有価証券報告書-第145期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当年度の業績および財政状態は以下のとおりとなりました。
なお、当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績の記載を
省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」をご参照下さい。
③ 生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績
当年度における生産実績は次のとおりであります。
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 生産実績金額は、販売価格によっております。
(b) 受注状況
当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しており、一部の受注生産における受注高および受注残高の金額に重要性はありません。
(c) 販売実績
当年度における販売実績は次のとおりであります。
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。
3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
(a) 当年度の経営成績の分析
(ⅰ) 当社グループの経営成績に影響を与える事項
事業の概況
当社は、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業です。当社は、幅広い医薬品のポートフォリオを有し、研究、開発、製造、およびグローバルでの販売を主要な事業としております。研究開発においては、オンコロジー、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。当社は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(治療手段)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。当社は、約80の国と地域で医薬品を販売しており、世界中に製造拠点を有するとともに、日本および米国に主要な研究拠点を有しています。
当社はこれまで、地理的拠点の拡大、オンコロジー、消化器系疾患ならびにニューロサイエンス領域を強化するとともに、希少疾患および血漿分画製剤での主導的地位を構築し、パイプラインの拡充にも取り組んできました。販売においては、米国、欧州および成長新興国におけるプレゼンスを飛躍的に向上させました。当社は現在、売上の成長性を有し、競争力のある収益性を維持し、そして潤沢なキャッシュ・フローを創出することができる状況にあり、研究開発および血漿分画製剤の長期的な成長に向けた投資、新製品の上市、2019年1月のShire社買収に伴って計上した負債の返済、および株主還元に資本を配分しております。
当社グループの事業は単一セグメントであり、資源配分、業績評価、および将来業績の予測においてマネジメントの財務情報に対する視点と整合しております。2022年3月期における売上収益および営業利益はそれぞれ3兆5,690億円および4,608億円であります。
当社グループの経営成績に影響を与える事項
当社グループの経営成績は、グローバルな業界トレンドや事業環境における以下の事項に影響を受けます。
買収
当社グループは、研究開発能力を拡大し(新たな手法に展開することを含みます。)、新しい製品(開発パイプラインや上市済み製品)やその他の戦略的領域を獲得するために、新たな事業を買収する可能性があります。同様に、当社グループの主な成長ドライバーに注力するため、また当社グループのポートフォリオを維持するために、事業や製品ラインを売却しております。
これらの買収は企業結合として会計処理され、取得した資産および引き受けた負債は公正価値で計上されております。当社グループの業績は、通常、棚卸資産、および有形固定資産の公正価値の増加や、無形資産の認識に伴う調整にかかる費用および償却費の計上を含む企業結合会計により影響を受けます。また、買収の対価が追加的な借入金で賄われている場合、支払利息の増加も当社グループの業績に影響を与えます。
買収の影響により、当社グループの業績は期間比較ができない可能性があります。
事業売却
買収に加え、当社グループは、主要な成長ドライバーに注力し、また長期借入金を速やかに返済するための追加キャッシュ・フローを創出するため、事業や製品ラインを売却しました。2021年3月期から2022年3月期および本報告書提出日時点における主要な事業売却は以下となります。
• 2020年11月、当社グループは、アジア・パシフィックの国々のみで販売する当社の非中核資産である一部の一般用医薬品および医療用医薬品を、マイルストンの支払を含め、総額2億7,800万米ドル(268億円)で、Celltrion Inc.に譲渡し、2021年3月期において158億円の譲渡益を計上しました。
• 2020年12月、当社グループは、主にヨーロッパおよびカナダで販売する当社の非中核資産である一部の医療用医薬品を、総額5億6,200万米ドル(594億円)でCheplapharmに譲渡し、2021年3月期において214億円の譲渡益を計上しました。
• 2021年1月、当社グループは、ラテンアメリカで販売する一部の医療用医薬品および一般用医薬品のポートフォリオを総額8億2,500万米ドル(825億円)でHypera S.A.に譲渡し、2021年3月期において353億円の譲渡益を計上しました。
• 2021年1月、当社グループは、TachoSil® Fibrin Sealant Patchを3億5,000万ユーロ(429億円)でCorza Health, Inc.に譲渡し、2021年3月期において23億円の譲渡益を計上しました。
• 2021年3月、当社グループは、一部の医療用医薬品および一般用医薬品のポートフォリオをOrifarm Groupに譲渡しました。クロージング時の現金による譲渡価格は5億500万米ドル(558億円)で、クロージング後4年以内に約7,000万米ドル(86億円(注1))を非条件付の現金で受け取ります。今後追加で最大9,500百万米ドル(116億円(注1))のマイルストンを受領する可能性があります。2021年3月期において147億円の利益を計上しました。
• 2021年3月、当社グループは、武田コンシューマーヘルスケア株式会社を2,420億円でThe Blackstone Group Inc.及びその関連会社が運用するファンドが支配するOscar A-Co株式会社に譲渡し、2021年3月期において1,395億円の譲渡益を計上しました。
• 2021年4月、当社グループは、日本における当社の非中核資産である一部の製品を、総額1,330億円で、帝人ファーマ株式会社に資産譲渡しました。2022年3月期において税引前当期利益に対する1,314億円の増益影響を計上しました。
• 2022年3月、当社グループは、中国で販売する当社の非中核資産である一部の医療用医薬品を、総額230百万米ドル(281億円(注1))でHasten Biopharmaceutic Co., Ltd. (China) に資産譲渡し、2022年3月期において56億円の譲渡益を計上しました。
(注1) 2022年3月31日期末為替レートである1米ドル122.2円を用いて日本円に換算しております。
特許保護と後発品との競争
医薬品は特に、特許保護や規制上の独占権によって市場競争が規制されることにより、当社グループの業績に貢献する場合があります。代替治療の利用が容易でない新製品は当社グループの売上の増加に貢献します。ただし、保護されている製品についても、効能、副作用や価格面で他社との競争が存在します。一方で、特許保護もしくは規制上の独占権の喪失や満了により、後発品が市場に参入するため、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼすことがあります。当社グループの主要製品の一部は、特許やその他の知的財産権保護の満了により、厳しい競争に晒されており、あるいは晒されると予想しております。例えば、米国において当社グループの最大の売上製品の一つであるベルケイドに含まれる有効成分のボルテゾミブの特許権が満了したことにより、ボルテゾミブを含む競合製品が販売されています。これにより、ベルケイドの売上は今後減少することが見込まれており、競合品がさらに市場に参入することにより売上がさらに大幅に減少する可能性があります。後発品を販売する他社が特許権の有効性に対する申し立てに成功する場合、もしくは想定される特許侵害訴訟に係る費用以上のベネフィットを前提として参入することを決定する場合があります。また、当社グループの特許権の有効性、あるいは製品保護に対する申し立てが提起された場合には、関連する無形資産の減損損失を認識する可能性があります。
原材料の調達による影響
重要な原材料を社内外から調達することができない場合に、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。例えば、ヒト血漿は当社グループの血漿分画製剤において重要な原材料であります。血漿をより多く収集するため、調達および外部との契約を強化し、原料血漿の収集や血漿分画に関連する施設への委託、および規制当局から承認を受けることに成功するための取り組みを行っております。
外国為替変動
2022年3月期において、当社グループでは日本以外の売上が81.5%を占めております。当社グループの収益および費用は、特に当社の表示通貨である日本円に対する米ドルおよびユーロの外国為替レートの変動に影響を受けます。円安は日本円以外の通貨による収益の増加要因となり当社グループの業績に好影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の増加により相殺される可能性があります。反対に、円高は日本円以外の通貨による収益減少要因となり当社グループの業績に悪影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の減少により相殺される可能性があります。以下は、2022年3月期の売上収益を2021年3月期における同一の為替レートで換算し、2021年3月期の売上収益と対比させたものです。
(単位:億円、%以外)
前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益は、IFRSに準拠して作成された指標ではありません(以下、「非IFRS指標」)。投資家におかれましては、当社グループの過去の財務諸表全体を確認し、IFRSに準拠して表示されている指標を当社グループの業績、価値、将来の見通しを評価する際の主要な指標として使用し、非IFRS指標を補足的な指標として使用することを強く推奨します。前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益に対して最も直接的に比較可能な指標は、IFRSに準拠して作成された売上収益であります。上表には、前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益から売上収益への調整が示されております。
当該指標が、当社グループの事業に対する為替レートの影響をよりよく理解し、為替レートの変動の影響を除外した場合に、当社の経営成績が対前年度でどのように変動したかを理解するために、投資家にとって有用であると考えられるため、当社グループは前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益を表示しております。当該指標は、当社グループの経営者が、当社グループの経営成績を評価するにあたって使用する主要な方法であります。また、証券アナリスト、投資家、その他のステークホルダーが、当社グループが属する業界の同業他社の経営成績を評価する際、類似する業績指標を使用することが多いため、投資家にとっても有用な指標であると考えています。
前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益は、ある会計年度において、当会計年度の売上収益を、対応する前会計年度の為替レートで換算した売上収益として定義されます。ただし、前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益は、前会計年度においてIFRSに基づき表示された売上収益の算定に用いられた為替レートと同一の為替レートを用いて算定されていますが、当該会計年度中に締結された取引が同一の為替レートで締結された、または計上されたとは限らないという点で、この表示の有用性には重要な限界があります。当社グループの業界の同業他社が類似する名称の指標を使用している場合であっても、同業他社が当該指標を当社グループとは異なって定義し、異なる算定を行っている可能性があるため、指標が直接的に比較可能ではない場合があります。したがって、前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益は単独で検討すべきではなく、またIFRSに準拠して作成、表示される収益の指標としてではなく、当該指標の代替的指標としてみなされるべきです。
為替変動リスクを低減するため、当社グループは重要な一部の外貨建取引について、主に先物為替予約、通貨スワップおよび通貨オプションを利用しヘッジを行っております。
季節的要因
当社グループの売上収益は、2021年3月期および2022年3月期において第4四半期に減少しています。これは、卸売業者は年末年始休暇に向けてあらゆる国・地域における在庫数を増やす傾向にあること、年間にわたって価格が上昇していること、暦年の年初の米国における保険の年間免責額の改定等によるものです。
(ⅱ) 重要な会計方針
当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成されております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産および負債の金額、決算日現在の偶発資産および偶発負債の開示、ならびに報告期間における収益および費用の金額に影響を及ぼす見積りおよび仮定の設定を行うことが求められております。見積りおよび仮定は、継続的に見直されます。経営者は、過去の経験、ならびに見積りおよび仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき当該見積りおよび仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積りおよび仮定とは異なる場合があります。
経営者の見積りおよび仮定に影響を受ける重要な会計方針は以下の通りであります。なお、見積りおよび仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。
収益認識
当社グループの収益は主に医薬品販売に関連したものであり、製品に対する支配が顧客に移転した時点で認識されております。収益の認識額は、当社グループが製品と交換に受け取ると見込まれる対価に基づいております。一般的には、出荷時または顧客による受領時点もしくはサービスが履行された時点で収益は認識されます。収益の認識額は、当社グループが財またはサービスと交換に受け取ると見込んでいる対価に基づいております。契約に複数の履行義務が含まれる場合、対価は独立販売価格の比率で各履行義務に配分しております。当社グループが財またはサービスと交換に受け取る対価は固定金額または変動金額の場合があります。変動対価は重要な戻入れが生じない可能性が非常に高い場合のみ認識しております。
売上高からは、主に小売業者、政府機関、卸売業者、医療保険会社およびマネージドヘルスケア団体に対する割戻や値引等の様々な項目が控除されております。これらの控除額は関連する義務に対し見積られますが、報告期間における当該収益に係る控除額の見積りには判断が伴います。総売上高からこれらの控除額を調整して、純売上高が算定されます。当社グループは、これらの控除額に係る義務を少なくとも四半期毎に確認しており、割戻の変動、リベート・プログラムおよび契約条件、法律の改定、その他重大な事象により関連する義務の見直しが適切であることが示されている場合には、調整を行っております。なお、これまで売上割戻に関する引当金に対する調整が、純損益に重要な影響を与えたことはありません。米国市場における収益控除に関する取り決めが最も複雑なものになっております。
収益に係る調整のうち最も重要なものは以下のとおりであります。
• 米国メディケイド: 米国のメディケイド・ドラッグ・リベート・プログラムは、連邦政府および州が共同で拠出した資金により医療費を賄えない特定の条件を満たす個人および家族に対して医療費を負担する制度であり、各州が運営を行っております。当プログラムに係る割戻の支払額の算定には、関連規定の解釈が必要となりますが、これは異議申し立てによる影響または政府機関の解釈指針の変更による影響を受ける可能性があります。メディケイドの割戻に係る引当金は、割戻の対象として特定された製品、過去の経験、患者さんからの要請、製品価格ならびに各州の制度における契約内容および関連条項を考慮して算定しております。メディケイドの割戻に係る引当金は関連する売上収益と同じ期間に計上されますが、メディケイドに係る割戻はその期間に全額が支払われません。当社グループの売上控除額計上時点から最終的なメディケイドに係る割戻の会計処理までには通常数カ月の差が生じます。当社グループの売上控除額の算定に用いる製品固有の条件は、当社グループの売上取引が米国のメディケイド・プログラムの対象となるかに関連しています。
• 米国メディケア: 米国のメディケア・プログラムは65歳以上の高齢者もしくは特定の障害者向けの公的医療保険制度であり、当プログラムのパートDにおいて処方薬に係る保険が規定されております。パートDの制度は民間の処方薬剤費保険により運営、提供されております。メディケア・パートDに係る割戻は各処方薬剤費保険の制度内容、患者さんからの要請、製品価格ならびに契約内容を考慮して算定しております。メディケア・パートDの割戻に係る引当金は関連する売上収益と同じ期間に計上されますが、メディケア・パートDに係る割戻はその期間に全額が支払われません。当社グループの売上控除額計上時点から最終的なメディケア・パートDに係る割戻の会計処理までには通常数カ月の差が生じます。当社グループの売上控除額の算定に用いる製品固有の条件は、当社グループの売上取引が米国のメディケア・プログラムの対象となるかに関連しています。
