有価証券報告書-第52期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 10:57
【資料】
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【項目】
113項目
(1) 経営成績等の概況及び分析
① 当事業年度の経営成績の概況及び分析
当事業年度におけるわが国経済は、大国間の貿易摩擦や英国のEU離脱問題による世界経済の減速懸念があったものの、国内経済は引き続き企業業績や雇用環境、所得が底堅く推移し、緩やかな改善傾向が当事業年度を通じて継続いたしました。
一方、住宅市場におきましては、住宅ローン金利や政府による住宅取得支援策等に加え、消費税増税前の需要拡大によって、注文住宅を中心とした持家着工戸数は当事業年度後半にかけて増加傾向となっております。
このような経営環境のもと、当社は、2018年6月の大阪府北部地震、2018年7月~9月の豪雨・台風被害によって発生した住宅の補修需要にきめ細かい営業・出荷対応を行い、また、災害に強い防災瓦という当社製品の共通した特長をPRすることで、新たなハウスメーカーから採用を獲得するなど、積極的な営業活動を展開した結果、売上高に関しましては、前年同期比2.9%増の8,299百万円となりました。
一方で、損益面につきましては、原油価格の上昇によるエネルギーコストの増加があったものの、需要に見合った工場稼働、コスト削減・歩留り向上といった自助努力によって、売上原価率は、前年同期比1.3ポイント減の73.7%となり、売上総利益は前年同期比8.2%増の2,181百万円となりました。
また、販売費及び一般管理費におきましても、災害対応による各種コスト増があったものの、フォークリフトの運用見直し等の合理化対策によって、前年同期比2.3%減の1,901百万円に抑えることができました。
なお、より効率的な生産体制を目指す目的で受注生産方式の導入を図った結果、2018年3月期末と比較して、商品及び製品の棚卸資産が118百万円減少し、借入金の返済と合わせて、財務体質の健全化が一層進みました。
この結果、当事業年度の業績は、売上高8,299百万円(前年同期比2.9%増)、営業利益279百万円(前年同期比309.6%増)、経常利益299百万円(前年同期比287.1%増)、当期純利益113百万円(前年同期比584.9%増)となりました。
なお、前事業年度には、本社所在地に隣接する衣浦木材団地水面貯木場につきまして、関係企業が共同出資する土地整備事業が完了し、所有する土地の寄付等を行った結果、19百万円の特別損失が発生しております。
一方、当事業年度には、稼働率の低下しておりますJ形瓦生産設備の稼働体制について新たな方針を決定したことにより、該当する生産設備(衣浦工場第1ライン)の減損損失83 百万円を特別損失に計上しております。本件の詳細は2019年4月26日に公表致しました「J 形瓦生産設備の稼働体制の決定と特別損失の計上のお知らせ」をご参照下さい。
② 当事業年度の財政状態の概況及び分析
当事業年度末の資産につきましては、商品及び製品の棚卸資産の減少118百万円(前年同期比14.5%減)、有形固定資産の減少295百万円(前年同期比2.7%減)等により16,373百万円(前年同期比1.9%減)となりました。
負債につきましては、短期借入金(1年内返済予定長期借入金含む)の減少125百万円(前年同期比5.2%減)、長期借入金の減少375百万円(前年同期比88.2%減)等により5,121百万円(前年同期比5.5%減)となりました。純資産につきましては、その他有価証券評価差額金の減少52百万円(前年同期比19.7%減)等により11,252百万円(前年同期比0.1%減)となりました。
③ 当事業年度のキャッシュ・フローの概況及び分析
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べて4百万円減少し、1,802百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は、597百万円となりました。(前年同期に比べ61百万円減少)
営業活動による資金の増加要因としては、主に税引前当期純利益212百万円、減価償却費249百万円及び、たな卸資産の減少額112百万円等によるものです。
一方、資金の減少要因としては、主に売上債権の増加額127百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は、26百万円となりました。(前年同期に比べ18百万円減少)
投資活動による資金の増加要因としては、主に固定資産の売却による収入4百万円等によるものです。
一方、資金の減少要因は、固定資産の取得による支出31百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は、576百万円となりました。(前年同期に比べ32百万円増加)
財務活動による資金の減少要因としては、主に長期借入金の返済による支出400百万円等によるものです。
(2) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当事業年度の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別金額(千円)前年同期比(%)
J形瓦1,886,297112.4
F形瓦4,883,660104.2
M形瓦492,80294.9
合計7,262,760105.5

