有価証券報告書-第119期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/22 13:36
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善が続くなか個人消費も持ち直しの動きが続いており緩やかな回復基調が継続しました。
世界経済は、米国では海外景気の拡大による輸出の増加に加え、個人消費や設備投資も堅調に推移するなか、2017年6月、12月及び2018年3月に政策金利の追加引き上げが行われました。また、欧州でも総じて景気は底堅く推移しました。中国では政府の不動産投機抑制策や金融規制強化などの引き締め策による減速が懸念されましたが、堅調な輸出と個人消費に支えられ景気は底堅く推移しました。一方で期間の終盤には、米国で雇用統計が市場予想を上回りインフレ率が高まるとの見方から長期金利が上昇、世界的な株安の連鎖を引き起こしました。その後、米国政権の保護主義的政策への懸念も加わり金融市場は不安定な動きが続きました。
鉄鋼業においては、日本国内市場では、自動車・産業機械などの需要産業で増産基調が継続し、普通鋼鋼材国内出荷量は概ね好調に推移しました。
海外鉄鋼市場は、中国を起点に春先に軟調に転じた後、中国政府主導による地条鋼の排除や環境規制に伴う生産制限の影響等により鋼材市況は上昇傾向にありましたが、在庫の積み上がりや米国の輸入制限への懸念などから、期間の終盤には市況は一旦軟化しました。
このような環境のなか、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高173,805百万円(前期比19,584百万円増)、営業利益10,856百万円(同2,311百万円減)、経常利益12,284百万円(同1,478百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益7,360百万円(同625百万円増)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、原材料及び製品価格の上昇等による棚卸資産の増加、株価上昇に伴う投資有価証券の増加等により前連結会計年度末より6,164百万円増加し216,142百万円となりました。負債は、設備未払金、退職給付に係る負債等の減少により前連結会計年度末より3,035百万円減少し45,567百万円となりました。純資産は、利益剰余金、その他有価証券評価差額金等の増加により前連結会計年度末より9,199百万円増加し170,574百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
鋼板関連事業
売上高は161,674百万円(前年同期比18,863百万円増)、営業利益は10,818百万円(前年同期比2,150百万円減)であります。
ロール事業
売上高は3,759百万円(前年同期比374百万円増)、営業利益は57百万円(前年同期比206百万円減)であります。
グレーチング事業
売上高は3,547百万円(前年同期比125百万円減)、営業利益は114百万円(前年同期比47百万円減)であります。
不動産事業
売上高は1,067百万円(前年同期比71百万円増)、営業利益は736百万円(前年同期比22百万円減)であります。
その他事業
売上高は3,756百万円(前年同期比400百万円増)、営業利益は361百万円(前年同期比45百万円増)であります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物期末残高は、前連結会計年度末に比べ11,769百万円減少し、27,277百万円となりました。これは主に、原材料及び製品価格の上昇等によるたな卸資産の増加と、定期性預金の払出による収入の減少によるものです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は1,933百万円(前年同期比8,284百万円減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益等の増加要因と、たな卸資産の増加等の減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の支出は9,026百万円(前年は資金の支出1,559百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出、定期性預金の預入による支出等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の支出は5,288百万円(前年は資金の支出9,897百万円)となりました。これは主に、配当金の支払額等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
鋼板関連事業(百万円)157,89319.5
ロール事業(百万円)3,6437.7
グレーチング事業(百万円)3,6783.9
不動産事業(百万円)--
報告セグメント計(百万円)165,21518.9
その他(百万円)18857.1
合計(百万円)165,40418.9

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高
(百万円)
前年同期比(%)
鋼板関連事業162,00812.118,2154.4
ロール事業3,8279.72,3893.0
グレーチング事業3,490△6.2188△23.1
不動産事業1,0677.2--
報告セグメント計170,39411.620,7943.9
その他3,80411.035016.0
合計174,19811.521,1444.1

