訂正有価証券報告書-第127期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
①業績
(注)事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
為替レートの前提
当期の世界経済は、米中の通商問題の動向が世界経済に与える影響はあるものの、米国では着実な景気の拡大が継続し、欧州でも緩やかな景気回復の動きが持続しました。世界経済全体としては緩やかに回復しましたが、比較的高い経済成長率が維持されてきた中国では、景気に減速感が生じてきていることや、中近東地域や一部の新興国では景気の低迷が継続するなど、先行きについては不透明感が増してきました。
わが国経済につきましては、雇用環境は着実に改善し、個人消費の持ち直しや企業収益の改善、設備投資の増加が見られるなど、景気は緩やかに回復しました。
当社グループを取り巻く情勢につきましては、天然ゴム価格相場は安定的でしたが、販売環境については、一部の新興国の通貨下落による環境の悪化や、海外市販市場における競合他社との競争が激化するなど厳しい状況で推移しました。
このような情勢のもと、当社グループは、2020年を目標年度とする長期ビジョン「VISION 2020」の実現に向けて、低燃費タイヤやハイパフォーマンスタイヤなどの高付加価値商品の更なる拡販の推進、欧米での販売力強化、「DUNLOP」ブランドの価値向上の取組に加えて、新市場・新分野に積極的に挑戦し、グループを挙げて事業の成長と収益力の向上を目指して様々な対策に取り組みました。
この結果、当社グループの連結業績は、売上収益は894,243百万円(前期比1.9%増)、事業利益は60,681百万円(前期比9.4%減)、営業利益は57,155百万円(前期比15.3%減)となり、税金費用を計上した後の最終的な親会社の所有者に帰属する当期利益は36,246百万円(前期比22.8%減)となりました。売上収益は、前期から増収となりましたが、主力のタイヤ事業では販売構成の悪化や、固定費、経費の増加等により事業利益は、減益となりました。当期利益については、新興国の通貨下落による為替影響に加えて、販売環境の悪化等に伴う南アフリカの製造・販売子会社に係るのれんの減損損失の計上もあり、大幅な減益となりました。
セグメントごとの経営成績は、以下のとおりであります。
(タイヤ事業)
タイヤ事業の売上収益は、768,012百万円(前期比1.5%増)、事業利益は51,187百万円(前期比12.3%減)となりました。
国内新車用タイヤは、自動車生産台数が前期並みで推移しましたが、低燃費タイヤを中心とする高付加価値商品の拡販により販売数量が増加したため、売上収益は前期を上回りました。
国内市販用タイヤは、「ダンロップ」ブランドでは耐摩耗性能と耐偏摩耗性能を向上させ、「より最後まで使える長持ち」を実現した乗用車用低燃費タイヤ「エナセーブEC204(イーシー・ニーマルヨン)」を発売したほか、「LE MANS Ⅴ(ル・マンファイブ)」などの高付加価値商品の拡販を推進しました。「ファルケン」ブランドでは引き続き「Red Bull Air Race World Championship 2018」に参戦する室屋義秀選手を「Team FALKEN」としてサポートするなど、ブランドの認知拡大に努めるとともに、高い高速操縦安定性能と優れたウエット性能を実現した、乗用車用の新世代フラッグシップタイヤ「AZENIS FK510(アゼニス・エフケーゴーイチゼロ)」シリーズを発売するなど拡販を進めました。これらの結果、売上収益は前期を上回りました。
海外新車用タイヤは、欧州、北米のほか、新興国でも納入を拡大したこともあり、売上収益は前期を上回りました。
海外市販用タイヤは、欧州は好調に推移しましたが、中国での景気の減速、中近東での政情不安に伴う消費の低迷等により販売数量は減少したため、売上収益は前期を下回りました。
以上の結果、タイヤ事業の売上収益は前期を上回りましたが、事業利益は減益となりました。
(スポーツ事業)
スポーツ事業の売上収益は、84,477百万円(前期比3.4%増)、事業利益は5,489百万円(前期比25.5%増)となりました。
国内ゴルフ用品市場では、2017年12月に発売したゴルフクラブ「ゼクシオ テン」の販売が引き続き好調に推移したことに加え、2018年9月には新たにゴルフクラブNEW「スリクソン Zシリーズ」及び「クリーブランド RTX 4 (ローテックス・フォー)ウエッジ」を発売しましたが、市況が前年割れとなったほか、競争激化の影響などもあり、国内ゴルフ用品全体の売上収益は前期を下回りました。
海外ゴルフ用品市場では、同じく「ゼクシオ テン」が前モデルを上回り好調に推移するなか、「スリクソン」、「クリーブランドゴルフ」の各ブランドにおいても新製品を発売し積極的に拡販に努めた結果、売上収益は前期を上回りました。
