四半期報告書

【提出】
2020/08/18 16:12
【資料】
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【項目】
19項目
(以下「四半期純利益」は「当社の所有者に帰属する四半期純利益」を指しています。)
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社及び連結子会社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目の詳細は、「要約四半期連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」を参照ください。
(2) 業績
当第1四半期連結累計期間の経済環境は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、日米欧を含めた主要国の経済成長率が大きく押し下げられました。感染拡大防止措置や需要減退・供給網混乱により、従来相対的に高い成長を維持してきた中国、インドの経済活動も大幅に落ち込むなど、新興国にも深刻な下振れが見られました。
このような環境の下、当第1四半期連結累計期間の収益は、石油事業や鉄鋼製品事業における取引減少などにより、前第1四半期連結累計期間を1兆2,739億円(32%)下回る2兆6,674億円となりました。
売上総利益は、豪州原料炭事業における市況下落やCVS事業における加盟店収入の減少などにより、前第1四半期連結累計期間を1,042億円(22%)下回る3,797億円となりました。
販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルスの影響による営業活動の縮小などにより、前第1四半期連結累計期間から98億円(3%)減少し、3,449億円となりました。
有価証券損益は、ファンド評価損益の悪化、及び前年同期の資産入替や事業再編に伴う売却益の反動などにより、前第1四半期連結累計期間を60億円(41%)下回る87億円(利益)となりました。
固定資産減損損失は、前第1四半期連結累計期間からほぼ横ばいの13億円となりました。
その他の損益は、為替関連損益の変動などにより、前第1四半期連結累計期間から76億円(52%)改善し、70億円(損失)となりました。
金融収益は、資源関連投資先からの受取配当金の減少などにより、前第1四半期連結累計期間を323億円(63%)下回る186億円となりました。
持分法による投資損益は、三菱自動車工業における固定資産の減損や販売台数の減少などにより、前第1四半期連結累計期間を464億円(76%)下回る148億円(利益)となりました。
この結果、税引前利益は、前第1四半期連結累計期間を1,666億円(75%)下回る560億円となりました。
以上により、四半期純利益は、前第1四半期連結累計期間を1,245億円(77%)下回る367億円となりました。
事業セグメント別の業績を示すと次のとおりです。
a.天然ガス
天然ガスグループは、北米、東南アジア、豪州、ロシアなどにおいて、天然ガス・原油の生産・開発事業、液化天然ガス(LNG)事業などを行っています。
当第1四半期連結累計期間の四半期純利益は72億円となり、前第1四半期連結累計期間と比較して213億円の減少となりました。これは、LNG関連事業における持分利益や受取配当金の減少などにより減益となったものです。
b.総合素材
総合素材グループは、自動車・モビリティや建設・インフラなどといった対面業界において、炭素、鉄鋼製品、機能素材など多岐にわたる素材の販売取引、事業開発、事業投資を行っています。
当第1四半期連結累計期間の四半期純利益は6億円(損失)となり、前第1四半期連結累計期間と比較して120億円の減少となりました。これは、炭素事業における事業利益や鉄鋼製品事業における持分利益の減少などにより減益となったものです。
c.石油・化学
石油・化学グループは、原油、石油製品、LPG、エチレン、メタノール、塩、アンモニア、プラスチック、肥料など幅広い石油・化学関連分野において、販売取引、事業開発、投資などを行っています。
当第1四半期連結累計期間の四半期純利益は83億円となり、前第1四半期連結累計期間と比較して37億円の増加となりました。これは、海外石油事業におけるデリバティブ評価損益の反動などにより増益となったものです。
d.金属資源
金属資源グループは、原料炭、銅、鉄鉱石、アルミといった金属資源への投資・開発などを通じて事業経営に携わると共に、グローバルネットワークを通じた鉄鋼原料、非鉄原料・製品における質の高いサービスや機能を活かし、供給体制を強化しています。
当第1四半期連結累計期間の四半期純利益は200億円となり、前第1四半期連結累計期間と比較して390億円の減少となりました。これは、豪州原料炭事業における市況下落による影響などにより減益となったものです。
e.産業インフラ
産業インフラグループは、エネルギーインフラ、産業プラント、工作機械、農業機械、鉱山機械、エレベーター、エスカレーター、船舶、宇宙航空関連機器など幅広い分野における事業及び関連する取引などを行っています。
当第1四半期連結累計期間の四半期純利益は68億円となり、前第1四半期連結累計期間と比較して15億円の増加となりました。これは、千代田化工建設における持分利益の増加などにより増益となったものです。
f.自動車・モビリティ
自動車・モビリティグループは、乗用車・商用車の販売や販売金融を中心に、生産、アフターサービスも含め一連のバリューチェーン事業に深く関与しています。また、ヒトやモノの移動に関する課題を解決するモビリティ関連事業に取り組んでいます。
当第1四半期連結累計期間の四半期純利益は227億円(損失)となり、前第1四半期連結累計期間と比較して401億円の減少となりました。これは、三菱自動車工業における減損損失取り込みに加え、三菱自動車工業やアジア自動車事業における持分利益の減少などにより減益となったものです。
g.食品産業
食品産業グループは、食糧、生鮮品、生活消費財、食品素材などの「食」に関わる分野で、原料の生産・調達から製品製造に至るまでの幅広い領域において、販売取引、事業開発などを行っています。
当第1四半期連結累計期間の四半期純利益は65億円となり、前第1四半期連結累計期間と比較して2億円の増加となりました。
h.コンシューマー産業
コンシューマー産業グループは、小売・流通、物流、ヘルスケア、衣料、タイヤ他の各領域において、商品・サービスの提供、事業開発などを行っています。
