有価証券報告書-第39期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大により社会経済に大きな影響を及ぼす中、欧米が先行し日本国内でもワクチン接種が開始され、社会経済の回復の加速が見込まれておりました。しかしながら、変異ウィルス拡大により感染再拡大に拍車をかけ予断を許さない状況にあります。また当社グループが属する医薬品業界は、国内においては継続的な医療費抑制策の推進などの影響を受け、一層厳しい環境下で推移しました。
こうした状況のもと、当社グループの業績につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも当社グループ独自の技術を活用した製品群が販売を伸ばし、すべての事業において、前年の業績を上回ることが出来ました。その結果、連結売上高は、602,749千円(前年同期比4.5%増)となりました。営業利益につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策を踏まえ、国内外の出張を抑制したことによる営業諸経費が減少したことや遺伝子組換えカイコ事業における抗体の製造方法の変更(2020年8月6日公表「抗HIV抗体の製造方法の変更および資金使途変更に関するお知らせ」参照)に伴い研究開発費が減少したこと等により販売費及び一般管理費が減少いたしました。その結果、営業損失は240,984千円(前年同期は595,359千円の営業損失)となりました。また営業外損益につきましては、持分法による投資損失90,944千円を計上した一方、為替差益4,849千円を計上したことにより、経常損失は310,511千円(前年同期は678,762千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は318,827千円(前年同期は668,125千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
<診断・試薬事業>研究用試薬関連の売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、当社が保有する主力のEIAキット・抗体によるCRO向けの大型プロジェクトが減少し、大幅に前年を下回りました。一方、試薬受託サービスの売上高は、特定の大学や製薬企業等からの受託需要が増加し、大幅に前年を上回りました。
また、医薬用関連の売上高は、主力である動物用体外診断用医薬品の牛海綿状脳症測定キット(BSEキット)の販売が順調に推移し、前年を大幅に上回ることが出来ました。
以上により、診断・試薬事業の売上高は、主力のEIAキット・抗体の売上が前年より減少したものの受託サービスや医薬用関連の売上が前年を上回った事により、前年に比べ増加しております。なお、四半期ごとに売上高は増加しており、売上改善の兆しが見られました。
営業利益につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策により、営業部門の諸経費が減少したこともあり前年に比べ改善することが出来ました。
その結果、当セグメントの売上高は494,099千円(前年同期比4.9%増)、営業利益は23,434千円(前年同期は124,457千円の営業損失)となりました。
<遺伝子組換えカイコ事業>当事業においては、各種抗体や受託等の売上高が前年同期に比べ増加しております。一方、研究開発においては、今まで蓄積したデータや経験を基に、遺伝子組換えカイコによるタンパク質の生産コストを1/10程度に低減する基礎研究を行っております。また、抗HIV 抗体原薬製造で培ったGMP 製造体制を有効に活用する手段を模索し、今後も開発型ベンチャー企業として新しい医薬品シーズの研究開発を継続して実施してまいります。なお、研究開発費は、抗 HIV 抗体の製造方法の変更により、前年に比べ減少しております。
その結果、当セグメントの売上高は29,797千円(前年同期比18.0%増)、営業損失は234,514千円(前年同期は391,891千円の営業損失)となりました。
<検査事業>当事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響が比較的大きく出ており、主力事業である血中リポタンパク質プロファイリングサービス「LipoSEARCH」において取引先での活動が停滞しております。また、国内製薬メーカーにおける脂質異常症治療薬の開発は減少しており、これまでのような大型案件の受注が期待しにくい状況となっております。一方、食品関連企業やCROにおいては当サービスの需要が見込まれるため、当該分野への営業活動に力を入れている状況であります。なお、動物向けサービス「LipoTEST」は、堅調な売上を計上できており、オンラインセミナー等の開催により継続して取引拡大を目指しております。また、某大学の人間ドック健康診断において、「コレステロール精密測定」というサービスを新たに開始しております。現在はまだ極めて規模は小さいですが、このような自由診療領域、及びペット領域に、徐々にすそ野を広げていくことを目指しております。