テニス用品市場では、国内の売上収益は、市況の影響もあり前期を下回りましたが、2017年4月に買収した「ダンロップ」ブランドの海外でのテニス事業が欧州、北米を中心として増収に大きく寄与しました。
ウェルネス事業では、「ダンロップスポーツクラブ」や「ジムスタイル」の新規出店に加え、既存店の会員数も堅調に推移したことから、売上収益は前期を上回りました。
そのほか、ライセンス事業も引き続き増収に寄与し、スポーツ事業の売上収益は前期を上回り、事業利益も増益となりました。
なお、2018年1月1日付で当社の子会社であったダンロップスポーツ㈱及びダンロップインターナショナル㈱を吸収合併し、スポーツ事業を統合しております。
(産業品他事業)
産業品他事業の売上収益は、41,754百万円(前期比5.6%増)、事業利益は4,013百万円(前期比5.1%減)となりました。
制振事業では、住宅用制震ユニット「ミライエ」の販売が好調に推移し、OA機器用精密ゴム部品では、主要OA機器メーカーのプリンター・コピー機生産増加により、売上収益は前期を上回りました。医療用精密ゴム部品については、国内、海外ともに順調に推移しました。インフラ系商材においては、2018年1月に国内テニスコート設計・施工会社「スポーツサーフェス㈱」を取得したことにより、売上収益は前期を上回りました。
以上の結果、産業品他事業の売上収益は前期を上回りましたが、為替の影響に加えて、医療用精密ゴム部品のスロベニア新工場建設に伴う初期投資もあり、事業利益は減益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ9,998百万円増加し、当連結会計年度末には74,526百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、82,820百万円(前連結会計年度比6,711百万円の収入の増加)となりました。
これは主として、棚卸資産の増加24,663百万円、法人所得税の支払額13,801百万円などの減少要因があったものの、税引前利益50,349百万円の計上、減価償却費及び償却費の計上57,365百万円、営業債務及びその他の債務の増加8,767百万円などの増加要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、65,494百万円(前連結会計年度比35,230百万円の支出の減少)となりました。
これは主として、有形固定資産の取得による支出66,417百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、2,122百万円(前連結会計年度は21,706百万円の収入)となりました。
これは主として、短期借入金、長期借入金及び社債が純額で16,659百万円増加するなどの増加要因があったものの、配当金の支払15,511百万円を行ったことなどによるものであります。
(2)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
②受注実績
当社グループの製品は、大部分が見込生産であり、ごく一部の製品(防舷材等)についてのみ受注生産を行っております。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。
連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示並びに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、会計上の見積りや前提が必要となりますが、当社グループは、過去の実績、又は各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。ただし、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果は見積りと異なる場合があります。
当社グループが採用している会計方針のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの新中期経営計画における数値目標は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針及び経営戦略等」に記載のとおりですが、当連結会計年度の経営成績に重要な影響を与えた主なものは、数量構成他の悪化及び固定費・経費の増加であります。
主力のタイヤ事業において、当連結会計年度においては、原材料面では石油系原材料の価格が高騰したものの、天然ゴム価格は低位に推移したことにより、増益要因となりました。一方、販売面では、中国や中近東といった好採算地域での販売減速に伴う構成悪化等により、数量構成他が減益要因となったほか、主に海外拠点への投資に伴う減価償却費及び人件費等の固定費や販路拡大による経費がそれぞれ増加し、減益要因となりました。
