有価証券報告書-第114期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、それに伴い、前連結会計年度の数値は変更後のセグメント区分に基づいております。詳細は「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。
①経営成績の状況
当社グループは当連結会計年度からスタートした3カ年の中期経営計画「Vision UBE 2025 ~Prime Phase~」において、「事業の成長基盤強化」「経営基盤(ガバナンス)の強化」「資源・エネルギー・地球環境問題への対応と貢献」を基本方針とし、化学セグメントを核とした次なる成長の実現を目指して、各事業課題の解決に取り組んでまいりました。
当連結会計年度においては、米中貿易摩擦に端を発した中国経済の減速等により、化学セグメントや機械セグメントで需要の減退や市況悪化の影響を受けたこと、また建設資材セグメントでは国内需要が低調に推移したことなどにより、石炭など原燃料価格の下落はあったものの、売上高・営業利益ともに前連結会計年度を下回りました。
また、ゴルフ場事業を譲渡したことにともない、46億円の特別損失を計上しました。
なお、新型コロナウイルス感染拡大による当連結会計年度の業績への影響は軽微でした。
この結果、当社グループの売上高は前連結会計年度に比べ622億6千5百万円減の6,678億9千2百万円、営業利益は105億1千8百万円減の340億3千3百万円、経常利益は121億2千9百万円減の357億2千4百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は95億2千3百万円減の229億7千6百万円となりました。
②生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1.金額は平均販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における機械の受注実績を示すと、次のとおりです。
なお、機械を除くセグメントの製品については、受注生産は行っておりません。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③財政状態
総資産
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ、130億1千7百万円(△1.8%)減少し、
7,272億6千9百万円となりました。
流動資産は、現金及び預金が増加したものの、受取手形及び売掛金が減少したことなどにより117億4千3百万円(△3.7%)減少し、3,039億5千6百万円となりました。
固定資産は、有形固定資産が減少したことなどにより12億7千9百万円(△0.3%)減少し、4,231億4千5百万円となりました。
繰延資産は、社債発行費が増加したことにより5百万円増加し、1億6千8百万円となりました。
負債
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ、129億1千2百万円(△3.3%)減少し、
3,728億2千2百万円となりました。有利子負債は34億1千9百万円(1.8%)増加し、1,907億
1千8百万円となりました。
流動負債は、支払手形及び買掛金、短期借入金、1年内償還予定の社債が減少したことなどにより267億2千7百万円(△11.8%)減少し、1,993億3千6百万円となりました。
固定負債は、社債、長期借入金の増加などにより138億1千5百万円(8.7%)増加し、1,734億8千6百万円となりました。
純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ、1億5百万円(△0.0%)減少し、3,544億4千7百万円となりました。
株主資本は、剰余金の配当により126億5千9百万円減少しましたが、自己株式の減少により1億5千3百万円増加、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が229億7千6百万円増加したことなどにより104億7百万円(3.2%)増加し、3,320億7千万円となりました。
その他の包括利益累計額は、為替換算調整勘定が減少したことなどにより75億3千2百万円(△95.9%)減少し、3億2千5百万円となりました。
非支配株主持分は、29億2千7百万円(△12.0%)減少し、214億7千9百万円となりました。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度に比べ、1.2ポイント増加し45.7%となりました。
④キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ、180億2千7百万円増の684億8千9百万円となりました。これは、前連結会計年度に比べ、税金等調整前当期純利益による収入は減少したものの、運転資金増減額(売上債権、たな卸資産及び仕入債務の増減合計額)による収入の増加や法人税等の支払額が減少したことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ、20億3千1百万円減の406億3千2百万円となりました。これは、前連結会計年度に比べ、投資有価証券の売却による収入が増加したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ51億3百万円減の189億3千1百万円となりました。これは、配当金の支払額や宇部72カントリークラブの会員預り金の返還による支出が増加したものの、有利子負債の増減による支出が減少したことなどによるものです。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、現金及び現金同等物に係る換算差額を含め、前連結会計年度末に比べ、83億1千4百万円(25.7%)増の406億9百万円となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析、検討内容
中期経営計画の初年度にあたる当連結会計年度の業績は、前連結会計年度に比べ売上高はすべてのセグメントで減少するとともに、営業利益は建設資材セグメントを除き減少となりました。特に化学セグメントでは中国経済の減速等によるナイロン・ラクタムの市況下落の影響が大きく売上高、営業利益とも大幅な減少となりました。
<売上高>
<営業利益>
