四半期報告書-第143期第2四半期(平成31年4月1日-令和1年9月30日)

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18項目

(1) 業績の概要
当期(2019年4-9月期)の連結業績は、以下のとおりとなりました。
(単位:億円)
前年同期当期対前年同期
売上収益8,80616,6027,79688.5%
売上原価△2,313△5,723△3,410147.4%
販売費及び一般管理費△2,938△4,625△1,68757.4%
研究開発費△1,514△2,304△78952.1%
製品に係る無形資産償却費及び減損損失△483△2,737△2,254466.7%
その他の営業収益323113△210△65.0%
その他の営業費用△161△824△662410.4%
営業利益1,720503△1,216△70.7%
金融収益44174130293.8%
金融費用△196△993△796406.0%
持分法による投資損益404000.0%
税引前四半期利益 (△は損失)1,608△276△1,883△117.1%
法人所得税費用△343608951△277.4%
四半期利益1,265333△932△73.7%

[売上収益]
売上収益は、前年同期から7,796億円増収(+88.5%)の1兆6,602億円となりました。Shire社の買収により獲得した製品の6ヶ月分の売上収益(7,675億円)が増収に貢献しました。
各疾患領域における売上収益の前年同期からの増減は、主に以下の製品によるものです。
・消化器系疾患
消化器系疾患領域の売上収益は、前年同期から895億円増収(+35.5%)の3,416億円となりました。当社のトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」(国内製品名:「エンタイビオ」)の売上が伸長し、前年同期から400億円増収(+31.2%)の1,684億円となり、売上成長を牽引しました。米国および欧州においては、潰瘍性大腸炎とクローン病に対する生物学的製剤の新規患者シェアがさらに拡大したため、同剤の市場シェアが伸長しました。日本においては、クローン病の効能追加を取得したこともあり売上が伸長しました。酸関連疾患治療剤「タケキャブ」も、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制等の効能を中心として、日本において新規処方が拡大し、売上は77億円増収(+28.3%)の350億円となりました。また、Shire社買収により獲得した短腸症候群治療剤「GATTEX / REVESTIVE」の売上は293億円となり、当社の売上収益に寄与しました。
・希少疾患
Shire社買収により獲得した希少疾患領域の売上収益は3,272億円となりました。売上収益に最も寄与した製品は、希少代謝性疾患領域ではハンター症候群治療剤「エラプレース」、希少血液疾患領域では血友病A治療剤「アドベイト」、遺伝性血管浮腫領域では同疾患の発作予防剤「TAKHZYRO」であり、売上はそれぞれ355億円、832億円および307億円となりました。
・血漿由来の免疫疾患治療
血漿由来の免疫疾患治療領域の売上収益は、主にShire社買収により獲得した製品が加わったことにより、1,837億円増収の1,917億円となりました。免疫グロブリン製剤の売上合計は1,465億円となり、特に、原発性免疫不全症(PID)と多巣性運動ニューロパチー(MMN)の治療に主に用いられる静注製剤「GAMMAGARD LIQUID」は、これら疾患に対する米国における標準治療剤としてのポジションを強固なものにしました。また、主に血液量減少症と低アルブミン血症の治療に用いられる「ALBUMIN GLASS」と「FLEXBUMIN」を含むアルブミン製剤の売上合計は341億円となり、その他の血漿由来の免疫疾患治療剤の売上合計は111億円となりました。
・オンコロジー
オンコロジー(がん)領域の売上収益は、前年同期から164億円増収(+8.3%)の2,148億円となりました。多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」の売上は、特に米国と中国での好調な業績が成長に寄与し、前年同期から89億円増収(+30.2%)の383億円となりました。また、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」の売上は、CD30陽性ホジキンリンパ腫に対する一次治療の効能追加を取得した日本において特に伸長し、47億円増収(+22.1%)の258億円となりました。非小細胞肺がん治療剤「アルンブリグ」の売上は、引き続き欧州諸国での上市があったことにより前年同期から11億円増収(+48.3%)の34億円となりました。多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」の売上は、対前年同期13億円減収(△1.9%)の636億円となり、うち、米国外の売上にかかるロイヤルティ収益は、欧州において4月下旬に後発品が参入したことにより、対前年同期51億円減収(△44.1%)の65億円となりました。
・ニューロサイエンス
ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域の売上収益は、前年同期から1,674億円増収(+360.5%)の2,139億円となりました。注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤「バイバンス」の売上1,315億円を含むShire社買収により獲得したポートフォリオが加わったことが増収の主な要因となりました。大うつ病(MDD)治療剤「トリンテリックス」の売上は、新規患者の増加と治療期間の拡大により、前年同期から75億円増収(+27.6%)の346億円となりました。