この結果、前連結会計年度に対し、原材料価格全体では約30億円の増益要因となったものの、数量構成他で約37億円、固定費で約38億円、経費で約34億円が、それぞれ減益要因となりました。低燃費タイヤなど高付加価値商品の更なる拡販、海外工場における生産能力の増強や生産性の改善など、収益力の向上を目指してさまざまな対策に取り組みましたが、タイヤ事業全体では減益となりました。
スポーツ事業及び産業品他事業の分析は「(1)経営成績等の状況の概要 ①業績」に記載のとおりであります。
以上の結果、売上収益は894,243百万円と前連結会計年度に比べ16,377百万円(1.9%)の増収、事業利益は60,681百万円と前連結会計年度に比べ6,294百万円(△9.4%)の減益となり、売上収益事業利益率は前連結会計年度に比べ0.8ポイント低下し、6.8%となりました。
その他の収益及び費用では、当連結会計年度では収益と費用の純額で4,000百万円の減益となりました。
この結果、営業利益は57,155百万円と前連結会計年度に比べ10,294百万円(△15.3%)の減益となり、売上収益営業利益率は前連結会計年度に比べ1.3ポイント低下し、6.4%となりました。
金融収益及び費用では、新興国の通貨下落による為替差損を計上したこと等により、当連結会計年度では収益と費用の純額で5,034百万円の減益となりました。
以上の結果、税金費用を計上した後の最終的な親会社の所有者に帰属する当期利益は36,246百万円と前連結会計年度に比べ10,733百万円(△22.8%)の減益となりました。
新中期計画における目標達成に向けて、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針及び経営戦略等」に記載の施策に取り組んでまいります。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
・財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、1,002,383百万円と前連結会計年度末に比べて15,883百万円減少しました。販売に備えた在庫の積み上げによる棚卸資産の増加などにより流動資産は10,917百万円増加しました。また、為替換算影響による有形固定資産の減少などにより非流動資産は26,800百万円減少しました。
当連結会計年度末の負債合計は、529,576百万円と前連結会計年度末に比べて2,196百万円増加し、有利子負債残高は、283,482百万円と前連結会計年度末に比べて10,030百万円増加しました。
当連結会計年度末の資本合計は472,807百万円と前連結会計年度末に比べて18,079百万円減少しました。うち親会社の所有者に帰属する持分は457,927百万円と、ダンロップスポーツ㈱の吸収合併によって非支配持分を取得したものの、配当金を支払ったことにより、1,980百万円減少しました。この結果、親会社所有者帰属持分比率は45.7%、1株当たり親会社所有者帰属持分は1,741円11銭となりました。
・キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの分析は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」の項に記載のとおりでありますが、当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリーキャッシュ・フローでは17,326百万円のプラスとなりました。
今後、主に海外での増販に対応するため、生産能力増強のための設備投資を継続する方針でありますが、販売数量の増加と採算性の改善により営業活動によるキャッシュ・フローの拡大を実現しながら、必要に応じ金融市場や金融機関からの調達も活用するなど、「成長」と「流動性の確保並びに財務体質の向上」との両立を図る所存であります。
また、当社と国内子会社、当社と一部の海外子会社との間でCMS(キャッシュマネジメントシステム)による資金融通を行っており、当社グループ内での資金効率向上を図っております。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
IFRSに準拠して作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(のれんの償却停止)
日本基準では、のれんの償却については償却年数を見積り、その年数で均等償却を行っておりましたが、IFRSではIFRS移行日以降、償却せず毎期減損テストを行っております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、前連結会計年度におきましては、「販売費及び一般管理費」が5,039百万円減少しております。当連結会計年度におきましては、「販売費及び一般管理費」が5,537百万円減少しております。
