有価証券報告書-第36期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/29 9:01
【資料】
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【項目】
104項目
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、政府による経済政策、日銀の金融緩和策及び米国での景気回復の継続を背景とした企業収益の改善ならびに設備投資の緩やかな増加や雇用・所得環境の改善もあり、総じて緩やかな回復基調で推移いたしました。
当社グループの主力事業が属するわが国医薬品業界においては、ジェネリック医薬品使用促進策の強化や薬価制度の抜本改革といった医療費抑制策の流れが加速するなど、引き続き厳しい環境下で推移いたしました。
このような状況の下、当社グループのセグメント別での業績は、次のとおりとなりました。
<診断・試薬事業>当事業においては、研究用試薬関連では、海外取引先との関係構築に力を入れ、積極的に海外での学会等の出展や海外代理店とのコミュニケーションに重点をおいて活動を行ってまいりました。また、国内においても、自社の営業資源が少ないことから代理店との関係強化を行ってまいりました。その結果、当社の主力製品であるアルツハイマー病関連や腎臓病疾患関連のEIA測定キットを中心とした抗体製品が、特に海外において順調に売上を伸ばしております。また、試薬関連受託サービスにおいても、高い技術力及び顧客からの信頼により、順調に売上を伸ばしました。
医薬用関連においては、主力製品は動物用体外診断用医薬品の牛海綿状脳症測定キット(BSEキット)であり、国内において当社が独占状態で販売しております。そのほか、マイコプラズマ感染症診断薬原料やアルツハイマー病(AD)の体外診断薬原料などを販売しております。また、販売品目の充実にむけ、諸々の研究テーマで研究開発を行っております。当期の売上につきましては、マイコプラズマ感染症診断薬原料の販売が、製造方法・ロットサイズの変更等の影響により前期と比べ減少、海外へ販売しているアルツハイマー病(AD)の体外診断薬原料においても、前期末に纏まった売上が計上されたこと等により、前年と比べ減少いたしました。一方、主力製品のBSEキットの売上が大幅に増加した結果、前年に比べ医薬品関連の売上高は増加いたしました。
その結果、当セグメントの売上高は、605,745千円(前年同期比8.9%増)となり、営業利益は127,506千円(前年同期比8.2%増)となりました。
なお、当事業においては、新規治療薬シーズの開発や体外診断用医薬品の製品開発を積極的に行っております。
当事業は当社グループの基幹事業であり、今後においても増収・増益を目指して参ります。
<遺伝子組換えカイコ事業>当事業は目的タンパク質を繭中に産出させる遺伝子を組み込んだ遺伝子組換えカイコの繭からタンパク質を抽出し、診断薬原料等の抗体や化粧品原料となるヒト型コラーゲンを産出しております。一方、遺伝子組換えカイコを用いた医薬品製造を実現させるべく、抗HIV抗体をはじめとするバイオ医薬品開発、ならびに、その製造技術の開発を進めているところであり、事業の重点を研究開発に置いております。そのような状況から、限りある人的資源をかなりの部分研究に振り向けており、製品の製造や受託サービスに振り向ける人的資源は限定的となっており、取引先からの多くの引き合い等には応じきれていないのが現状です。当期の売上につきましては大手体外診断用医薬品企業へ診断薬原料抗体の売上が計上されましたが、共同研究契約先からの契約金収入などの計上がなかったこと等により、前年同期に比べ大幅に減少しております。また、前述のとおり積極的に研究開発を進めており、研究開発先行という状況から研究開発費を積極的に投じております。その結果、当セグメントの売上高は21,844千円(前年同期比69.6%減)、営業損失は179,240千円(前年同期は1,239,697千円の営業損失)となりました。
なお、当事業においては、継続して積極的に研究開発費を投じ、中長期的に企業価値の向上を目指します。
<検査事業>当事業の主力事業は、血中リポタンパク質プロファイリングサービス「LipoSEARCH」であり、国内外にサービスを展開しております。この「LipoSEARCH」の分析サービスは血中のリポタンパク質のサイズを多角的に測定できるほか、粒子数についても測定ができるサービスであります。
一方、コレステロールの測定需要が高い海外、特に米国への技術導出として、「LipoSEARCH」サービスよりもサービス内容を限定し、簡易にかつ迅速、大量の検体を測定できるサービスを構築できるよう、準備を進めている段階であります。
