四半期報告書

【提出】
2018/11/12 15:08
【資料】
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【項目】
20項目
(以下「四半期純利益」は「当社の所有者に帰属する四半期純利益」を指しています。)
(1) 業績
当第2四半期連結累計期間の経済環境としては、雇用環境の改善及び消費の回復により、欧米経済の堅調な成長が続いたほか、個人消費が堅調な中国経済を中心に、新興国でも底堅い経済成長が続きました。わが国の経済は、輸出の下支えと企業業績の改善を背景に、景気拡大が続きました。
このような環境の下、当第2四半期連結累計期間の収益は、IFRS第15号の適用に伴い、財の移転を本人としての履行義務と認識して、対価の総額を収益として認識する取引が増加したことなどにより、前第2四半期連結累計期間を4兆2,861億円(117%)上回る7兆9,432億円となりました。
売上総利益は、豪州石炭事業における販売数量増加などにより、前第2四半期連結累計期間を886億円(10%)上回る9,945億円となりました。
販売費及び一般管理費は、前第2四半期連結累計期間からほぼ横ばいの6,918億円となりました。
有価証券損益は、海外発電事業関連評価益があった一方、千代田化工建設宛投資の減損などにより、前第2四半期連結累計期間を60億円下回る87億円となりました。
固定資産減損損失は、前年同期に計上した資源関連資産に係る減損損失の反動などにより、前第2四半期連結累計期間から313億円改善し86億円となりました。
その他の損益は、前年同期に計上した一過性利益の反動などにより、前第2四半期連結累計期間を222億円下回る159億円(損失)となりました。
金融収益は、資源関連投資先からの受取配当金の増加などにより、前第2四半期連結累計期間を209億円(26%)上回る1,009億円となりました。
持分法による投資損益は、千代田化工建設における工事損益悪化等による一過性損失などにより、前第2四半期連結累計期間を89億円(9%)下回る930億円となりました。
この結果、税引前利益は、前第2四半期連結累計期間を756億円(20%)上回る4,506億円となりました。
以上により、四半期純利益は、前第2四半期連結累計期間を553億円(22%)上回る3,093億円となりました。
事業セグメント別の業績を示すと次のとおりです。
a.地球環境・インフラ事業グループ
地球環境・インフラ事業グループは、電力、水、交通や、その他産業基盤となる環境・インフラ分野における事業や関連する取引などを行っています。
当第2四半期連結累計期間の四半期純利益は361億円(損失)となり、前第2四半期連結累計期間と比較して501億円の減少となりました。これは、千代田化工建設関連の一過性損失548億円を計上したことなどにより減益となったものです。
b.新産業金融事業グループ
新産業金融事業グループは、企業投資、リース、不動産・都市開発、物流などの分野において、投資及び運用事業を行っています。
当第2四半期連結累計期間の四半期純利益は196億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して18億円の増加となりました。これは、ファンド関連投資の売却益などにより増益となったものです。
c.エネルギー事業グループ
エネルギー事業グループは、天然ガス・石油の生産・開発事業、液化天然ガス(LNG)事業、原油・石油製品・炭素製品・LPG等の販売取引、新規エネルギー事業の企画開発などを行っています。
当第2四半期連結累計期間の四半期純利益は517億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して427億円の増加となりました。これは、前年同期に計上した資源関連資産の入替に伴う損失の反動やLNG関連事業における持分利益、受取配当金の増加などにより増益となったものです。
d.金属グループ
金属グループは、薄板・厚板などの鉄鋼製品、石炭・鉄鉱石などの鉄鋼原料、銅・アルミなどの非鉄金属の分野において、トレーディング、開発、投資などを通じて事業経営に携わっています。
当第2四半期連結累計期間の四半期純利益は1,365億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して298億円の増加となりました。これは、豪州石炭事業における販売数量増加等による持分利益の増加などにより増益となったものです。
e.機械グループ
機械グループは、工作機械、農業機械、建設機械、鉱山機械、エレベーター、エスカレーター、船舶、宇宙航空関連機器、自動車などの幅広い分野において、販売、金融、物流、投資などを行っています。
当第2四半期連結累計期間の四半期純利益は643億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して250億円の増加となりました。これは、船舶事業における一過性利益に加え、アジア自動車事業における持分利益の増加や三菱自動車工業の持分法適用開始に伴う持分利益の増加などにより増益となったものです。
f.化学品グループ
化学品グループは、原油、天然ガス、鉱物、植物、海洋資源などより生産されるエチレン、メタノール、塩といった基礎原料から、プラスチック、電子材料、食品素材、肥料や医農薬などの川下・川中製品まで、幅広い化学品の分野において、販売取引、事業開発、投資などを行っています。
当第2四半期連結累計期間の四半期純利益は224億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して54億円の増加となりました。これは、石油化学事業における取引利益・持分利益の増加などにより増益となったものです。
g.生活産業グループ
生活産業グループは、食料、衣料、日用品、ヘルスケアなど、消費者の生活に身近な分野で、原料の調達から、流通・小売に至るまでの幅広い領域において、商品・サービスの提供、事業開発などを行っています。
当第2四半期連結累計期間の四半期純利益は382億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して113億円の減少となりました。これは、食肉事業や鮭鱒養殖事業における持分利益の減少などにより減益となったものです。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ581億円増加し、1兆636億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において、営業活動により資金は2,865億円増加しました。これは、運転資金の負担増や法人所得税の支払いなどがあったものの、営業収入や配当収入などにより資金が増加したものです。