• 顧客に対する割戻: 当社グループは、マーケットシェアの維持と拡大、また、患者さんの当社グループ製品へのアクセスを確実にするために、購入機関、保険会社、マネージドヘルスケア団体およびその他の直接顧客ならびに間接顧客に対して米国コマーシャル・マネージドケアを含む割戻を実施しております。割戻は契約上取決めがなされているため、係る引当金は各取決めの内容、過去の経験および患者さんからの要請を基に算定しております。米国コマーシャル・マネージドケアの割戻に係る引当金は関連する売上収益と同じ期間に計上されますが、米国コマーシャル・マネージドケアに係る割戻はその期間に全額が支払われません。当社グループの売上控除額計上時点から最終的な米国コマーシャル・マネージドケアに係る割戻の会計処理までには通常数カ月の差が生じます。当社グループの売上控除額の算定に用いる製品固有の条件は、当社グループの売上取引が米国コマーシャル・マネージドケアの対象となるかに関連しています。
• 卸売業者に対するチャージバック: 当社グループは特定の間接顧客と、顧客が卸売業者から割引価格で製品を購入可能とする取決めを結んでおります。チャージバックは卸売業者に対する当社グループの請求額および間接顧客に対する契約上の割引価格の差額であります。チャージバックの見積額は各取決めの内容、過去の経験および製品の需要を基に算定しております。当社グループは、売上債権とチャージバックを相殺する法的に強制可能な権利を有し、かつ純額で決済するか、または資産の実現と負債の決済を同時に行う意図を有しております。そのため、チャージバックの見積額は連結財政状態計算書において売上債権から控除しております。
• 返品調整に係る引当金: 返品権付き製品を顧客に販売する際は、当社グループの返品ポリシーや過去の返品率に基づいた返品見込み額を引当金として計上しております。返品見込み率を見積る際は、過去の返品実績、予想される流通チャネル内の在庫量および製品の保管寿命を含む関連要因を考慮しております。
引当額は見積りに基づくため、実際の発生額を完全に反映していない場合があり、特にどの売上取引が最終的にこれらの制度の対象とされるかどうかの判断において使用されるそれぞれの製品固有の条件により変動する可能性があります。
当社グループは、一般的に製品が顧客に引き渡された時点から90日以内に顧客から支払を受けます。当社グループは主としてそれらの取引を本人として履行しますが、他の当事者に代わって販売を行うことがあります。その場合は、代理人として受け取ることが見込まれる販売手数料の金額が収益として認識されます。
当社グループは、知的財産の導出および売却にかかるロイヤルティ、契約一時金およびマイルストンにかかる収益を計上しております。知的財産にかかるロイヤルティ収益は、基礎となる売上が発生した時点で認識しております。契約一時金にかかる収益は、一般的にはライセンスの使用権を付与した時点で認識されます。マイルストンにかかる収益は、一般的にはマイルストンの支払条件が達成される可能性が非常に高く、認識した収益の額の重大な戻入が生じない可能性が非常に高くなった時点で認識しております。導出した候補物質の研究開発等のその他のサービスにかかる収益については、サービスの提供期間に応じて認識しております。
当社グループは、一般的に知的財産の導出契約の締結または顧客によるマイルストンの支払条件の達成の確認から60日以内に顧客から支払を受けます。当社グループはグループの知的財産を導出しているため、本人として契約を履行しております。また、当社グループはその他のサービスも本人または代理人として提供しております。
のれんおよび無形資産の減損
当社グループは、のれんおよび無形資産について、資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象または状況の変化がある場合には、減損テストを行っております。のれんおよび償却開始前の無形資産については、年次および減損の兆候を捕捉した時点で減損テストを実施しております。2022年3月31日時点において、当社グループはのれんおよび無形資産をそれぞれ4兆4,077億円および3兆8,185億円計上しており、これは総資産の62.4%を占めております。
上市後製品に係る無形資産は特許が存続する見込期間または見込まれる経済的便益に応じた他の指標に基づき、3年から20年の耐用年数を用いて定額法で償却しております。開発中の製品に係る無形資産は、特定の市場における商用化が規制当局により承認されるまで償却をしておりません。商用化が承認された時点で、当該資産の見積耐用年数を確定し、償却を開始しております。
のれんおよび無形資産は、通常、連結財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には減損していると判断されます。無形資産にかかる回収可能価額は個別資産、またはその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであります。のれんの減損テストは単一の事業セグメント単位(単一の資金生成単位)で実施しており、これはのれんを内部管理目的で監視している単位を表しています。回収可能価額の見積りには以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。
·将来キャッシュ・フローの金額および時期
·競合他社の動向(競合製品の販売開始、マーケティングイニシアチブ等)
·規制当局からの承認の取得可能性
·将来の税率
·永続成長率
·割引率
将来キャッシュ・フローの金額および時期を見積るための重要な仮定には、研究開発プロジェクトの成功見込みおよび製品に係る売上予測があります。特にのれんにかかる回収可能価額の見積りにおいては、特定の製品に係る売上予測が重要な仮定となります。これらの仮定に影響を与える事象としては、開発の中止、大幅な上市の遅延、規制当局の承認が得られないことによる研究開発プロジェクトの失敗、もしくは一般的には新たな競合製品の販売開始や供給不足による、一部の上市後製品にかかる売上予測の低下があげられます。これらの事象が発生した場合、プロジェクト獲得以降に実施した当初もしくは事後の研究開発投資額が回収できない、もしくは見積った将来キャッシュ・フローが回収できない可能性があります。
これらの仮定に変更が生じた場合は、当該連結会計年度において減損損失および減損損失の戻入れを認識しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11 のれんおよび12 無形資産」をご参照ください。
訴訟に係る偶発事象
当社グループは、通常の営業活動において主に製造物責任訴訟および賠償責任訴訟に関与しております。詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。
偶発負債は、その特性から不確実なものであり複雑な判断や可能性に基づいております。訴訟およびその他の偶発事象に係る引当金を算定する際には、該当する訴訟の根拠や管轄、その他の類似した現在および過去の訴訟案件の顛末および発生数、製品の性質、訴訟に関する科学的な事項の評価、和解の可能性ならびに現時点における和解にむけた進行状況等を勘案しております。さらに、未だ提訴されていない製造物責任訴訟については、主に過去の訴訟の経験や製品の使用に係るデータに基づき、費用を合理的に見積ることができる範囲で引当金を計上しております。当社グループが関与する重要な訴訟のうち、それらの最終的な結果により財務上の影響が見込まれる場合であっても、その額について信頼性のある見積りが不可能な訴訟等については、引当金の計上は行っておりません。また、保険の補償範囲期間内である場合は保険による補償についても考慮しております。補償範囲の検討の際に、当社グループは、保険契約の制限や除外、保険会社による補償の拒否の可能性、保険業者の財政状態、ならびに回収可能性および回収期間を考慮しております。引当金および関連する保険補償額の見積りは、連結財政状態計算書上において負債および資産として総額で計上しております。2022年3月31日現在において、係争中の訴訟案件およびその他の案件について429億円の引当金を計上しております。
法人所得税
当社グループは、税法および税規制の解釈指針に基づき税務申告を行っており、これらの判断および解釈に基づいた見積額を計上しております。通常の営業活動において、当社グループの税務申告は様々な税務当局による税務調査の対象であり、これらの調査の結果、追加税額、利息、または罰金の支払いが課される場合があります。法律および様々な管轄地域の租税裁判所の判決に伴う法改正により、不確実な税務ポジションに関する負債の見積りの多くは固有の不確実性を伴います。税務当局が当社グループの税務ポジションを認める可能性が高くないと結論を下した場合に、当社グループは、税務上の不確実性を解消するために必要となる費用の最善の見積り額を認識します。また、未認識の税務上の便益は事実および状況の変化に伴い調整されます。これらの税務ポジションは、例えば、現行の税法の大幅改正、税務当局による税制または解釈指針の発行、税務調査の際に入手した新たな情報、または税務調査の解決により調整が行われる可能性があります。当社グループは、不確実な税務ポジションに係る当社グループの見積りは、現時点において判明している事実および状況に基づき適切かつ十分であると判断しております。
また、各報告期間の末日において繰延税金資産の回収可能性を評価しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予想される将来加算一時差異の解消スケジュール、予想される将来課税所得およびタックスプランニングを考慮しております。収益力に基づく将来課税所得は、主に当社グループの事業計画を基礎として見積られており、当該事業計画に含まれる売上高の予測を決定する際の判断に変更があった場合、認識される繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。過去の課税所得の水準および繰延税金資産が認識できる期間における将来の課税所得の見積りに基づき、実現する可能性が高いと予想される税務上の便益の額を算定しております。2022年3月31日現在における繰延税金資産を認識していない未使用の繰越欠損金、将来減算一時差異、および未使用の繰越税額控除はそれぞれ1兆7,298億円、2,409億円、および100億円であります。将来における見積りおよび仮定の変更は法人所得税費用に重要な影響を与える可能性があります。
事業構造再編費用
当社グループでは、費用削減に関連した取り組みおよび買収に係る事業統合に関連して事業構造再編費用が発生します。退職金が事業構造再編費用の主な内訳であり、事業構造再編に係る引当金については、事業構造再編に係る詳細な公式計画を作成した時点で計上しております。事業構造再編に係る引当金の認識には、支払時期や、事業再編により影響を受ける従業員数等の見積りが必要となります。最終的なコストは当初の見積りから異なる可能性があります。
当社グループは、将来において買収および売却に関連した事業統合に係る追加の事業構造再編費用を計上すると見込んでおります。2022年3月31日現在において、当社グループは、事業構造再編に係る引当金を134億円計上しております。詳細および事業構造再編に係る引当金の推移は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 23 引当金」をご参照ください。
(ⅲ) 当年度における業績の概要
当年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。
(単位:億円、%以外)
[売上収益]
売上収益は、前年度から3,712億円増収(+11.6%)の3兆5,690億円となりました。前年度の実勢為替レートを当年度に適用することにより算出した為替影響を除くと、売上収益は6.3%の増収となります。2021年4月、当社は、日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの1,330億円での帝人ファーマ株式会社への譲渡を完了し、これを売上収益に計上しました。当該譲渡価額は、売上収益の増加のうち、4.2パーセントポイントを占めます。なお、当該譲渡価額を除くと、当年度の売上収益は7.4%の増収となります。
当社ビジネスにおける主要な疾患領域(消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤(免疫疾患)、オンコロジー、およびニューロサイエンス(神経精神疾患))の売上収益は、前年度から3,211億円増収(+12.2%)の2兆9,449億円となりました。主要な疾患領域はそれぞれ全社の売上収益の増収に貢献しました。しかしながら、希少疾患領域では、特に希少血液疾患領域の一部の製品が競争の激化による影響を受け、円安によるプラス影響を除くと減収となりました。当年度の売上収益は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のグローバルな流行拡大による大きな影響はありませんでしたが、下期においてはオミクロン株による感染拡大により、幾つかの製品において出荷の遅れや患者さんの診断数の減少といった若干の影響がみられました。
当社の主要な疾患領域以外の売上収益は、日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの譲渡価額1,330億円の計上および日本におけるModerna社のCOVID-19ワクチン「スパイクバックス筋注」の供給による収益を含むその他の増収が前年度の事業等の売却による当年度の減収影響を吸収し、501億円増収(+8.7%)の6,241億円となりました。
地域別売上収益
各地域の売上収益は以下のとおりです。
(単位:億円、%以外)
(注1) 当年度は、日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの譲渡価額1,330億円を含みます。
(注2) その他の地域は中東、オセアニアおよびアフリカを含みます。
当社グループの売上収益の大部分は、主要な医療用医薬品により占められております。当年度の各領域における主要製品の売上は以下のとおりです。
(注1)国内製品名:エンタイビオ
(注2)配合剤、パック製剤を含む。
(注3)一般名:pantoprazole
(注4)国内製品名:ビバンセ
(注5)前年度においては、2021年3月31日に売却した武田コンシューマーヘルスケア株式会社の売上高を含む。
当年度においては、2021年4月1日に売却した日本における糖尿病治療薬4剤(ネシーナ錠、リオベル配合錠、イニシンク配合錠、ザファテック錠)の帝人ファーマ株式会社への譲渡価額1,330億円を含む。
各疾患領域における売上収益の前年度からの増減は、主に以下の製品によるものです。
- 消化器系疾患
消化器系疾患領域の売上収益は、前年度から979億円増収(+12.6%)の8,757億円となりました。当社のトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」(国内製品名:「エンタイビオ」)の売上が伸長し、前年度から925億円増収(+21.5%)の5,218億円となり、売上成長を牽引しました。本剤の米国における売上は、炎症性腸疾患の潰瘍性大腸炎とクローン病に対する生物学的製剤の新規投与患者が増加したことにより、前年度から552億円増収(+18.8%)の3,495億円となりました。欧州およびカナダにおける売上は、前年度から270億円増収(+24.8%)の1,360億円となりました。成長新興国においては、主にブラジルおよび中国における売上が伸長し、前年度から78億円増収(+45.7%)の250億円となりました。酸関連疾患治療剤「タケキャブ」も、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制等の効能を中心として、主に日本において新規処方が拡大し、売上は176億円増収(+20.7%)の1,024億円となりました。短腸症候群治療剤「レベスティブ」の売上は、主に市場浸透が進んだこと、および日本を含む新たな国での上市により、112億円増収(+17.3%)の758億円となりました。「その他」に含まれる慢性便秘症治療剤「AMITIZA」は、2021年1月に米国において参入した後発品の影響により、売上は148億円減収(△69.6%)の65億円となりました。
- 希少疾患
希少疾患領域の売上収益は、前年度から195億円増収(+3.3%)の6,112億円となりました。
希少代謝性疾患領域の売上収益は、100億円増収(+6.1%)の1,726億円となりました。酵素補充療法のハンター症候群治療剤「エラプレース」は主に欧州および成長新興国において、ゴーシェ病治療剤「ビプリブ」は主に米国、欧州および成長新興国において、それぞれ増収となりました。
希少血液疾患領域の売上収益は、61億円減収(△2.1%)の2,837億円となりました。「アドベイト」は100億円減収(△7.8%)の1,185億円となりました。「アディノベイト」は27億円増収(+4.6%)の607億円となりました。いずれも、米国の血友病Aのインヒビター非保有市場における競争の激化による影響を受けました。また、「ファイバ」の売上は、主に、成長新興国における政府による入札のタイミングが前年度と比較して後ろ倒しになった影響により、53億円減収(△12.0%)の392億円となりました。
遺伝性血管性浮腫領域の売上収益は、143億円増収(+10.2%)の1,536億円となりました。「タクザイロ」は、主に予防薬市場の拡大、販売エリアの拡大、および処方の増加により、165億円増収(+19.1%)の1,032億円となりました。「その他」に含まれる「CINRYZE」は、主に「タクザイロ」への処方切り替えと他社の競合する新薬へのシフトにより、26億円減収(△11.8%)の193億円となりました。
- 血漿分画製剤(免疫疾患)
血漿分画製剤(免疫疾患)領域の売上収益は、前年度から866億円増収(+20.6%)の5,070億円となりました。免疫グロブリン製剤の売上合計は、510億円増収(+15.2%)の3,859億円となりました。特に、原発性免疫不全症(PID)と多巣性運動ニューロパチー(MMN)の治療に用いられる静注製剤「GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG」の売上は、グローバルに需要が堅調に推移し供給量が増加したことから、前年度から増収となりました。また、皮下注製剤である「CUVITRU」と「HYQVIA」は2桁台の増収率となりました。主に血液量減少症と低アルブミン血症の治療に用いられる「HUMAN ALBUMIN」と「FLEXBUMIN」を含むアルブミン製剤の売上合計は、前年度の下期に影響を与えた「HUMAN ALBUMIN」の中国における出荷中断が解消されて売上が伸長したことと、「FLEXBUMIN」の中国および米国における需要が増加したことにより、前年度から325億円増収(+56.4%)の900億円となりました。
- オンコロジー
