有価証券報告書-第48期(2023/07/01-2024/06/30)

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2024/09/27 11:02
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当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年6月30日)現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当社グループは、中期経営計画「ASAHI Going Beyond 1000」において、連結売上高1,000億円を超えて、更に成長するための事業ポートフォリオの構築を進めており、以下の4つの基本方針を定めております。
①グローバル市場の戦略的な開拓と患部・治療領域の拡大
②グローバルニッチ市場における新規事業の創出
③グローバル展開に最適な研究開発・生産体制の構築
④持続的成長に向けた経営基盤の確立
これらの成長戦略を着実に進めていくことにより、更なる企業価値の向上を目指しており、2024年6月期におきましては、中期経営計画のマイルストーンである連結売上高1,000億円を達成し、過去最高の連結売上高及び利益となりました。
当社グループの当連結会計年度における売上高は、コロナ禍からの回復による症例数の増加に追従しながらも市場シェアの拡大を推し進めたことに加えて外貨高の影響もあり、海外売上高が大きく増加したことで、1,075億47百万円(前年同期比19.4%増)となりました。
売上総利益は、売上高の増加に伴い、690億53百万円(同17.4%増)となりました。
営業利益は、営業関係費用として海外市場を中心とした販促活動費用や売上増加に伴う連動費用が増加したことや、開発強化のための研究開発費が増加したこと、業績連動賞与の支給などもあり、販売費及び一般管理費が増加したものの、221億35百万円(同22.8%増)となりました。
経常利益は、為替差損が増加したことなどにより、219億68百万円(同24.6%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、災害保険金が減少したものの、158億8百万円(同20.6%増)となりました。
なお、当連結会計年度における外国為替レート実績は、下記となります。
1米ドル=149.39円(前年同期137.49円、比8.7%増)
1ユーロ=161.48円(前年同期143.92円、比12.2%増)
1中国元=20.64円(前年同期19.75円、比4.5%増)
1タイバーツ=4.17円(前年同期3.90円、比6.9%増)
セグメントごとの経営業績は、次のとおりであります。
(メディカル事業)
メディカル事業は、コロナ禍からの回復による症例数の増加に追従しながら、市場シェアの拡大を推し進めたことに加えて外貨高の影響もあり、海外売上高が大きく増加し、売上高は増加いたしました。
国内市場においては、PCIガイドワイヤーを中心に循環器領域が堅調に推移したことに加え、末梢血管系製品や消化器系製品などの非循環器領域や、OEM取引が増加したことなどから、売上高は増加いたしました。また、新たな取り組みとして、外科手術支援ロボット「ANSUR(アンサー)」2台の納入が実現いたしました。
海外市場においては、循環器領域、非循環器領域、OEM取引の全領域について売上高は増加いたしました。循環器領域は、PCIガイドワイヤーや貫通カテーテルを中心に、全地域において売上高が順調に推移いたしました。非循環器領域は、米国市場における末梢血管系製品の新製品「CROSSLEAD」などの効果や、米国や中国市場における腹部系製品の増加などがあり、全地域において売上高が増加いたしました。OEM取引は、循環器領域において、中国向け取引が減少したものの、外貨高の影響や、米国にて新規取引が増加したことなどから、売上高が微増いたしました。
以上の結果、売上高は956億54百万円(前年同期比21.8%増)となりました。
また、セグメント利益は、226億64百万円(同38.2%増)となりました。
(デバイス事業)
デバイス事業は、医療部材を中心に売上高は増加いたしました。
医療部材については、国内市場は内視鏡関係の部材が増加し、また海外市場は外貨高の影響や中国向け取引が増加したことなどから、売上高は増加いたしました。
産業部材につきましては、建築関係取引が国内市場を中心に減少したものの、外貨高の影響や海外市場のOA機器関連取引が増加するなどし、売上高は増加いたしました。
以上の結果、売上高は、118億92百万円(前年同期比3.0%増)となりました。
また、セグメント利益は、セグメント間売上高の減少や稼働率の動向などにより、47億33百万円(同22.5%減)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
メディカル事業68,0381.6
デバイス事業37,133△9.5
合計105,171△2.6

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
② 受注実績
当社グループの製品は、見込み生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
メディカル事業95,65421.8
デバイス事業11,8923.0
合計107,54719.4

