有価証券報告書-第148期(2024/04/01-2025/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当年度の業績および財政状態は以下のとおりとなりました。
なお、当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績の記載を
省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」をご参照下さい。
③ 生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績
当年度における生産実績は次のとおりであります。
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 生産実績金額は、販売価格によっております。
(b) 受注状況
当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しており、一部の受注生産における受注高および受注残高の金額に重要性はありません。
(c) 販売実績
当年度における販売実績は次のとおりであります。
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。
3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(注)当年度におけるカーディナルヘルス Inc.およびそのグループ会社の販売実績および当該総販売実績に対する割合は、当該割合が10%未満のため記載を省略しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
(a) 当年度の経営成績の分析
(ⅰ) 当社グループの経営成績に影響を与える事項
事業の概況
当社は、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業です。当社は、幅広い医薬品のポートフォリオを有し、研究、開発、製造、およびグローバルでの販売を行っています。主要ビジネスエリアは、消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ワクチン、およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の6つに分けられています。研究開発においては、消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス、およびオンコロジーの3つの重点疾患領域に取り組むとともに、血漿分画製剤にも注力しています。当社は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。当社は、患者さんやコミュニティに高品質の医薬品をできる限り早くお届けするために、希少疾患および有病率がより高い疾患のいずれにおいても、未だ有効な治療法が確立されていない疾患に対する高い医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)に集中して取り組んでいます。当社は、約80の国と地域で医薬品を販売しており、世界中に製造拠点を有するとともに、日本および米国に主要な研究拠点を有しています。販売においては、米国、日本および欧州において非常に高いプレゼンスを有しており、中国においては急成長している事業を展開しています。また、当社は事業運営をより効果的かつ効率的に行うため、データ、デジタルおよびテクノロジーの活用を促進し、イノベーションの創出の増進およびステークホルダーへの価値提供に取り組んでいます。
当社グループの事業は単一セグメントであり、資源配分、業績評価、および将来業績の予測においてマネジメントの財務情報に対する視点と整合しております。2025年3月期における売上収益および営業利益はそれぞれ4兆5,816億円および3,426億円であります。
当社グループの経営成績に影響を与える事項
当社グループの経営成績は、グローバルな業界トレンドや事業環境における以下の事項に影響を受けます。
関税措置およびその他の貿易制限措置
他の品目と同様に、医薬品も関税措置や貿易制限措置の影響を受ける可能性があります。2025年1月に発足した米国政権は、新たな関税措置として、中国、メキシコ、カナダに対する措置や、医薬品を除く特定の品目に対する世界規模の措置を発表しました。これにより、中国を含む影響を受けた国々が報復措置を講じ、または講じる可能性があります。さらに、米国政権は、1962年通商拡大法第232条に基づき、医薬品および医薬品原料の輸入が国家安全保障に与える影響を評価するため、調査を実施することを発表しました。一部の政府当局者は、この調査の結果として、医薬品に関税が課される可能性があることを示唆しています。米国か他国により実施される、または実施される可能性のある関税措置の期間および範囲は不明であり、関税措置が当社グループの事業に最終的にどの程度の影響を与えるかも不明瞭な状況です。しかしながら、現時点の想定では、米国および中国政府による関税措置の影響は限定的であると見込んでいます。当年度の業績に基づくと、当社グループの米国売上収益の約8~10%(または連結売上収益の約4~5%)は米国以外を原産国とする輸入品の関税評価額に相当し、関税措置の対象となります。また、中国で販売する製品のうち、米国を原産国とする部分の関税評価額は中国売上収益の約12~15%(または連結売上収益の約0.5~0.6%)相当と見込んでいます。当社グループでは、在庫管理やサプライチェーン管理を中心に、グローバルな供給ネットワークにおける関税措置の影響の緩和策を実施しています。2025年5月8日時点において、当社グループはグローバルに22の製造拠点を有しており、そのうち20拠点が米国向けに供給しており、7拠点が米国内に所在しています。
特許保護と後発品との競争
医薬品は特に、特許保護や規制上の独占権によって市場競争が規制されることにより、当社グループの業績に貢献する場合があります。代替治療の利用が容易でない新製品は当社グループの売上の増加に貢献します。ただし、保護されている製品についても、効能、副作用や価格面で他社との競争が存在します。一方で、特許保護もしくは規制上の独占権の喪失や満了により、後発品が市場に参入するため、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼすことがあります。当社グループの主要製品の一部は、特許やその他の知的財産権保護の満了により、厳しい競争に晒されており、あるいは晒されると予想しています。以下は、過去2年間において、後発品またはバイオシミラーが発売された当社の一部の主要製品の業績を示しています。(「CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベース」の増減は、IFRSに準拠した指標ではありません。詳細については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。)
(単位:億円、%以外)
2022年にベルケイドに含まれる有効成分であるボルテゾミブの特許権満了に伴い後発品が参入し、その影響でベルケイドの売上収益は、2024年3月期には55億円、2025年3月期には52億円までに減少しました。2023年8月には米国においてVYVANSEの特許権が満了しました。また、2023年2月にアジルバの後発品が日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)により承認されたことを受け(競合品の薬価収載は2023年6月に承認)、関連する国・地域において、両製品の売上収益が減少しました。VYVANSEの売上収益は2024年3月期の4,232億円から2025年3月期には3,506億円に減少し、アジルバの売上収益は2024年3月期の336億円から2025年3月期には118億円に減少しました。2026年3月期においても、両製品ともに減少傾向が続くと見込んでいます。
後発品を販売する他社が特許権の有効性に対する申し立てに成功する場合、もしくは想定される特許侵害訴訟に係る費用以上のベネフィットを前提として参入することを決定する場合があります。また、当社グループの特許権の有効性、あるいは製品保護に対する申し立てが提起された場合には、関連する無形資産の減損損失を認識する可能性があります。
新製品の開発・商業化および既存製品の拡大
当社は特に売上収益を伸長し、独占権喪失の影響を相殺することを目指しており、当社の事業において、新規のバイオ医薬品の開発・商業化のほか、既存製品の適応拡大および(または)地理的市場拡大による既存製品の拡大は重要な取組みです。これらの目標達成までのプロセスは長期にわたり多額の費用を伴い、多額の研究開発費が発生します。これらは当社の連結損益計算書上営業費用として計上しています。当社の研究開発の取組みに関する詳細については、本報告書の「6.研究開発活動」、製品に関連する研究開発費(償却および減損を含む)および無形資産の会計方針については、本報告書の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針」をご参照ください。
当社は、当社のポートフォリオのうち、一部の製品を当社の成長製品・新製品として特定しております。特にライフサイクルの初期段階にある製品の多くは連結売上収益への貢献は限定的でありますが、当社の経営者はこれらの製品を将来の主要な成長ドライバーとしてモニターしており、これらの製品に関する情報は、当社が今後成長を見込んでいる領域を投資家に理解していただくにあたり有用であると考えています。当グループを構成する製品は随時変更され、臨床試験の結果や規制当局の認可取得等により、製品を追加または除外する場合があります。
2025年3月期において、当社は次の製品を成長製品・新製品として特定しました:ENTYVIO、EOHILIA、タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ、免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む)、アルブミン製剤(HUMAN ALBUMIN・FLEXBUMINを含む)、FRUZAQLA、アルンブリグおよびQDENGA
2025年3月期において、これらの成長製品・新製品は、当社の連結売上収益の48%を占める2兆2,019億円でありました。2025年3月期の内訳としては、ENTYVIOは9,141億円(当社の連結売上収益の20%)、当社の3つの免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトル)は7,578億円(当社の連結売上収益の17%)、アルブミン製剤は1,414億円(当社の連結売上収益の3%)、タクザイロは2,232億円(当社の連結売上収益の5%)となりました。また、2024年3月期にアロフィセルおよびEXKIVITYの治験が失敗し、これらの製品の商業的予測が変更されたため、2025年3月期の成長製品・新製品(注)から除外しております。一方、新製品FRUZAQLAおよびQDENGAは今後成長し、長期的に収益成長に大きく貢献すると見込まれるため、これらの製品を追加しております。変更後の成長製品・新製品は、2025年3月期における連結売上収益の48%を占める2兆2,019億円となります。
2026年3月期において、rusfertideのFDAへの承認申請、oveporextonとzasocitinibの臨床第3相試験データの読み出しを予定しています。成功した場合には、2026年または2027年に、これらの製品が成長製品・新製品として上市する可能性があります。
(注)本年次報告書日現在において、2026年3月期の成長製品・新製品は、以下のとおりです。
ENTYVIO、EOHILIA、タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ、免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む)、アルブミン製剤(HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含む)、FRUZAQLA、アルンブリグおよびQDENGA
買収
当社グループは、研究開発能力を拡大し(新たな手法に展開することを含みます。)、新しい製品(開発パイプラインや上市済み製品)やその他の戦略的領域を獲得するために、新たな事業または資産を買収する可能性があります。同様に、当社グループの主な成長ドライバーに注力するため、また当社グループのポートフォリオを維持するために、事業や製品ラインを売却しております。
これらの買収は企業結合または資産の取得として会計処理されております。企業結合の場合、取得した資産および引き受けた負債は公正価値で計上されております。当社グループの業績は、通常、棚卸資産の公正価値の増加や、取得した有形固定資産および無形資産の償却費により影響を受けます。また、資産の取得の場合、取得した資産は取引価格で計上されております。企業結合または資産の取得の対価が追加的な借入金で賄われている場合、支払利息の増加も当社グループの業績に影響を与えます。
なお、2024年3月期および2025年3月期、ならびに本報告書提出日時点までにおいて、重要な事業または資産の買収はありません。
事業売却
買収に加え、当社グループは、主要な成長ドライバーに注力し、また長期借入金を速やかに返済するための追加キャッシュ・フローを創出するため、事業や製品ラインを売却しております。以下は2024年3月期から2025年3月期および本報告書提出日時点において、実施または発表された重要な事業売却になります。
当社グループは、2025年3月期にTeva Pharmaceutical Industries Ltd.(「テバ社」)と日本国内において展開するジェネリック医薬品および長期収載品を中心とした合弁事業について、これを解消する方向でテバ社と協議することを決定しました。これに伴い、武田テバファーマ株式会社の全株式である関連会社株式を売却目的で保有する資産に分類し、2025年3月期において189億円の減損損失を金融費用に計上しました。2025年3月に当該譲渡が完了したことによる売却収入は508億円の受取配当金を含む565億円であり、2025年3月期に連結キャッシュ・フロー計算書に計上された関連会社株式の売却による収入577億円の大部分を構成しています。また、過去の取引で発生した未実現利益が譲渡完了時に実現したことにより17億円と38億円をそれぞれ売上収益とその他の営業収益に計上しました。
原材料の調達による影響
重要な原材料を社内外から調達することができない場合に、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、ヒト血漿は当社グループの血漿分画製剤において重要な原材料であります。血漿をより多く収集するため、調達および外部との契約を強化し、原料血漿の収集や血漿分画に関連する施設への委託、および規制当局から承認を受けることに成功するための取り組みを行っております。
外国為替変動
2024年3月期および2025年3月期において、当社グループでは日本以外の売上がそれぞれ89.4%、90.9%を占めております。当社グループの収益および費用は、特に当社の表示通貨である日本円に対する米ドルおよびユーロの外国為替レートの変動に影響を受けます。円安は日本円以外の通貨による収益の増加要因となり当社グループの業績に好影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の増加により相殺される可能性があります。とりわけ、2024年3月期および2025年3月期において、他の通貨に対する円安により、当社の売上収益はプラスの影響を受けました。反対に、円高は日本円以外の通貨による収益減少要因となり当社グループの業績に悪影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の減少により相殺される可能性があります。前年度からの為替レートの変動が当社グループの業績に与える影響を投資家がより良く理解できるよう、当社グループは、補足的にCER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減を「CER」の表記で示しています。IFRSに準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減は「AER」の表記で示しています。CERベースの増減率に基づく対前年度の業績比較分析については、下記の「(ⅲ) 当年度における業績の概要」及び「(ⅳ) 当年度におけるCore業績の概要」をご参照ください。
また、「CERベースの増減」は、国際会計基準(IFRS)に準拠した指標ではありません。詳細については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。
なお、為替変動リスクを低減するため、当社グループは重要な一部の外貨建取引について、特定のヘッジ手段を利用しております。これには、主に個別に重要な外貨建取引に対する先物為替予約、通貨スワップおよび通貨オプションが含まれます。
季節的要因
当社グループの売上収益は、2024年3月期および2025年3月期において第4四半期に減少しています。これは、卸売業者は年末年始休暇に向けてあらゆる国・地域における在庫数を増やす傾向にあること、年間にわたって価格が上昇していること、暦年の年初の米国における保険の年間免責額の改定等によるものです。
(ⅱ) 重要な会計方針
当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成されております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産および負債の金額、決算日現在の偶発資産および偶発負債の開示、ならびに報告期間における収益および費用の金額に影響を及ぼす見積りおよび仮定の設定を行うことが求められております。見積りおよび仮定は、継続的に見直されます。経営者は、過去の経験、ならびに見積りおよび仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき当該見積りおよび仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積りおよび仮定とは異なる場合があります。
経営者の見積りおよび仮定に影響を受ける重要な会計方針は以下の通りであります。なお、見積りおよび仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。
収益認識
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針 (5) 収益」をご参照ください。
のれんおよび無形資産の減損
当社グループは、のれんおよび無形資産について、資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象または状況の変化がある場合には、減損テストを行っております。のれんおよび償却開始前の無形資産については、年次および減損の兆候を捕捉した時点で減損テストを実施しております。2025年3月31日時点において、当社グループはのれんおよび無形資産をそれぞれ5兆3,244億円および3兆6,316億円計上しており、これは総資産の62.9%を占めております。
上市後製品に係る無形資産は特許が存続する見込期間または見込まれる経済的便益に応じた他の指標に基づき、3年から20年の耐用年数を用いて定額法で償却しております。仕掛研究開発品に係る無形資産は、特定の市場における商用化が規制当局により承認されるまで償却をしておりません。商用化が承認された時点で、当該資産の見積耐用年数を確定し、償却を開始しております。
のれんおよび無形資産は、通常、連結財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には減損していると判断されます。無形資産にかかる回収可能価額は個別資産、またはその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであります。のれんの減損テストは単一の事業セグメント単位(単一の資金生成単位)で実施しており、これはのれんを内部管理目的で監視している単位を表しています。回収可能価額の見積りには以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。
·将来キャッシュ・フローの金額および時期
·競合他社の動向(競合製品の販売開始、マーケティングイニシアチブ等)
·規制当局からの承認の取得可能性
·将来の税率
·永続成長率
·割引率
将来キャッシュ・フローの金額および時期を見積るための重要な仮定には、研究開発プロジェクトの成功見込みおよび製品に係る売上予測があります。特にのれんにかかる回収可能価額の見積りにおいては、米国における特定の製品に係る売上予測が重要な仮定となります。これらの仮定に影響を与える事象としては、開発の中止、大幅な上市の遅延、規制当局の承認が得られないことによる研究開発プロジェクトの失敗、もしくは一般的には新たな競合製品の販売開始や供給不足による、一部の上市後製品にかかる売上予測の低下があげられます。これらの事象が発生した場合、プロジェクト獲得以降に実施した当初もしくは事後の研究開発投資額が回収できない、もしくは見積った将来キャッシュ・フローが回収できない可能性があります。
これらの仮定に変更が生じた場合は、当該連結会計年度において減損損失および、のれんを除き、減損損失の戻入れを認識しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11 のれん および 12 無形資産」をご参照ください。
訴訟に係る偶発事象
当社グループは、通常の営業活動において主に製造物責任訴訟および賠償責任訴訟に関与しております。詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。
偶発負債は、その特性から不確実なものであり複雑な判断や可能性に基づいております。訴訟およびその他の偶発事象に係る引当金を算定する際には、該当する訴訟の根拠や管轄、その他の類似した現在および過去の訴訟案件の顛末および発生数、製品の性質、訴訟に関する科学的な事項の評価、和解の可能性ならびに現時点における和解にむけた進行状況等を勘案しております。さらに、未だ提訴されていない製造物責任訴訟については、主に過去の訴訟の経験や製品の使用に係るデータに基づき、費用を合理的に見積ることができる範囲で引当金を計上しております。当社グループが関与する重要な訴訟のうち、それらの最終的な結果により財務上の影響が見込まれる場合であっても、その額について信頼性のある見積りが不可能な訴訟等については、引当金の計上は行っておりません。また、保険の補償範囲期間内である場合は保険による補償についても考慮しております。補償範囲の検討の際に、当社グループは、保険契約の制限や除外、保険会社による補償の拒否の可能性、保険業者の財政状態、ならびに回収可能性および回収期間を考慮しております。引当金および関連する保険補償額の見積りは、連結財政状態計算書上において負債および資産として総額で計上しております。2025年3月31日現在において、係争中の訴訟案件およびその他の案件について125億円の引当金を計上しております。
法人所得税
当社グループは、税法および税規制の解釈指針に基づき税務申告を行っており、これらの判断および解釈に基づいた見積額を計上しております。通常の営業活動において、当社グループの税務申告は様々な税務当局による税務調査の対象であり、これらの調査の結果、追加税額、利息、または罰金の支払いが課される場合があります。法律および様々な管轄地域の租税裁判所の判決に伴う法改正により、不確実な税務ポジションに関する負債の見積りの多くは固有の不確実性を伴います。税務当局が当社グループの税務ポジションを認める可能性が高くないと結論を下した場合に、当社グループは、税務上の不確実性を解消するために必要となる費用の最善の見積り額を認識します。また、未認識の税務上の便益は事実および状況の変化に伴い調整されます。これらの税務ポジションは、例えば、現行の税法の大幅改正、税務当局による税制または解釈指針の発行、税務調査の際に入手した新たな情報、または税務調査の解決により調整が行われる可能性があります。当社グループは、不確実な税務ポジションに係る当社グループの見積りは、現時点において判明している事実および状況に基づき適切かつ十分であると判断しております。
また、各報告期間の末日において繰延税金資産の回収可能性を評価しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予想される将来加算一時差異の解消スケジュール、予想される将来課税所得およびタックスプランニングを考慮しております。収益力に基づく将来課税所得は、主に当社グループの事業計画を基礎として見積られており、当該事業計画に含まれる特定の製品に係る売上収益の予測が変動した場合、認識される繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。過去の課税所得の水準および繰延税金資産が認識できる期間における将来の課税所得の見積りに基づき、実現する可能性が高いと予想される税務上の便益の額を算定しております。2025年3月31日現在における繰延税金資産を認識していない未使用の繰越欠損金、将来減算一時差異、および未使用の繰越税額控除はそれぞれ1兆1,837億円、4,274億円、および270億円であります。将来における見積りおよび仮定の変更は法人所得税費用に重要な影響を与える可能性があります。
事業構造再編費用
当社グループでは、費用削減に関連した取り組みに関連して事業構造再編費用が発生します。退職金が事業構造再編費用の主な内訳であり、事業構造再編に係る引当金は、事業構造再編に係る詳細な公式計画を策定し、かつ計画の実施や影響を受ける関係者への主要な特徴の公表を通じて、影響を受ける関係者に当該事業構造再編が実行されるであろうという妥当な期待を惹起した時点で認識しております。事業構造再編に係る引当金の認識には、支払時期や、事業再編により影響を受ける従業員数等の見積りが必要となります。最終的なコストは当初の見積りから異なる可能性があります。
2024年5月9日に当社は、事業の成長と利益率の改善を促進するための複数年にわたる全社的な効率化プログラムを実施することについて、公表しました。本プログラムには、人員の最適化策を伴う組織構造の簡素化、組織全体での生産性と効率性の向上を図るためのDD&Tへの投資、サプライチェーンおよびベンダー管理プロセスにおけるコスト削減と効率化が含まれております。主に、2024 年5月に公表した当該取り組みにより、2025年3月期に1,281億円の事業構造再編費用を計上し、2026年3月期には480億円を計上することを見込んでいます。それ以降の年度においても徐々に減少する見込みです。
