有価証券報告書-第115期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①経営成績の状況
当社グループは前連結会計年度からスタートした3カ年の中期経営計画「Vision UBE 2025 ~Prime Phase~」において、「事業の成長基盤強化」「経営基盤(ガバナンス)の強化」「資源・エネルギー・地球環境問題への対応と貢献」を基本方針とし、化学セグメントを核とした次なる成長の実現を目指して、各事業課題の解決に取り組んでまいりました。
当連結会計年度においては、世界的な新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の停滞の影響を受け、特に化学セグメントや機械セグメントでは上期に需要が大きく減退し、また化学品の市況も悪化したことなどから、売上高は前連結会計年度を下回りました。営業利益・経常利益についても、化学品の市況悪化に加え、アンモニア工場で定期修理を実施したことなどもあり、石炭など熱エネルギー価格の下落や諸経費抑制によるコスト削減効果があったものの、前連結会計年度を下回りました。親会社株主に帰属する当期純利益は、繰延税金負債の取崩しに伴う税金費用の減少などもあり、前連結会計年度並みとなりました。
この結果、当社グループの売上高は前連結会計年度に比べ540億3百万円減の6,138億8千9百万円、営業利益は81億3千1百万円減の259億2百万円、経常利益は124億3千1百万円減の232億9千3百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は4千万円減の229億3千6百万円となりました。
②生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1.金額は平均販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における機械の受注実績を示すと、次のとおりです。
なお、機械を除くセグメントの製品については、受注生産は行っておりません。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③財政状態
総資産
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ、424億4千1百万円(5.8%)増加し、
7,697億1千万円となりました。
流動資産は、受取手形及び売掛金、商品及び製品などのたな卸資産が減少したものの、現金及び預金が増加したことなどにより277億7千1百万円(9.1%)増加し、3,317億2千7百万円となりました。
固定資産は、投資有価証券、退職給付に係る資産が増加したことなどにより146億6千5百万円 (3.5%)増加し、4,378億1千万円となりました。
繰延資産は、社債発行費が増加したことにより5百万円増加し、1億7千3百万円となりました。
負債
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ、162億5千3百万円(4.4%)増加し、
3,890億7千5百万円となりました。有利子負債は240億4千9百万円(12.6%)増加し、2,147億6千7百万円となりました。
流動負債は、短期借入金、未払金が減少したものの、1年内償還予定の社債が増加したことなどにより11億4百万円(0.6%)増加し、2,004億4千万円となりました。
固定負債は、長期借入金が増加したことなどにより151億4千9百万円(8.7%)増加し、1,886億3千5百万円となりました。
純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ、261億8千8百万円(7.4%)増加し、 3,806億3千5百万円となりました。
株主資本は、剰余金の配当により91億1千万円減少しましたが、自己株式の減少により2億6千5百万円増加、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が229億3千6百万円増加したことなどにより144億5千万円(4.4%)増加し、3,465億2千万円となりました。
その他の包括利益累計額は、為替換算調整勘定が増加、退職給付に係る調整累計額が改善したことなどにより121億6千8百万円(3,744.0%)増加し、124億9千3百万円となりました。
非支配株主持分は、4億4百万円(△1.9%)減少し、210億7千5百万円となりました。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度に比べ、0.9ポイント増加し46.6%となりました。
④キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ、24億3千5百万円減の660億5千4百万円となりました。これは、前連結会計年度に比べ、運転資金増減額(売上債権、たな卸資産及び仕入債務の増減合計額)による収入は増加したものの、税金等調整前当期純利益、退職給付に係る資産負債の増減額、非資金項目である減損損失が減少したことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ、11億9千9百万円減の394億3千3百万円となりました。これは、前連結会計年度に比べ、有形及び無形固定資産の取得による支出が減少したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ297億8千3百万円増の108億5千2百万円となりました。これは、有利子負債の増減による収入が増加したことなどによるものです。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、現金及び現金同等物に係る換算差額等を含め、前連結会計年度末に比べ、390億3千7百万円(96.1%)増の796億4千6百万円となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析、検討内容
