有価証券報告書-第105期(2023/04/01-2024/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)におきましては、国内向け空調機および情報通信システムの売上は増加しましたが、海外向け空調機の減収が大きく、連結売上高は3,164億7千6百万円(前年度比14.7%減)となりました。
損益につきましては、コストダウンの進展や素材価格などコスト環境の好転はあったものの、流通在庫圧縮を目的とした海外向け空調機の出荷抑制に伴う減収影響が大きく、営業利益は57億4千7百万円(同61.9%減)となりました。経常利益は、円安の進行など為替変動に伴う為替差益の計上により143億7千5百万円(同17.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として独禁法関連損失等を計上したことなどから、30億6千7百万円(同64.7%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
<空調機部門>空調機部門では、前年度に上海市都市封鎖の影響を大きく受けた国内向けの売上は前年度を上回ったものの、海外向けでは、中東、北米向けの前年度の出荷が高水準であったことに加え、消費行動の変化や世界的なインフレの進行などに伴う各地域での需要停滞による流通在庫の増加や、商品供給不安解消に伴う追加受注の鈍化などにより、売上高は2,805億3千9百万円(同17.1%減)となりました。営業利益は、コストダウンの進展や素材価格などコスト環境の好転はあったものの、流通在庫圧縮を目的とした海外向けの出荷抑制に伴う減収影響が大きく、7億3千万円(同93.9%減)となりました。
[海外向け]
売上高は、2,314億4千8百万円(同21.2%減)となりました。
中東、北米向けの前年度の出荷が高水準であった影響が大きいことに加え、欧州向けATW(ヒートポンプ式温水暖房システム)の販売減もあり、前年度比で減収となりました。
また、サプライチェーン正常化に伴い、供給が遅れていた受注残の出荷が前年度に大きく進展したものの、商品供給不安解消に伴い販売代理店等からの追加受注が鈍化したほか、各地域での需要停滞などにより、流通在庫が高水準となり、北米等において当初の想定より現地在庫削減に時間を要しました。こうしたなか、出荷を抑制し現地販売促進に最優先で取り組みました。なお、地域別の状況は以下のとおりです。
米州では、北米において、一昨年度からの販売ずれ込みにより前年度の出荷が高水準であったことに加え、販売代理店等における在庫削減に注力し出荷を抑制したことから、売上が減少しました。なお、米国の環境規制への対応を見据えた新機種開発を前倒しで進めるとともに、サービス・ソリューション分野での連携を含めた販路開拓や現地の販売体制強化など、今後の事業拡大に向けた取り組みを進めております。
欧州では、ルームエアコンの販売が前年度を下回ったほか、ATWにおいて、サプライチェーン混乱下でも市場拡大期待に応えて優先的に生産・出荷し、現地在庫の積み増しが進んでいたところ、補助金制度の変更をはじめとした一時的な市場環境変化の影響を受け、売上が減少しました。なお、ATWの流通在庫削減に向け、販売促進策を強化し消化促進に努めております。また、今後の需要拡大が期待される施工性に優れたATWの新機種をはじめ、ルームエアコン、VRF(ビル用マルチエアコン)においても商品ラインアップ強化を進めております。
中東・アフリカでは、一昨年度からの販売ずれ込みにより前年度の出荷が高水準であったことなどから、大幅減収となりましたが、流通在庫の削減は着実に進展しております。
オセアニアでは、ルームエアコンの売上は前年度並みにとどまりましたが、サービスメンテナンス業務が堅調に推移したことから、売上は前年度を上回りました。
アジアでは、主力市場のインドにおいて、第1四半期は天候不順の影響を受けたものの、第2四半期以降ルームエアコンの販売が回復するとともに、VRFの販売も伸長したほか、タイの空調機用コンプレッサー製造会社の連結化効果もあり、売上が増加しました。なお、インドでの現地生産をさらに進め、商品ラインアップの拡充とともに、コストダウンにも取り組んでまいります。
中華圏では、中国において、不動産市況の低迷などにより、VRFの販売が停滞したほか、台湾向けの販売が減少したことなどから、売上が減少しました。
[国内向け]
売上高は、490億9千万円(同10.0%増)となりました。
ルームエアコン市場は、夏期に記録的な猛暑となったものの、業界出荷台数は、高水準であった前年度の反動に加え、物価上昇や消費行動の変化の影響などにより、前年度を下回りました。当社は、上海市都市封鎖の影響による大幅な出荷減があった前年度に対し、今年度は出荷が正常化していることから、省エネ性の高い機種を中心に、主に住宅設備ルート向けの販売が回復するとともに、売価改善にも取り組み、売上が増加しました。