2025年3月31日現在、140億円の事業構造再編に係る引当金を計上しております。事業構造再編に係る引当金及び対前期比の変動の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 23 引当金」をご参照ください。
(ⅲ) 当年度における業績の概要
前年度および当年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。
本項において、前年度に対する、国際会計基準(IFRS)に準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減額および増減率は「AER」の表記で示し、国際会計基準(IFRS)に準拠しない恒常為替レート(Constant Exchange Rate)ベースの増減率は「CER」の表記で示しています。「CERベースの増減率」の定義については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。
[売上収益]
売上収益は、4兆5,816億円(+3,178億円および+7.5% AER、+2.9% CER)となりました。これは主に、為替相場が円安に推移したこと、消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)およびワクチンにおいて事業が好調に推移したことによるものです。当社の6つの主要なビジネスエリアのうち、ニューロサイエンス(神経精神疾患)については減収となり、これらのビジネスエリアの増収を一部相殺しました。ニューロサイエンスは、円安による増収影響があったものの、米国における注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤VYVANSEの独占販売期間満了に伴い、2023年8月以降、後発品が参入したことによる影響を引き続き大きく受けて減収となりました。加えて、当社の6つの主要なビジネスエリア以外における減収は、主に日本において高血圧症治療剤アジルバの減収によるものです。アジルバの売上は、118億円(△218億円および△64.9% AER、△64.9% CER)となり、日本において2023年6月以降の後発品の参入による影響を受け減収となりました。
地域別売上収益
各地域の売上収益は以下のとおりです。
(単位:億円、%以外)
(注1) その他の地域は中東、オセアニアおよびアフリカを含みます。
当社グループの売上収益の大部分は、主要な医療用医薬品により占められております。当年度の各ビジネスエリアにおける主要製品の売上は以下のとおりです。
(注1)国内製品名:エンタイビオ
(注2)配合剤、パック製剤を含む。
(注3)一般名:pantoprazole
(注4)国内製品名:ビバンセ
(注5)国内製品名:フリュザクラ
各ビジネスエリアにおける売上収益の前年度からの増減は、主に以下の製品によるものです。
- 消化器系疾患
消化器系疾患の売上収益は、1兆3,570億円(+1,408億円および+11.6% AER、+6.8% CER)となりました。
当社のトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)の売上は、9,141億円(+1,132億円および+14.1% AER、+8.5% CER)となりました。米国における売上は、6,192億円(+731億円および+13.4% AER)となりました。この増収は、炎症性腸疾患に対する生物学的製剤の新規投与の堅調な需要の維持および皮下注射製剤の上市以降、継続的に投与患者が増加したこと、および円安による増収影響によるものです。欧州およびカナダにおける売上は、2,274億円(+316億円および+16.1% AER)となりました。この増収は、皮下注射製剤の継続的な使用拡大に伴い患者が増加したこと、および円安による増収影響によるものです。
短腸症候群治療剤GATTEX/レベスティブの売上は、1,463億円(+270億円および+22.7% AER、+17.2% CER)となりました。この増収は、主に米国における需要増加、処方拡大(小児適応拡大)、および円安による増収影響によるものです。
- 希少疾患
希少疾患の売上収益は、7,528億円(+644億円および+9.4% AER、+4.6% CER)となりました。
遺伝性血管性浮腫治療剤タクザイロの売上は、2,232億円(+445億円および+24.9% AER、+18.9% CER)となりました。この増収は、主に米国、欧州およびカナダにおける高い治療継続率および予防市場の成長により需要が増加していること、および円安による増収影響によるものです。
移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療剤リブテンシティの売上は、330億円(+139億円および+72.9% AER、+64.5% CER)となりました。この増収は、主に米国において市場浸透が継続して好調に進んだことに加え、欧州および成長新興国において引き続き販売エリアが拡大したことによるものです。
酵素補充療法のハンター症候群治療剤エラプレースの売上は、972億円(+57億円および+6.2% AER、+2.1% CER)となりました。この増収は、主に円安による増収影響、および成長新興国における堅調な需要によるものです。
酵素補充療法のファブリー病治療剤リプレガルの売上は、779億円(+43億円および+5.8% AER、+2.1% CER)となりました。この増収は、主に円安による増収影響、および成長新興国での需要の増加によるものです。
血友病A治療剤アドベイトの売上は1,118億円(△112億円および△9.1% AER、△13.4% CER)となりました。この減収は、主に米国における競争激化、および中国における需要減少によるものです。この減収は、円安による増収影響により一部相殺されました。
- 血漿分画製剤
血漿分画製剤の売上収益は、1兆327億円(+1,290億円および+14.3% AER、+8.6% CER)となりました。
免疫グロブリン製剤の売上合計は、7,578億円(+1,132億円および+17.6% AER、+11.5% CER)となりました。3つのグローバル製品の売上は、引き続きグローバルに需要が堅調に推移し供給量が増加したこと、および円安による増収影響により、2桁台の売上増加率となりました。これら3製品には、原発性免疫不全症(PID)と多巣性運動ニューロパチー(MMN)の治療に用いられる静注製剤GAMMAGARD LIQUID/KIOVIGのほか、静注製剤に比べ投薬の利便性が高く、速いペースで成長している皮下注射製剤のキュービトルとハイキュービアが含まれます。
主に血液量減少症と低アルブミン血症の治療に用いられるHUMAN ALBUMINとFLEXBUMINを含むアルブミン製剤の売上合計は、1,414億円(+74億円および+5.5% AER、+1.1% CER)となりました。この増収は、主に円安による増収影響によるものです。
- オンコロジー
オンコロジーの売上収益は、5,604億円(+981億円および+21.2% AER、+17.2% CER)となりました。
大腸がん治療剤FRUZAQLA(国内製品名:フリュザクラ)の売上は、480億円(+379億円および+375.7% AER、+351.3% CER)となりました。この増収は、本剤が転移性大腸がんにおける新たな治療選択肢として、2023年11月に米国で最初に上市して以降、その他の国々でも上市されたことによるものです。
悪性リンパ腫治療剤アドセトリスの売上は、1,290億円(+196億円および+17.9% AER、+14.8% CER)となりました。この増収は、成長新興国および欧州において、主にホジキンリンパ腫の一次治療の使用が増加し堅調な需要となったこと、および円安による増収影響によるものです。
白血病治療剤アイクルシグの売上は、707億円(+160億円および+29.3% AER、+23.0% CER)となりました。この増収は、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)と新たに診断された患者さんの化学療法併用下での治療剤としての追加効能が2024年3月に米国において承認されたこと、および円安による増収影響によるものです。
子宮内膜症・子宮筋腫・閉経前乳がん・前立腺がん等の治療に用いられるリュープリン/ENANTONEの売上は、1,193億円(+119億円および+11.1% AER、+8.2% CER)となりました。この増収は、主に米国および成長新興国における売上が増加したこと、および円安による増収影響によるものです。
- ワクチン
ワクチンの売上収益は、554億円(+51億円および+10.0% AER、+7.5% CER)となりました。
デング熱ワクチンQDENGAの売上は、356億円(+260億円および+272.3% AER、+259.0% CER)となりました。この増収は、デング熱流行国においてQDENGAのアクセスが拡大したことによるものであり、非流行国も含め、約30ヶ国で利用可能となっています。
その他のワクチンの売上合計は、減収となりました。この減収は、主に新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンであるスパイクバックスの日本における流通契約が2024年3月に終了したことによるものです。
- ニューロサイエンス
ニューロサイエンスの売上収益は、5,658億円(△612億円および△9.8% AER、△14.1% CER)となりました。
ADHD治療剤VYVANSE/ELVANSE(国内製品名:ビバンセ)の売上は、3,506億円(△726億円および△17.2% AER、△21.6% CER)となりました。この減収は、米国において2023年8月から複数の後発品が参入したことによるものです。この減収影響は、円安による増収影響により一部相殺されました。
ADHD治療剤ADDERALL XRの売上は、284億円(△133億円および△31.9% AER、△35.3% CER)となりました。この減収は、主に米国における後発品である競合他社の即放性製剤が増加したことによるものであり、本剤に対してはマイナスの影響となりました。
大うつ病(MDD)治療剤トリンテリックスの売上は、1,257億円(+209億円および+20.0% AER、+14.2% CER)となりました。この増収は、主に米国における価格に関する取引条件の改善、および円安による増収影響によるものです。
[売上原価]
売上原価は、1兆5,802億円(+1,535億円および+10.8% AER、+6.5% CER)となりました。この増加は主に、製品構成の変動を含む主要なビジネスエリアの好調な売上の増加および円安による為替影響によるものです。
[販売費及び一般管理費]
販売費及び一般管理費は、1兆1,048億円(+509億円および+4.8% AER、+0.6% CER)となりました。この増加は主に、円安による為替影響によるものです。また、効率化の取り組みにより、データ、デジタルおよびテクノロジーへの追加投資ならびにインフレの影響による費用の増加は大部分が相殺されております。
[研究開発費]
研究開発費は、7,302億円(+3億円および+0.0% AER、△4.5% CER)となりました。効率化の取り組み、およびmodakafusp alfa (TAK-573)や非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYなどの開発プログラムが前年度に終了したことに伴う費用の減少があったものの、円安による為替影響に伴う費用が増加したことにより、前年度と比べ微増となりました。
[製品に係る無形資産償却費及び減損損失]
製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、6,432億円(△89億円および△1.4% AER、△6.0% CER)となりました。この減少は、円安による為替影響により無形資産償却費は増加(+267億円)したものの、仕掛研究開発品および上市後製品に係る減損損失が減少(△355億円)したことによるものです。減損損失の減少は、前年度の計上額が当年度よりも大きかったことによるものです。前年度の減損損失には、主にクローン病に伴う複雑痔瘻治療剤アロフィセルに係る減損損失740億円、非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYの減損損失285億円、およびオンコロジーの仕掛研究開発品の開発中止の決定に伴い計上した減損損失が含まれておりますが、好酸球性食道炎治療剤EOHILIAの減損損失の戻し入れ357億円を計上したことにより一部相殺されております。当年度の計上額には、Maverick Therapeutics Inc.の買収により獲得したTAK-186およびTAK-280の開発中止の決定に伴い計上した減損損失278億円、およびソチクレスタット(TAK-935)の臨床第3相試験において主要評価項目を達成できなかったことにより計上した減損損失215億円が含まれます。
[その他の営業収益]
その他の営業収益は、262億円(+68億円および+35.3% AER、+30.8% CER)となりました。この増加は主に、TACHOSIL(フィブリノゲン配合組織接着・閉鎖パッチ剤)の製造施設を含む事業売却が完了したことにより当年度に計上した売却益61億円によるものです。
[その他の営業費用]
その他の営業費用は、2,067億円(+2億円および+0.1% AER、△3.6% CER)となりました。当年度において、主に全社的な効率化プログラムにより事業構造再編費用が増加(+468億円)したものの、前年度にAbbVie, Inc.(「AbbVie社」)との供給契約に関する訴訟引当金繰入額およびXIIDRA、EOHILIAに係る条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の公正価値変動による評価損を計上したこと、および当年度に承認前在庫に係る評価損の戻し入れを計上したことにより相殺され、前年度と比べ微増となりました。
[営業利益]
営業利益は、上記の要因を反映し、3,426億円(+1,285億円および+60.0% AER、+51.2% CER)となりました。
[金融損益]
金融収益と金融費用をあわせた金融損益は1,635億円の損失(△42億円および△2.5% AER、△5.7% CER)となりました。この減少は主に、為替差損益および為替取引に係るデリバティブ評価損益をあわせた損失が減少したことによるものですが、武田テバファーマ株式会社の株式の売却に係る減損損失189億円を当年度に計上したことにより大部分が相殺されております。
[持分法による投資損益]
当年度の持分法による投資損益は、40億円の損失(△105億円)となりました。前年度の持分法による投資損益は、65億円の利益でした。
[法人所得税費用]
法人所得税費用は、669億円(+1,583億円、前年度は914億円の便益)となりました。この増加は主に、前年度において、2014年にShire社がAbbVie社から受領した買収違約金の取り扱いに係る税務評価について、アイルランド歳入庁と和解したことに伴い和解金を超える部分の未払法人所得税を振り戻したことによる税金費用の減額635億円を認識したこと、当年度における繰延税金資産の回収可能性の評価の見直しによる税金費用の増加、および税引前当期利益の増加によるものです。
[当期利益]
当期利益は、上記の要因を反映し、1,081億円(△361億円および△25.0% AER、△33.1% CER)、当期利益(親会社の所有者帰属分)は、1,079億円(△361億円および△25.1% AER、△33.2% CER)となりました。
(ⅳ) 当年度におけるCore業績の概要
補足的分析:Core財務指標に基づく業績(IFRSに準拠しない指標)
IFRSに準拠して作成された業績に加え、当社グループは、補足的に、Core財務指標に基づく業績も表示しております。投資家におかれましては、 Core財務指標の定義、有用性の限界、最も良く対応するIFRSに準拠した財務指標への調整を含む、より詳細な情報については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。当社グループは、また、Core財務指標のCERベースの増減率についても表示しております。詳細については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。
Core業績
[Core売上収益]
Core売上収益は、4兆5,798億円(+3,161億円および+7.4% AER、+2.8% CER)となりました。この増加は主に、為替相場が円安に推移したこと、および売上収益の合計が2兆2,019億円(+3,759億円および+20.6% AER、+14.7% CER)となったタケダの成長製品・新製品(注)が当社の事業を好調に牽引したことによるものです。これらの増加は、米国におけるVYVANSEおよび日本におけるアジルバの独占販売期間満了後の後発品の参入による売上の減少により一部相殺されました。
(注)当年度のタケダの成長製品・新製品
消化器系疾患:ENTYVIO、EOHILIA希少疾患:タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ血漿分画製剤(免疫疾患):GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤、HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含むアルブミン製剤オンコロジー:アルンブリグ、FRUZAQLAワクチン:QDENGA
[Core営業利益]
Core営業利益は、1兆1,626億円(+1,078億円および+10.2% AER、+4.9% CER)となりました。Core営業利益の内訳は以下の通りです。
報告期間における上記項目の増減は以下の通りです。
[Core売上原価]
Core売上原価は、1兆5,818億円(+1,555億円および+10.9% AER、+6.6% CER)となりました。この増加は主に、製品構成の変動を伴う主要なビジネスエリアの好調な売上の増加および円安による為替影響によるものです。
[Core販売費及び一般管理費]
Core販売費及び一般管理費は、1兆1,050億円(+521億円および+4.9% AER、+0.7% CER)となりました。この増加は主に、円安による為替影響によるものです。また、効率化の取り組みにより、データ、デジタルおよびテクノロジーへの追加投資ならびにインフレの影響による費用の増加は大部分が相殺されております。
[Core研究開発費]
Core研究開発費は、7,304億円(+7億円および+0.1% AER、△4.4% CER)となりました。効率化の取り組み、およびmodakafusp alfa (TAK-573)や非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYなどの開発プログラムが前年度に終了したことに伴う費用の減少があったものの、円安による為替影響に伴う費用が増加したことにより、前年度と比べ微増となりました。
[Core当期利益]
Core当期利益は、7,758億円(+189億円および+2.5% AER、△3.4% CER)、Core当期利益(親会社の所有者帰属分)は、7,756億円(+188億円および+2.5% AER、△3.4% CER)となりました。Core当期利益は、Core営業利益に基づき、以下の通り算出されます。
報告期間における上記項目の増減は以下の通りです。
[Core金融損益]
Core金融収益とCore金融費用をあわせた金融損益は、1,407億円の損失(△13億円および△0.9% AER、△4.5% CER)となりました。
[Core持分法による投資損益]
Core持分法による投資損益は、11億円の利益(△48億円および△81.2% AER、△82.2% CER)となりました。
[Core税引前当期利益]
Core税引前当期利益は、1兆231億円(+1,043億円および+11.3% AER、+5.8% CER)となりました。
[Core法人所得税費用]
Core法人所得税費用は、2,473億円(+854億円および+52.7% AER、+48.7% CER)となりました。この増加は主に、Core税引前当期利益の増加、当年度における繰延税金資産の回収可能性の評価の見直しによるCore税金費用の増加、および前年度において税務上の不確実事項が有利に解決されたことによる税金費用の減少があったことによるものです。
[Core EPS]
当年度のCore EPSは、491円(+7円および+1.5% AER、△4.3% CER)となりました。
(b)当年度の財政状態の分析
[資産]
当年度末における資産合計は、14兆2,483億円(△8,604億円)となりました。この減少は、特定の無形資産の取得により一部相殺されたものの、償却、減損損失および為替換算の影響により、無形資産が減少(△6,431億円)したこと、主に為替換算の影響により、のれんが減少(△856億円)したこと、主に武田テバファーマ株式会社の株式の売却により、持分法で会計処理されている投資が減少(△790億円)したことによるものです。
[負債]
当年度末における負債合計は、7兆3,124億円(△5,224億円)となりました。社債及び借入金合計は、米ドル建無担保普通社債の発行により一部相殺されたものの、主にシンジケートローンの事前返済および無担保普通社債の償還により減少し、4兆5,153億円(注)(△3,285億円)となりました。また主に米国における無形資産の償却により、繰延税金負債が減少(△786億円)しております。加えて、主にProtagonist Therapeutics, Inc.への支払いを含む、契約一時金に係る前年度の債務が大きかったことにより、当年度の仕入債務及びその他の債務は減少(△720億円)しております。
(注)当年度末における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ4兆1,906億円および3,246億円です。なお、社債及び借入金の内訳は以下の通りです。
社債:
借入金:
当社グループは、2024年4月25日に、バイラテラルローン500億円を満期返済するとともに、同日に、2031年4月25日満期のバイラテラルローン500億円の借入を実行しました。その後、2024年6月25日には、発行総額4,600億円、償還期日2084年6月25日の60年無担保ハイブリッド社債を発行しました。
2024年7月5日には、発行総額3,000百万米ドル、償還期日2034年7月5日から2064年7月5日の米ドル建無担保普通社債(本社債)を発行しました。本社債の発行により調達した資金を充当することにより、2024年7月12日に2026年9月満期の無担保普通社債1,500百万米ドルを公開買付で繰上償還するとともに、同年7月にコマーシャル・ペーパーを償還しました。
2024年10月3日には、2084年10月3日満期のシンジケートハイブリッドローン400億円の借入を実行しました。2024年10月6日には、2024年6月25日に発行したハイブリッド社債により調達した資金とともに、シンジケートハイブリッドローンにより調達した資金を充当することにより、2019年6月に発行したハイブリッド社債5,000億円を2079年6月6日の償還期日に先立ち繰上償還しました。
2025年3月31日には、シンジケートローン3,135億円および1,500百万米ドルを2026年4月27日から2030年4月26日の満期に先立ち期限前弁済しました。この期限前弁済のため、手元現金、2025年3月31日に借入れた短期ローン500百万米ドル、および短期コマーシャル・ペーパーにより調達した資金を充当しました。なお、当年度末におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は2,700億円となりました。
社債及び借入金の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照ください。
[資本]
当年度末における資本合計は、6兆9,360億円(△3,380億円)となりました。利益剰余金の減少(△2,036億円)は、当期利益1,081億円の計上により一部相殺されたものの、主に配当金の支払いに伴う3,032億円の減少によるものです。その他の資本の構成要素の減少(△1,574億円)は、主に円安の影響による為替換算調整勘定の変動によるものです。
(c)流動性および資金調達源
資金の調達および使途
当社グループにおいて流動性は、主に営業活動に必要な現金、資本支出、契約上の義務、債務の返済、利息や配当の支払いに関連して必要となります。営業活動においては、研究開発費、マイルストン支払い、販売およびマーケティングに係る費用、人件費およびその他の一般管理費、原材料費等の支払いにあたり現金が必要となります。また、法人所得税の支払いや運転資金にも多額の現金が必要となります。
当社グループは、生産設備の能力増強・合理化、減価償却を終えた資産の入れ替え、業務管理の効率化等のために設備投資を行っています。無形資産に係る資本的支出は、主に第三者のパートナーから導入したライセンス製品に対するマイルストン支払い、およびソフトウェア開発費です。連結財政状態計算書に計上されている有形固定資産および無形資産に係る資本支出は、2024年3月期および2025年3月期において、それぞれ4,967億円および3,194億円であります。また、2025年3月31日現在において、有形固定資産の取得に関する契約上のコミットメントは201億円であります。加えて、2025年3月31日現在において、無形資産の取得に関して契約上の取決めを有しております。無形資産に係るマイルストン支払いの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。また、資本管理の一環として、当社グループは、資金需要、市場等の環境、またはその他の関連する要因に照らして、定期的に資本的支出の評価を行っております。
当社の配当金の支払額は、2024年3月期および2025年3月期において、それぞれ2,885億円および3,039億円であります。2025年3月期については、1株当たり年間配当金額を196円(中間配当金および期末配当金それぞれ98円)としましたが、2026年3月期については、1株当たり、中間配当金および期末配当金をそれぞれ100円ずつとし、年間200円とすることを目指しています。当社の配当政策については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。
当社グループは、有利子負債に対し元本と利息を支払う必要があります。2025年3月31日現在において、1年内に必要となる利息の支払額および負債の返済額は、それぞれ1,128億円、5,489億円であります。詳細は、「有利子負債および金融債務」をご参照ください。