(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
鋼板関連事業(百万円)161,67413.2
ロール事業(百万円)3,75911.0
グレーチング事業(百万円)3,547△3.4
不動産事業(百万円)1,0677.2
報告セグメント計(百万円)170,04812.7
その他(百万円)3,75611.9
合計(百万円)173,80512.7

(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
㈱佐渡島32,09320.834,28519.7

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、重要となる会計方針については、「第5 経理の状況」に記載されているとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高は、主に鋼板関連事業において価格是正に取り組んだほか、中国の子会社であるYSS社の販売にも一定の進捗があったことにより増収となりました。
営業利益は、国内においては主原料、副原料、エネルギー価格などのコスト増を価格是正で吸収しきれず減益となりました。海外においても、YSS社で一定の改善が見られたものの、台湾の子会社であるSYSCO社では台湾国内需要の停滞に加え、輸出においても回復傾向にあった米国向けが保護主義的政策の影響で再び減少に転じるなどの影響から大幅な減益となりました。
経常利益では、受取配当金の増加に加え、投資有価証券の売却益を計上したことなどから、営業利益と比べ減益幅は縮小しております。
前連結会計年度にYSS社で固定資産の減損処理に伴う特別損失を計上していたことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益では増益となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、持続的な成長のための積極的投資と株主への最大限の利益還元に必要な資金の確保、並びに強固な財務基盤の維持を目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの創出に努めております。
当連結会計年度末時点で外部からの資金調達を必要とする重要な資本的支出の予定はありませんが、運転資金及び設備投資資金については、主として自己資金から充当し、必要に応じて金融機関からの借入により調達していく方針です。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、平成29年3月に策定・開示しております『淀川製鋼グループ中期経営計画2019』において、「既存事業における市況や為替などの事業環境に左右されず、連結経常利益100億円を安定して計上すること」としております。
当期におきましては、原材料やエネルギーコストなどのコスト負担増、主に海外市場における各地域での保護主義的政策の影響など厳しい経営環境に置かれましたが、当社グループの強みである機動力を発揮することで、目標を上回る連結経常利益を計上することができました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
鋼板関連事業
鋼板業務は、日本におけるひも付き(特定需要家向け)では、販売数量は主に輸出向けで減少しましたが、国内向け需要は底堅く、販売価格の是正に一定の進捗があったこともあり増収となりました。店売り(一般流通向け)では、非住宅関連需要が設備投資の増加などで好調に推移したものの、住宅関連需要の落ち込みの影響から販売数量は減少しましたが、価格是正に一定の進捗があり増収となりました。海外では、SYSCO社は、主に台湾国内需要の停滞で販売数量は減少しましたが販価上昇により増収、YSS社では、販売量の増加により増収となりました。タイの子会社であるPPT社は、価格是正への取り組みにより販売数量は減少し、原材料価格上昇の影響を受け、損益も悪化しました。
建材業務は、建材商品では、ルーフで価格是正を行いましたが、選別受注により販売数量は減少、「ヨドファインパネル」(断熱壁材)の販売数量減少もあり、僅かながら減収となりました。エクステリア商品では、個人消費の回復を受け物置の販売が回復し、ガレージ、大型倉庫なども好調であったことから増収となりました。工事については大型物件が完工したこと、高付加価値商品の断熱・耐火パネル採用物件の増加などにより大幅な増収となりました。
以上から、鋼板関連事業としては増収となりました。
ロール事業
鉄鋼向けロールの販売量は減少しましたが、製紙向け設備の納入やフィルム分野の新規案件などが寄与し増収となりました。
グレーチング事業
民間事業物件は底堅く推移するとともに高付加価値商品の拡販にも努めましたが、公共事業物件の動きが低調に推移したことから減収となりました。
不動産事業
賃貸ビルの入居率向上などにより増収となりました。
その他事業
物資販売事業などの売上が増加したことから増収となりました。