中期経営計画の2年目にあたる当連結会計年度の業績は、世界的な新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の停滞の影響を受け、特に化学セグメントや機械セグメントで上期に需要が大きく減退したことなどにより、売上高は前連結会計年度に比べ全てのセグメントで減少するとともに、営業利益についても建設資材セグメントを除き減少しました。
<売上高>
<営業利益>
各セグメントの主要製品の状況は次のとおりです。
化学セグメント
◆ナイロン樹脂
ナイロン樹脂については、グローバルでの重合能力、製品ラインアップの最適化、コンポジット事業拡大によるスペシャリティ事業への転換を図るとともに、プラスチックを取り巻く環境問題への対応に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの影響を受けて、自動車用途では上期に需要が減少したものの下期には回復し、食品包装用フィルムでは巣ごもり消費もあり堅調に推移しました。販売価格は、原料のカプロラクタム市況の悪化を上回って下落しました。
足元においては、原料のカプロラクタム市況の上昇により販売価格は改善してきております。また、日本、タイ、スペインの3拠点とも稼働率が高まりフル販売の状況となっております。
今後については、日本を含むアジア地域のローカル市場要求に合致した製造ライン構成へのシフトを進めるとともに、循環型社会への貢献に向けてナイロン製品のリサイクル技術の開発を促進してまいります。また、コンポジット開発機能を強化し、グローバルで市場開拓を進めてまいります。
◆カプロラクタム・硫安
ナイロン原料のカプロラクタムについては、安定操業を維持しコストダウンを図るとともに、付加価値の高い大粒硫安の増産・増販を実施しております。
当連結会計年度においては、主用途である繊維向け需要が堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症などの影響による原料価格の低下を上回って製品市況が悪化しました。
足元においては、中国におけるコロナ影響の減少もありカプロラクタムの需要は回復し市況は上昇、スプレッドも改善しています。
カプロラクタムは今後とも安定操業を維持しコストダウンを推進してまいります。硫安については大粒硫安の生産・品質安定化を図り、将来の増販機会に備えるとともに、日本・タイ・スペインの三極連携により開発を加速し大粒硫安の構成を高めてまいります。
◆ファインケミカル、工業薬品
ファインケミカルについては、北米での事業拡大を目指しC1ケミカルチェーン(DMC、PCD)の生産拠点確立について拠点の絞り込みとFSを実施し検討を進めるとともに、宇部地区アンモニアチェーン事業の再構築についても検討を行っております。
当連結会計年度においては、ファインケミカルの出荷は概ね堅調に推移しましたが、一部自動車用途などで需要減少による影響を受けました。工業薬品は、アンモニア工場で隔年の定期修理を実施したことなどにより出荷が減少しました。
足元の事業環境については、コロナ影響からの回復もあり需要は総じて堅調であり、特に高純度DMCはxEV向けLiB用途の需要が拡大しております。このため、北米拠点に加え、中国でのDMC合弁事業化について検討を開始しました。
◆高機能コーティング
高機能コーティングについては、今後特に注力する事業の一つであり、グローバル市場での提案力強化によるマーケティング及びイノベーションを推進しております。
当連結会計年度においては、上期の出荷は自動車用途などで需要減少による影響を受けましたが、下期の出荷は堅調に推移しました。PCDはタイの増産設備がフル操業となり、PUDは市場開拓が計画通り進展しています。
今後については、PCDはグローバルでの生産・販売を拡大してまいります。PUDは、需要拡大が続く中国で技術サービス拠点を構築するとともに、国内での既存設備能力増強に加え、アジアでの工場新設も検討してまいります。
◆ポリブタジエン(合成ゴム)
ポリブタジエンについては、「UBEPOL」ブランドを活かし日本、タイ、マレーシアの3極一体で運営するとともに、戦略顧客とともに新規グレードを開発し、事業のスペシャリティ化を推進しております。
当連結会計年度においては、上期に大きく減少したタイヤ向けの出荷も下期には回復しましたが、原料のブタジエン市況の悪化に伴い販売価格が低下しました。国内事業については、採算管理を徹底し、生・販・技が一体となり収益性の回復を図るため本年10月に分社化することを決定しました。
◆ポリイミド
ポリイミドについては、フィルムに加えてワニスを主力製品に育成するとともに、生産能力増強とコストダウンを推進しております。
当連結会計年度においては、ディスプレイ向けフィルム及び有機ELパネル向けワニスの需要が伸長し、販売は好調に推移しました。これにより本中計の最終年度の目標に前倒しで到達しました。また、原料となるBPDAの新工場の建設を進めております。
今後については、フレキシブルOLED市場の拡大、堅調なCOFフィルム需要に的確に対応し、新規製品・市場の開発により新たな需要を確実に取り込んでまいります。
◆セパレータ
セパレータについては、宇部マクセル株式会社での無塗布・塗布型セパレータの一体運営により一層の効率化を推進するとともに、開発強化とコスト低減により車載用途を軸とした増加需要の獲得に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響による自動車向けの需要減退もある中で、中国市場などで競争が激化し出荷が減少しました。需要は下期に回復しましたが、コスト低減要求は一層高まっております。
今後については、機能重視の顧客との関係強化を図るとともに、主要顧客の次世代案件の獲得に注力してまいります。また、新設備の稼働開始によるコストダウンと拡販にも努めてまいります。
◆医薬