オンコロジー領域の売上収益は、前年度から522億円増収(+12.5%)の4,687億円となりました。多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」の売上は、前年度から89億円増収(+8.8%)の1,100億円となりました。米国内の売上は、COVID-19の流行拡大初期に処方者が点滴や注射よりも経口投与の薬剤を選好したことで前年度第1四半期は売上が低下しましたが、当年度は需要の回復があったことから前年度から104億円の増収(+10.8%)となりました。また、本剤は新規患者さんの初期治療に使用される薬剤の一つとして、米国における成長に貢献しました。米国外の売上にかかるロイヤルティ収益は、後発品の浸透が継続したことにより減収となりました。子宮内膜症・子宮筋腫・閉経前乳がん・前立腺がん等の治療に用いられる特許満了製品の「リュープリン」(一般名:「リュープロレリン」)は、主に米国に向けた供給売上の増加があったものの日本における後発品の浸透および競合品による減収影響によって一部相殺され、前年度から111億円増収(+11.6%)の1,065億円となりました。多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」の売上は、前年度から38億円増収(+4.4%)の912億円となりました。米国においては、COVID-19拡大下において経口剤である本剤が選好され、前年度の初期に一時的に需要が増加したものの当年度はその影響がなかったこと、および当年度第4四半期には需要の減速が見られたことから減収となりましたが、他の国々、特に中国と日本においては引き続き好調に推移し増収となりました。また、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」の売上は、2020年5月に承認された中国を中心に成長新興国において伸長し、前年度から98億円増収(+16.4%)の692億円となりました。非小細胞肺がん治療剤「アルンブリグ」の売上は、全世界における上市および市場浸透により、前年度から48億円増収(+54.9%)の136億円となりました。
- ニューロサイエンス(神経精神疾患)
ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域の売上収益は、前年度から650億円増収(+15.6%)の4,823億円となりました。注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤「バイバンス」(国内製品名:「ビバンセ」)の売上は、前年度から555億円増収(+20.4%)の3,271億円となりました。同剤は、COVID-19パンデミックの期間を通じて、特に外出制限期間中の外来患者数および診断数の減少と、服薬の一時的な中断による減収影響を受けました。この傾向は2020年から変動してきましたが、当年度においては処方の増加によるプラス影響がありました。大うつ病(MDD)治療剤「トリンテリックス」の売上は、米国および日本における処方の増加により、前年度から134億円増収(+19.5%)の823億円になりました。これらの製品の増収は、主に日本において後発品参入による競争の継続的な影響を受けた「その他」に含まれるアルツハイマー病治療剤「レミニール」等の他のニューロサイエンス(神経精神疾患)領域の製品の減収によって一部相殺されました。
[売上原価]
売上原価は、主に前年度と比較し当年度において円安の影響を受けたこと、および原価率の高い品目の売上が増加したことにより前年度から1,125億円増加(+11.3%)の1兆1,068億円となりました。この増加は、Shire社買収に伴い計上された棚卸資産の公正価値調整等にかかる非資金性の費用が465億円減少したこと、および前年度に売却した製品にかかる売上原価の減少により一部相殺されております。
[販売費及び一般管理費]
販売費及び一般管理費は、前年度から107億円増加(+1.2%)の8,864億円となりました。この増加は主に、当年度における円安の為替影響に伴うものです。
[研究開発費]
研究開発費は、主に新規候補物質へのさらなる投資、および当年度における円安の為替影響により、前年度から703億円増加(+15.4%)の5,261億円となりました。
[製品に係る無形資産償却費及び減損損失]
製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、開発中止を決定したTAK-721を含む一部の開発中の製品に係る減損損失、およびNATPARAに関連する無形資産の回収可能価額の再評価に伴う減損損失を当年度に計上したことにより、前年度から511億円増加(+12.1%)の4,729億円となりました。
[その他の営業収益]
その他の営業収益は、前年度から2,749億円減少(△86.4%)の431億円となりました。この減少は主に、武田コンシューマーヘルスケア株式会社株式および関連資産の売却に伴う1,395億円、およびその他の非中核資産の譲渡に伴う894億円の合計2,289億円の譲渡益を前年度に計上したこと、また、前年度においてSHP647および関連する権利の売却に関する当社グループの義務を解除する2020年5月の欧州委員会の決定に伴い、当社グループがSHP647に関する臨床試験プログラムを中止する意思決定を行ったことを反映し、これまで計上していた当該プログラムに関連する負債の再見積りを行った結果、602億円の再評価益を計上したことによるものです。
[その他の営業費用]
その他の営業費用は、前年度から998億円減少(△38.6%)の1,591億円となりました。この減少は主に、前年度において当社グループが譲渡したXIIDRAにかかる条件付対価契約に関する金融資産の公正価値の変動により729億円の損失を計上したこと、および主にShire社との統合費用の減少に伴い、事業構造再編費用が前年度から320億円減少したことによるものです。
[営業利益]
営業利益は、上記の要因を反映し、前年度から484億円減益(△9.5%)の4,608億円となりました。
[金融損益]
金融収益と金融費用をあわせた金融損益は1,429億円の損失となり、前年度から損失が2億円(△0.1%)減少しました。当社が株式を保有する企業のワラントにかかるデリバティブの再測定によるマイナス影響がありましたが、持分法適用会社であったMarverick Therapeutics社を2021年4月に買収したことに伴う投資の再測定に係る利益を当年度に計上したこと、および主に社債及び借入金の残高減少に伴う利息費用(純額)の減少等により相殺しております。
[持分法による投資損益]
当年度の持分法による投資損益は、主に武田ベンチャー投資Inc.が保有する株式にかかる投資の損失を計上したことにより前年度の持分法による投資利益1億円に対して154億円の損失となりました。このマイナス影響は、武田テバファーマ株式会社で認識された減損損失の当社グループ持分相当額の減少により一部相殺されております。
[法人所得税費用]
法人所得税費用は、前年度△99億円に対して、当年度は724億円となりました。これは主に、グループ内の組織再編により認識された税務上の便益の減少、および2014年にShire社がAbbVie社からの買収申し出の取下げに関連して受領した違約金に対するアイルランドでの課税を巡る税務評価から生じた税金および利息の合計と関連する税務便益5億円との純額654億円によるものです。また、未認識であった繰延税金資産の計上による税務便益が減少しております。これらは、前年度における事業等の売却に伴う税金費用、海外子会社における未分配利益にかかる繰延税金負債の減少影響、および税引前当期利益の減少による影響と一部相殺されております。
[当期利益]
当期利益は、上記の要因を反映し、前年度から1,460億円減益(△38.8%)の2,302億円となりました。
(ⅳ) 当年度における実質的な成長の概要
Coreと実質的な成長の定義
当社は、事業の計画策定および業績評価において、「実質的な成長」(Underlying Growth)の概念を採用しております。
「実質的な成長」は、当年度と前年度(四半期もしくは年間)の業績を共通の基準で比較するものであり、マネジメントによる業績評価に使用されています。これら共通の基準で比較される業績は、年間計画レートを用いた為替レートを一定として、事業等の売却影響およびその他の非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(非中核)事象による影響を控除し算定されます。当社は、この「実質的な成長」が、事業活動のパフォーマンスを表す共通の基準を提供するため、投資家に有用であると考えています。なお、本指標は、国際会計基準(IFRS)に準拠したものではありません。
当社は、「Underlying Revenue Growth」(実質的な売上収益の成長)、「Underlying Core Operating Profit Growth」(実質的なCore営業利益の成長)および「Underlying Core EPS Growth」(実質的なCore EPSの成長)を重要な財務指標としています。
実質的な売上収益は、為替レートを一定として、財務ベースの売上収益に、報告期間における非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響を調整して計算します。
実質的なCore営業利益は、為替レートを一定として、Core営業利益(以下に定義)に、報告期間における事業等の売却影響を調整して計算します。
実質的なCore EPSは、為替レートを一定として、純利益から、事業等の売却影響、およびCore EPS(以下に定義)の算出において控除された項目を調整した後、比較年度末の自己株式控除後の発行済株式総数で除して算定します。
Core売上収益は、売上収益から、重要性のある本業に起因しない(非中核)事象による影響を控除して算出します。
Core営業利益は、純利益から、法人所得税費用、持分法による投資損益、金融損益、その他の営業収益およびその他の営業費用、製品に係る無形資産償却費及び減損損失を控除して算出します。その他、非定常的な事象に基づく影響、企業買収に係る会計処理の影響や買収関連費用など、本業に起因しない(非中核)事象による影響を調整します。
Core EPSは、純利益から、Core営業利益の算出において控除された項目と営業利益以下の各科目のうち、重要性のある、非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(非中核)事象による影響を調整します。これらには、条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響などが含まれます。さらに、これらの調整項目に係る税金影響を控除した後、報告期間の自己株式控除後の平均発行済株式総数で除して算定します。
当年度の実質的な成長は、以下のとおりとなりました。
[実質的な売上収益の成長]
実質的な売上収益の成長は、多様なグローバル製品の伸長と新製品の上市が牽引し、前年度から+7.4%となりました。タケダの14のグローバル製品(注)の実質的な売上収益は、実質的な売上収益全体の約42%を占め、前年度から+12.0%成長しました。
(注)タケダの14のグローバル製品消化器系疾患:エンティビオ、レベスティブ、アロフィセル希少疾患:NATPARA/NATPAR、アディノベイト、タクザイロ、エラプレース、ビプリブ血漿分画製剤(免疫疾患):GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、CUVITRU、HUMAN ALBUMIN/FLEXBUMINオンコロジー:ニンラーロ、アルンブリグ
(注) 実質的な売上収益は、為替レートを一定として、非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響を調整します。本調整前の疾患領域別の売上収益や主要な製品売上については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容 (a)当年度の経営成績の分析 (ⅲ) 当年度における業績の概要[売上収益]」をご参照ください。
実質的な売上収益の計算において控除した主な非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響(注)は次のとおりです。
・2020年11月に売却が完了したアジア太平洋における一部の一般用医薬品および非中核資産に係る前年度の売上収益を控除して調整しております。
・2020年12月に売却が完了した主に欧州における一部の非中核資産である医療用医薬品に係る前年度の売上収益を控除して調整しております。
・2021年1月に売却が完了した中南米における一部の一般用医薬品および非中核資産に係る前年度の売上収益を控除して調整しております。
・2021年1月に売却が完了した「TACHOSIL」(手術用パッチ剤)の前年度の売上を控除して調整しております。
・2021年3月に売却が完了した主に欧州における一部の一般用医薬品および非中核資産に係る前年度の売上収益を控除して調整しております。
・2021年3月に売却が完了した従来子会社であった武田コンシューマーヘルスケア株式会社の前年度の売上収益を控除して調整しております。
・2021年4月1日に売却が完了した日本における糖尿病治療剤ポートフォリオ(ネシーナ錠、リオベル配合錠、イニシンク配合錠、ザファテック錠)に係る前年度の売上を控除して調整しております。また、売却完了により計上された非定常的な譲渡価額1,330億円は当年度の売上収益から控除して調整しております。
(注)中国における一部の非中核資産である医療用医薬品に係る当年度と前年度の売上収益については、当第3四半期まで控除して調整しておりましたが、本件の売却が2022年3月末に完了し両年度が比較可能であることから当第4四半期においては両年度ともに調整を行っておりません。
[実質的なCore営業利益の成長]
実質的なCore営業利益の成長は、実質的な売上収益の成長を反映し、前年度から+5.4%となりました。
日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの売却など、当社の本業に起因しない(非中核)事象による影響を控除した当年度のCore営業利益は9,552億円となりました。
[当年度の実質的なCore営業利益率]
当年度の実質的なCore営業利益率は、28.0%となりました。
[実質的なCore EPSの成長]
実質的なCore EPSの成長は、+9.4%となりました。
(b)当年度の財政状態の分析
[資産]
当年度末における資産合計は、前年度末から2,657億円増加し、13兆1,780億円となりました。のれんは、主に為替換算の影響により3,738億円増加しました。また、有形固定資産は資産の取得に加え、為替影響による増加もあり1,289億円増加し、棚卸資産は993億円増加しました。これらの増加は、現金及び現金同等物の減少1,165億円および主に償却による無形資産の減少906億円と一部相殺されております。また、主に当年度に売上債権売却プログラムを開始したことにより、売上債権及びその他の債権が864億円減少しております。
[負債]
当年度末における負債合計は、前年度末から2,406億円減少し、7兆4,945億円となりました。社債及び借入金は、借入金の返済および社債の償還の結果、前年度末から2,900億円減少の4兆3,454億円(注)となりました。さらに、繰延税金負債が913億円減少しております。これらの減少は、仕入債務及びその他の債務の増加1,725億円と一部相殺されております。
(注)当年度における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ3兆6,374億円および7,081億円です。なお、社債及び借入金の内訳は以下の通りです。
社債:
借入金:
当社グループは、2017年7月に発行した米ドル建無担保普通社債の残高200百万米ドルについて、2022年1月18日の償還期日に先立ち、2021年5月17日に繰上償還を実行しました。2021年6月11日には、2018年12月3日に契約締結した株式会社国際協力銀行ローン(以下、「JBICローン」)3,700百万米ドルのうち2,000百万米ドルについて、2025年12月11日の返済期日に先立ち繰上返済を実行しました。2021年8月10日には、2018年11月に発行したユーロ建無担保普通社債1,500百万ユーロについて、2022年11月21日の償還期日に先立ち繰上償還を実行しました。2021年10月14日には、無担保普通社債(満期10年、償還期日2031年10月14日)元本総額2,500億円を発行しました。2021年12月13日には、JBICローンの残高1,700百万米ドルについて、2025年12月11日の返済期日に先立ち繰上返済を実行しました。さらに、2022年3月24日には、2016年9月に発行した米ドル建無担保普通社債1,500百万米ドルについて、2023年9月23日の償還期日に先立ち繰上償還を実行しました。
[資本]
当年度末における資本合計は、前年度末から5,063億円増加し、5兆6,835億円となりました。この増加は、主に円安の影響による為替換算調整勘定の変動によりその他の資本の構成要素が5,681億円増加したことによるものです。この増加は、主に当年度の自己株式取得の実施による自己株式の増加565億円、および利益剰余金の減少302億円と一部相殺されております。利益剰余金は、当期利益の計上があったものの、主に2,842億円の配当金を支払ったことにより減少しております。
(c)流動性および資金調達源
資金の調達および使途
当社グループにおいて流動性は、主に営業活動に必要な現金、資本支出、契約上の義務、債務の返済、利息や配当の支払いに関連して必要となります。営業活動においては、研究開発費、マイルストン支払い、販売およびマーケティングに係る費用、人件費およびその他の一般管理費、原材料費等の支払いにあたり現金が必要となります。また、法人所得税の支払いや運転資金にも多額の現金が必要となります。
当社グループは、生産設備の能力増強・合理化、減価償却を終えた資産の入れ替え、業務管理の効率化等のために設備投資を行っています。無形資産に係る資本的支出は、主に第三者のパートナーから導入したライセンス製品に対するマイルストン支払い、およびソフトウェア開発費です。連結財政状態計算書に計上されている有形固定資産および無形資産に係る資本支出は、2021年3月期および2022年3月期において、それぞれ3,307億円および2,399億円であります。また、2022年3月31日現在において、有形固定資産の取得に関する契約上のコミットメントは142億円であります。加えて、2022年3月31日現在において、無形資産の取得に関して契約上の取決めを有しております。無形資産に係るマイルストン支払いの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記32 コミットメントおよび偶発債務」をご参照ください。また、資本管理の一環として、当社グループは、資金需要、市場等の環境、またはその他の関連する要因に照らして、定期的に資本的支出の評価を行っております。
