にShire社買収の一環として取得したドライアイの兆候・症状の治療薬Xiidra®および手術用パッチ剤Tachosiltmの売却を発表いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 注記33 後発事象」をご参照ください。
特許保護と後発品との競争
医薬品は特に、特許保護や規制上の独占権によって市場競争が規制されることにより、当社グループの業績に貢献する場合があります。代替治療の利用が容易でない新製品は特に当社グループの売上の増加に貢献します。ただし、保護されている製品においては、効能、副作用が無いようにすることや価格で他社と競争しなければなりません。一方で、特許保護もしくは規制上の独占権の喪失や満了により、後発品が市場に参入するため、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼすことがあります。当社グループの主要製品の一部は、特許やその他の知的財産権保護の満了により、厳しい競争に晒されている、あるいは晒されると予想しております。例えば、米国において当社グループの最大の売上の製品の一つであるベルケイドに含まれる有効成分のボルテゾミブの特許権が満了したことにより、ボルテゾミブを含む競合製品が販売されています。これにより、ベルケイドの売上が減少しており、競合品が市場に参入することにより当社製品の売上が大幅に減少する可能性があります。後発品を販売する他社が市場参入に成功する場合、もしくは想定される特許侵害訴訟に係る費用以上のベネフィットを前提として参入することを決定する場合があります。また、当社グループの特許権の有効性、あるいは製品保護に対する申し立てが提起された場合には、関連する無形資産の減損損失を認識する可能性があります。
原材料の調達による影響
原材料を社内外から調達することができない場合に、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。例えば、ヒト血漿は当社グループの血漿分画製剤において重要な原材料であります。血漿をより多く収集するため、原料血漿の収集や血漿分画に関連する施設への委託、及び規制当局からの承認を受ける取り組みを行っております。2019年3月期において、当社グループの業績は、血漿分画製剤に必要となる重要な原材料の供給に対し、製造需要が上回っていたことによる影響を受けました。
外国為替変動
2019年3月期において、当社グループでは日本以外の売上が72.8%を占めており、今後年間のShire社業績が取り込まれることにより比率が拡大することを想定しております。当社グループの収益および費用は、特に当社の表示通貨である日本円に対する米ドルおよびユーロの外国為替レートの変動に影響を受けます。円安は日本円以外の通貨による収益の増加要因となり当社グループの業績に好影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の増加により相殺される可能性があります。反対に、円高は日本円以外の通貨による収益減少要因となり当社グループの業績に悪影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の減少により相殺される可能性があります。為替変動リスクを低減するため、当社グループは重要な外貨建取引で、かつ、取引が個別に認識できる一部の外貨建取引について、先物為替予約、通貨スワップおよび通貨オプションを利用しヘッジを行っております。
季節的要因
当社グループの売上収益、営業利益および当期利益は、主に日本国内での売上収益の変動により2017年度および2018年度において第4四半期に減少しています。日本の医薬品卸売業者は、一般的に3月31日である期末に向けて在庫数が減少するよう調整する傾向があり、第4四半期における当社グループの売上高の減少につながっています。また、日本の医薬品卸売業者は年末年始休暇に向けて在庫数を増やす傾向があり、10月1日から12月31日までの第3四半期に売上高が増加いたします。
(ⅱ) 重要な会計方針
当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成されております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産および負債の金額、財務諸表の末日時点の偶発資産および偶発負債の開示、ならびに報告期間における収益および費用の金額に影響を及ぼす見積りおよび仮定の設定を行うことが求められております。見積りおよび仮定は、継続的に見直されます。経営者は、過去の経験および見積りおよび仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき当該見積りおよび仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積りおよび仮定とは異なる場合があります。
経営者の見積りおよび仮定に影響を受ける重要な会計方針は以下の通りであります。なお、見積りおよび仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。
収益認識
当社グループの収益は主に医薬品販売に関連したものであり、製品に対する支配が顧客に移転した時点で認識されております。収益の認識額は、当社グループが製品と交換に受け取ると見込まれる対価に基づいております。収益からは、主に小売業者、政府機関、卸売業者、医療保険会社およびマネジドケア組織に対する割戻や値引等の様々な項目が控除されております。これらの控除額は関連する義務に対し見積られますが、報告期間における当該収益に係る控除額の見積りには判断が伴います。総売上高からこれらの控除額を調整して、純売上高が算定されます。米国市場における収益控除に関する取り決めが最も複雑なものになっております。
収益に係る調整のうち最も重要なものは以下のとおりであります。
• 米国メディケイドおよびメディケア: 米国のメディケイド・ドラッグ・リベート・プログラムは、連邦政府および州が共同で拠出した資金により社会的弱者グループに対して医療費を負担する制度であり、各州が運営を行っております。当プログラムに係る割戻の支払額の算定には、関連規定の解釈が必要となりますが、これは異議申し立てによる影響または政府機関の解釈指針の変更による影響を受ける可能性があります。メディケイドの割戻に係る引当金は、過去の経験、製品売上高および人口の増加率、製品価格ならびに各州の制度における契約内容および関連条項を考慮して算定しております。米国のメディケア・プログラムは65歳以上の高齢者もしくは特定の障害者向けの公的医療保険制度であり、当プログラムのパートDにおいて処方薬に係る保険が規定されております。パートDの制度は民間の処方薬剤費保険により運営、提供されております。メディケア・プログラムのパートDに係る割戻は各処方薬剤費保険の制度内容、製品売上高および人口の増加率、製品価格ならびに契約内容を考慮して算定しております。当社グループの売上控除額計上時点から最終的なメディケアおよびメディケイドに係る割戻の会計処理までには通常数カ月の差が生じます。