その他、「LipoSEARCH」の元になっている「ゲルろ過-HPLC法」という測定方法に関して、その競合法であるNMR法との比較論文が、2021年2月に出版されました。この論文では、ゲルろ過-HPLC法による粒子数解析が、NMR法より正確に薬剤の脂質改善効果を反映したと結論づけています。現在、欧米ではNMR法が主流となっていますが、本論文によって「LipoSEARCH」が改めて注目を浴び、海外導出を促進させるきっかけの一助になることを期待しています。
その結果、当セグメントの売上高は81,462千円(前年同期比13.7%増)、営業損失は17,043千円(前年同期は26,227千円の営業損失)となりました。
<化粧品関連事業>当事業においては、「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ」配合化粧品「フレヴァン」シリーズにつきまして、通信販売を含む国内の売上高は前年同期と比較し増加しました。また、欧州向けの販売は、新型コロナウイルス感染症再拡大の影響等により前年並みとなりました。なお、中国向けの商標問題につきましては、解決しております。
その結果、当セグメントの売上高は14,146千円(前年同期比9.9%増)、営業損失は、13,820千円(前年同期は53,741千円の営業損失)となりました。
② 財政状態
・ 流動資産
当連結会計年度における流動資産の残高は、前連結会計年度と比較して29.4%減の1,124,969千円となりました。この主な要因は、現金及び預金が、銀行からの新規借り入れ50,000千円や税金の還付といった資金増加要因の一方、転換社債型新株予約権付社債の償還や借入金の約定弁済等により429,430千円減少したこと等によるものであります。
・ 固定資産
当連結会計年度における固定資産の残高は、前連結会計年度と比較して8.6%減の713,069千円となりました。この主な要因は、持分法による投資損失等の計上により投資有価証券が81,491千円減少したこと等によるものであります。
・ 流動負債
当連結会計年度における流動負債の残高は、前連結会計年度と比較して63.5%減の145,008千円となりました。この主な要因は社債の償還による1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債の200,000千円の減少や約定弁済による1年内返済予定の長期借入金の55,000千円の減少等によるものであります。
・ 固定負債
当連結会計年度における固定負の残高は、前連結会計年度と比較して138.1%増の63,748千円となりました。この主な要因は、新規借り入れ等により長期借入金が39,000千円増加したこと等によるものであります。
・ 純資産
当連結会計年度における純資産の残高は、前連結会計年度と比較して16.4%減の1,629,282千円となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失318,827千円の計上等により減少となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度に比べ422,434千円減少し552,022千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により支出した資金は194,145千円(前年は608,746千円の支出)となりました。
この主な要因は、資金支出項目ではない持分法による投資損失90,944千円、税金の還付(未収消費税等の増減額)30,974千円、たな卸資産の増減額33,818千円といった資金増加要因があった一方、税金等調整前当期純損失310,630千円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は17,233千円(前年は10,818千円の獲得)となりました。
この主な要因は、有形固定資産の取得による支出13,460千円及び関係会社株式の取得による支出9,800千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は216,000千円(前年は81,195千円の獲得)となりました。
この主な要因は、長期借入による収入が50,000千円あったものの、長期借入金の返済による支出66,000千円や転換社債型新株予約権付社債の償還による支出200,000千円といったことによるものであります。
(注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、製造原価によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、仕入価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 受注実績
当社グループは、主として見込生産を行っているため、該当事項はありません。
d. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(注) 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の分析