医薬については、創薬パイプラインの強化と市場ニーズに対応した生産体制の構築に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、自社医薬品のロイヤリティ収入は前連結会計年度並みでしたが、受託医薬品及び自社医薬品とも出荷は減少しました。参天製薬株式会社と共同開発した緑内障・高眼圧症治療薬STN10117(DE-117)(一般名:オミデネパグ イソプロピル)の新薬承認申請が米国食品医薬品局(FDA)に受理されました。また、新型コロナウイルス感染症に効果が期待されるアビガン錠の中間体の供給を行いました。
今後については、創薬パイプラインのテーマに優先順位を付け早期のステージ移行に注力するとともに、第五医薬品工場での高活性原薬製造開始による収益拡大、核酸医薬の技術力アップ、マーケティングの強化を行ってまいります。
建設資材セグメント
◆セメント・生コン
セメント・生コンについては、継続的な販売価格の是正、省エネ、省コストなどにより事業基盤の強化を推進するとともに、三菱マテリアル株式会社とのセメント事業及びその関連事業の統合による最適事業運営体制の構築により持続的な成長を目指しております。
当連結会計年度においては、セメントの国内需要が1990年以降最低となる3,900万トンとなるなか、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた公共工事の停滞や大手ゼネコンを中心とした工事中断の影響などにより出荷が低調に推移しました。一方で石炭など熱エネルギー価格の下落が業績に寄与しました。
今後については、コスト削減諸施策を推進するとともに、苅田工場での高効率クーラーの導入や宇部工場での廃プラⅢ期設備設置によりGHG排出量の削減を行ってまいります。また、三菱マテリアル株式会社とのセメント事業などの統合及びシナジーの早期発現に向け着実に準備を進めてまいります。
◆カルシア・マグネシア、エネルギー
カルシア・マグネシア製品については、鉄鋼向けなどの需要低迷により出荷が減少しました。また、エネルギー事業については、石炭の販売数量が減少し、販売価格も下落しましたが、余剰電力の販売価格が上昇しました。木質バイオマス炭化燃料(トレファイドペレット)は安定生産を行っています。
今後については、高付加価値マグネシア製品の拡大、中性固化材の拡販・製造能力の拡大を進めてまいります。エネルギー事業はIPPでのバイオマス燃料の使用拡大を進めるとともに、トレファイドペレットの海外生産も検討してまいります。
機械セグメント
◆成形機
成形機については、自動車の軽量化、EV化ニーズに対応した製品開発と市場開拓を推進するとともに、グローバルでの事業展開を強化し、併せてサービス事業の拡充にも取り組んでおります。
当連結会計年度においては、主要顧客である自動車関連産業が厳しい事業環境にあり販売が低調に推移しましたが、足元では需要は回復傾向にあり、自動車の軽量化、EV化のニーズは今後益々高まることが予想されます。このため、製品の競争力を一層強化し高まる需要を確実に取り込んでまいります。
◆産業機械、製鋼品
産業機械については、環境貢献・資源リサイクル製品の開発やアライアンスによる新たな収益源の創出とともに、海外・他社製品でのサービス強化による収益拡大を推進しております。製鋼品については、最適生産体制を構築しベストプロダクトミックスによる収益改善に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、産機機械は電力会社向け運搬機などの需要が底堅く、また承継した化学機器製品も加えて、販売が堅調に推移しました。製鋼品は、ビレットの販売が堅調でしたが、鋳造品の販売は設備投資の落ち込みなどにより低調でした。なお、製鋼品の製造工程を利用して環境リサイクル(医療・産業廃棄物の処理)事業の拡大に取り組んでおります。
②経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
2019年度を初年度とする中期経営計画において数値目標を以下のとおり掲げておりますが、達成は困難な状況となっております。
<主要項目・経営指標>
(注)年度間での比較のため、売上高営業利益率で使用する売上高は「収益認識に関する会計基準」等を適用する前の金額を使用しています。適用後の2021年度の売上高営業利益率は括弧で表示しています。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
(財務の基本方針)
当社グループは、財務構造の健全性維持及び資金の効率的調達・運用を基本方針として財務活動を行っております。資金調達については、自己資金のほか、金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパー、社債等の発行等により行っております。資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、緊急時の資金調達手段の確保等を目的として、一部の取引銀行とコミットメントライン契約を締結しております。
(キャッシュ・フロー及び流動性の状況)
当連結会計年度においては収益環境が厳しい中で運転資金の圧縮や設備投資において更新案件の時期の見直しなどを行い、営業活動によるキャッシュ・フローは660億円のキャッシュ・イン、投資活動によるキャッシュ・フローは394億円のキャッシュ・アウトとなり、フリー・キャッシュ・フローは計画を上回る266億円を確保しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払93億円、有利子負債の増減による収入203億円など
108億円のキャッシュ・インとなり、期末における現金及び現金同等物は796億円となりました。
資金の使途については、当連結会計年度は設備投資に371億円、M&Aを含む投融資に27億円、研究開発には114億円の合計512億円を支出しております。このうち、積極拡大事業への支出は159億円(31%)であり、基盤事業、育成事業はそれぞれ328億円(64%)、25億円(5%)でありました。積極拡大事業への資金投入の割合は前中期経営計画期間(2016年度から2018年度)が26%でしたので着実に増加しております。翌連結会計年度においては全体として設備投資に440億円、M&Aを含む投融資に60億円、研究開発に125億円を計画するとともに、100億円を上限とする自己株式取得を実施しております。
