有価証券報告書-第78期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の当社グループを取り巻く経済環境は、わが国経済は政府や日本銀行の各種政策の効果により景気は緩やかな回復基調で推移しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により足下で大幅に下押しされており、厳しい状況にあります。世界各地域におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響により、中国では経済活動の再開の動きがみられるものの、足下で景気は減速しております。また、その他アジア地域については、経済活動が抑制されており、景気が下押しされております。
印刷インキの需要先である印刷業界におきましては、世界的に出版印刷はコンテンツのオンラインプラットフォームへの移行により減少し、商業印刷はほぼ前年並みとなりましたが、パッケージ印刷が増加したことにより、全体としては若干の成長がみられました。
日本の印刷業界におきましては、当連結会計年度の上期前半は用紙不足の影響から低調に推移しましたが、下期前半までは米中貿易摩擦、日韓関係悪化、大型台風、消費増税などのマイナス要因がありながらも、改元や選挙、4月のゴールデンウイーク10連休前や9月の消費増税前の駆け込み需要、ラグビーワールドカップ、消費増税対策等によるプラス要因などにより、印刷市況は改善しました。しかしながら、下期後半以降、新型コロナウイルス感染症の影響により、先ずはインバウンド需要が消失し、続いて感染拡大防止による経済活動の縮小により印刷市況は悪化いたしました。印刷産業区分別では、パッケージ印刷は好調に推移したものの、出版印刷では雑誌の下げ幅はやや縮小した一方で書籍の減少が加速し、商業印刷では折込チラシの減少をパンフレットやダイレクトメールなどが補う形がみられましたが、総じて情報媒体の印刷は伸び悩みました。
特殊UVインキに関連する液晶ディスプレイ市場におきましては、パネルの数量的な伸長はみられたものの、需要を超える過剰供給が市場価格の大幅な低下を引き起こし、関連材料に対しても価格重視の要求が一段と強まりました。
このような経営環境の中で、当社の経営理念でありますT&K(Technology and Kindness=技術と真心)の精神に則り、ユーザーニーズに耳を傾け、ユーザーの真に役立つ製品の開発・供給に注力し、よりきめ細かいサービスに努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、482億17百万円(前年同期比2.9%減)となりました。利益面におきましては、営業利益は5億46百万円(前年同期比48.3%増)、経常利益は、12億93百万円(前年同期比18.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、1億58百万円(前年同期比74.8%減)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
なお、セグメント別の売上高及び営業利益はセグメント間の内部取引消去前の金額によっております。
(印刷インキ)
紙媒体のデジタルシフトによる印刷市場の縮小と他社との競合激化によって、平版インキ及び特殊UVインキの販売が減少したことにより、売上高は482億10百万円(前年同期比2.9%減)となりました。また、販売費及び一般管理費が減少しましたが、中国の環境規制強化による化学品の供給量減少等の影響による原材料価格の高止まりにより、セグメント利益(営業利益)は5億31百万円(前年同期比50.9%増)となりました。
(その他)
売上高は43百万円(前年同期比14.1%減)、セグメント利益(営業利益)は6百万円(前年同期比17.3%減)となりました。
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べて20億61百万円増の679億50百万円となりました。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べて33億97百万円増加し、249億93百万円となりました。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べて13億35百万円減少し、429億57百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、定期預金の預入による支出55億59百万円、有形固定資産の取得による支出37億85百万円、長期借入金の返済による支出7億15百万円、親会社による配当金の支払額7億97百万円の減少要因があった一方、税金等調整前当期純利益が5億71百万円、資金の支出を伴わない有形固定資産及び無形固定資産の減価償却費23億68百万円、定期預金の払戻による収入55億58百万円、長期借入れによる収入30億円の増加要因があったことにより、前連結会計年度末に比べて16億76百万円増加し、当連結会計年度末においては、65億34百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は25億27百万円(前年同期比4億82百万円減)となりました。
これは主に、たな卸資産の増加額4億96百万円の減少要因があった一方、税金等調整前当期純利益5億71百万円、資金の支出を伴わない有形固定資産及び無形固定資産の減価償却費23億68百万円の増加要因を反映したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は34億84百万円(前年同期比20億26百万円増)となりました。
これは主に、定期預金の払戻による収入55億58百万円の増加要因があった一方、定期預金の預入による支出55億59百万円、有形固定資産の取得による支出37億85百万円の減少要因を反映したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は27億7百万円(前連結会計年度は11億14百万円の支出)となりました。
これは主に、短期借入金の純増額14億86百万円、長期借入れによる収入30億円の増加要因があった一方、長期借入金の返済による支出7億15百万円、親会社による配当金の支払額7億97百万円の減少要因を反映したものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 印刷インキ(百万円) | 36,364 | 84.9 |
| 合計(百万円) | 36,364 | 84.9 |
(注) 1. 金額は販売価格によっております。
2. 上記金額には消費税等は含まれておりません。
b. 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 印刷インキ(百万円) | 6,547 | 92.2 |
| 合計(百万円) | 6,547 | 92.2 |
(注) 1. 金額は仕入価額で表示しております。
2. 上記金額には消費税等は含まれておりません。
c. 受注状況
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
d. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 印刷インキ(百万円) | 48,210 | 97.1 |
| 報告セグメント計(百万円) | 48,210 | 97.1 |
| その他(百万円) | 6 | 97.0 |
| 合計(百万円) | 48,217 | 97.1 |
(注) 1. セグメント間の取引については相殺消去しております。
2. 外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。
