有価証券報告書-第42期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/26 10:38
【資料】
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【項目】
141項目
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行され、行動規制が解除されたことにより経済活動の正常化が進み、景気に持ち直しの動きが見られたものの、物価上昇、金融資本市場の変動、中東地域をめぐる情勢など、引き続き先行きは不透明な状況が続いております。
こうした状況のもと、当社グループの業績につきましては、以下の通りとなりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりです。なお、第42期第1四半期より報告セグメントの区分を変更しております(2023年4月27日公表「報告セグメントの変更に関するお知らせ」をご参照ください)。
セグメント売上高営業損益
金額
(千円)
前年同期比金額
(千円)
前年同期比
増減額
(千円)
増減率
(%)
増減額
(千円)
増減率
(%)
抗体関連事業812,850+22,250+2.8107,816+37,323+52.9
診断試薬サービス702,895+24,114+3.6235,312+20,346+9.5
検査サービス61,163△3,102△4.8△2,046+1,450-
TGカイコサービス48,791+1,237+2.6△125,449+15,525-
化粧品関連事業3,851△170△4.2△3,516+9,828-

※遺伝子組換えカイコの研究開発費は、TGカイコサービスに含めております。
<抗体関連事業>・診断試薬サービス
当サービスの売上高は、主力製品であるELISAキットの売上は、海外のCROへの販売が大幅に増加していることやSNS戦略が功を奏し、国内外ともに前年から大幅に伸びました。一方その他の製品においては、抗体製品の大口受注や動物用体外診断用医薬品の牛海綿状脳症測定キット(BSEキット)等の売上が計上されたものの、予想を下回る結果となりました。
・検査サービス
当サービスの売上高は、血中リポタンパク質プロファイリングサービス「LipoSEARCH」に関連する検査で、中型案件の売上が計上されたものの、全体的に受注が減少し、前年を下回る結果となりました。
・TGカイコサービス
当サービスの売上高は、ラミニン(iMatrix-511)の纏まった販売や大手体外診断用医薬品企業からの抗体受託サービスの売上が計上され、前年に比べ増加いたしました。
以上により、当事業の売上高は、812,850千円(前年同2.8%増)となりました。
営業利益につきましては、人件費や製造コスト等のコストが増加しましたが、資本金の減少による税金コストが大幅に減少したことや、新規取得の固定資産について、簿価の切り下げ処理を行わない会計処理(2024年5月10日公表の「通期業績予想の修正に関するお知らせ」を参照)にしたことにより、当事業の営業利益は、107,816千円(前年同52.9%増)となりました。
なお、前期まで遺伝子組換えカイコ開発事業として発生していた研究開発費につきましては、当事業に集約しております(2023年4月27日公表「報告セグメントの変更に関するお知らせ」を参照)。
<化粧品関連事業>当事業における売上高は、国内通信販売が中心ですが、人材不足により販促活動が不足し、前年に比べ減少し3,851千円(前年同4.2%減)となりました。営業損益につきましては、高崎ショップの閉鎖等により販売費の抑制を図り営業損失3,516千円(前年同期は13,344千円の営業損失)となり、前年に比べ改善されました。
以上の結果、当社グループの連結売上高は、前年に比べ2.8%増の816,701千円となり、営業損益については、人件費や製造コスト等の増加があったものの、売上高の増加、業務効率の改善、資本金の減少による税金コストが大幅に減少したことや、新規取得の固定資産について、簿価の切り下げ処理を行わない会計処理(2024年5月10日公表の「通期業績予想の修正に関するお知らせ」を参照)にしたことにより、前年に比べ82.5%増の104,299千円の営業利益となりました。経常損益につきましては、為替差益や前期貸倒損失の戻し益を計上したことや前期において損益に大きな影響を及ぼしていた関係会社の持分法による投資損失等の影響が軽微だったため、前年同期の149,503千円の経常損失から黒字化し、125,413千円の経常利益となりました。親会社株主に帰属する当期純損益については、税効果会計を適用し、将来減算一時差異に対して繰延税金資産を計上したこと等により、前年同期の289,731千円の親会社株主に帰属する当期純損失から黒字化し、186,694千円の親会社株主に帰属する当期純利益となりました。
②財政状態
・流動資産
当連結会計年度における流動資産の残高は、前連結会計年度と比較して、8.3%増の1,262,120千円となりました。この主な要因は、年度末の売上債権が32,707千円減少しましたが、売上高の増加により現金及び預金が119,972千円増加したこと等によるものであります。
・固定資産
当連結会計年度における固定資産の残高は、前連結会計年度と比較し32.5%増の356,461千円となりました。この主な要因は、有形固定資産が16,540千円増加したことや税効果会計の適用により繰延税金資産67,908千円等を計上したことによるものであります。
・流動負債
当連結会計年度における流動負債の残高は、前連結会計年度と比較して2.3%増の257,824千円となりました。この主な要因は、長期借入金が1年以内に到達することにより10,532千円、新規借入により短期借入金が5,000千円それぞれ増加したこと等によるものであります。
・固定負債
当連結会計年度における固定負債の残高は、前連結会計年度と比較して8.0%減の95,446千円となりました。この主な要因は、約定弁済等や1年以内に到達する長期借入金の振り替え等により14,540千円減少したこと等によるものであります。
・純資産
当連結会計年度における純資産の残高は、前連結会計年度と比較して17.3%増の1,265,311千円となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益186,694千円の計上等により増加となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度に比べ112,971千円増加し、674,969千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は133,775千円(前年は26,458千円の獲得)となりました。
この主な要因は、税金等調整前当期純利益を124,644千円計上したことや、その他が16,572千円減少したものの、売上債権の減少が32,707千円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は24,496千円(前年は30,036千円の獲得)となりました。
この主な要因は、固定資産を18,660千円取得したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は991千円(前年は991千円の獲得)となりました。
(注)用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(千円)前年同期比(%)
抗体関連事業279,88613.4
化粧品関連事業--
合計279,88613.4