当社グループの資金の主な調達源は、主に現金及び現金同等物、短期コマーシャル・ペーパー、金融機関からのコミットメントラインによる借入、グローバル資本市場における社債発行を含む長期債務による資金調達であります。さらに、当社グループは、コンティンジェンシーの調達源として、2024年3月31日および2025年3月31日現在において、金融機関から極度額1,500億円および750百万米ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しております。
当社グループは、キャッシュ・フロー予測に基づき保有外貨を監視し、調整しております。当社グループの事業の大部分は日本国外で行っており、多額の現金を日本国外に保有しております。日本国内で必要なキャッシュ・フローを創出するために外貨を使用することは国内規制による影響を受ける可能性があり、また比較的影響は小さいものの、日本へ現金を移転することから生じる所得税による影響も受けます。
当社グループは、引き続き、資金調達の状況について注視しており、短期的には、一般的な市況による資金調達不足または流動性不足は現在見込んではおりません。なお、必要に応じた市場およびその他の供給源からの追加の資金調達力に加えて、当社グループの資本支出計画を必要かつ適切な範囲で見直すことによって、資金調達および流動性の需要を管理する場合があります。
2025年3月31日現在において、当社グループは、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有していた預り金1,058億円を含む、3,851億円の現金及び現金同等物と、7,000億円の未使用のバンク・コミットメントライン契約を保有しております。加えて、公正価値ヒエラルキーにてレベル1に分類される米国債793億円を保持しております。したがって、利用可能な流動性の合計は1兆587億円となり、現在の事業活動に必要となる資金は十分に確保できていると考えております。また、当社グループは、事業活動を支えるため、持続的に高い流動性を保ち、資本市場へのアクセス拡大を追求していきます。
連結キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(単位:億円)
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、1兆572億円(+3,408億円)となりました。この増加は主に、引当金および棚卸資産の変動により資産及び負債の増減額が増加したことによるものです。この増加は、非資金項目およびその他の調整項目を調整した後の当期利益の減少により一部相殺されております。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、△3,671億円(+968億円)となりました。この増加は主に、無形資産の取得による支出の減少、および武田テバファーマ株式会社の株式の売却を含む関連会社株式の売却による収入によるものです。この増加は、米国債の取得による支出、AC Immune SAへの契約一時金の支払いおよびAscentage Pharma Group Internationalへのマイノリティ出資およびライセンスオプションの取得による支出を含む、他の投資活動により一部相殺されております。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、△7,514億円(△3,970億円)となりました。この減少は主に、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの純増加額の減少、シンジケートローンおよびハイブリッド社債の返済・償還、ならびに自己株式の取得によるものです。この減少は、ハイブリッド社債および米ドル建無担保普通社債等の社債の発行による収入により一部相殺されております。
補足的分析:フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー(IFRSに準拠しない財務指標)
フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは、IFRSに準拠しない(以下、「Non-IFRS」)指標であります。詳細については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。IFRSに準拠した指標の中で、フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローが最も類似します。
(単位:億円)
フリー・キャッシュ・フローは、8,564億円(+3,155億円)となりました。この増加は主に、営業活動によるキャッシュ・フローが増加したことによるものです。
調整後フリー・キャッシュ・フローは、7,690億円(+4,855億円)となりました。この増加は主に、フリー・キャッシュ・フローの増加に加え、無形資産の取得による支出が減少したことによるものです。
有利子負債および金融債務
2024年3月31日および2025年3月31日現在において社債および借入金はそれぞれ4兆8,438億円、4兆5,153億円であります。これらの有利子負債は、当社グループが発行した無担保社債、普通社債、バイラテラルローン、およびシンジケートローン、また、Shire社買収に必要な資金の一部を調達するための借入金、およびShire社買収により引き受けた負債、借り換えた負債を含み、連結財政状態計算書に計上されております。当社グループの借入金は主に買収関連で発生したものであり、季節性によるものではありません。
当社グループは、2024年4月25日に、バイラテラルローン500億円を満期返済するとともに、同日に、2031年4月25日満期のバイラテラルローン500億円の借入を実行しました。その後、2024年6月25日には、発行総額4,600億円、償還期日2084年6月25日の60年無担保ハイブリッド社債を発行しました。2024年7月5日には、発行総額3,000百万米ドル、償還期日2034年7月5日から2064年7月5日の米ドル建無担保普通社債(本社債)を発行しました。本社債の発行により調達した資金を充当することにより、2024年7月12日に2026年9月満期の無担保普通社債1,500百万米ドルを公開買付で繰上償還するとともに、同年7月にコマーシャル・ペーパーを償還しました。2024年10月3日には、2084年10月3日満期のシンジケート ハイブリッド ローン400億円の借入を実行しました。2024年10月6日には、2024年6月25日に発行したハイブリッド社債により調達した資金とともに、シンジケート ハイブリッド ローンにより調達した資金を充当することにより、2019年6月に発行したハイブリッド社債5,000億円を2079年6月6日の償還期日に先立ち繰上償還しました。2025年3月31日には、シンジケートローン3,135億円および1,500百万米ドルを2026年4月27日から2030年4月26日の満期に先立ち期限前弁済しました。この期限前弁済のため、手元現金、2025年3月31日に借入れた短期ローン500百万米ドル、および短期コマーシャル・ペーパーにより調達した資金を充当しました。なお、当年度末におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は2,700億円となりました。
2025年3月31日現在において、当社グループは一定の財務制限条項が含まれるコミットメントファシリティー契約を保有しております。当該財務制限条項には、毎年3月末および9月末において連結財政状態計算書における調整後純有利子負債の過去12か月間の調整後EBITDA(調整後EBITDAはファシリティー契約書にて定義されたもの)に対する比率が一定水準を上回らないことを求める財務制限条項が含まれています。2025年3月31日時点においては、2024年3月31日時点と同様に、当社グループは全ての財務制限条項を遵守しております。また、2019年に設定された7,000億円の未使用のコミットメントラインからの借入を制限する事象はありません。当コミットメントラインの現在の期限は2026年9月であります。
当社グループは、短期の流動性の管理のため、日本の無担保コマーシャル・ペーパープログラムを保有しております。2024年3月31日現在におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は3,170億円、2025年3月31日現在におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は2,700億円となりました。当社グループは、さらに2024年3月31日および2025年3月31日現在において、極度額1,500億円および750百万米ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しておりますが、借入はしておりません。
社債及び借入金の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照ください。
信用格付け
当社グループの信用格付けは、当社グループの財務の健全性、業績、債務の返済能力等に関する各格付機関の意見が反映されております。本報告書時点における当社グループの信用格付けは以下のとおりです。
この格付けは、社債の購入、売却、保有を推奨するものではありません。この格付けは指定された格付機関によって適宜改訂あるいは撤回される可能性があります。それぞれの財務の健全性レーティングは、独立評価されたものであります。
重要な契約上の負債
2025年3月31日現在における契約上の負債は以下のとおりです。
(単位:億円)
(注1) 2025年3月31日現在における日本円以外の通貨建債務は、期末為替レートで日本円に換算しており、為替レートの変動により金額が異なる可能性があります。
(注2) 利息支払義務を含みます。
(注3) 「3年超5年以内」の契約額には、2024年ハイブリッド社債(劣後特約付社債)の元本4,600億円および2024年シンジケート ハイブリッド ローン(劣後特約付ローン)の元本400億円が含まれております。これは、それぞれ2029年6月25日の初回繰上償還日および同年10月3日の初回期日前弁済日に、全額が償還、弁済される見込みであるためです。ハイブリッド社債およびシンジケート ハイブリッド ローンの元本および利息の詳細については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照ください。
(注4) 2026年4月以降の年金および退職後給付制度への拠出額については、拠出の時期が不確実であり、利率、運用収益、法律およびその他の変動要因に依存するため、確定することはできません。
(注5) 確定給付債務、訴訟引当金および長期未払法人税等、時期を見積もることができない契約上の負債、また、金額が公正価値の変動により変化するデリバティブ負債および条件付対価契約に関する金融負債は含まれておりません。なお、2025年3月31日現在のデリバティブ負債および条件付対価契約に関する金融負債の帳簿価額は、それぞれ165億円および44億円であります。また、特定の将来の事象の発生に左右されるマイルストン支払いも含んでおりません。
(注6) 通常の事業活動における購買に関する発注は含んでおりません。
オフバランス取引
マイルストン支払
新製品の開発に係る第三者との提携契約に基づき、当社グループは、パイプライン品目の開発、新製品の上市および上市後の販売等にかかる一定のマイルストン達成に応じた支払義務が生じる場合があります。2025年3月31日現在における潜在的なマイルストン支払の契約金額は1兆743億円であります。これらは、潜在的なコマーシャルマイルストン支払を除いた金額であります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 13 共同研究開発契約、ライセンス契約、その他の資産取得等 および 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。
補足的分析:財務レバレッジ(調整後有利子負債/調整後EBITDA倍率)(IFRSに準拠しない指標)
特に、Shire社買収に伴い、投資家、アナリストおよび格付機関は、当社グループの(調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率で表される)財務レバレッジを綿密にモニターしております。調整後純有利子負債、調整後EBITDAおよび調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率はすべて、IFRSに準拠しない財務指標です。社債および借入金から調整後純有利子負債への調整、当期利益からEBITDAおよび調整後EBITDAへの調整等、最も良く対応するIFRS財務指標への調整を含む詳細については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。各報告日現在における当社グループの調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率および最も良く対応するIFRS財務指標の各比率は以下のとおりです。
(単位:億円、倍率以外)
(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標
IFRSに準拠して表示される業績に加えて、当社グループは、IFRSに準拠しない(以下、「Non-IFRS」)補足的財務指標を表示しております。これらの財務指標には、CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減、Core財務指標、純有利子負債、調整後純有利子負債、EBITDA、調整後EBITDA、フリー・キャッシュ・フロー、調整後フリー・キャッシュ・フローが含まれます。
当社グループの経営陣は業績および財政状態の評価並びに経営及び投資判断を、IFRSに準拠した指標及び本セクションに記載のNon-IFRS財務指標に基づいて行っています。当社グループは、当社グループの経営成績および財政状態の分析における追加情報として、また、当社の経営陣が経営成績および財政状態をどのように評価しているかを投資家に理解いただくにあたり、両指標を表示しております。当社グループのNon-IFRS財務指標においては、最も良く対応するIFRSに準拠した財務指標では含まれることとなる一定の利益、コスト、キャッシュ・フローまたは財政状態計算書上の項目を除外または調整しております。これらの財務指標は、IFRSに準拠するものではなく、補足的なものであり、また、IFRSに準拠した財務指標に代替するものではありません(IFRSに準拠した財務指標を「財務ベース」指標として参照している場合があります)。投資家におかれましては、当社グループの過去の財務諸表全体を確認し、IFRSに準拠して表示されている指標を当社グループの業績評価の主要な指標として使用することを強く推奨します。また、Non-IFRS財務指標の定義と、これらに最も良く対応するIFRSに準拠した財務指標との調整表を併せてご参照ください。さらに、これらのNon-IFRS財務指標に関する記載、特にこれらの財務指標の有用性の限界について把握し、製薬業界における他社が表示している、類似の名称を付した財務指標との相違についてご理解ください。
Core財務指標
当社グループのCore売上収益、Core営業利益、Core当期利益(親会社の所有者帰属分)、Core EPSをはじめとするCore財務指標は、売却に伴う収益、製品(仕掛研究開発品を含む)に係る無形資産償却費及び減損損失、その他、非定常的な事象に基づく影響、企業結合会計影響や買収関連費用など、当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除しています。Core売上収益は、財務ベースの売上収益から、当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない売上収益に係る影響(主に、事業売却および清算に係る売上収益および関連する調整)を控除して算出します。Core営業利益は、財務ベースの営業利益から、その他の営業収益及びその他の営業費用、製品(仕掛研究開発品を含む)に係る無形資産償却費及び減損損失、その他、非資金項目または当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除して算出します。Core EPSは、財務ベースの当期利益(親会社の所有者帰属分)から、Core営業利益の算出において控除された項目、および特別、非定常的な事象に基づく影響、または当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除して算出します。これらには、条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響などが含まれます。さらに、これらの調整項目に係る税金影響を控除した後、報告期間の自己株式控除後の平均発行済株式総数で除して算出します。
当社グループがCore財務指標を表示する理由は、これらの指標が、当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除するものであり、当社グループ事業の本質的な業績を理解していただくにあたり有用であると考えているためです。控除される項目には、(i) 前年度から著しく変動する項目、もしくは毎年度発生するものではない項目、または(ii) 当社グループの中核事業の本質的な業績の変動とはほぼ相関関係がないと認められる項目が含まれます。同様の指標は、同業他社においても頻繁に使用されていると認識しており、本指標を表示することは、投資家が当社グループの業績を過年度の業績と比較される際だけではなく、同業他社と類似の基準に基づき比較される際にも有用になると考えています。また、当社グループがCore財務指標を表示する理由は、これらの指標が予算の策定や報酬の設定(CEOおよびCFOのインセンティブ報酬を含む、当社グループの短期インセンティブ並びに長期インセンティブ報酬プログラムに係る一定の目標はCore財務指標の結果に関連して設定。「(4)役員の報酬等」をご参照ください)に用いられているためです。
投資家にとってのCore財務指標の有用性には、一例として次の限界があります。例えば、(i) 製薬業界における他社を含む、他社において用いられている類似の名称を付した財務指標とは必ずしも同一ではありません、(ii) 無形資産の売却や償却などの非資金費用の影響を含む、当社グループの業績、価値又は将来見通しの評価において重要とみなされる可能性のある財務情報や事象が除外されています、(iii) 将来にわたって継続的に発生する可能性のある項目又は項目の種類が除外されています(ただし、当社グループの方針として、事業運営に必要な経常的に発生する営業費用の支出については調整していません)、(iv) 投資家が当社グループの業績を理解する上で重要とみなす可能性のあるすべての項目が含まれていない、又は、重要とみなさないであろうすべての項目が除外されていない場合があります。
下表は、各報告期間における、当社グループのCore財務指標とIFRSに準拠して作成し、表示された最も良く対応するIFRS財務指標との間の調整を示しています。これには、(i) Core売上収益とIFRSに準拠して表示された売上収益、(ii) Core営業利益とIFRSに準拠して表示された営業利益、および (iii) Core当期利益(親会社の所有者帰属分)とIFRSに準拠して表示された当期利益(親会社の所有者帰属分)が含まれます。
当年度の売上収益および営業利益からCore売上収益およびCore営業利益への調整は次の通りです。
(単位:億円)
(注1) 製品に係る無形資産には、仕掛研究開発品を含みます。
(注2) その他の営業収益(営業費用)には、条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の公正価値変動額、有形固定資産および投資不動産の売却損益、事業譲渡及び子会社株式売却益、寄付金、 サブリースに係る賃貸借料、事業構造再編費用、承認前在庫に係る評価損、治験終了後投与に係る費用、売却目的で保有する資産の減損、訴訟引当金、オプション権に係る評価損、非定常的なその他の営業収益(営業費用)を含みます。
(注3) その他:売上収益およびその他の営業収益(営業費用)には、2025年3月期に行った武田テバ薬品株式会社(以下、「Teva社」)の株式売却に伴う、テバ社に売却した資産について認識された17億円の繰延収益および38億円のテバ社への事業譲渡に係る繰延利益を含みます。売上原価には、2019年3月期に完了したShire社の買収に関連する有形固定資産の公正価値の費用化を含みます。
前年度の売上収益および営業利益からCore売上収益およびCore営業利益への調整は次の通りです。
(単位:億円)
(注1) 製品に係る無形資産には、仕掛研究開発品を含みます。
(注2) その他の営業収益(営業費用)には、条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の公正価値変動額、有形固定資産および投資不動産の売却損益、事業譲渡及び子会社株式売却益、寄付金、サブリースに係る賃貸借料、事業構造再編費用、承認前在庫に係る評価損、売却目的で保有する資産の減損、訴訟引当金およびオプション権に係る評価損を含みます。
当年度の当期利益(親会社の所有者帰属分)からCore当期利益(親会社の所有者帰属分)への調整は次の通りです。
(単位:億円、%以外)
(注1) その他:金融収益及び費用(純額)には、超インフレ経済下にあり、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」が適用されている子会社の非資金項目に係る損失、ならびにノン・コア取引に係る金融収益および費用を含みます。持分法による投資損益には、事業売却および清算に係る損益ならびにその他の公正価値調整を含みます。
(注2) IFRS会計基準に基づく業績とCore業績との間の調整に係る税金は、当該調整が計上される管轄地域において項目に適用される法定税率を考慮しています。税引前当期利益に対するCore調整額(8,480億円)に係る法人所得税費用は1,803億円であり、Core調整に係る平均税率は21.3%でした。
前年度の当期利益(親会社の所有者帰属分)からCore当期利益(親会社の所有者帰属分)への調整は次の通りです。
(単位:億円、%以外)
(注1) その他:金融収益及び費用(純額)には、超インフレ経済下にあり、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」が適用されている子会社の非資金項目に係る損失、ならびにノン・コア取引に係る金融収益および費用を含みます。持分法による投資損益には、事業売却および清算に係る損益ならびにその他の公正価値調整を含みます。
(注2) IFRS会計基準に基づく業績とCore業績との間の調整に係る税金は、当該調整が計上される管轄地域において項目に適用される法定税率を考慮しています。税引前当期利益に対するCore調整額(8,660億円)に係る法人所得税費用は2,533億円であり、Core調整に係る平均税率は29.2%でした。
CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減
CERベースの増減は、当期の国際会計基準(IFRS)に準拠した業績またはCore財務指標(Non-IFRS)について、前年同期に適用した為替レートを用いて換算することにより、前年同期との比較において為替影響を控除するものです。
当社グループがCERベースの増減を表示する理由は、変動する為替レートが当社グループの事業に与える影響を踏まえ、為替影響がなかった場合の経営成績の増減について投資家に理解していただくにあたり有用であると考えているためです。CERベースの増減は、当社グループの経営陣が経営成績を評価するに際して使用する主な指標になっています。また、製薬業界における各社が為替影響を調整した同様の業績指標を頻繁に用いているため、証券アナリスト、投資家その他の関係者が各社の経営成績を評価するに際しても、本指標が有用であると考えています。
ただし、CERベースの増減の有用性には、一例として次の限界があります。例えば、CERベースの増減は、前年度においてIFRSに準拠した業績を算定するために用いた為替レートと同一の為替レートを用いますが、そのことは必ずしも、当年度の取引が前年度と同一の為替レートで実施され得た、あるいは計上され得たことを示すものではありません。また、類似の名称の指標を用いている同業他社が、当社グループとは異なる方法で指標を定義し、算定している可能性があるため、そのような指標との比較可能性に欠け得るものです。従って、CERベースの増減はIFRSに準拠して作成、表示された業績と切り離して考慮してはならず、また、これらの代替と捉えてはならないものです。
以下は、対前年度の増減率を含む、IFRSに準拠して算定、表示された当社グループの経営成績であり、各項目についてCERベースの増減率を示しております。
CERベースの増減(財務ベース指標)
CERベースの増減(Non-IFRS)
フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー
当社グループのフリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローから有形固定資産の取得による支出を控除したものです。調整後フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローから、有形固定資産の取得による支出、無形資産の取得による支出、投資の取得による支出(公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資の取得による支出の控除後)、関連会社株式の取得による支出、事業の取得による支出(取得した現金及び現金同等物の純額の控除後)およびそれらに実質的に関連または類似していると見做されるその他の支出を控除した上で、有形固定資産の売却による収入、投資の売却・償還による収入(公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資の売却・償還による収入の控除後)、関連会社株式の売却による収入、事業の売却による収入(処分した現金及び現金同等物の純額の控除後)を加味し、さらに、当社グループが即時的または一般的な業務用に使用できないいかなるその他の現金の支出入を調整し、算出しています。
当社グループがフリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローを表示する理由は、証券アナリスト、投資家その他の関係者が製薬業界における各社の評価を行うに際して頻繁に用いられる流動性についての同様の指標として、これらの指標が投資家にとって有用であると考えているためです。調整後フリー・キャッシュ・フローは、流動性要件を満たす能力を測り、資本配分方針をサポートする指標として流動性及びキャッシュ・フローの評価を行うに際して、当社グループの経営陣によっても使用されています。また、フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは、投資家が、当社グループの戦略的な買収や事業の売却がどのようにキャッシュ・フローや流動性に貢献するかを理解される上で有用であると考えています。
