有価証券報告書-第51期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1) 経営成績等の概況及び分析
① 当事業年度の経営成績の概況及び分析
当事業年度におけるわが国経済は、政府及び日銀による経済政策によって、引き続き企業業績や雇用環境、所得が底堅く推移し、緩やかな改善傾向が当事業年度を通じて継続いたしました。
しかしながら、住宅市場におきましては、住宅ローン金利や政府による住宅取得支援策等があったものの、注文住宅を中心とした持家着工戸数は前年を下回って推移いたしました。その一方で、一次取得者層をターゲットとした戸建の分譲住宅(建売)は前年を上回る水準で推移し、結果として低価格の住宅の増加によって、当社の生産する粘土瓦といった高付加価値の住宅用建材においては、厳しい需要環境下に置かれております。
このような経営環境のもと、当社は、大手ハウスメーカーを中心として高所得者層をターゲットとした商品展開が行われていることを背景に、平成29年10月には、新たな事業として研究開発を進めている陶板を屋根材利用とする新たな高付加価値製品「スーパートライ美軽(みがる)」を発売いたしました。さらに、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)促進を背景として、増加傾向にある太陽光発電システム搭載に有利な緩勾配の片流れ屋根でも防水性を高める「スーパートライ110タイプⅠ Plus」を平成30年4月に市場投入するなど活発な研究開発活動を推進して参りました。しかしながら、売上高に関しましては、持家着工戸数の減少に加え、平成29年3月期に太陽光発電システムの大型案件及び熊本地震による補修需要があったため、前年同期比10.2%減の8,062百万円となりました。
一方で、損益面につきましては、原油価格の上昇によるエネルギーコストの増加、売上高の減少に伴う工場稼働率低下によって固定費負担が増加した結果、売上原価率は、前年同期比3.9ポイント増の75.0%となり、売上総利益は前年同期比22.2%減の2,015百万円となりました。
なお、より効率的な生産体制を目指す目的で受注生産方式の導入を図った結果、2017年(平成29年)3月期末と比較して、商品及び製品の棚卸資産が108百万円減少し、過剰在庫が抑制され、借入金の返済と合わせて、財務体質の健全化が一層進みました。
この結果、当事業年度の業績は、売上高8,062百万円(前年同期比10.2%減)、営業利益68百万円(前年同期比86.8%減)、経常利益77百万円(前年同期比85.0%減)、当期純利益16百万円(前年同期比95.1%減)となりました。
なお、本社所在地に隣接する衣浦木材団地水面貯木場につきまして、関係企業が共同出資する土地整備事業が完了し、所有する土地の寄付等を行った結果、19百万円の特別損失が発生しております。
② 当事業年度の財政状態の概況及び分析
当事業年度末の資産につきましては、有形固定資産の減少260百万円(前年同期比2.3%減)、普通預金の減少177百万円(前年同期比14.5%減)等により16,748百万円(前年同期比1.6%減)となりました。
負債につきましては、買掛金の減少64百万円(前年同期比16.7%減)、長期借入金の減少400百万円(前年同期比48.5%減)等により5,480百万円(前年同期比3.5%減)となりました。純資産につきましては、繰越利益剰余金の減少70百万円(前年同期比1.8%減)等により11,267百万円(前年同期比0.7%減)となりました。
③ 当事業年度のキャッシュ・フローの概況及び分析
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べて70百万円増加し、1,806百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は、658百万円となりました(前年同期に比べ574百万円減少)。
営業活動による資金の増加要因としては、主に当事業年度の末日が金融機関の休日であったことによる仕入債務の増加額218百万円及び、たな卸資産の減少額114百万円等によるものです。
一方、資金の減少要因としては、主に法人税等の支払額85百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は、44百万円となりました(前年同期に比べ99百万円減少)。投資活動による資金の増加要因としては、主に預託金の返還による収入13百万円等によるものです。
一方、資金の減少要因としては、主に固定資産の取得による支出60百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は、543百万円となりました(前年同期に比べ173百万円減少)。
財務活動による資金の減少要因としては、主に長期借入金の返済による支出400百万円等によるものです。
(2) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当事業年度の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額は平均売価によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
② 仕入実績
当事業年度の製品の仕入実績及び商品の仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額は仕入価格によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
3.商品の「その他」は、S形瓦・いぶし瓦・副資材が主力であります。
③ 受注実績
当社は受注見込みによる生産方式をとっておりますので、該当事項はありません。
④ 販売実績
当事業年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の経営成績等は、売上高が前年同期比10.2%減の8,062百万円となり、売上総利益2,015百万円(前年同期比22.2%減)、営業利益68百万円(前年同期比86.8%減)、経常利益77百万円(前年同期比85.0%減)、当期純利益16百万円(前年同期比95.1%減)の減収減益となりました。なお、本社所在地に隣接する衣浦木材団地水面貯木場につきまして、関係企業が共同出資する土地整備事業が完了し、所有する土地の寄付等を行った結果、19百万円の特別損失が発生しております。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因としては、国内の持家着工数及び燃料価格の変動が挙げられます。国内の持家着工数は、景気動向や金利動向、政府による各種施策による影響を受け、燃料価格は国際的な原油価格の動向に影響を受けます。当事業年度においては、持家着工戸数の減少の一方、原油価格の上昇が、上記経営成績に影響しております。
