有価証券報告書-第75期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)当期の経営成績の概況と分析
(全般の概況と分析)
当連結会計年度(2019年4月1日から2020年3月31日)における当社グループの主要な需要業界の動向といたしましては、東アジア諸国に広がる景気減速などを背景に、自動車生産については、中国は12月にかけて上半期の低迷から脱しつつありましたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により1月は対前年で12%減、2月は同80%減と前年を大きく下回り、その他の地域についても新型コロナウィルス感染拡大の影響などにより低迷したことから、グローバルでは前年を下回りました。自動車タイヤの生産も自動車生産の減少の影響などを受け、前年を下回りました。半導体市場は、メモリーは前年度後半に下落した単価水準が継続した影響を受け、引き続き低調に推移したものの、ロジックは上期より回復基調となりました。ディスプレイ市場は大型TV用液晶パネル需要を中心に低調な中、一部顧客での生産撤退を含む稼働調整が第3四半期以降に行われました。また為替は前年比で若干の円高となりました。
以上のような状況の下、当社グループのエラストマー事業では、自動車タイヤを中心とする需要減少に伴う販売数量減と原料市況悪化による販売価格下落により、売上収益は前期を下回りました。また、営業利益は売上収益の減少、売買スプレッドの悪化、第4四半期に実施した一部固定資産の減損処理などの影響により、営業赤字となりました。
合成樹脂事業は、主に自動車市場向けの販売数量が国内、海外で減少したことに加え、原料市況の低迷による売買スプレッドの縮小により、売上収益、営業利益ともに前期を下回りました。
デジタルソリューション事業では、半導体材料事業は最先端フォトレジストを中心に販売が堅調に推移した他、洗浄剤や実装材料の拡販、EUVフォトレジストの販売拡大が進んだことにより、売上収益は前期を上回りました。ディスプレイ材料事業は、需給悪化に伴う一部顧客での生産撤退を含む稼働調整と、販売価格下落により売上収益が前期を下回りました。これらにより、デジタルソリューション事業全体の売上収益、営業利益は増収減益となりました。
第3の事業の柱として注力しているライフサイエンス事業につきましては、グループ会社のKBI Biopharma, Inc.(KBI)、Selexis SA(Selexis)が手掛けるCDMO 事業(医薬品の開発・製造受託事業)が新規受託案件を増加させたことやCrown Bioscience International(Crown Bio)が手掛けるCRO事業(医薬品の開発受託事業)が好調に推移したこと、診断薬材料・バイオプロセス材料も堅調に推移したことなどにより、売上収益が増加し、営業利益も前期を大きく上回りました。
以上の結果、当期の業績といたしましては、売上収益は4,719億67百万円(前期比4.7%減)、営業利益328億84百万円(同27.3%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益226億4百万円(同27.4%減)となりました。なお、2020年1月に当社が保有するJMエナジー株式会社の80%の株式売却の意思決定に伴いリチウムイオンキャパシタ事業を非継続事業に分類したため、売上収益、営業損益等は継続事業の金額として表示しており、対応する前連結会計年度についても同様に組替えて比較分析を行っております。
(部門別の概況と分析)
当社グループは、「エラストマー事業」、「合成樹脂事業」、「デジタルソリューション事業」、「ライフサイエンス事業」の4事業を報告セグメントとしております。報告セグメントの位置づけは下図の通りです。
<エラストマー事業部門>主要な需要業界である自動車タイヤの生産は、中国を中心とした自動車生産の前年対比での減少に加えて、1月以降新型コロナウィルス感染拡大の影響、欧州をはじめタイヤメーカーの工場で、新型コロナウィルス感染防止の為に生産の一時停止や生産縮小が実施されたことも重なって、グローバルでは年間を通して低調に推移しました。
こうした状況の下、エラストマー事業については、当社が戦略製品と位置づける溶液重合スチレン・ブタジエンゴム(SSBR)の販売数量は世界のタイヤ生産量が対前期で減少する中、前期を上回りました。しかし、エラストマー事業全体の販売数量が伸び悩み、原料市況下落による販売価格の下落もあり、売上収益は前期を下回りました。営業利益については、売上収益の減少、売買スプレッドの低下、そして第4四半期に実施した一部固定資産の減損処理を行ったことなどにより、通期では営業赤字となりました。
以上の結果、当期のエラストマー事業部門の売上収益は1,787億94百万円(前期比10.9%減)営業利益74億21百万円から営業損失17億58百万円となりました。