• 顧客に対する割戻: 当社グループは、マーケットシェアの維持と拡大、また、患者さんの当社グループ製品へのアクセスを確実にするために、購入機関、保険会社、マネージドヘルスケア団体およびその他の直接顧客ならびに間接顧客に対して割戻を実施しております。割戻は契約上取決めがなされているため、係る引当金は各取決めの内容、過去の経験および製品売上高の予想成長率を基に算定しております。
• 卸売業者に対するチャージバック: 当社グループは特定の間接顧客と、顧客が卸売業者から割引価格で製品を購入可能とする取決めを結んでおります。チャージバックは卸売業者に対する当社グループの請求額および間接顧客に対する契約上の割引価格の差額であります。チャージバックの見積りに係る引当金は各取決めの内容、過去の経験および製品売上高の予想成長率を基に算定しております。
• 返品調整引当金: 返品権付き製品を顧客に販売する際は、当社グループの返品ポリシーや過去の返品率に基づいた返品見込み額を引当金として計上しております。返品見込み率を見積る際は、過去の返品実績、予想される流通チャネル内の在庫量および製品の保管寿命を含む関連要因を考慮しております。
引当額は見積りに基づくため、実際の発生額を完全に反映していない場合があり、特に購入機関の種類、最終消費者および製品の売上構成により変動する可能性があります。
これまで実績または見積りの見直しの反映による当初の見積りに対する調整額が、当社グループの業績に重要な影響を与えたことはありません。しかしながら、特定の製品に係る割戻は、当該製品の年ごとの売上高成長率の推移に重要な影響を与える可能性があります。また、当社グループが見積りに際して使用した比率、要因、評価、経験もしくは判断が将来の事象の見積りにおける適切な予測値ではなかった場合、当社グループの業績に重要な影響を与える場合があります。見積りの感応度は、制度、顧客の種類、および地理的位置により左右される可能性があります。
のれんおよび無形資産の減損
当社グループは、償却を開始している無形資産について、その資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象または状況の変化がある場合には、減損テストを行っております。のれんおよびその他の現在まだ未償却の無形資産については、少なくとも年次で減損テストを実施しております。2019年3月31日時点において、当社グループはのれんを4兆1,614億円、無形資産を4兆8,604億円計上しており、これは総資産の65.0%を占めております。
製品に係る無形資産は特許期間に応じた3年から20年の耐用年数を用いて定額法で償却しております。開発中の製品に係る無形資産は、特定の市場における商用化が規制当局により承認されるまで償却をしておりません。商用化が承認された時点で、当該資産の見積耐用年数を確定し、償却を開始しております。
資産は、通常、その財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には減損していると判断されます。回収可能価額は個別資産、またはその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。のれんは、シナジーから便益を得ると見込まれる資金生成単位または資金生成単位グループに配分され、回収可能価額はその資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであり、当社グループが製品を販売する各国が該当します。回収可能価額の見積りには以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。
·将来キャッシュ・フローの金額および時期
·競合他社の動向(競合製品の販売開始、マーケティングイニシアチブ等)
·規制当局からの承認の取得可能性
·将来の税率
·永続成長率
·割引率
キャッシュ・フローが変動する可能性のある事象としては、研究開発プロジェクトの失敗もしくは上市後製品の価値の下落があげられます。研究開発プロジェクトの失敗には、開発の中止、大幅な上市の遅延、もしくは規制当局の承認が得られない場合が該当します。これらの事象が発生した場合、見積った将来キャッシュ・フローが回収できない、もしくは資産の取得後に実施した当初もしくは事後の研究開発投資額が回収できない可能性があります。
これらの仮定に変更が生じた場合は、当該会計年度において減損損失および減損損失の戻入れを認識しております。詳細は「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11 のれん および12 無形資産」をご参照ください。
退職給付およびその他の退職後給付制度
当社グループは、当社グループの従業員の大半を対象とする年金およびその他の退職後給付制度を有しております。退職給付費用およびこれらの制度に係る負債の現在価値の算定には重要な仮定および見積りの設定を行うことが求められております。これには将来の確定給付債務および確定給付費用の見積りに使用する利率や将来の年金増加率が含まれます。さらに、これらの見積りに関連して、年金数理人が制度からの脱退率や死亡率等の統計情報を経営者に提供しております。市場状況および経済状況の変化、脱退率の増減、加入者の寿命の変化等の要因により、使用した仮定および見積りは実績と大幅に異なる場合があります。重要な数理計算上の仮定に係る感応度情報については「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 22 従業員給付」をご参照ください。見積りの大幅な変動は連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。2019年3月31日現在において、退職給付に係る純負債を1,565億円計上しております。
企業結合―公正価値
企業結合の会計処理には、取得した資産および引き受けた負債ならびに条件付対価の公正価値を算定することが求められております。公正価値の見積りには、将来のキャッシュ・フロー予測、割引率、開発および承認マイルストン、市場動向に関する予測、ならびに条件付対価に関しては支払可能性額等の様々な仮定の設定が必要となります。
条件付対価は各報告期間の末日おいて公正価値で計上しております。時間的価値に基づく公正価値の変動は金融費用として、その他の変動はその他の営業収益またはその他の営業費用としてそれぞれ連結純損益計算書に認識しております。2019年3月期において、公正価値の変動により、条件付対価が22億円減少しております。
当社グループの見積りは、過去の経験や業界における知識に基づいております。見積りは合理的に算出されますが、実際の業績はこれらの見積りとは異なる場合があります。取得した資産グループや企業結合の価値を算出する際に使用される見積りの重要な変化は、当社グループによって取得された有形固定資産または無形資産の将来における減損につながり、当社グループの財政状態および業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。また、偶発負債を含む負債の価値が取得法によって過去に計上された金額と著しく異なる場合は、追加費用の計上が必要となり、当社グループの財政状態および業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
