有価証券報告書-第76期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)当期の経営成績の概況
(全般の概況)
当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日)は、新型コロナウィルスの感染拡大、米中摩
擦の激化や保護主義の台頭などの影響により、世界経済の回復ペースが鈍化する兆候が見られまし
た。当社グループの主要な需要業界の動向としては、半導体市場は、第5世代移動通信システム(5
G)関連やPC、データセンター向けの需要増大により、メモリー、ロジック半導体共に好調に推移し
ました。フラットパネルディスプレイ市場はテレワークの推進や巣ごもり需要などの影響により堅調
に推移しました。世界の自動車生産台数については、新型コロナウィルス感染拡大によるロックダウ
ンなどの影響により、通年でみると前年を下回りましたが、下期にかけて回復しました。世界の自動
車用タイヤの生産本数も自動車生産台数の減少の影響などを受け、通年でみると前年を下回りました
が、下期にかけて回復基調が鮮明となりました。また為替は前年比で円高となりました。
このような状況のもと当社グループにおきましては、経済活動の停滞と需要低迷による販売の減少
リスクに備えて事業コストの低減等に努める一方、成長分野での事業拡大に努めました。エラストマ
ー事業では、需要低迷による販売減少リスクに備えるべく製造原価低減等に注力いたしました。原
料・物流の合理化等のコスト削減、販売価格の適正化、早期退職優遇制度の実行による人員構成の適
正化などを進めております。また、ディスプレイ材料事業では韓国、台湾の事業縮小と中国シフトの
事業再編を実施し、エラストマー事業におきましては、事業・製品セグメントの整理など組織全体を
通じた構造改革も実行しております。なお、これら事業構造改革に係る一過性費用を2021年3月期に
計上しております。加えて、今後の半導体、ライフサイエンスなど成長分野の投資に向けた資金確保
と、財務基盤の安定性向上のための資金調達の多様化を目的として2020年5月に350億円の普通社債
を発行しました。成長分野での事業拡大については、創薬支援分野や新規コンパニオン診断薬の開発
における競争力強化に向けた株式会社医学生物学研究所(MBL)の100%子会社化や、米国の最先端半
導体向け機能性洗浄剤工場の商業生産開始などの施策を確実に実行いたしました。
以上の結果、当期の業績といたしましては、売上収益4,466億9百万円(前期比5.4%減)となり、第2四半期決算発表時の見込比では、増収となりましたが、前年比では減収となりました。コア営業利益は、259億63百万円となり、第2四半期決算発表の見込比では増益、前年比では減益となりました。デジタルソリューション事業は成長しましたが、新型コロナウィルスの影響を受けたエラストマー事業、合成樹脂事業の減収が影響しました。営業利益は、構造改革費用の計上により、前期328億84百万円の黒字から616億33百万円の赤字となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期226億4百万円の黒字から551億55百万円の赤字となりました。
(部門別の概況と分析)
当社グループは、「デジタルソリューション事業」、「ライフサイエンス事業」、「エラストマー事業」、「合成樹脂事業」の4事業を報告セグメントとしております。報告セグメントの位置づけは下図の通りです。
<デジタルソリューション事業部門>デジタルソリューション事業部門は前期比で増収増益となりました。
半導体材料事業は、メモリー、ロジック半導体向け材料ともに2020年度第1四半期以降堅調に推移しました。主要顧客の先端デバイスが立ち上がるなど、最先端フォトレジストを中心に販売が堅調でした。加えて、最先端半導体向け機能性洗浄剤や実装材料においても主要顧客向け製品が順調に立ち上がり、売上収益は前期を上回りました。コア営業利益につきましては、洗浄剤の拡販に伴う費用増があったものの増益を確保しました。なお、半導体材料事業につきましては、人々の暮らしに欠かせない「エッセンシャルビジネス」として、新型コロナウィルスの影響を受けることなく研究開発、製造を含む業務をグローバルで継続いたしました。
ディスプレイ材料事業は、注力している大型TV用液晶パネル向けの配向膜が中国向けに販売数量を拡大しました。液晶ディスプレイの生産が韓国、台湾から中国にシフトしている中で、一部顧客での生産撤退に起因し、着色レジスト及び感光性フォトスペーサーの販売が減少し、売上収益は前期を下回りましたが、配向膜の販売が堅調に推移し、コア営業利益を押し上げる要因となりました。
エッジコンピューティング事業はNIR(遠赤外線)カットフィルターの販売減により減収減益でした。
以上の結果、当期のデジタルソリューション事業部門の売上収益は1,514億20百万円(前期比4.6%増)、コア営業利益345億68百万円(同11.8%増)となりました。
<ライフサイエンス事業部門>ライフサイエンス事業は、米国の統括会社が当該事業全体の戦略を主導し、自社材料の他、バイオ
医薬品の創薬支援、製造プロセス開発および製造受託事業を中心に売上収益拡大に努めました。グル
ープ会社のCrown Bioscience International(Crown Bio)が手掛けるCRO事業(医薬品の開発受託事
業)が好調に推移しました。また、グループ会社のSelexis SA(Selexis)、KBI Biopharma, Inc.