当社の配当金の支払額は、2021年3月期および2022年3月期において、それぞれ2,837億円および2,842億円であります。1株当たり配当額は中間配当および期末配当金それぞれ90円ずつとし、年間180円を継続することを目指しています。当社の配当政策については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。
当社グループは、有利子負債に対し元本と利息を支払う必要があります。2022年3月31日現在において、1年内に必要となる利息の支払額および負債の返済額は、それぞれ954億円、2,039億円であります。詳細は、「有利子負債および金融債務」をご参照ください。
当社グループの資金の主な調達源は、主に現金及び現金同等物、短期コマーシャル・ペーパー、コミットメントラインによる借入、グローバル資本市場における社債発行を含む長期債務による資金調達であります。さらに、当社グループは、コンティンジェンシーの調達源として、2021年3月31日時点および2022年3月31日時点において、金融機関から極度額1,500億円および750百万ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しております。
当社グループは、キャッシュ・フロー予測に基づき保有外貨を監視し、調整しております。当社グループの事業の大部分は日本国外で行っており、多額の現金を日本国外に保有しております。日本国内で必要なキャッシュ・フローを創出するために外貨を使用することは国内規制による影響を受ける可能性があり、また比較的影響は小さいものの、日本へ現金を移転することから生じる所得税による影響も受けます。
当社グループは、COVID-19の大流行による資金調達に係る問題または流動性不足、金融市場およびその他の市場への影響は現在見込んではおりませんが、資金調達の状況および市場の動向について引き続き注視しております。必要に応じた市場およびその他の供給源からの追加の資金調達力に加えて、当社グループの資本支出計画を必要かつ適切な範囲で見直すことによって、資金調達および流動性の需要を管理する場合があります。
2022年3月31日現在において、当社グループは、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有していた制限付き預り金2,075億円を含む、8,497億円の現金及び現金同等物と、7,000億円の未使用のバンク・コミットメントライン契約を保有しており、現在の事業活動に必要となる資金は十分に確保できていると考えております。また、当社グループは、事業活動を支えるため、持続的に高い流動性を保ち、資本市場へのアクセス拡大を追求していきます。
連結キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(単位:億円)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年度の1兆109億円から1,122億円増加の1兆1,231億円となりました。これは非資金項目およびその他の調整項目を調整した後の当期利益が増加したことによるものです。調整項目には、事業譲渡及び子会社株式売却益、前年度におけるパイプラインSHP647および関連する権利の売却に関する義務の解除による収益の調整が含まれます。また、主に当年度に売上債権売却プログラムを開始したことにより、売上債権及びその他の債権の減少がありました。これらの増加影響は、主にワクチン運営のための制限付き預り金の減少に伴うその他の金融負債の減少、および支払による引当金の減少と一部相殺されております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年度の3,935億円から5,917億円減少の△1,981億円となりました。これは主に、前年度における非中核資産売却に伴う事業売却による収入(処分した現金及び現金同等物控除後)の減少5,022億円、投資の売却、償還による収入の減少577億円、事業取得による支出(取得した現金及び現金同等物控除後)の増加497億円、および有形固定資産の売却による収入の減少446億円によるものです。これらは、無形資産の取得による支出の減少625億円と一部相殺されております。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度の△1兆884億円から181億円増加の△1兆703億円となりました。これは主に、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーにおける増加影響1,490億円および社債に係る金利先渡契約の決済による支出の減少348億円によるものです。これらは、社債の償還及び長期借入金の返済による支出(借換に伴う社債の発行による収入と相殺後)の増加886億円、および主に当年度に実施した自己株式取得に伴う、自己株式の取得による支出の増加754億円と一部相殺されております。
有利子負債および金融債務
2021年3月31日期および2022年3月31日期において社債および借入金はそれぞれ4兆6,354億円、4兆3,454億円であります。これらの有利子負債は、当社が過年度に発行した無担保社債、普通社債、およびシンジケートローン、また、Shire社買収に必要な資金の一部を調達するための借入金、およびShire社買収により引き受けた負債、借り換えた負債を含み、連結財政状態計算書に計上されております。当社の借入金は主に買収関連で発生したものであり、季節性によるものではありません。
当社グループは、2017年7月に発行した米ドル建無担保普通社債の残高200百万米ドルについて、2022年1月18日の償還期日に先立ち、2021年5月17日に繰上償還を実行しました。2021年6月11日には、2018年12月3日に契約締結した株式会社国際協力銀行ローン(以下、「JBICローン」)3,700百万米ドルのうち2,000百万米ドルについて、2025年12月11日の返済期日に先立ち繰上返済を実行しました。2021年8月10日には、2018年11月に発行したユーロ建無担保普通社債1,500百万ユーロについて、2022年11月21日の償還期日に先立ち繰上償還を実行しました。2021年10月14日には、無担保普通社債(満期10年、償還期日2031年10月14日)元本総額2,500億円を発行しました。2021年12月13日には、JBICローンの残高1,700百万米ドルについて、2025年12月11日の返済期日に先立ち繰上返済を実行しました。さらに、2022年3月24日には、2016年9月に発行した米ドル建無担保普通社債1,500百万米ドルについて、2023年9月23日の償還期日に先立ち繰上償還を実行しました。
なお、当社グループは、2015年6月に発行した米ドル建無担保普通社債219百万米ドルについて、2022年6月23日の償還期日に先立ち、2022年4月23日に繰上償還を実行しております。
2022年3月31日時点において、当社グループは一定の財務制限条項の含まれる長期融資契約を保有しております。当該財務制限条項の重要な条項は、毎年3月末および9月末において連結財政状態計算書における純負債の過去12か月間の調整後EBITDA(調整後EBITDAは契約書にて定義されたもの)に対する比率が一定水準を上回らないことを求める財務制限条項が含まれています。2022年3月31日時点においては、2021年3月31日時点と同様に、当社グループは全ての制限条項を遵守しております。また、2019年に設定された7,000億円の未使用のコミットメントラインからの借入を制限する事象はありません。当コミットメントラインは、2021年9月末に当初期限を1年延長し、現在の期限は2026年9月であります。
当社グループは、短期の流動性の管理のため、日本の無担保コマーシャル・ペーパープログラムを保有しております。2021年3月31日時点および2022年3月31日時点においてはコマーシャル・ペーパープログラムによる資金調達額はありませんでした。当社グループは、さらに2021年3月31日時点および2022年3月31日時点において、極度額1,500億円および750百万ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しておりますが、借入はしておりません。
借入金の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照ください。
信用格付け
当社グループの信用格付けは、当社グループの財務の健全性、業績、債務の返済能力等に関する各格付機関の意見が反映されております。本報告書時点における当社グループの信用格付けは以下のとおりです。
(注1) S&Pグローバルレーティングは、2021年6月1日に長期発行体の信用格付けをネガティブから安定的に改訂し、2022年3月31日現在まで維持しております。(2021年3月31日時点:ネガティブ)
(注2) ムーディーズは、2021年9月27日に長期発行体の信用格付けを安定的からポジティブに改訂し、2022年3月31日現在まで維持しております。(2021年3月31日時点:安定的)
この格付けは、社債の購入、売却、保有を推奨するものではありません。この格付けは指定された格付機関によって適宜改訂あるいは撤回される可能性があります。それぞれの財務の健全性レーティングは、独立評価されたものであります。
契約上の負債
2022年3月31日現在における契約上の負債は以下のとおりです。
(単位:億円)
(注1) 2022年3月31日現在における日本円以外の通貨建債務は、期末為替レートで日本円に換算しており、為替レートの変動により金額が異なる可能性があります。
(注2) 当社グループが関連する金融商品の財務制限条項違反を行った場合、返済義務が早まる可能性があります
(注3) 利息支払義務を含みます。
(注4) 社債の契約額のうち、「1年超3年以内」の金額には、劣後特約付きハイブリッド社債(以下、「ハイブリッド債」)元本全額を2024年10月6日以降の各利払日において早期償還する可能性があるため、当ハイブリッド債の元本5,000億円が含まれています。ハイブリッド債の元本および利息の詳細については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照ください。
(注5) 2023年3月31日以降の年金および退職後給付制度への拠出額については、拠出の時期が不確実であり、利率、運用収益、法律およびその他の変動要因に依存するため、確定することはできません。
(注6) 確定給付債務、訴訟引当金および長期未払法人税等、時期を見積もることができない契約上の負債、また、金額が公正価値の変動により変化するデリバティブ負債および条件付対価契約に関する金融負債は含まれておりません。なお、2022年3月31日現在のデリバティブ負債および条件付対価契約に関する金融負債の帳簿価額は、それぞれ365億円および58億円でした。また、特定の将来の事象の発生に左右されるマイルストン支払いも含んでおりません。
(注7) 通常の事業活動における購買に関する発注は含んでおりません。
オフバランス取引
マイルストン支払
新製品の開発に係る第三者との提携契約に基づき、当社グループは、パイプライン品目の開発、新製品の上市および上市後の販売等にかかる一定のマイルストン達成に応じた支払義務が生じる場合があります。2022年3月31日現在における潜在的なマイルストン支払の契約金額は1兆5,680億円であります。これらは、潜在的なコマーシャルマイルストン支払を除いた金額であります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 13 共同研究開発契約およびライセンス契約 および 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。
① 財政状態及び経営成績の状況
当年度の業績および財政状態は以下のとおりとなりました。
売上収益 | 3兆5,690億円 | [前年度比 | 3,712億円 | ( | 11.6%) 増 | ] | |
研究開発費 | 5,261億円 | [ 〃 | 703億円 | ( | 15.4%) 増 | ] | |
営業利益 | 4,608億円 | [ 〃 | 484億円 | ( | 9.5%) 減 | ] | |
税引前当期利益 | 3,026億円 | [ 〃 | 637億円 | ( | 17.4%) 減 | ] | |
当期利益 | 2,302億円 | [ 〃 | 1,460億円 | ( | 38.8%) 減 | ] | |
基本的1株当たり利益 | 147円14銭 | [ 〃 | 93円58銭 | ( | 38.9%) 減 | ] | |
資産合計 | 13兆1,780億円 | [前年度末比 | 2,657億円 | ( | 2.1%) 増 | ] | |
負債合計 | 7兆4,945億円 | [ 〃 | 2,406億円 | ( | 3.1%) 減 | ] | |
資本合計 | 5兆6,835億円 | [ 〃 | 5,063億円 | ( | 9.8%) 増 | ] |
なお、当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績の記載を
省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」をご参照下さい。
③ 生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績
当年度における生産実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
医薬品事業 | 1,663,185 | 5.6 |
合計 | 1,663,185 | 5.6 |
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 生産実績金額は、販売価格によっております。
(b) 受注状況
当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しており、一部の受注生産における受注高および受注残高の金額に重要性はありません。
(c) 販売実績
当年度における販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
医薬品事業 | 3,569,006 | 11.6 |
(国内) | ( 658,983 ) | ( 17.7 ) |
(海外) | ( 2,910,022 ) | ( 10.3 ) |
連結損益計算書計上額 (うちライセンス供与による収益・役務収益) | 3,569,006 ( 273,283 ) | 11.6 ( 195.6 ) |
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。
3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前年度 | 当年度 | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
アメリソースバーゲン・コーポレーションおよびそのグループ会社 | 370,759 | 11.6 | 504,487 | 14.1 |
マッケソン・コーポレーションおよびそのグループ会社 | 345,292 | 10.8 | 406,709 | 11.4 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
(a) 当年度の経営成績の分析
(ⅰ) 当社グループの経営成績に影響を与える事項
事業の概況
当社は、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業です。当社は、幅広い医薬品のポートフォリオを有し、研究、開発、製造、およびグローバルでの販売を主要な事業としております。研究開発においては、オンコロジー、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。当社は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(治療手段)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。当社は、約80の国と地域で医薬品を販売しており、世界中に製造拠点を有するとともに、日本および米国に主要な研究拠点を有しています。
当社はこれまで、地理的拠点の拡大、オンコロジー、消化器系疾患ならびにニューロサイエンス領域を強化するとともに、希少疾患および血漿分画製剤での主導的地位を構築し、パイプラインの拡充にも取り組んできました。販売においては、米国、欧州および成長新興国におけるプレゼンスを飛躍的に向上させました。当社は現在、売上の成長性を有し、競争力のある収益性を維持し、そして潤沢なキャッシュ・フローを創出することができる状況にあり、研究開発および血漿分画製剤の長期的な成長に向けた投資、新製品の上市、2019年1月のShire社買収に伴って計上した負債の返済、および株主還元に資本を配分しております。
当社グループの事業は単一セグメントであり、資源配分、業績評価、および将来業績の予測においてマネジメントの財務情報に対する視点と整合しております。2022年3月期における売上収益および営業利益はそれぞれ3兆5,690億円および4,608億円であります。
当社グループの経営成績に影響を与える事項
当社グループの経営成績は、グローバルな業界トレンドや事業環境における以下の事項に影響を受けます。
買収
当社グループは、研究開発能力を拡大し(新たな手法に展開することを含みます。)、新しい製品(開発パイプラインや上市済み製品)やその他の戦略的領域を獲得するために、新たな事業を買収する可能性があります。同様に、当社グループの主な成長ドライバーに注力するため、また当社グループのポートフォリオを維持するために、事業や製品ラインを売却しております。
これらの買収は企業結合として会計処理され、取得した資産および引き受けた負債は公正価値で計上されております。当社グループの業績は、通常、棚卸資産、および有形固定資産の公正価値の増加や、無形資産の認識に伴う調整にかかる費用および償却費の計上を含む企業結合会計により影響を受けます。また、買収の対価が追加的な借入金で賄われている場合、支払利息の増加も当社グループの業績に影響を与えます。
買収の影響により、当社グループの業績は期間比較ができない可能性があります。
事業売却
買収に加え、当社グループは、主要な成長ドライバーに注力し、また長期借入金を速やかに返済するための追加キャッシュ・フローを創出するため、事業や製品ラインを売却しました。2021年3月期から2022年3月期および本報告書提出日時点における主要な事業売却は以下となります。
