有価証券報告書-第119期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

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2020/03/27 15:12
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャ
ッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済を見ますと、米国の経済は、製造業で減速傾向が見られましたが、良好な雇用環境と金融政策の転換を背景に、個人消費が底堅く推移し成長が続きました。欧州の経済は、輸出の低迷が続く中、英国のEU離脱を巡る懸念もあり、景気は弱含みました。中国の経済は、年末に米中貿易協議の第1段階合意に至ったものの貿易摩擦の長期化の影響を受けて、輸出や設備投資が減少し、成長率が低下しました。また、その他の新興国については、外需が振るわなかったことや資源価格の低迷などにより、成長は鈍化しました。わが国の経済は、良好な雇用情勢が続いたものの、外需の伸び悩みから製造業の生産活動が落ち込み、景気の回復は緩やかなものとなりました。こうした状況により、世界経済全体では、景気の減速が続きました。
このような状況の中、当社関連市場においては、オフィス向け複合機は、カラー機が堅調だったもののモノクロ機は減少して全体では前期並みとなり、レーザープリンターは中国などで景気減速の影響を受け需要が減少しました。カメラの市場は縮小が続き、インクジェットプリンターは、先進国での縮小が続くとともに景気減速の影響を受けて新興国でも停滞しました。一方、医療機器は、わが国の需要は回復傾向が続きましたが、海外では一部新興国において通貨の下落や景気減速の影響を受けた事もあり、前期並みとなりました。産業機器の市場は顧客の設備投資の調整局面が続きましたが、ネットワークカメラについては引き続き拡大しました。
当連結会計年度の平均為替レートにつきましては、米ドルが前期比で約1円円高の109.03円、ユーロが前期比で約8円円高の122.03円となりました。
当連結会計年度末における総資産は、現金及び現金同等物や売上債権が減少したことなどにより、前連結会計年度末から1,311億円減少して4兆7,684億円となりました。負債は、買入債務並びに未払法人税等などが減少したことにより、前連結会計年度末から51億円減少して1兆8,764億円となりました。純資産は、当社株主への配当及び自己株式の取得や円高によるその他の包括損失累計額の増加などにより、前連結会計年度末から1,260億円減少して2兆8,919億円となりました。
当連結会計年度は、オフィス向け複合機は、モノクロ機は減少しましたが、カラー機は市場を上回って伸長し、全体の販売台数は前期から微増となりました。レーザープリンターは新製品が堅調でしたが、低速機の販売が伸び悩み、販売台数は前期を下回りました。レンズ交換式デジタルカメラは、トップシェアを堅持しましたが、市場の縮小が継続し、販売台数は前期を下回りました。インクジェットプリンターは、大容量インクモデルが販売を伸ばしましたが、全体の販売台数は前期を下回りました。医療機器は、製品ラインアップを強化したことにより国内は堅調に推移しましたが、海外の第1四半期の減速もあり、売上は前期から微増に留まりました。産業機器では、半導体メモリーや中小型パネルへの投資が抑制されて、露光装置や有機ELディスプレイ製造装置の売上は前期を下回りました。一方、多様な用途への展開が進むネットワークカメラは順調に売上を伸ばしました。この結果、これらを合計した当期の売上高は、前期比9.1%減の3兆5,933億円となりました。売上総利益率は、前期を1.6ポイント下回る44.8%となりました。営業費用は為替の影響に加え、経費の効率的な運用を全社的に推進した結果、前期比3.8%減の1兆4,354億円となりました。その結果、営業利益は前期比49.1%減の1,747億円となりました。営業外収益及び費用は為替差損益などにより前期比で11億円好転し、税引前当期純利益は前期比46.1%減の1,957億円、当社株主に帰属する当期純利益は前期比50.5%減の1,251億円となりました。
基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べ117円16銭減の116円93銭となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
オフィスビジネスユニットでは、オフィス向け複合機は、新興国の景気減速の影響などによりモノクロ機は減少しましたが、セキュリティ機能を強化した次世代カラー新製品が好調に推移し、またプロダクション市場向けでも、コンパクトかつ高速・大量印刷を可能にした新製品が順調に伸びた結果、全体の販売台数は前期から微増となりました。レーザープリンターは、省電力・小型化に加えて高い生産性を追求した新製品が堅調に推移しましたが、景気の減速が続いた中国において低速機の販売が減少したことなどにより、本体の販売台数は前期を下回りました。また、消耗品については欧州の景気減速などの影響もあり減収となりました。これらの結果、当ユニットの売上高は、前期比5.8%減の1兆7,026億円となり、税引前当期純利益は前期比23.9%減の1,743億円となりました。
イメージングシステムビジネスユニットでは、レンズ交換式デジタルカメラは、ハイアマチュア向け一眼レフの新製品が堅調に推移し、市場の成長が続くフルサイズミラーレスカメラにおいては前年下期から年初にかけて投入した新製品が販売に寄与しました。しかしながら、エントリーモデルを中心に市場の縮小が続き、全体の販売台数は前期を下回りました。インクジェットプリンターは、大容量インクモデルについてラインアップの拡充に努めましたが、景気減速の影響を受けて新興国で伸び悩み、全体の販売台数は前期を下回りました。これらの結果、当ユニットの売上高は、前期比16.8%減の8,074億円となり、税引前当期純利益は前期比62.1%減の497億円となりました。
メディカルシステムビジネスユニットでは、これまでに投入してきた一連の新製品により、需要の回復がみられた国内では販売を伸ばしましたが、欧州では第1四半期の販売が伸び悩みました。この結果、当ユニットの売上高は前期比0.2%増の4,385億円となりましたが、税引前当期純利益は主に為替の影響により前期比7.4%減の273億円となりました。