訴訟に係る偶発事象
当社グループは、通常の営業活動において主に製造物責任訴訟および賠償責任訴訟に関与しております。詳細については「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。
偶発負債は、その特性から不確実なものであり複雑な判断や可能性に基づいております。訴訟およびその他の偶発事象に係る引当金を算定する際には、該当する訴訟の根拠や管轄、その他の類似した現在および過去の訴訟案件の顛末および発生数、製品の性質、訴訟に関する科学的な事項の評価、和解の可能性ならびに現時点における和解にむけた進行状況等を勘案しております。さらに、未だ提訴されていない製造物責任訴訟については、主に過去の訴訟の経験や製品の使用に係るデータに基づき、費用を合理的に見積ることができる範囲で引当金を計上しております。また、保険の補償範囲期間内である場合は保険による補償についても考慮しております。補償範囲の検討の際に、当社グループは、保険のポリシーの制限や除外、保険会社による補償の拒否の可能性、保険業者の財政状況、ならびに回収可能性および回収期間を考慮しております。引当金および関連する保険補償額の見積りは、連結財政状態計算書上において負債および資産として総額で計上しております。2019年3月31日現在において、係争中の訴訟案件およびその他の案件について468億円の引当金を計上しております。
法人所得税
当社グループは、税法および税規制の解釈指針に基づき税務申告を行っており、これらの判断および解釈に基づいた見積額を計上しております。通常の営業活動において、当社グループの税務申告は様々な税務当局による税務調査の対象であり、これらの調査の結果、追加税額、利息、または罰金の支払いが課される場合があります。法律および様々な管轄地域の租税裁判所の判決に伴う法改正により、税務ポジションの見積りの多くは固有の不確実性を伴います。税務当局が当社グループの税務ポジションを認める可能性が高くないと結論を下した場合に、当社グループは、税務上の不確実性を解消するために必要となる費用の最善の見積り額を認識します。また、未認識のタックス・ベネフィットは事実および状況の変化に伴い調整されます。これらの税務ポジションは、例えば、現行の税法の大幅改正、税務当局による税制または解釈指針の発行、税務調査の際に入手した新たな情報、または税務調査の解決により調整が行われる可能性があります。当社グループは、不確実な税務ポジションに係る当社グループの見積りは、現時点において判明している事実および状況に基づき適切かつ十分であると判断しております。
また、各報告期間の末日において繰延税金資産の回収可能性を評価しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予想される将来加算一時差異の解消スケジュール、予想される将来課税所得およびタックスプランニングを考慮しております。過去の課税所得の水準および繰延税金資産が認識できる期間における将来の課税所得の見積りに基づき、実現する可能性が高いと予想される税務上の便益の額を算定しております。2019年3月31日における未認識の繰延税金資産は2,594億円であります。将来における見積りの変更は法人所得税費用に重要な影響を与える可能性があります。
事業構造再編費用
当社グループでは、費用削減に関連した取り組みおよび買収に係る事業統合に関連して事業構造再編費用が発生します。退職金およびリース解約費用が事業構造再編費用の主な内訳であり、事業構造再編に係る引当金については、計画が承認され、費用を見積もることができ、支払の確率が高い場合に引当金を計上しております。事業構造再編に係る引当金の認識には、支払時期や、退職金を受領した後一定期間会社に在籍する従業員数等の様々な見積りが必要となります。最終的なコストは当初の見積りから異なる可能性があります。
当社グループは、将来において買収および売却に関連した事業統合に係る追加の事業構造再編費用を計上すると見込んでおります。2019年3月31日現在において、当社グループは、事業構造再編に係る引当金を497億円計上しております。詳細および事業構造再編に係る引当金の推移は「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 23 引当金」をご参照ください。
(ⅲ) 当年度における業績の概要
当年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。
(単位:億円)
前年度当年度
売上収益17,70520,972
売上原価△4,959△6,597
販売費及び一般管理費△6,281△7,176
研究開発費△3,254△3,683
製品に係る無形資産償却費及び減損損失△1,221△2,034
その他の営業収益1,6941,599
その他の営業費用△1,266△1,032
営業利益2,4182,050
金融収益395168
金融費用△319△833
持分法による投資損失△322△436
税引前当期利益2,172949
法人所得税費用△305141
当期利益1,8671,090

当年度の連結業績には、Shire社買収に伴う影響および同社の2019年1月8日から3月31日における業績が含まれており、当社グループの業績に大きく影響を及ぼしております。当年度の業績に与えるShire社買収影響および前年度の業績からの推移は以下のとおりです。
(単位:億円、%以外)
連結業績Shire社買収影響Shire社買収影響を除く
連結業績
当年度対前年度Shire社
業績
企業結合
会計影響
買収及び事業統合関連費用当年度対前年度
売上収益20,9723,26718.5%3,092--17,8801751.0%
売上原価△6,597△1,63833.0%△1,016△817-△4,764196△3.9%
販売費及び一般管理費△7,176△89514.2%△985△6△238△5,947334△5.3%
研究開発費△3,683△42913.2%△430-△16△3,23717△0.5%
製品に係る無形資産償却費
及び減損損失
△2,034△81266.5%-△992-△1,041180△14.7%
その他の営業収益1,599△95△5.6%△14--1,612△82△4.8%
その他の営業費用△1,032234△18.5%△49-△596△386880△69.5%
営業利益2,050△368△15.2%598△1,816△8504,1181,70070.3%
金融収益168△227△57.4%-2-166△229△57.9%
金融費用△833△514160.9%△106△42△413△27148△15.1%
持分法による投資損失△436△11435.5%3--△439△11736.4%
税引前当期利益949△1,223△56.3%494△1,856△1,2633,5741,40264.5%
法人所得税費用141446△146.3%△113440261△446△14146.3%
当期利益1,090△777△41.6%381△1,417△1,0023,1281,26167.5%


[売上収益]