(注)1.金額は平均売価によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
② 仕入実績
当事業年度の製品の仕入実績及び商品の仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別金額(千円)前年同期比(%)
製品J形瓦73,058100.9
F形瓦204,645102.6
M形瓦32,049120.0
小計309,753103.8
商品その他397,35474.9
合計707,10885.3

(注)1.金額は仕入価格によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
3.商品の「その他」は、S形瓦・いぶし瓦・副資材が主力であります。
③ 受注実績
当社は受注見込みによる生産方式をとっておりますので、該当事項はありません。
④ 販売実績
当事業年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別金額(千円)前年同期比(%)
製品J形瓦1,991,458111.6
F形瓦5,104,183103.5
M形瓦518,100101.1
小計7,613,742105.3
商品その他540,03478.8
工事売上145,65898.0
合計8,299,435102.9

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の経営成績等は、売上高が前年同期比2.9%増の8,299百万円となり、売上総利益2,181百万円(前年同期比8.2%増)、営業利益279百万円(前年同期比309.6%増)、経常利益299百万円(前年同期比287.1%増)、当期純利益113百万円(前年同期比584.9%増)の増収増益となりました。なお、稼働率の低下しておりますJ形瓦生産設備の稼働体制について新たな方針を決定したことにより、該当する生産設備(衣浦工場第1ライン)の減損損失83百万円を特別損失に計上しております。
当社の経営成績に重要な影響を与える外的要因としては、国内の持家着工数及び燃料価格の変動が挙げられます。国内の持家着工数は、景気動向や金利動向、政府による各種施策による影響を受け、燃料価格は国際的な原油価格の動向に影響を受けます。当事業年度においては、持家着工戸数増加、原油価格の上昇が、上記経営成績に影響しております。
経営方針・経営戦略につきましては、前項 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 の「(1)会社の経営の基本方針」「(2)経営環境、中長期的な会社の経営戦略・対処すべき課題」に記載の通りであります。経営上の目標及びその達成状況を判断するための客観的な指標等については、装置産業である当社の事業内容を鑑み、売上高経常利益率の向上と、自己資本比率を中心とした財務体質の強化を目指しておりますが、前述の外部環境による影響に加え、先行的な設備投資や研究開発活動等によって左右されるため、具体的な数値目標は公表しておりません。なお、当事業年度としては、前述の外部環境の影響及びコスト削減等の自助努力から経常利益率は3.6%となりました。加えて、過剰在庫を抑制し、借入金の返済によって自己資本比率は68.7%となりました。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、前述の「(1) 経営成績等の概況及び分析 ③当事業年度のキャッシュ・フローの概況及び分析」に記載の通りであり、財務方針については後述の「③ 資本の財源及び資金の流動性」に記載の通りであります。
なお、当社は粘土瓦の製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しておりますが、前述の「(2) 生産、受注及び販売の実績」にて、製品の品種別に実績を記載しております。住宅様式の洋風化に伴い、従来の和風のJ形瓦から、洋風のF形瓦・M形瓦への需要の移行が継続しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社の所要資金調達は大きく分けて設備投資資金・運転資金となっております。基本的には「営業活動によるキャッシュ・フロー」の増加を中心としながらも、多額の設備資金につきましては、その時点で最適な方法による調達を原則としております。また、銀行借入金につきましては、阿久比工場用地・衣浦工場用地を始め、担保に供していない資産もあり、借入限度枠にも余裕があり、手元流動性預金・手形割引とあわせ、緊急な支払にも対応可能な体制を整えております。
余資の運用につきましては、長期借入金の返済を最優先としております。