各セグメントの主要製品の状況は次のとおりです。
化学セグメント
◆ナイロン樹脂
ナイロン樹脂については、グローバルでの重合能力最適化、コンポジット事業拡大によるスペシャリティ事業への転換を図るとともに、プラスチックを取り巻く環境問題への対応に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、国内市場では食品包装フィルム用途・自動車用途ともに前連結会計年度並みで推移しましたが、中国をはじめ海外市場では需給が軟化し、出荷が弱含みで推移するとともに市況も大きく悪化しました。
足元においては、食品包装フィルム用途は需要が堅調に推移していますが、自動車販売の落ち込みにより自動車用途は需要が減少し競争が激化しております。なお、本年4月に北米での事業拡大を目指しコンパウンド会社を買収しました。
今後については、重合能力最適化による収益性追求を図るとともに、リサイクル(マテリアル、ケミカル)、バイオ原料、軽量化、薄肉化など市場トレンドを見据えたマーケティングの推進、景気回復後のV字回復・成長に向けたグローバル営業活動の強化と事業基盤強化のためのコストダウンを実施してまいります。
◆カプロラクタム・硫安
ナイロン原料のカプロラクタムは、フル操業を維持しコストダウンを図るとともに、収益改善投資を推進しております。
当連結会計年度においては、米中貿易摩擦による中国市場での需要減退の影響を受け、販売が弱含みで推移するとともに、原料価格の低下を上回って製品価格が下落しました。一方、フェノール法アノン設備は操業安定により製法転換メリットを計画通り実現することができました。また、能力増強した大粒硫安設備も安定操業が可能となりました。
足元においては、米中貿易摩擦に加え新型コロナウイルス感染拡大の影響でカプロラクタム需要が減少し、市況は低迷しております。一方で硫安需要は総じて安定しており、ロックダウンにより懸念された海外顧客への販売影響は限定的となっています。
カプロラクタムは今後もフル操業を維持しコストダウンを推進するとともに、収益改善投資を継続してまいります。硫安については高加価値品の大粒硫安の本格的な増産と、更なる増産・増販に向けた三極(日本・タイ・スペイン)での営業・開発の連携強化を進めてまいります。
◆ファインケミカル、工業薬品
ファインケミカルについては、北米での事業拡大を目指しC1ケミカルチェーン(DMC、PCD)の生産拠点確立について、拠点の絞り込みとFSを実施し、検討を進めております。
当連結会計年度においては、ファインケミカルは需要が概ね堅調に推移したものの、競争激化に伴い一部製品の販売数量が減少しました。工業薬品は、隔年で実施するアンモニア工場の定期修理がなかったこともあり、出荷が増加しました。宇部藤曲工場においては日本液炭株式会社が同工場内に新設する液化炭酸工場に対し、2021年から原料炭酸ガスの供給を開始いたします。積極拡大事業の高機能コーティング材料は、水系・無溶剤系ポリウレタンコーティング市場が拡大しており当社グループとしてもそれに対応し事業のグローバル展開を加速してまいります。
◆ポリブタジエン(合成ゴム)
ポリブタジエンについては、「UBEPOL」ブランドを活かし日本、タイ、マレーシアの3極一体でアジアNo.1を目指すとともに、戦略顧客とともに新規グレードを開発し、事業のスペシャリティ化を推進しております。
当連結会計年度においては、3拠点(日本・タイ・マレーシア)を活用したグローバルマーケティングは進展したものの、生産面の不調により能力を最大限に活用できませんでした。販売価格は、原料のブタジエン価格の下落の影響を受け低下しました。足元では新型コロナウイルス感染拡大の影響によりタイヤ向け需要が急減しております。
◆ポリイミド
ポリイミドについては、フィルムに加えてワニスを主力製品に育成するとともに、生産能力増強とコストダウンを推進しております。
当連結会計年度においては、ディスプレイ向けCOFフィルムの販売数量が堅調に推移するとともに、中国市場での有機ELパネル向けワニスの需要拡大もあり、販売は好調に推移しました。また、原料となるBPDAは、生産設備のボトルネックを解消し増産を行いました。
今後については、引き続きフィルム、ワニスの事業拡大に注力するとともに、電子回路基板市場以外の用途での拡販にも注力してまいります。
◆セパレータ
セパレータについては、宇部マクセル株式会社での無塗布・塗布型セパレータの一体運営により一層の効率化を推進するとともに、車載用途を軸とした増加需要の獲得に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、車載向けを中心に市場の成長が足踏みする中で、同業他社との競争が激化し、出荷は減少しました。中国経済の悪化、足元での新型コロナウイルス感染拡大等による自動車需要の急減を受け、コスト低減要求は一層高まっております。
今後については、機能重視の顧客との関係強化を図るとともに、景気回復時に需要を着実に獲得できるよう営業及び開発活動を一層強化してまいります。
◆医薬
医薬については、基礎研究における研究領域の拡大、計算化学による探索サイクルの迅速化・効率化、少量・高活性に対応する工場群への再編、新市場が勃興している核酸医薬の原薬製造受託の事業化に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、受託医薬品及び自社医薬品ともに顧客である製薬会社の販売が好調に推移したことにより出荷は増加しました。また、高活性に対応した第五医薬品工場の建設にも着手いたしました。
今後については、創薬パイプラインのテーマに優先順位を付け早期のステージ移行に注力するとともに、高活性品受託案件のマーケティング強化を実施してまいります。
新型コロナウイルス感染症に効果が期待されるアビガン錠については、今後、その原薬主骨格を成す重要な中間体の製造及び供給を行ってまいります。
建設資材セグメント
◆セメント・生コン
セメント・生コンについては、継続的に販売価格の是正に取り組むとともに、高効率設備の導入、熱エネルギー代替廃棄物利用拡大による省エネ、省コストを推進しております。
当連結会計年度においては、セメントの国内需要が1990年以降最低となる4,100万トンとなるなか、首都圏を中心に需要の端境期にあることに加え、自然災害や工事延期等の影響もあり出荷は低調に推移しました。一方で、石炭をはじめとする原料価格低下が全般的なコストダウンに寄与しております。伊佐セメント工場では、発電に伴う化石燃料の使用を抑えCO₂排出削減に効果のある排熱発電設備が稼働を開始いたしました。