<情報通信・電子デバイス部門>情報通信・電子デバイス部門では、情報通信システムの販売増により、売上高は332億6百万円(同10.9%増)、営業利益は44億3千3百万円(同145.3%増)となりました。
[情報通信システム]
売上高は、209億5千1百万円(同54.9%増)となりました。
公共システムにおいて、消防の広域化・共同運用事業の本格化や、防災・減災対応のインフラ整備事業に対する補助政策を背景に、消防指令システムおよび消防無線システムを中心に商談案件数が増加しているなか、受注済みシステムの納入が順調に進展するとともに、民需システムの販売増もあり、売上が増加しました。なお、来年度の納入に向けた受注も順調に推移しております。
[電子デバイス]
売上高は、122億5千4百万円(同25.3%減)となりました。
自動車生産の回復に伴い車載カメラの販売は前年度を上回ったものの、産業用ロボット向け電子部品・ユニット製造において、中国における設備投資の停滞で販売が減少したことから、売上が減少しました。
<その他部門>売上高は27億3千1百万円(同3.4%増)、営業利益は5億8千3百万円(同56.5%減)となりました。
②財政状態の状況
Ⅰ 資産、負債および純資産の概況
当連結会計年度末の総資産につきましては、開発・生産設備、基幹システム刷新等のⅠT関連への投資およびノルウェー、ギリシャにおける販売代理店の連結子会社化に伴うのれんの計上などによる増加はありましたが、棚卸資産の圧縮ならびに売上減少に伴う受取手形、売掛金及び契約資産の減少に加え、タイにおける空調機用コンプレッサー工場の持分法適用関連会社からの連結子会社化などに伴う投資有価証券の減少により、前連結会計年度末比227億5千5百万円減少し、2,756億3千4百万円となりました。
負債につきましては、支払手形及び買掛金ならびに短期借入金の減少などにより、前連結会計年度末比297億6千4百万円減少し、1,290億5千4百万円となりました。
純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益の計上があったものの配当金の支払に伴い利益剰余金は減少しましたが、為替換算調整勘定などの増加により、前連結会計年度末比70億8百万円増加し、1,465億7千9百万円となりました。なお、昨年8月に譲渡制限付株式報酬としての新株式を発行したことにより、資本金および資本剰余金がそれぞれ47百万円増加しております。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は5.6%増加し、50.3%(前連結会計年度末は44.7%)となりました。
Ⅱ キャッシュ・フローの概況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、棚卸資産の圧縮などによる運転資本の改善ならびに税金等調整前当期純利益および減価償却費の計上などにより、426億2千4百万円の収入(前連結会計年度は80億4千3百万円の支出)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、開発・生産設備、基幹システム刷新等のⅠT関連への投資およびノルウェー、ギリシャにおける販売代理店ならびにタイにおける空調機用コンプレッサー工場の連結子会社化に伴う株式取得などにより、164億2千9百万円の支出(同84億2千3百万円の支出)となりました。この結果、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローは261億9千5百万円の収入(同164億6千6百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、金融機関への借入金返済および配当金の支払を行ったことなどにより、250億7千7百万円の支出(同193億1千6百万円の収入)となりました。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末比23億2千4百万円増加し、197億1千5百万円となりました。
③生産、受注および販売の実績
Ⅰ 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
Ⅱ 受注実績
当社グループ(当社および連結子会社)の製品は、需要予測による見込生産が主体のため、受注実績を記載しておりません。
Ⅲ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.総販売実績に対する割合の10%以上を占める相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