(KBI) が展開する CDMO事業(医薬品の開発製造受託事業)はSelexisが堅調に売上収益を伸ばす一方
でKBIは新型コロナウィルスの影響によるサプライチェーンの停滞および前期に発生した一時的な要
因により増収ながらも減益となりました。診断薬材料やバイオプロセス材料の売上収益も増加しまし
た。また、当期100%子会社となりました株式会社医学生物学研究所(MBL)については診断薬事業が
堅調に推移し、全体の売上収益は前期を上回りました。
以上の結果、当期のライフサイエンス事業部門の売上収益は551億97百万円(前期比9.3%増)、コア営業利益35億10百万円(同11.0%減)となりました。
<エラストマー事業部門>主要な需要業界である自動車タイヤの生産は、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受ける中、欧
州をはじめタイヤメーカーの工場で新型コロナウィルス感染防止の為に生産の一時停止や生産縮小が
実施されたことも重なり、通年でみると前年を下回りましたが、下期から回復基調に転じています。
こうした状況の下、当社が戦略製品と位置づける溶液重合スチレン・ブタジエンゴム(SSBR)の販
売数量は、世界のタイヤ生産量が対前期で減少する中でも前期対比では同水準となりましたが、エラ
ストマー事業全体の販売数量が伸び悩み、原料市況下落による販売価格の下落も重なり、売上収益は
前期を下回りました。コア営業利益につきましては、売上収益の減少、売買スプレッドの低下により
通期では営業損失となりました。
以上の結果、当期のエラストマー事業部門の売上収益は1,431億86百万円(前期比19.9%減)、コア営業利益は損失17億58百万円から損失114億20百万円に赤字が拡大しました。
<合成樹脂事業部門>合成樹脂事業は、新型コロナウィルス感染拡大の影響による需要低迷により販売数量は前年同期を
下回り、売上収益も前年同期を下回りました。コア営業利益は販売数量の落ち込みにより前年同期を
下回りました。
以上の結果、当期の合成樹脂事業部門の売上収益は791億23百万円(前期比16.8%減)、コア営業利益44億30百万円(同29.0%減)となりました。
(経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
2020年3月期(2019年度)を最終年度とした中期経営計画「JSR20i9」の終了に伴い策定予定であった新中期経営計画につきましては、新型コロナウイルス感染の世界的な拡大を受け、当面の危機対応を優先させて発表を延期することとしておりましたが、先般、2025年3月期(2024年度)までの経営方針として発表いたしました。
今回の経営方針では、今後の社会の発展に重要であり、市場の成長が期待され、技術革新の要求が高くJSRグループの強みを発揮できる、デジタルソリューション事業とライフサイエンス事業をコア事業と定め、現在、事業構造改革を実行中の石油化学系事業につきましては現時点で中長期の具体像を語る段階にはないため、今回の経営方針には含めておりません。2024年度の数値目標としましては、デジタルソリューション事業とライフサイエンス事業の拡大の結果、二事業で売上収益3,000億円以上、過去最高利益の更新、株主資本利益率(ROE)10%以上を目指します。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の生産品目であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様でなく、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。
このため、生産実績につきましては、(1)当期の経営成績の概況 における各セグメント業績に関連付けて記載しております。
②受注実績
当社グループは受注生産を行っておりません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)当期の財政状態の概況と分析
①資産
当連結会計年度末の総資産は、前期比49億41百万円減少し、6,727億73百万円となりました。
流動資産は、社債発行による現金及び現金同等物の増加等により、前期比258億4百万円増加し、
3,292億79百万円となりました。
非流動資産は、固定資産の減損損失の計上等により、前期比307億44百万円減少し、3,434億94百万
円となりました。
②負債
負債は、社債発行による社債及び借入金の増加等により、負債合計で前期比617億35百万円増加
し、3,020億36百万円となりました。
③資本