◆カルシア・マグネシア、エネルギー
カルシア・マグネシア製品は、鉄鋼・電力向けマグネシアなどの価格改定効果等があるものの、粗鋼生産量が10年ぶりに1億トンを割り込むなど需要低迷により出荷が減少しました。また、エネルギー事業も石炭市況の下落により販売価格が低下し、販売数量も減少しました。木質バイオマス炭化燃料(トレファイドペレット)実証設備は計画通り稼働を開始しております。
今後について、カルシア・マグネシア製品は宇部マテリアルズ株式会社の宇部工場リニューアルにより高付加価値化を図ってまいります。エネルギー事業はIPPでのバイオマス燃料の使用拡大を進めるとともに、トレファイドペレットの海外生産も検討してまいります。
なお、建設資材事業については競争力の維持・強化と更なる発展を図るため、三菱マテリアル株式会社とセメント事業等の統合に関する基本合意書を本年2月に締結しました。2022年4月の統合を目指し検討を進めてまいります。
機械セグメント
◆成形機
成形機については、自動車の軽量化、EV化ニーズに対応した製品開発と市場開拓を推進するとともに、グローバルでの事業展開を強化し、併せてサービス事業の拡充にも取り組んでおります。
当連結会計年度においては、米中貿易摩擦に端を発した景気減速が世界的に設備投資へと波及し、厳しい受注環境が続きました。こうした状況のなか、成形機は出荷が減少するとともに、資材費、外注加工費などの上昇の影響も大きく受けました。一方、サービス事業は堅調でした。自動車軽量化に対応するための装置・プロセスは開発が進展しております。
◆産業機械、製鋼品
産業機械は、環境貢献・資源リサイクル機器の開発やアライアンスによる新たな収益源の創出とともに、海外・他社製品でのサービス強化による収益拡大を推進しております。製鋼品は、量を追求しない最適生産体制を構築しベストプロダクトミックスによる収益改善に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、厳しい受注環境が続く中、産業機械の出荷は微減となりましたが、製鋼品は採算が改善しました。株式会社日立プラントメカニクスから化学機器製品とそのアフターサービス事業を継承することを決定しました。
②経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
中期経営計画の初年度にあたる2019年度については米中貿易摩擦に端を発した中国経済の減速等により目標未達となりました。2020年度については新型コロナウイルスの影響等に関して一定の前提をおいて業績を予想しております。最終年度の原計画の目標達成についても現時点においては厳しい状況にありますが、新型コロナウイルスの影響も含めて最終年度の業績を見通すことは困難であるため数値目標の見直しは行っておりません。
<主要項目・経営指標>
(注)2020年度の予想につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は明確には想定できませんが、以下の前提(当初計画に対する売上影響)をおいて業績を予想しております。
化学:
・食品・医薬品等の生活必需品や半導体向けは影響なし
・自動車関連向け及びその他産業向けはマイナス影響があり、第2四半期から第3四半期が最大で、年間平均10~15%の下振れ
建設資材:
・建設工事の停滞等により建設資材関連で年間平均5%の下振れ
・エネルギー関連は影響なし
機械:
・自動車関連を中心に設備投資案件の延期・中断が第2四半期まで継続し、年間10%強の下振れ
上記の3セグメントの合計で、年間460億円程度の売上高の下振れ影響を織り込んでおります。一方、これらを踏まえた様々なコスト削減策による効果も予想には織り込んでおります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
(財務の基本方針)
当社グループは、財務構造の健全化及び資金の効率的調達・運用を基本方針として財務活動を行っております。資金調達については、自己資金のほか、金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパー、社債等の発行等により行っております。資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、緊急時の資金調達手段の確保等を目的として、一部の取引銀行とコミットメントライン契約を締結しております。
(キャッシュ・フロー及び流動性の状況)
2019年度においては運転資金の圧縮や主に維持更新投資での実施時期の最適化などに取り組み、営業活動によるキャッシュ・フローは684億円のキャッシュ・イン、投資活動によるキャッシュ・フローは406億円のキャッシュ・アウトとなり、フリー・キャッシュ・フローは計画を上回る278億円を確保しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払134億円、宇部72カントリークラブ会員預り金の返還による支出59億円、有利子負債の増減による収入15億円など189億円のキャッシュ・アウトとなり、期末における現金及び現金同等物は406億円となりました。
資金の使途については、2019年度は設備投資に476億円、M&Aを含む投融資に22億円、研究開発には128億円の合計627億円を支出しております。このうち、積極拡大事業への支出は201億円(32%)であり、基盤事業、育成事業はそれぞれ395億円(63%)、31億円(5%)でありました。積極拡大事業への資金投入の割合は前中期経営計画期間(2016年度から2018年度)が26%でしたので着実に増加しております。2020年度においては全体として設備投資に470億円、M&Aを含む投融資に30億円、研究開発に140億円を計画しております。
セグメント別の設備投資、M&Aを含む投融資においては、化学セグメントが50%を超えており、当社グループの成長を牽引するセグメントとして今後とも経営資源を重点配分してまいります。
(ポートフォリオ別投資使途)

(セグメント別設備投資・投融資)

(資本政策)
新型コロナウイルスの影響による金融環境の悪化に備え、期末には手元資金を厚めに確保したこともあり、有利子負債残高は若干増加しましたが、D/Eレシオは前連結会計年度末並みの0.57倍となり、自己資本比率は45.7%に若干改善いたしました。
