訂正有価証券報告書

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2019/07/05 10:33
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106項目
(1) 重要な会計方針及び見積り
財務諸表の作成にあたり、経営者は、決算日における資産及び負債の報告金額、偶発資産及び負債の開示、報告期間における収益及び費用の報告金額に影響を与える様な見積りを行う必要があります。見積りは、過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき行っており、他の情報源からは得られない資産及び負債の帳簿価額について当社及び連結子会社の判断の基礎となっています。ただし、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、見積りと将来の実績が異なることもあります。
当社及び連結子会社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目は以下のとおりです。
① 金融商品の公正価値測定
当社及び連結子会社における有価証券やデリバティブ等の公正価値で測定される金融商品の残高は多額であるため、会計上の見積りにおいて重要なものとなっています。
公正価値は、市場価格等の市場の情報や、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチ、コスト・アプローチなどの算出手順に基づき決定しています。具体的には、市場性のある有価証券については、活発な市場における市場価格及び活発ではない市場における同一の資産の市場価値により評価しています。市場性のない有価証券については、将来キャッシュ・フローの割引現在価値、類似取引事例との比較、1株当たり修正純資産価値、第三者による鑑定評価等により評価しています。また、デリバティブについては、取引市場価格及び金利、外国為替レート等の観察可能なインプットを使用し、評価モデルにより評価しています。
経営者は、金融商品の公正価値の評価は合理的であると判断しています。ただし、これらの評価には経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化などにより金融商品の評価に関する見積りが変化した場合には、結果として将来当社及び連結子会社における公正価値評価額が変動する可能性もあります。
② 償却原価で測定される債権の減損
当社及び連結子会社における売上債権、受取手形、貸付金等の償却原価で測定される債権の残高は多額であるため、当該債権の評価は会計上の見積りにおいて重要なものとなっています。
当社及び連結子会社は、顧客の評価を継続して行っており、回収実績及び信用情報の査定に基づく現在の顧客の与信能力に基づき、顧客毎に成約限度額・信用限度額を定めると同時に、必要な担保・保証などの取り付けを行っています。当社及び連結子会社は、顧客からの回収状況を常にモニタリングしており、過去の貸倒実績率や将来倒産確率などに基づき一部の債権を集合的に評価し、適切な金額の損失評価引当金を設定しています。また当社及び連結子会社は、特定の顧客に対してその財政状態や与信の状況、債権の回収状況を個々にモニタリングしており、債権全額(元利合計)を当初の契約条件に従って回収することが出来ない可能性が高いと判断される場合には、債権の内容、回収遅延期間、格付機関による評価、割引キャッシュ・フロー法に基づく評価、担保物件の公正価値、並びにその他の情報を総合的に評価し、それぞれの顧客に対して適切な金額の損失評価引当金を設定しています。
経営者は、償却原価で測定される債権の評価にあたり行っている見積りは合理的であり、損失評価引当金は十分に計上され、債権が回収可能な額として計上されていると判断しています。ただし、これらの評価には経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化などにより債権の評価に関する見積りが変化した場合には、将来当社及び連結子会社が損失評価引当金を増額又は減額する可能性もあります。
③ 非金融資産の減損
当社及び連結子会社は、たな卸資産や繰延税金資産等を除く非金融資産について、帳簿価額が回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合に、減損の兆候があるものとして、当該資産の回収可能価額を見積っており、帳簿価額が回収可能価額を上回った場合に、減損損失を認識しています。回収可能価額は、使用価値と売却費用控除後の公正価値のうち、いずれか高い金額としています。使用価値は、見積り将来キャッシュ・フローを資産固有のリスクを反映した税効果考慮前の割引率を用いて現在価値に割り引いて算出しており、将来の市場の成長度合、収益と費用の予想、資産の予想使用期間等の前提条件を使用しています。
経営者は、減損の兆候及び減損損失の認識に関する判断、及び使用価値や公正価値の見積りに関する評価は合理的であると判断しています。ただし、これらの見積りには経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化などにより非金融資産の評価に関する見積りが変化した場合には、結果として将来当社及び連結子会社が追加で減損損失を認識する可能性もあります。