産業機器その他ビジネスユニットでは、半導体露光装置は、IoT関連の半導体デバイス向け投資は堅調であったものの、メモリー市況の悪化影響によりメモリー向け投資が抑制されました。また、FPD露光装置・有機ELディスプレイ製造装置についても中小型パネルへの投資が調整局面を迎えた結果、売上は前期を下回りました。一方、ネットワークカメラについては、用途の多様化と更新需要を背景に市場の拡大が継続し、アクシス社が伸長するとともに、関連するソフトウェアも寄与して増収となりました。これらの結果、当ユニットの売上高は、前期比12.5%減の7,379億円となり、税引前当期純利益は前期比73.1%減の156億円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、為替変動の影響分を合わせて、前連結会計年度末から1,078億円減少して4,128億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
たな卸資産の削減などにより運転資金の圧縮を進めましたが、一方で前連結会計年度より減益となったため、前
連結会計年度比で68億円減少し、3,585億円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
固定資産購入額が増加したことなどにより、前連結会計年度から330億円増加し、2,286億円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払いや自己株式の購入などにより、2,326億円の支出となりました。
また、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除した、いわゆるフリーキャッシュ・フローは、前連結会計年度から398億円減少し、1,299億円の収入となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)
オフィス1,336,15391.8
イメージングシステム784,75578.2
メディカルシステム450,605100.0
産業機器その他409,51777.5
合計2,981,03086.7

(注)1. 金額は、販売価格によって算定しております。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当グループの生産は、当社と販売各社との間で行う需要予測を考慮した見込み生産を主体としておりますので、販売高のうち受注生産高が占める割合はきわめて僅少であります。従って受注実績の記載は行っておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)
オフィス1,702,59594.2
イメージングシステム807,41483.2
メディカルシステム438,525100.2
産業機器その他737,94587.5
消去△93,180
合計3,593,29990.9

(注)1. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2. 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとお
りであります。
相手先第118期
(2018年1月1日から
2018年12月31日まで)
第119期
(2019年1月1日から
2019年12月31日まで)
販売高
(百万円)
割合(%)販売高
(百万円)
割合(%)
HP Inc.537,49213.6466,57613.0

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年3月27日)現在において判断しております。
はじめに
当社は、複写機、複合機、レーザープリンター、カメラ、インクジェットプリンター、診断機器、半導体露光装置及びFPD露光装置を世界的に事業展開する企業グループであります。また、企業の成長と発展を果たすことにより、世界の繁栄と人類の幸福に貢献することを、経営指針としております。
①主要業績評価指標
当社の事業経営に用いられる主要業績評価指標(Key Performance Indicators。以下「KPI」という。)は以下のとおりであります。
(収益及び利益率)
当社は、真のグローバル・エクセレント・カンパニーを目指し邁進しておりますが、経営において重点を置いている指標の1つに収益が挙げられます。以下は経営者が重要だと捉えている収益に関連したKPIであります。
売上高はKPIの1つと考えております。当社は主に製品、またそれに関連したサービスから売上を計上しています。売上高は、当社製品への需要、会計期間内における取引の数量や規模、新製品の評判、また販売価格の変動といった要因によって変化し、その他にも市場でのシェア、市場環境等も売上高を変化させる要因です。さらに製品グループ別の売上高は売上の中でも重要な指標の1つであり、市場のトレンドに当社の経営が対応しているかというような内容を測定するための目安となります。
売上高総利益率は収益性を測るもう1つのKPIです。当社は開発革新活動を通して、より早く新製品を投入することで、値崩れせず価格面での競争力を保持できるよう、製品開発におけるリードタイムの短縮を図ってきました。さらに、生産革新活動を通して、コストダウンの成果も挙げてきました。こうした成果が当社の売上高総利益率の改善に繋がってきており、今後も開発革新、生産革新といった活動を推進してまいります。
営業利益率、税引前当期純利益率及び売上高研究開発費比率も当社のKPIとして考えており、これらについて当社は2つの面からの方策をとっております。1つは、販売費及び一般管理費そのものを統制し低減に努めていること、もう1つは将来の利益を生み出す技術に対する研究開発費を一定の水準に維持していくことです。現在の市場における優位性を保持しつつ、他市場における可能性も開拓していくために必要なことであり、そうした投資が将来の事業の成功の基盤となります。
(キャッシュ・フロー経営)
当社はキャッシュ・フロー経営にも重点を置いております。以下の指標は、経営者が重要だと捉えているキャッシュ・フロー経営に関連したKPIです。
たな卸資産回転日数はKPIの1つであり、サプライチェーン・マネジメントの成果を測る目安となります。たな卸資産は陳腐化及び劣化する等のリスクを内在しており、その資産価値が著しく下がることで、当社の業績に悪影響を及ぼすこともありえます。こうしたリスクを軽減するためには、サプライチェーン・マネジメントの強化により、たな卸資産の圧縮及び製品コスト等の回収を早期化させるために生産リードタイムを短縮させ、一方で販売の機会損失を防ぐため適正水準の製品在庫を保持していく活動の継続が重要であると考えられます。
また有利子負債依存度も当社のKPIの1つであります。当社のような製造業では、開発、生産、販売等のプロセスを経て、事業が実を結ぶまでには、一般に長い期間を要するため、堅固な財務体質を構築することは重要なことであると考えます。今後も当社は主に通常の営業活動からのキャッシュ・フローで、流動性や設備投資に対応してまいります。