売上収益は、Shire社買収影響の3,092億円を含め、3,267億円増収(+18.5%)の2兆972億円となりました。Shire社買収影響を除く売上収益は、事業等の売却による減収影響、および為替の円高による減収影響があったものの、3つのビジネスエリア(消化器系疾患、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患))の継続的な伸長により175億円の増収(+1.0%)となりました。
地域別売上収益
各地域の売上収益は以下のとおりです。
(単位:億円、%以外)
売上収益:前年度当年度
日本5,80332.8%5,71027.2%
米国5,98333.8%8,29039.5%
欧州およびカナダ3,13717.7%4,05619.3%
ロシア/CIS6823.9%5972.8%
中南米7574.3%8814.2%
アジア1,0405.9%1,0545.0%
その他3021.7%3831.8%
合計17,705100.0%20,972100.0%

(注)その他地域には、中東、オセアニアおよびアフリカが含まれております。
当社グループの売上収益の大部分は、主要な医療用医薬品により占められております。当期の各ビジネスエリアにおける主要製品の売上は以下のとおりです。
(単位:億円、%以外)
前年度当年度対前年度
消化器系疾患:
エンティビオ2,0142,69267833.7%
デクスラント657692355.3%
パントプラゾール658616△42△6.4%
タケキャブ4855829820.1%
アミティーザ338330△9△2.5%
オンコロジー:
ベルケイド1,3731,279△94△6.9%
リュープリン1,0811,101201.9%
ニンラーロ46462215733.9%
アドセトリス3854294411.4%
アイクルシグ2312875624.1%
ALUNBRIG28522484.0%
ニューロサイエンス:
トリンテリックス4845769219.0%
その他:
アジルバ6407086810.6%
ネシーナ502548469.1%
ユーロリック468511439.1%
コルクリス403300△103△25.4%
Shire社買収に伴い追加した製品:
免疫グロブリン622622
バイバンス/ビバンセ494494
アドベイト321321
アルブミン158158
GATTEX/REVESTIVE128128
アディノベイト107107
TAKHZYRO9797
NATPARA7171

‐消化器系疾患
当社グループのトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」(国内製品名:「エンタイビオ」)の売上が伸長し、678億円増収(+33.7%)の2,692億円となり、売上成長を牽引しました。「エンティビオ」は生物学的製剤の新規患者シェアを順調に拡大しました。日本でも、2018年7月に中等症から重症の活動期の潰瘍性大腸炎に対する治療剤として製造販売承認を取得し、2018年11月に販売を開始しました。酸関連疾患治療剤「タケキャブ」も、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍の再発抑制等の効能を中心として、日本において新規処方が拡大し、売上は98億円増収(+20.1%)の582億円となりました。
‐オンコロジー
多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」の売上が、米国をはじめとした各国で力強く伸長し、157億円増収(+33.9%)の622億円となりました。「ニンラーロ」は、高い有効性、安全性、利便性を有する週1回経口投与のプロテアソーム阻害剤です。また、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」は、日本およびブラジルでの伸長により44億円の増収(+11.4%)となりました。2017年2月のアリアド・ファーマシューティカルズ Inc.の買収により獲得した白血病治療剤「アイクルシグ」と肺がん治療剤「ALUNBRIG」は、それぞれ56億円増収(+24.1%)および24億円の増収(+84.0%)となりました。なお、多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」は前年度に米国における独占販売期間満了を迎えましたが、94億円の減収(△6.9%)に留まっています。
‐ニューロサイエンス
大うつ病治療剤「トリンテリックス」の売上は、処方医および患者さんによる同疾患に対する包括的な治療アプローチに同剤の組み入れが拡大したことにより、92億円増収(+19.0%)の576億円となりました。
なお、主な事業等の売却による影響としては、2017年5月に当社の日本の長期収載品7製品を武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に売却したことによる影響、2018年5月に当社の連結子会社であった広東テックプール・バイオファーマCo., Ltd.の株式を売却したことに伴う影響、および2018年3月に経口関節リウマチ治療薬JAK阻害剤「ゼルヤンツ」の日本におけるコ・プロモーションおよび当社による仕入販売を終了したことによる影響がありました。
買収日以降のShire社の売上収益は、3,092億円となりました。統合の一環として、流通チャネルにかかる武田薬品の方針をShire社にも適用することにより、卸における流通在庫の回転日数が複数の品目において大幅に改善したものの、一時的な在庫調整の影響を受け、Shire社の売上収益が減少しました。
売上収益の主な内訳は以下のとおりです。
‐消化器系疾患
消化器系疾患の売上収益は、主に短腸症候群治療剤「GATTEX/REVESTIVE」の売上128億円を含め、215億円となりました。
‐希少疾患
希少疾患の売上収益は1,112億円となりました。血友病A治療剤「アドベイト」および「アディノベイト」、遺伝性血管浮腫予防剤「TAKHZYRO」および副甲状腺機能低下症治療剤「NATPARA」の売上は、それぞれ321億円、107億円、97億円および71億円となりました。
‐血漿分画製剤
血漿分画製剤の売上収益は963億円となりました。主に原発性免疫不全症や多巣性運動ニューロパチーの治療に用いられる免疫グロブリン製剤および血液量減少症や低タンパク血漿の治療に用いられるアルブミン製剤の売上は、それぞれ622億円および158億円となりました。
‐ニューロサイエンス
ニューロサイエンスの売上収益は、注意欠陥/多動性障害・過食性障害治療剤「バイバンス」(国内製品名:「ビバンセ」)の494億円の売上収益を含め、601億円となりました。
[売上原価]
売上原価は、Shire社で発生した売上原価1,016億円および棚卸資産の公正価値調整にかかる非資金性の費用などの企業結合会計の影響817億円を含む、1,638億円増加(+33.0%)の6,597億円となりました。なお、Shire社買収影響を除く売上原価は、製品構成の改善等により196億円(△3.9%)減少しております。
[販売費及び一般管理費]
販売費及び一般管理費は、895億円増加(+14.2%)の7,176億円となりました。Shire社で発生した販売費及び一般管理費985億円、およびShire社買収に係る買収関連費用238億円が発生しましたが、これらの増加は、Shire社買収影響を除く、その他の販売費及び一般管理費の減少334億円と一部相殺されております。これらの減少は、グローバル経費削減イニシアチブによる削減効果と株式報酬費用の減少等によるものです。