当連結会計年度は、販売面では、国内向け空調機および情報通信システムの売上は増加しましたが、海外向け空調機の減収が大きく、為替を除く売上高は前連結会計年度比18%減となりました。損益面では、コストダウンの進展や素材価格などコスト環境の好転はあったものの、流通在庫圧縮を目的とした海外向け空調機の出荷抑制などの減収影響が大きく、営業利益は57億円と前連結会計年度比94億円(前連結会計年度比62%減)の減益となりました。経常利益は144億円(同18%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は31億円(同65%減)となりました。
なお、当連結会計年度の素材価格および主要通貨の為替レートは記載のとおりであります。

Ⅰ 売上高
当連結会計年度の売上高は3,165億円と前連結会計年度比545億円(同15%減)の減少となりました。
このうち空調機部門では、前連結会計年度に上海市都市封鎖の影響を大きく受けた国内向けの販売は増加しましたが、流通在庫の増加や追加受注の鈍化などにより、海外向けの販売が減少し、売上高は2,806億円と前連結会計年度比578億円(同17%減)の減少となりました。
情報通信・電子デバイス部門では、情報通信システムの販売増により、売上高は332億円と前連結会計年度比32億円(同11%増)の増加となりました。
その他部門の売上高は、27億円と前連結会計年度比1億円(同3%増)の増加となりました。
Ⅱ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は57億円と前連結会計年度比94億円(同62%減)の減益となりました。
空調機部門においては7億円と前連結会計年度比113億円(同94%減)の減益となりました。変動要因は、海外向けの販売物量減少により229億円減益、素材・部品価格や海上運賃の好転の影響で110億円増益、為替影響で18億円増益、事業強化に向けた先行投資費用の増加などにより12億円減益となっております。
情報通信・電子デバイス部門においては情報通信システムの増収影響により、44億円と前連結会計年度比26億円(同145%増)の増益となりました。
その他部門においては6億円と前連結会計年度比7億円(同57%減)の減益となりました。

Ⅲ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は144億円と前連結会計年度比30億円(同18%減)の減益となりました。営業外損益では純額で87億円(益)となり、前連結会計年度比64億円良化いたしました。この主な要因は、円安進行に伴い為替差益が増加したことなどによるものであります。
Ⅳ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の144億円に対して、特別利益として段階取得に係る差益を計上しましたが、特別損失として独禁法関連損失、関係会社清算損、減損損失を計上したことに加え、税金費用ならびに非支配株主に帰属する当期純利益を控除したことから、31億円と前連結会計年度比56億円(同65%減)の減益となりました。
この結果、1株当たり当期純利益は29.29円となり、前連結会計年度比53.75円減少いたしました。
Ⅴ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「3 事業等のリスク」に記載しております。そのなかでも、為替レート、素材・部品価格の市況変動が経営成績に与える影響は直接的であり、かつ、重大なものと認識しております。
為替については、当社グループの海外売上高比率が約74%あり、かつ、主力の空調機セグメントは主に中国・タイの工場で製品を製造しているため、外部および関係会社間の外貨建取引の割合が高くなっていることから、為替レートの変動が急激な場合、当社グループの業績および財務状況に多大な影響を及ぼします。この影響を軽減させるため、グループ各社の仕入通貨と販売通貨をマッチングさせるなど、為替リスクの軽減を図っております。また、外貨建債権債務に対しては、為替予約等によりリスクヘッジを行っております。さらに、グループ各社の為替ポジションを当社財務経理部門で把握しており、為替レートの変動に対して適宜対応できる体制をとっております。
素材・部品については、戦略的提携等を通じて基幹部品の供給確保に努める一方で、調達を外部の取引先に依存しているため、コンプレッサーや電子部品などの調達部材の供給環境が著しく悪化した場合や、銅およびアルミなどの市況が急激に変動した場合には、当社グループの業績および財務状況に多大な影響を及ぼします。この影響を軽減させるため、銅については価格のヘッジ等を行うとともに、部材のマルチソース拡大、設計の標準化、内製化の拡大、調達先との関係強化等によるコスト削減と安定調達に努めております。
上記に加え当社グループは、トータルコストダウンの推進や商品構成の改善などにより、為替レート、素材・部品価格の市況変動に伴う損益影響を極力低減すべく、たゆまぬ努力を重ねてまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況 Ⅱ キャッシュ・フローの概況」に記載のとおりであります。