総資産に占める株主資本の割合を示す株主資本比率も、当社におけるKPIの1つとしております。株主資本を潤沢に持つことは、長期的な視点に立って高水準の投資を継続することにつながり、短期的な業績悪化にも揺るがない事業運営を可能にします。特に、研究開発に重点を置く当社にとっては、財務の安全性を確保することは、非常に重要なことであると考えられます。
②重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた会計原則に基づいて作成されております。また当社は、連結財務諸表を作成するために、種々の見積りと仮定を行っております。これらの見積り及び仮定は将来の市場状況、売上増加率、利益率、割引率等の見積り及び仮定を含んでおります。当社は、これらの見積り及び仮定は合理的であると考えておりますが、実際の業績は異なる可能性があります。それらは連結財務諸表上の資産、負債、収益、費用の計上金額及び偶発資産・偶発債務の開示情報に影響を及ぼします。その内容は「注記事項」に記載しておりますが、中でも連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられるものは、以下のとおりであります。
a.長期性資産の減損
基準書360「有形固定資産」に準拠し、有形固定資産や償却対象の無形固定資産などの長期性資産は、帳簿価額が回収できないという事象や状況の変化が生じた場合に、減損に関する検討を実施しております。帳簿価額が割引前将来見積キャッシュ・フローを上回っていた場合には、帳簿価額が公正価値を超過する金額について減損を認識しております。公正価値の決定は、見積り及び仮定に基づいて行っております。
b.有形固定資産
有形固定資産は取得原価により計上しております。減価償却方法は、定額法で償却している一部の資産を除き、定率法を適用しております。
c.企業結合
企業買収は取得法で処理しております。取得法では、取得した全ての有形及び無形資産並びに引き継いだ全ての負債を、支配獲得日における公正価値に基づき認識及び測定します。公正価値の決定には、将来キャッシュ・フローの予測、割引率、資本収益率、及びその他の利用可能な市場データに基づく見積りなどの、重要な判断や見積りを伴います。また、将来キャッシュ・フローの予測は、被買収会社の実績や、過去及び将来に想定される趨勢、市場や経済状況などの多くの要素に基づいております。
d.のれん及びその他の無形固定資産
のれん及び耐用年数が確定できないその他の無形固定資産は償却を行わず、代わりに毎年第4四半期に、または潜在的な減損の兆候があればより頻繁に減損テストを行っております。全てののれんは、企業結合のシナジー効果から便益を享受する報告単位に配分されます。報告単位の公正価値が、当該報告単位に割り当てられた帳簿価額を下回る場合には、当該差額をその報告単位に配分されたのれんの帳簿価額を限度とし、のれんの減損損失として認識しております。報告単位の公正価値は、主として割引キャッシュ・フロー分析に基づいて決定されており、将来キャッシュ・フロー及び割引率等の見積りを伴います。将来キャッシュ・フローの見積りは、主として将来の成長率に関する当社の予測に基づいております。割引率の見積りは、主として関連する市場及び産業データ並びに特定のリスク要因を考慮した、加重平均資本コストに基づいて決定しております。2018年第4四半期及び2019年第4四半期に行った減損テストの結果、個々の報告単位の公正価値は帳簿価額を超過しており、減損が見込まれる報告単位はありません。しかし、第117期に減損損失を33,912百万円認識したオフィスビジネスユニットに含まれる商業印刷事業に帰属するのれん、及びメディカルシステムビジネスユニットに帰属するのれんについては、公正価値が帳簿価格を超過する割合が他の報告単位と比べて低くなっており、これらの事業の将来キャッシュ・フローが想定よりも減少した場合、減損損失を認識する可能性があります。なお、当該事業に帰属するのれんの帳簿価額はそれぞれ27,205百万円、508,907百万円となっております。
耐用年数の見積りが可能な無形固定資産は、主としてソフトウェア、商標、特許権及び技術資産、ライセンス料、顧客関係であります。なお、ソフトウェアは主として3年から8年で、商標は15年で、特許権及び技術資産は7年から17年で、ライセンス料は7年で、顧客関係は8年から15年で定額償却しております。
e.法人税等の不確実性
当社は、法人税等の不確実性の評価及び見積りにおいて多くの要素を考慮しており、それらの要素には、税務当局との解決の金額及び可能性、並びに税法上の技術的な解釈を含んでおります。不確実性に関する実際の解決が見積りと異なるのは不可避的であり、そのような差異が連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
f.繰延税金資産の評価
当社は、繰延税金資産に対して定期的に実現可能性の評価を行っております。繰延税金資産の実現は、主に将来の課税所得の予測によるところが大きく、課税所得の予測は将来の市場動向や当社の事業活動が順調に継続すること、その他の要因により変化します。課税所得の予測に影響を与える要因が変化した場合には評価性引当金の設定が必要な場合があり、当社では繰延税金資産の実現可能性がないと判断した際には、繰延税金資産を修正し、損益計算書上の法人税等に繰り入れ、当期純利益が減少いたします。
g.未払退職及び年金費用
未払退職及び年金費用は数理計算によって認識しており、その計算には前提条件として基礎率を用いています。割引率、期待運用収益率といった基礎率については、市場金利などの実際の経済状況を踏まえて設定しております。その他の基礎率としては、昇給率、死亡率などがあります。これらの基礎率の変更により、将来の退職及び年金費用が影響を受ける可能性があります。
基礎率と実際の結果が異なる場合は、その差異が累積され将来期間にわたって償却されます。これにより実際の結果は、通常、将来の年金費用に影響を与えます。当社はこれらの基礎率が適切であると考えておりますが、実際の結果との差異は将来の年金費用に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度の連結財務諸表の作成においては、給付債務の計算に使用する割引率には国内制度、海外制度ではそれぞれ加重平均後で0.5%、1.6%を、長期期待収益率には国内制度、海外制度ではそれぞれ加重平均後で3.0%、5.2%を使用しております。割引率を設定するにあたっては、現在利用可能で、かつ、年金受給が満期となる間に利用可能と予想される高格付けで確定利付の公社債の収益率に関し利用可能な情報を参考に決定しております。また長期期待収益率の設定にあたっては、年金資産が構成される資産カテゴリー別の過去の実績及び将来の期待に基づいて収益率を決定しております。