<合成樹脂事業部門>合成樹脂事業は、主要顧客業界である自動車業界が海外を中心に低調に推移したことに加え、第4四半期には新型コロナウィルスの影響も重なり販売数量が減少し、原料市況下落による販売単価の下落などもあり、売上収益は前期を下回りました。営業利益も売上収益の減少に加え、売買スプレッドの縮小により前期を下回りました。
以上の結果、当期の合成樹脂事業部門の売上収益は950億92百万円(前期比9.8%減)、営業利益62億37百万円(同32.3%減)となりました。
<デジタルソリューション事業部門>デジタルソリューション事業部門は前期比で増収減益となりました。
半導体材料事業は、メモリーは、単価下落の影響により前年度後半に引き続き低調に推移したものの、ロジックは上期より回復基調となりました。最先端フォトレジストを中心に販売が堅調に推移し、EUVレジストや洗浄剤などの新製品の販売拡大、実装材料を中心とした中国市場の成長により売上収益は前期を上回りました。なお、半導体材料事業については新型コロナウィルスの影響は受けませんでした。ディスプレイ材料事業は、注力している大型TV用液晶パネル向けの配向膜、絶縁膜が中国向けに販売数量を拡大しましたが、液晶ディスプレイの生産が韓国・台湾から中国にシフトする市場変化の中で一部顧客での生産撤退を含む、稼働調整の影響を受け売上収益は前期を下回りました。また、エッジコンピューティング事業はNIRカットフィルターの販売が拡大しました。営業利益につきましては、半導体材料事業は洗浄剤の拡販に伴う費用増や廃棄損などの一時費用があったものの増益を確保し、エッジコンピューティング事業も堅調に推移しましたが、ディスプレイ材料事業での売上収益の減少の影響などにより、前期を下回りました。
以上の結果、当期のデジタルソリューション事業部門の売上収益は1,448億5百万円(前期比1.8%増)、営業利益309億17百万円(同5.3%減)となりました。
<ライフサイエンス事業部門>ライフサイエンス事業は、グループ会社のKBI、Selexis が展開する CDMO事業及び、2018年5月に子会社化したCrown BioのCRO事業も好調に推移し安定的に収益を伸ばしました。診断薬材料やバイオプロセス材料の売上も増加しました。また、株式会社医学生物学研究所については診断薬事業が堅調に推移し、全体の売上収益は前期を上回り、営業利益は売上収益の拡大に加え、前期に行った事業構造改革の成果が実り、前期を大幅に上回りました。
以上の結果、当期のライフサイエンス事業部門の売上収益は504億96百万円(前期比15.1%増)、営業利益35億94百万円(同360.4%増)となりました。
(経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループは、継続的な企業価値創造のために収益性に加え、資本効率の向上に取り組んでおり、中期経営計画「JSR20i9」ではROE8%以上を目標としました。
当連結会計年度は、成長のけん引役としての半導体材料及び第3の柱としてのライフサイエンス事業は順調に売上収益を拡大しましたが、厳しい事業環境の影響などにより、収益性が低下し、ROEは5.7%に留まりました。
事業環境の変化に対応できる強靭(レジリエント)な事業構造、経営体制の強化を図り、成長のエンジンであるライフサイエンス事業、半導体材料事業を中核とした利益成長によりROEの改善を図っていきます。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の生産品目であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様でなく、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。
このため、生産実績につきましては、(1)当期の経営成績の概況 における各セグメント業績に関連付けて記載しております。
②受注実績
当社グループは受注生産を行っておりません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)当期の財政状態の概況と分析
①資産
当連結会計年度末の総資産は、前期比137億22百万円減少し、6,777億13百万円となりました。
流動資産は、営業債権及びその他の債権と現金及び現金同等物の減少などにより、前期比355億8百万円減の3,034億75百万円となりました。
非流動資産は、有価証券の売却によるその他の金融資産の減少などはあったものの、IFRS第16号「リース」の適用による有形固定資産の増加などにより、前期比217億87百万円増加し3,742億38百万円となりました。
②負債
負債は、IFRS第16号「リース」の適用によるその他の金融負債の増加などはあったものの、営業債務及びその他の債務の減少などにより、負債合計で前期比107億74百万円減の2,403億1百万円となりました。