当社グループにおいては、事業上必要な運転資金および設備投資資金は、利益と資金効率で生み出したキャッシュで賄うことを基本方針としております。その上で、成長投資のための多額のキャッシュが必要となった場合は、銀行借入や社債等の調達手段のなかから、適宜、最適と判断する手段にて調達する方針としております。
当社グループは、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)を資金効率の指標とし、売上債権の圧縮、棚卸資産および買掛債務の適正化を図ることで、自己資金を生み出す力の強化を図っております。
なお、当連結会計年度末における借入金残高は13,573百万円、リース債務を含む有利子負債残高は14,336百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は19,715百万円となっております。
③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産および負債の計上額、ならびに連結損益計算書上の収益および費用の計上額には、過去の情報および将来の予測等をもとに行った合理的な見積りおよびその基礎となる仮定が含まれており、実際の結果は異なる場合があります。
当社グループが連結財務諸表に適用している重要な会計方針等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある見積りを含む会計方針は以下のとおりであります。
Ⅰ 貸倒引当金
売上債権、貸付金等の債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。将来、顧客の財務状況の変化などにより回収不能見込額が変動した場合には、引当金の追加計上または取崩しが必要となる可能性があります。
Ⅱ 製品保証引当金
販売した製品の無償アフターサービス費用に備えるため、経験率および個別見積りに基づき計上しております。経験率の見直しなどにより、引当金の追加計上または取崩しが必要となる可能性があります。
Ⅲ 海外事業等再編引当金
空調機事業強化に向けた各地域の販売体制強化・再構築に係る費用等を合理的に算定し計上しております。海外事業動向の変化および為替レートの変動などにより、引当金の追加計上または取崩しが必要となる可能性があります。
Ⅳ 独禁法関連引当金
独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令に関連して将来発生の可能性が高い支払いに備えるため、損失見込額を合理的に算定し計上しております。本件につきましては、今後の状況変化などにより、引当金の追加計上または取崩しが必要となる可能性があります。
Ⅴ 退職給付費用および債務
従業員の退職給付に備えるため、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、昇給率、年金資産の長期期待運用収益率などが含まれており、実際の給付が前提条件と異なる場合または前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用および債務に影響を与える可能性があります。
Ⅵ 繰延税金資産
将来の課税所得の十分性およびタックスプランニングをもとに、回収可能性があると判断した金額を計上しております。経済環境および経営状況などの変化により、回収可能性の評価時に使用した将来の利益計画およびタックスプランニングを変更する必要が生じた場合、繰延税金資産の金額が増減する可能性があります。
Ⅶ のれんの評価
各連結会計年度において、減損の兆候の有無を把握し、減損の兆候があると判断したのれんについては、経営者が承認した将来事業計画の割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回った場合に減損損失を認識しております。
減損損失の測定に使用する回収可能価額は、同様に経営者が承認した将来事業計画を基礎とした将来見積キャッシュ・フロー等に基づき算定しております。
これらに使用する事業計画等の仮定は、使用する時点において入手可能な情報に基づく最善の見積りと判断により策定しておりますが、将来の事業環境の変化等の影響により見直しが必要となった場合には、減損損失が発生し、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
①経営成績の状況
当連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)におきましては、国内向け空調機および情報通信システムの売上は増加しましたが、海外向け空調機の減収が大きく、連結売上高は3,164億7千6百万円(前年度比14.7%減)となりました。