なお、前第2四半期連結累計期間と比較して1,185億円の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において、投資活動により資金は1,550億円減少しました。これは、豪州石炭事業における事業売却などによる収入があったものの、ペルー銅鉱山権益の追加取得、設備投資などによる支出により、資金が減少したものです。
なお、前第2四半期連結累計期間と比較して437億円の減少となりました。
以上の結果、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計であるフリーキャッシュ・フローは1,315億円の資金増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において、財務活動により資金は855億円減少しました。これは、配当金の支払いなどにより資金が減少したものです。
なお、前第2四半期連結累計期間と比較して3,481億円の増加となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
a. 中期経営戦略2018 ~新たな事業経営モデルへの挑戦~
三菱商事は、平成28年5月に「中期経営戦略2018」を策定しました。
「中期経営戦略2018」では、目指す企業像を「創意工夫により新たなビジネスモデルを構築し、自らの意思で社会に役立つ事業価値を追求していくことで、経営能力の高い人材が育つ会社」としました。
また、平成28年度から始まる3ヵ年の経営の考え方として、「利益の「質」の重視」、「効率性・財務健全性の重視」を基本とし、経営基盤の再整備、成長に向けた打ち手を同時に実行することで、二桁のROEの実現を目指すこととしました。
株主還元に関しては、持続的な利益成長に合わせて増配していく累進配当を基本方針としました。
「中期経営戦略2018」の進捗
「中期経営戦略2018」で掲げた中期経営計画期間中の定量目標は、前連結会計年度までに全ての項目で達成しました。また、同期間中に導入した仕組みによる成果も着実に進捗し、更なる成長に向けた取組を加速させるべく、平成30年11月に2019年度から始まる3ヵ年の新しい経営の指針として、「中期経営戦略2021」を策定しました。
b. 中期経営戦略2021 ~事業経営モデルによる成長の実現~
米国と中国の二大国を中心とする地政学的力学の変化等に加え、デジタル技術の進化やプラットフォーマーの台頭による“第4次産業革命”ともいえるビジネスモデル変革の潮流を踏まえて、持続的な事業成長を目指すための、向こう3ヵ年の経営方針を纏めました。
■事業ポートフォリオ
全産業を俯瞰し、外部環境の変化も踏まえ、次に攻めるべき分野や入替えを進める分野を全社で検討するため、事業ポートフォリオの枠組みを導入します。
事業ポートフォリオの最適化に向けては、三菱商事独自の多次元の軸で考察します。定量面からは勿論のこと、地域の観点、業界におけるプレゼンスの観点、事業経営レベルの観点から、常にあるべき形を検討していく仕組みを整えます。
■成長メカニズム
「成長の芽」を発掘し、これを「成長の柱」へ育て、事業価値を向上し「収益の柱」へと成長させていく。そして三菱商事による事業価値向上にどうしても限界が生じる場合は、入替えも含め抜本的に見直す。
三菱商事に内在するこの一連のサイクルを、事業ポートフォリオの観点も加えながら、従来以上に徹底して運用していきます。
そのためにも、経営企画部に「事業構想室」を、各営業グループに「グループ事業構想担当」を設置し「成長の芽の発掘」「成長の柱の構築」を積極的に進める体制を執ります。また、今回、新たにチーフ・デジタル・オフィサー(CDO)を任命し、その管下に「デジタル戦略部」を組成、各営業グループにも「グループデジタル戦略担当」を設置することで、急激に進む産業のデジタル化の動きに対応していくこととします。
■人事制度改革
「多様な経験を通じた早期育成」「実力主義と適材適所の徹底」「経営人材の全社的活用」を軸とした人事制度改革を実施します。具体的には、柔軟な人材の配置・活用、成果主義の徹底、株式報酬の導入、複眼的な評価の仕組みの強化を通して、分野を超えて活躍できる経営力の高い人材を継続的に輩出し、社員の成長と会社の発展が一体となることを目指します。
■定量目標・資本政策
事業系の持続的な成長と市況系の競争力強化により、2021年度に連結純利益9,000億円を目指すと共に、二桁ROEの更なる向上を目指します。
配当は、持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を継続し、配当性向を現在の30%から将来的に35%程度に引き上げていくことを目指します。
C. 個別重要案件
当第2四半期連結累計期間において、重要な状況の変化はありません。
(4) 研究開発活動
特に記載すべき事項はありません。
(5) 流動性と資金の源泉
当社では事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金が確保できることを目標として取り組んでいます。資金調達にあたっては、コマーシャル・ペーパーや社債等の直接金融と銀行借入等の間接金融とを機動的に選択・活用しており、その時々でのマーケット状況での有利な手段を追求しています。当社は資本市場でのレピュテーションも高く、加えて間接金融についても、メガバンク以外に外銀・生保・地銀等の金融機関とも幅広く好関係を維持しており、調達コストは競争力のあるものとなっています。今後とも長期資金を中心とした資金調達を継続すると共に、十分な流動性の確保を行っていく方針です。
当第2四半期連結会計期間末の連結ベースでのグロス有利子負債残高は、前連結会計年度末から1,306億円増加し5兆850億円となり、このうち84%が長期資金となっています。有利子負債のうち、6,000億円はハイブリッドファイナンスであり、格付機関は残高の50%である3,000億円を資本と同等に扱っています。また、現預金の残高は、前連結会計年度末から701億円増加し1兆3,103億円となっています。当第2四半期連結会計期間末の流動比率は連結ベースで138%となっており、流動性の点で財務健全性は高いと考えています。
(注意事項)
当報告書の将来の予測などに関する記述は、当四半期連結累計期間の末日現在において入手された情報に基づき合理的に判断した予想です。従いまして、潜在的なリスクや不確実性その他の要因が内包されており、実際の結果と大きく異なる場合があります。