投資家にとってのフリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローの有用性には、一例として次の限界があります。例えば、(i) 同業他社を含め、用いられている類似の名称の指標との比較可能性に欠け得るものです、(ii) 当社グループの、資本の使用又は配分を必要とする現在及び将来の契約上その他のコミットメントの影響は反映されていません、(iii) 投資の売却・償還による収入、事業の売却による収入(処分した現金及び現金同等物の純額の控除後)は、中核である継続的な事業からの収入を示すものではありません。フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは、IFRSに基づく指標である営業活動によるキャッシュ・フロー及びその他の流動性指標と切り離して考慮してはならず、また、これらの代替と捉えてはならないものです。IFRSに準拠した指標の中で、フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローが最も類似します。
下表は、2024年3月期および2025年3月期における、IFRSに準拠して表示された最も対応する指標である営業活動によるキャッシュ・フローからフリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローへの調整を示しております。
(単位:億円)
(注1) 当社が第三者に代わり一時的に保有していたキャッシュの調整は、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有していた現金の変動を指します。
(注2) 一部の重要性が低い取引を除き、無形資産の売却による収入は、営業活動によるキャッシュ・フローに含まれています。
(注3) 当年度において、公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資の取得による支出801億円を控除しております。
EBITDAおよび調整後EBITDA
当社グループにおいて、EBITDAは、法人所得税費用、減価償却費及び償却費、並びに純支払利息控除前の連結当期利益を指します。また、調整後EBITDAは、減損損失、その他の営業収益及びその他の営業費用(減価償却費、償却費及びその他の非資金性項目を除く)、金融収益及び費用(純支払利息を除く)、持分法による投資損益及び企業結合会計影響や買収関連費用などの当社グループの中核事業に関連しないその他の項目を除外するように調整されたEBITDAを指します。
当社グループがEBITDA及び調整後EBITDAを表示する理由は、これらの指標が証券アナリスト、投資家その他の関係者が製薬業界における各社の評価を行う際に頻繁に用いられるものであり、投資家にとって有用であると考えているためです。 当社グループは、調整後EBITDAを主に財務レバレッジをモニターするために使用しています。「(c)流動性および資金調達源 補足的分析:財務レバレッジ(調整後有利子負債/調整後EBITDA倍率)(IFRSに準拠しない指標)」 および以下の「調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率」をご参照ください。また、調整後EBITDAは、継続的な事業に関連しない特定の事象(変化に富み予測が困難である一方で、経営成績に重大な影響を与える可能性があり、一定期間にわたる業績を一貫性をもって評価することが困難な事象)から生じる不透明さを排除することから、投資家にとって、事業の動向を把握するに際して有用な指標であると考えています。
投資家にとってのEBITDA及び調整後EBITDAの有用性には、一例として次の限界があります。例えば、(i) 同業他社を含め、用いられている類似の指標との比較可能性に欠け得るものです。また、(ⅱ) 企業買収や無形資産の償却による影響などを含む、当社グループの業績、価値又は将来見通しの評価において重要とみなされる可能性のある財務情報や事象が除外されています、(ⅲ) 将来にわたって継続的に発生する可能性のある項目又は項目の種類が除外されています、(ⅳ) 投資家が当社グループの業績を理解する上で重要とみなす可能性のあるすべての項目が含まれていない、又は、重要とみなさないであろうすべての項目が除外されていない場合があります。EBITDAおよび調整後EBITDAは、IFRSに準拠した指標である営業利益、当期利益、その他の業績指標と切り離して考慮してはならず、また、これらの代替と捉えてはならないものです。IFRSに準拠した指標の中で、EBITDAおよび調整後EBITDAは、当期利益が最も類似します。
下表は、2024年3月期および2025年3月期における、当期利益からEBITDAおよび調整後EBITDAへの調整を示しております。
(単位:億円)
(注1) その他の調整項目には、株式報酬にかかる非資金性の費用およびその他の一過性の非資金性の費用の調整、調整後EBITDAの算出にあたり除外された、当年度におけるテバ社への資産売却に係る17億円の非資金性の収益調整を含む、売却した製品に係るEBITDAの調整が含まれます。
調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率
当社グループは、純有利子負債を連結財政状態計算書上の社債及び借入金の簿価に現金及び現金同等物のみを調整したものと定義しており、当社グループの調整後純有利子負債は、次のとおり算出しています。まず、連結財政状態計算書に記載されている社債及び借入金の流動部分と非流動部分合計を計算します。その上で、(i) 期初に残存する外貨建て負債を直近12か月の期中平均レートを用いて換算し、報告期間中に計上した新規の外貨建て負債および償還した既存の外貨建て負債については対応するスポットレートを用いて換算し、当社グループの経営陣が当社グループのレバレッジをモニターするために使用する方法論を反映しています。また、(ii) 当社グループの劣後特約付きハイブリッド債について、その株式に似た特徴を踏まえ、S&Pグローバル・レーティング・ジャパンの格付手法に基づきエクイティクレジットを適用しています。この数字から、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有している現金を除いた現金及び現金同等物、およびその他の金融資産に計上され公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資を控除し、調整後純有利子負債を算出しています。
当社グループが、純有利子負債および調整後純有利子負債を表示する理由は、当社グループの経営陣が、当社グループの現金及び現金同等物控除後の負債をモニター及び分析するためにこれらの指標を使用し、また当社グループのレバレッジをモニターするために本指標を調整後EBITDAと併せて使用しており、投資家にとって有用であると考えているためです(なお、調整後純有利子負債および調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率は、当社グループの流動性の指標を表すものではないことにご留意ください)。また、負債についての同様の指標が、証券アナリスト、投資家その他の関係者が製薬業界における各社の評価を行うに際して頻繁に用いられるものであると考えています。 特に、Shire社買収に伴い、投資家、アナリストおよび格付機関は、当社グループの(調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率で表される)財務レバレッジを綿密にモニターしています。格付機関が本指標を特に重視していることから、これらの情報は、当社グループの財務レバレッジだけではなく、格付機関が当社グループの信用力評価にあたって財務レバレッジの水準をどのように評価しているかについて、投資家が理解していただくにあたり有用であると考えています。そのため、後述のとおり、当社グループは、調整後純有利子負債を調整して、格付機関が一部の劣後債に適用している「エクイティクレジット」を反映しています(ただし、IFRS上、当該債務は資本として取り扱われません)。
調整後純有利子負債の有用性には、一例として次の限界があります。例えば、(i) 同業他社を含め、用いられている類似の指標との比較可能性に欠け得るものです、(ii) 当社グループの負債に係る利息の金額を反映していません、(iii) 負債の早期返済又は償還に係る制限を反映していません、(iv) 当社グループが現金同等物を現金に換金する際に、現金をある通貨から他の通貨に換金する際に、又は当社グループ内で現金を移動する際に係る手数料や費用を反映していません、(v) 有利子負債には、資金調達の契約と整合性のある平均為替レートを適用・調整していますが、これは当社グループがある通貨を他の通貨に換金することができる実際の為替レートを反映していません、(vi) 当社グループの劣後債はIFRS上資本として取り扱われないものの、エクイティクレジットを反映しています。当該調整は、合理的で、投資家にとって有用な調整であると考えています。調整後純有利子負債は、IFRSに基づく指標である社債及び借入金、又はその他の負債指標と切り離して考慮してはならず、また、これらの代替と捉えてはならないものです。IFRSに準拠した指標の中で、純有利子負債は、社債及び借入金が最も類似します。
当社グループの調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率は以下のとおりです。
(単位:億円、倍率以外)
下表は、2024年3月31日および2025年3月31日現在の社債及び借入金から調整後純有利子負債への調整を示しております。
(単位:億円)
(注1) ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有する、即時的または一般的な業務に使用できない現金、およびその他の金融資産に計上され公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資を調整しております。
(注2) 期中平均レートで換算される調整後EBITDA計算と整合させるため、期初から期中残存する外貨建て負債を期中平均レートを用いて換算しております。報告期間中に計上した新規の外貨建て負債および償還した既存の外貨建て負債については当該日の対応するスポットレートを用いて換算しております。
(注3) ハイブリッド(劣後)社債及びローンの元本総額5,000億円分について、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン(格付機関)より認定された50%のエクイティクレジットを適用し、2,500億円を負債から控除しております。これらの金融負債は、レバレッジ評価において一定のエクイティクレジットが認められております。
① 財政状態及び経営成績の状況
当年度の業績および財政状態は以下のとおりとなりました。
売上収益 | 4兆5,816億円 | [前年度比 | 3,178億円 | ( | 7.5%) 増 | ] | |
研究開発費 | 7,302億円 | [ 〃 | 3億円 | ( | 0.0%) 増 | ] | |
営業利益 | 3,426億円 | [ 〃 | 1,285億円 | ( | 60.0%) 増 | ] | |
税引前当期利益 | 1,751億円 | [ 〃 | 1,223億円 | ( | 231.7%) 増 | ] | |
当期利益 | 1,081億円 | [ 〃 | 361億円 | ( | 25.0%) 減 | ] | |
基本的1株当たり利益 | 68円36銭 | [ 〃 | 23円73銭 | ( | 25.8%) 減 | ] | |
資産合計 | 14兆2,483億円 | [前年度末比 | 8,604億円 | ( | 5.7%) 減 | ] | |
負債合計 | 7兆3,124億円 | [ 〃 | 5,224億円 | ( | 6.7%) 減 | ] | |
資本合計 | 6兆9,360億円 | [ 〃 | 3,380億円 | ( | 4.6%) 減 | ] |
なお、当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績の記載を
省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」をご参照下さい。
③ 生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績
当年度における生産実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
医薬品事業 | 2,247,804 | △8.9 |
合計 | 2,247,804 | △8.9 |
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 生産実績金額は、販売価格によっております。
(b) 受注状況
当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しており、一部の受注生産における受注高および受注残高の金額に重要性はありません。
(c) 販売実績
当年度における販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) | ||||
医薬品事業 | 4,581,551 | 7.5 | ||||
(国内) | ( | 418,462 | ) | ( | △7.3 | ) |
(海外) | ( | 4,163,089 | ) | ( | 9.2 | ) |
連結損益計算書計上額 (うちライセンス供与による収益・役務収益) | 4,581,551 | 7.5 | ||||
( | 85,579 | ) | ( | △14.5 | ) |
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。
3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前年度 | 当年度 | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
センコラ Inc.(旧称:アメリソースバーゲン・コーポレーション)およびそのグループ会社 | 579,065 | 13.6 | 577,017 | 12.6 |
マッケソン・コーポレーションおよびそのグループ会社 | 578,767 | 13.6 | 592,323 | 12.9 |
カーディナルヘルス Inc.およびそのグループ会社(注) | 436,951 | 10.2 | - | - |
(注)当年度におけるカーディナルヘルス Inc.およびそのグループ会社の販売実績および当該総販売実績に対する割合は、当該割合が10%未満のため記載を省略しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
(a) 当年度の経営成績の分析
(ⅰ) 当社グループの経営成績に影響を与える事項
事業の概況
当社は、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業です。当社は、幅広い医薬品のポートフォリオを有し、研究、開発、製造、およびグローバルでの販売を行っています。主要ビジネスエリアは、消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ワクチン、およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の6つに分けられています。研究開発においては、消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス、およびオンコロジーの3つの重点疾患領域に取り組むとともに、血漿分画製剤にも注力しています。当社は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。当社は、患者さんやコミュニティに高品質の医薬品をできる限り早くお届けするために、希少疾患および有病率がより高い疾患のいずれにおいても、未だ有効な治療法が確立されていない疾患に対する高い医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)に集中して取り組んでいます。当社は、約80の国と地域で医薬品を販売しており、世界中に製造拠点を有するとともに、日本および米国に主要な研究拠点を有しています。販売においては、米国、日本および欧州において非常に高いプレゼンスを有しており、中国においては急成長している事業を展開しています。また、当社は事業運営をより効果的かつ効率的に行うため、データ、デジタルおよびテクノロジーの活用を促進し、イノベーションの創出の増進およびステークホルダーへの価値提供に取り組んでいます。
当社グループの事業は単一セグメントであり、資源配分、業績評価、および将来業績の予測においてマネジメントの財務情報に対する視点と整合しております。2025年3月期における売上収益および営業利益はそれぞれ4兆5,816億円および3,426億円であります。
当社グループの経営成績に影響を与える事項
当社グループの経営成績は、グローバルな業界トレンドや事業環境における以下の事項に影響を受けます。
関税措置およびその他の貿易制限措置
他の品目と同様に、医薬品も関税措置や貿易制限措置の影響を受ける可能性があります。2025年1月に発足した米国政権は、新たな関税措置として、中国、メキシコ、カナダに対する措置や、医薬品を除く特定の品目に対する世界規模の措置を発表しました。これにより、中国を含む影響を受けた国々が報復措置を講じ、または講じる可能性があります。さらに、米国政権は、1962年通商拡大法第232条に基づき、医薬品および医薬品原料の輸入が国家安全保障に与える影響を評価するため、調査を実施することを発表しました。一部の政府当局者は、この調査の結果として、医薬品に関税が課される可能性があることを示唆しています。米国か他国により実施される、または実施される可能性のある関税措置の期間および範囲は不明であり、関税措置が当社グループの事業に最終的にどの程度の影響を与えるかも不明瞭な状況です。しかしながら、現時点の想定では、米国および中国政府による関税措置の影響は限定的であると見込んでいます。当年度の業績に基づくと、当社グループの米国売上収益の約8~10%(または連結売上収益の約4~5%)は米国以外を原産国とする輸入品の関税評価額に相当し、関税措置の対象となります。また、中国で販売する製品のうち、米国を原産国とする部分の関税評価額は中国売上収益の約12~15%(または連結売上収益の約0.5~0.6%)相当と見込んでいます。当社グループでは、在庫管理やサプライチェーン管理を中心に、グローバルな供給ネットワークにおける関税措置の影響の緩和策を実施しています。2025年5月8日時点において、当社グループはグローバルに22の製造拠点を有しており、そのうち20拠点が米国向けに供給しており、7拠点が米国内に所在しています。
特許保護と後発品との競争
医薬品は特に、特許保護や規制上の独占権によって市場競争が規制されることにより、当社グループの業績に貢献する場合があります。代替治療の利用が容易でない新製品は当社グループの売上の増加に貢献します。ただし、保護されている製品についても、効能、副作用や価格面で他社との競争が存在します。一方で、特許保護もしくは規制上の独占権の喪失や満了により、後発品が市場に参入するため、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼすことがあります。当社グループの主要製品の一部は、特許やその他の知的財産権保護の満了により、厳しい競争に晒されており、あるいは晒されると予想しています。以下は、過去2年間において、後発品またはバイオシミラーが発売された当社の一部の主要製品の業績を示しています。(「CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベース」の増減は、IFRSに準拠した指標ではありません。詳細については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。)
(単位:億円、%以外)
売上収益 | 増減額 | CERベース 増減率 | ||
前年度 | 当年度 | |||
ベルケイド | 55 | 52 | △4 | △12.0% |
VYVANSE/ELVANSE | 4,232 | 3,506 | △726 | △21.6% |
アジルバ | 336 | 118 | △218 | △64.9% |
2022年にベルケイドに含まれる有効成分であるボルテゾミブの特許権満了に伴い後発品が参入し、その影響でベルケイドの売上収益は、2024年3月期には55億円、2025年3月期には52億円までに減少しました。2023年8月には米国においてVYVANSEの特許権が満了しました。また、2023年2月にアジルバの後発品が日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)により承認されたことを受け(競合品の薬価収載は2023年6月に承認)、関連する国・地域において、両製品の売上収益が減少しました。VYVANSEの売上収益は2024年3月期の4,232億円から2025年3月期には3,506億円に減少し、アジルバの売上収益は2024年3月期の336億円から2025年3月期には118億円に減少しました。2026年3月期においても、両製品ともに減少傾向が続くと見込んでいます。
後発品を販売する他社が特許権の有効性に対する申し立てに成功する場合、もしくは想定される特許侵害訴訟に係る費用以上のベネフィットを前提として参入することを決定する場合があります。また、当社グループの特許権の有効性、あるいは製品保護に対する申し立てが提起された場合には、関連する無形資産の減損損失を認識する可能性があります。
新製品の開発・商業化および既存製品の拡大
当社は特に売上収益を伸長し、独占権喪失の影響を相殺することを目指しており、当社の事業において、新規のバイオ医薬品の開発・商業化のほか、既存製品の適応拡大および(または)地理的市場拡大による既存製品の拡大は重要な取組みです。これらの目標達成までのプロセスは長期にわたり多額の費用を伴い、多額の研究開発費が発生します。これらは当社の連結損益計算書上営業費用として計上しています。当社の研究開発の取組みに関する詳細については、本報告書の「6.研究開発活動」、製品に関連する研究開発費(償却および減損を含む)および無形資産の会計方針については、本報告書の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針」をご参照ください。
当社は、当社のポートフォリオのうち、一部の製品を当社の成長製品・新製品として特定しております。特にライフサイクルの初期段階にある製品の多くは連結売上収益への貢献は限定的でありますが、当社の経営者はこれらの製品を将来の主要な成長ドライバーとしてモニターしており、これらの製品に関する情報は、当社が今後成長を見込んでいる領域を投資家に理解していただくにあたり有用であると考えています。当グループを構成する製品は随時変更され、臨床試験の結果や規制当局の認可取得等により、製品を追加または除外する場合があります。
2025年3月期において、当社は次の製品を成長製品・新製品として特定しました:ENTYVIO、EOHILIA、タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ、免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む)、アルブミン製剤(HUMAN ALBUMIN・FLEXBUMINを含む)、FRUZAQLA、アルンブリグおよびQDENGA
2025年3月期において、これらの成長製品・新製品は、当社の連結売上収益の48%を占める2兆2,019億円でありました。2025年3月期の内訳としては、ENTYVIOは9,141億円(当社の連結売上収益の20%)、当社の3つの免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトル)は7,578億円(当社の連結売上収益の17%)、アルブミン製剤は1,414億円(当社の連結売上収益の3%)、タクザイロは2,232億円(当社の連結売上収益の5%)となりました。また、2024年3月期にアロフィセルおよびEXKIVITYの治験が失敗し、これらの製品の商業的予測が変更されたため、2025年3月期の成長製品・新製品(注)から除外しております。一方、新製品FRUZAQLAおよびQDENGAは今後成長し、長期的に収益成長に大きく貢献すると見込まれるため、これらの製品を追加しております。変更後の成長製品・新製品は、2025年3月期における連結売上収益の48%を占める2兆2,019億円となります。
2026年3月期において、rusfertideのFDAへの承認申請、oveporextonとzasocitinibの臨床第3相試験データの読み出しを予定しています。成功した場合には、2026年または2027年に、これらの製品が成長製品・新製品として上市する可能性があります。
(注)本年次報告書日現在において、2026年3月期の成長製品・新製品は、以下のとおりです。
ENTYVIO、EOHILIA、タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ、免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む)、アルブミン製剤(HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含む)、FRUZAQLA、アルンブリグおよびQDENGA
買収
当社グループは、研究開発能力を拡大し(新たな手法に展開することを含みます。)、新しい製品(開発パイプラインや上市済み製品)やその他の戦略的領域を獲得するために、新たな事業または資産を買収する可能性があります。同様に、当社グループの主な成長ドライバーに注力するため、また当社グループのポートフォリオを維持するために、事業や製品ラインを売却しております。
これらの買収は企業結合または資産の取得として会計処理されております。企業結合の場合、取得した資産および引き受けた負債は公正価値で計上されております。当社グループの業績は、通常、棚卸資産の公正価値の増加や、取得した有形固定資産および無形資産の償却費により影響を受けます。また、資産の取得の場合、取得した資産は取引価格で計上されております。企業結合または資産の取得の対価が追加的な借入金で賄われている場合、支払利息の増加も当社グループの業績に影響を与えます。