2020年度は、新型コロナウイルスの影響により、世界経済や事業環境の先行きが極めて見通しづらい状況になっております。こうした状況を踏まえ、従来以上にキャッシュ・フローを重視しながら財務規律を堅持してまいりますが、一方で、将来の成長や事業構造改革、地球環境問題への対応のための投資は滞らせることなく、積極的に実施してまいります。事業拡大の投資判断においては、資本コストを意識し、原則としてこれを上回るリターンの実現を目指し、経営資源配分などにおいてROIC(投下資本利益率)をより意識するなど、資本効率の向上を図りながら持続的成長と企業価値向上を目指します。
当社では、株主還元の基本的な考え方として、安定的かつ持続的な配当を目指しております。これをより明確に表すために、DOE(株主資本配当率)をKPIとして採り入れ、2.5%以上をターゲットとして掲げるとともに、中期経営計画期間での連結総還元性向を30%以上にすることと併せて株主還元の方針としています。
今後も上記方針のもと、成長投資や内部留保とのバランスをとりながら、株主還元のさらなる拡充を目指してまいります。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示、並びに報告年度における収益・費用の数値に影響を与える将来に関する見積り及び仮定が必要であり、過去の実績やその他の様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
①繰延税金資産
当社グループが計上している繰延税金資産は、将来減算一時差異等に関するものであり、定期的に回収可能性の評価のための見積りを実施しております。繰延税金資産の回収可能性は、主に将来の課税所得の見積りによるところが大きく、課税所得の予測は将来の市場動向や事業活動の状況により変化いたします。課税所得の予測が変更され、繰延税金資産の一部ないし全部が回収できないと判断される場合、繰延税金資産を取り崩す可能性があります。
②固定資産の減損
収益性の悪化が継続している事業に係る固定資産については、定期的に回収可能価額を見積り、回収可能性の評価のための見積りを実施しております。回収可能価額の見積りには当該固定資産が生成すると見込まれる将来キャッシュ・フローを使用いたしますが、将来キャッシュ・フローの予測は将来の市場動向や事業活動の状況により変化いたします。将来キャッシュ・フローの予測が変更され、回収不能と判断される場合、減損損失を計上する可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の影響に関して、今後の広がり方や収束時期等を予測することは困難ですが、一定の仮定(化学セグメントでは、食品・医薬品等の生活必需品や半導体向けは影響なし。自動車関連向け及びその他産業向けはマイナス影響があり、第2四半期から第3四半期が最大で、売上高が年間平均10%~15%の下振れ。建設資材セグメントでは、建設工事の停滞等により建設資材関連で売上高が年間平均5%の下振れ。エネルギー関連は影響なし。機械セグメントでは、自動車関連を中心に設備投資案件の延期・中断が第2四半期まで継続し、売上高が年間10%強の下振れ。)のもと、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、それに伴い、前連結会計年度の数値は変更後のセグメント区分に基づいております。詳細は「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。
①経営成績の状況
当社グループは当連結会計年度からスタートした3カ年の中期経営計画「Vision UBE 2025 ~Prime Phase~」において、「事業の成長基盤強化」「経営基盤(ガバナンス)の強化」「資源・エネルギー・地球環境問題への対応と貢献」を基本方針とし、化学セグメントを核とした次なる成長の実現を目指して、各事業課題の解決に取り組んでまいりました。
当連結会計年度においては、米中貿易摩擦に端を発した中国経済の減速等により、化学セグメントや機械セグメントで需要の減退や市況悪化の影響を受けたこと、また建設資材セグメントでは国内需要が低調に推移したことなどにより、石炭など原燃料価格の下落はあったものの、売上高・営業利益ともに前連結会計年度を下回りました。
また、ゴルフ場事業を譲渡したことにともない、46億円の特別損失を計上しました。
なお、新型コロナウイルス感染拡大による当連結会計年度の業績への影響は軽微でした。
この結果、当社グループの売上高は前連結会計年度に比べ622億6千5百万円減の6,678億9千2百万円、営業利益は105億1千8百万円減の340億3千3百万円、経常利益は121億2千9百万円減の357億2千4百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は95億2千3百万円減の229億7千6百万円となりました。
| 項 目 | 売 上 高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属 する当期純利益 |
| 当連結会計年度 | 667,892百万円 | 34,033百万円 | 35,724百万円 | 22,976百万円 |
| 前連結会計年度 | 730,157百万円 | 44,551百万円 | 47,853百万円 | 32,499百万円 |
| 増 減 | △62,265百万円 | △10,518百万円 | △12,129百万円 | △9,523百万円 |
| 増 減 率 | △8.5% | △23.6% | △25.3% | △29.3% |
②生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 化学 | 274,736 | △8.2 |
| 建設資材 | 126,401 | △1.1 |
| 機械 | 86,082 | △6.4 |
| 合計 | 487,219 | △6.1 |
(注)1.金額は平均販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における機械の受注実績を示すと、次のとおりです。
なお、機械を除くセグメントの製品については、受注生産は行っておりません。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 機械 | 49,373 | △40.2 | 54,486 | △31.4 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 化学 | 286,041 | △11.8 |