③資本
資本では、利益剰余金の増加などはあったものの、自己株式の取得やその他の資本の構成要素の減少などにより、親会社の所有者に帰属する持分合計は前期比52億6百万円減少し、3,967億93百万円となりました。非支配持分を加えた資本合計は、前期比29億48百万円減の4,374億12百万円となりました。
(3)当期のキャッシュ・フローの概況と分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて88億54百万円減少し、当連結会計年度末には619億31百万円となりました。
営業活動による資金収支は542億28百万円の収入(前期比232億88百万円の収入増)となりました。
主な科目は税引前利益326億29百万円、減価償却費及び償却費263億59百万円、法人税等の支払額127億73百万円であります。
投資活動による資金収支は355億92百万円の支出(前期比306億74百万円の支出減)となりました。
主な内訳は、工場拡張に伴う有形固定資産等の取得による支出439億51百万円、投資の売却による収入154億49百万円であります。
財務活動による資金収支は252億64百万円の支出(前期比62億98百万円の支出増)となりました。
主な内訳は、配当金の支払額130億52百万円、自己株式の取得による支出100億2百万円であります。
資金調達及び資金の流動性
当社グループの資金需要は、製造販売にかかる原材料費、経費、販売費及び一般管理費等の運転資金、設備投資、M&Aを含む事業投資、有利子負債の返済になります。これら資金需要に対しては主に営業キャッシュ・フロー、金融機関からの借入により対応しております。
当社グループは年間事業計画に基づく資金計画を作成し、事業拡大と財務体質強化に配慮しつつ、直接調達と間接調達そして短期と長期の適切なバランスなどを考慮し、流動性リスクを管理しております。なお、当社グループは500億円を上限とした社債発行登録を行っており、資金調達手段の多様化も進めております。
また、資金の効率的な活用を目的としてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)の導入、グループ内の資金調達・管理の一元化を進めております。
(4)今後の見通し
新型コロナウイルス感染拡大はグローバルな経済企業活動に影響を与え、今後の広がり方や収束時期等を予測することは極めて困難であります。そのような状況下で、入手可能な情報に基づき、翌連結会計年度の一定期間にわたり影響が継続するとし、各事業の2020年度売上高について以下の前提を置きました。

また、販売減少リスクに備えて、コスト抑制を計画に織り込みました。
その結果、売上高4,230億円(前期比10.4%減)、営業利益230億円(同30.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益150億円(同33.6%減)を見込んでおります。
(重要な会計方針及び見積り)
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要となる事項につきましては合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っています。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計方針、6.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しています。
(全般の概況と分析)
当連結会計年度(2019年4月1日から2020年3月31日)における当社グループの主要な需要業界の動向といたしましては、東アジア諸国に広がる景気減速などを背景に、自動車生産については、中国は12月にかけて上半期の低迷から脱しつつありましたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により1月は対前年で12%減、2月は同80%減と前年を大きく下回り、その他の地域についても新型コロナウィルス感染拡大の影響などにより低迷したことから、グローバルでは前年を下回りました。自動車タイヤの生産も自動車生産の減少の影響などを受け、前年を下回りました。半導体市場は、メモリーは前年度後半に下落した単価水準が継続した影響を受け、引き続き低調に推移したものの、ロジックは上期より回復基調となりました。ディスプレイ市場は大型TV用液晶パネル需要を中心に低調な中、一部顧客での生産撤退を含む稼働調整が第3四半期以降に行われました。また為替は前年比で若干の円高となりました。
以上のような状況の下、当社グループのエラストマー事業では、自動車タイヤを中心とする需要減少に伴う販売数量減と原料市況悪化による販売価格下落により、売上収益は前期を下回りました。また、営業利益は売上収益の減少、売買スプレッドの悪化、第4四半期に実施した一部固定資産の減損処理などの影響により、営業赤字となりました。