なお、2024年3月期および2025年3月期、ならびに本報告書提出日時点までにおいて、重要な事業または資産の買収はありません。
事業売却
買収に加え、当社グループは、主要な成長ドライバーに注力し、また長期借入金を速やかに返済するための追加キャッシュ・フローを創出するため、事業や製品ラインを売却しております。以下は2024年3月期から2025年3月期および本報告書提出日時点において、実施または発表された重要な事業売却になります。
当社グループは、2025年3月期にTeva Pharmaceutical Industries Ltd.(「テバ社」)と日本国内において展開するジェネリック医薬品および長期収載品を中心とした合弁事業について、これを解消する方向でテバ社と協議することを決定しました。これに伴い、武田テバファーマ株式会社の全株式である関連会社株式を売却目的で保有する資産に分類し、2025年3月期において189億円の減損損失を金融費用に計上しました。2025年3月に当該譲渡が完了したことによる売却収入は508億円の受取配当金を含む565億円であり、2025年3月期に連結キャッシュ・フロー計算書に計上された関連会社株式の売却による収入577億円の大部分を構成しています。また、過去の取引で発生した未実現利益が譲渡完了時に実現したことにより17億円と38億円をそれぞれ売上収益とその他の営業収益に計上しました。
原材料の調達による影響
重要な原材料を社内外から調達することができない場合に、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、ヒト血漿は当社グループの血漿分画製剤において重要な原材料であります。血漿をより多く収集するため、調達および外部との契約を強化し、原料血漿の収集や血漿分画に関連する施設への委託、および規制当局から承認を受けることに成功するための取り組みを行っております。
外国為替変動
2024年3月期および2025年3月期において、当社グループでは日本以外の売上がそれぞれ89.4%、90.9%を占めております。当社グループの収益および費用は、特に当社の表示通貨である日本円に対する米ドルおよびユーロの外国為替レートの変動に影響を受けます。円安は日本円以外の通貨による収益の増加要因となり当社グループの業績に好影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の増加により相殺される可能性があります。とりわけ、2024年3月期および2025年3月期において、他の通貨に対する円安により、当社の売上収益はプラスの影響を受けました。反対に、円高は日本円以外の通貨による収益減少要因となり当社グループの業績に悪影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の減少により相殺される可能性があります。前年度からの為替レートの変動が当社グループの業績に与える影響を投資家がより良く理解できるよう、当社グループは、補足的にCER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減を「CER」の表記で示しています。IFRSに準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減は「AER」の表記で示しています。CERベースの増減率に基づく対前年度の業績比較分析については、下記の「(ⅲ) 当年度における業績の概要」及び「(ⅳ) 当年度におけるCore業績の概要」をご参照ください。
また、「CERベースの増減」は、国際会計基準(IFRS)に準拠した指標ではありません。詳細については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。
なお、為替変動リスクを低減するため、当社グループは重要な一部の外貨建取引について、特定のヘッジ手段を利用しております。これには、主に個別に重要な外貨建取引に対する先物為替予約、通貨スワップおよび通貨オプションが含まれます。
季節的要因
当社グループの売上収益は、2024年3月期および2025年3月期において第4四半期に減少しています。これは、卸売業者は年末年始休暇に向けてあらゆる国・地域における在庫数を増やす傾向にあること、年間にわたって価格が上昇していること、暦年の年初の米国における保険の年間免責額の改定等によるものです。
(ⅱ) 重要な会計方針
当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成されております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産および負債の金額、決算日現在の偶発資産および偶発負債の開示、ならびに報告期間における収益および費用の金額に影響を及ぼす見積りおよび仮定の設定を行うことが求められております。見積りおよび仮定は、継続的に見直されます。経営者は、過去の経験、ならびに見積りおよび仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき当該見積りおよび仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積りおよび仮定とは異なる場合があります。
経営者の見積りおよび仮定に影響を受ける重要な会計方針は以下の通りであります。なお、見積りおよび仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。
収益認識
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針 (5) 収益」をご参照ください。
のれんおよび無形資産の減損
当社グループは、のれんおよび無形資産について、資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象または状況の変化がある場合には、減損テストを行っております。のれんおよび償却開始前の無形資産については、年次および減損の兆候を捕捉した時点で減損テストを実施しております。2025年3月31日時点において、当社グループはのれんおよび無形資産をそれぞれ5兆3,244億円および3兆6,316億円計上しており、これは総資産の62.9%を占めております。
上市後製品に係る無形資産は特許が存続する見込期間または見込まれる経済的便益に応じた他の指標に基づき、3年から20年の耐用年数を用いて定額法で償却しております。仕掛研究開発品に係る無形資産は、特定の市場における商用化が規制当局により承認されるまで償却をしておりません。商用化が承認された時点で、当該資産の見積耐用年数を確定し、償却を開始しております。
のれんおよび無形資産は、通常、連結財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には減損していると判断されます。無形資産にかかる回収可能価額は個別資産、またはその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであります。のれんの減損テストは単一の事業セグメント単位(単一の資金生成単位)で実施しており、これはのれんを内部管理目的で監視している単位を表しています。回収可能価額の見積りには以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。
·将来キャッシュ・フローの金額および時期
·競合他社の動向(競合製品の販売開始、マーケティングイニシアチブ等)
·規制当局からの承認の取得可能性
·将来の税率
·永続成長率
·割引率
将来キャッシュ・フローの金額および時期を見積るための重要な仮定には、研究開発プロジェクトの成功見込みおよび製品に係る売上予測があります。特にのれんにかかる回収可能価額の見積りにおいては、米国における特定の製品に係る売上予測が重要な仮定となります。これらの仮定に影響を与える事象としては、開発の中止、大幅な上市の遅延、規制当局の承認が得られないことによる研究開発プロジェクトの失敗、もしくは一般的には新たな競合製品の販売開始や供給不足による、一部の上市後製品にかかる売上予測の低下があげられます。これらの事象が発生した場合、プロジェクト獲得以降に実施した当初もしくは事後の研究開発投資額が回収できない、もしくは見積った将来キャッシュ・フローが回収できない可能性があります。
これらの仮定に変更が生じた場合は、当該連結会計年度において減損損失および、のれんを除き、減損損失の戻入れを認識しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11 のれん および 12 無形資産」をご参照ください。
訴訟に係る偶発事象
当社グループは、通常の営業活動において主に製造物責任訴訟および賠償責任訴訟に関与しております。詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。
偶発負債は、その特性から不確実なものであり複雑な判断や可能性に基づいております。訴訟およびその他の偶発事象に係る引当金を算定する際には、該当する訴訟の根拠や管轄、その他の類似した現在および過去の訴訟案件の顛末および発生数、製品の性質、訴訟に関する科学的な事項の評価、和解の可能性ならびに現時点における和解にむけた進行状況等を勘案しております。さらに、未だ提訴されていない製造物責任訴訟については、主に過去の訴訟の経験や製品の使用に係るデータに基づき、費用を合理的に見積ることができる範囲で引当金を計上しております。当社グループが関与する重要な訴訟のうち、それらの最終的な結果により財務上の影響が見込まれる場合であっても、その額について信頼性のある見積りが不可能な訴訟等については、引当金の計上は行っておりません。また、保険の補償範囲期間内である場合は保険による補償についても考慮しております。補償範囲の検討の際に、当社グループは、保険契約の制限や除外、保険会社による補償の拒否の可能性、保険業者の財政状態、ならびに回収可能性および回収期間を考慮しております。引当金および関連する保険補償額の見積りは、連結財政状態計算書上において負債および資産として総額で計上しております。2025年3月31日現在において、係争中の訴訟案件およびその他の案件について125億円の引当金を計上しております。
法人所得税
当社グループは、税法および税規制の解釈指針に基づき税務申告を行っており、これらの判断および解釈に基づいた見積額を計上しております。通常の営業活動において、当社グループの税務申告は様々な税務当局による税務調査の対象であり、これらの調査の結果、追加税額、利息、または罰金の支払いが課される場合があります。法律および様々な管轄地域の租税裁判所の判決に伴う法改正により、不確実な税務ポジションに関する負債の見積りの多くは固有の不確実性を伴います。税務当局が当社グループの税務ポジションを認める可能性が高くないと結論を下した場合に、当社グループは、税務上の不確実性を解消するために必要となる費用の最善の見積り額を認識します。また、未認識の税務上の便益は事実および状況の変化に伴い調整されます。これらの税務ポジションは、例えば、現行の税法の大幅改正、税務当局による税制または解釈指針の発行、税務調査の際に入手した新たな情報、または税務調査の解決により調整が行われる可能性があります。当社グループは、不確実な税務ポジションに係る当社グループの見積りは、現時点において判明している事実および状況に基づき適切かつ十分であると判断しております。
また、各報告期間の末日において繰延税金資産の回収可能性を評価しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予想される将来加算一時差異の解消スケジュール、予想される将来課税所得およびタックスプランニングを考慮しております。収益力に基づく将来課税所得は、主に当社グループの事業計画を基礎として見積られており、当該事業計画に含まれる特定の製品に係る売上収益の予測が変動した場合、認識される繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。過去の課税所得の水準および繰延税金資産が認識できる期間における将来の課税所得の見積りに基づき、実現する可能性が高いと予想される税務上の便益の額を算定しております。2025年3月31日現在における繰延税金資産を認識していない未使用の繰越欠損金、将来減算一時差異、および未使用の繰越税額控除はそれぞれ1兆1,837億円、4,274億円、および270億円であります。将来における見積りおよび仮定の変更は法人所得税費用に重要な影響を与える可能性があります。
事業構造再編費用
当社グループでは、費用削減に関連した取り組みに関連して事業構造再編費用が発生します。退職金が事業構造再編費用の主な内訳であり、事業構造再編に係る引当金は、事業構造再編に係る詳細な公式計画を策定し、かつ計画の実施や影響を受ける関係者への主要な特徴の公表を通じて、影響を受ける関係者に当該事業構造再編が実行されるであろうという妥当な期待を惹起した時点で認識しております。事業構造再編に係る引当金の認識には、支払時期や、事業再編により影響を受ける従業員数等の見積りが必要となります。最終的なコストは当初の見積りから異なる可能性があります。
2024年5月9日に当社は、事業の成長と利益率の改善を促進するための複数年にわたる全社的な効率化プログラムを実施することについて、公表しました。本プログラムには、人員の最適化策を伴う組織構造の簡素化、組織全体での生産性と効率性の向上を図るためのDD&Tへの投資、サプライチェーンおよびベンダー管理プロセスにおけるコスト削減と効率化が含まれております。主に、2024 年5月に公表した当該取り組みにより、2025年3月期に1,281億円の事業構造再編費用を計上し、2026年3月期には480億円を計上することを見込んでいます。それ以降の年度においても徐々に減少する見込みです。
2025年3月31日現在、140億円の事業構造再編に係る引当金を計上しております。事業構造再編に係る引当金及び対前期比の変動の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 23 引当金」をご参照ください。
(ⅲ) 当年度における業績の概要
前年度および当年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。
(単位:億円、%以外) | |||||||
前年度 | 当年度 | AERベース | CERベース | ||||
増減額 | 増減率 | 増減率 | |||||
売上収益 | 42,638 | 45,816 | 3,178 | 7.5 | % | 2.9 | % |
売上原価 | △14,267 | △15,802 | △1,535 | 10.8 | % | 6.5 | % |
販売費及び一般管理費 | △10,538 | △11,048 | △509 | 4.8 | % | 0.6 | % |
研究開発費 | △7,299 | △7,302 | △3 | 0.0 | % | △4.5 | % |
製品に係る無形資産償却費及び減損損失 | △6,521 | △6,432 | 89 | △1.4 | % | △6.0 | % |
その他の営業収益 | 194 | 262 | 68 | 35.3 | % | 30.8 | % |
その他の営業費用 | △2,065 | △2,067 | △2 | 0.1 | % | △3.6 | % |
営業利益 | 2,141 | 3,426 | 1,285 | 60.0 | % | 51.2 | % |
金融収益及び費用(純額) | △1,678 | △1,635 | 42 | △2.5 | % | △5.7 | % |
持分法による投資損益 | 65 | △40 | △105 | - | - | ||
税引前当期利益 | 528 | 1,751 | 1,223 | 231.7 | % | 206.4 | % |
法人所得税費用 | 914 | △669 | △1,583 | - | - | ||
当期利益 | 1,442 | 1,081 | △361 | △25.0 | % | △33.1 | % |
当期利益(親会社の所有者帰属分) | 1,441 | 1,079 | △361 | △25.1 | % | △33.2 | % |
本項において、前年度に対する、国際会計基準(IFRS)に準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減額および増減率は「AER」の表記で示し、国際会計基準(IFRS)に準拠しない恒常為替レート(Constant Exchange Rate)ベースの増減率は「CER」の表記で示しています。「CERベースの増減率」の定義については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。
[売上収益]
売上収益は、4兆5,816億円(+3,178億円および+7.5% AER、+2.9% CER)となりました。これは主に、為替相場が円安に推移したこと、消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)およびワクチンにおいて事業が好調に推移したことによるものです。当社の6つの主要なビジネスエリアのうち、ニューロサイエンス(神経精神疾患)については減収となり、これらのビジネスエリアの増収を一部相殺しました。ニューロサイエンスは、円安による増収影響があったものの、米国における注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤VYVANSEの独占販売期間満了に伴い、2023年8月以降、後発品が参入したことによる影響を引き続き大きく受けて減収となりました。加えて、当社の6つの主要なビジネスエリア以外における減収は、主に日本において高血圧症治療剤アジルバの減収によるものです。アジルバの売上は、118億円(△218億円および△64.9% AER、△64.9% CER)となり、日本において2023年6月以降の後発品の参入による影響を受け減収となりました。
地域別売上収益
各地域の売上収益は以下のとおりです。
(単位:億円、%以外)
売上収益: | 前年度 | 当年度 | AERベース | CERベース | ||
増減額 | 増減率 | 増減率 | ||||
日本 | 4,514 | 4,185 | △329 | △7.3% | △7.4% | |
米国 | 21,957 | 23,797 | 1,839 | 8.4% | 2.5% | |
欧州およびカナダ | 9,668 | 10,553 | 884 | 9.1% | 4.1% | |
中南米 | 1,981 | 2,358 | 377 | 19.1% | 19.7% | |
中国 | 1,748 | 1,917 | 169 | 9.7% | 4.8% | |
アジア(日本および中国を除く) | 864 | 994 | 130 | 15.1% | 11.6% | |
ロシア/CIS | 726 | 724 | △2 | △0.3% | △1.0% | |
その他(注1) | 1,179 | 1,288 | 109 | 9.3% | 4.7% | |
合計 | 42,638 | 45,816 | 3,178 | 7.5% | 2.9% |
(注1) その他の地域は中東、オセアニアおよびアフリカを含みます。
当社グループの売上収益の大部分は、主要な医療用医薬品により占められております。当年度の各ビジネスエリアにおける主要製品の売上は以下のとおりです。
(単位:億円、%以外) | |||||
前年度 | 当年度 | AERベース | CERベース | ||
増減額 | 増減率 | 増減率 | |||
消化器系疾患: | |||||
ENTYVIO(注1) | 8,009 | 9,141 | 1,132 | 14.1% | 8.5% |
GATTEX/レベスティブ | 1,193 | 1,463 | 270 | 22.7% | 17.2% |
タケキャブ/VOCINTI(注2) | 1,185 | 1,308 | 122 | 10.3% | 9.7% |
PANTOLOC/CONTROLOC(注3) | 465 | 446 | △19 | △4.1% | △8.2% |
DEXILANT | 453 | 385 | △67 | △14.9% | △16.5% |
EOHILIA | 2 | 55 | 53 | 2,627.1% | 2,500.6% |
その他 | 855 | 773 | △83 | △9.7% | △13.8% |
消化器系疾患 合計 | 12,162 | 13,570 | 1,408 | 11.6% | 6.8% |
希少疾患: | |||||
タクザイロ | 1,787 | 2,232 | 445 | 24.9% | 18.9% |
アドベイト | 1,229 | 1,118 | △112 | △9.1% | △13.4% |
エラプレース | 916 | 972 | 57 | 6.2% | 2.1% |
リプレガル | 736 | 779 | 43 | 5.8% | 2.1% |
アディノベイト/ADYNOVI | 663 | 646 | △17 | △2.6% | △6.0% |
ビプリブ | 513 | 535 | 22 | 4.2% | △0.5% |
リブテンシティ | 191 | 330 | 139 | 72.9% | 64.5% |
アジンマ | 4 | 71 | 67 | 1,566.2% | 1,515.8% |
その他 | 846 | 847 | 0 | 0.1% | △4.4% |
希少疾患合計 | 6,884 | 7,528 | 644 | 9.4% | 4.6% |
血漿分画製剤: | |||||
免疫グロブリン製剤 | 6,446 | 7,578 | 1,132 | 17.6% | 11.5% |
アルブミン製剤 | 1,340 | 1,414 | 74 | 5.5% | 1.1% |
その他 | 1,251 | 1,335 | 84 | 6.7% | 1.5% |
血漿分画製剤合計 | 9,037 | 10,327 | 1,290 | 14.3% | 8.6% |
オンコロジー: | |||||
アドセトリス | 1,094 | 1,290 | 196 | 17.9% | 14.8% |
リュープリン/ENANTONE | 1,074 | 1,193 | 119 | 11.1% | 8.2% |
ニンラーロ | 874 | 912 | 39 | 4.4% | △0.2% |
アイクルシグ | 547 | 707 | 160 | 29.3% | 23.0% |
FRUZAQLA(注5) | 101 | 480 | 379 | 375.7% | 351.3% |
アルンブリグ | 285 | 364 | 79 | 27.7% | 22.7% |
その他 | 649 | 658 | 9 | 1.3% | 0.3% |
オンコロジー 合計 | 4,624 | 5,604 | 981 | 21.2% | 17.2% |
ワクチン: | |||||
QDENGA | 96 | 356 | 260 | 272.3% | 259.0% |
その他 | 408 | 198 | △210 | △51.4% | △51.4% |
ワクチン 合計 | 504 | 554 | 51 | 10.0% | 7.5% |
ニューロサイエンス: | |||||
VYVANSE/ELVANSE(注4) | 4,232 | 3,506 | △726 | △17.2% | △21.6% |
トリンテリックス | 1,048 | 1,257 | 209 | 20.0% | 14.2% |
ADDERALL XR | 418 | 284 | △133 | △31.9 | △35.3% |
その他 | 572 | 610 | 38 | 6.6% | 4.5% |
ニューロサイエンス 合計 | 6,270 | 5,658 | △612 | △9.8% | △14.1% |
(単位:億円、%以外) | |||||
前年度 | 当年度 | AERベース | CERベース | ||
増減額 | 増減率 | 増減率 | |||
その他: | |||||
アジルバ(注2) | 336 | 118 | △218 | △64.9% | △64.9% |
ホスレノール | 135 | 79 | △56 | △41.5% | △44.1% |
その他 | 2,685 | 2,377 | △309 | △11.5% | △13.2% |
その他 合計 | 3,157 | 2,574 | △583 | △18.5% | △20.0% |
総合計 | 42,638 | 45,816 | 3,178 | 7.5% | 2.9% |
(注1)国内製品名:エンタイビオ
(注2)配合剤、パック製剤を含む。
(注3)一般名:pantoprazole
(注4)国内製品名:ビバンセ
(注5)国内製品名:フリュザクラ
各ビジネスエリアにおける売上収益の前年度からの増減は、主に以下の製品によるものです。
- 消化器系疾患
消化器系疾患の売上収益は、1兆3,570億円(+1,408億円および+11.6% AER、+6.8% CER)となりました。
当社のトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)の売上は、9,141億円(+1,132億円および+14.1% AER、+8.5% CER)となりました。米国における売上は、6,192億円(+731億円および+13.4% AER)となりました。この増収は、炎症性腸疾患に対する生物学的製剤の新規投与の堅調な需要の維持および皮下注射製剤の上市以降、継続的に投与患者が増加したこと、および円安による増収影響によるものです。欧州およびカナダにおける売上は、2,274億円(+316億円および+16.1% AER)となりました。この増収は、皮下注射製剤の継続的な使用拡大に伴い患者が増加したこと、および円安による増収影響によるものです。
短腸症候群治療剤GATTEX/レベスティブの売上は、1,463億円(+270億円および+22.7% AER、+17.2% CER)となりました。この増収は、主に米国における需要増加、処方拡大(小児適応拡大)、および円安による増収影響によるものです。
- 希少疾患
希少疾患の売上収益は、7,528億円(+644億円および+9.4% AER、+4.6% CER)となりました。
遺伝性血管性浮腫治療剤タクザイロの売上は、2,232億円(+445億円および+24.9% AER、+18.9% CER)となりました。この増収は、主に米国、欧州およびカナダにおける高い治療継続率および予防市場の成長により需要が増加していること、および円安による増収影響によるものです。