資本では、親会社の所有者に帰属する当期損失の計上等により、親会社の所有者に帰属する持分合計は前期比627億98百万円減少し、3,339億95百万円となりました。非支配持分を加えた資本合計は、前期比666億75百万円減少し、3,707億36百万円となりました。
(3)当期のキャッシュ・フローの概況と分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて234億45百万円増加し、当連結会計年度末には853億77百万円となりました。
営業活動による資金収支は704億3百万円の収入(前期比161億75百万円の収入増)となりました。
主な内訳は、減損損失795億75百万円、税引前損失624億30百万円、減価償却費及び償却費294億77百万円であります。
投資活動による資金収支は526億87百万円の支出(前期比170億95百万円の支出増)となりました。 主な内訳は、有形固定資産等の取得による支出552億5百万円であります。
財務活動による資金収支は42億97百万円の収入(前期比295億61百万円の収入増)となりました。
主な内訳は、社債の発行による収入348億36百万円、配当金の支払額128億87百万円、連結の範囲
の変更を伴わない子会社株式の取得による支出117億17百万円であります。
なお、当社グループでは、年間事業計画に基づく資金計画を作成し、直接調達と間接調達そして短期と長期の適切なバランスなどを考慮し、流動性リスクを管理しております。
資金調達及び資金の流動性
当社グループの資金需要は、製造販売にかかる原材料費、経費、販売費及び一般管理費等の運転資金、設備投資、M&Aを含む事業投資、有利子負債の返済になります。これら資金需要に対しては主に営業キャッシュ・フロー、金融機関からの借入により対応しております。
当社グループは年間事業計画に基づく資金計画を作成し、事業拡大と財務体質強化に配慮しつつ、直接調達と間接調達そして短期と長期の適切なバランスなどを考慮し、流動性リスクを管理しております。なお、当社グループは500億円を上限とした社債発行登録を行っております。当期は総額350億円の無担保社債を発行し、資金調達手段の多様化も進めております。
また、資金の効率的な活用を目的としてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)の導入、グループ内の資金調達・管理の一元化を進めております。
(重要な会計方針及び見積り)
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要となる事項につきましては合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っています。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計方針、6.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しています。
(全般の概況)
当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日)は、新型コロナウィルスの感染拡大、米中摩
擦の激化や保護主義の台頭などの影響により、世界経済の回復ペースが鈍化する兆候が見られまし
た。当社グループの主要な需要業界の動向としては、半導体市場は、第5世代移動通信システム(5
G)関連やPC、データセンター向けの需要増大により、メモリー、ロジック半導体共に好調に推移し
ました。フラットパネルディスプレイ市場はテレワークの推進や巣ごもり需要などの影響により堅調
に推移しました。世界の自動車生産台数については、新型コロナウィルス感染拡大によるロックダウ
ンなどの影響により、通年でみると前年を下回りましたが、下期にかけて回復しました。世界の自動
車用タイヤの生産本数も自動車生産台数の減少の影響などを受け、通年でみると前年を下回りました
が、下期にかけて回復基調が鮮明となりました。また為替は前年比で円高となりました。
このような状況のもと当社グループにおきましては、経済活動の停滞と需要低迷による販売の減少
リスクに備えて事業コストの低減等に努める一方、成長分野での事業拡大に努めました。エラストマ
ー事業では、需要低迷による販売減少リスクに備えるべく製造原価低減等に注力いたしました。原
料・物流の合理化等のコスト削減、販売価格の適正化、早期退職優遇制度の実行による人員構成の適
正化などを進めております。また、ディスプレイ材料事業では韓国、台湾の事業縮小と中国シフトの
事業再編を実施し、エラストマー事業におきましては、事業・製品セグメントの整理など組織全体を