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、製造原価によっております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(千円)前年同期比(%)
抗体関連事業24,42340.9
化粧品関連事業--
合計24,42340.9

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、仕入価格によっております。
c.受注実績
当社グループは、主として見込生産を行っているため、該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
抗体関連事業812,8502.8
化粧品関連事業3,851△4.2
合計816,7012.8

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
(自 2022年4月1日(自 2023年4月1日
至 2023年3月31日)至 2024年3月31日)
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
Immuno-Biological Laboratories, Inc.85,38810.7113,12713.9
岩井化学薬品㈱79,51310.089,93411.0
㈱ニッピ84,17710.668,7188.4


(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①経営成績の分析
当社グループは抗体関連事業及び化粧品関連事業により構成されており、当連結会計年度の当社グループの業績の分析につきましては、次のとおりであります。
・売上高
抗体関連事業は、主力製品であるELISAキット及び抗体において、海外販売におけるeマーケティングを活用した情報戦略や円安効果により販売が拡大したことが主な要因となり、前年比2.8%増の812,850千円と増加しております。化粧品関連事業については、抗体関連事業へ投資を集中していることで、人材不足の影響により国内外の販売活動が出来ず、売上高は前年比4.2%減の3,851千円となっております。
・売上原価、売上総利益
原価面につきましては、作業効率の改善や仕入価格低減に向けた活動を絶えず行うこと等、原価低減活動を行っておりますが、諸物価高騰及び円安影響を受け、原材料、経費等にかなり影響を受けております。その結果、売上原価は前期比11.8%の増加となり299,408千円となりました。売上総利益は、売上高が増加となりましたが、売上原価の増加に伴い、前年比1.8%減の517,293千円となりました。
・販売費及び一般管理費、営業利益
円安や海外情勢の不安定化をはじめとしたさまざまな要因により物価高が進行しており、製造費用はもとより販売費及び一般管理費においても光熱水道費をはじめとして費用高騰圧力となっておりますが、その中にあって、遺伝子組換えカイコサービスにおいて研究項目を基礎研究にシフトしたこと等により販売費及び一般管理費は減少しました。また、前期まで取得した固定資産については、全額費用計上(簿価の切り下げ)を行ってまいりましたが、今期より全額簿価切り下げが不要と判断いたしました。その結果、販売費及び一般管理費は、前年比12.0%減の412,993千円となり、営業利益は、前年比82.5%増加し104,299千円となりました。
・営業外損益、経常利益
当連結会計年度においては、為替相場の動向が期初から期末にかけて円安傾向で推移したことにより外貨建売掛債権等において為替差益が8,702千円発生したことや前期貸倒損失の戻し益が6,697千円計上されました。また、当連結会計年度より関係会社の持分法投資損失の影響がなくなったこと(前期203,844千円計上)等により、前期の149,503千円の経常損失から、当期は125,413千円の経常利益となりました。
・特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度においては、親会社株主に帰属する当期純利益の黒字化を達成できる見込みとなり、さらに、来期以降につきましても継続して親会社株主に帰属する当期純利益の計上を計画していることから、翌年の繰延税金資産の回収が見込めることとなったため、税効果会計を適用し、将来減算一時差異に対して繰延税金資産を計上いたしましたので、当連結会計年度において、法人税等調整額を67,908千円計上しております。これにより親会社株主に帰属する当期純利益は186,694千円(前期は289,731千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源、資金の流動性に係る情報
当連結会計年度においては、営業活動が好調なことや遺伝子組換えカイコサービスにおいても研究項目の選択と集中等により営業収支が改善しており、営業活動によるキャッシュ・フローは133,775千円(資金の獲得)となっております。また、投資活動によるキャッシュ・フローにおいては、有形固定資産の取得等により24,496千円減少いたしました。
資金の財源については、自己資金で賄うことを基本としておりますが、状況に応じて金融機関からの借入や新株発行による増資等によるものも考慮に入れております。
資金の流動性については、前述のとおり当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローが133,775千円の資金の獲得、投資活動によるキャッシュ・フローが24,496千円の資金の減少、財務活動によるキャッシュ・フローが991千円の資金の獲得、現金及び現金同等物の期末残高は674,969千円であり、各キャッシュ・フローの規模等を勘案し、十分な手元流動性を確保しているものと考えております。
翌連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、運転資金での支出が主なものであり、重要な設備投資は予定しておりませんので、先に述べましたとおり、現金及び現金同等物で十分賄える見込みであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。