合成樹脂事業は、主に自動車市場向けの販売数量が国内、海外で減少したことに加え、原料市況の低迷による売買スプレッドの縮小により、売上収益、営業利益ともに前期を下回りました。
デジタルソリューション事業では、半導体材料事業は最先端フォトレジストを中心に販売が堅調に推移した他、洗浄剤や実装材料の拡販、EUVフォトレジストの販売拡大が進んだことにより、売上収益は前期を上回りました。ディスプレイ材料事業は、需給悪化に伴う一部顧客での生産撤退を含む稼働調整と、販売価格下落により売上収益が前期を下回りました。これらにより、デジタルソリューション事業全体の売上収益、営業利益は増収減益となりました。
第3の事業の柱として注力しているライフサイエンス事業につきましては、グループ会社のKBI Biopharma, Inc.(KBI)、Selexis SA(Selexis)が手掛けるCDMO 事業(医薬品の開発・製造受託事業)が新規受託案件を増加させたことやCrown Bioscience International(Crown Bio)が手掛けるCRO事業(医薬品の開発受託事業)が好調に推移したこと、診断薬材料・バイオプロセス材料も堅調に推移したことなどにより、売上収益が増加し、営業利益も前期を大きく上回りました。
以上の結果、当期の業績といたしましては、売上収益は4,719億67百万円(前期比4.7%減)、営業利益328億84百万円(同27.3%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益226億4百万円(同27.4%減)となりました。なお、2020年1月に当社が保有するJMエナジー株式会社の80%の株式売却の意思決定に伴いリチウムイオンキャパシタ事業を非継続事業に分類したため、売上収益、営業損益等は継続事業の金額として表示しており、対応する前連結会計年度についても同様に組替えて比較分析を行っております。
| (単位:百万円) | ||||||
| 区 分 | 前期 | 当期 | 増減 | |||
| 金 額 | 構成比 | 金 額 | 構成比 | 金 額 | 比 率 | |
| 売上収益 | ||||||
| エラストマー事業 | 200,736 | 40.5% | 178,794 | 37.9% | △21,942 | △10.9% |
| 合成樹脂事業 | 105,446 | 21.3% | 95,092 | 20.1% | △10,354 | △9.8% |
| デジタルソリューション事業 | 142,216 | 28.7% | 144,805 | 30.7% | 2,589 | 1.8% |
| ライフサイエンス事業 | 43,872 | 8.9% | 50,496 | 10.7% | 6,624 | 15.1% |
| その他事業 | 3,083 | 0.6% | 2,779 | 0.6% | △303 | △9.8% |
| 調整額 | 1 | 0.0% | 0 | 0.0% | △1 | △93.7% |
| 合計 | 495,354 | 100.0% | 471,967 | 100.0% | △23,388 | △4.7% |
| 国内売上収益 | 220,288 | 44.5% | 198,238 | 42.0% | △22,049 | △10.0% |
| 海外売上収益 | 275,067 | 55.5% | 273,729 | 58.0% | △1,338 | △0.5% |
| 区 分 | 前期 | 当期 | 増減 | |||
| 金 額 | 売上比 | 金 額 | 売上比 | 金 額 | 比 率 | |
| 営業利益 | 45,261 | 9.1% | 32,884 | 7.0% | △12,377 | △27.3% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 31,116 | 6.3% | 22,604 | 4.8% | △8,512 | △27.4% |
(部門別の概況と分析)
当社グループは、「エラストマー事業」、「合成樹脂事業」、「デジタルソリューション事業」、「ライフサイエンス事業」の4事業を報告セグメントとしております。報告セグメントの位置づけは下図の通りです。
<エラストマー事業部門>主要な需要業界である自動車タイヤの生産は、中国を中心とした自動車生産の前年対比での減少に加えて、1月以降新型コロナウィルス感染拡大の影響、欧州をはじめタイヤメーカーの工場で、新型コロナウィルス感染防止の為に生産の一時停止や生産縮小が実施されたことも重なって、グローバルでは年間を通して低調に推移しました。こうした状況の下、エラストマー事業については、当社が戦略製品と位置づける溶液重合スチレン・ブタジエンゴム(SSBR)の販売数量は世界のタイヤ生産量が対前期で減少する中、前期を上回りました。しかし、エラストマー事業全体の販売数量が伸び悩み、原料市況下落による販売価格の下落もあり、売上収益は前期を下回りました。営業利益については、売上収益の減少、売買スプレッドの低下、そして第4四半期に実施した一部固定資産の減損処理を行ったことなどにより、通期では営業赤字となりました。