経営方針・経営戦略につきましては、前項 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 の「(1)会社の経営の基本方針」「(2)経営環境、中長期的な会社の経営戦略・対処すべき課題」に記載の通りであります。経営上の目標及びその達成状況を判断するための客観的な指標等については、装置産業である当社の事業内容を鑑み、売上高経常利益率の向上と、自己資本比率を中心とした財務体質の強化を目指しておりますが、前述の外部環境による影響に加え、先行的な設備投資や研究開発活動等によって左右されるため、具体的な数値目標は公表しておりません。なお、当事業年度としては、前述の外部環境の影響等から経常利益率は1.0%となりましたが、過剰在庫を抑制し、長期借入金の返済によって自己資本比率は67.3%となりました。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、前述の「(1) 経営成績等の概況及び分析 ③当事業年度のキャッシュ・フローの概況及び分析」に記載の通りであり、財務方針については後述の「③ 資本の財源及び資金の流動性」に記載の通りであります。
なお、当社は粘土瓦の製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しておりますが、前述の「(2) 生産、受注及び販売の実績」にて、製品の品種別に実績を記載しております。住宅様式の洋風化に伴い、従来の和風のJ形瓦から、洋風のF形瓦・M形瓦への需要の移行が継続しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社の所要資金調達は大きく分けて設備投資資金・運転資金となっております。基本的には「営業活動によるキャッシュ・フロー」の増加を中心としながらも、多額の設備資金につきましては、その時点で最適な方法による調達を原則としております。また、銀行借入金につきましては、阿久比工場用地を始め、担保に供していない資産もあり、借入限度枠にも余裕があり、手元流動性預金・手形割引とあわせ、緊急な支払にも対応可能な体制を整えております。
余資の運用につきましては、長期借入金の返済を最優先としております。
① 当事業年度の経営成績の概況及び分析
当事業年度におけるわが国経済は、政府及び日銀による経済政策によって、引き続き企業業績や雇用環境、所得が底堅く推移し、緩やかな改善傾向が当事業年度を通じて継続いたしました。
しかしながら、住宅市場におきましては、住宅ローン金利や政府による住宅取得支援策等があったものの、注文住宅を中心とした持家着工戸数は前年を下回って推移いたしました。その一方で、一次取得者層をターゲットとした戸建の分譲住宅(建売)は前年を上回る水準で推移し、結果として低価格の住宅の増加によって、当社の生産する粘土瓦といった高付加価値の住宅用建材においては、厳しい需要環境下に置かれております。
このような経営環境のもと、当社は、大手ハウスメーカーを中心として高所得者層をターゲットとした商品展開が行われていることを背景に、平成29年10月には、新たな事業として研究開発を進めている陶板を屋根材利用とする新たな高付加価値製品「スーパートライ美軽(みがる)」を発売いたしました。さらに、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)促進を背景として、増加傾向にある太陽光発電システム搭載に有利な緩勾配の片流れ屋根でも防水性を高める「スーパートライ110タイプⅠ Plus」を平成30年4月に市場投入するなど活発な研究開発活動を推進して参りました。しかしながら、売上高に関しましては、持家着工戸数の減少に加え、平成29年3月期に太陽光発電システムの大型案件及び熊本地震による補修需要があったため、前年同期比10.2%減の8,062百万円となりました。
一方で、損益面につきましては、原油価格の上昇によるエネルギーコストの増加、売上高の減少に伴う工場稼働率低下によって固定費負担が増加した結果、売上原価率は、前年同期比3.9ポイント増の75.0%となり、売上総利益は前年同期比22.2%減の2,015百万円となりました。
なお、より効率的な生産体制を目指す目的で受注生産方式の導入を図った結果、2017年(平成29年)3月期末と比較して、商品及び製品の棚卸資産が108百万円減少し、過剰在庫が抑制され、借入金の返済と合わせて、財務体質の健全化が一層進みました。
この結果、当事業年度の業績は、売上高8,062百万円(前年同期比10.2%減)、営業利益68百万円(前年同期比86.8%減)、経常利益77百万円(前年同期比85.0%減)、当期純利益16百万円(前年同期比95.1%減)となりました。
なお、本社所在地に隣接する衣浦木材団地水面貯木場につきまして、関係企業が共同出資する土地整備事業が完了し、所有する土地の寄付等を行った結果、19百万円の特別損失が発生しております。
② 当事業年度の財政状態の概況及び分析
当事業年度末の資産につきましては、有形固定資産の減少260百万円(前年同期比2.3%減)、普通預金の減少177百万円(前年同期比14.5%減)等により16,748百万円(前年同期比1.6%減)となりました。
負債につきましては、買掛金の減少64百万円(前年同期比16.7%減)、長期借入金の減少400百万円(前年同期比48.5%減)等により5,480百万円(前年同期比3.5%減)となりました。純資産につきましては、繰越利益剰余金の減少70百万円(前年同期比1.8%減)等により11,267百万円(前年同期比0.7%減)となりました。
③ 当事業年度のキャッシュ・フローの概況及び分析
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べて70百万円増加し、1,806百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は、658百万円となりました(前年同期に比べ574百万円減少)。
営業活動による資金の増加要因としては、主に当事業年度の末日が金融機関の休日であったことによる仕入債務の増加額218百万円及び、たな卸資産の減少額114百万円等によるものです。