割引率の低下(上昇)は、勤務費用及び数理計算上の差異の償却額を増加(減少)させるとともに、利息費用を減少(増加)させます。割引率が0.5%低下した場合、予測給付債務は約976億円増加します。
長期期待収益率の低下(上昇)は、期待運用収益を減少(増加)させ、かつ数理計算上の差異の償却額を増加(減少)させるため、期間純年金費用を増加(減少)させます。長期期待収益率が0.5%低下した場合、翌連結会計年度の期間純年金費用は約50億円増加します。
これにより年金制度の積立状況(すなわち、年金資産の公正価値と退職給付債務の差額)を連結貸借対照表で認識しており、対応する調整を税効果調整後で、その他の包括利益(損失)累計額に計上しております。
h.新会計基準
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 注1 (24)新会計基準」に記載のとおりであります。
③当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.売上高
当連結会計年度は、世界経済は総じて景気減速が続きました。こうした中、新製品の拡販に努めたものの、市場縮小及び為替レートの変動の影響を受け、売上高は前連結会計年度比9.1%減の3兆5,933億円となりました。製品売上高及びサービス売上高は前連結会計年度比でそれぞれ、11.2%減の2兆8,354億円、0.1%増の7,579億円となりました。
当連結会計年度の海外での売上高は、連結売上高の75.7%を占めます。海外での売上高の計算は、円と外貨の為替レートの変動に影響されます。製品の現地生産及び海外からの部品や材料調達等によりその影響を抑えておりますが、為替レートの変動は当社の経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
当連結会計年度の米ドル及びユーロの平均為替レートはそれぞれ109.03円及び122.03円と、前連結会計年度に比べて米ドルは約1円円高、ユーロは約8円円高で推移しました。米ドルとの為替レートの変動により約198億円の売上高減少、ユーロとの変動で約524億円の売上高減少、その他の通貨との変動で約185億円の売上高減少影響がありました。その結果、当連結会計年度の為替による売上高の減少影響は約907億円となりました。
b.売上原価
売上原価は、主として原材料費、購入部品費、工場の人件費から構成されます。原材料費のうち海外調達される原材料については、海外の市場価格や為替レートの変動による影響を受け、当社の売上原価に影響を与えます。売上原価にはこれらの他に有形固定資産の減価償却費、修繕費、光熱費、賃借料などが含まれております。売上高に対する売上原価の比率は、当連結会計年度55.2%、前連結会計年度53.6%となりました。
c.売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度と比べ12.3%減少の1兆6,100億円となりました。また売上総利益率は、前連結会計年度より1.6ポイント悪化し44.8%となりました。売上総利益及び売上総利益率の減少は、売上の減少、ドル及びユーロの円高影響などによるものです。
d.営業費用
営業費用は、主に人件費、研究開発費、広告宣伝費であります。営業費用は、経費の効率的な運用を全社的に推進した結果、前連結会計年度比3.8%減少し1兆4,354億円となりました。
e.営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度比49.1%減少の1,747億円でありました。営業利益率は3.8ポイント悪化して4.9%となりました。
f.営業外収益及び費用
当連結会計年度の営業外収益及び費用は、為替差損の減少などにより、前連結会計年度から11億円好転し、211億円の収益となりました。
g.税引前当期純利益
当連結会計年度の税引前当期純利益は1,957億円で、前連結会計年度比46.1%の減益となりました。また、売上高に対する比率は5.4%でした。
h.法人税等
当連結会計年度の法人税等は399億円減少し、実効税率は28.7%でした。実効税率が日本の法定実効税率を下回っているのは、主に試験研究費の税額控除のためです。
i.当社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比50.5%の減益である1,251億円となりました。また、売上高当期純利益率は3.5%となりました。
④海外事業と外国通貨による取引
当社の販売活動は様々な地域で現地通貨により行っている一方、売上原価は円の占める割合が比較的高くなっております。当社の現在の事業構造を鑑みると、円高影響は売上高や売上高総利益率に対してマイナス要因となります。こうした為替相場の変動による財務リスクを軽減することを目的に、当社は為替先物契約を主とした金融派生商品を利用した取引を実施しております。
海外における売上高利益率は、主に販売活動を中心としているため、国内の売上高利益率と比較すると低くなっております。一般的に販売活動は、当社が行っている生産活動ほど収益性は高くありません。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 注22 セグメント情報」に記載しております。
⑤流動性と資金源泉
a.現金及び現金同等物
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度から1,078億円減少して、4,128億円となりました。
当社の現金及び現金同等物は主に円と米ドルを中心としておりますが、その他の外貨でも保有しております。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、たな卸資産の削減などにより運転資金の圧縮を進めましたが、一方で前連結会計年度より減益となったため、前連結会計年度に比べて68億円減少し、3,585億円の収入となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、主に顧客からの現金受取によるキャッシュ・イン・フローと、部品や材料、販売費及び一般管理費、研究開発費、法人税の支払いによるキャッシュ・アウト・フローとなっております。