損益につきましては、コストダウンの進展や素材価格などコスト環境の好転はあったものの、流通在庫圧縮を目的とした海外向け空調機の出荷抑制に伴う減収影響が大きく、営業利益は57億4千7百万円(同61.9%減)となりました。経常利益は、円安の進行など為替変動に伴う為替差益の計上により143億7千5百万円(同17.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として独禁法関連損失等を計上したことなどから、30億6千7百万円(同64.7%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
<空調機部門>空調機部門では、前年度に上海市都市封鎖の影響を大きく受けた国内向けの売上は前年度を上回ったものの、海外向けでは、中東、北米向けの前年度の出荷が高水準であったことに加え、消費行動の変化や世界的なインフレの進行などに伴う各地域での需要停滞による流通在庫の増加や、商品供給不安解消に伴う追加受注の鈍化などにより、売上高は2,805億3千9百万円(同17.1%減)となりました。営業利益は、コストダウンの進展や素材価格などコスト環境の好転はあったものの、流通在庫圧縮を目的とした海外向けの出荷抑制に伴う減収影響が大きく、7億3千万円(同93.9%減)となりました。
[海外向け]
売上高は、2,314億4千8百万円(同21.2%減)となりました。
中東、北米向けの前年度の出荷が高水準であった影響が大きいことに加え、欧州向けATW(ヒートポンプ式温水暖房システム)の販売減もあり、前年度比で減収となりました。
また、サプライチェーン正常化に伴い、供給が遅れていた受注残の出荷が前年度に大きく進展したものの、商品供給不安解消に伴い販売代理店等からの追加受注が鈍化したほか、各地域での需要停滞などにより、流通在庫が高水準となり、北米等において当初の想定より現地在庫削減に時間を要しました。こうしたなか、出荷を抑制し現地販売促進に最優先で取り組みました。なお、地域別の状況は以下のとおりです。
米州では、北米において、一昨年度からの販売ずれ込みにより前年度の出荷が高水準であったことに加え、販売代理店等における在庫削減に注力し出荷を抑制したことから、売上が減少しました。なお、米国の環境規制への対応を見据えた新機種開発を前倒しで進めるとともに、サービス・ソリューション分野での連携を含めた販路開拓や現地の販売体制強化など、今後の事業拡大に向けた取り組みを進めております。
欧州では、ルームエアコンの販売が前年度を下回ったほか、ATWにおいて、サプライチェーン混乱下でも市場拡大期待に応えて優先的に生産・出荷し、現地在庫の積み増しが進んでいたところ、補助金制度の変更をはじめとした一時的な市場環境変化の影響を受け、売上が減少しました。なお、ATWの流通在庫削減に向け、販売促進策を強化し消化促進に努めております。また、今後の需要拡大が期待される施工性に優れたATWの新機種をはじめ、ルームエアコン、VRF(ビル用マルチエアコン)においても商品ラインアップ強化を進めております。
中東・アフリカでは、一昨年度からの販売ずれ込みにより前年度の出荷が高水準であったことなどから、大幅減収となりましたが、流通在庫の削減は着実に進展しております。
オセアニアでは、ルームエアコンの売上は前年度並みにとどまりましたが、サービスメンテナンス業務が堅調に推移したことから、売上は前年度を上回りました。
アジアでは、主力市場のインドにおいて、第1四半期は天候不順の影響を受けたものの、第2四半期以降ルームエアコンの販売が回復するとともに、VRFの販売も伸長したほか、タイの空調機用コンプレッサー製造会社の連結化効果もあり、売上が増加しました。なお、インドでの現地生産をさらに進め、商品ラインアップの拡充とともに、コストダウンにも取り組んでまいります。
中華圏では、中国において、不動産市況の低迷などにより、VRFの販売が停滞したほか、台湾向けの販売が減少したことなどから、売上が減少しました。
[国内向け]
売上高は、490億9千万円(同10.0%増)となりました。
ルームエアコン市場は、夏期に記録的な猛暑となったものの、業界出荷台数は、高水準であった前年度の反動に加え、物価上昇や消費行動の変化の影響などにより、前年度を下回りました。当社は、上海市都市封鎖の影響による大幅な出荷減があった前年度に対し、今年度は出荷が正常化していることから、省エネ性の高い機種を中心に、主に住宅設備ルート向けの販売が回復するとともに、売価改善にも取り組み、売上が増加しました。
<情報通信・電子デバイス部門>情報通信・電子デバイス部門では、情報通信システムの販売増により、売上高は332億6百万円(同10.9%増)、営業利益は44億3千3百万円(同145.3%増)となりました。
[情報通信システム]
売上高は、209億5千1百万円(同54.9%増)となりました。
