有価証券報告書-第122期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/22 13:02
【資料】
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【項目】
143項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、政府による経済対策の効果などにより、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下、「新型コロナウイルス感染症」といいます。)の影響から持ち直しの動きがみられましたが、2020年末からの感染再拡大と緊急事態宣言の再発出などの影響から、2021年に入り再び弱含む動きがみられております。
世界経済においては、新型コロナウイルス感染症による大幅な減速から、米国では新政権の追加経済対策により個人消費・設備投資の回復、中国では内需の持ち直しに加え、輸出・生産の増加などから、緩やかながらも回復基調にあります。
鉄鋼業においては、日本国内市場は総じて弱含む状況ながらも、物流倉庫等非住宅建設需要の増加など一部に改善の動きもみられます。海外鉄鋼市場においては、中国国内の経済活動の回復にともなう鉄鋼生産の再拡大に加え、鋼材輸出の増加も加わり、市況は不安定な動きとなっております。
このような環境のなか、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高150,358百万円(前期比3,708百万円減)、営業利益7,880百万円(同2,391百万円増)、経常利益9,792百万円(同2,366百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,258百万円(同2,395百万円増)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、営業活動にともなうキャッシュ・フローの増加や金融商品市場の回復にともなう投資有価証券等の評価高などにより前連結会計年度末より24,872百万円増加し225,997百万円となりました。負債は、支払手形及び買掛金や未払法人税等、繰延税金負債の増加などにより前連結会計年度末より11,853百万円増加し45,687百万円となりました。純資産は、利益剰余金等の増加、その他有価証券評価差額金等の増加などにより前連結会計年度末より13,018百万円増加し180,309百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
鋼板関連事業
売上高は139,479百万円(前年同期比2,939百万円減)、営業利益は8,254百万円(前年同期比2,355百万円増)であります。
ロール事業
売上高は2,368百万円(前年同期比464百万円減)、営業損失は412百万円(前年同期は311百万円の営業損失)であります。
グレーチング事業
売上高は3,543百万円(前年同期比61百万円増)、営業利益は174百万円(前年同期比93百万円増)であります。
不動産事業
売上高は1,239百万円(前年同期比33百万円増)、営業利益は871百万円(前年同期比23百万円増)であります。
その他事業
売上高は3,726百万円(前年同期比400百万円減)、営業利益は198百万円(前年同期比11百万円増)であります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物期末残高は、前連結会計年度末に比べ8,457百万円増加し、43,116百万円となりました。これは主に、営業活動によるキャッシュ・フローにおける資金の増加によるものです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は17,149百万円(前年同期比11,222百万円増)となりました。当期営業利益7,880百万円が主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の支出は4,672百万円(前年は資金の支出1,407百万円)となりました。これは主に、固定資産の取得等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の支出は3,998百万円(前年は資金の支出2,265百万円)となりました。これは主に、配当金の支払額、自己株式の取得等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
鋼板関連事業(百万円)130,588△5.2
ロール事業(百万円)2,299△17.7
グレーチング事業(百万円)3,437△2.9
不動産事業(百万円)--
報告セグメント計(百万円)136,324△5.4
その他(百万円)138△56.0
合計(百万円)136,463△5.5

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高
(百万円)
前年同期比(%)
鋼板関連事業143,2660.821,36721.5
ロール事業2,0713.51,153△20.5
グレーチング事業3,5473.81982.0
不動産事業1,2392.8--
報告セグメント計150,1241.022,71918.2
その他3,719△5.4303△2.2
合計153,8440.823,02217.8

(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
鋼板関連事業(百万円)139,479△2.1
ロール事業(百万円)2,368△16.4
グレーチング事業(百万円)3,5431.8
不動産事業(百万円)1,2392.8
報告セグメント計(百万円)146,631△2.2
その他(百万円)3,726△9.7
合計(百万円)150,358△2.4