当連結会計年度におけるキャッシュ・イン・フローの減少は、主に売上高の減少に伴い、顧客からの現金回収が減少したことによるものです。当社の回収率に重要な変化はありません。また部品や材料の支払いといったキャッシュ・アウト・フローの減少は、在庫水準の低減に努めたことなどによるものです。法人税の支払いによるキャッシュ・アウト・フローの減少は、前連結会計年度の課税所得の減少によるものです。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産取得額が増加したこと等により、前連結会計年度より330億円増加し2,286億円の支出となりました。
当社は、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除した純額をフリーキャッシュ・フローと定義しており、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フローは、前連結会計年度の1,697億円から、398億円減少し、1,299億円の収入となりました。
当社は、キャッシュ・フロー経営に重点を置いているため、フリーキャッシュ・フローを常時モニタリングしております。フリーキャッシュ・フローは当社の現在の流動性や財務活動の使途を理解する上で重要であり、また投資家の理解のためにも有用であると考えております。当社は資金の調達源泉を明らかにするために、米国において一般に公正妥当と認められた会計原則による連結キャッシュ・フロー計算書や連結貸借対照表と併せて、米国会計基準以外の財務諸表(Non-GAAP財務諸表)である、フリーキャッシュ・フローを分析しております。なお、最も直接的に比較可能な米国会計原則に基づき作成された指標とフリーキャッシュ・フローの照合調整表は以下のとおりです。
(単位 億円)

第119期
営業活動によるキャッシュ・フロー3,585
投資活動によるキャッシュ・フロー△2,286
フリーキャッシュ・フロー1,299

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、1,715億円の配当金支払いと500億円の自己株式の購入により2,326億円の支出となりました。なお、当連結会計年度の1株当たりの配当は、160.00円の配当を実施しました。
当社は、流動性や必要資本を満たすため、増資、社債発行、借入といった外部からの様々な資金調達方法をとることが可能です。当社は、これまでどおりの資金調達や資本市場からの資金調達が可能であり、また将来においても可能であり続けると認識しておりますが、経済情勢の急激な悪化やその他状況によっては、当社の流動性や将来における長期の資金調達に影響を与える可能性があります。
短期借入金(1年以内に返済する長期債務を含む)は前連結会計年度末の385億円から35億円増加し、当連結会計年度末には420億円となりました。長期債務(1年以内に返済する長期債務は除く)は前連結会計年度末の3,620億円から長期債務の返済により46億円減少し、当連結会計年度末には3,573億円となりました。
当社の固定債務は、主に銀行借入とリース債務によって構成されています。
当社は、グローバルな資本市場から資金調達をするために、ムーディーズ・インベスターズ・サービスとスタンダード&プアーズの2つの格付機関から信用格付を得ております。それに加えて、当社は日本の資本市場からも資金調達するために、日本の格付会社である格付投資情報センターからも信用格付を得ております。2020年2月29日現在、当社の負債格付は、ムーディーズ・インべスターズ・サービス:A3(長期);スタンダード&プアーズ:A+(長期)、A-1(短期);格付投資情報センター:AA+(長期)であります。当社では、現時点で負債の返済を早めるような格付低下の要因は発生しておりません。当社の信用格付が下がる場合は、借入れコストの増加につながります。
b.在庫の適正化
当社の最新の在庫水準の最適化の方針は、運転資金を最小化し、在庫の陳腐化のリスクを避け、一方で予期せぬ天災発生時でも販売活動を継続できるようにするため、適切なバランスを維持していくことであります。当社の在庫回転日数は、当連結会計年度、前連結会計年度末時点でそれぞれ、59日、56日となりました。在庫回転日数増加の主な要因は売上の減少であります。
c.設備投資
当連結会計年度における設備投資は、前連結会計年度の1,593億円から188億円増加し、1,781億円になりました。翌連結会計年度につきましては、当社の設備投資は1,600億円の見込みであります。
d.退職給付債務への事業主拠出
当社の確定給付型年金への拠出額は、当連結会計年度304億円、前連結会計年度350億円であり、確定拠出型年金への拠出額は、当連結会計年度174億円、前連結会計年度196億円であります。また、一部の子会社が加入している複数事業主制度への拠出額は、当連結会計年度43億円、前連結会計年度45億円であります。
e.運転資本
当連結会計年度における運転資本(流動資産から流動負債を控除した額)は、前連結会計年度の1兆205億円から1,350億円減少し、8,855億円になりました。当社の運転資本は、予測できる将来需要に対して十分であると認識しております。当社の必要資本は、設備投資に関わる支出の水準及び時期といった全社的な事業計画に基づいております。流動比率(流動負債に対する流動資産の割合)は当連結会計年度は1.92、前連結会計年度は1.99であります。
f.総資本当社株主に帰属する当期純利益率
総資本利益率(当社株主に帰属する当期純利益を前年度末及び当年度末の総資産平均で除した割合)は、当連結会計年度では2.6%、前連結会計年度は5.0%であります。
g.株主資本当社株主に帰属する当期純利益率
株主資本利益率(当社株主に帰属する当期純利益を前年度末及び当年度末の株主資本平均で除した割合)は、当連結会計年度は4.5%となり、前連結会計年度の8.9%から減少いたしました。
h.有利子負債依存度
当連結会計年度における短期借入金、短期オペレーティングリース負債、長期借入金、及び長期オペレーティングリース負債は、前連結会計年度末の4,005億円より1,144億円増加し5,149億円となり、有利子負債依存度(総資産に対する有利子負債の割合)で表すと10.8%になります。前連結会計年度の有利子負債依存度は8.2%でした。なお、当連結会計年度より基準書2016-02「リース」の適用に基づき、有利子負債に短期、及び長期オペレーティングリース負債を含めております。当該会計基準変更の詳細に関しては注1(24)に記載しておりま
す。
i.株主資本比率
株主資本比率(株主資本を総資産で除した割合)は、当連結会計年度は56.5%となり、前連結会計年度の57.7%から減少いたしました。なお、当連結会計年度より基準書2016-02「リース」の適用に基づき、オペレーティングリース使用権資産を計上しており、株主資本比率が減少しております。当該会計基準変更の詳