3. 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、次のとおりであります。
資産につきましては、前連結会計年度末に比べて20億61百万円増の679億50百万円となりました。これは、のれんが1億63百万円、無形固定資産(その他)が7億35百万円、投資有価証券が6億25百万円減少したものの、現金及び預金が15億67百万円、受取手形及び売掛金が1億55百万円、商品及び製品が3億32百万円、原材料及び貯蔵品が1億16百万円、有形固定資産が13億36百万円増加したことによるもとの分析しております。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べて33億97百万円増加し、249億93百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が8億51百万円、未払金が7億71百万円減少したものの、電子記録債務が12億48百万円、短期借入金が14億86百万円、1年内返済予定の長期借入金が4億27百万円、長期借入金が18億55百万円増加したことによるものと分析しております。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べて13億35百万円減少し、429億57百万円となりました。これは、利益剰余金が6億40百万円、その他有価証券評価差額金が2億50百万円、為替換算調整勘定が4億51百万円減少したことによるものと分析しております。
売上高は、482億17百万円(前年同期比2.9%減)となりましたが、これは、紙媒体のデジタルシフトによる情報媒体印刷市場の縮小と他社との競合激化により、平版インキ及び特殊UVインキの販売が減少したことによるものと分析しております。
利益面におきましては、営業利益は5億46百万円(前年同期比48.3%増)となりましたが、これは、販売費及び一般管理費が減少しましたが、中国の環境規制強化による化学品の供給量減少等の影響による原材料価格の高止まりによるものと分析しています。経常利益は、12億93百万円(前年同期比18.1%増)となりましたが、これは、持分法による投資利益6億95百万円を計上したことによるものと分析しています。
親会社株主に帰属する当期純利益は、1億58百万円(前年同期比74.8%減)となりましたが、これは、関係会社株式売却益67百万円、固定資産除却損2百万円、減損損失8億31百万円、法人税等3億49百万円を計上したことによるものと分析しています。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、印刷用インキは原油派生品、輸入植物油等が主原料となっており、原油価格及び為替相場の変動により原材料の調達価格が影響を受けることになります。原料購入先の見直し、使用量の多い原材料の価格交渉を継続的に行うことで、原料原価の上昇を極力抑制し、コスト削減策に取り組むとともに、自助努力の限界を超える上昇分についてはユーザーへの理解、協力のもと製品価格の値上げを推進する方針であります。
現状と見通しとして、当社グループは、販売構成が高く、かつ利益の源泉であります平版インキのうち、枚葉インキ及びUVインキを最重点戦略の製品として位置づけます。そのために、ユーザーニーズへの対応をさらに強化し、当社グループが得意としておりますUVインキ、環境対応型インキ等高付加価値インキの拡販に努め、ユーザーの真に役立つ製品の開発を強力に推進しております。また、高い技術力を維持し、高品質かつ低コストでの生産体制を継続するため、積極的に人材・設備に投資を実施してまいります。
海外におきましては、中国をはじめとしたアジア市場では、市場の拡大に応じた生産能力の増強、販売の強化を図り、シェアを高めてまいります。特に、東南アジアでは文化や風習を尊重し、地域に根差した営業活動を推進してまいります。また、欧米、南米、他の地域につきましても、市場開拓を進め、UVインキ、環境対応型インキの販売に注力してまいります。
経営者の問題意識と今後の方針について、当社グループの経営陣は、T&K(Technology and Kindness=技術と真心)の精神に則り、現在の事業環境及び入手可能な情報を基に、最善の経営方針を立案するよう努めております。経営方針の立案にあたっては、ユーザー本位の製品の開発及び供給、よりきめ細かいサービスの提供、さらに東南アジアにおきましては、これらに加えて地域の文化や風習を尊重した現地化に徹することが重要と認識しております。
今後につきましても、当社グループの経営理念でありますT&K(Technology and Kindness=技術と真心)の精神を経営の原点として、当社グループを挙げてこの精神に則り事業を展開する所存であります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状
態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フロー
の状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業活動により得たキャッシュ・フローの効率的な運用を最重点方針とし、特に当社グループが得意とする特殊UVインキを含むUVインキの拡販及び生産効率向上のための設備投資や、財務体質強化のための有利子負債削減の借入金返済を最重点として考えております。
また、取引金融機関からの借入枠に加え、コミットメントラインも設定しており、十分に補完できているものと考えております。
③ 重要な会計方針及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、期末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示及び報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いており、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループは、特に以下の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定が重要であると考えております。
有形固定資産及び無形固定資産の減損損失
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローを見積り、その総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の認識及び測定に当たっては、慎重に検討を行っておりますが、事業計画や経営環境等の前提条件の変化により、追加の減損処理又は新たな減損処理が必要となる可能性があります。
なお、減損損失の実績につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結損益計算書関係」に記載のとおりであります。
繰延税金資産の計上
当社グループは、繰延税金資産について、将来の課税所得を見積り、回収可能性があると判断したものに限り認識しています。繰延税金資産の評価は将来の課税所得の見積りと税務上、実現可能と見込まれる計画に依存します。仮に将来の市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は繰延税金資産の金額が大きく影響を受ける可能性があります。
なお、繰延税金資産の発生の主な原因別の内訳につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 税効果会計関係」に記載のとおりであります。
新型コロナウイルス感染症に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。