公共システムにおいて、消防の広域化・共同運用事業の本格化や、防災・減災対応のインフラ整備事業に対する補助政策を背景に、消防指令システムおよび消防無線システムを中心に商談案件数が増加しているなか、受注済みシステムの納入が順調に進展するとともに、民需システムの販売増もあり、売上が増加しました。なお、来年度の納入に向けた受注も順調に推移しております。
[電子デバイス]
売上高は、122億5千4百万円(同25.3%減)となりました。
自動車生産の回復に伴い車載カメラの販売は前年度を上回ったものの、産業用ロボット向け電子部品・ユニット製造において、中国における設備投資の停滞で販売が減少したことから、売上が減少しました。
<その他部門>売上高は27億3千1百万円(同3.4%増)、営業利益は5億8千3百万円(同56.5%減)となりました。
②財政状態の状況
Ⅰ 資産、負債および純資産の概況
当連結会計年度末の総資産につきましては、開発・生産設備、基幹システム刷新等のⅠT関連への投資およびノルウェー、ギリシャにおける販売代理店の連結子会社化に伴うのれんの計上などによる増加はありましたが、棚卸資産の圧縮ならびに売上減少に伴う受取手形、売掛金及び契約資産の減少に加え、タイにおける空調機用コンプレッサー工場の持分法適用関連会社からの連結子会社化などに伴う投資有価証券の減少により、前連結会計年度末比227億5千5百万円減少し、2,756億3千4百万円となりました。
負債につきましては、支払手形及び買掛金ならびに短期借入金の減少などにより、前連結会計年度末比297億6千4百万円減少し、1,290億5千4百万円となりました。
純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益の計上があったものの配当金の支払に伴い利益剰余金は減少しましたが、為替換算調整勘定などの増加により、前連結会計年度末比70億8百万円増加し、1,465億7千9百万円となりました。なお、昨年8月に譲渡制限付株式報酬としての新株式を発行したことにより、資本金および資本剰余金がそれぞれ47百万円増加しております。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は5.6%増加し、50.3%(前連結会計年度末は44.7%)となりました。
Ⅱ キャッシュ・フローの概況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、棚卸資産の圧縮などによる運転資本の改善ならびに税金等調整前当期純利益および減価償却費の計上などにより、426億2千4百万円の収入(前連結会計年度は80億4千3百万円の支出)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、開発・生産設備、基幹システム刷新等のⅠT関連への投資およびノルウェー、ギリシャにおける販売代理店ならびにタイにおける空調機用コンプレッサー工場の連結子会社化に伴う株式取得などにより、164億2千9百万円の支出(同84億2千3百万円の支出)となりました。この結果、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローは261億9千5百万円の収入(同164億6千6百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、金融機関への借入金返済および配当金の支払を行ったことなどにより、250億7千7百万円の支出(同193億1千6百万円の収入)となりました。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末比23億2千4百万円増加し、197億1千5百万円となりました。
③生産、受注および販売の実績
Ⅰ 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 空調機(百万円) | 204,850 | △31.5 |
| 情報通信・電子デバイス(百万円) | 29,051 | 11.3 |
| 合計(百万円) | 233,901 | △28.1 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
Ⅱ 受注実績
当社グループ(当社および連結子会社)の製品は、需要予測による見込生産が主体のため、受注実績を記載しておりません。
Ⅲ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 空調機(百万円) | 280,539 | △17.1 |
| 情報通信・電子デバイス(百万円) | 33,206 | 10.9 |
| 報告セグメント計(百万円) | 313,745 | △14.8 |
| その他(百万円) | 2,731 | 3.4 |
| 合計(百万円) | 316,476 | △14.7 |