以上の結果、当期のエラストマー事業部門の売上収益は1,787億94百万円(前期比10.9%減)営業利益74億21百万円から営業損失17億58百万円となりました。
<合成樹脂事業部門>合成樹脂事業は、主要顧客業界である自動車業界が海外を中心に低調に推移したことに加え、第4四半期には新型コロナウィルスの影響も重なり販売数量が減少し、原料市況下落による販売単価の下落などもあり、売上収益は前期を下回りました。営業利益も売上収益の減少に加え、売買スプレッドの縮小により前期を下回りました。
以上の結果、当期の合成樹脂事業部門の売上収益は950億92百万円(前期比9.8%減)、営業利益62億37百万円(同32.3%減)となりました。
<デジタルソリューション事業部門>デジタルソリューション事業部門は前期比で増収減益となりました。
半導体材料事業は、メモリーは、単価下落の影響により前年度後半に引き続き低調に推移したものの、ロジックは上期より回復基調となりました。最先端フォトレジストを中心に販売が堅調に推移し、EUVレジストや洗浄剤などの新製品の販売拡大、実装材料を中心とした中国市場の成長により売上収益は前期を上回りました。なお、半導体材料事業については新型コロナウィルスの影響は受けませんでした。ディスプレイ材料事業は、注力している大型TV用液晶パネル向けの配向膜、絶縁膜が中国向けに販売数量を拡大しましたが、液晶ディスプレイの生産が韓国・台湾から中国にシフトする市場変化の中で一部顧客での生産撤退を含む、稼働調整の影響を受け売上収益は前期を下回りました。また、エッジコンピューティング事業はNIRカットフィルターの販売が拡大しました。営業利益につきましては、半導体材料事業は洗浄剤の拡販に伴う費用増や廃棄損などの一時費用があったものの増益を確保し、エッジコンピューティング事業も堅調に推移しましたが、ディスプレイ材料事業での売上収益の減少の影響などにより、前期を下回りました。
以上の結果、当期のデジタルソリューション事業部門の売上収益は1,448億5百万円(前期比1.8%増)、営業利益309億17百万円(同5.3%減)となりました。
<ライフサイエンス事業部門>ライフサイエンス事業は、グループ会社のKBI、Selexis が展開する CDMO事業及び、2018年5月に子会社化したCrown BioのCRO事業も好調に推移し安定的に収益を伸ばしました。診断薬材料やバイオプロセス材料の売上も増加しました。また、株式会社医学生物学研究所については診断薬事業が堅調に推移し、全体の売上収益は前期を上回り、営業利益は売上収益の拡大に加え、前期に行った事業構造改革の成果が実り、前期を大幅に上回りました。
以上の結果、当期のライフサイエンス事業部門の売上収益は504億96百万円(前期比15.1%増)、営業利益35億94百万円(同360.4%増)となりました。
(経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループは、継続的な企業価値創造のために収益性に加え、資本効率の向上に取り組んでおり、中期経営計画「JSR20i9」ではROE8%以上を目標としました。
当連結会計年度は、成長のけん引役としての半導体材料及び第3の柱としてのライフサイエンス事業は順調に売上収益を拡大しましたが、厳しい事業環境の影響などにより、収益性が低下し、ROEは5.7%に留まりました。
事業環境の変化に対応できる強靭(レジリエント)な事業構造、経営体制の強化を図り、成長のエンジンであるライフサイエンス事業、半導体材料事業を中核とした利益成長によりROEの改善を図っていきます。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の生産品目であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様でなく、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。
このため、生産実績につきましては、(1)当期の経営成績の概況 における各セグメント業績に関連付けて記載しております。
②受注実績
当社グループは受注生産を行っておりません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。
| (単位:百万円) | ||
| セグメントの名称 | 金額 | 前期比(%) |
| エラストマー事業 | 178,794 | △10.9% |