| 建設資材 | 303,037 | △5.6 |
| 機械 | 90,799 | △6.6 |
| その他 | 4,576 | △7.3 |
| 消去 | △16,561 | - |
| 合計 | 667,892 | △8.5 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③財政状態
総資産
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ、130億1千7百万円(△1.8%)減少し、
7,272億6千9百万円となりました。
流動資産は、現金及び預金が増加したものの、受取手形及び売掛金が減少したことなどにより117億4千3百万円(△3.7%)減少し、3,039億5千6百万円となりました。
固定資産は、有形固定資産が減少したことなどにより12億7千9百万円(△0.3%)減少し、4,231億4千5百万円となりました。
繰延資産は、社債発行費が増加したことにより5百万円増加し、1億6千8百万円となりました。
負債
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ、129億1千2百万円(△3.3%)減少し、
3,728億2千2百万円となりました。有利子負債は34億1千9百万円(1.8%)増加し、1,907億
1千8百万円となりました。
流動負債は、支払手形及び買掛金、短期借入金、1年内償還予定の社債が減少したことなどにより267億2千7百万円(△11.8%)減少し、1,993億3千6百万円となりました。
固定負債は、社債、長期借入金の増加などにより138億1千5百万円(8.7%)増加し、1,734億8千6百万円となりました。
純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ、1億5百万円(△0.0%)減少し、3,544億4千7百万円となりました。
株主資本は、剰余金の配当により126億5千9百万円減少しましたが、自己株式の減少により1億5千3百万円増加、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が229億7千6百万円増加したことなどにより104億7百万円(3.2%)増加し、3,320億7千万円となりました。
その他の包括利益累計額は、為替換算調整勘定が減少したことなどにより75億3千2百万円(△95.9%)減少し、3億2千5百万円となりました。
非支配株主持分は、29億2千7百万円(△12.0%)減少し、214億7千9百万円となりました。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度に比べ、1.2ポイント増加し45.7%となりました。
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | 増 減 | |
| 総資産 | 727,269百万円 | 740,286百万円 | △13,017百万円 |
| 負債 | 372,822百万円 | 385,734百万円 | △12,912百万円 |
| 純資産 | 354,447百万円 | 354,552百万円 | △105百万円 |
④キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ、180億2千7百万円増の684億8千9百万円となりました。これは、前連結会計年度に比べ、税金等調整前当期純利益による収入は減少したものの、運転資金増減額(売上債権、たな卸資産及び仕入債務の増減合計額)による収入の増加や法人税等の支払額が減少したことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ、20億3千1百万円減の406億3千2百万円となりました。これは、前連結会計年度に比べ、投資有価証券の売却による収入が増加したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ51億3百万円減の189億3千1百万円となりました。これは、配当金の支払額や宇部72カントリークラブの会員預り金の返還による支出が増加したものの、有利子負債の増減による支出が減少したことなどによるものです。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、現金及び現金同等物に係る換算差額を含め、前連結会計年度末に比べ、83億1千4百万円(25.7%)増の406億9百万円となりました。
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | 増 減 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 68,489百万円 | 50,462百万円 | 18,027百万円 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △40,632百万円 | △42,663百万円 | 2,031百万円 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △18,931百万円 | △24,034百万円 | 5,103百万円 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析、検討内容
中期経営計画の初年度にあたる当連結会計年度の業績は、前連結会計年度に比べ売上高はすべてのセグメントで減少するとともに、営業利益は建設資材セグメントを除き減少となりました。特に化学セグメントでは中国経済の減速等によるナイロン・ラクタムの市況下落の影響が大きく売上高、営業利益とも大幅な減少となりました。
<売上高>
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | 増 減 | 増減率 | |
| 化学 | 286,041百万円 | 324,269百万円 | △38,228百万円 | △11.8% |
| 建設資材 | 303,037百万円 | 321,004百万円 | △17,967百万円 | △5.6% |
| 機械 | 90,799百万円 | 97,264百万円 | △6,465百万円 | △6.6% |
| その他 | 4,576百万円 | 4,935百万円 | △359百万円 | △7.3% |
| 調整額 | △16,561百万円 | △17,315百万円 | 754百万円 | - |