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.総販売実績に対する割合の10%以上を占める相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
当連結会計年度は、販売面では、国内向け空調機および情報通信システムの売上は増加しましたが、海外向け空調機の減収が大きく、為替を除く売上高は前連結会計年度比18%減となりました。損益面では、コストダウンの進展や素材価格などコスト環境の好転はあったものの、流通在庫圧縮を目的とした海外向け空調機の出荷抑制などの減収影響が大きく、営業利益は57億円と前連結会計年度比94億円(前連結会計年度比62%減)の減益となりました。経常利益は144億円(同18%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は31億円(同65%減)となりました。
なお、当連結会計年度の素材価格および主要通貨の為替レートは記載のとおりであります。

Ⅰ 売上高
当連結会計年度の売上高は3,165億円と前連結会計年度比545億円(同15%減)の減少となりました。
このうち空調機部門では、前連結会計年度に上海市都市封鎖の影響を大きく受けた国内向けの販売は増加しましたが、流通在庫の増加や追加受注の鈍化などにより、海外向けの販売が減少し、売上高は2,806億円と前連結会計年度比578億円(同17%減)の減少となりました。
情報通信・電子デバイス部門では、情報通信システムの販売増により、売上高は332億円と前連結会計年度比32億円(同11%増)の増加となりました。
その他部門の売上高は、27億円と前連結会計年度比1億円(同3%増)の増加となりました。
Ⅱ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は57億円と前連結会計年度比94億円(同62%減)の減益となりました。
空調機部門においては7億円と前連結会計年度比113億円(同94%減)の減益となりました。変動要因は、海外向けの販売物量減少により229億円減益、素材・部品価格や海上運賃の好転の影響で110億円増益、為替影響で18億円増益、事業強化に向けた先行投資費用の増加などにより12億円減益となっております。
情報通信・電子デバイス部門においては情報通信システムの増収影響により、44億円と前連結会計年度比26億円(同145%増)の増益となりました。
その他部門においては6億円と前連結会計年度比7億円(同57%減)の減益となりました。

Ⅲ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は144億円と前連結会計年度比30億円(同18%減)の減益となりました。営業外損益では純額で87億円(益)となり、前連結会計年度比64億円良化いたしました。この主な要因は、円安進行に伴い為替差益が増加したことなどによるものであります。
Ⅳ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の144億円に対して、特別利益として段階取得に係る差益を計上しましたが、特別損失として独禁法関連損失、関係会社清算損、減損損失を計上したことに加え、税金費用ならびに非支配株主に帰属する当期純利益を控除したことから、31億円と前連結会計年度比56億円(同65%減)の減益となりました。
この結果、1株当たり当期純利益は29.29円となり、前連結会計年度比53.75円減少いたしました。
Ⅴ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「3 事業等のリスク」に記載しております。そのなかでも、為替レート、素材・部品価格の市況変動が経営成績に与える影響は直接的であり、かつ、重大なものと認識しております。
為替については、当社グループの海外売上高比率が約74%あり、かつ、主力の空調機セグメントは主に中国・タイの工場で製品を製造しているため、外部および関係会社間の外貨建取引の割合が高くなっていることから、為替レートの変動が急激な場合、当社グループの業績および財務状況に多大な影響を及ぼします。この影響を軽減させるため、グループ各社の仕入通貨と販売通貨をマッチングさせるなど、為替リスクの軽減を図っております。また、外貨建債権債務に対しては、為替予約等によりリスクヘッジを行っております。さらに、グループ各社の為替ポジションを当社財務経理部門で把握しており、為替レートの変動に対して適宜対応できる体制をとっております。
素材・部品については、戦略的提携等を通じて基幹部品の供給確保に努める一方で、調達を外部の取引先に依存しているため、コンプレッサーや電子部品などの調達部材の供給環境が著しく悪化した場合や、銅およびアルミなどの市況が急激に変動した場合には、当社グループの業績および財務状況に多大な影響を及ぼします。この影響を軽減させるため、銅については価格のヘッジ等を行うとともに、部材のマルチソース拡大、設計の標準化、内製化の拡大、調達先との関係強化等によるコスト削減と安定調達に努めております。