地域別売上収益
(単位:億円、%は売上収益の構成比)
売上収益:前年同期当期
日本2,74231.1%2,99418.0%
米国3,21136.5%8,05948.5%
欧州およびカナダ1,58618.0%3,21819.4%
ロシア/CIS2753.1%3692.2%
中南米3473.9%7584.6%
アジア(日本を除く)5195.9%8395.1%
その他1261.4%3652.2%
合計8,806100.0%16,602100.0%

[売上原価]
売上原価は、前年同期から3,410億円増加(+147.4%)の5,723億円となりました。この増加は、Shire社の買収により取得した製品にかかる売上原価および棚卸資産の公正価値調整等にかかる非資金性の費用1,378億円が含まれております。これらの増加は、主に製品構成の改善等による旧武田薬品の製品にかかる売上原価の減少と一部相殺されております。
[販売費及び一般管理費]
販売費及び一般管理費は、主にShire社の販売費及び一般管理費が含まれた影響により、前年同期から1,687億円増加(+57.4%)の4,625億円となりました。この増加は、グローバル経費削減イニシアチブ(注)による削減効果およびShire社との統合のコストシナジーにより一部相殺されております。
(注)消費量の削減、購買価格低減による経費削減、および組織の最適化によって売上収益比率の向上を目指す当社グループのイニシアチブ
[研究開発費]
研究開発費は、主にShire社買収により取得した研究開発活動にかかる費用の影響により、789億円増加(+52.1%)の2,304億円となりました。
[製品に係る無形資産償却費及び減損損失]
製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、前年同期から2,254億円増加(+466.7%)の2,737億円となりました。この増加は、Shire社買収に伴い取得した無形資産の償却費2,113億円および2019年5月の中間解析結果を受けSHP616 AMRプログラムの開発中止を決定したことに伴い計上した減損損失156億円によるものです。
[その他の営業収益]
その他の営業収益は、210億円減少(△65.0%)の113億円となりました。この減少は、当期においてAxcelead Drug Discovery Partners, Inc.の株式を譲渡したことに伴う売却益22億円を計上したものの、主に前年同期に当社グループが保有していた広東テックプール・バイオファーマCo.,Ltd.の全株式を売却したことに伴う株式売却益184億円を計上したこと、および有形固定資産売却益が対前年同期比50億円減少したことによるものです。
[その他の営業費用]
その他の営業費用は、662億円増加(+410.4%)の824億円となりました。この増加は、主にShire社との統合が進捗していることに伴い、事業構造再編費用が対前年同期比496億円増加したこと、また、当期は承認前在庫にかかる評価損を85億円計上した一方、前年同期は承認取得に伴い過去の承認前在庫にかかる評価損の戻入77億円を計上したことにより、承認前在庫にかかる評価損が162億円増加したことによるものです。
[営業利益]
営業利益は、上記の要因を反映し、前年同期から1,216億円減少(△70.7%)の503億円となりました。
[金融損益]
金融収益と金融費用をあわせた金融損益は819億円の損失となり、前年同期から667億円の損失増加となりました。これは、主にShire社買収にかかる資金調達のための社債及び借入金やShire社から引き継いだ債務にかかる利息費用を金融費用に計上したことによるものです。
[法人所得税費用]
法人所得税費用は、前年同期343億円に対して、当期は△608億円となりました。この減少は主に、スイスにおける税制改正に伴い計上された非資金性の繰延税金便益△563億円、およびShire社買収に関連する、償却費および棚卸資産の公正価値調整等の企業結合会計影響、ならびに統合費用の計上に伴う税引前四半期利益の減少によるものです。
[四半期利益]
四半期利益は、上記の要因を反映し、前年同期から932億円減益(△73.7%)の333億円となりました。
当期(2019年4-9月期)における実質的な成長の概要
Coreと実質的な成長の定義
当社は、事業の計画策定および業績評価において、「実質的な成長」(Underlying Growth)の概念を採用しております。
「実質的な成長」は、当年度と前年度(四半期もしくは年間)の業績を共通の基準で比較するものであり、マネジメントによる業績評価に使用されています。これら共通の基準で比較される業績は、為替レートを一定として、事業等の売却影響およびその他の非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を控除し算定されます。当社は、この「実質的な成長」が、事業活動のパフォーマンスを表す共通の基準を提供するため、投資家に有用であると考えています。なお、本指標は、国際会計基準(IFRS)に準拠したものではありません。
当社は、「Underlying Revenue Growth」(実質的な売上収益の成長)、「Underlying Core Operating Profit Growth」(実質的なCore営業利益の成長)および「Underlying Core EPS Growth」(実質的なCore EPSの成長)を重要な財務指標としています。