通じた構造改革も実行しております。なお、これら事業構造改革に係る一過性費用を2021年3月期に
計上しております。加えて、今後の半導体、ライフサイエンスなど成長分野の投資に向けた資金確保
と、財務基盤の安定性向上のための資金調達の多様化を目的として2020年5月に350億円の普通社債
を発行しました。成長分野での事業拡大については、創薬支援分野や新規コンパニオン診断薬の開発
における競争力強化に向けた株式会社医学生物学研究所(MBL)の100%子会社化や、米国の最先端半
導体向け機能性洗浄剤工場の商業生産開始などの施策を確実に実行いたしました。
以上の結果、当期の業績といたしましては、売上収益4,466億9百万円(前期比5.4%減)となり、第2四半期決算発表時の見込比では、増収となりましたが、前年比では減収となりました。コア営業利益は、259億63百万円となり、第2四半期決算発表の見込比では増益、前年比では減益となりました。デジタルソリューション事業は成長しましたが、新型コロナウィルスの影響を受けたエラストマー事業、合成樹脂事業の減収が影響しました。営業利益は、構造改革費用の計上により、前期328億84百万円の黒字から616億33百万円の赤字となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期226億4百万円の黒字から551億55百万円の赤字となりました。
| (単位:百万円) | ||||||
| 区 分 | 前期 | 当期 | 増減 | |||
| 金 額 | 構成比 | 金 額 | 構成比 | 金 額 | 比 率 | |
| 売上収益 | ||||||
| デジタルソリューション事業 | 144,805 | 30.7% | 151,420 | 33.8% | 6,615 | 4.6% |
| ライフサイエンス事業 | 50,496 | 10.7% | 55,197 | 12.4% | 4,701 | 9.3% |
| エラストマー事業 | 178,794 | 37.9% | 143,186 | 32.1% | △35,608 | △19.9% |
| 合成樹脂事業 | 95,092 | 20.1% | 79,123 | 17.7% | △15,969 | △16.8% |
| その他事業 | 2,779 | 0.6% | 17,682 | 4.0% | 14,903 | 536.2% |
| 調整額 | 0 | 0.0% | 0 | 0.0% | 0 | 84.7% |
| 合計 | 471,967 | 100.0% | 446,609 | 100.0% | △25,358 | △5.4% |
| 国内売上収益 | 198,238 | 42.0% | 184,637 | 41.3% | △13,601 | △6.9% |
| 海外売上収益 | 273,729 | 58.0% | 261,971 | 58.7% | △11,757 | △4.3% |
| 区 分 | 前期 | 当期 | 増減 | |||
| 金 額 | 売上比 | 金 額 | 売上比 | 金 額 | 比 率 | |
| コア営業利益 | 33,236 | 7.0% | 25,963 | 5.8% | △7,273 | △21.9% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 22,604 | 4.8% | △55,155 | △12.3% | △77,759 | - |
(部門別の概況と分析)
当社グループは、「デジタルソリューション事業」、「ライフサイエンス事業」、「エラストマー事業」、「合成樹脂事業」の4事業を報告セグメントとしております。報告セグメントの位置づけは下図の通りです。
<デジタルソリューション事業部門>デジタルソリューション事業部門は前期比で増収増益となりました。半導体材料事業は、メモリー、ロジック半導体向け材料ともに2020年度第1四半期以降堅調に推移しました。主要顧客の先端デバイスが立ち上がるなど、最先端フォトレジストを中心に販売が堅調でした。加えて、最先端半導体向け機能性洗浄剤や実装材料においても主要顧客向け製品が順調に立ち上がり、売上収益は前期を上回りました。コア営業利益につきましては、洗浄剤の拡販に伴う費用増があったものの増益を確保しました。なお、半導体材料事業につきましては、人々の暮らしに欠かせない「エッセンシャルビジネス」として、新型コロナウィルスの影響を受けることなく研究開発、製造を含む業務をグローバルで継続いたしました。
ディスプレイ材料事業は、注力している大型TV用液晶パネル向けの配向膜が中国向けに販売数量を拡大しました。液晶ディスプレイの生産が韓国、台湾から中国にシフトしている中で、一部顧客での生産撤退に起因し、着色レジスト及び感光性フォトスペーサーの販売が減少し、売上収益は前期を下回りましたが、配向膜の販売が堅調に推移し、コア営業利益を押し上げる要因となりました。