移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療剤リブテンシティの売上は、330億円(+139億円および+72.9% AER、+64.5% CER)となりました。この増収は、主に米国において市場浸透が継続して好調に進んだことに加え、欧州および成長新興国において引き続き販売エリアが拡大したことによるものです。
酵素補充療法のハンター症候群治療剤エラプレースの売上は、972億円(+57億円および+6.2% AER、+2.1% CER)となりました。この増収は、主に円安による増収影響、および成長新興国における堅調な需要によるものです。
酵素補充療法のファブリー病治療剤リプレガルの売上は、779億円(+43億円および+5.8% AER、+2.1% CER)となりました。この増収は、主に円安による増収影響、および成長新興国での需要の増加によるものです。
血友病A治療剤アドベイトの売上は1,118億円(△112億円および△9.1% AER、△13.4% CER)となりました。この減収は、主に米国における競争激化、および中国における需要減少によるものです。この減収は、円安による増収影響により一部相殺されました。
- 血漿分画製剤
血漿分画製剤の売上収益は、1兆327億円(+1,290億円および+14.3% AER、+8.6% CER)となりました。
免疫グロブリン製剤の売上合計は、7,578億円(+1,132億円および+17.6% AER、+11.5% CER)となりました。3つのグローバル製品の売上は、引き続きグローバルに需要が堅調に推移し供給量が増加したこと、および円安による増収影響により、2桁台の売上増加率となりました。これら3製品には、原発性免疫不全症(PID)と多巣性運動ニューロパチー(MMN)の治療に用いられる静注製剤GAMMAGARD LIQUID/KIOVIGのほか、静注製剤に比べ投薬の利便性が高く、速いペースで成長している皮下注射製剤のキュービトルとハイキュービアが含まれます。
主に血液量減少症と低アルブミン血症の治療に用いられるHUMAN ALBUMINとFLEXBUMINを含むアルブミン製剤の売上合計は、1,414億円(+74億円および+5.5% AER、+1.1% CER)となりました。この増収は、主に円安による増収影響によるものです。
- オンコロジー
オンコロジーの売上収益は、5,604億円(+981億円および+21.2% AER、+17.2% CER)となりました。
大腸がん治療剤FRUZAQLA(国内製品名:フリュザクラ)の売上は、480億円(+379億円および+375.7% AER、+351.3% CER)となりました。この増収は、本剤が転移性大腸がんにおける新たな治療選択肢として、2023年11月に米国で最初に上市して以降、その他の国々でも上市されたことによるものです。
悪性リンパ腫治療剤アドセトリスの売上は、1,290億円(+196億円および+17.9% AER、+14.8% CER)となりました。この増収は、成長新興国および欧州において、主にホジキンリンパ腫の一次治療の使用が増加し堅調な需要となったこと、および円安による増収影響によるものです。
白血病治療剤アイクルシグの売上は、707億円(+160億円および+29.3% AER、+23.0% CER)となりました。この増収は、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)と新たに診断された患者さんの化学療法併用下での治療剤としての追加効能が2024年3月に米国において承認されたこと、および円安による増収影響によるものです。
子宮内膜症・子宮筋腫・閉経前乳がん・前立腺がん等の治療に用いられるリュープリン/ENANTONEの売上は、1,193億円(+119億円および+11.1% AER、+8.2% CER)となりました。この増収は、主に米国および成長新興国における売上が増加したこと、および円安による増収影響によるものです。
- ワクチン
ワクチンの売上収益は、554億円(+51億円および+10.0% AER、+7.5% CER)となりました。
デング熱ワクチンQDENGAの売上は、356億円(+260億円および+272.3% AER、+259.0% CER)となりました。この増収は、デング熱流行国においてQDENGAのアクセスが拡大したことによるものであり、非流行国も含め、約30ヶ国で利用可能となっています。
その他のワクチンの売上合計は、減収となりました。この減収は、主に新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンであるスパイクバックスの日本における流通契約が2024年3月に終了したことによるものです。
- ニューロサイエンス
ニューロサイエンスの売上収益は、5,658億円(△612億円および△9.8% AER、△14.1% CER)となりました。
ADHD治療剤VYVANSE/ELVANSE(国内製品名:ビバンセ)の売上は、3,506億円(△726億円および△17.2% AER、△21.6% CER)となりました。この減収は、米国において2023年8月から複数の後発品が参入したことによるものです。この減収影響は、円安による増収影響により一部相殺されました。
ADHD治療剤ADDERALL XRの売上は、284億円(△133億円および△31.9% AER、△35.3% CER)となりました。この減収は、主に米国における後発品である競合他社の即放性製剤が増加したことによるものであり、本剤に対してはマイナスの影響となりました。
大うつ病(MDD)治療剤トリンテリックスの売上は、1,257億円(+209億円および+20.0% AER、+14.2% CER)となりました。この増収は、主に米国における価格に関する取引条件の改善、および円安による増収影響によるものです。
[売上原価]
売上原価は、1兆5,802億円(+1,535億円および+10.8% AER、+6.5% CER)となりました。この増加は主に、製品構成の変動を含む主要なビジネスエリアの好調な売上の増加および円安による為替影響によるものです。
[販売費及び一般管理費]
販売費及び一般管理費は、1兆1,048億円(+509億円および+4.8% AER、+0.6% CER)となりました。この増加は主に、円安による為替影響によるものです。また、効率化の取り組みにより、データ、デジタルおよびテクノロジーへの追加投資ならびにインフレの影響による費用の増加は大部分が相殺されております。
[研究開発費]
研究開発費は、7,302億円(+3億円および+0.0% AER、△4.5% CER)となりました。効率化の取り組み、およびmodakafusp alfa (TAK-573)や非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYなどの開発プログラムが前年度に終了したことに伴う費用の減少があったものの、円安による為替影響に伴う費用が増加したことにより、前年度と比べ微増となりました。
[製品に係る無形資産償却費及び減損損失]
製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、6,432億円(△89億円および△1.4% AER、△6.0% CER)となりました。この減少は、円安による為替影響により無形資産償却費は増加(+267億円)したものの、仕掛研究開発品および上市後製品に係る減損損失が減少(△355億円)したことによるものです。減損損失の減少は、前年度の計上額が当年度よりも大きかったことによるものです。前年度の減損損失には、主にクローン病に伴う複雑痔瘻治療剤アロフィセルに係る減損損失740億円、非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYの減損損失285億円、およびオンコロジーの仕掛研究開発品の開発中止の決定に伴い計上した減損損失が含まれておりますが、好酸球性食道炎治療剤EOHILIAの減損損失の戻し入れ357億円を計上したことにより一部相殺されております。当年度の計上額には、Maverick Therapeutics Inc.の買収により獲得したTAK-186およびTAK-280の開発中止の決定に伴い計上した減損損失278億円、およびソチクレスタット(TAK-935)の臨床第3相試験において主要評価項目を達成できなかったことにより計上した減損損失215億円が含まれます。
[その他の営業収益]
その他の営業収益は、262億円(+68億円および+35.3% AER、+30.8% CER)となりました。この増加は主に、TACHOSIL(フィブリノゲン配合組織接着・閉鎖パッチ剤)の製造施設を含む事業売却が完了したことにより当年度に計上した売却益61億円によるものです。
[その他の営業費用]
その他の営業費用は、2,067億円(+2億円および+0.1% AER、△3.6% CER)となりました。当年度において、主に全社的な効率化プログラムにより事業構造再編費用が増加(+468億円)したものの、前年度にAbbVie, Inc.(「AbbVie社」)との供給契約に関する訴訟引当金繰入額およびXIIDRA、EOHILIAに係る条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の公正価値変動による評価損を計上したこと、および当年度に承認前在庫に係る評価損の戻し入れを計上したことにより相殺され、前年度と比べ微増となりました。
[営業利益]
営業利益は、上記の要因を反映し、3,426億円(+1,285億円および+60.0% AER、+51.2% CER)となりました。
[金融損益]
金融収益と金融費用をあわせた金融損益は1,635億円の損失(△42億円および△2.5% AER、△5.7% CER)となりました。この減少は主に、為替差損益および為替取引に係るデリバティブ評価損益をあわせた損失が減少したことによるものですが、武田テバファーマ株式会社の株式の売却に係る減損損失189億円を当年度に計上したことにより大部分が相殺されております。
[持分法による投資損益]
当年度の持分法による投資損益は、40億円の損失(△105億円)となりました。前年度の持分法による投資損益は、65億円の利益でした。
[法人所得税費用]
法人所得税費用は、669億円(+1,583億円、前年度は914億円の便益)となりました。この増加は主に、前年度において、2014年にShire社がAbbVie社から受領した買収違約金の取り扱いに係る税務評価について、アイルランド歳入庁と和解したことに伴い和解金を超える部分の未払法人所得税を振り戻したことによる税金費用の減額635億円を認識したこと、当年度における繰延税金資産の回収可能性の評価の見直しによる税金費用の増加、および税引前当期利益の増加によるものです。
[当期利益]
当期利益は、上記の要因を反映し、1,081億円(△361億円および△25.0% AER、△33.1% CER)、当期利益(親会社の所有者帰属分)は、1,079億円(△361億円および△25.1% AER、△33.2% CER)となりました。
(ⅳ) 当年度におけるCore業績の概要
補足的分析:Core財務指標に基づく業績(IFRSに準拠しない指標)
IFRSに準拠して作成された業績に加え、当社グループは、補足的に、Core財務指標に基づく業績も表示しております。投資家におかれましては、 Core財務指標の定義、有用性の限界、最も良く対応するIFRSに準拠した財務指標への調整を含む、より詳細な情報については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。当社グループは、また、Core財務指標のCERベースの増減率についても表示しております。詳細については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。
Core業績
(単位:億円、%以外) | |||||||
前年度 | 当年度 | AERベース | CERベース | ||||
増減額 | 増減率 | 増減率 | |||||
Core売上収益 | 42,638 | 45,798 | 3,161 | 7.4 | % | 2.8 | % |
Core営業利益 | 10,549 | 11,626 | 1,078 | 10.2 | % | 4.9 | % |
Core当期利益 | 7,569 | 7,758 | 189 | 2.5 | % | △3.4 | % |
Core当期利益 (親会社の所有者帰属分) | 7,568 | 7,756 | 188 | 2.5 | % | △3.4 | % |
Core EPS(円) | 484 | 491 | 7 | 1.5 | % | △4.3 | % |
[Core売上収益]
Core売上収益は、4兆5,798億円(+3,161億円および+7.4% AER、+2.8% CER)となりました。この増加は主に、為替相場が円安に推移したこと、および売上収益の合計が2兆2,019億円(+3,759億円および+20.6% AER、+14.7% CER)となったタケダの成長製品・新製品(注)が当社の事業を好調に牽引したことによるものです。これらの増加は、米国におけるVYVANSEおよび日本におけるアジルバの独占販売期間満了後の後発品の参入による売上の減少により一部相殺されました。
(注)当年度のタケダの成長製品・新製品
消化器系疾患:ENTYVIO、EOHILIA希少疾患:タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ血漿分画製剤(免疫疾患):GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤、HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含むアルブミン製剤オンコロジー:アルンブリグ、FRUZAQLAワクチン:QDENGA
[Core営業利益]
Core営業利益は、1兆1,626億円(+1,078億円および+10.2% AER、+4.9% CER)となりました。Core営業利益の内訳は以下の通りです。
(単位:億円、%以外) | |||||||
前年度 | 当年度 | AERベース | CERベース | ||||
増減額 | 増減率 | 増減率 | |||||
Core売上収益 | 42,638 | 45,798 | 3,161 | 7.4 | % | 2.8 | % |
Core売上原価 | △14,263 | △15,818 | △1,555 | 10.9 | % | 6.6 | % |
Core販売費及び 一般管理費 | △10,530 | △11,050 | △521 | 4.9 | % | 0.7 | % |
Core研究開発費 | △7,296 | △7,304 | △7 | 0.1 | % | △4.4 | % |
Core営業利益 | 10,549 | 11,626 | 1,078 | 10.2 | % | 4.9 | % |
報告期間における上記項目の増減は以下の通りです。
[Core売上原価]
Core売上原価は、1兆5,818億円(+1,555億円および+10.9% AER、+6.6% CER)となりました。この増加は主に、製品構成の変動を伴う主要なビジネスエリアの好調な売上の増加および円安による為替影響によるものです。
[Core販売費及び一般管理費]
Core販売費及び一般管理費は、1兆1,050億円(+521億円および+4.9% AER、+0.7% CER)となりました。この増加は主に、円安による為替影響によるものです。また、効率化の取り組みにより、データ、デジタルおよびテクノロジーへの追加投資ならびにインフレの影響による費用の増加は大部分が相殺されております。
[Core研究開発費]
Core研究開発費は、7,304億円(+7億円および+0.1% AER、△4.4% CER)となりました。効率化の取り組み、およびmodakafusp alfa (TAK-573)や非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYなどの開発プログラムが前年度に終了したことに伴う費用の減少があったものの、円安による為替影響に伴う費用が増加したことにより、前年度と比べ微増となりました。
[Core当期利益]
Core当期利益は、7,758億円(+189億円および+2.5% AER、△3.4% CER)、Core当期利益(親会社の所有者帰属分)は、7,756億円(+188億円および+2.5% AER、△3.4% CER)となりました。Core当期利益は、Core営業利益に基づき、以下の通り算出されます。
(単位:億円、%以外) | |||||||
前年度 | 当年度 | AERベース | CERベース | ||||
増減額 | 増減率 | 増減率 | |||||
Core営業利益 | 10,549 | 11,626 | 1,078 | 10.2 | % | 4.9 | % |
Core金融収益及び費用(純額) | △1,420 | △1,407 | 13 | △0.9 | % | △4.5 | % |
Core持分法による投資損益 | 59 | 11 | △48 | △81.2 | % | △82.2 | % |
Core税引前当期利益 | 9,188 | 10,231 | 1,043 | 11.3 | % | 5.8 | % |
Core法人所得税費用 | △1,619 | △2,473 | △854 | 52.7 | % | 48.7 | % |
Core当期利益 | 7,569 | 7,758 | 189 | 2.5 | % | △3.4 | % |
Core当期利益 (親会社の所有者帰属分) | 7,568 | 7,756 | 188 | 2.5 | % | △3.4 | % |
報告期間における上記項目の増減は以下の通りです。
[Core金融損益]
Core金融収益とCore金融費用をあわせた金融損益は、1,407億円の損失(△13億円および△0.9% AER、△4.5% CER)となりました。
[Core持分法による投資損益]
Core持分法による投資損益は、11億円の利益(△48億円および△81.2% AER、△82.2% CER)となりました。
[Core税引前当期利益]
Core税引前当期利益は、1兆231億円(+1,043億円および+11.3% AER、+5.8% CER)となりました。
[Core法人所得税費用]
Core法人所得税費用は、2,473億円(+854億円および+52.7% AER、+48.7% CER)となりました。この増加は主に、Core税引前当期利益の増加、当年度における繰延税金資産の回収可能性の評価の見直しによるCore税金費用の増加、および前年度において税務上の不確実事項が有利に解決されたことによる税金費用の減少があったことによるものです。
[Core EPS]
当年度のCore EPSは、491円(+7円および+1.5% AER、△4.3% CER)となりました。
(b)当年度の財政状態の分析
(単位:億円) | |||
前年度末 | 当年度末 | 増減額 | |
資産合計 | 151,088 | 142,483 | △8,604 |
負債合計 | 78,348 | 73,124 | △5,224 |
資本合計 | 72,740 | 69,360 | △3,380 |
[資産]
当年度末における資産合計は、14兆2,483億円(△8,604億円)となりました。この減少は、特定の無形資産の取得により一部相殺されたものの、償却、減損損失および為替換算の影響により、無形資産が減少(△6,431億円)したこと、主に為替換算の影響により、のれんが減少(△856億円)したこと、主に武田テバファーマ株式会社の株式の売却により、持分法で会計処理されている投資が減少(△790億円)したことによるものです。
[負債]
当年度末における負債合計は、7兆3,124億円(△5,224億円)となりました。社債及び借入金合計は、米ドル建無担保普通社債の発行により一部相殺されたものの、主にシンジケートローンの事前返済および無担保普通社債の償還により減少し、4兆5,153億円(注)(△3,285億円)となりました。また主に米国における無形資産の償却により、繰延税金負債が減少(△786億円)しております。加えて、主にProtagonist Therapeutics, Inc.への支払いを含む、契約一時金に係る前年度の債務が大きかったことにより、当年度の仕入債務及びその他の債務は減少(△720億円)しております。
(注)当年度末における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ4兆1,906億円および3,246億円です。なお、社債及び借入金の内訳は以下の通りです。
社債:
銘柄 (外貨建発行額) | 発行時期 | 償還期限 | 帳簿価額 |
米ドル建無担保普通社債 (1,301百万米ドル) | 2015年6月 | 2025年6月 ~2045年6月 | 1,953億円 |
米ドル建無担保普通社債 (1,500百万米ドル) | 2016年9月 | 2026年9月 | 2,190億円 |
ユーロ建無担保普通社債 (3,000百万ユーロ) | 2018年11月 | 2026年11月 ~2030年11月 | 4,822億円 |
米ドル建無担保普通社債 (1,750百万米ドル) | 2018年11月 | 2028年11月 | 2,597億円 |
米ドル建無担保普通社債 (7,000百万米ドル) | 2020年7月 | 2030年3月 ~2060年7月 | 1兆370億円 |
ユーロ建無担保普通社債 (3,600百万ユーロ) | 2020年7月 | 2027年7月 ~2040年7月 | 5,777億円 |
円貨建無担保普通社債 | 2021年10月 | 2031年10月 | 2,496億円 |
ハイブリッド社債 (劣後特約付社債) | 2024年6月 | 2084年6月 | 4,580億円 |
米ドル建無担保普通社債 (3,000百万米ドル) | 2024年7月 | 2034年7月 ~2064年7月 | 4,422億円 |
コマーシャル・ペーパー | 2025年2月 ~2025年3月 | 2025年4月 ~2025年6月 | 2,700億円 |
合計 | 4兆1,906億円 |
借入金:
名称 (外貨建借入額) | 借入時期 | 返済期限 | 帳簿価額 |
バイラテラルローン | 2016年3月 ~2024年4月 | 2025年4月 ~2031年4月 | 2,100億円 |
バイラテラルローン (500百万米ドル) | 2025年3月 | 2025年4月 | 745億円 |
シンジケート ハイブリッド ローン (劣後特約付ローン) | 2024年10月 | 2084年10月 | 400億円 |
その他 | 1億円 | ||
合計 | 3,246億円 |
当社グループは、2024年4月25日に、バイラテラルローン500億円を満期返済するとともに、同日に、2031年4月25日満期のバイラテラルローン500億円の借入を実行しました。その後、2024年6月25日には、発行総額4,600億円、償還期日2084年6月25日の60年無担保ハイブリッド社債を発行しました。
2024年7月5日には、発行総額3,000百万米ドル、償還期日2034年7月5日から2064年7月5日の米ドル建無担保普通社債(本社債)を発行しました。本社債の発行により調達した資金を充当することにより、2024年7月12日に2026年9月満期の無担保普通社債1,500百万米ドルを公開買付で繰上償還するとともに、同年7月にコマーシャル・ペーパーを償還しました。
2024年10月3日には、2084年10月3日満期のシンジケートハイブリッドローン400億円の借入を実行しました。2024年10月6日には、2024年6月25日に発行したハイブリッド社債により調達した資金とともに、シンジケートハイブリッドローンにより調達した資金を充当することにより、2019年6月に発行したハイブリッド社債5,000億円を2079年6月6日の償還期日に先立ち繰上償還しました。
2025年3月31日には、シンジケートローン3,135億円および1,500百万米ドルを2026年4月27日から2030年4月26日の満期に先立ち期限前弁済しました。この期限前弁済のため、手元現金、2025年3月31日に借入れた短期ローン500百万米ドル、および短期コマーシャル・ペーパーにより調達した資金を充当しました。なお、当年度末におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は2,700億円となりました。
社債及び借入金の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照ください。
[資本]
当年度末における資本合計は、6兆9,360億円(△3,380億円)となりました。利益剰余金の減少(△2,036億円)は、当期利益1,081億円の計上により一部相殺されたものの、主に配当金の支払いに伴う3,032億円の減少によるものです。その他の資本の構成要素の減少(△1,574億円)は、主に円安の影響による為替換算調整勘定の変動によるものです。
(c)流動性および資金調達源
資金の調達および使途
当社グループにおいて流動性は、主に営業活動に必要な現金、資本支出、契約上の義務、債務の返済、利息や配当の支払いに関連して必要となります。営業活動においては、研究開発費、マイルストン支払い、販売およびマーケティングに係る費用、人件費およびその他の一般管理費、原材料費等の支払いにあたり現金が必要となります。また、法人所得税の支払いや運転資金にも多額の現金が必要となります。
当社グループは、生産設備の能力増強・合理化、減価償却を終えた資産の入れ替え、業務管理の効率化等のために設備投資を行っています。無形資産に係る資本的支出は、主に第三者のパートナーから導入したライセンス製品に対するマイルストン支払い、およびソフトウェア開発費です。連結財政状態計算書に計上されている有形固定資産および無形資産に係る資本支出は、2024年3月期および2025年3月期において、それぞれ4,967億円および3,194億円であります。また、2025年3月31日現在において、有形固定資産の取得に関する契約上のコミットメントは201億円であります。加えて、2025年3月31日現在において、無形資産の取得に関して契約上の取決めを有しております。無形資産に係るマイルストン支払いの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。また、資本管理の一環として、当社グループは、資金需要、市場等の環境、またはその他の関連する要因に照らして、定期的に資本的支出の評価を行っております。
当社の配当金の支払額は、2024年3月期および2025年3月期において、それぞれ2,885億円および3,039億円であります。2025年3月期については、1株当たり年間配当金額を196円(中間配当金および期末配当金それぞれ98円)としましたが、2026年3月期については、1株当たり、中間配当金および期末配当金をそれぞれ100円ずつとし、年間200円とすることを目指しています。当社の配当政策については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。