当社グループは診断・試薬事業、遺伝子組換えカイコ事業、検査事業及び化粧品関連事業により構成されており、当連結会計年度の当社グループの業績の分析につきましては、次のとおりであります。
診断・試薬事業は、当社の創業以来の基幹事業であり、製薬企業や医療関係の大学研究所等に対し、研究用試薬や体外診断用医薬品等の製造販売や抗体関連の受託サービス、さらに、医薬品原料のシーズ開発を行っており、その技術力については顧客からの信頼をいただいております。しかしながら、当社の事業基盤である研究用試薬や受託サービスを展開している国内市場は、その規模に比して競合他社が多数存在し、将来的な収益の伸張に限界があり、また、研究者のテーマにより需要が不安定な要素があります。さらに、体外診断用医薬品や医薬品原料シーズの開発は、資金と時間がかかることが想定されます。そのような状況のなか、世界的なコロナ感染症拡大の影響により、コロナ感染症関連の項目を除く研究開発が停滞し、主力のEIAキットや抗体の販売は、前年比で大きく減少となっております。しかしながら、当事業の独自の技術による試薬受託サービスやコロナ感染症に大きな影響を受けない動物用体外診断用医薬品の牛海綿状脳症測定キット(BSEキット)の販売が増加いたしました。この結果、売上高は、494,099千円、営業利益は23,434千円となっております。
遺伝子組換えカイコ事業につきましては、遺伝子組換えカイコにより生産された抗体においては、非特異反応が低いことや動物愛護の対象とならないことなどから、数年前から大手診断薬メーカーで使用する診断薬原料として採用されており、今後は販路拡大により製造数の増加が見込まれております。また、化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅠ」については、中国商標問題が解決したことや欧州において数種類の製品化が見込まれていること、さらに、通称「ベビーコラーゲン」と呼ばれる化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅢ」の販売も開始したこと等により、販売増が見込まれております。また、遺伝子組換えカイコによる抗 HIV 抗体原薬製造は、断念(2020年8月6日公表の「抗 HIV 抗体の製造方法の変更および資金使途変更に関するお知らせ」参照)致しますが、今まで蓄積したデータや経験を基に組換えタンパク質の生産コストを1/10程度に低減する基礎研究を行い、また抗HIV 抗体原薬製造で培ったGMP製造体制を有効に活用する手段を模索し、今後も開発型ベンチャー企業として新しい医薬品シーズの研究開発を継続して実施してまいります。この結果、売上高は29,797千円、営業損失は234,514千円となりました。
検査事業につきましては、当事業の主力サービスであるLipoSEARCHによる血中リポタンパク質の詳細なプロファイリング検査において、例年製薬企業等から大型案件の受注ができておりましたが、当期においては受注が中型の案件が中心となりました。国内製薬企業の開発パイプラインからは脂質異常症関連治療薬の項目が少なくなっており、短期的には大口受注は期待できない状況です。一方、海外では、生活習慣病関連においては国内よりもより深刻な状況であり測定ニーズも高いことが予想されますが、まだまだLipoSEARCHの認知度が低く、また、現状のように検体を海外から日本に送付して測定する体制には限界があります。よって、大きく売上増を求めるためには、測定システム自体を海外へ導出し、海外での測定拠点を増やして測定件数を増やすことが必須であると考えます。現在、そのためのシステムを構築し、検証作業を行っているところであります。この結果、売上高は81,462千円、営業損失は17,043千円となりました。
化粧品関連事業につきましては、国内において、市場は大きいものの競合他社が多数存在し、当事業の製品「フレヴァン」シリーズの優位性をアピールするためには広告宣伝費が膨大にかかるため、日本製品の安全性を前面にアピールできる海外販売に集中しております。
中国への販売につきましては、無事、商標登録問題が解決(2021年3月31日公表の「株式会社ネオシルク化粧品における「frais vent」商標登録の完了に関するお知らせ」参照)し、既存代理店ルートでの販売再開及び新規販売ルートによる販路拡大を進めてまいります。また、欧州での販売については、欧州現地代理人が販売活動を行っておりますが、新型コロナウイルス感染症再拡大により、販促活動は限定的になっております。そのような中、欧州現地代理人は、通信販売会社を設立し、売上高の増加を目指しております。この結果、当セグメントの売上高は14,146千円となり営業損失13,820千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源、資金の流動性に係る情報
当連結会計年度においては、売上高が前期と比較し微増、遺伝子組換えカイコ事業における抗HIV抗体等に係る研究開発費が減少したことや大きな固定資産の購入もなかったことから販売費及び一般管理費の支出は大きなものではありませんでした。一方、転換社債型新株予約権付社債の一部が償還期限を迎えたため200,000千円の支出がありました。