セグメント別の設備投資、M&Aを含む投融資においては、当社グループの成長を牽引する化学セグメントを中心に経営資源を重点配分しております。
2021年度を含めて中期経営計画の3年間では1,900億円強の営業キャッシュ・フローを創出し、このうち
1,300億円を設備投資・投融資に(うち約3分の1が成長投資)、400億円強を自己株式取得を含む株主還元に、約200億円を構造改革および純有利子負債の圧縮に充当する予定です。
(ポートフォリオ別投資使途)

(セグメント別設備投資・投融資)

(資本政策)
新型コロナウイルス感染症の影響による金融市場の混乱に備え厚めの現預金を確保するため有利子負債を増加させたことからD/Eレシオは当連結会計年度において0.60倍とわずかに悪化したものの、自己資本比率は
46.6%に改善するなど、財務の健全性は維持しております。
当社グループでは、中期経営計画の基本方針として、事業の成長基盤強化を掲げ、化学セグメントにおける収益の安定性向上と成長の実現を重要視しております。他社との差別化により、環境貢献型製品・技術を含めて強みを活かした高付加価値の領域でスペシャリティ事業の拡大を加速する方針のもと、成長投資に積極的に資金を振り向けるとともに、将来のキャッシュ・フロー創出に結びつける考えです。投資判断においては、株主資本コストと加重平均資本コストを意識し、IRR(内部収益率)、NPV(正味現在価値)、投資回収期間の各数値に事業戦略等の定性要素を加味して実施の判断を行います。また、独自の社内炭素コストを設定した上で、環境コストという観点も投資判断に織り込んでおります。
株主還元については基本的な考え方として、安定的かつ持続的な配当を目指しております。これをより明確に表すために、DOE(株主資本配当率)をKPIとして採り入れ、2.5%以上をターゲットとして掲げるとともに、中期経営計画期間での連結総還元性向を30%以上にすることと併せて株主還元の方針としております。
今後も上記方針のもと、成長投資や内部留保とのバランスをとりながら、株主還元のさらなる拡充を目指してまいります。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示、並びに報告年度における収益・費用の数値に影響を与える将来に関する見積り及び仮定が必要であり、過去の実績やその他の様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①経営成績の状況
当社グループは前連結会計年度からスタートした3カ年の中期経営計画「Vision UBE 2025 ~Prime Phase~」において、「事業の成長基盤強化」「経営基盤(ガバナンス)の強化」「資源・エネルギー・地球環境問題への対応と貢献」を基本方針とし、化学セグメントを核とした次なる成長の実現を目指して、各事業課題の解決に取り組んでまいりました。
当連結会計年度においては、世界的な新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の停滞の影響を受け、特に化学セグメントや機械セグメントでは上期に需要が大きく減退し、また化学品の市況も悪化したことなどから、売上高は前連結会計年度を下回りました。営業利益・経常利益についても、化学品の市況悪化に加え、アンモニア工場で定期修理を実施したことなどもあり、石炭など熱エネルギー価格の下落や諸経費抑制によるコスト削減効果があったものの、前連結会計年度を下回りました。親会社株主に帰属する当期純利益は、繰延税金負債の取崩しに伴う税金費用の減少などもあり、前連結会計年度並みとなりました。
この結果、当社グループの売上高は前連結会計年度に比べ540億3百万円減の6,138億8千9百万円、営業利益は81億3千1百万円減の259億2百万円、経常利益は124億3千1百万円減の232億9千3百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は4千万円減の229億3千6百万円となりました。
| 項 目 | 売 上 高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属 する当期純利益 |
| 当連結会計年度 | 613,889百万円 | 25,902百万円 | 23,293百万円 | 22,936百万円 |
| 前連結会計年度 | 667,892百万円 | 34,033百万円 | 35,724百万円 | 22,976百万円 |
| 増 減 | △54,003百万円 | △8,131百万円 | △12,431百万円 | △40百万円 |
| 増 減 率 | △8.1% | △23.9% | △34.8% | △0.2% |
②生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 化学 | 230,158 | △16.2 |
| 建設資材 | 111,652 | △11.7 |
| 機械 | 74,007 | △14.0 |
| 合計 | 415,817 | △14.7 |
(注)1.金額は平均販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における機械の受注実績を示すと、次のとおりです。
なお、機械を除くセグメントの製品については、受注生産は行っておりません。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 機械 | 60,897 | 23.3 | 53,098 | △2.5 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 化学 | 259,380 | △9.3 |
| 建設資材 | 282,855 | △6.7 |
| 機械 | 78,727 | △13.3 |
| その他 | 3,117 | △31.9 |