実質的な売上収益は、為替レートを一定として、財務ベースの売上収益に、報告期間における非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響を調整して計算します。
実質的なCore営業利益は、為替レートを一定として、Core営業利益(以下に定義)に、報告期間における事業等の売却影響を調整して計算します。
Core営業利益*は、純利益から、法人所得税費用、持分法にかかる投資損益、金融損益、その他の営業収益およびその他の営業費用、製品に係る無形資産償却費及び減損損失を控除して算出します。その他、企業買収に係る会計処理の影響や買収関連費用など、本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を調整します。
* 2019年度より、「Core Earnings」の名称を「Core営業利益」に変更しました。なお、その定義に変更はありません。
実質的なCore EPSの算定にあたっては、為替レートを一定として、純利益から、事業等の売却影響、およびCore営業利益の算出において控除された項目と営業利益以下の各科目のうち、重要性のある、非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を調整します。これらには、条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響などが含まれます。さらに、これらの調整項目に係る税金影響を控除した後、比較年度末の自社株式控除後の発行済株式総数で除して算定します。
実質的な業績
当期
実質的な売上収益の成長(注1)△0.2%
実質的なCore営業利益率32.2%
実質的なCore EPS249円25銭

(注1) 2018年度上期の試算ベースの売上収益(旧武田薬品の2018年4-9月の売上収益と、米国会計基準に基づき報告された旧Shire社の2018年4-9月の売上収益を国際会計基準に一致させた上(重要な差異は認められなかった)、当社による買収以前の2018年8月に売却した旧Shire社のオンコロジー事業を除いて求められた売上収益の合計)に対する成長率
[実質的な売上収益の成長率]
実質的な売上収益の成長率は、対前年同期△0.2%となりました。タケダの14のグローバル製品(注2)は、対前年同期+20.5%成長したものの、競争の激化や後発品浸透の減収影響により相殺されました。
(注2) タケダの14のグローバル製品
消化器系疾患:エンティビオ、GATTEX/REVESTIVE、ALOFISEL
希少疾患:NATPARA、アディノベイト/ADYNOVI、TAKHZYRO、エラプレース、VPRIV
血漿由来の免疫疾患治療:GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、CUVITRU、ALBUMIN/FLEXBUMIN
オンコロジー:ニンラーロ、ALUNBRIG
・消化器系疾患
消化器系疾患領域の実質的な売上収益は、前年同期から+8.9%の成長となりました。後発品のさらなる浸透により、「パントプラゾール」(△16.0%)、「ランソプラゾール」(△28.1%)、「リアルダ」(△50.0%)などの特許満了製品の売上が減少したものの、「エンティビオ」(+33.9%)と「タケキャブ」(+28.3%)が、これらの減収影響を上回る増収となりました。また、「GATTEX / REVESTIVE」(+17.0%)は、本年、米国において小児適応の効能追加を取得したこともあり、当社の消化器系疾患領域におけるプレゼンスのさらなる強化に貢献しました。
・希少疾患
希少疾患領域の実質的な売上収益は、競争圧力の高まりと「NATPARA」の回収の影響により△10.5%の減収となりました。特に、希少血液疾患領域(△12.7%)では競合品による影響が顕著となり、血友病A治療剤である「アドベイト」(△15.9%)と「ファイバ」(△24.4%)が大幅な減収となり、半減期延長型製剤「アディノベイト」(+5.4%)の成長も減速しました。また、遺伝性血管浮腫領域(△19.2%)の減収は、米国における「TAKHZYRO」の売上があったものの、前年同期の卸における在庫積み増し、「CINRYZE」投与患者数の減少、「フィラジル」の独占販売期間満了と使用頻度の減少に伴う影響により、「CINRYZE」(△56.0%)と「フィラジル」(△58.8%)が減収となったことを反映したものとなりました。なお、希少代謝性疾患領域(+1.0%)では、副甲状腺ホルモン製剤「NATPARA」(△2.2%)カートリッジのゴム製隔壁に関連する問題が判明したため、本年9月、米国において同剤を回収しました。
・血漿由来の免疫疾患治療
血漿由来の免疫疾患治療領域の実質的な売上収益は、+3.6%の成長となりました。免疫グロブリン製剤は、皮下注製剤、静注製剤ともに伸長し、+3.0%の増収となりました。また、アルブミン製剤は+16.9%の増収となりました。
・オンコロジー
オンコロジー(がん)領域の実質的な売上収益は、「ニンラーロ」(+32.7%)と「アドセトリス」(+32.7%)が牽引し、前年同期から+10.5%の成長となりました。また、「ALUNBRIG」も+50.7%の増収となりました。オンコロジー製品の中では、唯一、「ベルケイド」(△1.5%)が減収となりましたが、これは、欧州において4月下旬に後発品が参入したことにより、米国外の売上にかかるロイヤルティ収益が△43.8%減少したことによります。
・ニューロサイエンス
ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域の実質的な売上収益は、それぞれ注意欠陥/多動性障害(ADHD)と大うつ病(MDD)治療の米国における主要製品である「バイバンス」(+5.4%)および「トリンテリックス」(+28.1%)の増収により、+5.6%の成長となりました。「ADDERALL XR」は、後発品との競合の影響が増大し、△38.7%の減収となりました。
疾患領域別の実質的な売上収益の成長(注3)当期
消化器系疾患+8.9%
希少疾患△10.5%
希少代謝性疾患+1.0%
希少血液疾患△12.7%
遺伝性血管浮腫△19.2%
血漿由来の免疫疾患治療+3.6%
オンコロジー+10.5%
ニューロサイエンス+5.6%
その他△8.2%
合計△0.2%

(注3) 2018年度上期の試算ベースの売上収益(旧武田薬品の2018年4-9月の売上収益と、米国会計基準に基づき報告された旧Shire社の2018年4-9月の売上収益を国際会計基準に一致させた上(重要な差異は認められなかった)、当社による買収以前の2018年8月に売却した旧Shire社のオンコロジー事業を除いて求められた売上収益の合計)に対する成長率
実質的な売上収益の計算において控除した主な非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響は次の通りです。
• 2019年3月期に連結子会社であった広東テックプール・バイオファーマCo.,Ltd.(「テックプール社」)およびMultilab Indústria e Comércio de Produtos Farmacêuticos Ltda.(「マルチラブ社」)を売却したため、前年同期における両社の売上収益を連結の売上収益から控除しています。
• 「XIIDRA」(2019年7月に売却完了)および「TACHOSIL」の売上を、当期および前年同期の売上収益から控除しています。これら製品について、当社は、2019年5月に売却に合意し、「TACHOSIL」については、2020年3月期中の売却完了を予定しています。
[当期の実質的なCore営業利益率]
当期の実質的なCore営業利益率は、グローバル経費削減イニシアチブおよびShire社との統合のコストシナジーを反映し、32.2%となりました。
Shire社の統合費用や企業結合会計に伴う非資金性の費用など、当社の本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を控除した当期のCore営業利益は5,416億円となりました。
[当期の実質的なCore EPS]
当期の実質的なCore EPSは、249円25銭となりました。
(2) 財政状態の分析
[資産]
当第2四半期における資産合計は、前年度末から1兆40億円減少し、12兆8,801億円となりました。のれんおよび無形資産は、主に為替影響や無形資産の償却により、それぞれ1,575億円および4,218億円減少し、また、主に「XIIDRA」の売却完了により売却目的で保有する資産が4,315億円減少しました。現金及び現金同等物は、配当の支払い、および社債の償還により1,586億円減少しております。これらの減少は、主に新リース会計基準(IFRS第16号)(注1)を適用したことによる有形固定資産の増加1,251億円により一部相殺されております。
(注1)IFRS第16号では、リースの評価額および関連する負債を連結財政状態計算書の非流動資産および非流動負債に計上することを規定しております。負債に関する説明は以下をご覧ください。
[負債]
当第2四半期における負債合計は、前年度末から7,101億円減少し、8兆105億円となりました。この減少は、主に為替の影響および社債の償還、借入金の返済により社債及び借入金が7,263億円減少し5兆246億円(注2)となったことによるものです。なお、2019年6月にハイブリッド社債5,000億円を発行した一方、シンジケートローン5,000億円を返済しております。さらに、2019年8月には、1,404.5百万米ドル(1,502億円)の米ドル建て無担保普通社債を繰上償還し、2019年9月には3,300百万米ドル(3,507億円)の米ドル建て無担保普通社債を償還しました。また、社債及び借入金の減少に加え、主に「XIIDRA」の売却完了により売却目的で保有する負債が1,284億円減少しております。これらの減少は、主に上述のIFRS第16号を適用したことによるその他の金融負債(非流動)の増加1,735億円により一部相殺されております。
(注2) 当第2四半期における社債および借入金の帳簿価額はそれぞれ3兆661億円および1兆9,585億円です。なお、社債および借入金の内訳は以下の通りです。
社債:
銘柄
(外貨建発行額)
発行時期償還期限帳簿価額
15回 無担保社債2013年7月2020年7月600億円
米ドル建無担保普通社債
(1,520百万米ドル)
2015年6月2022年6月
~2045年6月
1,637億円
米ドル建無担保普通社債
(8,800百万米ドル)
2016年9月2021年9月
~2026年9月
9,006億円
米ドル建無担保普通社債
(500百万米ドル)
2017年7月2022年1月538億円
ユーロ建無担保普通社債
(7,500百万ユーロ)
2018年11月2020年11月
~2030年11月
8,784億円
米ドル建無担保普通社債
(4,500百万米ドル)
2018年11月2021年11月
~2028年11月
4,831億円
ハイブリッド社債 (劣後特約付社債)2019年6月2079年6月4,964億円
コマーシャルペーパー2019年7月2019年10月300億円
合計3兆661億円


借入金:
名称
(外貨建借入額)
借入時期返済期限帳簿価額