• 2020年11月、当社グループは、アジア・パシフィックの国々のみで販売する当社の非中核資産である一部の一般用医薬品および医療用医薬品を、マイルストンの支払を含め、総額2億7,800万米ドル(268億円)で、Celltrion Inc.に譲渡し、2021年3月期において158億円の譲渡益を計上しました。
• 2020年12月、当社グループは、主にヨーロッパおよびカナダで販売する当社の非中核資産である一部の医療用医薬品を、総額5億6,200万米ドル(594億円)でCheplapharmに譲渡し、2021年3月期において214億円の譲渡益を計上しました。
• 2021年1月、当社グループは、ラテンアメリカで販売する一部の医療用医薬品および一般用医薬品のポートフォリオを総額8億2,500万米ドル(825億円)でHypera S.A.に譲渡し、2021年3月期において353億円の譲渡益を計上しました。
• 2021年1月、当社グループは、TachoSil® Fibrin Sealant Patchを3億5,000万ユーロ(429億円)でCorza Health, Inc.に譲渡し、2021年3月期において23億円の譲渡益を計上しました。
• 2021年3月、当社グループは、一部の医療用医薬品および一般用医薬品のポートフォリオをOrifarm Groupに譲渡しました。クロージング時の現金による譲渡価格は5億500万米ドル(558億円)で、クロージング後4年以内に約7,000万米ドル(86億円(注1))を非条件付の現金で受け取ります。今後追加で最大9,500百万米ドル(116億円(注1))のマイルストンを受領する可能性があります。2021年3月期において147億円の利益を計上しました。
• 2021年3月、当社グループは、武田コンシューマーヘルスケア株式会社を2,420億円でThe Blackstone Group Inc.及びその関連会社が運用するファンドが支配するOscar A-Co株式会社に譲渡し、2021年3月期において1,395億円の譲渡益を計上しました。
• 2021年4月、当社グループは、日本における当社の非中核資産である一部の製品を、総額1,330億円で、帝人ファーマ株式会社に資産譲渡しました。2022年3月期において税引前当期利益に対する1,314億円の増益影響を計上しました。
• 2022年3月、当社グループは、中国で販売する当社の非中核資産である一部の医療用医薬品を、総額230百万米ドル(281億円(注1))でHasten Biopharmaceutic Co., Ltd. (China) に資産譲渡し、2022年3月期において56億円の譲渡益を計上しました。
(注1) 2022年3月31日期末為替レートである1米ドル122.2円を用いて日本円に換算しております。
特許保護と後発品との競争
医薬品は特に、特許保護や規制上の独占権によって市場競争が規制されることにより、当社グループの業績に貢献する場合があります。代替治療の利用が容易でない新製品は当社グループの売上の増加に貢献します。ただし、保護されている製品についても、効能、副作用や価格面で他社との競争が存在します。一方で、特許保護もしくは規制上の独占権の喪失や満了により、後発品が市場に参入するため、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼすことがあります。当社グループの主要製品の一部は、特許やその他の知的財産権保護の満了により、厳しい競争に晒されており、あるいは晒されると予想しております。例えば、米国において当社グループの最大の売上製品の一つであるベルケイドに含まれる有効成分のボルテゾミブの特許権が満了したことにより、ボルテゾミブを含む競合製品が販売されています。これにより、ベルケイドの売上は今後減少することが見込まれており、競合品がさらに市場に参入することにより売上がさらに大幅に減少する可能性があります。後発品を販売する他社が特許権の有効性に対する申し立てに成功する場合、もしくは想定される特許侵害訴訟に係る費用以上のベネフィットを前提として参入することを決定する場合があります。また、当社グループの特許権の有効性、あるいは製品保護に対する申し立てが提起された場合には、関連する無形資産の減損損失を認識する可能性があります。
原材料の調達による影響
重要な原材料を社内外から調達することができない場合に、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。例えば、ヒト血漿は当社グループの血漿分画製剤において重要な原材料であります。血漿をより多く収集するため、調達および外部との契約を強化し、原料血漿の収集や血漿分画に関連する施設への委託、および規制当局から承認を受けることに成功するための取り組みを行っております。
外国為替変動
2022年3月期において、当社グループでは日本以外の売上が81.5%を占めております。当社グループの収益および費用は、特に当社の表示通貨である日本円に対する米ドルおよびユーロの外国為替レートの変動に影響を受けます。円安は日本円以外の通貨による収益の増加要因となり当社グループの業績に好影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の増加により相殺される可能性があります。反対に、円高は日本円以外の通貨による収益減少要因となり当社グループの業績に悪影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の減少により相殺される可能性があります。以下は、2022年3月期の売上収益を2021年3月期における同一の為替レートで換算し、2021年3月期の売上収益と対比させたものです。
(単位:億円、%以外)
前年度 | 当年度 | 対前年度 | ||
売上収益 | 31,978 | 35,690 | 3,712 | 11.6% |
為替レートによる影響 | △1,691 | |||
前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益 | 31,978 | 33,999 | 2,021 | 6.3% |
前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益は、IFRSに準拠して作成された指標ではありません(以下、「非IFRS指標」)。投資家におかれましては、当社グループの過去の財務諸表全体を確認し、IFRSに準拠して表示されている指標を当社グループの業績、価値、将来の見通しを評価する際の主要な指標として使用し、非IFRS指標を補足的な指標として使用することを強く推奨します。前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益に対して最も直接的に比較可能な指標は、IFRSに準拠して作成された売上収益であります。上表には、前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益から売上収益への調整が示されております。
当該指標が、当社グループの事業に対する為替レートの影響をよりよく理解し、為替レートの変動の影響を除外した場合に、当社の経営成績が対前年度でどのように変動したかを理解するために、投資家にとって有用であると考えられるため、当社グループは前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益を表示しております。当該指標は、当社グループの経営者が、当社グループの経営成績を評価するにあたって使用する主要な方法であります。また、証券アナリスト、投資家、その他のステークホルダーが、当社グループが属する業界の同業他社の経営成績を評価する際、類似する業績指標を使用することが多いため、投資家にとっても有用な指標であると考えています。
前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益は、ある会計年度において、当会計年度の売上収益を、対応する前会計年度の為替レートで換算した売上収益として定義されます。ただし、前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益は、前会計年度においてIFRSに基づき表示された売上収益の算定に用いられた為替レートと同一の為替レートを用いて算定されていますが、当該会計年度中に締結された取引が同一の為替レートで締結された、または計上されたとは限らないという点で、この表示の有用性には重要な限界があります。当社グループの業界の同業他社が類似する名称の指標を使用している場合であっても、同業他社が当該指標を当社グループとは異なって定義し、異なる算定を行っている可能性があるため、指標が直接的に比較可能ではない場合があります。したがって、前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益は単独で検討すべきではなく、またIFRSに準拠して作成、表示される収益の指標としてではなく、当該指標の代替的指標としてみなされるべきです。
為替変動リスクを低減するため、当社グループは重要な一部の外貨建取引について、主に先物為替予約、通貨スワップおよび通貨オプションを利用しヘッジを行っております。
季節的要因
当社グループの売上収益は、2021年3月期および2022年3月期において第4四半期に減少しています。これは、卸売業者は年末年始休暇に向けてあらゆる国・地域における在庫数を増やす傾向にあること、年間にわたって価格が上昇していること、暦年の年初の米国における保険の年間免責額の改定等によるものです。
(ⅱ) 重要な会計方針
当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成されております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産および負債の金額、決算日現在の偶発資産および偶発負債の開示、ならびに報告期間における収益および費用の金額に影響を及ぼす見積りおよび仮定の設定を行うことが求められております。見積りおよび仮定は、継続的に見直されます。経営者は、過去の経験、ならびに見積りおよび仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき当該見積りおよび仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積りおよび仮定とは異なる場合があります。
経営者の見積りおよび仮定に影響を受ける重要な会計方針は以下の通りであります。なお、見積りおよび仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。
収益認識
当社グループの収益は主に医薬品販売に関連したものであり、製品に対する支配が顧客に移転した時点で認識されております。収益の認識額は、当社グループが製品と交換に受け取ると見込まれる対価に基づいております。一般的には、出荷時または顧客による受領時点もしくはサービスが履行された時点で収益は認識されます。収益の認識額は、当社グループが財またはサービスと交換に受け取ると見込んでいる対価に基づいております。契約に複数の履行義務が含まれる場合、対価は独立販売価格の比率で各履行義務に配分しております。当社グループが財またはサービスと交換に受け取る対価は固定金額または変動金額の場合があります。変動対価は重要な戻入れが生じない可能性が非常に高い場合のみ認識しております。
売上高からは、主に小売業者、政府機関、卸売業者、医療保険会社およびマネージドヘルスケア団体に対する割戻や値引等の様々な項目が控除されております。これらの控除額は関連する義務に対し見積られますが、報告期間における当該収益に係る控除額の見積りには判断が伴います。総売上高からこれらの控除額を調整して、純売上高が算定されます。当社グループは、これらの控除額に係る義務を少なくとも四半期毎に確認しており、割戻の変動、リベート・プログラムおよび契約条件、法律の改定、その他重大な事象により関連する義務の見直しが適切であることが示されている場合には、調整を行っております。なお、これまで売上割戻に関する引当金に対する調整が、純損益に重要な影響を与えたことはありません。米国市場における収益控除に関する取り決めが最も複雑なものになっております。
収益に係る調整のうち最も重要なものは以下のとおりであります。
• 米国メディケイド: 米国のメディケイド・ドラッグ・リベート・プログラムは、連邦政府および州が共同で拠出した資金により医療費を賄えない特定の条件を満たす個人および家族に対して医療費を負担する制度であり、各州が運営を行っております。当プログラムに係る割戻の支払額の算定には、関連規定の解釈が必要となりますが、これは異議申し立てによる影響または政府機関の解釈指針の変更による影響を受ける可能性があります。メディケイドの割戻に係る引当金は、割戻の対象として特定された製品、過去の経験、患者さんからの要請、製品価格ならびに各州の制度における契約内容および関連条項を考慮して算定しております。メディケイドの割戻に係る引当金は関連する売上収益と同じ期間に計上されますが、メディケイドに係る割戻はその期間に全額が支払われません。当社グループの売上控除額計上時点から最終的なメディケイドに係る割戻の会計処理までには通常数カ月の差が生じます。当社グループの売上控除額の算定に用いる製品固有の条件は、当社グループの売上取引が米国のメディケイド・プログラムの対象となるかに関連しています。
• 米国メディケア: 米国のメディケア・プログラムは65歳以上の高齢者もしくは特定の障害者向けの公的医療保険制度であり、当プログラムのパートDにおいて処方薬に係る保険が規定されております。パートDの制度は民間の処方薬剤費保険により運営、提供されております。メディケア・パートDに係る割戻は各処方薬剤費保険の制度内容、患者さんからの要請、製品価格ならびに契約内容を考慮して算定しております。メディケア・パートDの割戻に係る引当金は関連する売上収益と同じ期間に計上されますが、メディケア・パートDに係る割戻はその期間に全額が支払われません。当社グループの売上控除額計上時点から最終的なメディケア・パートDに係る割戻の会計処理までには通常数カ月の差が生じます。当社グループの売上控除額の算定に用いる製品固有の条件は、当社グループの売上取引が米国のメディケア・プログラムの対象となるかに関連しています。
• 顧客に対する割戻: 当社グループは、マーケットシェアの維持と拡大、また、患者さんの当社グループ製品へのアクセスを確実にするために、購入機関、保険会社、マネージドヘルスケア団体およびその他の直接顧客ならびに間接顧客に対して米国コマーシャル・マネージドケアを含む割戻を実施しております。割戻は契約上取決めがなされているため、係る引当金は各取決めの内容、過去の経験および患者さんからの要請を基に算定しております。米国コマーシャル・マネージドケアの割戻に係る引当金は関連する売上収益と同じ期間に計上されますが、米国コマーシャル・マネージドケアに係る割戻はその期間に全額が支払われません。当社グループの売上控除額計上時点から最終的な米国コマーシャル・マネージドケアに係る割戻の会計処理までには通常数カ月の差が生じます。当社グループの売上控除額の算定に用いる製品固有の条件は、当社グループの売上取引が米国コマーシャル・マネージドケアの対象となるかに関連しています。
• 卸売業者に対するチャージバック: 当社グループは特定の間接顧客と、顧客が卸売業者から割引価格で製品を購入可能とする取決めを結んでおります。チャージバックは卸売業者に対する当社グループの請求額および間接顧客に対する契約上の割引価格の差額であります。チャージバックの見積額は各取決めの内容、過去の経験および製品の需要を基に算定しております。当社グループは、売上債権とチャージバックを相殺する法的に強制可能な権利を有し、かつ純額で決済するか、または資産の実現と負債の決済を同時に行う意図を有しております。そのため、チャージバックの見積額は連結財政状態計算書において売上債権から控除しております。
• 返品調整に係る引当金: 返品権付き製品を顧客に販売する際は、当社グループの返品ポリシーや過去の返品率に基づいた返品見込み額を引当金として計上しております。返品見込み率を見積る際は、過去の返品実績、予想される流通チャネル内の在庫量および製品の保管寿命を含む関連要因を考慮しております。
引当額は見積りに基づくため、実際の発生額を完全に反映していない場合があり、特にどの売上取引が最終的にこれらの制度の対象とされるかどうかの判断において使用されるそれぞれの製品固有の条件により変動する可能性があります。
当社グループは、一般的に製品が顧客に引き渡された時点から90日以内に顧客から支払を受けます。当社グループは主としてそれらの取引を本人として履行しますが、他の当事者に代わって販売を行うことがあります。その場合は、代理人として受け取ることが見込まれる販売手数料の金額が収益として認識されます。
当社グループは、知的財産の導出および売却にかかるロイヤルティ、契約一時金およびマイルストンにかかる収益を計上しております。知的財産にかかるロイヤルティ収益は、基礎となる売上が発生した時点で認識しております。契約一時金にかかる収益は、一般的にはライセンスの使用権を付与した時点で認識されます。マイルストンにかかる収益は、一般的にはマイルストンの支払条件が達成される可能性が非常に高く、認識した収益の額の重大な戻入が生じない可能性が非常に高くなった時点で認識しております。導出した候補物質の研究開発等のその他のサービスにかかる収益については、サービスの提供期間に応じて認識しております。
当社グループは、一般的に知的財産の導出契約の締結または顧客によるマイルストンの支払条件の達成の確認から60日以内に顧客から支払を受けます。当社グループはグループの知的財産を導出しているため、本人として契約を履行しております。また、当社グループはその他のサービスも本人または代理人として提供しております。
のれんおよび無形資産の減損
当社グループは、のれんおよび無形資産について、資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象または状況の変化がある場合には、減損テストを行っております。のれんおよび償却開始前の無形資産については、年次および減損の兆候を捕捉した時点で減損テストを実施しております。2022年3月31日時点において、当社グループはのれんおよび無形資産をそれぞれ4兆4,077億円および3兆8,185億円計上しており、これは総資産の62.4%を占めております。
上市後製品に係る無形資産は特許が存続する見込期間または見込まれる経済的便益に応じた他の指標に基づき、3年から20年の耐用年数を用いて定額法で償却しております。開発中の製品に係る無形資産は、特定の市場における商用化が規制当局により承認されるまで償却をしておりません。商用化が承認された時点で、当該資産の見積耐用年数を確定し、償却を開始しております。