[研究開発費]
研究開発費は、Shire社で発生した研究開発費により429億円増加(+13.2%)し3,683億円となりました。Shire社買収影響を除く研究開発費は、前年度からほぼ横ばいとなりました。
[製品に係る無形資産償却費及び減損損失]
製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、Shire社買収に伴い取得した無形資産の償却費992億円の発生、および前年度において「コルクリス」の販売見通し改善による減損損失の戻入226億円を計上したことにより、対前年度812億円増加(+66.5%)の2,034億円となりました。上記増加は、「ベルケイド」の無形資産の償却が前年度中に終了したことによる減少影響367億円と一部相殺されております。
[その他の営業収益]
その他の営業収益は、当年度、旧東京本社ビルを含む有形固定資産の売却益503億円および不動産事業の譲渡に伴う連結子会社株式譲渡益382億円を計上したものの、前年度に計上した和光純薬工業株式会社の株式売却益1,063億円の影響により、対前年度95億円減少(△5.6%)の1,599億円となりました。
[その他の営業費用]
その他の営業費用は、対前年度234億円減少(△18.5%)の1,032億円となりました。この減少は、Shire社買収に関連した統合費用596億円を計上したものの、事業構造再編費用が対前年度228億円減少したこと、および前年度に計上された在外営業活動体の清算損415億円等を主要因として、その他の営業費用が880億円減少したことよるものです。
[営業利益]
営業利益は、上記の要因を反映し、前年度から368億円減益(△15.2%)の2,050億円となりました。
[金融損益]
金融収益と金融費用をあわせた金融損益は664億円の損失となり、対前年度741億円の減益となりました。この減益は主に、当年度においては、Shire社買収に関連する財務費用413億円を金融費用に計上したことによります。また、前年度においては上場株式等にかかる有価証券売却益304億円を金融収益に計上していたものの、新たな国際会計基準の適用により当年度からは当該売却益が金融収益に計上されないことによります。
[持分法による投資損失]
持分法による投資損失は、対前年度114億円増加の436億円となりました。長期収載品事業およびジェネリック医薬品事業を営む武田テバファーマ株式会社において、事業環境の変化に伴い保有する資産の評価を見直した結果、減損損失が認識されたことなどによるものです。
[法人所得税費用]
法人所得税費用は、前年度の305億円から446億円減少(△146.3%)の△141億円となりました。これは主にShire社買収に伴う税金費用の減少影響587億円によるものであります。Shire社買収影響を除く法人所得税費用は、当年度に子会社再編に伴い計上された税務上の損失があったものの、税引前当期利益の増加および前年度における米国の税制改革法の成立による影響により、全体では前年度から141億円の増加となりました。
[当期利益]
当期利益は、上記の要因を反映し、前年度から777億円減益(△41.6%)の1,090億円となりました。
(ⅳ) 当年度における実質的な成長の概要
当社は、事業の計画策定および業績評価において、「実質的な成長」(Underlying Growth)の概念を採用しております。前年度との比較を可能にするため、Shire社買収影響を除いた「実質的な成長」を示しております。
「実質的な成長」は、当年度と前年度(四半期もしくは年間)の業績を共通の基準で比較するものであり、マネジメントによる業績評価に使用されています。これら共通の基準で比較される業績は、為替レートを一定として、事業等の売却影響およびその他の非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を控除し算定されます。当社は、この「実質的な成長」が、事業活動のパフォーマンスを表す共通の基準を提供するため、投資家に有用であると考え、「Underlying Revenue Growth」(実質的な売上収益(1)の成長)、「Underlying Core Earnings Growth」(実質的なCore Earnings(2)の成長)および「Underlying Core EPS Growth」(実質的なCore EPS(3)の成長)を重要な財務指標としています。なお、本指標は、国際会計基準(IFRS)に準拠したものではありません。
当年度の実質的な成長は、以下のとおりとなりました。
旧武田薬品の実質的な成長
売上収益(1)+5.3%[ 対前年度 +891億円 ]
Core Earnings(2)+38.7%[ 〃 +1,095億円 ]
Core EPS(3)+29.0%[ 〃 +77円88銭 ]

(1) Shire社買収影響を除く実質的な売上収益は、為替レートを一定として、財務ベースの売上収益に、報告期間における非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響を調整して計算します。
当年度の実質的な売上収益の成長を算定するにあたっての調整項目の主な内容は、武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に当社の日本の長期収載品7製品を売却したことに伴う影響およびMultilab Indústria e Comércio de Produtos Farmacêuticos Ltda.、広東テックプール・バイオファーマCo,.Ltd.にかかる事業等の売却影響であります。
(2) Shire社買収影響を除くCore Earningsは、純利益から、法人所得税費用、持分法にかかる投資損益、金融損益、その他の営業収益およびその他の営業費用、製品に係る無形資産償却費及び減損損失を控除して算出します。その他、企業買収に係る会計処理の影響や買収関連費用など、本業に起因しない(ノン・コア)とマネジメントが判断した事象による影響を調整します。
当年度のCore Earningsを算定するにあたっての重要性のあるその他の調整項目の主な内容は、Shire社買収に向けた買収関連費用です。
実質的なCore Earningsは、為替レートを一定として、Core Earningsに、報告期間における事業等の売却影響を調整して計算します。
当年度の実質的なCore Earningsの成長を算定するにあたっての事業等の売却影響の主な内容は、武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に当社の日本の長期収載品7製品を売却したことに伴う影響およびMultilab Indústria e Comércio de Produtos Farmacêuticos Ltda.、広東テックプール・バイオファーマCo,.Ltd.にかかる事業等の売却影響であります。