| 消去 | △10,190 | - |
| 合計 | 613,889 | △8.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③財政状態
総資産
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ、424億4千1百万円(5.8%)増加し、
7,697億1千万円となりました。
流動資産は、受取手形及び売掛金、商品及び製品などのたな卸資産が減少したものの、現金及び預金が増加したことなどにより277億7千1百万円(9.1%)増加し、3,317億2千7百万円となりました。
固定資産は、投資有価証券、退職給付に係る資産が増加したことなどにより146億6千5百万円 (3.5%)増加し、4,378億1千万円となりました。
繰延資産は、社債発行費が増加したことにより5百万円増加し、1億7千3百万円となりました。
負債
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ、162億5千3百万円(4.4%)増加し、
3,890億7千5百万円となりました。有利子負債は240億4千9百万円(12.6%)増加し、2,147億6千7百万円となりました。
流動負債は、短期借入金、未払金が減少したものの、1年内償還予定の社債が増加したことなどにより11億4百万円(0.6%)増加し、2,004億4千万円となりました。
固定負債は、長期借入金が増加したことなどにより151億4千9百万円(8.7%)増加し、1,886億3千5百万円となりました。
純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ、261億8千8百万円(7.4%)増加し、 3,806億3千5百万円となりました。
株主資本は、剰余金の配当により91億1千万円減少しましたが、自己株式の減少により2億6千5百万円増加、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が229億3千6百万円増加したことなどにより144億5千万円(4.4%)増加し、3,465億2千万円となりました。
その他の包括利益累計額は、為替換算調整勘定が増加、退職給付に係る調整累計額が改善したことなどにより121億6千8百万円(3,744.0%)増加し、124億9千3百万円となりました。
非支配株主持分は、4億4百万円(△1.9%)減少し、210億7千5百万円となりました。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度に比べ、0.9ポイント増加し46.6%となりました。
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | 増 減 | |
| 総資産 | 769,710百万円 | 727,269百万円 | 42,441百万円 |
| 負債 | 389,075百万円 | 372,822百万円 | 16,253百万円 |
| 純資産 | 380,635百万円 | 354,447百万円 | 26,188百万円 |
④キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ、24億3千5百万円減の660億5千4百万円となりました。これは、前連結会計年度に比べ、運転資金増減額(売上債権、たな卸資産及び仕入債務の増減合計額)による収入は増加したものの、税金等調整前当期純利益、退職給付に係る資産負債の増減額、非資金項目である減損損失が減少したことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ、11億9千9百万円減の394億3千3百万円となりました。これは、前連結会計年度に比べ、有形及び無形固定資産の取得による支出が減少したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ297億8千3百万円増の108億5千2百万円となりました。これは、有利子負債の増減による収入が増加したことなどによるものです。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、現金及び現金同等物に係る換算差額等を含め、前連結会計年度末に比べ、390億3千7百万円(96.1%)増の796億4千6百万円となりました。
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | 増 減 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 66,054百万円 | 68,489百万円 | △2,435百万円 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △39,433百万円 | △40,632百万円 | 1,199百万円 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | 10,852百万円 | △18,931百万円 | 29,783百万円 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析、検討内容
中期経営計画の2年目にあたる当連結会計年度の業績は、世界的な新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の停滞の影響を受け、特に化学セグメントや機械セグメントで上期に需要が大きく減退したことなどにより、売上高は前連結会計年度に比べ全てのセグメントで減少するとともに、営業利益についても建設資材セグメントを除き減少しました。
<売上高>
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | 増 減 | 増減率 | |
| 化学 | 259,380百万円 | 286,041百万円 | △26,661百万円 | △9.3% |