シンジケートローン2013年7月2020年7月600億円
2016年4月2023年4月
~2026年4月
2,000億円
2017年4月2027年4月1,135億円

(1,500百万米ドル)
2017年4月2027年4月1,616億円

(3,987百万米ドル)
2019年1月2024年1月4,306億円

(3,047百万ユーロ)
2019年1月2024年1月3,590億円
株式会社国際協力銀行
(3,700百万米ドル)
2019年1月2025年12月3,994億円
その他2,344億円
合計1兆9,585億円

2019年9月に当社グループは、7,000億円のコミットメントファシリティー契約を3つの日本のメガバンクとその他の日本および在外銀行と締結することに合意しました。本コミットメントファシリティーの期間は、2019年10月から最低5年間です。なお、本コミットメントファシリティーの契約締結にあたり、2020年3月に満期を迎える既存の短期コミットメントファシリティー3,000億円は、2019年9月に解約しております。本コミットメントファシリティーは、一般事業資金として使用することを目的としております。
[資本]
当第2四半期末における資本合計は、前年度末から2,939億円減少の4兆8,697億円となりました。この減少は、主に1,408億円の配当金の支払により利益剰余金が918億円減少したことや、円高の影響による為替換算調整勘定の変動によりその他の資本の構成要素が2,126億円減少したことによります。
[キャッシュ・フロー]
(単位:億円)
前年同期当期(2019年4-9月期)
営業活動によるキャッシュ・フロー1,1783,411
投資活動によるキャッシュ・フロー△213,304
財務活動によるキャッシュ・フロー△972△8,117
現金及び現金同等物の増減額185△1,402
現金及び現金同等物の期首残高2,9457,021
現金及び現金同等物に係る換算差額36△190
売却目的で保有する資産の純増減額56
現金及び現金同等物の期末残高3,1715,435

営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期1,178億円から2,233億円増加の3,411億円となりました。これは、主にShire社買収に伴い計上した製品に係る無形資産にかかる償却費により減価償却費及び償却費が2,640億円増加したこと、Shire社買収日において公正価値評価された棚卸資産の売上原価への計上に伴い棚卸資産が925億円減少したこと、および引当金が460億円増加したこと等の非資金項目の調整によるものです。また、Shire社買収のための資金調達にかかる利息費用を含む金融費用(純額)の増加667億円が営業活動によるキャッシュ・フローのプラスの調整項目として含まれています。これらの増加は、四半期利益の減少932億円、主に旧Shire社における法人所得税の支払いによる法人所得税等の支払額の増加772億円、および法人所得税費用の減少951億円等のその他のマイナスの調整項目により一部相殺されております。 投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の△21億円から3,326億円増加の3,304億円となりました。これは主に、当期における「XIIDRA」の売却による収入3,755億円に伴い事業売却による収入が3,483億円増加したこと、前年同期におけるTiGenix社買収にかかる支出667億円を反映して事業取得による支出が622億円減少したことによるものですが、この増加は主に、前年同期におけるTiGenix社買収を使途とする拘束性預金の払戻による収入の減少718億円と一部相殺されております。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の△972億円から7,145億円減少の△8,117億円となりました。これは主に、当期における長期借入金の返済および社債の償還による支出6,231億円によるものです。さらに、配当金の支払額の増加694億円、および主にShire社買収のための資金調達に伴う利息の支払額の増加566億円がありました。
なお、当期において、ハイブリッド社債の発行5,000億円を含む長期借入れ及び社債の発行による収入4,962億円があった一方、主に短期シンジケートローンの返済5,000億円による短期借入金の純減少額4,614億円がありました。
(3) 研究開発活動の内容および成果
当第2四半期累計の研究開発費の総額は2,304億円であります。
当社は、2016年7月より、研究開発体制の変革(5ヶ年計画)を開始し、パイプラインを再活性化するとともに、革新的なサイエンス主導の機動的でグローバルな研究開発組織の構築に取り組んできました。この研究開発体制の変革においては、以下の3つの優先事項にフォーカスしています。
1. 疾患領域の絞込み:疾患領域における専門性をいかした革新的研究開発課題の推進
2. パートナーシップと研究開発能力の強化:社内育成と外部提携を通じた研究開発力の強化
3. 革新的な研究エンジン:疾患治療のための新規技術の確立と新たなモダリティの取り込み
2019年1月8日に完了したShire社買収に伴い、当社の研究開発は、「オンコロジー(がん)」、「消化器系疾患」、「希少疾患」、「ニューロサイエンス(神経精神疾患)」の4つの重点疾患領域と「血漿分画製剤」および「ワクチン」の2つのビジネスユニットにフォーカスします。
当第2四半期累計における当社の主要な研究開発活動は、以下のとおりです。
研究開発パイプライン
オンコロジー