(3) Shire社買収影響を除く実質的なCore EPSの算定にあたっては、為替レートを一定として、純利益から、事業等の売却影響、およびCore Earningsの算出において控除された項目と営業利益以下の各科目のうち、重要性のある、非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を調整します。これらには、条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響などが含まれます。さらに、これらの調整項目に係る税金影響を控除した後、比較年度末の自社株式控除後の発行済株式総数で除して算定します。
当年度の実質的なCore EPSの成長を算定するにあたっての営業利益以下の調整項目の主な内容は、Shire社買収に向けた財務費用および条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響であります。
旧武田薬品における実質的な売上収益の成長率は、潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」+34.8%、多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」+36.1%、白血病治療剤「アイクルシグ」+24.6%、酸関連疾患治療剤「タケキャブ」+20.1%、大うつ病治療剤「トリンテリックス」+19.4%をはじめとしたタケダの成長ドライバーの製品が力強く伸長したことにより、対前年度+5.3%となりました。タケダの成長ドライバー全体では+11.1%の伸長となり、実質的な売上収益の63.3%を占めております。
旧武田薬品における実質的なCore Earningsの成長率は、実質的な売上収益の力強い成長や、グローバル経費削減イニシアチブ(4)による削減効果により前年度から大きく伸長し+38.7%となりました。実質的な売上原価は、製品構成の改善により、対売上収益比率が1.4pp向上しました。実質的な営業経費は、グローバル経費削減イニシアチブ(4)の削減効果により、対売上収益比率が3.9pp向上しました。上記の要因の組み合わせにより、実質的なCore Earningsの対売上収益比率は5.4pp向上し、22.3%となりました。
(4) 消費量の削減、購買価格低減による経費削減、および組織の最適化によって実質的なCore Earningsの売上収益比率の向上を目指す、当社グループのイニシアチブ
旧武田薬品における実質的なCore EPSの成長率は、実質的なCore Earningsの力強い成長(+38.7%)を反映し、前年同期から+29.0%となりました。
(b)当年度の財政状態の分析
[資産]
当期末における資産合計は、前年度末から9兆7,659億円増加し、13兆8,723億円となりました。のれんおよび無形資産は、主にShire社買収影響により、それぞれ3兆1,322億円および3兆8,461億円増加しました。
[負債]
当期末における負債合計は、前年度末から6兆6,197億円増加し、8兆7,087億円となりました。Shire社の買収に必要な資金を調達するために社債の発行および借入を実行したことにより社債及び借入金が4兆7,653億円増加し、5兆7,510億円(注)となったことによるものです。また、繰延税金負債もShire社買収影響により7,763億円増加の8,671億円となりました。
(注)当期末における社債、借入金の帳簿価額はそれぞれ3兆1,964億円および2兆5,546億円です。なお、社債および借入金の内訳は以下の通りです。
社債:
銘柄 (外貨建発行額)発行時期償還期限帳簿価額
14回 無担保社債2013年7月2019年7月600億円
15回 無担保社債2013年7月2020年7月600億円
米ドル建無担保普通社債
(1,925百万米ドル)
2015年6月2020年6月~
2045年6月
2,119億円
米ドル建無担保普通社債
(12,100百万米ドル)
2016年9月2019年9月~
2026年9月
1兆2,785億円
米ドル建無担保普通社債
(500百万米ドル)
2017年7月2022年1月551億円
ユーロ建無担保普通社債
(7,500百万ユーロ)
2018年11月2020年11月~
2030年11月
9,256億円
米ドル建無担保普通社債
(5,500百万米ドル)
2018年11月2020年11月~
2028年11月
6,053億円
合計3兆1,964億円


借入金:
名称 (外貨建借入額)借入時期返済期限帳簿価額
シンジケートローン2013年7月2019年7月~
2020年7月
1,200億円
2016年4月2023年4月~
2026年4月
2,000億円
2017年4月2027年4月1,135億円

(1,500百万米ドル)
2017年4月2027年4月1,656億円
2019年1月2019年7月5,000億円

(3,987百万米ドル)
2019年1月2024年1月4,411億円

(3,047百万ユーロ)
2019年1月2024年1月3,783億円
株式会社国際協力銀行
(3,700百万米ドル)
2019年1月2025年12月4,093億円
その他2,268億円
合計2兆5,546億円

[資本]
当期末における資本合計は、前年度末から3兆1,462億円増加の5兆1,636億円となりました。資本金および資本剰余金は、Shire社買収の影響により発行した総額3兆1,313億円の普通株式により、それぞれ、1兆5,657億円および1兆5,595億円増加しました。
(c)流動性および資金調達源
資金の調達および使途
当社グループにおいて流動性は、主に営業活動に必要な現金、資本支出、契約上の義務、債務の返済、利息や配当の支払いに関連して必要となります。営業活動においては、研究開発費、マイルストン支払い、販売およびマーケティングに係る費用、人件費およびその他の一般管理費、原材料費等の支払いにあたり現金が必要となります。また、法人所得税の支払いや運転資金にも多額の現金が必要となります。
当社グループは、生産設備の能力増強・合理化、減価償却を終えた資産の入れ替え、業務管理の効率化等のために設備投資を行っています。無形資産に係る資本的支出は、主に第三者のパートナーから導入したライセンス製品に対するマイルストン支払い、およびソフトウェア開発費です。連結財政状態計算書に計上されている有形固定資産および無形資産に係る資本支出は、2018年3月期および2019年3月期において、それぞれ1,241億円および2,446億円であります。また、2019年3月31日現在において、有形固定資産の取得に関する契約上のコミットメントは340億円であります。
当社の配当金の支払額は、2018年3月期および2019年3月期において、それぞれ1,419億円および1,430億円であります。1株当たり配当額は中間配当および期末配当金それぞれ90円ずつとし、年間180円を継続することを目指しています。
当社グループは、有利子負債に対し元本と利息を支払う必要があります。2019年3月31日現在において、1年内に必要となる借入金の返済額および利息の支払額は、それぞれ9,881億円、1,227億円であります。詳細は、「有利子負債および金融債務」をご参照ください。