当社グループは、有利子負債に対し元本と利息を支払う必要があります。2025年3月31日現在において、1年内に必要となる利息の支払額および負債の返済額は、それぞれ1,128億円、5,489億円であります。詳細は、「有利子負債および金融債務」をご参照ください。
当社グループの資金の主な調達源は、主に現金及び現金同等物、短期コマーシャル・ペーパー、金融機関からのコミットメントラインによる借入、グローバル資本市場における社債発行を含む長期債務による資金調達であります。さらに、当社グループは、コンティンジェンシーの調達源として、2024年3月31日および2025年3月31日現在において、金融機関から極度額1,500億円および750百万米ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しております。
当社グループは、キャッシュ・フロー予測に基づき保有外貨を監視し、調整しております。当社グループの事業の大部分は日本国外で行っており、多額の現金を日本国外に保有しております。日本国内で必要なキャッシュ・フローを創出するために外貨を使用することは国内規制による影響を受ける可能性があり、また比較的影響は小さいものの、日本へ現金を移転することから生じる所得税による影響も受けます。
当社グループは、引き続き、資金調達の状況について注視しており、短期的には、一般的な市況による資金調達不足または流動性不足は現在見込んではおりません。なお、必要に応じた市場およびその他の供給源からの追加の資金調達力に加えて、当社グループの資本支出計画を必要かつ適切な範囲で見直すことによって、資金調達および流動性の需要を管理する場合があります。
2025年3月31日現在において、当社グループは、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有していた預り金1,058億円を含む、3,851億円の現金及び現金同等物と、7,000億円の未使用のバンク・コミットメントライン契約を保有しております。加えて、公正価値ヒエラルキーにてレベル1に分類される米国債793億円を保持しております。したがって、利用可能な流動性の合計は1兆587億円となり、現在の事業活動に必要となる資金は十分に確保できていると考えております。また、当社グループは、事業活動を支えるため、持続的に高い流動性を保ち、資本市場へのアクセス拡大を追求していきます。
連結キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(単位:億円)
前年度 | 当年度 | 増減額 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 7,163 | 10,572 | 3,408 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △4,639 | △3,671 | 968 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △3,544 | △7,514 | △3,970 |
現金及び現金同等物の増減額 | △1,019 | △613 | 406 |
現金及び現金同等物の期首残高 | 5,335 | 4,578 | △757 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | 262 | △114 | △376 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 4,578 | 3,851 | △727 |
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、1兆572億円(+3,408億円)となりました。この増加は主に、引当金および棚卸資産の変動により資産及び負債の増減額が増加したことによるものです。この増加は、非資金項目およびその他の調整項目を調整した後の当期利益の減少により一部相殺されております。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、△3,671億円(+968億円)となりました。この増加は主に、無形資産の取得による支出の減少、および武田テバファーマ株式会社の株式の売却を含む関連会社株式の売却による収入によるものです。この増加は、米国債の取得による支出、AC Immune SAへの契約一時金の支払いおよびAscentage Pharma Group Internationalへのマイノリティ出資およびライセンスオプションの取得による支出を含む、他の投資活動により一部相殺されております。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、△7,514億円(△3,970億円)となりました。この減少は主に、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの純増加額の減少、シンジケートローンおよびハイブリッド社債の返済・償還、ならびに自己株式の取得によるものです。この減少は、ハイブリッド社債および米ドル建無担保普通社債等の社債の発行による収入により一部相殺されております。
補足的分析:フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー(IFRSに準拠しない財務指標)
フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは、IFRSに準拠しない(以下、「Non-IFRS」)指標であります。詳細については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。IFRSに準拠した指標の中で、フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローが最も類似します。
(単位:億円)
前年度 | 当年度 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー(IFRS) | 7,163 | 10,572 |
フリー・キャッシュ・フロー(Non-IFRS) | 5,409 | 8,564 |
調整後フリー・キャッシュ・フロー(Non-IFRS) | 2,834 | 7,690 |
フリー・キャッシュ・フローは、8,564億円(+3,155億円)となりました。この増加は主に、営業活動によるキャッシュ・フローが増加したことによるものです。
調整後フリー・キャッシュ・フローは、7,690億円(+4,855億円)となりました。この増加は主に、フリー・キャッシュ・フローの増加に加え、無形資産の取得による支出が減少したことによるものです。
有利子負債および金融債務
2024年3月31日および2025年3月31日現在において社債および借入金はそれぞれ4兆8,438億円、4兆5,153億円であります。これらの有利子負債は、当社グループが発行した無担保社債、普通社債、バイラテラルローン、およびシンジケートローン、また、Shire社買収に必要な資金の一部を調達するための借入金、およびShire社買収により引き受けた負債、借り換えた負債を含み、連結財政状態計算書に計上されております。当社グループの借入金は主に買収関連で発生したものであり、季節性によるものではありません。
当社グループは、2024年4月25日に、バイラテラルローン500億円を満期返済するとともに、同日に、2031年4月25日満期のバイラテラルローン500億円の借入を実行しました。その後、2024年6月25日には、発行総額4,600億円、償還期日2084年6月25日の60年無担保ハイブリッド社債を発行しました。2024年7月5日には、発行総額3,000百万米ドル、償還期日2034年7月5日から2064年7月5日の米ドル建無担保普通社債(本社債)を発行しました。本社債の発行により調達した資金を充当することにより、2024年7月12日に2026年9月満期の無担保普通社債1,500百万米ドルを公開買付で繰上償還するとともに、同年7月にコマーシャル・ペーパーを償還しました。2024年10月3日には、2084年10月3日満期のシンジケート ハイブリッド ローン400億円の借入を実行しました。2024年10月6日には、2024年6月25日に発行したハイブリッド社債により調達した資金とともに、シンジケート ハイブリッド ローンにより調達した資金を充当することにより、2019年6月に発行したハイブリッド社債5,000億円を2079年6月6日の償還期日に先立ち繰上償還しました。2025年3月31日には、シンジケートローン3,135億円および1,500百万米ドルを2026年4月27日から2030年4月26日の満期に先立ち期限前弁済しました。この期限前弁済のため、手元現金、2025年3月31日に借入れた短期ローン500百万米ドル、および短期コマーシャル・ペーパーにより調達した資金を充当しました。なお、当年度末におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は2,700億円となりました。
2025年3月31日現在において、当社グループは一定の財務制限条項が含まれるコミットメントファシリティー契約を保有しております。当該財務制限条項には、毎年3月末および9月末において連結財政状態計算書における調整後純有利子負債の過去12か月間の調整後EBITDA(調整後EBITDAはファシリティー契約書にて定義されたもの)に対する比率が一定水準を上回らないことを求める財務制限条項が含まれています。2025年3月31日時点においては、2024年3月31日時点と同様に、当社グループは全ての財務制限条項を遵守しております。また、2019年に設定された7,000億円の未使用のコミットメントラインからの借入を制限する事象はありません。当コミットメントラインの現在の期限は2026年9月であります。
当社グループは、短期の流動性の管理のため、日本の無担保コマーシャル・ペーパープログラムを保有しております。2024年3月31日現在におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は3,170億円、2025年3月31日現在におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は2,700億円となりました。当社グループは、さらに2024年3月31日および2025年3月31日現在において、極度額1,500億円および750百万米ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しておりますが、借入はしておりません。
社債及び借入金の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照ください。
信用格付け
当社グループの信用格付けは、当社グループの財務の健全性、業績、債務の返済能力等に関する各格付機関の意見が反映されております。本報告書時点における当社グループの信用格付けは以下のとおりです。
格付会社 | カテゴリー | 信用格付 | アウトルック | 評価構造 |
S&Pグローバル・レーティング | 発行体格付け/外貨長期および国内通貨長期 | BBB+ | 安定的 | 11段階の格付けのうち上から4番目であり、同じカテゴリーの中で1番目 (例:BBB+,BBB,BBB-は同じカテゴリーに属する) |
発行体格付け(短期) | A-2 | 6段階の格付けのうちの2番目 | ||
ムーディーズ | 長期発行体格付および長期優先無担保格付け | Baa1 | 安定的 | 9段階の格付けのうち上から4番目であり、同じカテゴリーの中で1番目 (例:Baa1,Baa2,Baa3は同じカテゴリーに属する) |
この格付けは、社債の購入、売却、保有を推奨するものではありません。この格付けは指定された格付機関によって適宜改訂あるいは撤回される可能性があります。それぞれの財務の健全性レーティングは、独立評価されたものであります。
重要な契約上の負債
2025年3月31日現在における契約上の負債は以下のとおりです。
(単位:億円)
総契約額(注1) | 1年以内 | 1年超3年以内 | 3年超5年以内 | 5年超 | |
社債及び借入金の返済(注2) | |||||
社債(注3) | 56,359 | 4,998 | 7,866 | 14,022 | 29,473 |
借入金(注3) | 3,349 | 1,620 | 37 | 1,184 | 508 |
有形固定資産の取得に関する義務 | 201 | 201 | — | — | - |
リース負債の返済 | 8,258 | 644 | 1,115 | 1,001 | 5,497 |
開始していないリース | 2,212 | — | 195 | 258 | 1,759 |
確定給付制度への拠出(注4) | 102 | 102 | — | — | — |
合計(注5) (注6) | 70,481 | 7,565 | 9,213 | 16,465 | 37,237 |
(注1) 2025年3月31日現在における日本円以外の通貨建債務は、期末為替レートで日本円に換算しており、為替レートの変動により金額が異なる可能性があります。
(注2) 利息支払義務を含みます。
(注3) 「3年超5年以内」の契約額には、2024年ハイブリッド社債(劣後特約付社債)の元本4,600億円および2024年シンジケート ハイブリッド ローン(劣後特約付ローン)の元本400億円が含まれております。これは、それぞれ2029年6月25日の初回繰上償還日および同年10月3日の初回期日前弁済日に、全額が償還、弁済される見込みであるためです。ハイブリッド社債およびシンジケート ハイブリッド ローンの元本および利息の詳細については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照ください。
(注4) 2026年4月以降の年金および退職後給付制度への拠出額については、拠出の時期が不確実であり、利率、運用収益、法律およびその他の変動要因に依存するため、確定することはできません。
(注5) 確定給付債務、訴訟引当金および長期未払法人税等、時期を見積もることができない契約上の負債、また、金額が公正価値の変動により変化するデリバティブ負債および条件付対価契約に関する金融負債は含まれておりません。なお、2025年3月31日現在のデリバティブ負債および条件付対価契約に関する金融負債の帳簿価額は、それぞれ165億円および44億円であります。また、特定の将来の事象の発生に左右されるマイルストン支払いも含んでおりません。
(注6) 通常の事業活動における購買に関する発注は含んでおりません。
オフバランス取引
マイルストン支払
新製品の開発に係る第三者との提携契約に基づき、当社グループは、パイプライン品目の開発、新製品の上市および上市後の販売等にかかる一定のマイルストン達成に応じた支払義務が生じる場合があります。2025年3月31日現在における潜在的なマイルストン支払の契約金額は1兆743億円であります。これらは、潜在的なコマーシャルマイルストン支払を除いた金額であります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 13 共同研究開発契約、ライセンス契約、その他の資産取得等 および 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。
補足的分析:財務レバレッジ(調整後有利子負債/調整後EBITDA倍率)(IFRSに準拠しない指標)
特に、Shire社買収に伴い、投資家、アナリストおよび格付機関は、当社グループの(調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率で表される)財務レバレッジを綿密にモニターしております。調整後純有利子負債、調整後EBITDAおよび調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率はすべて、IFRSに準拠しない財務指標です。社債および借入金から調整後純有利子負債への調整、当期利益からEBITDAおよび調整後EBITDAへの調整等、最も良く対応するIFRS財務指標への調整を含む詳細については、「(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。各報告日現在における当社グループの調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率および最も良く対応するIFRS財務指標の各比率は以下のとおりです。
(単位:億円、倍率以外)
前年度 | 当年度 | |
IFRS: | ||
社債及び借入金 | △48,438 | △45,153 |
当期利益 | 1,442 | 1,081 |
社債及び借入金/当期利益倍率 | 33.6x | 41.8x |
Non-IFRS: | ||
調整後純有利子負債 | △40,913 | △39,755 |
調整後EBITDA | 13,199 | 14,410 |
調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率 | 3.1x | 2.8x |
(d)当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標
IFRSに準拠して表示される業績に加えて、当社グループは、IFRSに準拠しない(以下、「Non-IFRS」)補足的財務指標を表示しております。これらの財務指標には、CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減、Core財務指標、純有利子負債、調整後純有利子負債、EBITDA、調整後EBITDA、フリー・キャッシュ・フロー、調整後フリー・キャッシュ・フローが含まれます。
当社グループの経営陣は業績および財政状態の評価並びに経営及び投資判断を、IFRSに準拠した指標及び本セクションに記載のNon-IFRS財務指標に基づいて行っています。当社グループは、当社グループの経営成績および財政状態の分析における追加情報として、また、当社の経営陣が経営成績および財政状態をどのように評価しているかを投資家に理解いただくにあたり、両指標を表示しております。当社グループのNon-IFRS財務指標においては、最も良く対応するIFRSに準拠した財務指標では含まれることとなる一定の利益、コスト、キャッシュ・フローまたは財政状態計算書上の項目を除外または調整しております。これらの財務指標は、IFRSに準拠するものではなく、補足的なものであり、また、IFRSに準拠した財務指標に代替するものではありません(IFRSに準拠した財務指標を「財務ベース」指標として参照している場合があります)。投資家におかれましては、当社グループの過去の財務諸表全体を確認し、IFRSに準拠して表示されている指標を当社グループの業績評価の主要な指標として使用することを強く推奨します。また、Non-IFRS財務指標の定義と、これらに最も良く対応するIFRSに準拠した財務指標との調整表を併せてご参照ください。さらに、これらのNon-IFRS財務指標に関する記載、特にこれらの財務指標の有用性の限界について把握し、製薬業界における他社が表示している、類似の名称を付した財務指標との相違についてご理解ください。
Core財務指標
当社グループのCore売上収益、Core営業利益、Core当期利益(親会社の所有者帰属分)、Core EPSをはじめとするCore財務指標は、売却に伴う収益、製品(仕掛研究開発品を含む)に係る無形資産償却費及び減損損失、その他、非定常的な事象に基づく影響、企業結合会計影響や買収関連費用など、当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除しています。Core売上収益は、財務ベースの売上収益から、当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない売上収益に係る影響(主に、事業売却および清算に係る売上収益および関連する調整)を控除して算出します。Core営業利益は、財務ベースの営業利益から、その他の営業収益及びその他の営業費用、製品(仕掛研究開発品を含む)に係る無形資産償却費及び減損損失、その他、非資金項目または当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除して算出します。Core EPSは、財務ベースの当期利益(親会社の所有者帰属分)から、Core営業利益の算出において控除された項目、および特別、非定常的な事象に基づく影響、または当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除して算出します。これらには、条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響などが含まれます。さらに、これらの調整項目に係る税金影響を控除した後、報告期間の自己株式控除後の平均発行済株式総数で除して算出します。
当社グループがCore財務指標を表示する理由は、これらの指標が、当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除するものであり、当社グループ事業の本質的な業績を理解していただくにあたり有用であると考えているためです。控除される項目には、(i) 前年度から著しく変動する項目、もしくは毎年度発生するものではない項目、または(ii) 当社グループの中核事業の本質的な業績の変動とはほぼ相関関係がないと認められる項目が含まれます。同様の指標は、同業他社においても頻繁に使用されていると認識しており、本指標を表示することは、投資家が当社グループの業績を過年度の業績と比較される際だけではなく、同業他社と類似の基準に基づき比較される際にも有用になると考えています。また、当社グループがCore財務指標を表示する理由は、これらの指標が予算の策定や報酬の設定(CEOおよびCFOのインセンティブ報酬を含む、当社グループの短期インセンティブ並びに長期インセンティブ報酬プログラムに係る一定の目標はCore財務指標の結果に関連して設定。「(4)役員の報酬等」をご参照ください)に用いられているためです。
投資家にとってのCore財務指標の有用性には、一例として次の限界があります。例えば、(i) 製薬業界における他社を含む、他社において用いられている類似の名称を付した財務指標とは必ずしも同一ではありません、(ii) 無形資産の売却や償却などの非資金費用の影響を含む、当社グループの業績、価値又は将来見通しの評価において重要とみなされる可能性のある財務情報や事象が除外されています、(iii) 将来にわたって継続的に発生する可能性のある項目又は項目の種類が除外されています(ただし、当社グループの方針として、事業運営に必要な経常的に発生する営業費用の支出については調整していません)、(iv) 投資家が当社グループの業績を理解する上で重要とみなす可能性のあるすべての項目が含まれていない、又は、重要とみなさないであろうすべての項目が除外されていない場合があります。
下表は、各報告期間における、当社グループのCore財務指標とIFRSに準拠して作成し、表示された最も良く対応するIFRS財務指標との間の調整を示しています。これには、(i) Core売上収益とIFRSに準拠して表示された売上収益、(ii) Core営業利益とIFRSに準拠して表示された営業利益、および (iii) Core当期利益(親会社の所有者帰属分)とIFRSに準拠して表示された当期利益(親会社の所有者帰属分)が含まれます。
当年度の売上収益および営業利益からCore売上収益およびCore営業利益への調整は次の通りです。
(単位:億円)
財務ベース(IFRS) | 無形資産に係る償却費 | 無形資産に係る減損損失 | その他の営業収益および営業費用(注2) | その他(注3) | Core財務指標 (Non-IFRS) | |
売上収益 | 45,816 | - | - | - | △17 | 45,798 |
売上原価 | △15,802 | - | - | - | △16 | △15,818 |
販売費及び一般管理費 | △11,048 | - | - | - | △3 | △11,050 |
研究開発費 | △7,302 | - | - | - | △1 | △7,304 |
製品に係る無形資産償却費 | △5,482 | 5,482 | - | - | - | - |
製品に係る(注1)無形資産減損損失 | △950 | - | 950 | - | - | - |
その他の営業収益(営業費用) | △1,805 | - | - | 1,843 | △38 | - |
営業利益 | 3,426 | 5,482 | 950 | 1,843 | △75 | 11,626 |
(注1) 製品に係る無形資産には、仕掛研究開発品を含みます。
(注2) その他の営業収益(営業費用)には、条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の公正価値変動額、有形固定資産および投資不動産の売却損益、事業譲渡及び子会社株式売却益、寄付金、 サブリースに係る賃貸借料、事業構造再編費用、承認前在庫に係る評価損、治験終了後投与に係る費用、売却目的で保有する資産の減損、訴訟引当金、オプション権に係る評価損、非定常的なその他の営業収益(営業費用)を含みます。
(注3) その他:売上収益およびその他の営業収益(営業費用)には、2025年3月期に行った武田テバ薬品株式会社(以下、「Teva社」)の株式売却に伴う、テバ社に売却した資産について認識された17億円の繰延収益および38億円のテバ社への事業譲渡に係る繰延利益を含みます。売上原価には、2019年3月期に完了したShire社の買収に関連する有形固定資産の公正価値の費用化を含みます。
前年度の売上収益および営業利益からCore売上収益およびCore営業利益への調整は次の通りです。
(単位:億円)
財務ベース(IFRS) | 無形資産に係る償却費 | 無形資産に係る減損損失 | その他の営業収益および営業費用(注2) | その他 | Core財務指標 (Non-IFRS) | |
売上収益 | 42,638 | - | - | - | - | 42,638 |
売上原価 | △14,267 | - | - | - | 4 | △14,263 |
販売費及び一般管理費 | △10,538 | - | - | - | 9 | △10,530 |
研究開発費 | △7,299 | - | - | - | 3 | △7,296 |
製品に係る無形資産償却費 | △5,215 | 5,215 | - | - | - | - |
製品に係る(注1)無形資産減損損失 | △1,306 | - | 1,306 | - | - | - |
その他の営業収益(営業費用) | △1,871 | - | - | 1,871 | - | - |
営業利益 | 2,141 | 5,215 | 1,306 | 1,871 | 15 | 10,549 |