(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
㈱佐渡島34,34822.332,69521.7

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による当該経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
<売上高>日本国内・海外ともに新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい事業環境の中、特に期間の前半で日本国内および台湾の子会社であるSYSCO社の販売数量が減少しました。いち早く新型コロナウイルス感染症の影響から回復した中国においては、YSS社の販売数量が伸長しましたが、連結売上高は減収となりました。
<営業利益>日本国内においては、コスト削減に加えエネルギーコストの負担減少などから増益となりました。海外子会社においてはいずれも厳しい事業環境ではありましたが、期間の後半にSYSCO社の損益が大きく改善したこと、タイの子会社であるPPT社の改善などから、連結営業利益は増益となりました。
<経常利益>営業外収益における為替差益の計上がありましたが、投資有価証券売却益の計上減などから、営業利益と概ね同水準の増益となっております。
<親会社株主に帰属する当期純利益>特別損失における投資有価証券評価損の計上減などから連結当期純利益の増益幅は経常利益と比べ増加しておりますが、連結当期純利益における増益要因として非支配株主比率の高いSYSCO社の影響が大きいことから、親会社株主に帰属する当期純利益では連結当期純利益と比べ増益幅は縮小しております。
当社グループの資本政策の基本方針については、持続的な成長のための積極的投資と株主への最大限の利益還元に必要な資金の確保、並びに強固な財務基盤の維持を目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの創出に努めております。
当連結会計年度末時点で外部からの資金調達を必要とする重要な資本的支出の予定はありませんが、当面の運転資金及び設備投資資金については、主として自己資金から充当し、必要に応じて金融機関からの借入により調達していく方針です。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、2020年5月に策定・開示しております「淀川製鋼グループ中期経営計画2022」において、「連結経常利益(2022年度)90億円以上」としております。
当期におきましては、日本国内の需要が停滞する中での原材料や亜鉛などのコスト負担増、主に海外市場における各地域での保護主義的政策の影響など厳しい経営環境の中、当社グループの強みである機動力を発揮しコスト削減や販売価格の改善、新規顧客の開拓などの企業努力を重ね、2022年度の目標値を上回る連結経常利益を計上することができました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
鋼板関連事業
鋼板業務は、日本においては店売り(一般流通向け)鋼板商品の販売量は増加しましたが、ひも付き(特定ユーザー向け)で前期にまとまった数量の受託加工があった要因などから減収となりました。海外では、SYSCO社は主に台湾国内向けめっき鋼板の販売減により減収となりましたが、期間後半の海外鉄鋼市況改善などから損益は大きく改善しました。中国のYSS社は、中国国内の新型コロナウイルス感染症の影響からの回復に加え、新規顧客の開拓に注力し販売数量が増加したことなどから増収となりましたが損益は小幅な改善に留まりました。タイのPPT社は、厳しい事業環境が続いておりますが、高付加価値品の販売量増加などから売上高は減収ながら損益は改善し通期黒字となりました。
建材業務は、建材商品では耐火パネル壁材(ヨドグランウォール)の販売が好調に推移しましたが、販売方針の見直しに伴いヨドルーフの販売数量が減少したことなどから減収となりました。エクステリア商品では期間の前半にいわゆる巣ごもり消費の影響から物置の販売数量が増加したことに加え、市場で好評を得ているガレージの販売好調が継続したことなどから増収となりました。工事については前期に大型物件の完工があった要因などから減収となりました。
以上から、鋼板関連事業としては減収・増益となりました。
ロール事業
鉄鋼用ロールの販売減などから、減収・減益となりました。
グレーチング事業
公共事業向けは厳しい状況が続いているものの、民間案件は堅調に推移したことに加え、販売価格の是正に努めたことなどから売上高は概ね同水準ながら増益となりました。
不動産事業
賃貸ビルの入居賃料の増加などから増収・増益となりました。
その他事業
エンジニアリング事業の売上は減少しましたが、運輸・倉庫業の荷扱量回復に伴う採算改善などから、減収・増益となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、資本政策の基本方針のなかで、「グローバルな経済の変動に経営環境が大きな影響を受けるなかで、企業理念に基づく経営戦略を着実に実現し、持続的な成長のための積極的投資と株主への最大限の利益還元を両立させるために、強固な財務基盤を維持する」こととしており、営業活動によるキャッシュ・フローを安定的に獲得すべく事業活動に取り組んでおります。
2021年3月期の連結キャッシュ・フローの状況としては、営業活動によるキャッシュ・フローは17,149百万円の資金の増加、投資活動によるキャッシュ・フローは4,672百万円の資金の減少、財務活動によるキャッシュ・フローは3,998百万円の資金の減少、現金及び現金同等物に係る換算差額は19百万円の資金の減少となり、現金及び現金同等物の残高は8,457百万円増加しました。
このうち、固定資産の取得・売却等による資金の減少は6,976百万円、配当金の支払(非支配株主への支払含む)による資金の減少は2,298百万円、自己株式の取得・売却による資金の減少は1,065百万円であります。
当期におきましては、エクステリア商品の生産・物流の再構築を目的とした福井ヨドコウ㈱における新工場建設などから固定資産の取得が高水準となっており、配当および自己株式取得を併せた株主還元も前期を上回る水準での実施でしたが、それを上回る営業キャッシュ・フローの獲得があったことから上記のとおりの資金の増加となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。