当期の業績につきましては、大手製薬企業のパイプラインを俯瞰すると、脂質代謝に関わるものが多くない中にあって、食品企業などへと販路を広げていったこと等も寄与し、また大口案件の受注増等もあり、売上高は前年に比べ増加いたしました。その結果、当セグメントの売上高は115,988千円(前年同期比10.2%増)、営業利益は10,634千円(前年同期は18,309千円の営業損失)となり、利益を計上することができました。
なお、当事業においては、継続して安定した黒字化を目指して参ります。
<化粧品関連事業>当事業では、遺伝子組換えカイコの繭から産出されたヒト型コラーゲン「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ」配合化粧品「フレヴァン」シリーズを販売しております。国内においては、インターネットを用いた通信販売や大手薬局チェーン店の売上が主なものでありますが、想定より展開が遅れております。一方、当期より東南アジア向けの販売を開始し、売上が増加いたしました。また、中国向けの販売開始を目指し、販売許可申請を行っております。さらに、化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ」につきましては、欧州を中心に世界に向けて販売するために、欧州の代理店と共同で販売準備を進めております。
その結果、当セグメントの売上高は21,267千円(前年同期比54.1%増)、営業損失は8,651千円(前年同期は17,743千円の営業損失)となりました。
なお、当事業においては、当期において利益創出を目指しておりましたが、中国向けの販売申請が来期にずれ込むこととなり、来期の黒字化を見込んでおります。
これらの結果、連結業績は下記のとおりとなりました。
売上高は758,286千円(前年同期比2.3%増)となりました。販管費につきましては遺伝子組換えカイコ事業の研究開発等への積極的な投資を行っている一方、前期に資産の減損や一括償却を行い多額の減価償却費を計上し、今期の減価償却費負担が軽減したことや営業キャッシュ・フローの黒字化を目指し設備投資を極力控えたこと、さらに一般管理費の経費節減等により525,769千円(前年同期は1,571,714千円)となり、その結果、営業損失は48,791千円(前年同期は1,156,931千円の営業損失)となりました。経常損失につきましては、収益項目として、当社所有の特許等の使用からの収入である受取ロイヤリティを計上した一方、昨今の円高傾向を反映し外貨建資産負債の為替換算の結果為替差損を計上したことなどから49,013千円(前年同期は1,170,355千円の経常損失)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損失は投資有価証券の減損処理等により52,637千円(前年同期は2,094,467千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
② 財政状態
・ 流動資産
当連結会計年度における流動資産の残高は、前連結会計年度と比較して4.2%減の2,998,213千円となりました。減少した主な要因は、「現金及び預金」及び流動資産「その他」の減少等によるものであります。「現金及び預金」の減少は、「親会社株主に帰属する当期純損失」であることや借入金の返済等によるものであり、流動資産「その他」の減少は、前期の税額(消費税)の還付等によるものであります。
・ 固定資産
当連結会計年度における固定資産の残高は、前連結会計年度と比較してほぼ同等(0.0%減)の296,801千円となりました。当期において、投資先の資産価値減少により投資有価証券の評価損を計上しております。
・ 流動負債
当連結会計年度における流動負債の残高は、前連結会計年度と比較して28.9%増の302,154千円となりました。増加した主な要因は、期末に集中して資産を購入したことによる支払債務の増加によるもの、税金債務(消費税)が増加したこと等による流動負債の「その他」が増加したこと等によるものであります。
・ 固定負債
当連結会計年度における固定負債の残高は、前連結会計年度と比較して47.3%減の975,083千円となりました。減少した主な要因は、新株予約権の行使により転換社債型新株予約権付社債が728,973千円減少したこと、借入金の返済により長期借入金が146,088千円減少したこと等によるものであります。
・ 純資産
当連結会計年度における純資産の残高は、前連結会計年度と比較して50.4%増の2,017,777千円となりました。当期は「親会社株主に帰属する当期純損失」52,637千円を計上しましたが、新株予約権の行使により資本金、資本準備金がそれぞれ364,486千円増加したこと等によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度に比べ71,226千円減少し2,450,875千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は73,847千円(前年は55,886千円の支出)となりました。