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の資産につきましては、総資産額が1,916億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ189億69百万円増加しております。主な要因は、愛知県瀬戸市に新棟が完成したことなどに伴い建設仮勘定が42億65百万円減少した一方、建物及び構築物(純額)が99億61百万円増加したことや投資有価証券が90億8百万円増加したことによるものであります。
負債につきましては、負債合計額が396億52百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億8百万円増加しております。主な要因は、未払金が19億94百万円増加したことによるものであります。
純資産につきましては、純資産合計額が1,519億61百万円となり、前連結会計年度末に比べ176億60百万円増加しております。主な要因は、利益剰余金が118億74百万円、為替換算調整勘定が62億74百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、356億58百万円(前年同期比2.2%増)となっております。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、347億8百万円(前年同期比155億70百万円増)となりました。これは主に、法人税等の支払額が53億23百万円であったものの、税金等調整前当期純利益が217億89百万円、減価償却費が84億64百万円であったことに加え、棚卸資産が44億56百万円減少し、前受金が43億46百万円増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、212億22百万円(前年同期比60億86百万円増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が98億77百万円、投資有価証券の取得による支出が83億34百万円であったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、138億78百万円(前年同期比115億35百万円増)となりました。これは主に、短期借入金が65億円減少、長期借入金の返済による支出が32億2百万円、配当金の支払額が39億33百万円であったことによるものであります。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴い、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、スケジューリングの結果に基づき回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ課税所得が減少した場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に影響を与える可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、継続的に損益の把握を実施している単位ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについては、回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。回収可能価額の算定にあたっては、外部の情報源に基づく情報等を含む決算時点で入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失が発生する可能性があります。
(のれん及びその他の無形固定資産の評価)
資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年6月30日)現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 今後の見通し
中期経営計画「ASAHI Going Beyond 1000」の基本方針に基づく成長戦略を着実に実行することで、高い成長性を維持・拡大してまいる所存です。その結果、2025年6月期において、中期経営計画の最終年度(2026年6月期)の連結売上高目標1,100億円を、一年前倒しにて達成することを目指してまいります。
(単位:百万円)
2024年6月期 実績2025年6月期 予測増減額増減率
売上高107,547116,7379,1908.5%
のれん償却額等を
除く営業利益
24,16827,1703,00212.4%
(率)22.5%23.3%0.8%
営業利益22,13525,2103,07413.9%
(率)20.6%21.6%1.0%
親会社株主に帰属する当期純利益15,80818,8032,99518.9%

(ご参考)前期と同条件の為替レートの場合
(単位:百万円)
2024年6月期 実績2025年6月期 予測増減額増減率
売上高107,547118,51010,96310.2%
のれん償却額等を
除く営業利益
24,16828,2794,11117.0%
(率)22.5%23.9%1.4%
営業利益22,13526,2834,14718.7%
(率)20.6%22.2%1.6%

<売上高>(メディカル事業)
メディカル事業においては、円高影響があるものの、特に海外売上高の成長が高く、増収となる見込みです。
<自社ブランド>国内市場では、償還価格改定に伴う販売単価の低下があるものの、非循環器系領域において、仕入商品の販売強化に伴う末梢血管系製品の増加、新製品投入効果による脳血管系製品の増加などにより、売上高は増加する見込みです。
海外市場では、円高影響があるものの、中国やアジア地域を中心として症例数がコロナ禍以前のように拡大傾向にあり、またシェア拡大を引き続き推し進めることなどにより、全海外地域において、循環器系領域及び非循環器系領域共に増加する見込みです。循環器系領域においては、特に中国市場において、症例数の拡大が著しく、シェア拡大も含めて引き続き着実に売上拡大を目指してまいります。非循環器系領域においては、末梢・脳・腹部血管系ともに増加する予定です。末梢血管系は、米国において末梢血管系ガイドワイヤー「CROSSLEAD」の拡販を進め、市場シェア拡大を目指してまいります。脳血管系製品については、全地域における拡販を進めます。腹部血管系製品については、中国市場を中心に拡販を進めてまいります。
取引先の動向などにより、アジア地域での取引が増加するなどいたしますが、国内地域での取引減少もあり、ほぼ横ばいに推移する予定です。
(デバイス事業)
デバイス事業は、円高影響があるものの、医療部材・産業部材ともに売上高が増加し、増収となる見込みです。 医療部材については、米国向けの取引増加などにより、売上高は増加する見込みです。 産業部材については、建築市場や自動車市場向け取引が順調に推移することなどにより、売上高は増加する見込みです。
<売上総利益>売上総利益は、増収に比例して増加する予定です。売上総利益率については、稼働率の上昇などもあり上昇する予定です。
<販売費及び一般管理費>販売費及び一般管理費は、将来の成長性を持続し、更に伸張させるための先行的な費用を引き続き積極的に投下することを予定しております。
研究開発費は、既存・新規領域共に増加し、売上高比率10.9%となる見込みです。
販売関連費用は、米国を中心とした販売・マーケティングなどの費用の増強を予定しており、増加する見込みです。
上記以外の費用としては、品質保証関連や、情報システム関連などの、経営基盤強化のため費用の増加などを見込んでおります。
<営業外損益・特別損益>営業外損益及び特別損益におきましては、影響額の大きな取引などは、現在のところ見込んでおりません。
なお、本業績予想において、主な外国為替レートは、下記を見込んでおります。
(単位:円)US$EURO中国元BAHT
2025年6月期 予想前提145.00160.0020.504.17
2024年6月期 実績149.39161.4820.644.17

(b) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループを取り巻く事業環境に関連して経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(c) 当社グループの資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(3)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
また、資本の財源及び資金の流動性について、運転資金の確保は自己資金でまかない、事業成長するための設備投資・株式投資は手元資金のほか、金額規模が著しく大きい場合等を除き、原則、銀行借入にて対応することとしております。