| 建設資材 | 282,855百万円 | 303,037百万円 | △20,182百万円 | △6.7% |
| 機械 | 78,727百万円 | 90,799百万円 | △12,072百万円 | △13.3% |
| その他 | 3,117百万円 | 4,576百万円 | △1,459百万円 | △31.9% |
| 調整額 | △10,190百万円 | △16,561百万円 | 6,371百万円 | - |
| 合計 | 613,889百万円 | 667,892百万円 | △54,003百万円 | △8.1% |
<営業利益>
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | 増 減 | 増減率 | |
| 化学 | 8,184百万円 | 14,531百万円 | △6,347百万円 | △43.7% |
| 建設資材 | 14,744百万円 | 14,567百万円 | 177百万円 | 1.2% |
| 機械 | 2,831百万円 | 4,940百万円 | △2,109百万円 | △42.7% |
| その他 | 447百万円 | 597百万円 | △150百万円 | △25.1% |
| 調整額 | △304百万円 | △602百万円 | 298百万円 | - |
| 合計 | 25,902百万円 | 34,033百万円 | △8,131百万円 | △23.9% |
各セグメントの主要製品の状況は次のとおりです。
化学セグメント
| 主要な事業内容 |
| ナイロン樹脂、カプロラクタム(ナイロン原料)、工業薬品、ファインケミカル、ポリブタジエン(合成ゴム)、ポリイミド、電池材料、機能品、医薬品(原体・中間体)などの製造・販売 |
| 強み |
| ・ナイロン・カプロラクタムチェーン、ポリブタジエン(合成ゴム)などのベーシックケミカルズ事業とポリイミド、電池材料、高機能コーティングなどのスペシャリティ事業を併せ持ち、幅広い製品群を保有。 ・日本(山口県宇部市・千葉県市原市・大阪府堺市)・タイ・スペインの世界三極体制によるグローバルネットワークを構築。 ・多様化するニーズに対応できる高い技術開発力とモノづくり力を持ち、顧客に対してソリューションを提供。 |
◆ナイロン樹脂
ナイロン樹脂については、グローバルでの重合能力、製品ラインアップの最適化、コンポジット事業拡大によるスペシャリティ事業への転換を図るとともに、プラスチックを取り巻く環境問題への対応に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの影響を受けて、自動車用途では上期に需要が減少したものの下期には回復し、食品包装用フィルムでは巣ごもり消費もあり堅調に推移しました。販売価格は、原料のカプロラクタム市況の悪化を上回って下落しました。
足元においては、原料のカプロラクタム市況の上昇により販売価格は改善してきております。また、日本、タイ、スペインの3拠点とも稼働率が高まりフル販売の状況となっております。
今後については、日本を含むアジア地域のローカル市場要求に合致した製造ライン構成へのシフトを進めるとともに、循環型社会への貢献に向けてナイロン製品のリサイクル技術の開発を促進してまいります。また、コンポジット開発機能を強化し、グローバルで市場開拓を進めてまいります。
◆カプロラクタム・硫安
ナイロン原料のカプロラクタムについては、安定操業を維持しコストダウンを図るとともに、付加価値の高い大粒硫安の増産・増販を実施しております。
当連結会計年度においては、主用途である繊維向け需要が堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症などの影響による原料価格の低下を上回って製品市況が悪化しました。
足元においては、中国におけるコロナ影響の減少もありカプロラクタムの需要は回復し市況は上昇、スプレッドも改善しています。
カプロラクタムは今後とも安定操業を維持しコストダウンを推進してまいります。硫安については大粒硫安の生産・品質安定化を図り、将来の増販機会に備えるとともに、日本・タイ・スペインの三極連携により開発を加速し大粒硫安の構成を高めてまいります。
◆ファインケミカル、工業薬品
ファインケミカルについては、北米での事業拡大を目指しC1ケミカルチェーン(DMC、PCD)の生産拠点確立について拠点の絞り込みとFSを実施し検討を進めるとともに、宇部地区アンモニアチェーン事業の再構築についても検討を行っております。
当連結会計年度においては、ファインケミカルの出荷は概ね堅調に推移しましたが、一部自動車用途などで需要減少による影響を受けました。工業薬品は、アンモニア工場で隔年の定期修理を実施したことなどにより出荷が減少しました。
足元の事業環境については、コロナ影響からの回復もあり需要は総じて堅調であり、特に高純度DMCはxEV向けLiB用途の需要が拡大しております。このため、北米拠点に加え、中国でのDMC合弁事業化について検討を開始しました。
◆高機能コーティング
高機能コーティングについては、今後特に注力する事業の一つであり、グローバル市場での提案力強化によるマーケティング及びイノベーションを推進しております。
当連結会計年度においては、上期の出荷は自動車用途などで需要減少による影響を受けましたが、下期の出荷は堅調に推移しました。PCDはタイの増産設備がフル操業となり、PUDは市場開拓が計画通り進展しています。
今後については、PCDはグローバルでの生産・販売を拡大してまいります。PUDは、需要拡大が続く中国で技術サービス拠点を構築するとともに、国内での既存設備能力増強に加え、アジアでの工場新設も検討してまいります。
◆ポリブタジエン(合成ゴム)
ポリブタジエンについては、「UBEPOL」ブランドを活かし日本、タイ、マレーシアの3極一体で運営するとともに、戦略顧客とともに新規グレードを開発し、事業のスペシャリティ化を推進しております。
当連結会計年度においては、上期に大きく減少したタイヤ向けの出荷も下期には回復しましたが、原料のブタジエン市況の悪化に伴い販売価格が低下しました。国内事業については、採算管理を徹底し、生・販・技が一体となり収益性の回復を図るため本年10月に分社化することを決定しました。