この主な要因は、税金等調整前当期純損失51,940千円を計上しましたが、前期の決算に基づく消費税の還付金の入金が82,014千円あったこと等によるものであります。また、経費節減や設備投資行動を抑制したことが奏功し、支出の抑制につながりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は6,278千円(前年は458,490千円の支出)となりました。
当社グループでは現状、購入した有形固定資産及び無形固定資産として計上すべき資産を同勘定科目で計上せず、即時費用処理を行っており、キャッシュ・フロー上もその購入に係る支出は営業キャッシュ・フローとして計上しております。そのため、当期におけるキャッシュ・フローは、ほぼ3ヶ月を超える定期預金等の預入、解約に係るものとなっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は138,300千円(前年は2,145,528千円の獲得)となりました。この主な要因は、長期借入金の返済による支出146,088千円によるものであります。
(注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 6コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(千円)前年同期比(%)
診断・試薬事業159,420△12.8
遺伝子組換えカイコ事業65,719△32.4
検査事業40,416△12.8
化粧品関連事業
合計265,556△18.6

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、製造原価によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(千円)前年同期比(%)
診断・試薬事業22,46731.6
遺伝子組換えカイコ事業
検査事業
化粧品関連事業16,749194.4
合計39,21672.3

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、仕入価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 受注実績
当社グループは、主として見込生産を行っているため、該当事項はありません。
d. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
診断・試薬事業601,1568.8
遺伝子組換えカイコ事業21,744△69.7
検査事業114,11810.2
化粧品関連事業21,26754.1
合計758,2862.3

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
(自 平成28年4月1日(自 平成29年4月1日
至 平成29年3月31日)至 平成30年3月31日)
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
岩井化学薬品㈱91,84712.481,59310.8
㈱ニッピ54,5987.480,77010.7

(注) 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の分析
当社グループは診断・試薬事業、遺伝子組換えカイコ事業、検査事業及び化粧品関連事業により構成されており、当連結会計年度の当社グループの業績の分析につきましては、次のとおりであります。
診断・試薬事業は、当社の創業以来の基幹事業であり、製薬企業や医療関係の大学研究所等に対し、研究用試薬や体外診断用医薬品等の製造販売や抗体関連の受託サービス、さらに、医薬品原料のシーズ開発を行っており、その技術力については顧客からの信頼をいただいております。しかしながら、当社の事業基盤である研究用試薬や受託サービスを展開している国内市場は、その規模に比して競合他社が多数存在し、将来的な収益の伸張に限界があり、また、体外診断用医薬品や医薬品原料シーズの開発は、資金と時間が、膨大にかかる場合があります。そのような状況の中、国内外の市場ニーズを捉え、製品開発力の強化を図り、ユニークな製品を開発し、国内市場のシェアを拡大しております。また、海外においては、海外で実施されている学会に積極的に出展し、その際に研究者や代理店等と直にコンタクトを取り、コミュニケーションを深め、より広範囲に関係構築を図り、当社製品の販売活動に注力し、現在、その効果は取引社数、取引地域の増加とともに売上高の増加といった形ではっきり表れており、売上高は605,745千円と前年同期に比べ8.9%増加し、営業利益は127,506千円と前年同期に比べ8.2%増加し、増収増益といった形で成果が現れております。