資本の財源については、自己資金で賄うことを基本としておりますが、状況に応じて金融機関からの借入や新株発行による増資(新株予約権の行使によるものも含む)等によるものも考慮に入れております。
資金の流動性については、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローが194,145千円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローが17,233千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが216,000千円の支出でありますが、現金及び現金同等物の期末残高は552,022千円であり、各キャッシュ・フローの規模等を勘案し、十分な手元流動性を確保しているものと考えております。
翌連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、運転資金での支出が主なものであり、重要な設備投資は予定しておりませんので、先に述べましたとおり、現金及び現金同等物で十分賄える見込みであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、持分法適用会社である株式会社CUREDの主要な事業である抗HIV抗体の実用化に向けた研究開発は、概ね計画通りに進行しております。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大により社会経済に大きな影響を及ぼす中、欧米が先行し日本国内でもワクチン接種が開始され、社会経済の回復の加速が見込まれておりました。しかしながら、変異ウィルス拡大により感染再拡大に拍車をかけ予断を許さない状況にあります。また当社グループが属する医薬品業界は、国内においては継続的な医療費抑制策の推進などの影響を受け、一層厳しい環境下で推移しました。
こうした状況のもと、当社グループの業績につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも当社グループ独自の技術を活用した製品群が販売を伸ばし、すべての事業において、前年の業績を上回ることが出来ました。その結果、連結売上高は、602,749千円(前年同期比4.5%増)となりました。営業利益につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策を踏まえ、国内外の出張を抑制したことによる営業諸経費が減少したことや遺伝子組換えカイコ事業における抗体の製造方法の変更(2020年8月6日公表「抗HIV抗体の製造方法の変更および資金使途変更に関するお知らせ」参照)に伴い研究開発費が減少したこと等により販売費及び一般管理費が減少いたしました。その結果、営業損失は240,984千円(前年同期は595,359千円の営業損失)となりました。また営業外損益につきましては、持分法による投資損失90,944千円を計上した一方、為替差益4,849千円を計上したことにより、経常損失は310,511千円(前年同期は678,762千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は318,827千円(前年同期は668,125千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
<診断・試薬事業>研究用試薬関連の売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、当社が保有する主力のEIAキット・抗体によるCRO向けの大型プロジェクトが減少し、大幅に前年を下回りました。一方、試薬受託サービスの売上高は、特定の大学や製薬企業等からの受託需要が増加し、大幅に前年を上回りました。
また、医薬用関連の売上高は、主力である動物用体外診断用医薬品の牛海綿状脳症測定キット(BSEキット)の販売が順調に推移し、前年を大幅に上回ることが出来ました。
以上により、診断・試薬事業の売上高は、主力のEIAキット・抗体の売上が前年より減少したものの受託サービスや医薬用関連の売上が前年を上回った事により、前年に比べ増加しております。なお、四半期ごとに売上高は増加しており、売上改善の兆しが見られました。
営業利益につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策により、営業部門の諸経費が減少したこともあり前年に比べ改善することが出来ました。
その結果、当セグメントの売上高は494,099千円(前年同期比4.9%増)、営業利益は23,434千円(前年同期は124,457千円の営業損失)となりました。