(退職後給付に係る費用処理)
日本基準では、発生した数理計算上の差異及び過去勤務費用を一定の期間で償却しておりましたが、IFRSでは、数理計算上の差異は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識しており、直ちに利益剰余金に振り替えております。過去勤務費用は、純損益として認識しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、前連結会計年度におきましては、「売上原価」、「販売費及び一般管理費」及び「金融費用」が合計で1,621百万円増加、「その他の包括利益」が1,160百万円増加しております。当連結会計年度におきましては、「売上原価」、「販売費及び一般管理費」及び「金融費用」が合計で2,304百万円増加、「その他の包括利益」が1,648百万円増加しております。
(表示組替)
日本基準において、「営業外収益」、「営業外費用」、「特別利益」、「特別損失」として表示していた項目を、IFRSでは財務関連損益については「金融収益」及び「金融費用」として表示し、それ以外の項目については、「その他の収益」、「その他の費用」及び「持分法による投資利益」として表示しております。
①業績
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減率 | ||
| 百万円 | 百万円 | % | ||
| 売上収益 | 877,866 | 894,243 | 1.9 | |
| タイヤ事業 | 756,576 | 768,012 | 1.5 | |
| スポーツ事業 | 81,734 | 84,477 | 3.4 | |
| 産業品他事業 | 39,556 | 41,754 | 5.6 | |
| 事業利益 | 66,975 | 60,681 | △9.4 | |
| タイヤ事業 | 58,341 | 51,187 | △12.3 | |
| スポーツ事業 | 4,372 | 5,489 | 25.5 | |
| 産業品他事業 | 4,229 | 4,013 | △5.1 | |
| 調整額 | 33 | △8 | - | |
| 営業利益 | 67,449 | 57,155 | △15.3 | |
| 親会社の所有者に 帰属する当期利益 | 46,979 | 36,246 | △22.8 | |
(注)事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
為替レートの前提
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | ||||
| 1米ドル当たり | 112 | 円 | 110 | 円 | △2 | 円 |
| 1ユーロ当たり | 127 | 円 | 130 | 円 | 3 | 円 |
当期の世界経済は、米中の通商問題の動向が世界経済に与える影響はあるものの、米国では着実な景気の拡大が継続し、欧州でも緩やかな景気回復の動きが持続しました。世界経済全体としては緩やかに回復しましたが、比較的高い経済成長率が維持されてきた中国では、景気に減速感が生じてきていることや、中近東地域や一部の新興国では景気の低迷が継続するなど、先行きについては不透明感が増してきました。
わが国経済につきましては、雇用環境は着実に改善し、個人消費の持ち直しや企業収益の改善、設備投資の増加が見られるなど、景気は緩やかに回復しました。
当社グループを取り巻く情勢につきましては、天然ゴム価格相場は安定的でしたが、販売環境については、一部の新興国の通貨下落による環境の悪化や、海外市販市場における競合他社との競争が激化するなど厳しい状況で推移しました。
このような情勢のもと、当社グループは、2020年を目標年度とする長期ビジョン「VISION 2020」の実現に向けて、低燃費タイヤやハイパフォーマンスタイヤなどの高付加価値商品の更なる拡販の推進、欧米での販売力強化、「DUNLOP」ブランドの価値向上の取組に加えて、新市場・新分野に積極的に挑戦し、グループを挙げて事業の成長と収益力の向上を目指して様々な対策に取り組みました。
この結果、当社グループの連結業績は、売上収益は894,243百万円(前期比1.9%増)、事業利益は60,681百万円(前期比9.4%減)、営業利益は57,155百万円(前期比15.3%減)となり、税金費用を計上した後の最終的な親会社の所有者に帰属する当期利益は36,246百万円(前期比22.8%減)となりました。売上収益は、前期から増収となりましたが、主力のタイヤ事業では販売構成の悪化や、固定費、経費の増加等により事業利益は、減益となりました。当期利益については、新興国の通貨下落による為替影響に加えて、販売環境の悪化等に伴う南アフリカの製造・販売子会社に係るのれんの減損損失の計上もあり、大幅な減益となりました。
セグメントごとの経営成績は、以下のとおりであります。