世界中のがん患者さんに革新的な新薬をお届けするために努力し、患者さんの生活を改善するという情熱をもって、画期的なイノベーションの探求に取り組んでいます。本疾患領域では、(1)既発売品である「ニンラーロ」、「アドセトリス」、「アイクルシグ」のライフサイクルマネジメントならびに多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群およびその他血液がんのパイプラインへの継続的な研究開発投資を通じた、血液がんにおける基盤的な専門性の構築、(2)肺がんを対象とするパイプラインのさらなる拡充、(3)社外との提携による新規のがん免疫療法標的および次世代基盤技術の追求ならびに革新的な細胞療法の探索、にフォーカスしています。
[ニンラーロ 一般名: イキサゾミブ]
・2019年4月、当社は、「ニンラーロ」について、厚生労働省に多発性骨髄腫に対する自家造血幹細胞移植後における維持療法の適応追加に係る製造販売承認事項一部変更承認の申請を行ったことを公表しました。
・2019年6月、当社は、再発又は難治性の全身性(AL)アミロイドーシス患者を対象とした臨床第3相試験である「TOURMALINE-AL1試験」において、2つの主要評価項目のうち最初の結果が主要評価項目を満たさなかったことを公表しました。「ニンラーロ」およびデキサメタゾンの併用群は、医師が選択した標準治療群と比較して、血液学的奏効率において有意な改善はみられませんでした。解析の結果より、当社は本試験を中止することを決定しましたが、副次評価項目の有望なデータについては、今後学会で発表する予定です。
[一般名: カボザンチニブ]
・2019年4月、当社は、「カボザンチニブ」について、切除不能又は転移を有する腎細胞がんに対する治療薬として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。今回の申請は、海外第3相試験のMETEOR試験、海外 第2相試験のCABOSUN試験、ならびに血管内皮細胞増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(VEGFR-TKI)による治 療後に増悪した日本人進行腎細胞癌患者35名を対象に有効性と安全性を検討した国内第2相試験である「Cabozantinib-2001試験」の結果に基づくものです。
[開発コード: TAK-788]
・2019年6月、当社は、「TAK-788」について、2019年米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)年次総会のオーラルセッションにおいて、新たなデータを発表しました。非盲検、多施設共同臨床第1/2相試験により、EGFR エクソン20挿入遺伝子変異を有する局所進行性あるいは転移性の非小細胞肺がん患者において、「TAK-788」の無増悪生存期間(PFS)の中央値が7.3ヵ月、客観的奏効率(ORR)が43%という結果が示されました。
消化器系疾患
消化器系疾患・肝疾患の患者さんに革新的で人生を変えうる治療法をお届けすることにフォーカスしています。「エンティビオ」および「アロフィセル」といった炎症性腸疾患におけるフランチャイズのポテンシャルを最大化するとともに、「ガテックス」のスペシャリティ消化器系疾患領域におけるポジショニングを拡大させ、社外との提携を通じて消化管運動関連疾患、セリアック病、肝疾患およびマイクロバイオーム(腸内細菌)における機会を探索し、パイプラインの構築を進めています。
[エンティビオ/エンタイビオ 一般名:ベドリズマブ]
・2019年4月、当社は、成人の中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病患者に対する維持療法として、「ベドリズマブ」の皮下注射製剤の剤形追加を欧州医薬品庁(EMA)に申請し、受理されたことを公表しました。当社は、「ベドリズマブ」の皮下投与において、プレフィルドシリンジ製剤およびペン製剤の両製剤を申請しています。
・2019年5月、当社は、成人の中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎患者に対する維持療法として「ベドリズマブ」の皮下注射製剤の生物学的製剤承認申請を米国食品医薬品局(FDA)に提出し、受理されたことを公表しました。当社は、「ベドリズマブ」の皮下投与において、プレフィルドシリンジ製剤およびペン製剤の両剤形を申請しています。
・2019年5月、当社は、「エンタイビオ」中等症から重症の活動期のクローン病の治療及び維持療法の治療薬として、厚生労働省より製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを公表しました。
・2019年5月、当社は潰瘍性大腸炎を対象とした2つの生物学的製剤を初めて直接比較し、ベドリズマブがアダリムマブに対し52週時点で有意に高い臨床的寛解(注1)を達成したVARSITY試験から得た新たな探索的データを米国消化器病週間(Digestive Disease Week:DDW)2019において発表しました。
(注1) 主要評価項目である臨床的寛解は、完全Mayoスコア(潰瘍性大腸炎の疾患活動性を評価するための指標)が2ポイント以下、かつ全てのサブスコアが1ポイント以下と定義
・2019年7月、当社は、「ベドリズマブ」の皮下注射製剤の有効性および安全性を評価した「VISIBLE 2試験」の結果を公表しました。「VISIBLE 2試験」は、治療期開始時点(0週)および2週時点に非盲検下にて「ベドリズマブ」の静脈内投与を2回行った後、6週時点で臨床的改善(注1)が得られた成人の中等症から重症の活動期クローン病患者に対する維持療法として、「ベトリズマブ」の有効性及び安全性を評価する試験です。本試験の主要評価項目において、52週時点で臨床的寛解(注2)が得られた患者の割合は、プラセボ投与群と比較して、「ベドリズマブ」皮下投与群で統計学的に有意に高い結果を示しました。