<遺伝子組換えカイコ事業>当事業においては、各種抗体や受託等の売上高が前年同期に比べ増加しております。一方、研究開発においては、今まで蓄積したデータや経験を基に、遺伝子組換えカイコによるタンパク質の生産コストを1/10程度に低減する基礎研究を行っております。また、抗HIV 抗体原薬製造で培ったGMP 製造体制を有効に活用する手段を模索し、今後も開発型ベンチャー企業として新しい医薬品シーズの研究開発を継続して実施してまいります。なお、研究開発費は、抗 HIV 抗体の製造方法の変更により、前年に比べ減少しております。
その結果、当セグメントの売上高は29,797千円(前年同期比18.0%増)、営業損失は234,514千円(前年同期は391,891千円の営業損失)となりました。
<検査事業>当事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響が比較的大きく出ており、主力事業である血中リポタンパク質プロファイリングサービス「LipoSEARCH」において取引先での活動が停滞しております。また、国内製薬メーカーにおける脂質異常症治療薬の開発は減少しており、これまでのような大型案件の受注が期待しにくい状況となっております。一方、食品関連企業やCROにおいては当サービスの需要が見込まれるため、当該分野への営業活動に力を入れている状況であります。なお、動物向けサービス「LipoTEST」は、堅調な売上を計上できており、オンラインセミナー等の開催により継続して取引拡大を目指しております。また、某大学の人間ドック健康診断において、「コレステロール精密測定」というサービスを新たに開始しております。現在はまだ極めて規模は小さいですが、このような自由診療領域、及びペット領域に、徐々にすそ野を広げていくことを目指しております。
その他、「LipoSEARCH」の元になっている「ゲルろ過-HPLC法」という測定方法に関して、その競合法であるNMR法との比較論文が、2021年2月に出版されました。この論文では、ゲルろ過-HPLC法による粒子数解析が、NMR法より正確に薬剤の脂質改善効果を反映したと結論づけています。現在、欧米ではNMR法が主流となっていますが、本論文によって「LipoSEARCH」が改めて注目を浴び、海外導出を促進させるきっかけの一助になることを期待しています。
その結果、当セグメントの売上高は81,462千円(前年同期比13.7%増)、営業損失は17,043千円(前年同期は26,227千円の営業損失)となりました。
<化粧品関連事業>当事業においては、「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ」配合化粧品「フレヴァン」シリーズにつきまして、通信販売を含む国内の売上高は前年同期と比較し増加しました。また、欧州向けの販売は、新型コロナウイルス感染症再拡大の影響等により前年並みとなりました。なお、中国向けの商標問題につきましては、解決しております。
その結果、当セグメントの売上高は14,146千円(前年同期比9.9%増)、営業損失は、13,820千円(前年同期は53,741千円の営業損失)となりました。
② 財政状態
・ 流動資産
当連結会計年度における流動資産の残高は、前連結会計年度と比較して29.4%減の1,124,969千円となりました。この主な要因は、現金及び預金が、銀行からの新規借り入れ50,000千円や税金の還付といった資金増加要因の一方、転換社債型新株予約権付社債の償還や借入金の約定弁済等により429,430千円減少したこと等によるものであります。
・ 固定資産
当連結会計年度における固定資産の残高は、前連結会計年度と比較して8.6%減の713,069千円となりました。この主な要因は、持分法による投資損失等の計上により投資有価証券が81,491千円減少したこと等によるものであります。
・ 流動負債
当連結会計年度における流動負債の残高は、前連結会計年度と比較して63.5%減の145,008千円となりました。この主な要因は社債の償還による1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債の200,000千円の減少や約定弁済による1年内返済予定の長期借入金の55,000千円の減少等によるものであります。
・ 固定負債
当連結会計年度における固定負の残高は、前連結会計年度と比較して138.1%増の63,748千円となりました。この主な要因は、新規借り入れ等により長期借入金が39,000千円増加したこと等によるものであります。
・ 純資産
当連結会計年度における純資産の残高は、前連結会計年度と比較して16.4%減の1,629,282千円となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失318,827千円の計上等により減少となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度に比べ422,434千円減少し552,022千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により支出した資金は194,145千円(前年は608,746千円の支出)となりました。