のれんおよび無形資産は、通常、連結財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には減損していると判断されます。無形資産にかかる回収可能価額は個別資産、またはその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであります。のれんの減損テストは単一の事業セグメント単位(単一の資金生成単位)で実施しており、これはのれんを内部管理目的で監視している単位を表しています。回収可能価額の見積りには以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。
·将来キャッシュ・フローの金額および時期
·競合他社の動向(競合製品の販売開始、マーケティングイニシアチブ等)
·規制当局からの承認の取得可能性
·将来の税率
·永続成長率
·割引率
将来キャッシュ・フローの金額および時期を見積るための重要な仮定には、研究開発プロジェクトの成功見込みおよび製品に係る売上予測があります。特にのれんにかかる回収可能価額の見積りにおいては、特定の製品に係る売上予測が重要な仮定となります。これらの仮定に影響を与える事象としては、開発の中止、大幅な上市の遅延、規制当局の承認が得られないことによる研究開発プロジェクトの失敗、もしくは一般的には新たな競合製品の販売開始や供給不足による、一部の上市後製品にかかる売上予測の低下があげられます。これらの事象が発生した場合、プロジェクト獲得以降に実施した当初もしくは事後の研究開発投資額が回収できない、もしくは見積った将来キャッシュ・フローが回収できない可能性があります。
これらの仮定に変更が生じた場合は、当該連結会計年度において減損損失および減損損失の戻入れを認識しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11 のれんおよび12 無形資産」をご参照ください。
訴訟に係る偶発事象
当社グループは、通常の営業活動において主に製造物責任訴訟および賠償責任訴訟に関与しております。詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。
偶発負債は、その特性から不確実なものであり複雑な判断や可能性に基づいております。訴訟およびその他の偶発事象に係る引当金を算定する際には、該当する訴訟の根拠や管轄、その他の類似した現在および過去の訴訟案件の顛末および発生数、製品の性質、訴訟に関する科学的な事項の評価、和解の可能性ならびに現時点における和解にむけた進行状況等を勘案しております。さらに、未だ提訴されていない製造物責任訴訟については、主に過去の訴訟の経験や製品の使用に係るデータに基づき、費用を合理的に見積ることができる範囲で引当金を計上しております。当社グループが関与する重要な訴訟のうち、それらの最終的な結果により財務上の影響が見込まれる場合であっても、その額について信頼性のある見積りが不可能な訴訟等については、引当金の計上は行っておりません。また、保険の補償範囲期間内である場合は保険による補償についても考慮しております。補償範囲の検討の際に、当社グループは、保険契約の制限や除外、保険会社による補償の拒否の可能性、保険業者の財政状態、ならびに回収可能性および回収期間を考慮しております。引当金および関連する保険補償額の見積りは、連結財政状態計算書上において負債および資産として総額で計上しております。2022年3月31日現在において、係争中の訴訟案件およびその他の案件について429億円の引当金を計上しております。
法人所得税
当社グループは、税法および税規制の解釈指針に基づき税務申告を行っており、これらの判断および解釈に基づいた見積額を計上しております。通常の営業活動において、当社グループの税務申告は様々な税務当局による税務調査の対象であり、これらの調査の結果、追加税額、利息、または罰金の支払いが課される場合があります。法律および様々な管轄地域の租税裁判所の判決に伴う法改正により、不確実な税務ポジションに関する負債の見積りの多くは固有の不確実性を伴います。税務当局が当社グループの税務ポジションを認める可能性が高くないと結論を下した場合に、当社グループは、税務上の不確実性を解消するために必要となる費用の最善の見積り額を認識します。また、未認識の税務上の便益は事実および状況の変化に伴い調整されます。これらの税務ポジションは、例えば、現行の税法の大幅改正、税務当局による税制または解釈指針の発行、税務調査の際に入手した新たな情報、または税務調査の解決により調整が行われる可能性があります。当社グループは、不確実な税務ポジションに係る当社グループの見積りは、現時点において判明している事実および状況に基づき適切かつ十分であると判断しております。
また、各報告期間の末日において繰延税金資産の回収可能性を評価しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予想される将来加算一時差異の解消スケジュール、予想される将来課税所得およびタックスプランニングを考慮しております。収益力に基づく将来課税所得は、主に当社グループの事業計画を基礎として見積られており、当該事業計画に含まれる売上高の予測を決定する際の判断に変更があった場合、認識される繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。過去の課税所得の水準および繰延税金資産が認識できる期間における将来の課税所得の見積りに基づき、実現する可能性が高いと予想される税務上の便益の額を算定しております。2022年3月31日現在における繰延税金資産を認識していない未使用の繰越欠損金、将来減算一時差異、および未使用の繰越税額控除はそれぞれ1兆7,298億円、2,409億円、および100億円であります。将来における見積りおよび仮定の変更は法人所得税費用に重要な影響を与える可能性があります。
事業構造再編費用
当社グループでは、費用削減に関連した取り組みおよび買収に係る事業統合に関連して事業構造再編費用が発生します。退職金が事業構造再編費用の主な内訳であり、事業構造再編に係る引当金については、事業構造再編に係る詳細な公式計画を作成した時点で計上しております。事業構造再編に係る引当金の認識には、支払時期や、事業再編により影響を受ける従業員数等の見積りが必要となります。最終的なコストは当初の見積りから異なる可能性があります。
当社グループは、将来において買収および売却に関連した事業統合に係る追加の事業構造再編費用を計上すると見込んでおります。2022年3月31日現在において、当社グループは、事業構造再編に係る引当金を134億円計上しております。詳細および事業構造再編に係る引当金の推移は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 23 引当金」をご参照ください。
(ⅲ) 当年度における業績の概要
当年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。
(単位:億円、%以外)
前年度 | 当年度 | 対前年度 | ||
売上収益 | 31,978 | 35,690 | 3,712 | 11.6% |
売上原価 | △9,943 | △11,068 | △1,125 | 11.3% |
販売費及び一般管理費 | △8,757 | △8,864 | △107 | 1.2% |
研究開発費 | △4,558 | △5,261 | △703 | 15.4% |
製品に係る無形資産償却費及び減損損失 | △4,219 | △4,729 | △511 | 12.1% |
その他の営業収益 | 3,180 | 431 | △2,749 | △86.4% |
その他の営業費用 | △2,589 | △1,591 | 998 | △38.6% |
営業利益 | 5,093 | 4,608 | △484 | △9.5% |
金融収益及び費用(純額) | △1,431 | △1,429 | 2 | △0.1% |
持分法による投資損益 | 1 | △154 | △154 | - |
税引前当期利益 | 3,662 | 3,026 | △637 | △17.4% |
法人所得税費用 | 99 | △724 | △823 | - |
当期利益 | 3,762 | 2,302 | △1,460 | △38.8% |
[売上収益]
売上収益は、前年度から3,712億円増収(+11.6%)の3兆5,690億円となりました。前年度の実勢為替レートを当年度に適用することにより算出した為替影響を除くと、売上収益は6.3%の増収となります。2021年4月、当社は、日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの1,330億円での帝人ファーマ株式会社への譲渡を完了し、これを売上収益に計上しました。当該譲渡価額は、売上収益の増加のうち、4.2パーセントポイントを占めます。なお、当該譲渡価額を除くと、当年度の売上収益は7.4%の増収となります。
当社ビジネスにおける主要な疾患領域(消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤(免疫疾患)、オンコロジー、およびニューロサイエンス(神経精神疾患))の売上収益は、前年度から3,211億円増収(+12.2%)の2兆9,449億円となりました。主要な疾患領域はそれぞれ全社の売上収益の増収に貢献しました。しかしながら、希少疾患領域では、特に希少血液疾患領域の一部の製品が競争の激化による影響を受け、円安によるプラス影響を除くと減収となりました。当年度の売上収益は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のグローバルな流行拡大による大きな影響はありませんでしたが、下期においてはオミクロン株による感染拡大により、幾つかの製品において出荷の遅れや患者さんの診断数の減少といった若干の影響がみられました。
当社の主要な疾患領域以外の売上収益は、日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの譲渡価額1,330億円の計上および日本におけるModerna社のCOVID-19ワクチン「スパイクバックス筋注」の供給による収益を含むその他の増収が前年度の事業等の売却による当年度の減収影響を吸収し、501億円増収(+8.7%)の6,241億円となりました。
地域別売上収益
各地域の売上収益は以下のとおりです。
(単位:億円、%以外)
売上収益: | 前年度 | 当年度 | |||
日本(注1) | 5,597 | 17.5% | 6,590 | 18.5% | |
米国 | 15,679 | 49.0% | 17,144 | 48.0% | |
欧州およびカナダ | 6,662 | 20.8% | 7,392 | 20.7% | |
アジア(日本を除く) | 1,562 | 4.9% | 1,970 | 5.5% | |
中南米 | 1,216 | 3.8% | 1,285 | 3.6% | |
ロシア/CIS | 576 | 1.8% | 621 | 1.7% | |
その他(注2) | 685 | 2.1% | 689 | 1.9% | |
合計 | 31,978 | 100.0% | 35,690 | 100.0% |
(注1) 当年度は、日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの譲渡価額1,330億円を含みます。
(注2) その他の地域は中東、オセアニアおよびアフリカを含みます。
当社グループの売上収益の大部分は、主要な医療用医薬品により占められております。当年度の各領域における主要製品の売上は以下のとおりです。
(単位:億円、%以外) | ||||
前年度 | 当年度 | 対前年度 | ||
消化器系疾患: | ||||
エンティビオ(注1) | 4,293 | 5,218 | 925 | 21.5% |
タケキャブ(注2) | 848 | 1,024 | 176 | 20.7% |
レベスティブ | 646 | 758 | 112 | 17.3% |
DEXILANT | 556 | 508 | △48 | △8.7% |
PANTOLOC/CONTROLOC(注3) | 431 | 403 | △28 | △6.6% |
アロフィセル | 8 | 18 | 11 | 135.1% |
その他 | 997 | 829 | △168 | △16.8% |
消化器系疾患 合計 | 7,778 | 8,757 | 979 | 12.6% |
希少疾患: | ||||
希少代謝性疾患: | ||||
エラプレース | 688 | 731 | 43 | 6.3% |
リプレガル | 518 | 517 | △0 | △0.1% |
ビプリブ | 385 | 424 | 39 | 10.1% |
NATPARA/NATPAR | 36 | 54 | 18 | 50.7% |
希少代謝性疾患 合計 | 1,626 | 1,726 | 100 | 6.1% |
希少血液疾患: | ||||
アドベイト | 1,285 | 1,185 | △100 | △7.8% |
アディノベイト | 581 | 607 | 27 | 4.6% |
ファイバ | 445 | 392 | △53 | △12.0% |
RECOMBINATE | 134 | 123 | △11 | △8.2% |
その他 | 453 | 530 | 77 | 17.0% |
希少血液疾患 合計 | 2,898 | 2,837 | △61 | △2.1% |
遺伝性血管性浮腫: | ||||
タクザイロ | 867 | 1,032 | 165 | 19.1% |
フィラジル | 268 | 267 | △1 | △0.5% |
その他 | 258 | 237 | △21 | △8.3% |
遺伝性血管性浮腫 合計 | 1,393 | 1,536 | 143 | 10.2% |
その他 | - | 13 | 13 | - |
希少疾患合計 | 5,917 | 6,112 | 195 | 3.3% |
血漿分画製剤(免疫疾患): | ||||
免疫グロブリン製剤 | 3,349 | 3,859 | 510 | 15.2% |
アルブミン製剤 | 576 | 900 | 325 | 56.4% |
その他 | 279 | 311 | 31 | 11.2% |
血漿分画製剤(免疫疾患) 合計 | 4,204 | 5,070 | 866 | 20.6% |
(単位:億円、%以外) | ||||
前年度 | 当年度 | 対前年度 | ||
オンコロジー: | ||||
ベルケイド | 1,011 | 1,100 | 89 | 8.8% |
リュープリン | 954 | 1,065 | 111 | 11.6% |
ニンラーロ | 874 | 912 | 38 | 4.4% |
アドセトリス | 594 | 692 | 98 | 16.4% |
アイクルシグ | 342 | 349 | 7 | 1.9% |
アルンブリグ | 88 | 136 | 48 | 54.9% |
その他 | 302 | 433 | 131 | 43.4% |
オンコロジー 合計 | 4,165 | 4,687 | 522 | 12.5% |
ニューロサイエンス(神経精神疾患): | ||||
バイバンス(注4) | 2,715 | 3,271 | 555 | 20.4% |
トリンテリックス | 689 | 823 | 134 | 19.5% |
その他 | 769 | 729 | △40 | △5.2% |
ニューロサイエンス 合計 | 4,173 | 4,823 | 650 | 15.6% |
その他: | ||||
アジルバ(注2) | 822 | 763 | △59 | △7.2% |
ロトリガ | 318 | 327 | 9 | 2.9% |
その他(注5) | 4,601 | 5,152 | 551 | 12.0% |
その他 合計 | 5,741 | 6,242 | 501 | 8.7% |
総合計 | 31,978 | 35,690 | 3,712 | 11.6% |
(注1)国内製品名:エンタイビオ
(注2)配合剤、パック製剤を含む。
(注3)一般名:pantoprazole
(注4)国内製品名:ビバンセ
(注5)前年度においては、2021年3月31日に売却した武田コンシューマーヘルスケア株式会社の売上高を含む。
当年度においては、2021年4月1日に売却した日本における糖尿病治療薬4剤(ネシーナ錠、リオベル配合錠、イニシンク配合錠、ザファテック錠)の帝人ファーマ株式会社への譲渡価額1,330億円を含む。
各疾患領域における売上収益の前年度からの増減は、主に以下の製品によるものです。
- 消化器系疾患
消化器系疾患領域の売上収益は、前年度から979億円増収(+12.6%)の8,757億円となりました。当社のトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」(国内製品名:「エンタイビオ」)の売上が伸長し、前年度から925億円増収(+21.5%)の5,218億円となり、売上成長を牽引しました。本剤の米国における売上は、炎症性腸疾患の潰瘍性大腸炎とクローン病に対する生物学的製剤の新規投与患者が増加したことにより、前年度から552億円増収(+18.8%)の3,495億円となりました。欧州およびカナダにおける売上は、前年度から270億円増収(+24.8%)の1,360億円となりました。成長新興国においては、主にブラジルおよび中国における売上が伸長し、前年度から78億円増収(+45.7%)の250億円となりました。酸関連疾患治療剤「タケキャブ」も、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制等の効能を中心として、主に日本において新規処方が拡大し、売上は176億円増収(+20.7%)の1,024億円となりました。短腸症候群治療剤「レベスティブ」の売上は、主に市場浸透が進んだこと、および日本を含む新たな国での上市により、112億円増収(+17.3%)の758億円となりました。「その他」に含まれる慢性便秘症治療剤「AMITIZA」は、2021年1月に米国において参入した後発品の影響により、売上は148億円減収(△69.6%)の65億円となりました。
- 希少疾患
希少疾患領域の売上収益は、前年度から195億円増収(+3.3%)の6,112億円となりました。
希少代謝性疾患領域の売上収益は、100億円増収(+6.1%)の1,726億円となりました。酵素補充療法のハンター症候群治療剤「エラプレース」は主に欧州および成長新興国において、ゴーシェ病治療剤「ビプリブ」は主に米国、欧州および成長新興国において、それぞれ増収となりました。
希少血液疾患領域の売上収益は、61億円減収(△2.1%)の2,837億円となりました。「アドベイト」は100億円減収(△7.8%)の1,185億円となりました。「アディノベイト」は27億円増収(+4.6%)の607億円となりました。いずれも、米国の血友病Aのインヒビター非保有市場における競争の激化による影響を受けました。また、「ファイバ」の売上は、主に、成長新興国における政府による入札のタイミングが前年度と比較して後ろ倒しになった影響により、53億円減収(△12.0%)の392億円となりました。