エッジコンピューティング事業はNIR(遠赤外線)カットフィルターの販売減により減収減益でした。
以上の結果、当期のデジタルソリューション事業部門の売上収益は1,514億20百万円(前期比4.6%増)、コア営業利益345億68百万円(同11.8%増)となりました。
<ライフサイエンス事業部門>ライフサイエンス事業は、米国の統括会社が当該事業全体の戦略を主導し、自社材料の他、バイオ
医薬品の創薬支援、製造プロセス開発および製造受託事業を中心に売上収益拡大に努めました。グル
ープ会社のCrown Bioscience International(Crown Bio)が手掛けるCRO事業(医薬品の開発受託事
業)が好調に推移しました。また、グループ会社のSelexis SA(Selexis)、KBI Biopharma, Inc.
(KBI) が展開する CDMO事業(医薬品の開発製造受託事業)はSelexisが堅調に売上収益を伸ばす一方
でKBIは新型コロナウィルスの影響によるサプライチェーンの停滞および前期に発生した一時的な要
因により増収ながらも減益となりました。診断薬材料やバイオプロセス材料の売上収益も増加しまし
た。また、当期100%子会社となりました株式会社医学生物学研究所(MBL)については診断薬事業が
堅調に推移し、全体の売上収益は前期を上回りました。
以上の結果、当期のライフサイエンス事業部門の売上収益は551億97百万円(前期比9.3%増)、コア営業利益35億10百万円(同11.0%減)となりました。
<エラストマー事業部門>主要な需要業界である自動車タイヤの生産は、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受ける中、欧
州をはじめタイヤメーカーの工場で新型コロナウィルス感染防止の為に生産の一時停止や生産縮小が
実施されたことも重なり、通年でみると前年を下回りましたが、下期から回復基調に転じています。
こうした状況の下、当社が戦略製品と位置づける溶液重合スチレン・ブタジエンゴム(SSBR)の販
売数量は、世界のタイヤ生産量が対前期で減少する中でも前期対比では同水準となりましたが、エラ
ストマー事業全体の販売数量が伸び悩み、原料市況下落による販売価格の下落も重なり、売上収益は
前期を下回りました。コア営業利益につきましては、売上収益の減少、売買スプレッドの低下により
通期では営業損失となりました。
以上の結果、当期のエラストマー事業部門の売上収益は1,431億86百万円(前期比19.9%減)、コア営業利益は損失17億58百万円から損失114億20百万円に赤字が拡大しました。
<合成樹脂事業部門>合成樹脂事業は、新型コロナウィルス感染拡大の影響による需要低迷により販売数量は前年同期を
下回り、売上収益も前年同期を下回りました。コア営業利益は販売数量の落ち込みにより前年同期を
下回りました。
以上の結果、当期の合成樹脂事業部門の売上収益は791億23百万円(前期比16.8%減)、コア営業利益44億30百万円(同29.0%減)となりました。
(経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
2020年3月期(2019年度)を最終年度とした中期経営計画「JSR20i9」の終了に伴い策定予定であった新中期経営計画につきましては、新型コロナウイルス感染の世界的な拡大を受け、当面の危機対応を優先させて発表を延期することとしておりましたが、先般、2025年3月期(2024年度)までの経営方針として発表いたしました。
今回の経営方針では、今後の社会の発展に重要であり、市場の成長が期待され、技術革新の要求が高くJSRグループの強みを発揮できる、デジタルソリューション事業とライフサイエンス事業をコア事業と定め、現在、事業構造改革を実行中の石油化学系事業につきましては現時点で中長期の具体像を語る段階にはないため、今回の経営方針には含めておりません。2024年度の数値目標としましては、デジタルソリューション事業とライフサイエンス事業の拡大の結果、二事業で売上収益3,000億円以上、過去最高利益の更新、株主資本利益率(ROE)10%以上を目指します。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の生産品目であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様でなく、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。