この主な要因は、資金支出項目ではない持分法による投資損失90,944千円、税金の還付(未収消費税等の増減額)30,974千円、たな卸資産の増減額33,818千円といった資金増加要因があった一方、税金等調整前当期純損失310,630千円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は17,233千円(前年は10,818千円の獲得)となりました。
この主な要因は、有形固定資産の取得による支出13,460千円及び関係会社株式の取得による支出9,800千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は216,000千円(前年は81,195千円の獲得)となりました。
この主な要因は、長期借入による収入が50,000千円あったものの、長期借入金の返済による支出66,000千円や転換社債型新株予約権付社債の償還による支出200,000千円といったことによるものであります。
(注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(千円) | 前年同期比(%) | ||
| 診断・試薬事業 | 128,686 | △11.1 | ||
| 遺伝子組換えカイコ事業 | 64,007 | △53.4 | ||
| 検査事業 | 35,631 | 10.5 | ||
| 化粧品関連事業 | ─ | ─ | ||
| 合計 | 228,324 | △27.4 | ||
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、製造原価によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 仕入高(千円) | 前年同期比(%) | ||
| 診断・試薬事業 | 13,390 | △18.7 | ||
| 遺伝子組換えカイコ事業 | ─ | ─ | ||
| 検査事業 | 1,146 | 181.9 | ||
| 化粧品関連事業 | ─ | ─ | ||
| 合計 | 14,536 | △13.9 | ||
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、仕入価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 受注実績
当社グループは、主として見込生産を行っているため、該当事項はありません。
d. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) | ||
| 診断・試薬事業 | 482,244 | 2.9 | ||
| 遺伝子組換えカイコ事業 | 29,797 | 18.0 | ||
| 検査事業 | 76,560 | 9.4 | ||
| 化粧品関連事業 | 14,146 | 9.9 | ||
| 合計 | 602,749 | 4.5 | ||
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| (自 2019年4月1日 | (自 2020年4月1日 | |||
| 至 2020年3月31日) | 至 2021年3月31日) | |||
| 販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
| ㈱ニッピ | 41,514 | 7.2 | 89,918 | 14.9 |
| 岩井化学薬品㈱ | 54,534 | 9.5 | 65,922 | 10.9 |
(注) 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の分析
当社グループは診断・試薬事業、遺伝子組換えカイコ事業、検査事業及び化粧品関連事業により構成されており、当連結会計年度の当社グループの業績の分析につきましては、次のとおりであります。
診断・試薬事業は、当社の創業以来の基幹事業であり、製薬企業や医療関係の大学研究所等に対し、研究用試薬や体外診断用医薬品等の製造販売や抗体関連の受託サービス、さらに、医薬品原料のシーズ開発を行っており、その技術力については顧客からの信頼をいただいております。しかしながら、当社の事業基盤である研究用試薬や受託サービスを展開している国内市場は、その規模に比して競合他社が多数存在し、将来的な収益の伸張に限界があり、また、研究者のテーマにより需要が不安定な要素があります。さらに、体外診断用医薬品や医薬品原料シーズの開発は、資金と時間がかかることが想定されます。そのような状況のなか、世界的なコロナ感染症拡大の影響により、コロナ感染症関連の項目を除く研究開発が停滞し、主力のEIAキットや抗体の販売は、前年比で大きく減少となっております。しかしながら、当事業の独自の技術による試薬受託サービスやコロナ感染症に大きな影響を受けない動物用体外診断用医薬品の牛海綿状脳症測定キット(BSEキット)の販売が増加いたしました。この結果、売上高は、494,099千円、営業利益は23,434千円となっております。