◆ポリイミド
ポリイミドについては、フィルムに加えてワニスを主力製品に育成するとともに、生産能力増強とコストダウンを推進しております。
当連結会計年度においては、ディスプレイ向けフィルム及び有機ELパネル向けワニスの需要が伸長し、販売は好調に推移しました。これにより本中計の最終年度の目標に前倒しで到達しました。また、原料となるBPDAの新工場の建設を進めております。
今後については、フレキシブルOLED市場の拡大、堅調なCOFフィルム需要に的確に対応し、新規製品・市場の開発により新たな需要を確実に取り込んでまいります。
◆セパレータ
セパレータについては、宇部マクセル株式会社での無塗布・塗布型セパレータの一体運営により一層の効率化を推進するとともに、開発強化とコスト低減により車載用途を軸とした増加需要の獲得に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響による自動車向けの需要減退もある中で、中国市場などで競争が激化し出荷が減少しました。需要は下期に回復しましたが、コスト低減要求は一層高まっております。
今後については、機能重視の顧客との関係強化を図るとともに、主要顧客の次世代案件の獲得に注力してまいります。また、新設備の稼働開始によるコストダウンと拡販にも努めてまいります。
◆医薬
医薬については、創薬パイプラインの強化と市場ニーズに対応した生産体制の構築に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、自社医薬品のロイヤリティ収入は前連結会計年度並みでしたが、受託医薬品及び自社医薬品とも出荷は減少しました。参天製薬株式会社と共同開発した緑内障・高眼圧症治療薬STN10117(DE-117)(一般名:オミデネパグ イソプロピル)の新薬承認申請が米国食品医薬品局(FDA)に受理されました。また、新型コロナウイルス感染症に効果が期待されるアビガン錠の中間体の供給を行いました。
今後については、創薬パイプラインのテーマに優先順位を付け早期のステージ移行に注力するとともに、第五医薬品工場での高活性原薬製造開始による収益拡大、核酸医薬の技術力アップ、マーケティングの強化を行ってまいります。
建設資材セグメント
| 主要な事業内容 |
| セメント、生コン、建材関連製品、石灰石、カルシア・マグネシア、機能性無機材料などの製造・販売、資源リサイクル事業、石炭の輸入、販売、コールセンター(石炭中継基地)の運営および電力供給事業 |
| 強み |
| ・幅広い製品・事業をグループ全体で担うことにより、グループ・シナジーを最大限に活用。 ・競争力のある石炭・電力を安定供給できる体制と大型港湾設備などの充実したインフラを保有。 ・多種多様な廃棄物を利用し、省資源化できる高い技術力を保有。 |
◆セメント・生コン
セメント・生コンについては、継続的な販売価格の是正、省エネ、省コストなどにより事業基盤の強化を推進するとともに、三菱マテリアル株式会社とのセメント事業及びその関連事業の統合による最適事業運営体制の構築により持続的な成長を目指しております。
当連結会計年度においては、セメントの国内需要が1990年以降最低となる3,900万トンとなるなか、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた公共工事の停滞や大手ゼネコンを中心とした工事中断の影響などにより出荷が低調に推移しました。一方で石炭など熱エネルギー価格の下落が業績に寄与しました。
今後については、コスト削減諸施策を推進するとともに、苅田工場での高効率クーラーの導入や宇部工場での廃プラⅢ期設備設置によりGHG排出量の削減を行ってまいります。また、三菱マテリアル株式会社とのセメント事業などの統合及びシナジーの早期発現に向け着実に準備を進めてまいります。
◆カルシア・マグネシア、エネルギー
カルシア・マグネシア製品については、鉄鋼向けなどの需要低迷により出荷が減少しました。また、エネルギー事業については、石炭の販売数量が減少し、販売価格も下落しましたが、余剰電力の販売価格が上昇しました。木質バイオマス炭化燃料(トレファイドペレット)は安定生産を行っています。
今後については、高付加価値マグネシア製品の拡大、中性固化材の拡販・製造能力の拡大を進めてまいります。エネルギー事業はIPPでのバイオマス燃料の使用拡大を進めるとともに、トレファイドペレットの海外生産も検討してまいります。
機械セグメント
| 主要な事業内容 |
| 成形機(ダイカストマシン、押出プレス、射出成形機)、産業機械(窯業機、粉砕機、運搬機、除塵機、破砕機)、橋梁・鉄構、製鋼品(ビレット、鋳造品)などの製造・販売 |
| 強み |
| ・自動車や電力・セメント・製鉄などの基幹産業に多数の納入実績があり、顧客から高い評価。 ・国内外の多くの拠点を軸に、開発からアフターサービスまで全てにわたり顧客のニーズに対応。 ・大型の加工設備と熟練した技術・技能者を保有。 |
◆成形機
成形機については、自動車の軽量化、EV化ニーズに対応した製品開発と市場開拓を推進するとともに、グローバルでの事業展開を強化し、併せてサービス事業の拡充にも取り組んでおります。
当連結会計年度においては、主要顧客である自動車関連産業が厳しい事業環境にあり販売が低調に推移しましたが、足元では需要は回復傾向にあり、自動車の軽量化、EV化のニーズは今後益々高まることが予想されます。このため、製品の競争力を一層強化し高まる需要を確実に取り込んでまいります。
◆産業機械、製鋼品
産業機械については、環境貢献・資源リサイクル製品の開発やアライアンスによる新たな収益源の創出とともに、海外・他社製品でのサービス強化による収益拡大を推進しております。製鋼品については、最適生産体制を構築しベストプロダクトミックスによる収益改善に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、産機機械は電力会社向け運搬機などの需要が底堅く、また承継した化学機器製品も加えて、販売が堅調に推移しました。製鋼品は、ビレットの販売が堅調でしたが、鋳造品の販売は設備投資の落ち込みなどにより低調でした。なお、製鋼品の製造工程を利用して環境リサイクル(医療・産業廃棄物の処理)事業の拡大に取り組んでおります。