(タイヤ事業)
タイヤ事業の売上収益は、768,012百万円(前期比1.5%増)、事業利益は51,187百万円(前期比12.3%減)となりました。
国内新車用タイヤは、自動車生産台数が前期並みで推移しましたが、低燃費タイヤを中心とする高付加価値商品の拡販により販売数量が増加したため、売上収益は前期を上回りました。
国内市販用タイヤは、「ダンロップ」ブランドでは耐摩耗性能と耐偏摩耗性能を向上させ、「より最後まで使える長持ち」を実現した乗用車用低燃費タイヤ「エナセーブEC204(イーシー・ニーマルヨン)」を発売したほか、「LE MANS Ⅴ(ル・マンファイブ)」などの高付加価値商品の拡販を推進しました。「ファルケン」ブランドでは引き続き「Red Bull Air Race World Championship 2018」に参戦する室屋義秀選手を「Team FALKEN」としてサポートするなど、ブランドの認知拡大に努めるとともに、高い高速操縦安定性能と優れたウエット性能を実現した、乗用車用の新世代フラッグシップタイヤ「AZENIS FK510(アゼニス・エフケーゴーイチゼロ)」シリーズを発売するなど拡販を進めました。これらの結果、売上収益は前期を上回りました。
海外新車用タイヤは、欧州、北米のほか、新興国でも納入を拡大したこともあり、売上収益は前期を上回りました。
海外市販用タイヤは、欧州は好調に推移しましたが、中国での景気の減速、中近東での政情不安に伴う消費の低迷等により販売数量は減少したため、売上収益は前期を下回りました。
以上の結果、タイヤ事業の売上収益は前期を上回りましたが、事業利益は減益となりました。
(スポーツ事業)
スポーツ事業の売上収益は、84,477百万円(前期比3.4%増)、事業利益は5,489百万円(前期比25.5%増)となりました。
国内ゴルフ用品市場では、2017年12月に発売したゴルフクラブ「ゼクシオ テン」の販売が引き続き好調に推移したことに加え、2018年9月には新たにゴルフクラブNEW「スリクソン Zシリーズ」及び「クリーブランド RTX 4 (ローテックス・フォー)ウエッジ」を発売しましたが、市況が前年割れとなったほか、競争激化の影響などもあり、国内ゴルフ用品全体の売上収益は前期を下回りました。
海外ゴルフ用品市場では、同じく「ゼクシオ テン」が前モデルを上回り好調に推移するなか、「スリクソン」、「クリーブランドゴルフ」の各ブランドにおいても新製品を発売し積極的に拡販に努めた結果、売上収益は前期を上回りました。
テニス用品市場では、国内の売上収益は、市況の影響もあり前期を下回りましたが、2017年4月に買収した「ダンロップ」ブランドの海外でのテニス事業が欧州、北米を中心として増収に大きく寄与しました。
ウェルネス事業では、「ダンロップスポーツクラブ」や「ジムスタイル」の新規出店に加え、既存店の会員数も堅調に推移したことから、売上収益は前期を上回りました。
そのほか、ライセンス事業も引き続き増収に寄与し、スポーツ事業の売上収益は前期を上回り、事業利益も増益となりました。
なお、2018年1月1日付で当社の子会社であったダンロップスポーツ㈱及びダンロップインターナショナル㈱を吸収合併し、スポーツ事業を統合しております。
(産業品他事業)
産業品他事業の売上収益は、41,754百万円(前期比5.6%増)、事業利益は4,013百万円(前期比5.1%減)となりました。
制振事業では、住宅用制震ユニット「ミライエ」の販売が好調に推移し、OA機器用精密ゴム部品では、主要OA機器メーカーのプリンター・コピー機生産増加により、売上収益は前期を上回りました。医療用精密ゴム部品については、国内、海外ともに順調に推移しました。インフラ系商材においては、2018年1月に国内テニスコート設計・施工会社「スポーツサーフェス㈱」を取得したことにより、売上収益は前期を上回りました。
以上の結果、産業品他事業の売上収益は前期を上回りましたが、為替の影響に加えて、医療用精密ゴム部品のスロベニア新工場建設に伴う初期投資もあり、事業利益は減益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ9,998百万円増加し、当連結会計年度末には74,526百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、82,820百万円(前連結会計年度比6,711百万円の収入の増加)となりました。
これは主として、棚卸資産の増加24,663百万円、法人所得税の支払額13,801百万円などの減少要因があったものの、税引前利益50,349百万円の計上、減価償却費及び償却費の計上57,365百万円、営業債務及びその他の債務の増加8,767百万円などの増加要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、65,494百万円(前連結会計年度比35,230百万円の支出の減少)となりました。