| 合計 | 667,892百万円 | 730,157百万円 | △62,265百万円 | △8.5% |
<営業利益>
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | 増 減 | 増減率 | |
| 化学 | 14,531百万円 | 24,606百万円 | △10,075百万円 | △40.9% |
| 建設資材 | 14,567百万円 | 14,492百万円 | 75百万円 | 0.5% |
| 機械 | 4,940百万円 | 5,410百万円 | △470百万円 | △8.7% |
| その他 | 597百万円 | 804百万円 | △207百万円 | △25.7% |
| 調整額 | △602百万円 | △761百万円 | 159百万円 | - |
| 合計 | 34,033百万円 | 44,551百万円 | △10,518百万円 | △23.6% |
各セグメントの主要製品の状況は次のとおりです。
化学セグメント
| 主要な事業内容 |
| ナイロン樹脂、カプロラクタム(ナイロン原料)、工業薬品、ポリブタジエン(合成ゴム)、電池材料、ファインケミカル、ポリイミド、機能品、医薬品(原体・中間体)等の製造・販売 |
| 強み |
| ・ナイロン・カプロラクタムチェーン、合成ゴムなどのベーシックケミカルズとポリイミド、電池材料、高機能コーティングなどのスペシャリティケミカルズを併せ持ち、幅広い製品群を保有。 ・日本(宇部・堺・千葉)・スペイン・タイの世界三極体制によるグローバルネットワークを構築。 ・多様化するニーズに対応できる高い技術開発力とモノづくり力を持ち、顧客に対してソリューションを提供。 |
◆ナイロン樹脂
ナイロン樹脂については、グローバルでの重合能力最適化、コンポジット事業拡大によるスペシャリティ事業への転換を図るとともに、プラスチックを取り巻く環境問題への対応に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、国内市場では食品包装フィルム用途・自動車用途ともに前連結会計年度並みで推移しましたが、中国をはじめ海外市場では需給が軟化し、出荷が弱含みで推移するとともに市況も大きく悪化しました。
足元においては、食品包装フィルム用途は需要が堅調に推移していますが、自動車販売の落ち込みにより自動車用途は需要が減少し競争が激化しております。なお、本年4月に北米での事業拡大を目指しコンパウンド会社を買収しました。
今後については、重合能力最適化による収益性追求を図るとともに、リサイクル(マテリアル、ケミカル)、バイオ原料、軽量化、薄肉化など市場トレンドを見据えたマーケティングの推進、景気回復後のV字回復・成長に向けたグローバル営業活動の強化と事業基盤強化のためのコストダウンを実施してまいります。
◆カプロラクタム・硫安
ナイロン原料のカプロラクタムは、フル操業を維持しコストダウンを図るとともに、収益改善投資を推進しております。
当連結会計年度においては、米中貿易摩擦による中国市場での需要減退の影響を受け、販売が弱含みで推移するとともに、原料価格の低下を上回って製品価格が下落しました。一方、フェノール法アノン設備は操業安定により製法転換メリットを計画通り実現することができました。また、能力増強した大粒硫安設備も安定操業が可能となりました。
足元においては、米中貿易摩擦に加え新型コロナウイルス感染拡大の影響でカプロラクタム需要が減少し、市況は低迷しております。一方で硫安需要は総じて安定しており、ロックダウンにより懸念された海外顧客への販売影響は限定的となっています。
カプロラクタムは今後もフル操業を維持しコストダウンを推進するとともに、収益改善投資を継続してまいります。硫安については高加価値品の大粒硫安の本格的な増産と、更なる増産・増販に向けた三極(日本・タイ・スペイン)での営業・開発の連携強化を進めてまいります。
◆ファインケミカル、工業薬品
ファインケミカルについては、北米での事業拡大を目指しC1ケミカルチェーン(DMC、PCD)の生産拠点確立について、拠点の絞り込みとFSを実施し、検討を進めております。
当連結会計年度においては、ファインケミカルは需要が概ね堅調に推移したものの、競争激化に伴い一部製品の販売数量が減少しました。工業薬品は、隔年で実施するアンモニア工場の定期修理がなかったこともあり、出荷が増加しました。宇部藤曲工場においては日本液炭株式会社が同工場内に新設する液化炭酸工場に対し、2021年から原料炭酸ガスの供給を開始いたします。積極拡大事業の高機能コーティング材料は、水系・無溶剤系ポリウレタンコーティング市場が拡大しており当社グループとしてもそれに対応し事業のグローバル展開を加速してまいります。
◆ポリブタジエン(合成ゴム)
ポリブタジエンについては、「UBEPOL」ブランドを活かし日本、タイ、マレーシアの3極一体でアジアNo.1を目指すとともに、戦略顧客とともに新規グレードを開発し、事業のスペシャリティ化を推進しております。
当連結会計年度においては、3拠点(日本・タイ・マレーシア)を活用したグローバルマーケティングは進展したものの、生産面の不調により能力を最大限に活用できませんでした。販売価格は、原料のブタジエン価格の下落の影響を受け低下しました。足元では新型コロナウイルス感染拡大の影響によりタイヤ向け需要が急減しております。
◆ポリイミド
ポリイミドについては、フィルムに加えてワニスを主力製品に育成するとともに、生産能力増強とコストダウンを推進しております。
当連結会計年度においては、ディスプレイ向けCOFフィルムの販売数量が堅調に推移するとともに、中国市場での有機ELパネル向けワニスの需要拡大もあり、販売は好調に推移しました。また、原料となるBPDAは、生産設備のボトルネックを解消し増産を行いました。
今後については、引き続きフィルム、ワニスの事業拡大に注力するとともに、電子回路基板市場以外の用途での拡販にも注力してまいります。
◆セパレータ
セパレータについては、宇部マクセル株式会社での無塗布・塗布型セパレータの一体運営により一層の効率化を推進するとともに、車載用途を軸とした増加需要の獲得に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、車載向けを中心に市場の成長が足踏みする中で、同業他社との競争が激化し、出荷は減少しました。中国経済の悪化、足元での新型コロナウイルス感染拡大等による自動車需要の急減を受け、コスト低減要求は一層高まっております。