④ 退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、割引率、昇給率、退職率、死亡率等の前提条件を用いた年金数理計算により見積られます。特に割引率は、退職給付債務及び費用を決定する上で重要な前提条件であり、測定日時点における、従業員への給付が実行されるまでの予想平均期間に応じた優良債券の利回りに基づき決定しています。
経営者は、年金数理計算上用いられる前提条件と方法は適切であると判断しています。ただし、これらの前提条件には経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、前提条件と実際の結果が異なる場合、又は前提条件の変更がある場合には、当社及び連結子会社の退職給付債務及び費用に影響を与える可能性もあります。
⑤ 繰延税金資産の回収可能性
当社及び連結子会社における繰延税金資産の残高は多額であるため、繰延税金資産の回収可能性に関する評価は会計上の見積りにおいて重要なものとなっています。
当社及び連結子会社は、税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得を減算できる可能性が高いものに限り繰延税金資産を認識しています。繰延税金資産の回収可能性は毎連結会計年度末日に見直し、税務便益の実現が見込めないと判断される部分について減額しています。
経営者は、繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり行っている見積りは合理的であり、繰延税金資産が回収可能な額として計上されていると判断しています。ただし、これらの見積りには経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化などにより回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には、将来当社及び連結子会社が繰延税金資産を減額する可能性もあります。
(2) 当連結会計年度の業績の概況
当連結会計年度の経済環境としては、堅調な雇用・所得環境により個人消費が底堅く推移している米国経済が世界経済を牽引するも、米中貿易摩擦に伴う先行き懸念も影響して中国経済が減速した他、輸出の伸び悩みが継続した欧州経済や日本経済の成長が鈍化しました。
このような環境下、当連結会計年度の業績の概況は、以下のとおりとなりました。
① 収益
当連結会計年度の収益は、IFRS第15号の適用に伴い、財の移転を本人としての履行義務と認識して、対価の総額を収益として認識する取引が増加したことなどにより、前連結会計年度を8兆5,364億円(113%)上回る16兆1,038億円となりました。
② 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、豪州石炭事業における販売価格上昇による増加などにより、前連結会計年度を1,012億円(5%)上回る1兆9,878億円となりました。
③ 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度からほぼ横ばいの1兆4,033億円となりました。
④ 有価証券損益
当連結会計年度の有価証券損益は、海外洋上風力案件における売却・評価益などにより、前連結会計年度を155億円上回る199億円(利益)となりました。
⑤ 固定資産除・売却損益
当連結会計年度の固定資産除・売却損益は、資源関連資産の売却益などにより、前連結会計年度を32億円(8%)上回る441億円(利益)となりました。
⑥ 固定資産減損損失
当連結会計年度の固定資産減損損失は、前連結会計年度に計上した資源関連資産に係る減損損失の反動などにより、前連結会計年度から364億円(45%)改善し438億円となりました。
⑦ その他の損益-純額
当連結会計年度のその他の損益は、デリバティブの評価損益や為替関連損益の影響などにより、前連結会計年度を298億円下回る199億円(損失)となりました。
⑧ 金融収益
当連結会計年度の金融収益は、米ドル金利の上昇による受取利息の増加や資源関連投資先からの受取配当金の増加などにより、前連結会計年度を198億円(11%)上回る1,990億円となりました。
⑨ 金融費用
当連結会計年度の金融費用は、米ドル金利の上昇による支払利息の増加などにより、前連結会計年度から168億円(32%)負担増の691億円となりました。
⑩ 持分法による投資損益
当連結会計年度の持分法による投資損益は、千代田化工建設の工事損益悪化等による一過性損失やチリ鉄鉱石事業における減損損失などにより、前連結会計年度を741億円(35%)下回る1,373億円(利益)となりました。
⑪ 税引前利益
当連結会計年度の税引前利益は、上記の理由から、前連結会計年度を391億円(5%)上回る8,518億円となりました。
⑫ 法人所得税
当連結会計年度の法人所得税は、前連結会計年度からほぼ横ばいの2,060億円となりました。