当社グループの資金の調達源は、主に現金及び現金同等物、短期コマーシャルペーパー、コミットメントラインによる借入、グローバル資本市場からの長期借入金であります。当社グループは、キャッシュ・フロー予測に基づき保有外貨を監視し、調整しております。当社グループの事業の大部分は日本国外で行っており、多額の現金を日本国外に保有しております。日本国内で必要なキャッシュ・フローを創出するために外貨を使用することは国内規制による影響を受ける可能性があり、また比較的影響は小さいものの、日本へ現金を移転することから生じる所得税による影響も受けます。
2019年3月31日現在において、当社グループは7,021億円の現金及び現金同等物と3,000億円の未使用のコミットメントライン契約を保有しており、現在の事業活動に必要となる資金は十分に確保できていると考えております。当社グループは、事業活動を支えるため、持続的に高い流動性を保ち、資本市場へのアクセス拡大を追求していきます。
連結キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(単位:億円)
前年度当年度
営業活動によるキャッシュ・フロー3,7793,285
投資活動によるキャッシュ・フロー△933△28,357
財務活動によるキャッシュ・フロー△3,26229,462
現金及び現金同等物の増減額△4174,390
現金及び現金同等物の期首残高3,1952,945
現金及び現金同等物に係る換算差額△46△313
売却目的で保有する資産の純増減額213△1
現金及び現金同等物の期末残高2,9457,021

当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前年度の3,779億円に対し、3,285億円となりました。これは、当期利益が777億円減少したことや主にShire社買収に伴う企業結合会計に係る非資金性の税金費用の減少影響により法人所得税費用が446億円減少したこと、また前年度に計上した在外営業活動体の清算損415億円等のマイナスの調整項目に加え、Shire社における支払賞与等による資産負債が増減した影響によります。
これらの影響は、主にShire社買収に伴い計上した製品に係る無形資産償却費により減価償却費及び償却費が903億円増加したこと、棚卸資産の公正価値調整にかかる償却により棚卸資産が450億円減少したこと、また、Shire社買収に関連する財務費用を含む金融費用(純額)741億円等のプラスの調整項目の影響により一部相殺されております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主にShire社買収に伴い2兆8,919億円(取得した現預金控除後)を支出したことにより、前年度933億円のマイナスに対して、当年度は2兆8,357億円のマイナスとなりました。この金額は、主に当年度に売却した旧東京本社ビルを含む有形固定資産の売却による収入507億円により一部相殺されています。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度3,262億円のマイナスに対して、当年度は2兆9,462億円のプラスとなりました。これは、主にShire社買収のための資金調達において、短期借入金が3,673億円増加したこと、また、社債の発行および長期借入れによる収入2兆7,959億円を計上したことによります。
有利子負債および金融債務
2018年3月期、2019年3月期において社債及び借入金はそれぞれ9,857億円、5兆7,510億円であります。これらの有利子負債は、当社が過年度に発行した無担保社債、普通社債、およびシンジケートローン、また、Shire社買収に必要な資金の一部を調達するための借入金、およびShire社買収により引き受けた負債を含みます。当社の借入金は主に買収関連のものであり、季節性によるものではありません。
社債及び借入金の増加は、Shire社買収に係る資金調達によるもの、およびShire社より引き受けた負債であります。Shire社の買収に関連し、当社は、返済が完了したブリッジクレジット契約等複数の借入契約を締結いたしました。2019年3月期における借入金期末残高は以下のとおりであります。
・タームローンクレジット契約の総借入限度額は、米ドル建ておよびユーロ建てで総額75億米ドルであり、2018年6月8日に締結し、2019年1月初旬に満額の借入を実行しております。本件借入金は、Shire社買収の対価として支払った現金の一部に充当しました。タームローンクレジット契約の借入金は無担保であり、変動金利に基づく利子の引当を行っており、2024年1月3日に償還する予定であります。
・総額75億ユーロのユーロ建普通社債は、2018年11月に、総額55億米ドルの米ドル建普通社債と同時に発行しました(あわせて、「2018年社債」)。2018年に発行した社債は、以下のとおりです。
- 総額12億5,000万ユーロの普通社債(固定金利0.375%、償還期日2020年11月21日)、総額10億ユーロの普通社債(変動金利、償還期日2020年11月21日)、総額15億ユーロの普通社債(固定金利1.125%、償還期日2022年11月21日)、総額7億5,000万ユーロの普通社債(変動金利、償還期日2022年11月21日)、総額15億ユーロの普通社債(固定金利2.250%、償還期日2026年11月21日)、および総額15億ユーロの普通社債(固定金利3.000%、償還期日2030年11月21日)。
- 総額10億米ドルの普通社債(固定金利3.800%、償還期日2020年11月26日)、総額12億5,000万米ドルの普通社債(固定金利4.000%、償還期日2021年11月26日)、総額15億米ドルの普通社債(固定金利4.400%、償還期日2023年11月26日)、および総額17億5,000万米ドルの普通社債(固定金利5.000%、償還期日2028年11月26日)。
2018年に発行した社債は、米国1933年証券法(以下、「証券法」)による登録の免除事由により私募により発行しました。固定金利の2018年社債の利息は、ユーロ建2018年社債については毎年後払い、米ドル建2018年社債については半年毎の後払いであります。変動金利の2018年社債の利率は3か月EURIBORおよび該当スプレッドを参考に四半期ごとに見直しが行われ、四半期毎に後払いしています。
・2018年12月に、株式会社国際協力銀行(以下、「JBIC」)との総額37億米ドルの無担保ローン契約を締結しました。本件無担保ローン契約は、2019年1月初旬に満額の借入を実行し、償還期日は2025年12月11日であります。タームローンクレジット契約の借入は無担保であり、変動利率に基づく利息が発生しております。
・2018年10月に、5,000億円のSenior Short Term(以下、「SSTL」)Facility契約および劣後ローン契約を締結しました。ショートタームローンについては、2019年1月初旬に借入を実行し、Shire社買収の対価として支払った現金の一部に充当しました。ショートタームローン契約の償還期日は、最長半年後であります。また、ショートタームローンの契約日において、ショートタームローンと同額の元本の借入を上限とする劣後ローン契約を締結しました。ただし、ショートタームローンは、下記のとおり2019年7月に発行したハイブリッド社債による収入で返済し、劣後ローン契約による借入は実行していません。ショートタームローンおよび劣後ローン契約は失効しました。