遺伝子組換えカイコ事業につきましては、遺伝子組換えカイコにより生産された抗体においては、非特異反応が低いことや動物愛護の対象とならないことなどから、数年前から大手診断薬メーカーで使用する診断薬原料として採用されており、今後は販路拡大により製造数の増加が見込まれております。また、化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅠ」については、中国商標問題が解決したことや欧州において数種類の製品化が見込まれていること、さらに、通称「ベビーコラーゲン」と呼ばれる化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅢ」の販売も開始したこと等により、販売増が見込まれております。また、遺伝子組換えカイコによる抗 HIV 抗体原薬製造は、断念(2020年8月6日公表の「抗 HIV 抗体の製造方法の変更および資金使途変更に関するお知らせ」参照)致しますが、今まで蓄積したデータや経験を基に組換えタンパク質の生産コストを1/10程度に低減する基礎研究を行い、また抗HIV 抗体原薬製造で培ったGMP製造体制を有効に活用する手段を模索し、今後も開発型ベンチャー企業として新しい医薬品シーズの研究開発を継続して実施してまいります。この結果、売上高は29,797千円、営業損失は234,514千円となりました。
検査事業につきましては、当事業の主力サービスであるLipoSEARCHによる血中リポタンパク質の詳細なプロファイリング検査において、例年製薬企業等から大型案件の受注ができておりましたが、当期においては受注が中型の案件が中心となりました。国内製薬企業の開発パイプラインからは脂質異常症関連治療薬の項目が少なくなっており、短期的には大口受注は期待できない状況です。一方、海外では、生活習慣病関連においては国内よりもより深刻な状況であり測定ニーズも高いことが予想されますが、まだまだLipoSEARCHの認知度が低く、また、現状のように検体を海外から日本に送付して測定する体制には限界があります。よって、大きく売上増を求めるためには、測定システム自体を海外へ導出し、海外での測定拠点を増やして測定件数を増やすことが必須であると考えます。現在、そのためのシステムを構築し、検証作業を行っているところであります。この結果、売上高は81,462千円、営業損失は17,043千円となりました。
化粧品関連事業につきましては、国内において、市場は大きいものの競合他社が多数存在し、当事業の製品「フレヴァン」シリーズの優位性をアピールするためには広告宣伝費が膨大にかかるため、日本製品の安全性を前面にアピールできる海外販売に集中しております。
中国への販売につきましては、無事、商標登録問題が解決(2021年3月31日公表の「株式会社ネオシルク化粧品における「frais vent」商標登録の完了に関するお知らせ」参照)し、既存代理店ルートでの販売再開及び新規販売ルートによる販路拡大を進めてまいります。また、欧州での販売については、欧州現地代理人が販売活動を行っておりますが、新型コロナウイルス感染症再拡大により、販促活動は限定的になっております。そのような中、欧州現地代理人は、通信販売会社を設立し、売上高の増加を目指しております。この結果、当セグメントの売上高は14,146千円となり営業損失13,820千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源、資金の流動性に係る情報
当連結会計年度においては、売上高が前期と比較し微増、遺伝子組換えカイコ事業における抗HIV抗体等に係る研究開発費が減少したことや大きな固定資産の購入もなかったことから販売費及び一般管理費の支出は大きなものではありませんでした。一方、転換社債型新株予約権付社債の一部が償還期限を迎えたため200,000千円の支出がありました。
資本の財源については、自己資金で賄うことを基本としておりますが、状況に応じて金融機関からの借入や新株発行による増資(新株予約権の行使によるものも含む)等によるものも考慮に入れております。
資金の流動性については、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローが194,145千円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローが17,233千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが216,000千円の支出でありますが、現金及び現金同等物の期末残高は552,022千円であり、各キャッシュ・フローの規模等を勘案し、十分な手元流動性を確保しているものと考えております。
翌連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、運転資金での支出が主なものであり、重要な設備投資は予定しておりませんので、先に述べましたとおり、現金及び現金同等物で十分賄える見込みであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、持分法適用会社である株式会社CUREDの主要な事業である抗HIV抗体の実用化に向けた研究開発は、概ね計画通りに進行しております。