遺伝性血管性浮腫領域の売上収益は、143億円増収(+10.2%)の1,536億円となりました。「タクザイロ」は、主に予防薬市場の拡大、販売エリアの拡大、および処方の増加により、165億円増収(+19.1%)の1,032億円となりました。「その他」に含まれる「CINRYZE」は、主に「タクザイロ」への処方切り替えと他社の競合する新薬へのシフトにより、26億円減収(△11.8%)の193億円となりました。
- 血漿分画製剤(免疫疾患)
血漿分画製剤(免疫疾患)領域の売上収益は、前年度から866億円増収(+20.6%)の5,070億円となりました。免疫グロブリン製剤の売上合計は、510億円増収(+15.2%)の3,859億円となりました。特に、原発性免疫不全症(PID)と多巣性運動ニューロパチー(MMN)の治療に用いられる静注製剤「GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG」の売上は、グローバルに需要が堅調に推移し供給量が増加したことから、前年度から増収となりました。また、皮下注製剤である「CUVITRU」と「HYQVIA」は2桁台の増収率となりました。主に血液量減少症と低アルブミン血症の治療に用いられる「HUMAN ALBUMIN」と「FLEXBUMIN」を含むアルブミン製剤の売上合計は、前年度の下期に影響を与えた「HUMAN ALBUMIN」の中国における出荷中断が解消されて売上が伸長したことと、「FLEXBUMIN」の中国および米国における需要が増加したことにより、前年度から325億円増収(+56.4%)の900億円となりました。
- オンコロジー
オンコロジー領域の売上収益は、前年度から522億円増収(+12.5%)の4,687億円となりました。多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」の売上は、前年度から89億円増収(+8.8%)の1,100億円となりました。米国内の売上は、COVID-19の流行拡大初期に処方者が点滴や注射よりも経口投与の薬剤を選好したことで前年度第1四半期は売上が低下しましたが、当年度は需要の回復があったことから前年度から104億円の増収(+10.8%)となりました。また、本剤は新規患者さんの初期治療に使用される薬剤の一つとして、米国における成長に貢献しました。米国外の売上にかかるロイヤルティ収益は、後発品の浸透が継続したことにより減収となりました。子宮内膜症・子宮筋腫・閉経前乳がん・前立腺がん等の治療に用いられる特許満了製品の「リュープリン」(一般名:「リュープロレリン」)は、主に米国に向けた供給売上の増加があったものの日本における後発品の浸透および競合品による減収影響によって一部相殺され、前年度から111億円増収(+11.6%)の1,065億円となりました。多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」の売上は、前年度から38億円増収(+4.4%)の912億円となりました。米国においては、COVID-19拡大下において経口剤である本剤が選好され、前年度の初期に一時的に需要が増加したものの当年度はその影響がなかったこと、および当年度第4四半期には需要の減速が見られたことから減収となりましたが、他の国々、特に中国と日本においては引き続き好調に推移し増収となりました。また、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」の売上は、2020年5月に承認された中国を中心に成長新興国において伸長し、前年度から98億円増収(+16.4%)の692億円となりました。非小細胞肺がん治療剤「アルンブリグ」の売上は、全世界における上市および市場浸透により、前年度から48億円増収(+54.9%)の136億円となりました。
- ニューロサイエンス(神経精神疾患)
ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域の売上収益は、前年度から650億円増収(+15.6%)の4,823億円となりました。注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤「バイバンス」(国内製品名:「ビバンセ」)の売上は、前年度から555億円増収(+20.4%)の3,271億円となりました。同剤は、COVID-19パンデミックの期間を通じて、特に外出制限期間中の外来患者数および診断数の減少と、服薬の一時的な中断による減収影響を受けました。この傾向は2020年から変動してきましたが、当年度においては処方の増加によるプラス影響がありました。大うつ病(MDD)治療剤「トリンテリックス」の売上は、米国および日本における処方の増加により、前年度から134億円増収(+19.5%)の823億円になりました。これらの製品の増収は、主に日本において後発品参入による競争の継続的な影響を受けた「その他」に含まれるアルツハイマー病治療剤「レミニール」等の他のニューロサイエンス(神経精神疾患)領域の製品の減収によって一部相殺されました。
[売上原価]
売上原価は、主に前年度と比較し当年度において円安の影響を受けたこと、および原価率の高い品目の売上が増加したことにより前年度から1,125億円増加(+11.3%)の1兆1,068億円となりました。この増加は、Shire社買収に伴い計上された棚卸資産の公正価値調整等にかかる非資金性の費用が465億円減少したこと、および前年度に売却した製品にかかる売上原価の減少により一部相殺されております。
[販売費及び一般管理費]
販売費及び一般管理費は、前年度から107億円増加(+1.2%)の8,864億円となりました。この増加は主に、当年度における円安の為替影響に伴うものです。
[研究開発費]
研究開発費は、主に新規候補物質へのさらなる投資、および当年度における円安の為替影響により、前年度から703億円増加(+15.4%)の5,261億円となりました。
[製品に係る無形資産償却費及び減損損失]
製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、開発中止を決定したTAK-721を含む一部の開発中の製品に係る減損損失、およびNATPARAに関連する無形資産の回収可能価額の再評価に伴う減損損失を当年度に計上したことにより、前年度から511億円増加(+12.1%)の4,729億円となりました。
[その他の営業収益]
その他の営業収益は、前年度から2,749億円減少(△86.4%)の431億円となりました。この減少は主に、武田コンシューマーヘルスケア株式会社株式および関連資産の売却に伴う1,395億円、およびその他の非中核資産の譲渡に伴う894億円の合計2,289億円の譲渡益を前年度に計上したこと、また、前年度においてSHP647および関連する権利の売却に関する当社グループの義務を解除する2020年5月の欧州委員会の決定に伴い、当社グループがSHP647に関する臨床試験プログラムを中止する意思決定を行ったことを反映し、これまで計上していた当該プログラムに関連する負債の再見積りを行った結果、602億円の再評価益を計上したことによるものです。
[その他の営業費用]
その他の営業費用は、前年度から998億円減少(△38.6%)の1,591億円となりました。この減少は主に、前年度において当社グループが譲渡したXIIDRAにかかる条件付対価契約に関する金融資産の公正価値の変動により729億円の損失を計上したこと、および主にShire社との統合費用の減少に伴い、事業構造再編費用が前年度から320億円減少したことによるものです。
[営業利益]
営業利益は、上記の要因を反映し、前年度から484億円減益(△9.5%)の4,608億円となりました。
[金融損益]
金融収益と金融費用をあわせた金融損益は1,429億円の損失となり、前年度から損失が2億円(△0.1%)減少しました。当社が株式を保有する企業のワラントにかかるデリバティブの再測定によるマイナス影響がありましたが、持分法適用会社であったMarverick Therapeutics社を2021年4月に買収したことに伴う投資の再測定に係る利益を当年度に計上したこと、および主に社債及び借入金の残高減少に伴う利息費用(純額)の減少等により相殺しております。
[持分法による投資損益]
当年度の持分法による投資損益は、主に武田ベンチャー投資Inc.が保有する株式にかかる投資の損失を計上したことにより前年度の持分法による投資利益1億円に対して154億円の損失となりました。このマイナス影響は、武田テバファーマ株式会社で認識された減損損失の当社グループ持分相当額の減少により一部相殺されております。
[法人所得税費用]
法人所得税費用は、前年度△99億円に対して、当年度は724億円となりました。これは主に、グループ内の組織再編により認識された税務上の便益の減少、および2014年にShire社がAbbVie社からの買収申し出の取下げに関連して受領した違約金に対するアイルランドでの課税を巡る税務評価から生じた税金および利息の合計と関連する税務便益5億円との純額654億円によるものです。また、未認識であった繰延税金資産の計上による税務便益が減少しております。これらは、前年度における事業等の売却に伴う税金費用、海外子会社における未分配利益にかかる繰延税金負債の減少影響、および税引前当期利益の減少による影響と一部相殺されております。
[当期利益]
当期利益は、上記の要因を反映し、前年度から1,460億円減益(△38.8%)の2,302億円となりました。
(ⅳ) 当年度における実質的な成長の概要
Coreと実質的な成長の定義
当社は、事業の計画策定および業績評価において、「実質的な成長」(Underlying Growth)の概念を採用しております。
「実質的な成長」は、当年度と前年度(四半期もしくは年間)の業績を共通の基準で比較するものであり、マネジメントによる業績評価に使用されています。これら共通の基準で比較される業績は、年間計画レートを用いた為替レートを一定として、事業等の売却影響およびその他の非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(非中核)事象による影響を控除し算定されます。当社は、この「実質的な成長」が、事業活動のパフォーマンスを表す共通の基準を提供するため、投資家に有用であると考えています。なお、本指標は、国際会計基準(IFRS)に準拠したものではありません。
当社は、「Underlying Revenue Growth」(実質的な売上収益の成長)、「Underlying Core Operating Profit Growth」(実質的なCore営業利益の成長)および「Underlying Core EPS Growth」(実質的なCore EPSの成長)を重要な財務指標としています。
実質的な売上収益は、為替レートを一定として、財務ベースの売上収益に、報告期間における非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響を調整して計算します。
実質的なCore営業利益は、為替レートを一定として、Core営業利益(以下に定義)に、報告期間における事業等の売却影響を調整して計算します。
実質的なCore EPSは、為替レートを一定として、純利益から、事業等の売却影響、およびCore EPS(以下に定義)の算出において控除された項目を調整した後、比較年度末の自己株式控除後の発行済株式総数で除して算定します。
Core売上収益は、売上収益から、重要性のある本業に起因しない(非中核)事象による影響を控除して算出します。
Core営業利益は、純利益から、法人所得税費用、持分法による投資損益、金融損益、その他の営業収益およびその他の営業費用、製品に係る無形資産償却費及び減損損失を控除して算出します。その他、非定常的な事象に基づく影響、企業買収に係る会計処理の影響や買収関連費用など、本業に起因しない(非中核)事象による影響を調整します。
Core EPSは、純利益から、Core営業利益の算出において控除された項目と営業利益以下の各科目のうち、重要性のある、非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(非中核)事象による影響を調整します。これらには、条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響などが含まれます。さらに、これらの調整項目に係る税金影響を控除した後、報告期間の自己株式控除後の平均発行済株式総数で除して算定します。
当年度の実質的な成長は、以下のとおりとなりました。
当年度 | |
実質的な売上収益の成長 | +7.4% |
実質的なCore営業利益の成長 | +5.4% |
実質的なCore営業利益率 | 28.0% |
実質的なCore EPSの成長 | +9.4% |
[実質的な売上収益の成長]
実質的な売上収益の成長は、多様なグローバル製品の伸長と新製品の上市が牽引し、前年度から+7.4%となりました。タケダの14のグローバル製品(注)の実質的な売上収益は、実質的な売上収益全体の約42%を占め、前年度から+12.0%成長しました。
(注)タケダの14のグローバル製品消化器系疾患:エンティビオ、レベスティブ、アロフィセル希少疾患:NATPARA/NATPAR、アディノベイト、タクザイロ、エラプレース、ビプリブ血漿分画製剤(免疫疾患):GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、CUVITRU、HUMAN ALBUMIN/FLEXBUMINオンコロジー:ニンラーロ、アルンブリグ
疾患領域別の実質的な売上収益の成長(注) | 当年度 |
消化器系疾患 | +6.8% |
希少疾患 | △1.4% |
希少代謝性疾患 | +2.4% |
希少血液疾患 | △6.7% |
遺伝性血管性浮腫 | +4.3% |
血漿由来の免疫疾患治療 | +13.6% |
オンコロジー | +7.6% |
ニューロサイエンス | +9.5% |
その他 | +12.8% |
合計 | +7.4% |
(注) 実質的な売上収益は、為替レートを一定として、非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響を調整します。本調整前の疾患領域別の売上収益や主要な製品売上については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容 (a)当年度の経営成績の分析 (ⅲ) 当年度における業績の概要[売上収益]」をご参照ください。
実質的な売上収益の計算において控除した主な非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響(注)は次のとおりです。
・2020年11月に売却が完了したアジア太平洋における一部の一般用医薬品および非中核資産に係る前年度の売上収益を控除して調整しております。
・2020年12月に売却が完了した主に欧州における一部の非中核資産である医療用医薬品に係る前年度の売上収益を控除して調整しております。
・2021年1月に売却が完了した中南米における一部の一般用医薬品および非中核資産に係る前年度の売上収益を控除して調整しております。
・2021年1月に売却が完了した「TACHOSIL」(手術用パッチ剤)の前年度の売上を控除して調整しております。
・2021年3月に売却が完了した主に欧州における一部の一般用医薬品および非中核資産に係る前年度の売上収益を控除して調整しております。
・2021年3月に売却が完了した従来子会社であった武田コンシューマーヘルスケア株式会社の前年度の売上収益を控除して調整しております。
・2021年4月1日に売却が完了した日本における糖尿病治療剤ポートフォリオ(ネシーナ錠、リオベル配合錠、イニシンク配合錠、ザファテック錠)に係る前年度の売上を控除して調整しております。また、売却完了により計上された非定常的な譲渡価額1,330億円は当年度の売上収益から控除して調整しております。
(注)中国における一部の非中核資産である医療用医薬品に係る当年度と前年度の売上収益については、当第3四半期まで控除して調整しておりましたが、本件の売却が2022年3月末に完了し両年度が比較可能であることから当第4四半期においては両年度ともに調整を行っておりません。
[実質的なCore営業利益の成長]
実質的なCore営業利益の成長は、実質的な売上収益の成長を反映し、前年度から+5.4%となりました。
日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの売却など、当社の本業に起因しない(非中核)事象による影響を控除した当年度のCore営業利益は9,552億円となりました。
[当年度の実質的なCore営業利益率]
当年度の実質的なCore営業利益率は、28.0%となりました。
[実質的なCore EPSの成長]
実質的なCore EPSの成長は、+9.4%となりました。
(b)当年度の財政状態の分析
[資産]
当年度末における資産合計は、前年度末から2,657億円増加し、13兆1,780億円となりました。のれんは、主に為替換算の影響により3,738億円増加しました。また、有形固定資産は資産の取得に加え、為替影響による増加もあり1,289億円増加し、棚卸資産は993億円増加しました。これらの増加は、現金及び現金同等物の減少1,165億円および主に償却による無形資産の減少906億円と一部相殺されております。また、主に当年度に売上債権売却プログラムを開始したことにより、売上債権及びその他の債権が864億円減少しております。
[負債]
当年度末における負債合計は、前年度末から2,406億円減少し、7兆4,945億円となりました。社債及び借入金は、借入金の返済および社債の償還の結果、前年度末から2,900億円減少の4兆3,454億円(注)となりました。さらに、繰延税金負債が913億円減少しております。これらの減少は、仕入債務及びその他の債務の増加1,725億円と一部相殺されております。
(注)当年度における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ3兆6,374億円および7,081億円です。なお、社債及び借入金の内訳は以下の通りです。
社債:
銘柄 (外貨建発行額) | 発行時期 | 償還期限 | 帳簿価額 |
米ドル建無担保普通社債 (1,520百万米ドル) | 2015年6月 | 2022年6月 ~2045年6月 | 1,860億円 |
米ドル建無担保普通社債 (4,000百万米ドル) | 2016年9月 | 2023年9月 ~2026年9月 | 4,660億円 |
ユーロ建無担保普通社債 (3,750百万ユーロ) | 2018年11月 | 2022年11月 ~2030年11月 | 5,072億円 |