Shire社買収に関連し、当社グループは買収前にShire社によって締結された複数の借入契約を引き受けました。Shire社より引き受けた借入のうち当年度末における残高は次のとおりであります。
・米ドル建無担保普通社債(以下、「SAIIDAC社債」)はシャイア―社の100%子会社であるシャイアー・アクイジションズ・インベストメンツ・アイルランド Designated Activity Company(以下、「SAIIDAC」)が発行し、当社グループが保証しています。SAIIDAC社債の残高は2019年3月31日現在において総額121億米ドルであり、利息は半年毎に後払いしています。以下の一連のSAIIDAC社債は2019年3月31日現在において未償還であります。
総額33億米ドル建社債(固定金利1.900%、償還期日2019年9月23日)、総額33億米ドル建社債(固定金利2.400%、償還期日2021年9月23日)、総額25億米ドル建社債(固定金利2.875%、償還期日2023年9月23日)、および総額30億米ドル建社債(固定金利3.200%、償還期日2026年)。
・米ドル建無担保普通社債(以下、「Baxalta社債」)はバクスアルタ社が発行し、当社グループが保証しています。Baxalta社債の残高は2019年3月31日現在において総額19億2,500万米ドルであり、利息は半年毎に後払いしています。以下の一連のBaxalta社債は2019年3月31日現在において未償還であります。
総額4億450万米ドル建普通社債(固定金利2.875%、償還期日2020年6月23日)、総額2億1,940万米ドル建普通社債(固定金利3.600%、償還期日2022年6月23日)、総額8億50万米ドル建普通社債(固定金利4.000%、償還期日2025年6月23日)、および総額5億40万米ドル建普通社債(固定金利5.250%、償還期日2045年6月23日)。
2019年6月6日、当社は総額5,000億円のハイブリッド社債(劣後社債)を発行し、その収入でショートタームローンを返済しました。
ハイブリッド社債の償還期日は、2079年6月6日であります。当社は、ハイブリッド社債の条件に基づき、2024年10月6日より利息支払日ごとに元本の全額返済が可能です。利息は、半年毎に支払い、利率は毎年見直されます。ハイブリッド社債は無担保であり、財務制限条項は付帯しておりません。
当社グループは、短期の流動性の管理のため、日本の無担保コマーシャルペーパープログラムを保有しております。当社グループは、さらに2019年3月期において極度額3,000億円の短期コミットメントライン契約を締結しておりますが、借入はしておりません。
当社グループは2019年3月31日時点において、財務制限条項が付されている借入金があります。このうち最も制限的な財務制限条項は、連続する2事業年度において税引前利益がマイナスにならないというものであります。2019年3月31日時点において、当社グループは、それらの財務制限条項を順守しております。これらは、コミットメントラインからの借入を制限するものではありません。
借入金の詳細については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照ください。
信用格付け
当社グループの信用格付けは、当社グループの財務の健全性、業績、債務の返済能力等に関する各格付機関の意見が反映されております。本報告書時点における当社グループの信用格付けは以下のとおりです。
格付会社カテゴリー信用格付評価構造
S&Pグローバル・レーティング発行体格付け/外貨長期および国内通貨長期BBB+11段階の格付けのうち4番目であり、同じカテゴリーの中で最上位(例:BBB+,BBB,BBB-は同じカテゴリーに属する)
発行体格付け(短期)A-26段階の格付けのうちの2番目
ムーディーズ長期発行体格付および長期優先無担保格付けBaa29段階の格付けのうち上から4番目であり、同じカテゴリーの中で2番目(例Baa1,Baa2,Baa3は同じカテゴリーに属する

この格付けは、社債の購入、売却、保有を推奨するものではありません。この格付けは指定された格付機関によって適宜改訂あるいは撤回される可能性があります。それぞれの財務の健全性レーティングは、独立評価されたものであります。
オフバランス取引
マイルストン支払
新製品の開発に係る第三者との提携契約に基づき、当社グループは、パイプライン品目の開発、新製品の上市および上市後の販売等にかかる一定のマイルストン達成に応じた支払義務が生じる場合があります。2018年3月期および2019年3月期における潜在的なマイルストン支払の契約金額は、それぞれ5,170億円および6,555億円であります。これらは、開発中のパイプライン品目に係る潜在的なコマーシャルマイルストン支払を除いた金額であります。
契約負債
2019年3月31日時点における契約負債は以下のとおりです。
(単位:億円)
総契約額(1)1年以内1年超3年以内3年超5年以内5年超
社債及び借入金の返済(2) (3)
社債37,9025,07211,9778,49012,363
借入金27,8036,0362,2819,7849,702
有形固定資産の取得に関する義務340340
ファイナンスリースに関する義務3,331691841942,885
オペレーティングリースに関する義務2,3363125273841,113
確定給付制度への拠出(4)7878
合計(5) (6)71,79011,90714,96918,85226,063

(1) 2019年3月31日時点の日本円以外の通貨建債務は、期末為替レートで日本円に換算しており、為替レートの変動により金額が異なる可能性があります。
(2) 当社グループが関連する金融商品の制限条項違反を行った場合、返済義務が早まる可能性があります。
(3) 利息支払義務を含みます。
(4) 2020年3月31日以降の年金および退職後給付制度への拠出額については、拠出の時期が不確実であり、利率、運用収益、および法律およびその他の変動要因に依存するため、確定することはできません。
(5) 確定給付債務、訴訟準備金および長期未払税金等、時期を見積もることができない契約負債、また、金額が公正価値の変動により変化するデリバティブ負債および条件付対価等の負債は含まれておりません。また、特定の将来の事象の発生に左右されるマイルストン支払いも含んでおりません。
(6) 通常の事業活動における購買に関する発注は含んでおりません。
② 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表と日本基準により作成した連結財務諸表における経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異は次のとおりです。
前年度
(自2017年4月1日
至2018年3月31日)
当年度
(自2018年4月1日
至2019年3月31日)
(のれんの償却停止)
当社グループは、のれんおよび負ののれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が578億円減少しております。
(のれんの償却停止)
当社グループは、のれんおよび負ののれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が982億円減少しております。