今後については、機能重視の顧客との関係強化を図るとともに、景気回復時に需要を着実に獲得できるよう営業及び開発活動を一層強化してまいります。
◆医薬
医薬については、基礎研究における研究領域の拡大、計算化学による探索サイクルの迅速化・効率化、少量・高活性に対応する工場群への再編、新市場が勃興している核酸医薬の原薬製造受託の事業化に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、受託医薬品及び自社医薬品ともに顧客である製薬会社の販売が好調に推移したことにより出荷は増加しました。また、高活性に対応した第五医薬品工場の建設にも着手いたしました。
今後については、創薬パイプラインのテーマに優先順位を付け早期のステージ移行に注力するとともに、高活性品受託案件のマーケティング強化を実施してまいります。
新型コロナウイルス感染症に効果が期待されるアビガン錠については、今後、その原薬主骨格を成す重要な中間体の製造及び供給を行ってまいります。
建設資材セグメント
| 主要な事業内容 |
| セメント、生コン、建材関連製品、石灰石、カルシア・マグネシア、機能性無機材料等の製造・販売。資源リサイクル事業。石炭の輸入、販売、コールセンター(石炭中継基地)の運営および電力卸供給事業(IPP)を含む電力供給事業 |
| 強み |
| ・幅広い製品事業をグループ全体で担うことにより、グループ・シナジーを最大限に活用。 ・競争力のある石炭・電力を安定供給できる体制と大型港湾設備等の充実したインフラを保有。 ・多種多様な廃棄物を利用し、省資源化できる高い技術力を保有。 |
◆セメント・生コン
セメント・生コンについては、継続的に販売価格の是正に取り組むとともに、高効率設備の導入、熱エネルギー代替廃棄物利用拡大による省エネ、省コストを推進しております。
当連結会計年度においては、セメントの国内需要が1990年以降最低となる4,100万トンとなるなか、首都圏を中心に需要の端境期にあることに加え、自然災害や工事延期等の影響もあり出荷は低調に推移しました。一方で、石炭をはじめとする原料価格低下が全般的なコストダウンに寄与しております。伊佐セメント工場では、発電に伴う化石燃料の使用を抑えCO₂排出削減に効果のある排熱発電設備が稼働を開始いたしました。
◆カルシア・マグネシア、エネルギー
カルシア・マグネシア製品は、鉄鋼・電力向けマグネシアなどの価格改定効果等があるものの、粗鋼生産量が10年ぶりに1億トンを割り込むなど需要低迷により出荷が減少しました。また、エネルギー事業も石炭市況の下落により販売価格が低下し、販売数量も減少しました。木質バイオマス炭化燃料(トレファイドペレット)実証設備は計画通り稼働を開始しております。
今後について、カルシア・マグネシア製品は宇部マテリアルズ株式会社の宇部工場リニューアルにより高付加価値化を図ってまいります。エネルギー事業はIPPでのバイオマス燃料の使用拡大を進めるとともに、トレファイドペレットの海外生産も検討してまいります。
なお、建設資材事業については競争力の維持・強化と更なる発展を図るため、三菱マテリアル株式会社とセメント事業等の統合に関する基本合意書を本年2月に締結しました。2022年4月の統合を目指し検討を進めてまいります。
機械セグメント
| 主要な事業内容 |
| 成形機(ダイカストマシン、押出プレス、射出成形機)、産業機械(窯業機、粉砕機、運搬機、除塵機、破砕機)、橋梁・鉄構、製鋼品(ビレット、鋳造品) |
| 強み |
| ・自動車や電力・セメント・製鉄等の基幹産業に多数の納入実績があり、顧客から高い評価。 ・国内外の多くの拠点を軸に、開発からアフターサービスまで全てにわたり顧客のニーズに対応。 ・大型の加工設備と熟練した技術・技能者を確保。 |
◆成形機
成形機については、自動車の軽量化、EV化ニーズに対応した製品開発と市場開拓を推進するとともに、グローバルでの事業展開を強化し、併せてサービス事業の拡充にも取り組んでおります。
当連結会計年度においては、米中貿易摩擦に端を発した景気減速が世界的に設備投資へと波及し、厳しい受注環境が続きました。こうした状況のなか、成形機は出荷が減少するとともに、資材費、外注加工費などの上昇の影響も大きく受けました。一方、サービス事業は堅調でした。自動車軽量化に対応するための装置・プロセスは開発が進展しております。
◆産業機械、製鋼品
産業機械は、環境貢献・資源リサイクル機器の開発やアライアンスによる新たな収益源の創出とともに、海外・他社製品でのサービス強化による収益拡大を推進しております。製鋼品は、量を追求しない最適生産体制を構築しベストプロダクトミックスによる収益改善に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、厳しい受注環境が続く中、産業機械の出荷は微減となりましたが、製鋼品は採算が改善しました。株式会社日立プラントメカニクスから化学機器製品とそのアフターサービス事業を継承することを決定しました。
②経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
中期経営計画の初年度にあたる2019年度については米中貿易摩擦に端を発した中国経済の減速等により目標未達となりました。2020年度については新型コロナウイルスの影響等に関して一定の前提をおいて業績を予想しております。最終年度の原計画の目標達成についても現時点においては厳しい状況にありますが、新型コロナウイルスの影響も含めて最終年度の業績を見通すことは困難であるため数値目標の見直しは行っておりません。
<主要項目・経営指標>
| 2019年度 実績 | 2019年度 目標 | 2020年度 予想 | 2020年度 (原計画) | 2021年度 (原計画) | |
| 営業利益 | 340億円 | 470億円 | 260億円 | 490億円 | 550億円 |
| 経常利益 | 357億円 | 470億円 | 235億円 | 510億円 | 580億円 |
| 売上高営業利益率(ROS) | 5.1% | 6.2% | 4.2% | - | 7% |
| 自己資本利益率(ROE) | 6.9% | 9.1% | 4.2% | - | 10% |
(注)2020年度の予想につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は明確には想定できませんが、以下の前提(当初計画に対する売上影響)をおいて業績を予想しております。
化学:
・食品・医薬品等の生活必需品や半導体向けは影響なし