米ドル建無担保普通社債 (3,250百万米ドル) | 2018年11月 | 2023年11月 ~2028年11月 | 3,953億円 |
ハイブリッド社債 (劣後特約付社債) | 2019年6月 | 2079年6月 | 4,982億円 |
米ドル建無担保普通社債 (7,000百万米ドル) | 2020年7月 | 2030年3月 ~2060年7月 | 8,494億円 |
ユーロ建無担保普通社債 (3,600百万ユーロ) | 2020年7月 | 2027年7月 ~2040年7月 | 4,860億円 |
円貨建無担保普通社債 | 2021年10月 | 2031年10月 | 2,494億円 |
合計 | 3兆6,374億円 |
借入金:
名称 (外貨建借入額) | 借入時期 | 返済期限 | 帳簿価額 |
シンジケートローン | 2016年4月 | 2023年4月 ~2026年4月 | 2,000億円 |
〃 | 2017年4月 | 2027年4月 | 1,135億円 |
〃 (1,500百万米ドル) | 2017年4月 | 2027年4月 | 1,830億円 |
その他のバイラテラルローン | 2016年3月 ~2017年4月 | 2023年3月 ~2026年3月 | 2,100億円 |
その他 | 15億円 | ||
合計 | 7,081億円 |
当社グループは、2017年7月に発行した米ドル建無担保普通社債の残高200百万米ドルについて、2022年1月18日の償還期日に先立ち、2021年5月17日に繰上償還を実行しました。2021年6月11日には、2018年12月3日に契約締結した株式会社国際協力銀行ローン(以下、「JBICローン」)3,700百万米ドルのうち2,000百万米ドルについて、2025年12月11日の返済期日に先立ち繰上返済を実行しました。2021年8月10日には、2018年11月に発行したユーロ建無担保普通社債1,500百万ユーロについて、2022年11月21日の償還期日に先立ち繰上償還を実行しました。2021年10月14日には、無担保普通社債(満期10年、償還期日2031年10月14日)元本総額2,500億円を発行しました。2021年12月13日には、JBICローンの残高1,700百万米ドルについて、2025年12月11日の返済期日に先立ち繰上返済を実行しました。さらに、2022年3月24日には、2016年9月に発行した米ドル建無担保普通社債1,500百万米ドルについて、2023年9月23日の償還期日に先立ち繰上償還を実行しました。
[資本]
当年度末における資本合計は、前年度末から5,063億円増加し、5兆6,835億円となりました。この増加は、主に円安の影響による為替換算調整勘定の変動によりその他の資本の構成要素が5,681億円増加したことによるものです。この増加は、主に当年度の自己株式取得の実施による自己株式の増加565億円、および利益剰余金の減少302億円と一部相殺されております。利益剰余金は、当期利益の計上があったものの、主に2,842億円の配当金を支払ったことにより減少しております。
(c)流動性および資金調達源
資金の調達および使途
当社グループにおいて流動性は、主に営業活動に必要な現金、資本支出、契約上の義務、債務の返済、利息や配当の支払いに関連して必要となります。営業活動においては、研究開発費、マイルストン支払い、販売およびマーケティングに係る費用、人件費およびその他の一般管理費、原材料費等の支払いにあたり現金が必要となります。また、法人所得税の支払いや運転資金にも多額の現金が必要となります。
当社グループは、生産設備の能力増強・合理化、減価償却を終えた資産の入れ替え、業務管理の効率化等のために設備投資を行っています。無形資産に係る資本的支出は、主に第三者のパートナーから導入したライセンス製品に対するマイルストン支払い、およびソフトウェア開発費です。連結財政状態計算書に計上されている有形固定資産および無形資産に係る資本支出は、2021年3月期および2022年3月期において、それぞれ3,307億円および2,399億円であります。また、2022年3月31日現在において、有形固定資産の取得に関する契約上のコミットメントは142億円であります。加えて、2022年3月31日現在において、無形資産の取得に関して契約上の取決めを有しております。無形資産に係るマイルストン支払いの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記32 コミットメントおよび偶発債務」をご参照ください。また、資本管理の一環として、当社グループは、資金需要、市場等の環境、またはその他の関連する要因に照らして、定期的に資本的支出の評価を行っております。
当社の配当金の支払額は、2021年3月期および2022年3月期において、それぞれ2,837億円および2,842億円であります。1株当たり配当額は中間配当および期末配当金それぞれ90円ずつとし、年間180円を継続することを目指しています。当社の配当政策については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。
当社グループは、有利子負債に対し元本と利息を支払う必要があります。2022年3月31日現在において、1年内に必要となる利息の支払額および負債の返済額は、それぞれ954億円、2,039億円であります。詳細は、「有利子負債および金融債務」をご参照ください。
当社グループの資金の主な調達源は、主に現金及び現金同等物、短期コマーシャル・ペーパー、コミットメントラインによる借入、グローバル資本市場における社債発行を含む長期債務による資金調達であります。さらに、当社グループは、コンティンジェンシーの調達源として、2021年3月31日時点および2022年3月31日時点において、金融機関から極度額1,500億円および750百万ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しております。
当社グループは、キャッシュ・フロー予測に基づき保有外貨を監視し、調整しております。当社グループの事業の大部分は日本国外で行っており、多額の現金を日本国外に保有しております。日本国内で必要なキャッシュ・フローを創出するために外貨を使用することは国内規制による影響を受ける可能性があり、また比較的影響は小さいものの、日本へ現金を移転することから生じる所得税による影響も受けます。
当社グループは、COVID-19の大流行による資金調達に係る問題または流動性不足、金融市場およびその他の市場への影響は現在見込んではおりませんが、資金調達の状況および市場の動向について引き続き注視しております。必要に応じた市場およびその他の供給源からの追加の資金調達力に加えて、当社グループの資本支出計画を必要かつ適切な範囲で見直すことによって、資金調達および流動性の需要を管理する場合があります。
2022年3月31日現在において、当社グループは、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有していた制限付き預り金2,075億円を含む、8,497億円の現金及び現金同等物と、7,000億円の未使用のバンク・コミットメントライン契約を保有しており、現在の事業活動に必要となる資金は十分に確保できていると考えております。また、当社グループは、事業活動を支えるため、持続的に高い流動性を保ち、資本市場へのアクセス拡大を追求していきます。
連結キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(単位:億円)
前年度 | 当年度 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 10,109 | 11,231 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | 3,935 | △1,981 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △10,884 | △10,703 |
現金及び現金同等物の増減額 | 3,161 | △1,453 |
現金及び現金同等物の期首残高 | 6,376 | 9,662 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | 125 | 288 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 9,662 | 8,497 |
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年度の1兆109億円から1,122億円増加の1兆1,231億円となりました。これは非資金項目およびその他の調整項目を調整した後の当期利益が増加したことによるものです。調整項目には、事業譲渡及び子会社株式売却益、前年度におけるパイプラインSHP647および関連する権利の売却に関する義務の解除による収益の調整が含まれます。また、主に当年度に売上債権売却プログラムを開始したことにより、売上債権及びその他の債権の減少がありました。これらの増加影響は、主にワクチン運営のための制限付き預り金の減少に伴うその他の金融負債の減少、および支払による引当金の減少と一部相殺されております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年度の3,935億円から5,917億円減少の△1,981億円となりました。これは主に、前年度における非中核資産売却に伴う事業売却による収入(処分した現金及び現金同等物控除後)の減少5,022億円、投資の売却、償還による収入の減少577億円、事業取得による支出(取得した現金及び現金同等物控除後)の増加497億円、および有形固定資産の売却による収入の減少446億円によるものです。これらは、無形資産の取得による支出の減少625億円と一部相殺されております。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度の△1兆884億円から181億円増加の△1兆703億円となりました。これは主に、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーにおける増加影響1,490億円および社債に係る金利先渡契約の決済による支出の減少348億円によるものです。これらは、社債の償還及び長期借入金の返済による支出(借換に伴う社債の発行による収入と相殺後)の増加886億円、および主に当年度に実施した自己株式取得に伴う、自己株式の取得による支出の増加754億円と一部相殺されております。
有利子負債および金融債務
2021年3月31日期および2022年3月31日期において社債および借入金はそれぞれ4兆6,354億円、4兆3,454億円であります。これらの有利子負債は、当社が過年度に発行した無担保社債、普通社債、およびシンジケートローン、また、Shire社買収に必要な資金の一部を調達するための借入金、およびShire社買収により引き受けた負債、借り換えた負債を含み、連結財政状態計算書に計上されております。当社の借入金は主に買収関連で発生したものであり、季節性によるものではありません。
当社グループは、2017年7月に発行した米ドル建無担保普通社債の残高200百万米ドルについて、2022年1月18日の償還期日に先立ち、2021年5月17日に繰上償還を実行しました。2021年6月11日には、2018年12月3日に契約締結した株式会社国際協力銀行ローン(以下、「JBICローン」)3,700百万米ドルのうち2,000百万米ドルについて、2025年12月11日の返済期日に先立ち繰上返済を実行しました。2021年8月10日には、2018年11月に発行したユーロ建無担保普通社債1,500百万ユーロについて、2022年11月21日の償還期日に先立ち繰上償還を実行しました。2021年10月14日には、無担保普通社債(満期10年、償還期日2031年10月14日)元本総額2,500億円を発行しました。2021年12月13日には、JBICローンの残高1,700百万米ドルについて、2025年12月11日の返済期日に先立ち繰上返済を実行しました。さらに、2022年3月24日には、2016年9月に発行した米ドル建無担保普通社債1,500百万米ドルについて、2023年9月23日の償還期日に先立ち繰上償還を実行しました。
なお、当社グループは、2015年6月に発行した米ドル建無担保普通社債219百万米ドルについて、2022年6月23日の償還期日に先立ち、2022年4月23日に繰上償還を実行しております。
2022年3月31日時点において、当社グループは一定の財務制限条項の含まれる長期融資契約を保有しております。当該財務制限条項の重要な条項は、毎年3月末および9月末において連結財政状態計算書における純負債の過去12か月間の調整後EBITDA(調整後EBITDAは契約書にて定義されたもの)に対する比率が一定水準を上回らないことを求める財務制限条項が含まれています。2022年3月31日時点においては、2021年3月31日時点と同様に、当社グループは全ての制限条項を遵守しております。また、2019年に設定された7,000億円の未使用のコミットメントラインからの借入を制限する事象はありません。当コミットメントラインは、2021年9月末に当初期限を1年延長し、現在の期限は2026年9月であります。
当社グループは、短期の流動性の管理のため、日本の無担保コマーシャル・ペーパープログラムを保有しております。2021年3月31日時点および2022年3月31日時点においてはコマーシャル・ペーパープログラムによる資金調達額はありませんでした。当社グループは、さらに2021年3月31日時点および2022年3月31日時点において、極度額1,500億円および750百万ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しておりますが、借入はしておりません。
借入金の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照ください。
信用格付け
当社グループの信用格付けは、当社グループの財務の健全性、業績、債務の返済能力等に関する各格付機関の意見が反映されております。本報告書時点における当社グループの信用格付けは以下のとおりです。
格付会社 | カテゴリー | 信用格付 | アウト ルック 2022年3月31日 | 評価構造 |
S&Pグローバル・レーティング | 発行体格付け/外貨長期および国内通貨長期 | BBB+ | 安定的(注1) | 11段階の格付けのうち4番目であり、同じカテゴリーの中で最上位(例:BBB+,BBB,BBB-は同じカテゴリーに属する) |
発行体格付け(短期) | A-2 | 6段階の格付けのうちの2番目 | ||
ムーディーズ | 長期発行体格付および長期優先無担保格付け | Baa2 | ポジティブ(注2) | 9段階の格付けのうち上から4番目であり、同じカテゴリーの中で2番目(例:Baa1,Baa2,Baa3は同じカテゴリーに属する) |
(注1) S&Pグローバルレーティングは、2021年6月1日に長期発行体の信用格付けをネガティブから安定的に改訂し、2022年3月31日現在まで維持しております。(2021年3月31日時点:ネガティブ)
(注2) ムーディーズは、2021年9月27日に長期発行体の信用格付けを安定的からポジティブに改訂し、2022年3月31日現在まで維持しております。(2021年3月31日時点:安定的)
この格付けは、社債の購入、売却、保有を推奨するものではありません。この格付けは指定された格付機関によって適宜改訂あるいは撤回される可能性があります。それぞれの財務の健全性レーティングは、独立評価されたものであります。
契約上の負債
2022年3月31日現在における契約上の負債は以下のとおりです。
(単位:億円)
総契約額(注1) | 1年以内 | 1年超3年以内 | 3年超5年以内 | 5年超 | |
社債及び借入金の返済(注2) (注3) | |||||
社債(注4) | 46,481 | 2,212 | 9,754 | 7,995 | 26,520 |
借入金 | 7,332 | 782 | 1,582 | 1,966 | 3,003 |
有形固定資産の取得に関する義務 | 142 | 142 | - | - | - |
リース負債の返済 | 6,458 | 539 | 1,011 | 844 | 4,063 |
確定給付制度への拠出(注5) | 110 | 110 | - | - | - |
合計(注6) (注7) | 60,523 | 3,785 | 12,347 | 10,805 | 33,586 |
(注1) 2022年3月31日現在における日本円以外の通貨建債務は、期末為替レートで日本円に換算しており、為替レートの変動により金額が異なる可能性があります。
(注2) 当社グループが関連する金融商品の財務制限条項違反を行った場合、返済義務が早まる可能性があります
(注3) 利息支払義務を含みます。
(注4) 社債の契約額のうち、「1年超3年以内」の金額には、劣後特約付きハイブリッド社債(以下、「ハイブリッド債」)元本全額を2024年10月6日以降の各利払日において早期償還する可能性があるため、当ハイブリッド債の元本5,000億円が含まれています。ハイブリッド債の元本および利息の詳細については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照ください。
(注5) 2023年3月31日以降の年金および退職後給付制度への拠出額については、拠出の時期が不確実であり、利率、運用収益、法律およびその他の変動要因に依存するため、確定することはできません。
(注6) 確定給付債務、訴訟引当金および長期未払法人税等、時期を見積もることができない契約上の負債、また、金額が公正価値の変動により変化するデリバティブ負債および条件付対価契約に関する金融負債は含まれておりません。なお、2022年3月31日現在のデリバティブ負債および条件付対価契約に関する金融負債の帳簿価額は、それぞれ365億円および58億円でした。また、特定の将来の事象の発生に左右されるマイルストン支払いも含んでおりません。
(注7) 通常の事業活動における購買に関する発注は含んでおりません。
オフバランス取引
マイルストン支払
新製品の開発に係る第三者との提携契約に基づき、当社グループは、パイプライン品目の開発、新製品の上市および上市後の販売等にかかる一定のマイルストン達成に応じた支払義務が生じる場合があります。2022年3月31日現在における潜在的なマイルストン支払の契約金額は1兆5,680億円であります。これらは、潜在的なコマーシャルマイルストン支払を除いた金額であります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 13 共同研究開発契約およびライセンス契約 および 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。