(注1) 臨床的改善は、 クローン病活動指数(CDAI:Crohn's Disease Activity Index)のスコアがベースライン(0週)から70ポイント以上の減少として定義
(注2) 臨床的寛解は、 クローン病活動指数(CDAI:Crohn's Disease Activity Index)のスコアが52週時点で150以下と定義
・2019年8月、当社は、「ベドリズマブ」の皮下投与製剤について、中等症から重症の活動期の潰瘍性大腸炎に対する維持療法の治療薬として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。当社は、「ベドリズマブ」の皮下投与において、プレフィルドシリンジ製剤およびペン製剤、両方での提供を申請しています。
・2019年9月、当社は、「ベドリズマブ」が、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎患者を対象に、「アダリムマブ」と直接比較した臨床試験において、主要評価項目である治療期52週時点での臨床的寛解(注1)についてベドリズマブが有意に優れる結果を示したデータが、The New England Journal of Medicineに掲載されたことを公表しました。
(注1) 主要評価項目である臨床的寛解は、完全Mayoスコア(潰瘍性大腸炎の疾患活動性を評価するための指標)が2ポイント以下、かつ全てのサブスコアが1ポイント以下と定義
・2019年10月、当社は、診療記録を用いたレトロスペクティブ研究である「EVOLVE」の結果を発表しました。本研究は、過去に生物学的製剤の投与経験のない中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎患者またはクローン病患者を対象に、「ベドリズマブ」および抗TNFα抗体製剤による重篤な有害事象および重篤な感染症の発現の可能性を、実臨床の場において調査したものです。これらのデータは、欧州消化器病週間2019におけるオーラルプレゼンテーションセッションにおいて発表されました。
[ガテックス 一般名:teduglutide]
・2019年5月、当社は、「ガテックス」について、追加の栄養もしくは液体の静脈投与(非経口栄養補給)が必要な短腸症候群の1歳以上の小児患者への投与がFDAより追加で承認されたことを公表しました。
希少疾患
Shire社の買収により、希少疾患領域のビジネスおよびパイプラインが加わりました。当社は、次の3治療分野に注力しています。(1)最近上市された「TAKHZYRO」を含む希少免疫疾患(例:遺伝性血管浮腫)、(2)血液疾患領域における競合他社と比較して幅広いポートフォリオを持つ希少血液疾患、(3)希少代謝性疾患(承認済みのファブリー病、ならびにハンター症候群、ゴーシェ病治療薬への注力を含む)。
[アディノベイト 一般名:ルリオクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)]
・2019年7月、当社は、第27回国際血栓止血学会(ISTH:International Society on Thrombosis and Haemostasis Congress)年次総会において、「アディノベイト」の臨床第3b/4相試験である「PROPEL試験」の新たな成績を発表したことを公表しました。「PROPEL試験」は重症血友病A患者を対象とし、2つの異なる第Ⅷ因子トラフ値をターゲットとして、薬物動態(PK)に基づく定期補充療法後に「アディノベイト」の安全性および有効性を比較する前向き無作為化多施設共同試験です。
[TAKHZYRO 一般名:lanadelumab]
・2019年6月、当社は、「TAKHZYRO」の効果発現を評価する臨床第3相試験である「HELP試験」における投与0~69日データについて追加解析を行い、新たなデータを欧州アレルギー・臨床免疫学会(EAACI:European Academy of Allergy and Clinical Immunology)にて発表しました。追加解析によりTAKHZYROが、初期治療期間中において遺伝性血管性浮腫(HAE)の発症を防ぎ、プラセボ群と比較し、月間平均発作発現率を80.1%減少することが示唆されました。
[開発コード:BAX111 一般名:ボニコグ アルファ(遺伝子組換え)]
・2019年7月、当社は、ヒトフォン・ヴィレブランド因子製剤であるボニコグ アルファ(遺伝子組換え)「BAX111」について、フォン・ヴィレブランド病治療薬として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。
[開発コード:TAK-620 一般名:maribavir]
・2019年9月、当社は、経口投与可能な抗ウイルス性化合物である「TAK-620」の臨床第2相試験結果がThe New England Journal of Medicineに掲載されたことを公表しました。当試験は、造血幹細胞移植または固形臓器移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染患者を対象とし、無作為化、非盲検で12週間実施されました。CMVはベータヘルペスウイルスであり、臓器または幹細胞の移植者を含む免疫力が低下した患者では、死亡する可能性のある臨床的に対処が難しい合併症を引き起こします。
ニューロサイエンス