細に関しては注1(24)に記載しております。
⑥研究開発及び特許
当社は、2016年から5ヶ年計画「グローバル優良企業グループ構想フェーズⅤ」をスタートさせました。本フェーズにおいては、「戦略的大転換を果たし、新たな成長に挑戦する」をスローガンに、研究開発にかかわる重要戦略としては「原価率45%を実現する新生産システムの確立」、「新規事業の強化拡大と将来事業の創出」及び「オープンイノベーションによる研究開発力の強化」を掲げております。 「原価率45%を実現する新生産システムの確立」においては、開発・調達・生産・製造が一体となった日本のマザー工場機能を強化するとともに、ロボットの高精度化やIoT・ビッグデータ・AIなどの次世代技術の導入による生産技術の高度化を進め、トータルコストダウンを追及していきます。「新規事業の強化拡大と将来事業の創出」においては、現行事業の横展開による関連多角化の強化として、従来とは異なる分野における当社技術の応用可能性を探り、新たな事業の創出・拡大を図ります。また、商業印刷、ネットワークカメラ、ヘルスケアなど将来有望な分野に重点的に開発投資を行い、補強的なM&Aも駆使して事業の早期拡大を図ります。「オープンイノベーションによる研究開発力の強化」においては、より開かれた研究開発体制を構築し、広く世界から最先端技術情報を取り入れて、開発のスピードアップや効果的な成果につなげます。特に基礎研究の分野について、国内外の大学や研究機関、スタートアップとも広く連携し、共同研究・委託研究を推進します。 ボストンに拠点を置くヘルスケアオプティクスリサーチラボラトリーにおいては、マサチューセッツ総合病院及びブリガム・アンド・ウィメンズ病院と連携し、超小型ファイバー内視鏡や画像誘導ナビゲーションソフトと穿刺ロボットで構成される穿刺補助システムなどの製品化に向けた開発を進めています。CMSCにおいては、AI技術の一つであるディープラーニングのMRI撮像への適応に関して、熊本大学及びボルドー大学との共同研究を進めています。また、キヤノングループと京都大学iPS細胞研究所は高品質な自己由来iPS細胞の実現に向けた共同研究を開始しました。 開発効率の向上に向けては、光学設計を含めた画像形成プロセスの一貫シミュレーションシステムや、製品作動音解析、熱気流解析などのシミュレーションシステムを開発し、これらのシミュレーターによって製品開発期間の短縮及び試作台数、開発費用の削減を実現しております。
研究開発費は、当連結会計年度2,985億円、前連結会計年度3,158億円でした。売上高研究開発費比率は、当連結会計年度8.3%、前連結会計年度8.0%でした。
当社は、強い特許ポートフォリオに守られた製品は他社の追随を容易に許さず、市場や業界における標準化活動などでも中心的な役割を果たせるとの認識をもっております。IFI CLAIMS® Patent Servicesが発表した2019年の米国特許取得件数ランキングにおいて、当社は第3位となりました。
⑦トレンド情報
当社は、オフィス、イメージングシステム、メディカルシステム、産業機器その他の分野において、開発、生産から販売、サービスにわたる事業活動を営んでおります。
オフィスビジネスユニット
当社は、パーソナル向け、オフィス向け、さらにプロダクションプリント向けのプリンター、複写機、複合機の、開発・製造・販売及びメンテナンス、アフターサービスを行っております。また、ソフトウェア及びサービス、ソリューションビジネスを通して顧客に付加価値を提供しております。当社の製品はSOHO、中堅・中小企業から大企業及びプロダクションプリントのプロフェッショナルに至るまで、幅広い分野を網羅しております。近年の複写機業界では、ユーザーの志向がモノクロからカラー製品に、またハードウェアからサービスとソリューションにシフトしてきております。特にプロダクション印刷市場では、短納期、オンデマンド印刷やバリアブルデータ印刷への需要がますます強まっております。またコネクティビティ、セキュリティ、モバイル対応、システム・インテグレーション、ビジネスワークフロー、クラウドを利用したウェブサービスなどの高い付加価値の提供が重要となっております。これらの付加価値要素を複合機などのハードウェアと合わせて、お客様にソリューションとして提供することが求められております。2019年に当社は、オフィス向け複合機「imageRUNNER ADVANCE Gen3 3rd Edition」を発売いたしました。また、クラウドにつながることで複合機の機能を拡張するサービスとして、「uniFLOW Online」を提供しております。クラウドサービスとの連携とセキュリティの強化を中心に機能を向上させ主力製品を一新しました。市場動向に沿って、今後もさらなる競争力の維持及び向上に向けて、ますます高度化する顧客の需要に応えるべく、製品群のさらなる充実とソリューション対応力の強化を図るとともに、販売力の強化に努めてまいります。
レーザープリンターについては、より付加価値の高い中高速機、特に複合機の拡販に注力し、販売数量及び市場シェアの拡大を果たしました。一方、スマートフォン、クラウド環境の普及等でユーザーのプリントスタイルが変化する中、プリント需要の減少による市場全体の成長鈍化が懸念されているのに加え、競合メーカー各社の攻勢による競争の激化とそれに伴うプリンタ本体/消耗品CRGの著しい価格下落は大きな脅威となっております。そのような環境下において、弊社は各種の技術的イノベーションにより、顧客との一定期間にわたる契約型ビジネスを推進するなどの競争力強化をはかり、数量・シェア拡大モメンタムの加速をはかっていきます。加えて、一層のコストダウン、サプライチェーンの最適化を通じた事業効率の最大化を目指してまいります。
イメージングシステムビジネスユニット
当社は、デジタルカメラと同様に、レンズや様々な関連アクセサリーを製造、販売しております。レンズ交換式デジタルカメラでは、新マウント採用の小型・軽量なフルサイズミラーレスカメラ「EOS RP」やスマートフォンとの連携を強化し撮影初心者でも使いやすい操作性を実現した「EOS M200」をはじめ、新製品6機種を投入し成長領域であるミラーレスカメラを含めたラインアップの更なる強化/拡充を図ってまいりました。その結果、ミラーレスカメラ市場では確実に販売シェアは上昇しており、レンズ交換式デジタルカメラ全体でも、米国、欧州、中国、日本といった主要地域において引き続き1位を獲得しております。
レンズ交換式デジタルカメラにおいては、撮影領域のより一層の拡大を目指し、更なる高画質化、小型・軽量化、動画機能/ネットワーク機能の充実など、最先端の技術をベースとした新しい製品を提供することにより、今後も成長を目指してまいります。