これは主として、有形固定資産の取得による支出66,417百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、2,122百万円(前連結会計年度は21,706百万円の収入)となりました。
これは主として、短期借入金、長期借入金及び社債が純額で16,659百万円増加するなどの増加要因があったものの、配当金の支払15,511百万円を行ったことなどによるものであります。
(2)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| タイヤ事業 | 637,454 | △0.7% |
| スポーツ事業 | 47,554 | 20.6% |
| 産業品他事業 | 29,649 | 15.3% |
| 合計 | 714,657 | 1.0% |
| (注)1.金額は、販売価格によっております。 | ||
| 2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。 | ||
②受注実績
当社グループの製品は、大部分が見込生産であり、ごく一部の製品(防舷材等)についてのみ受注生産を行っております。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| タイヤ事業 | 768,012 | 1.5% |
| スポーツ事業 | 84,477 | 3.4% |
| 産業品他事業 | 41,754 | 5.6% |
| 合計 | 894,243 | 1.9% |
| (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。 | ||
| 2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。 | ||
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。
連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示並びに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、会計上の見積りや前提が必要となりますが、当社グループは、過去の実績、又は各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。ただし、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果は見積りと異なる場合があります。
当社グループが採用している会計方針のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの新中期経営計画における数値目標は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針及び経営戦略等」に記載のとおりですが、当連結会計年度の経営成績に重要な影響を与えた主なものは、数量構成他の悪化及び固定費・経費の増加であります。
主力のタイヤ事業において、当連結会計年度においては、原材料面では石油系原材料の価格が高騰したものの、天然ゴム価格は低位に推移したことにより、増益要因となりました。一方、販売面では、中国や中近東といった好採算地域での販売減速に伴う構成悪化等により、数量構成他が減益要因となったほか、主に海外拠点への投資に伴う減価償却費及び人件費等の固定費や販路拡大による経費がそれぞれ増加し、減益要因となりました。
この結果、前連結会計年度に対し、原材料価格全体では約30億円の増益要因となったものの、数量構成他で約37億円、固定費で約38億円、経費で約34億円が、それぞれ減益要因となりました。低燃費タイヤなど高付加価値商品の更なる拡販、海外工場における生産能力の増強や生産性の改善など、収益力の向上を目指してさまざまな対策に取り組みましたが、タイヤ事業全体では減益となりました。
スポーツ事業及び産業品他事業の分析は「(1)経営成績等の状況の概要 ①業績」に記載のとおりであります。
以上の結果、売上収益は894,243百万円と前連結会計年度に比べ16,377百万円(1.9%)の増収、事業利益は60,681百万円と前連結会計年度に比べ6,294百万円(△9.4%)の減益となり、売上収益事業利益率は前連結会計年度に比べ0.8ポイント低下し、6.8%となりました。
その他の収益及び費用では、当連結会計年度では収益と費用の純額で4,000百万円の減益となりました。
この結果、営業利益は57,155百万円と前連結会計年度に比べ10,294百万円(△15.3%)の減益となり、売上収益営業利益率は前連結会計年度に比べ1.3ポイント低下し、6.4%となりました。