このため、生産実績につきましては、(1)当期の経営成績の概況 における各セグメント業績に関連付けて記載しております。
②受注実績
当社グループは受注生産を行っておりません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。
| (単位:百万円) | ||
| セグメントの名称 | 金額 | 前期比(%) |
| デジタルソリューション事業 | 151,420 | 4.6% |
| ライフサイエンス事業 | 55,197 | 9.3% |
| エラストマー事業 | 143,186 | △19.9% |
| 合成樹脂事業 | 79,123 | △16.8% |
| その他事業 | 17,682 | 536.2% |
| 調整額 | 0 | 84.7% |
| 合計 | 446,609 | △5.4% |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)当期の財政状態の概況と分析
①資産
当連結会計年度末の総資産は、前期比49億41百万円減少し、6,727億73百万円となりました。
流動資産は、社債発行による現金及び現金同等物の増加等により、前期比258億4百万円増加し、
3,292億79百万円となりました。
非流動資産は、固定資産の減損損失の計上等により、前期比307億44百万円減少し、3,434億94百万
円となりました。
②負債
負債は、社債発行による社債及び借入金の増加等により、負債合計で前期比617億35百万円増加
し、3,020億36百万円となりました。
③資本
資本では、親会社の所有者に帰属する当期損失の計上等により、親会社の所有者に帰属する持分合計は前期比627億98百万円減少し、3,339億95百万円となりました。非支配持分を加えた資本合計は、前期比666億75百万円減少し、3,707億36百万円となりました。
(3)当期のキャッシュ・フローの概況と分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて234億45百万円増加し、当連結会計年度末には853億77百万円となりました。
営業活動による資金収支は704億3百万円の収入(前期比161億75百万円の収入増)となりました。
主な内訳は、減損損失795億75百万円、税引前損失624億30百万円、減価償却費及び償却費294億77百万円であります。
投資活動による資金収支は526億87百万円の支出(前期比170億95百万円の支出増)となりました。 主な内訳は、有形固定資産等の取得による支出552億5百万円であります。
財務活動による資金収支は42億97百万円の収入(前期比295億61百万円の収入増)となりました。
主な内訳は、社債の発行による収入348億36百万円、配当金の支払額128億87百万円、連結の範囲
の変更を伴わない子会社株式の取得による支出117億17百万円であります。
なお、当社グループでは、年間事業計画に基づく資金計画を作成し、直接調達と間接調達そして短期と長期の適切なバランスなどを考慮し、流動性リスクを管理しております。
資金調達及び資金の流動性
当社グループの資金需要は、製造販売にかかる原材料費、経費、販売費及び一般管理費等の運転資金、設備投資、M&Aを含む事業投資、有利子負債の返済になります。これら資金需要に対しては主に営業キャッシュ・フロー、金融機関からの借入により対応しております。
当社グループは年間事業計画に基づく資金計画を作成し、事業拡大と財務体質強化に配慮しつつ、直接調達と間接調達そして短期と長期の適切なバランスなどを考慮し、流動性リスクを管理しております。なお、当社グループは500億円を上限とした社債発行登録を行っております。当期は総額350億円の無担保社債を発行し、資金調達手段の多様化も進めております。
また、資金の効率的な活用を目的としてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)の導入、グループ内の資金調達・管理の一元化を進めております。
(重要な会計方針及び見積り)
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要となる事項につきましては合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っています。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計方針、6.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しています。