レンズ交換式デジタルカメラ用交換レンズでは、フルサイズミラーレス用の専用レンズであるRFレンズを6機種投入し、ラインナップを拡充いたしました。RFレンズは、大口径マウントを採用し、バックフォーカスを短くすることで、レンズ設計の自由度が格段に上がり、光学性能が大幅に向上しております。当社は、優れた光学技術力、新規要素技術開発を基に開発された高性能、高品質のレンズを市場に投入することで、お客様の期待に応えてまいります。
コンパクトデジタルカメラ市場は全体としては縮小傾向にあるものの、当社は堅調に推移しているプレミアムカテゴリーにおいて、2019年に新製品2機種を投入いたしました。引き続きプレミアムラインを強化し、収益性の向上を図ってまいります。
コンパクトフォトプリンターでは、スマートデバイスからのフォトプリント需要が拡大しており、当社販売は好調に推移しております。「SELPHY」は、簡単な操作性・優れた携帯性・高画質プリントという強みを持ち合わせ、各地域で高いプレゼンスを維持しております。2018年にはプリントを手軽に楽しめるスマートフォン専用ミニフォトプリンター「iNSPic PV-123」を投入し好調に推移しています。今後更に新規需要を開拓し、市場を牽引してまいります。
インクジェットプリンターは、技術の進化とともに、家庭用のみならず、ポスター印刷などの商業用、オフィスのビジネスプリンター、さらにはプロフェッショナルが求める高画質な写真印刷まで、幅広い分野で使われるようになってきております。
当社は高画質と高速印刷を同時に実現できる高密度プリントヘッド技術「FINE」(Full-photolithography Inkjet Nozzle Engineering )をコア技術として、これらのニーズ全てに応える幅広いラインアップを揃えております。家庭用では、本体の小型化、高級感のあるデザイン、クラウドやスマートフォン、タブレットPCとの連携を強めるCanon PRINT Inkjetといったソリューションの提供、便利な前面・背面双方からの給紙機構の採用、より大きく見やすい液晶タッチパネルの搭載といった機能やサービスの充実により、ユーザーの使いやすさと満足度の向上を図っております。
また2016年からは、内蔵インクタンクにより高生産性と低ランニングコストを実現した大容量インクタンクモデルを、主に新興国市場のビジネスユース向けに投入しております。
大判インクジェットプリンターは、プロフェッショナルのあらゆる高度な写真及びグラフィック印刷ニーズに応えるべく、新顔料インクとクロマオプティマイザーによる12色「LUCIA PROインク」や新画像処理エンジン「L-COA PRO」を搭載し、色の再現性や暗部領域での表現力を大幅に向上させました。グラフィック製品ラインナップも、A2サイズ対応「imagePROGRAF PRO-1000」から、プロのニーズに応えるべく機能性と生産性でも改良を加えた60インチ フラッグシップモデル「imagePROGRAF PRO-6100」まで、全ての顧客ニーズに応えられるよう取り揃えております。また、企業で高まっているCAD・ポスターなど大判サイズの低価格による内製出力ニーズにお応えすべく、専用紙を必要としない普通紙での高画質プリントを実現する全5色顔料インク「LUCIA TD」を新開発し、高速プリントを実現する「imagePROGRAF TX/TMシリーズ」に加え、上位機種の高画質・静音化を継承したエントリーモデル「imagePROGRAF TAシリーズ」を新たにラインアップに加えました。
また当社は、2012年に「FINE」技術の応用による新ヘッドを搭載した「DreamLabo5000」を発売、業務用フォトプリンター市場への参入しております。
フラットベッドスキャナに関しても、当社はCIS (Contact Image Sensor)搭載の「CanoScan LiDEシリーズ」及び、CCD (Charge-Coupled Devices)搭載の高解像度モデルをラインアップし、堅調な販売により高いシェアを堅持しております。
メディカルシステムビジネスユニット
当社は、疾病の早期発見、早期診断のためCT、MRI、超音波診断装置、X線診断装置などの画像診断装置や検査機器、ヘルスケアICTソリューションを開発、製造し、世界150以上の国や地域に提供しております。病院経営に貢献し、患者さんに優しい医療システム・サービスをお届けし、これからも変わらず医療に貢献してまいります。
当ビジネスユニットは、主力のCTはわが国でトップシェアを堅持し、高機能16列マルチスライスCT、「Aquilion Start」、Deep Learning Reconstruction“AiCE”を搭載した「Aquilion ONE /GENESIS Edition」、「Aplio aシリーズ」などの新製品が販売を伸ばしています。
当社は、確実な診断に結びつくための高精細・高画質を徹底して追求しております。AI(ディ―プラーニング)により画像の再構成が出来るスペクトラルイメージングシステムをCT装置及びMRI装置にも搭載致しました。この技術により高速でノイズを除去し、より高画質な画像を提供することが出来るようになりました。
今後は、精密加工技術、生産技術、センサー技術や画像処理技術など様々なグループ総合力を医療機器の製品開発や製造・サービスに活用することで新たな付加価値を産み出し、さらなる医療貢献を果たしてまいります。
日米のグループ内メディカル事業を再編し、2020年1月より新体制でグローバルに事業を強化・拡大を図ります。2019年8月には京都大学iPS細胞研究所と、より高品質な自家移植用のiPS細胞(my iPS細胞)の実現により、再生医療分野に貢献していくことを目的として共同研究を開始しました。
コンポーネント事業においては、新興国需要拡大及びコンピューテッド・ラジオグラフィー(CR)からデジタル・ラジオグラフィー(DR)への移行に伴い、X線撮影機器市場は堅調に伸びています。一方、ハイエンド製品では欧米コンポーネントメーカーとの技術競争、またコモディティ化が進行する普及装置では中国・韓国メーカーとの価格競争が激しくなっております。そうした市場環境の中、DR製品ビジネスにおいては、価格競争力を強化した普及機新製品を一部地域向けに販売し、ワールドワイドに順次展開していく予定です。今後の成長分野である動画分野では、透視撮影装置、血管造影装置市場への販売を積極的に展開しております。X線管及びX線イメージングデバイス他においては、当社の高信頼性コア技術(高電圧真空技術、液体金属軸受及び、ヨウ化セシウム(CsI)蒸着技術等)を基に、製品競争力を向上させ、好調に販売を展開しております。医療機器向けを含む業務用カメラでは、カメラの小型化や高画質化など市場ニーズを早期に実現させることで、競争力のある商品を開発し、販売を展開しております。