(注1) 製品に係る無形資産には、仕掛研究開発品を含みます。
(注2) その他の営業収益(営業費用)には、条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の公正価値変動額、有形固定資産および投資不動産の売却損益、事業譲渡及び子会社株式売却益、寄付金、サブリースに係る賃貸借料、事業構造再編費用、承認前在庫に係る評価損、売却目的で保有する資産の減損、訴訟引当金およびオプション権に係る評価損を含みます。
当年度の当期利益(親会社の所有者帰属分)からCore当期利益(親会社の所有者帰属分)への調整は次の通りです。
(単位:億円、%以外)
財務ベース(IFRS) | 無形資産に係る償却費 | 無形資産に係る減損損失 | その他の営業収益および営業費用 | その他(注1) | Core財務指標 (Non-IFRS) | |
営業利益 | 3,426 | 5,482 | 950 | 1,843 | △75 | 11,626 |
対売上収益比率(%) | 7.5% | - | - | - | - | 25.4% |
金融収益及び費用(純額) | △1,635 | - | - | - | 228 | △1,407 |
持分法による投資損益 | △40 | - | - | - | 51 | 11 |
税引前当期利益 | 1,751 | 5,482 | 950 | 1,843 | 204 | 10,231 |
法人所得税費用(注2) | △669 | △1,149 | △234 | △451 | 32 | △2,473 |
当期利益 | 1,081 | 4,333 | 716 | 1,392 | 236 | 7,758 |
非支配持分 | 2 | - | - | - | - | 2 |
当期利益 (親会社の所有者帰属分) | 1,079 | 4,333 | 716 | 1,392 | 236 | 7,756 |
(注1) その他:金融収益及び費用(純額)には、超インフレ経済下にあり、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」が適用されている子会社の非資金項目に係る損失、ならびにノン・コア取引に係る金融収益および費用を含みます。持分法による投資損益には、事業売却および清算に係る損益ならびにその他の公正価値調整を含みます。
(注2) IFRS会計基準に基づく業績とCore業績との間の調整に係る税金は、当該調整が計上される管轄地域において項目に適用される法定税率を考慮しています。税引前当期利益に対するCore調整額(8,480億円)に係る法人所得税費用は1,803億円であり、Core調整に係る平均税率は21.3%でした。
前年度の当期利益(親会社の所有者帰属分)からCore当期利益(親会社の所有者帰属分)への調整は次の通りです。
(単位:億円、%以外)
財務ベース(IFRS) | 無形資産に係る償却費 | 無形資産に係る減損損失 | その他の営業収益および営業費用 | その他(注1) | Core財務指標 (Non-IFRS) | |
営業利益 | 2,141 | 5,215 | 1,306 | 1,871 | 15 | 10,549 |
対売上収益比率(%) | 5.0% | - | - | - | - | 24.7% |
金融収益及び費用(純額) | △1,678 | - | - | - | 258 | △1,420 |
持分法による投資損益 | 65 | - | - | - | △5 | 59 |
税引前当期利益 | 528 | 5,215 | 1,306 | 1,871 | 268 | 9,188 |
法人所得税費用(注2) | 914 | △1,087 | △286 | △431 | △730 | △1,619 |
当期利益 | 1,442 | 4,128 | 1,020 | 1,441 | △462 | 7,569 |
非支配持分 | 1 | - | - | - | - | 1 |
当期利益 (親会社の所有者帰属分) | 1,441 | 4,128 | 1,020 | 1,441 | △462 | 7,568 |
(注1) その他:金融収益及び費用(純額)には、超インフレ経済下にあり、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」が適用されている子会社の非資金項目に係る損失、ならびにノン・コア取引に係る金融収益および費用を含みます。持分法による投資損益には、事業売却および清算に係る損益ならびにその他の公正価値調整を含みます。
(注2) IFRS会計基準に基づく業績とCore業績との間の調整に係る税金は、当該調整が計上される管轄地域において項目に適用される法定税率を考慮しています。税引前当期利益に対するCore調整額(8,660億円)に係る法人所得税費用は2,533億円であり、Core調整に係る平均税率は29.2%でした。
CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減
CERベースの増減は、当期の国際会計基準(IFRS)に準拠した業績またはCore財務指標(Non-IFRS)について、前年同期に適用した為替レートを用いて換算することにより、前年同期との比較において為替影響を控除するものです。
当社グループがCERベースの増減を表示する理由は、変動する為替レートが当社グループの事業に与える影響を踏まえ、為替影響がなかった場合の経営成績の増減について投資家に理解していただくにあたり有用であると考えているためです。CERベースの増減は、当社グループの経営陣が経営成績を評価するに際して使用する主な指標になっています。また、製薬業界における各社が為替影響を調整した同様の業績指標を頻繁に用いているため、証券アナリスト、投資家その他の関係者が各社の経営成績を評価するに際しても、本指標が有用であると考えています。
ただし、CERベースの増減の有用性には、一例として次の限界があります。例えば、CERベースの増減は、前年度においてIFRSに準拠した業績を算定するために用いた為替レートと同一の為替レートを用いますが、そのことは必ずしも、当年度の取引が前年度と同一の為替レートで実施され得た、あるいは計上され得たことを示すものではありません。また、類似の名称の指標を用いている同業他社が、当社グループとは異なる方法で指標を定義し、算定している可能性があるため、そのような指標との比較可能性に欠け得るものです。従って、CERベースの増減はIFRSに準拠して作成、表示された業績と切り離して考慮してはならず、また、これらの代替と捉えてはならないものです。
以下は、対前年度の増減率を含む、IFRSに準拠して算定、表示された当社グループの経営成績であり、各項目についてCERベースの増減率を示しております。
CERベースの増減(財務ベース指標)
(単位:億円、%以外) | |||||||
前年度 | 当年度 | AERベース (IFRS) | CERベース (Non-IFRS) | ||||
増減額 | 増減率 | 増減率 | |||||
売上収益 | 42,638 | 45,816 | 3,178 | 7.5 | % | 2.9 | % |
売上原価 | △14,267 | △15,802 | △1,535 | 10.8 | % | 6.5 | % |
販売費及び一般管理費 | △10,538 | △11,048 | △509 | 4.8 | % | 0.6 | % |
研究開発費 | △7,299 | △7,302 | △3 | 0.0 | % | △4.5 | % |
製品に係る無形資産償却費及び減損損失 | △6,521 | △6,432 | 89 | △1.4 | % | △6.0 | % |
その他の営業収益 | 194 | 262 | 68 | 35.3 | % | 30.8 | % |
その他の営業費用 | △2,065 | △2,067 | △2 | 0.1 | % | △3.6 | % |
営業利益 | 2,141 | 3,426 | 1,285 | 60.0 | % | 51.2 | % |
金融収益及び費用(純額) | △1,678 | △1,635 | 42 | △2.5 | % | △5.7 | % |
持分法による投資損益 | 65 | △40 | △105 | - | - | ||
税引前当期利益 | 528 | 1,751 | 1,223 | 231.7 | % | 206.4 | % |
法人所得税費用 | 914 | △669 | △1,583 | - | - | ||
当期利益 | 1,442 | 1,081 | △361 | △25.0 | % | △33.1 | % |
非支配持分 | 1 | 2 | 1 | 65.7 | % | 66.3 | % |
当期利益 (親会社の所有者帰属分) | 1,441 | 1,079 | △361 | △25.1 | % | △33.2 | % |
CERベースの増減(Non-IFRS)
(単位:億円、%以外) | |||||||
前年度 | 当年度 | AERベース | CERベース | ||||
増減額 | 増減率 | 増減率 | |||||
Core売上収益 | 42,638 | 45,798 | 3,161 | 7.4 | % | 2.8 | % |
Core売上原価 | △14,263 | △15,818 | △1,555 | 10.9 | % | 6.6 | % |
Core販売費及び一般管理費 | △10,530 | △11,050 | △521 | 4.9 | % | 0.7 | % |
Core研究開発費 | △7,296 | △7,304 | △7 | 0.1 | % | △4.4 | % |
Core営業利益 | 10,549 | 11,626 | 1,078 | 10.2 | % | 4.9 | % |
Core金融収益及び費用(純額) | △1,420 | △1,407 | 13 | △0.9 | % | △4.5 | % |
Core持分法による投資損益 | 59 | 11 | △48 | △81.2 | % | △82.2 | % |
Core税引前当期利益 | 9,188 | 10,231 | 1,043 | 11.3 | % | 5.8 | % |
Core法人所得税費用 | △1,619 | △2,473 | △854 | 52.7 | % | 48.7 | % |
Core当期利益 | 7,569 | 7,758 | 189 | 2.5 | % | △3.4 | % |
非支配持分 | 1 | 2 | 1 | 65.7 | % | 66.3 | % |
Core当期利益 (親会社の所有者帰属分) | 7,568 | 7,756 | 188 | 2.5 | % | △3.4 | % |
フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー
当社グループのフリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローから有形固定資産の取得による支出を控除したものです。調整後フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローから、有形固定資産の取得による支出、無形資産の取得による支出、投資の取得による支出(公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資の取得による支出の控除後)、関連会社株式の取得による支出、事業の取得による支出(取得した現金及び現金同等物の純額の控除後)およびそれらに実質的に関連または類似していると見做されるその他の支出を控除した上で、有形固定資産の売却による収入、投資の売却・償還による収入(公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資の売却・償還による収入の控除後)、関連会社株式の売却による収入、事業の売却による収入(処分した現金及び現金同等物の純額の控除後)を加味し、さらに、当社グループが即時的または一般的な業務用に使用できないいかなるその他の現金の支出入を調整し、算出しています。
当社グループがフリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローを表示する理由は、証券アナリスト、投資家その他の関係者が製薬業界における各社の評価を行うに際して頻繁に用いられる流動性についての同様の指標として、これらの指標が投資家にとって有用であると考えているためです。調整後フリー・キャッシュ・フローは、流動性要件を満たす能力を測り、資本配分方針をサポートする指標として流動性及びキャッシュ・フローの評価を行うに際して、当社グループの経営陣によっても使用されています。また、フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは、投資家が、当社グループの戦略的な買収や事業の売却がどのようにキャッシュ・フローや流動性に貢献するかを理解される上で有用であると考えています。
投資家にとってのフリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローの有用性には、一例として次の限界があります。例えば、(i) 同業他社を含め、用いられている類似の名称の指標との比較可能性に欠け得るものです、(ii) 当社グループの、資本の使用又は配分を必要とする現在及び将来の契約上その他のコミットメントの影響は反映されていません、(iii) 投資の売却・償還による収入、事業の売却による収入(処分した現金及び現金同等物の純額の控除後)は、中核である継続的な事業からの収入を示すものではありません。フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは、IFRSに基づく指標である営業活動によるキャッシュ・フロー及びその他の流動性指標と切り離して考慮してはならず、また、これらの代替と捉えてはならないものです。IFRSに準拠した指標の中で、フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローが最も類似します。
下表は、2024年3月期および2025年3月期における、IFRSに準拠して表示された最も対応する指標である営業活動によるキャッシュ・フローからフリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローへの調整を示しております。
(単位:億円)
前年度 | 当年度 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー(IFRS) | 7,163 | 10,572 |
有形固定資産の取得による支出 | △1,754 | △2,008 |
フリー・キャッシュ・フロー(Non-IFRS) | 5,409 | 8,564 |
当社が第三者に代わり一時的に保有していたキャッシュの調整(注1) | 180 | 21 |
有形固定資産の売却による収入 | 86 | 1 |
無形資産の取得による支出(注2) | △3,053 | △1,470 |
ライセンスを獲得するためのオプションの取得による支出 | - | △318 |
投資の取得による支出(注3) | △68 | △174 |
投資の売却、償還による収入 | 80 | 294 |
関連会社株式の取得による支出 | - | △10 |
関連会社株式の売却による収入 | - | 577 |
事業売却による収入(処分した現金及び現金同等物控除後) | 200 | 206 |
調整後フリー・キャッシュ・フロー(Non-IFRS) | 2,834 | 7,690 |
(注1) 当社が第三者に代わり一時的に保有していたキャッシュの調整は、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有していた現金の変動を指します。
(注2) 一部の重要性が低い取引を除き、無形資産の売却による収入は、営業活動によるキャッシュ・フローに含まれています。
(注3) 当年度において、公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資の取得による支出801億円を控除しております。
EBITDAおよび調整後EBITDA
当社グループにおいて、EBITDAは、法人所得税費用、減価償却費及び償却費、並びに純支払利息控除前の連結当期利益を指します。また、調整後EBITDAは、減損損失、その他の営業収益及びその他の営業費用(減価償却費、償却費及びその他の非資金性項目を除く)、金融収益及び費用(純支払利息を除く)、持分法による投資損益及び企業結合会計影響や買収関連費用などの当社グループの中核事業に関連しないその他の項目を除外するように調整されたEBITDAを指します。
当社グループがEBITDA及び調整後EBITDAを表示する理由は、これらの指標が証券アナリスト、投資家その他の関係者が製薬業界における各社の評価を行う際に頻繁に用いられるものであり、投資家にとって有用であると考えているためです。 当社グループは、調整後EBITDAを主に財務レバレッジをモニターするために使用しています。「(c)流動性および資金調達源 補足的分析:財務レバレッジ(調整後有利子負債/調整後EBITDA倍率)(IFRSに準拠しない指標)」 および以下の「調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率」をご参照ください。また、調整後EBITDAは、継続的な事業に関連しない特定の事象(変化に富み予測が困難である一方で、経営成績に重大な影響を与える可能性があり、一定期間にわたる業績を一貫性をもって評価することが困難な事象)から生じる不透明さを排除することから、投資家にとって、事業の動向を把握するに際して有用な指標であると考えています。
投資家にとってのEBITDA及び調整後EBITDAの有用性には、一例として次の限界があります。例えば、(i) 同業他社を含め、用いられている類似の指標との比較可能性に欠け得るものです。また、(ⅱ) 企業買収や無形資産の償却による影響などを含む、当社グループの業績、価値又は将来見通しの評価において重要とみなされる可能性のある財務情報や事象が除外されています、(ⅲ) 将来にわたって継続的に発生する可能性のある項目又は項目の種類が除外されています、(ⅳ) 投資家が当社グループの業績を理解する上で重要とみなす可能性のあるすべての項目が含まれていない、又は、重要とみなさないであろうすべての項目が除外されていない場合があります。EBITDAおよび調整後EBITDAは、IFRSに準拠した指標である営業利益、当期利益、その他の業績指標と切り離して考慮してはならず、また、これらの代替と捉えてはならないものです。IFRSに準拠した指標の中で、EBITDAおよび調整後EBITDAは、当期利益が最も類似します。
下表は、2024年3月期および2025年3月期における、当期利益からEBITDAおよび調整後EBITDAへの調整を示しております。
(単位:億円)
前年度 | 当年度 | |
当期利益(IFRS) | 1,442 | 1,081 |
法人所得税費用 | △914 | 669 |
減価償却費及び償却費 | 7,280 | 7,614 |
純支払利息 | 1,082 | 1,177 |
EBITDA(Non-IFRS) | 8,890 | 10,542 |
減損損失 | 1,500 | 1,065 |
その他の営業収益及びその他の営業費用(減価償却費、償却費及びその他の非資金性項目を除く) | 1,622 | 1,632 |
金融収益及び費用(純支払利息を除く) | 595 | 458 |
持分法による投資損益 | △65 | 40 |
その他の調整項目(注1) | 656 | 673 |
調整後EBITDA(Non-IFRS) | 13,199 | 14,410 |
(注1) その他の調整項目には、株式報酬にかかる非資金性の費用およびその他の一過性の非資金性の費用の調整、調整後EBITDAの算出にあたり除外された、当年度におけるテバ社への資産売却に係る17億円の非資金性の収益調整を含む、売却した製品に係るEBITDAの調整が含まれます。
調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率
当社グループは、純有利子負債を連結財政状態計算書上の社債及び借入金の簿価に現金及び現金同等物のみを調整したものと定義しており、当社グループの調整後純有利子負債は、次のとおり算出しています。まず、連結財政状態計算書に記載されている社債及び借入金の流動部分と非流動部分合計を計算します。その上で、(i) 期初に残存する外貨建て負債を直近12か月の期中平均レートを用いて換算し、報告期間中に計上した新規の外貨建て負債および償還した既存の外貨建て負債については対応するスポットレートを用いて換算し、当社グループの経営陣が当社グループのレバレッジをモニターするために使用する方法論を反映しています。また、(ii) 当社グループの劣後特約付きハイブリッド債について、その株式に似た特徴を踏まえ、S&Pグローバル・レーティング・ジャパンの格付手法に基づきエクイティクレジットを適用しています。この数字から、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有している現金を除いた現金及び現金同等物、およびその他の金融資産に計上され公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資を控除し、調整後純有利子負債を算出しています。
当社グループが、純有利子負債および調整後純有利子負債を表示する理由は、当社グループの経営陣が、当社グループの現金及び現金同等物控除後の負債をモニター及び分析するためにこれらの指標を使用し、また当社グループのレバレッジをモニターするために本指標を調整後EBITDAと併せて使用しており、投資家にとって有用であると考えているためです(なお、調整後純有利子負債および調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率は、当社グループの流動性の指標を表すものではないことにご留意ください)。また、負債についての同様の指標が、証券アナリスト、投資家その他の関係者が製薬業界における各社の評価を行うに際して頻繁に用いられるものであると考えています。 特に、Shire社買収に伴い、投資家、アナリストおよび格付機関は、当社グループの(調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率で表される)財務レバレッジを綿密にモニターしています。格付機関が本指標を特に重視していることから、これらの情報は、当社グループの財務レバレッジだけではなく、格付機関が当社グループの信用力評価にあたって財務レバレッジの水準をどのように評価しているかについて、投資家が理解していただくにあたり有用であると考えています。そのため、後述のとおり、当社グループは、調整後純有利子負債を調整して、格付機関が一部の劣後債に適用している「エクイティクレジット」を反映しています(ただし、IFRS上、当該債務は資本として取り扱われません)。
調整後純有利子負債の有用性には、一例として次の限界があります。例えば、(i) 同業他社を含め、用いられている類似の指標との比較可能性に欠け得るものです、(ii) 当社グループの負債に係る利息の金額を反映していません、(iii) 負債の早期返済又は償還に係る制限を反映していません、(iv) 当社グループが現金同等物を現金に換金する際に、現金をある通貨から他の通貨に換金する際に、又は当社グループ内で現金を移動する際に係る手数料や費用を反映していません、(v) 有利子負債には、資金調達の契約と整合性のある平均為替レートを適用・調整していますが、これは当社グループがある通貨を他の通貨に換金することができる実際の為替レートを反映していません、(vi) 当社グループの劣後債はIFRS上資本として取り扱われないものの、エクイティクレジットを反映しています。当該調整は、合理的で、投資家にとって有用な調整であると考えています。調整後純有利子負債は、IFRSに基づく指標である社債及び借入金、又はその他の負債指標と切り離して考慮してはならず、また、これらの代替と捉えてはならないものです。IFRSに準拠した指標の中で、純有利子負債は、社債及び借入金が最も類似します。
当社グループの調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率は以下のとおりです。
(単位:億円、倍率以外)
前年度 | 当年度 | |
調整後純有利子負債 | △40,913 | △39,755 |
調整後EBITDA | 13,199 | 14,410 |
調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率 | 3.1x | 2.8x |
下表は、2024年3月31日および2025年3月31日現在の社債及び借入金から調整後純有利子負債への調整を示しております。
(単位:億円)
前年度 | 当年度 | |
社債及び借入金の非流動部分(IFRS) | △44,765 | △39,663 |
社債及び借入金の流動部分(IFRS) | △3,673 | △5,489 |
社債及び借入金(IFRS) | △48,438 | △45,153 |
現金及び現金同等物(IFRS) | 4,578 | 3,851 |
純有利子負債(Non-IFRS) | △43,860 | △41,302 |
当社が第三者に代わり一時的に保有していた現金(注1) | △1,078 | △1,058 |
レベル1負債性金融商品(注1) | - | 793 |
為替調整(注2) | 1,525 | △689 |
エクイティクレジットの適用(注3) | 2,500 | 2,500 |
調整後純有利子負債(Non-IFRS) | △40,913 | △39,755 |
(注1) ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有する、即時的または一般的な業務に使用できない現金、およびその他の金融資産に計上され公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資を調整しております。
(注2) 期中平均レートで換算される調整後EBITDA計算と整合させるため、期初から期中残存する外貨建て負債を期中平均レートを用いて換算しております。報告期間中に計上した新規の外貨建て負債および償還した既存の外貨建て負債については当該日の対応するスポットレートを用いて換算しております。
(注3) ハイブリッド(劣後)社債及びローンの元本総額5,000億円分について、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン(格付機関)より認定された50%のエクイティクレジットを適用し、2,500億円を負債から控除しております。これらの金融負債は、レバレッジ評価において一定のエクイティクレジットが認められております。