上記に加え当社グループは、トータルコストダウンの推進や商品構成の改善などにより、為替レート、素材・部品価格の市況変動に伴う損益影響を極力低減すべく、たゆまぬ努力を重ねてまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況 Ⅱ キャッシュ・フローの概況」に記載のとおりであります。
当社グループにおいては、事業上必要な運転資金および設備投資資金は、利益と資金効率で生み出したキャッシュで賄うことを基本方針としております。その上で、成長投資のための多額のキャッシュが必要となった場合は、銀行借入や社債等の調達手段のなかから、適宜、最適と判断する手段にて調達する方針としております。
当社グループは、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)を資金効率の指標とし、売上債権の圧縮、棚卸資産および買掛債務の適正化を図ることで、自己資金を生み出す力の強化を図っております。
なお、当連結会計年度末における借入金残高は13,573百万円、リース債務を含む有利子負債残高は14,336百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は19,715百万円となっております。
③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産および負債の計上額、ならびに連結損益計算書上の収益および費用の計上額には、過去の情報および将来の予測等をもとに行った合理的な見積りおよびその基礎となる仮定が含まれており、実際の結果は異なる場合があります。
当社グループが連結財務諸表に適用している重要な会計方針等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある見積りを含む会計方針は以下のとおりであります。
Ⅰ 貸倒引当金
売上債権、貸付金等の債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。将来、顧客の財務状況の変化などにより回収不能見込額が変動した場合には、引当金の追加計上または取崩しが必要となる可能性があります。
Ⅱ 製品保証引当金
販売した製品の無償アフターサービス費用に備えるため、経験率および個別見積りに基づき計上しております。経験率の見直しなどにより、引当金の追加計上または取崩しが必要となる可能性があります。
Ⅲ 海外事業等再編引当金
空調機事業強化に向けた各地域の販売体制強化・再構築に係る費用等を合理的に算定し計上しております。海外事業動向の変化および為替レートの変動などにより、引当金の追加計上または取崩しが必要となる可能性があります。
Ⅳ 独禁法関連引当金
独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令に関連して将来発生の可能性が高い支払いに備えるため、損失見込額を合理的に算定し計上しております。本件につきましては、今後の状況変化などにより、引当金の追加計上または取崩しが必要となる可能性があります。
Ⅴ 退職給付費用および債務
従業員の退職給付に備えるため、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、昇給率、年金資産の長期期待運用収益率などが含まれており、実際の給付が前提条件と異なる場合または前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用および債務に影響を与える可能性があります。
Ⅵ 繰延税金資産
将来の課税所得の十分性およびタックスプランニングをもとに、回収可能性があると判断した金額を計上しております。経済環境および経営状況などの変化により、回収可能性の評価時に使用した将来の利益計画およびタックスプランニングを変更する必要が生じた場合、繰延税金資産の金額が増減する可能性があります。
Ⅶ のれんの評価
各連結会計年度において、減損の兆候の有無を把握し、減損の兆候があると判断したのれんについては、経営者が承認した将来事業計画の割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回った場合に減損損失を認識しております。
減損損失の測定に使用する回収可能価額は、同様に経営者が承認した将来事業計画を基礎とした将来見積キャッシュ・フロー等に基づき算定しております。
これらに使用する事業計画等の仮定は、使用する時点において入手可能な情報に基づく最善の見積りと判断により策定しておりますが、将来の事業環境の変化等の影響により見直しが必要となった場合には、減損損失が発生し、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。