当第1四半期連結累計期間の四半期純利益は19億円(損失)となり、前第1四半期連結累計期間と比較して87億円の減少となりました。これは、CVS事業、海外アパレル関連事業やTOYO TIREの持分利益の減少などにより減益となったものです。
i.電力ソリューション
電力ソリューショングループは、国内外の産業の基盤である電力関連事業における幅広い分野に取り組んでいます。具体的には、発・送電事業、電力トレーディング・小売事業や発送電設備販売に加え、リチウムイオン電池の製造や、無電化地域での分散電源事業等の電池サービス事業、水素エネルギー開発等を行っています。
当第1四半期連結累計期間の四半期純利益は67億円となり、前第1四半期連結累計期間と比較して6億円の減少となりました。
j.複合都市開発
複合都市開発グループは、都市開発・不動産、企業投資、リース、インフラなどの分野において、開発事業、運用・運営を行っています。
当第1四半期連結累計期間の四半期純利益は6億円となり、前第1四半期連結累計期間と比較して87億円の減少となりました。これは、ファンド評価損益の悪化や空港関連事業における持分利益の減少などにより減益となったものです。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,649億円増加し、1兆4,877億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間において、営業活動により資金は2,964億円増加しました。これは、法人所得税の支払いなどがあったものの、営業収入や配当収入、新型コロナウイルスの影響などによる取引減少に伴う運転資金の負担減などにより資金が増加したものです。
また、前第1四半期連結累計期間と比較して1,378億円の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間において、投資活動により資金は1,239億円減少しました。これは、上場有価証券や関連会社への投資の売却などによる収入があったものの、関連会社への投資や融資、設備投資などによる支出により、資金が減少したものです。
また、前第1四半期連結累計期間と比較して791億円の減少となりました。
投資キャッシュ・フローの主な内容及びセグメントは以下のとおりです。
新規・更新投資
・HERE Technologies社宛て投資(その他)
・欧州総合エネルギー事業(電力ソリューション)
・豪州原料炭事業(金属資源)
・銅事業(金属資源)
売却及び回収
・上場有価証券(食品産業・コンシューマー産業)
以上の結果、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計であるフリーキャッシュ・フローは1,725億円の資金増となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間において、財務活動により資金は163億円減少しました。これは、資金調達があったものの、配当金の支払いやリース負債の返済、自己株式の取得などにより資金が減少したものです。
また、前第1四半期連結累計期間と比較して386億円の増加となりました。
配当は持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を行う方針としています。自己株式の取得は、「中
期経営戦略2018」期間中のキャッシュ・フローや適切な資本水準などを考慮の上、資本効率の向上を図るために実
施したものです。負債による資金調達は、流動性と財務健全性の観点で適切な水準を維持する方針としています。
また、上記の財務会計上の営業キャッシュ・フローとは別に、将来の新規投資や株主還元などの原資を適切に表す
べく、運転資金の増減影響を控除した営業キャッシュ・フローに、事業活動における必要資金であるリース負債支
払額を反映した「営業収益キャッシュ・フロー(リース負債支払後)」と、更に投資活動によるキャッシュ・フ
ローを加えた「調整後フリーキャッシュ・フロー」を定義しています。
営業収益キャッシュ・フロー(リース負債支払後)は、当第1四半期連結累計期間において1,149億円の資金増となりました。
また、前第1四半期連結累計期間と比較して990億円の減少となりました。
この結果、調整後フリーキャッシュ・フローは、90億円の資金減となりました。
(4) 事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間末における事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題について、以下(新型コロナウイルス感染症による当社事業への影響)を除いて、2019年度有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。
(新型コロナウイルス感染症による当社事業への影響)
2020年8月時点での、新型コロナウイルス感染症のセグメント別の主な影響は次のとおりとなっています。

(5) 研究開発活動
特に記載すべき事項はありません。
(6) 流動性と資金の源泉
当社では事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金が確保できることを目標として取り組んでいます。資金調達にあたっては、コマーシャル・ペーパーや社債等の直接金融と銀行借入等の間接金融とを機動的に選択・活用しており、その時々でのマーケット状況での有利な手段を追求しています。当社は資本市場でのレピュテーションも高く、加えて間接金融についても、メガバンク以外に外銀・生保・地銀等の金融機関とも幅広く好関係を維持しており、調達コストは競争力のあるものとなっています。今後とも長期資金を中心とした資金調達を継続すると共に、十分な流動性の確保を行っていく方針です。
当第1四半期連結会計期間末の連結ベースでのグロス有利子負債残高(リース負債除く)は、前連結会計年度末から1,759億円増加し5兆9,360億円となり、このうち81%が長期資金となっています。有利子負債(リース負債除く)のうち、6,000億円はハイブリッドファイナンスであり、格付機関は残高の50%である3,000億円を資本と同等に扱っています。また、現預金の残高は、前連結会計年度末から1,625億円増加し1兆5,863億円となっています。当第1四半期連結会計期間末の流動比率は連結ベースで132%となっており、流動性の点で財務健全性は高いと考えています。
(注意事項)
当報告書の将来の予測などに関する記述は、当四半期連結累計期間の末日現在において入手された情報に基づき合理的に判断した予想です。従いまして、潜在的なリスクや不確実性その他の要因が内包されており、実際の結果と大きく異なる場合があります。