一方、資金の減少要因としては、主に法人税等の支払額85百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は、44百万円となりました(前年同期に比べ99百万円減少)。投資活動による資金の増加要因としては、主に預託金の返還による収入13百万円等によるものです。
一方、資金の減少要因としては、主に固定資産の取得による支出60百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は、543百万円となりました(前年同期に比べ173百万円減少)。
財務活動による資金の減少要因としては、主に長期借入金の返済による支出400百万円等によるものです。
(2) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当事業年度の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別 | 金額(千円) | 前年同期比(%) |
J形瓦 | 1,678,780 | 87.5 |
F形瓦 | 4,686,167 | 95.2 |
M形瓦 | 519,336 | 94.8 |
合計 | 6,884,284 | 93.1 |
(注)1.金額は平均売価によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
② 仕入実績
当事業年度の製品の仕入実績及び商品の仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別 | 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
製品 | J形瓦 | 72,416 | 89.4 |
F形瓦 | 199,412 | 88.7 | |
M形瓦 | 26,707 | 86.8 | |
小計 | 298,536 | 88.7 | |
商品 | その他 | 530,473 | 77.0 |
合計 | 829,009 | 80.9 |
(注)1.金額は仕入価格によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
3.商品の「その他」は、S形瓦・いぶし瓦・副資材が主力であります。
③ 受注実績
当社は受注見込みによる生産方式をとっておりますので、該当事項はありません。
④ 販売実績
当事業年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別 | 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
製品 | J形瓦 | 1,784,436 | 85.1 |
F形瓦 | 4,931,320 | 92.9 | |
M形瓦 | 512,210 | 91.8 | |
小計 | 7,227,967 | 90.8 | |
商品 | その他 | 685,748 | 80.5 |
工事売上 | 148,586 | 92.2 | |
合計 | 8,062,302 | 89.8 |
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の経営成績等は、売上高が前年同期比10.2%減の8,062百万円となり、売上総利益2,015百万円(前年同期比22.2%減)、営業利益68百万円(前年同期比86.8%減)、経常利益77百万円(前年同期比85.0%減)、当期純利益16百万円(前年同期比95.1%減)の減収減益となりました。なお、本社所在地に隣接する衣浦木材団地水面貯木場につきまして、関係企業が共同出資する土地整備事業が完了し、所有する土地の寄付等を行った結果、19百万円の特別損失が発生しております。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因としては、国内の持家着工数及び燃料価格の変動が挙げられます。国内の持家着工数は、景気動向や金利動向、政府による各種施策による影響を受け、燃料価格は国際的な原油価格の動向に影響を受けます。当事業年度においては、持家着工戸数の減少の一方、原油価格の上昇が、上記経営成績に影響しております。
経営方針・経営戦略につきましては、前項 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 の「(1)会社の経営の基本方針」「(2)経営環境、中長期的な会社の経営戦略・対処すべき課題」に記載の通りであります。経営上の目標及びその達成状況を判断するための客観的な指標等については、装置産業である当社の事業内容を鑑み、売上高経常利益率の向上と、自己資本比率を中心とした財務体質の強化を目指しておりますが、前述の外部環境による影響に加え、先行的な設備投資や研究開発活動等によって左右されるため、具体的な数値目標は公表しておりません。なお、当事業年度としては、前述の外部環境の影響等から経常利益率は1.0%となりましたが、過剰在庫を抑制し、長期借入金の返済によって自己資本比率は67.3%となりました。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、前述の「(1) 経営成績等の概況及び分析 ③当事業年度のキャッシュ・フローの概況及び分析」に記載の通りであり、財務方針については後述の「③ 資本の財源及び資金の流動性」に記載の通りであります。
なお、当社は粘土瓦の製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しておりますが、前述の「(2) 生産、受注及び販売の実績」にて、製品の品種別に実績を記載しております。住宅様式の洋風化に伴い、従来の和風のJ形瓦から、洋風のF形瓦・M形瓦への需要の移行が継続しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社の所要資金調達は大きく分けて設備投資資金・運転資金となっております。基本的には「営業活動によるキャッシュ・フロー」の増加を中心としながらも、多額の設備資金につきましては、その時点で最適な方法による調達を原則としております。また、銀行借入金につきましては、阿久比工場用地を始め、担保に供していない資産もあり、借入限度枠にも余裕があり、手元流動性預金・手形割引とあわせ、緊急な支払にも対応可能な体制を整えております。
余資の運用につきましては、長期借入金の返済を最優先としております。