・自動車関連向け及びその他産業向けはマイナス影響があり、第2四半期から第3四半期が最大で、年間平均10~15%の下振れ
建設資材:
・建設工事の停滞等により建設資材関連で年間平均5%の下振れ
・エネルギー関連は影響なし
機械:
・自動車関連を中心に設備投資案件の延期・中断が第2四半期まで継続し、年間10%強の下振れ
上記の3セグメントの合計で、年間460億円程度の売上高の下振れ影響を織り込んでおります。一方、これらを踏まえた様々なコスト削減策による効果も予想には織り込んでおります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
(財務の基本方針)
当社グループは、財務構造の健全化及び資金の効率的調達・運用を基本方針として財務活動を行っております。資金調達については、自己資金のほか、金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパー、社債等の発行等により行っております。資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、緊急時の資金調達手段の確保等を目的として、一部の取引銀行とコミットメントライン契約を締結しております。
(キャッシュ・フロー及び流動性の状況)
2019年度においては運転資金の圧縮や主に維持更新投資での実施時期の最適化などに取り組み、営業活動によるキャッシュ・フローは684億円のキャッシュ・イン、投資活動によるキャッシュ・フローは406億円のキャッシュ・アウトとなり、フリー・キャッシュ・フローは計画を上回る278億円を確保しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払134億円、宇部72カントリークラブ会員預り金の返還による支出59億円、有利子負債の増減による収入15億円など189億円のキャッシュ・アウトとなり、期末における現金及び現金同等物は406億円となりました。
資金の使途については、2019年度は設備投資に476億円、M&Aを含む投融資に22億円、研究開発には128億円の合計627億円を支出しております。このうち、積極拡大事業への支出は201億円(32%)であり、基盤事業、育成事業はそれぞれ395億円(63%)、31億円(5%)でありました。積極拡大事業への資金投入の割合は前中期経営計画期間(2016年度から2018年度)が26%でしたので着実に増加しております。2020年度においては全体として設備投資に470億円、M&Aを含む投融資に30億円、研究開発に140億円を計画しております。
セグメント別の設備投資、M&Aを含む投融資においては、化学セグメントが50%を超えており、当社グループの成長を牽引するセグメントとして今後とも経営資源を重点配分してまいります。
(ポートフォリオ別投資使途)

(セグメント別設備投資・投融資)

(資本政策)
新型コロナウイルスの影響による金融環境の悪化に備え、期末には手元資金を厚めに確保したこともあり、有利子負債残高は若干増加しましたが、D/Eレシオは前連結会計年度末並みの0.57倍となり、自己資本比率は45.7%に若干改善いたしました。
2020年度は、新型コロナウイルスの影響により、世界経済や事業環境の先行きが極めて見通しづらい状況になっております。こうした状況を踏まえ、従来以上にキャッシュ・フローを重視しながら財務規律を堅持してまいりますが、一方で、将来の成長や事業構造改革、地球環境問題への対応のための投資は滞らせることなく、積極的に実施してまいります。事業拡大の投資判断においては、資本コストを意識し、原則としてこれを上回るリターンの実現を目指し、経営資源配分などにおいてROIC(投下資本利益率)をより意識するなど、資本効率の向上を図りながら持続的成長と企業価値向上を目指します。
当社では、株主還元の基本的な考え方として、安定的かつ持続的な配当を目指しております。これをより明確に表すために、DOE(株主資本配当率)をKPIとして採り入れ、2.5%以上をターゲットとして掲げるとともに、中期経営計画期間での連結総還元性向を30%以上にすることと併せて株主還元の方針としています。
今後も上記方針のもと、成長投資や内部留保とのバランスをとりながら、株主還元のさらなる拡充を目指してまいります。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示、並びに報告年度における収益・費用の数値に影響を与える将来に関する見積り及び仮定が必要であり、過去の実績やその他の様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
①繰延税金資産
当社グループが計上している繰延税金資産は、将来減算一時差異等に関するものであり、定期的に回収可能性の評価のための見積りを実施しております。繰延税金資産の回収可能性は、主に将来の課税所得の見積りによるところが大きく、課税所得の予測は将来の市場動向や事業活動の状況により変化いたします。課税所得の予測が変更され、繰延税金資産の一部ないし全部が回収できないと判断される場合、繰延税金資産を取り崩す可能性があります。
②固定資産の減損
収益性の悪化が継続している事業に係る固定資産については、定期的に回収可能価額を見積り、回収可能性の評価のための見積りを実施しております。回収可能価額の見積りには当該固定資産が生成すると見込まれる将来キャッシュ・フローを使用いたしますが、将来キャッシュ・フローの予測は将来の市場動向や事業活動の状況により変化いたします。将来キャッシュ・フローの予測が変更され、回収不能と判断される場合、減損損失を計上する可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の影響に関して、今後の広がり方や収束時期等を予測することは困難ですが、一定の仮定(化学セグメントでは、食品・医薬品等の生活必需品や半導体向けは影響なし。自動車関連向け及びその他産業向けはマイナス影響があり、第2四半期から第3四半期が最大で、売上高が年間平均10%~15%の下振れ。建設資材セグメントでは、建設工事の停滞等により建設資材関連で売上高が年間平均5%の下振れ。エネルギー関連は影響なし。機械セグメントでは、自動車関連を中心に設備投資案件の延期・中断が第2四半期まで継続し、売上高が年間10%強の下振れ。)のもと、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。