遺伝子組換えカイコ事業につきましては、前期に医薬品原料の開発を目的として前橋研究所を新設し、藤岡研究所から移転いたしました。前橋研究所では、以前からアステラス製薬株式会社と進めていた共同研究で、目的のタンパク質(フィブリノゲン)の産生が薬剤として使用するための目標コストを満たす生産量に到達することができず、残念ながら商業生産への取り組みを断念することとなりましたが、現在、株式会社CUREDとの共同研究(抗HIV抗体)をはじめ様々な共同研究を実施しております。今後もこれまで培ってきたノウハウを基に、遺伝子組換えカイコによる有用タンパク質の特徴を最大限に活かし、コストパフォーマンスの秀でた製品で、社会に貢献し得るターゲットについて研究開発を進めてまいります。当事業は現在の収益を見込むことではなく、次世代の当社グループの新たな根幹を担う事業に成長させることを目標として活動しているため、当連結会計年度においては売上という形での成果は現れておらず、売上高は21,844千円と前年同期に比べ69.6%減少し、営業損失は前年同期に1,239,697千円でしたが当連結会計年度は179,240千円となりました。
検査事業につきましては、先に触れておりますが、現状では主要取引先である国内大手製薬企業のパイプラインにおいて、当事業の主要領域業務である脂質代謝関連品目の開発に減少傾向がみられるため、より脂質異常関連疾患が深刻な海外への積極的な展開や現代の健康ダイエット志向をターゲットとした食品群の開発を行っている食品業界などへの販路拡大を進めております。当社グループは人的な営業資源が少ない中にあって、診断・試薬事業部門と相乗効果を発揮すべく、国内外の学会等の共同出展や営業展開を積極的に行っており、その効果が出始めているところであり、売上高は115,988千円と前年同期に比べ10.2%増加し、営業利益につきましては前年同期は18,309千円の営業損失でありましたが、当連結会計年度は10,634千円の利益を計上することができ、診断・試薬部門といともに成果が現れているものと考えております。
化粧品関連事業につきましては、化粧品業界の経験がない中、国内において、通信販売や群馬県を中心とした地道な活動を行ってまいりましたが、アジアを中心とする海外に目を向け、販売を開始したことが一つの転機となり、売上増に繋がっており、売上高は21,267千円と前年同期に比べ54.1%増加し、営業損失は前年同期が17,743千円の営業損失のところ、8,651千円の損失と、損失幅が減少しております。また、準備段階ではありますが、来期には中国向けに販売を開始する予定であり、サンプル提供による反響が大きいことから、かなりの需要が見込まれるため、同事業の飛躍的な発展に繋がるものと予想しております。
当社グループは、診断・試薬事業、検査事業及び化粧品関連事業で創出する利益により遺伝子組換えカイコ事業の研究開発を支え、2020年3月期の連結業績において黒字化を目指してまいります。
一方、原価、経費等の面におきましては、前連結会計年度に有形固定資産及び無形固定資産の全額について、即時減価償却の実施や減損損失を計上したことにより、当連結会計年度においては、減価償却費負担がなくなっております。さらに、当連結会計年度に取得した設備等の固定資産につきましても即時全額費用計上を行っております。また、当連結会計年度においては営業キャッシュ・フローの黒字化を大命題に取り組み、経費節減及び設備投資の抑制を行ってまいりました。連結業績では残念ながら利益を計上することができませんでしたが、診断・試薬事業及び検査事業については計画通り利益を計上することができました。
② 資本の財源、資金の流動性について
資本の財源については、自己資金で賄うことを基本としておりますが、状況に応じて金融機関からの借入や新株発行による増資(新株予約権の行使によるものも含む)等によるものも考慮に入れております。現在当社では新株予約権や転換社債型新株予約権付社債を発行しており、当連結会計年度においても行使による増資が行われております。当連結会計年度につきましては設備投資を抑制したことから資金の支出は原材料の調達や販売費及び一般管理費といった運転資金が主なものでありました。
資金の流動性につきましては、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローが73,847千円の獲得、投資活動によるキャッシュ・フローが6,278千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが138,300千円の支出でありますが、現金及び現金同等物の期末残高は2,450,875千円であり、各キャッシュ・フローの規模等を勘案し、十分な手元流動性を確保しているものと考えております。
翌連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、運転資金での支出が主なものであり、重要な設備投資は予定しておりませんので、先に述べましたとおり、現金及び現金同等物で十分賄える見込みであります。

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