| 合成樹脂事業 | 95,092 | △9.8% |
| デジタルソリューション事業 | 144,805 | 1.8% |
| ライフサイエンス事業 | 50,496 | 15.1% |
| その他事業 | 2,779 | △9.8% |
| 調整額 | 0 | △93.7% |
| 合計 | 471,967 | △4.7% |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)当期の財政状態の概況と分析
①資産
当連結会計年度末の総資産は、前期比137億22百万円減少し、6,777億13百万円となりました。
流動資産は、営業債権及びその他の債権と現金及び現金同等物の減少などにより、前期比355億8百万円減の3,034億75百万円となりました。
非流動資産は、有価証券の売却によるその他の金融資産の減少などはあったものの、IFRS第16号「リース」の適用による有形固定資産の増加などにより、前期比217億87百万円増加し3,742億38百万円となりました。
②負債
負債は、IFRS第16号「リース」の適用によるその他の金融負債の増加などはあったものの、営業債務及びその他の債務の減少などにより、負債合計で前期比107億74百万円減の2,403億1百万円となりました。
③資本
資本では、利益剰余金の増加などはあったものの、自己株式の取得やその他の資本の構成要素の減少などにより、親会社の所有者に帰属する持分合計は前期比52億6百万円減少し、3,967億93百万円となりました。非支配持分を加えた資本合計は、前期比29億48百万円減の4,374億12百万円となりました。
(3)当期のキャッシュ・フローの概況と分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて88億54百万円減少し、当連結会計年度末には619億31百万円となりました。
営業活動による資金収支は542億28百万円の収入(前期比232億88百万円の収入増)となりました。
主な科目は税引前利益326億29百万円、減価償却費及び償却費263億59百万円、法人税等の支払額127億73百万円であります。
投資活動による資金収支は355億92百万円の支出(前期比306億74百万円の支出減)となりました。
主な内訳は、工場拡張に伴う有形固定資産等の取得による支出439億51百万円、投資の売却による収入154億49百万円であります。
財務活動による資金収支は252億64百万円の支出(前期比62億98百万円の支出増)となりました。
主な内訳は、配当金の支払額130億52百万円、自己株式の取得による支出100億2百万円であります。
資金調達及び資金の流動性
当社グループの資金需要は、製造販売にかかる原材料費、経費、販売費及び一般管理費等の運転資金、設備投資、M&Aを含む事業投資、有利子負債の返済になります。これら資金需要に対しては主に営業キャッシュ・フロー、金融機関からの借入により対応しております。
当社グループは年間事業計画に基づく資金計画を作成し、事業拡大と財務体質強化に配慮しつつ、直接調達と間接調達そして短期と長期の適切なバランスなどを考慮し、流動性リスクを管理しております。なお、当社グループは500億円を上限とした社債発行登録を行っており、資金調達手段の多様化も進めております。
また、資金の効率的な活用を目的としてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)の導入、グループ内の資金調達・管理の一元化を進めております。
(4)今後の見通し
新型コロナウイルス感染拡大はグローバルな経済企業活動に影響を与え、今後の広がり方や収束時期等を予測することは極めて困難であります。そのような状況下で、入手可能な情報に基づき、翌連結会計年度の一定期間にわたり影響が継続するとし、各事業の2020年度売上高について以下の前提を置きました。

また、販売減少リスクに備えて、コスト抑制を計画に織り込みました。
その結果、売上高4,230億円(前期比10.4%減)、営業利益230億円(同30.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益150億円(同33.6%減)を見込んでおります。
(重要な会計方針及び見積り)
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要となる事項につきましては合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っています。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計方針、6.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しています。