金融収益及び費用では、新興国の通貨下落による為替差損を計上したこと等により、当連結会計年度では収益と費用の純額で5,034百万円の減益となりました。
以上の結果、税金費用を計上した後の最終的な親会社の所有者に帰属する当期利益は36,246百万円と前連結会計年度に比べ10,733百万円(△22.8%)の減益となりました。
新中期計画における目標達成に向けて、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針及び経営戦略等」に記載の施策に取り組んでまいります。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
・財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、1,002,383百万円と前連結会計年度末に比べて15,883百万円減少しました。販売に備えた在庫の積み上げによる棚卸資産の増加などにより流動資産は10,917百万円増加しました。また、為替換算影響による有形固定資産の減少などにより非流動資産は26,800百万円減少しました。
当連結会計年度末の負債合計は、529,576百万円と前連結会計年度末に比べて2,196百万円増加し、有利子負債残高は、283,482百万円と前連結会計年度末に比べて10,030百万円増加しました。
当連結会計年度末の資本合計は472,807百万円と前連結会計年度末に比べて18,079百万円減少しました。うち親会社の所有者に帰属する持分は457,927百万円と、ダンロップスポーツ㈱の吸収合併によって非支配持分を取得したものの、配当金を支払ったことにより、1,980百万円減少しました。この結果、親会社所有者帰属持分比率は45.7%、1株当たり親会社所有者帰属持分は1,741円11銭となりました。
・キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの分析は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」の項に記載のとおりでありますが、当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリーキャッシュ・フローでは17,326百万円のプラスとなりました。
今後、主に海外での増販に対応するため、生産能力増強のための設備投資を継続する方針でありますが、販売数量の増加と採算性の改善により営業活動によるキャッシュ・フローの拡大を実現しながら、必要に応じ金融市場や金融機関からの調達も活用するなど、「成長」と「流動性の確保並びに財務体質の向上」との両立を図る所存であります。
また、当社と国内子会社、当社と一部の海外子会社との間でCMS(キャッシュマネジメントシステム)による資金融通を行っており、当社グループ内での資金効率向上を図っております。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
IFRSに準拠して作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(のれんの償却停止)
日本基準では、のれんの償却については償却年数を見積り、その年数で均等償却を行っておりましたが、IFRSではIFRS移行日以降、償却せず毎期減損テストを行っております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、前連結会計年度におきましては、「販売費及び一般管理費」が5,039百万円減少しております。当連結会計年度におきましては、「販売費及び一般管理費」が5,537百万円減少しております。
(退職後給付に係る費用処理)
日本基準では、発生した数理計算上の差異及び過去勤務費用を一定の期間で償却しておりましたが、IFRSでは、数理計算上の差異は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識しており、直ちに利益剰余金に振り替えております。過去勤務費用は、純損益として認識しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、前連結会計年度におきましては、「売上原価」、「販売費及び一般管理費」及び「金融費用」が合計で1,621百万円増加、「その他の包括利益」が1,160百万円増加しております。当連結会計年度におきましては、「売上原価」、「販売費及び一般管理費」及び「金融費用」が合計で2,304百万円増加、「その他の包括利益」が1,648百万円増加しております。
(表示組替)
日本基準において、「営業外収益」、「営業外費用」、「特別利益」、「特別損失」として表示していた項目を、IFRSでは財務関連損益については「金融収益」及び「金融費用」として表示し、それ以外の項目については、「その他の収益」、「その他の費用」及び「持分法による投資利益」として表示しております。