②経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
2019年度を初年度とする中期経営計画において数値目標を以下のとおり掲げておりますが、達成は困難な状況となっております。
<主要項目・経営指標>
| 2019年度 実績 | 2020年度 実績 | 2021年度 予想 | 2019年度 (原計画) | 2020年度 (原計画) | 2021年度 (原計画) | |
| 営業利益 | 340億円 | 259億円 | 370億円 | 470億円 | 490億円 | 550億円 |
| 経常利益 | 357億円 | 232億円 | 345億円 | 470億円 | 510億円 | 580億円 |
| 売上高営業利益率 (ROS) | 5.1% | 4.2% | 5.7% (6.5%) | 6.2% | - | 7% |
| 自己資本利益率(ROE) | 6.9% | 6.6% | 5.8% | 9.1% | - | 10% |
(注)年度間での比較のため、売上高営業利益率で使用する売上高は「収益認識に関する会計基準」等を適用する前の金額を使用しています。適用後の2021年度の売上高営業利益率は括弧で表示しています。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
(財務の基本方針)
当社グループは、財務構造の健全性維持及び資金の効率的調達・運用を基本方針として財務活動を行っております。資金調達については、自己資金のほか、金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパー、社債等の発行等により行っております。資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、緊急時の資金調達手段の確保等を目的として、一部の取引銀行とコミットメントライン契約を締結しております。
(キャッシュ・フロー及び流動性の状況)
当連結会計年度においては収益環境が厳しい中で運転資金の圧縮や設備投資において更新案件の時期の見直しなどを行い、営業活動によるキャッシュ・フローは660億円のキャッシュ・イン、投資活動によるキャッシュ・フローは394億円のキャッシュ・アウトとなり、フリー・キャッシュ・フローは計画を上回る266億円を確保しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払93億円、有利子負債の増減による収入203億円など
108億円のキャッシュ・インとなり、期末における現金及び現金同等物は796億円となりました。
資金の使途については、当連結会計年度は設備投資に371億円、M&Aを含む投融資に27億円、研究開発には114億円の合計512億円を支出しております。このうち、積極拡大事業への支出は159億円(31%)であり、基盤事業、育成事業はそれぞれ328億円(64%)、25億円(5%)でありました。積極拡大事業への資金投入の割合は前中期経営計画期間(2016年度から2018年度)が26%でしたので着実に増加しております。翌連結会計年度においては全体として設備投資に440億円、M&Aを含む投融資に60億円、研究開発に125億円を計画するとともに、100億円を上限とする自己株式取得を実施しております。
セグメント別の設備投資、M&Aを含む投融資においては、当社グループの成長を牽引する化学セグメントを中心に経営資源を重点配分しております。
2021年度を含めて中期経営計画の3年間では1,900億円強の営業キャッシュ・フローを創出し、このうち
1,300億円を設備投資・投融資に(うち約3分の1が成長投資)、400億円強を自己株式取得を含む株主還元に、約200億円を構造改革および純有利子負債の圧縮に充当する予定です。
(ポートフォリオ別投資使途)

(セグメント別設備投資・投融資)

(資本政策)
新型コロナウイルス感染症の影響による金融市場の混乱に備え厚めの現預金を確保するため有利子負債を増加させたことからD/Eレシオは当連結会計年度において0.60倍とわずかに悪化したものの、自己資本比率は
46.6%に改善するなど、財務の健全性は維持しております。
当社グループでは、中期経営計画の基本方針として、事業の成長基盤強化を掲げ、化学セグメントにおける収益の安定性向上と成長の実現を重要視しております。他社との差別化により、環境貢献型製品・技術を含めて強みを活かした高付加価値の領域でスペシャリティ事業の拡大を加速する方針のもと、成長投資に積極的に資金を振り向けるとともに、将来のキャッシュ・フロー創出に結びつける考えです。投資判断においては、株主資本コストと加重平均資本コストを意識し、IRR(内部収益率)、NPV(正味現在価値)、投資回収期間の各数値に事業戦略等の定性要素を加味して実施の判断を行います。また、独自の社内炭素コストを設定した上で、環境コストという観点も投資判断に織り込んでおります。
株主還元については基本的な考え方として、安定的かつ持続的な配当を目指しております。これをより明確に表すために、DOE(株主資本配当率)をKPIとして採り入れ、2.5%以上をターゲットとして掲げるとともに、中期経営計画期間での連結総還元性向を30%以上にすることと併せて株主還元の方針としております。
今後も上記方針のもと、成長投資や内部留保とのバランスをとりながら、株主還元のさらなる拡充を目指してまいります。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示、並びに報告年度における収益・費用の数値に影響を与える将来に関する見積り及び仮定が必要であり、過去の実績やその他の様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。