眼科診断機器においては、今後も成長が見込まれるOCT(光干渉断層計)の分野で、造影剤を使用しない検査で網膜血管描出を実現するOCT アンギオグラフィーソフトウェアの機能を継続的に強化し、激化する市場競争に対応しております。
産業機器その他ビジネスユニット
半導体露光装置市場では、米中貿易摩擦等の影響や、メモリ価格の下落を背景にメモリ向け露光装置の設備投資が大幅に抑制されました。一方、IoT・5G関連の進展を背景に、CMOSセンサー、通信デバイスなどの設備投資は堅調に推移しました。後工程露光装置の市場では、半導体チップの高集積化・薄型化への要求の高まりを受けTSV(Through-Silicon Via)工程等の大容量メモリ向けの設備投資が伸長しました。
当社では、多様化する半導体アプリケーションに柔軟に対応するため、顧客要望を製品開発の初期段階から反映させる「デザインイン」型のビジネススタイルが定着し、高付加価値製品の開発が順調に進んでおり、急速に普及が進むIoTや車載向けなど幅広い分野に向けた製品を展開しております。メモリ向けでは、高い生産性と業界最高水準の重ね合わせ精度を実現したKrFスキャナー「FPA-6300ES6a」、ならびにi線ステッパー「FPA-5550iZ2」の継続的なアップグレードで、更なる市場シェアの拡大を目指してまいります。後工程露光装置では、FOWLP(Fan Out Wafer Level Package)向けの機能を強化し最先端パッケージングに対応した「FPA-5520iV」の高解像度オプションをラインアップに加え、幅広い市場のニーズに応えてまいります。また、ナノインプリント半導体製造装置は、量産展開に向け準備を進めております。
FPD露光装置市場は、活況を呈していたモバイル機器向けの高精細な有機ELパネルの設備投資が調整局面をむかえておりますが、フォルダブルディスプレイなどアプリケーションの拡大に向けた動きが加速しております。TV市場においては、中国市場を中心として大型TV向けの設備投資が継続しており、堅調に推移しました。TV市場のニーズは薄型TVの普及が進む中、今後は大型化、4K/8Kの高精細化に加え、有機ELに代表される高品位なディスプレイを用いたTVに移行していくと予想されています。当社は第8世代ガラス基板で、高品位な65型パネルを一括露光することにより高い生産性を実現したFPD露光装置「MPAsp-H1003T」をラインアップに加え、市場のニーズに応えてまいります。また、有機ELディスプレイ製品の多様化に合わせ、中小型向け露光装置「MPAsp-E813」のタクトアップによる競争力強化で更なるシェア拡大を目指してまいります。
ネットワークカメラは、防犯や災害監視を担う社会インフラとしての認知が広がり、高解像度、高品位カメラへのニーズが高まっています。また、少子高齢化を背景とした深刻な人材不足に対して、自動化、省人化に寄与する映像解析ソフトウェアは、生産現場やマーケティング分野などのセキュリティ用途以外にも活用は広がり、ネットワークカメラと映像解析ソフトウェアを組み合わせたソリューション市場は拡大基調にあります。
当社は2019年に、夜間や暗所でのモニタリングに威力を発揮する、超高感度ネットワークカメラ「ME20F-SHN」を機能強化し、さらに当社独自開発の「親水コーティングII」を採用した屋外対応ネットワークカメラの新製品も発売しました。グループ会社のアクシス社製ネットワークカメラとあわせた豊富なラインナップに、当社の差別化技術を搭載した製品を加えることで、一般モニタリング用途から重要施設監視まで幅広いお客様の要望に対応しています。また、映像解析ソフトウェアとしては、AIを駆使して数千人をリアルタイムにカウントできる群衆人数カウント機能を搭載した「People Counter Pro 」を発売しました。事故対策、交通量調査、観光地混雑状況の把握、イベントマーケティングなど、さまざまな分野での活用が見込まれます。
今後も、アクシス社、マイルストーン社、ブリーフカム社を始めとするグループ会社間の連携強化、技術の融合を加速し、最適なソリューションを提供することで、ネットワーク映像ソリューションにおけるグローバルリーダーを目指してまいります。
デジタルビデオカメラ市場において、当社は、高画質を主とした差別化戦略を採用しています。プロフェッショナル用ビデオカメラの分野では、5.9Kフルサイズセンサーを搭載したデジタルシネマカメラ「EOS C500 Mark Ⅱ」及び4K業務用ビデオカメラ「XA55/45シリーズ」を発売いたしました。今後も幅広いジャンルに対応した製品群を投入することで、映像制作市場における確固たる地位確立を目指してまいります。
放送用レンズ市場は、先進国におけるスポーツ中継需要や映像新興国における4K化の需要が堅調に推移しており、当社は依然強い商品力で高いシェアを維持しています。欧州・アジアを中心に、2/3型4Kレンズの需要増に応えるべく、屋外中継用レンズの「UJ122x8.2B」及びポータブルレンズの「CJ15ex4.3B」を発売するなど、今後更に製品ラインアップの充実を図ってまいります。シネマレンズでは、シネマ撮影において柔らかな描写、ボケ感という特徴を持った7種の単焦点レンズシリーズ「Sumire Prime」発売し、映画や映像制作市場から好評を博しています。 ビジネス用プロジェクター市場は、高解像度・インストール分野が引き続き堅調に成長しています。当社はこの市場に、高い光学技術力を活かした商品のラインアップを拡充しており、2019年はレーザー光源の4Kプロジェクター「4K6021Z」を当社のクラス最上位モデルとして市場導入いたしました。更にここ数年でニーズが高まってきているマルチプロジェクションをサポートするPCアプリケーションソフトウェアをリリースしました。今後もお客様のご要望にお応えすることで事業拡大を目指してまいります。

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

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  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
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クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

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学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。