本疾患領域では、治療法が確立していない神経疾患や精神疾患を患っている患者さんに革新的な医薬品を提供することを目指しています。当社では、大うつ病治療剤の「トリンテリックス」に対する継続的な投資、およびShire社買収を通じて取得した注意欠陥多動性障害治療剤のポートフォリオにより、精神疾患におけるプレゼンスを拡大していきます。また、社内の専門知識やパートナーとの提携をいかして、アルツハイマー病、パーキンソン病といった神経疾患や選択した希少中枢疾患に対するパイプラインを構築していきます。
[トリンテリックス 一般名:ボルチオキセチン]
・2019年7月、当社は、第16回日本うつ病学会総会において大うつ病性障害治療薬「ボルチオキセチン」の国内第3相無作為化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験(NCT02389816)の結果を公表しました。本試験では、日本の成人再発うつ病患者さんを「ボルチオキセチン」10mg群、20mg群、プラセボ群のいずれかに無作為に割り付け、1日1回投与で有効性・安全性を評価しました。主要評価項目は、投与8週時におけるMontgomery-Åsberg Depression Rating Scale(MADRS)合計スコアのベースライン(二重盲検期開始時)からの変化量で、プラセボ群との群間差が「ボルチオキセチン」10㎎、20㎎群でそれぞれ-2.66、-3.07であり、プラセボ群に対して統計学的に有意な低下が認められました(P値0.0080、0.0023)。
・2019年9月、当社は、「トリンテリックス」10㎎、20㎎について、厚生労働省よりうつ病・うつ状態に対する治療薬として、製造販売承認を取得したことを公表しました。
[インチュニブ 一般名:グアンファシン塩酸塩]
・2019年6月、当社は、塩野義製薬が製造販売承認を有し、塩野義製薬と当社が情報提供を行っている注意欠陥/多動性障害治療剤「インチュニブ」について、厚生労働省より成人患者(18歳以上)に対する適応追加による一部変更が承認されたことを公表しました。
[開発コード:TAK-925]
・2019年9月、当社は、開発中のオレキシン2受容体選択的作動薬である「TAK-925」のナルコレプシータイプ1に対する臨床第1相POC(proof of concept)試験ならびに断眠した健康成人を対象とする臨床試験の結果データを発表しました。これらの試験において、「TAK-925」の9時間単回静脈内投与時の安全性、忍容性、薬物動態、薬力学的作用が検討され、いずれの試験においても「TAK-925」はすべての用量において良好な忍容性を示しました。これらの試験結果は、2019年世界睡眠学会にて発表されました。
血漿分画製剤
2019年1月8日に完了したShire社の買収後、当社は、血漿分画製剤に注力する新たなグローバルビジネスユニットを加えました。同ビジネスユニットは、希少疾患、生命に関わる疾患、慢性疾患および遺伝性疾患といった様々な病気の患者さんを効果的に治療するうえで重要となる血漿分画製剤について、増加するニーズに応えていきます。
ワクチン
ワクチンでは、革新技術をいかして、デング熱、ジカウイルス感染、ノロウイルス感染など、世界で最も困難な感染症に取り組んでいます。当社パイプラインの拡充およびプログラムの開発に対する支援を得るために、政府機関(日本、米国、シンガポール)や主要な世界的機関とのパートナーシップを締結しています。これらのパートナーシップは、私たちのプログラムを実行しそれらのポテンシャルを最大限に引き出すための重要な能力を構築するために必要不可欠です。
将来に向けた研究プラットフォームの構築/研究開発における提携の強化
自社の研究開発機能向上への注力に加え、社外パートナーとの提携も、当社研究開発パイプライン強化のための戦略における重要な要素の一つです。社外提携の拡充と多様化に向けた戦略により、様々な新製品の研究に参画し、当社が大きな研究関連のブレイクスルーを達成する可能性を高めます。
・2019年7月、当社と京都大学iPS細胞研究所(「CiRA」(サイラ))は、新規iPS細胞由来キメラ抗原受容体(CAR)1 遺伝子改変T細胞療法(iCART)に関する研究成果が、両社の共同研究プログラムであるT-CiRAから当社に継承されたことを公表しました。本プログラムの臨床試験に向けたプロセス開発が開始されます。
・2019年10月、当社とCOUR Pharmaceuticals Development Company, Inc.(「COUR社」)は当社がCOUR社からグリアジンタンパク質含有のImmune Modifying Nanoparticleである「CNP-101/TAK-101」の全世界での独占的な開発および製品化の権利を獲得したことを公表しました。COUR社の抗原特異的な免疫寛容技術を用いた「TAK-101」は、グルテン摂取により小腸の炎症・傷害を引き起こす重篤な自己免疫疾患であるセリアック病の異常免疫反応に対するファーストインクラスとなる可能性のある治療薬です。セリアック病患者34名を対象とし、「TAK-101」の有効性および安全性を示す可能性のあるマーカーを検討した、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験である本臨床試験の結果は、欧州消化器病週間2019のLate-breaking Abstractとして発表されました。良好にコントロールされ、生検によりセリアック病と診断された患者が本試験に登録され、その後、患者はグルテンチャレンジを実施しました。本試験の結果を受け、当社は「TAK-101」の独占的な全世界のライセンスを獲得するオプション権を行使しました。