⑬ 非支配持分に帰属する当期純利益
当連結会計年度の非支配持分に帰属する当期純利益は、前連結会計年度から48億円(10%)増加し、550億円となりました。
⑭ 当社の所有者に帰属する当期純利益
以上の結果、当連結会計年度の当社の所有者に帰属する当期純利益は、前連結会計年度を305億円(5%)上回る5,907億円となりました。これにより、ROEは10.7%となりました。
(3) 当連結会計年度のセグメント別業績概況
(以下「当期純利益」は、「当社の所有者に帰属する当期純利益」を指しています。)
① 地球環境・インフラ事業グループ
地球環境・インフラ事業グループは、電力、水、交通や、その他産業基盤となる環境・インフラ分野における事業及び関連する取引などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、IFRS第15号適用などにより、前連結会計年度から585億円(68%)増加し、1,442億円となりました。
売上総利益は、米州及び欧州電力事業における取引利益の増加などにより、前連結会計年度から56億円(15%)増加し、437億円となりました。
持分法による投資損益は、千代田化工建設における工事損益悪化等による一過性損失などにより、前連結会計年度から573億円減少し、200億円(損失)となりました。
当期純損失は363億円となり、前連結会計年度と比較して809億円の減少となりました。
② 新産業金融事業グループ
新産業金融事業グループは、企業投資、リース、不動産・都市開発、物流などの分野において、投資及び運用事業を行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、前連結会計年度から70億円(7%)減少し、944億円となりました。
売上総利益は、航空機関連事業における取引利益の減少などにより、前連結会計年度から61億円(12%)減少し、438億円となりました。
持分法による投資損益は、北米不動産事業における持分利益の増加などにより、20億円(7%)増加し、303億円となりました。
上記のほか、前連結会計年度に計上した保有不動産の交換益の反動などにより、当期純利益は367億円となり、前連結会計年度と比較して75億円(17%)の減少となりました。
③ エネルギー事業グループ
エネルギー事業グループは、天然ガス・石油の生産・開発事業、液化天然ガス(LNG)事業、原油・石油製品・炭素製品・LPG等の販売取引、新規エネルギー事業の企画開発などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、IFRS第15号適用などにより、前連結会計年度から2兆5,977億円(210%)増加し、3兆8,371億円となりました。
売上総利益は、販売価格上昇に伴う取引利益の増加などにより、前連結会計年度から277億円(50%)増加し、834億円となりました。
持分法による投資損益は、LNG関連事業における持分利益の増加などにより、215億円(49%)増加し、656億円となりました。
上記に加え、前連結会計年度に計上した一過性損失の反動や、受取配当金の増加などにより、当期純利益は1,109億円となり、前連結会計年度と比較して906億円(446%)の増加となりました。
④ 金属グループ
金属グループは、薄板・厚板などの鉄鋼製品、石炭・鉄鉱石などの鉄鋼原料、銅・アルミなどの非鉄金属の分野において、トレーディング、開発、投資などを通じて事業経営に携わっています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、IFRS第15号適用などにより、前連結会計年度から2兆9,047億円(284%)増加し、3兆9,264億円となりました。
売上総利益は、豪州石炭事業における販売価格上昇などにより、前連結会計年度から492億円(11%)増加し、5,020億円となりました。
持分法による投資損益は、チリ鉄鉱石事業における減損損失などにより、534億円減少し、199億円(損失)となりました。
上記のほか、資産入替に伴う利益などにより、当期純利益は2,636億円となり、前連結会計年度と比較して26億円(1%)の増加となりました。
⑤ 機械グループ
機械グループは、工作機械、農業機械、建設機械、鉱山機械、エレベーター、エスカレーター、船舶、宇宙航空関連機器、自動車などの幅広い分野において、販売、金融、物流、投資などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、IFRS第15号適用などにより、前連結会計年度から2,234億円(25%)増加し、1兆999億円となりました。
売上総利益は、アジア自動車事業における取引利益の増加などにより、前連結会計年度から187億円(10%)増加し、2,143億円となりました。
持分法による投資損益は、三菱自動車工業の持分法適用開始やアジア自動車事業における持分利益の増加などにより、338億円(117%)増加し、626億円となりました。
当期純利益は1,260億円となり、前連結会計年度と比較して408億円(48%)の増加となりました。
⑥ 化学品グループ
化学品グループは、原油、天然ガス、鉱物、植物、海洋資源などより生産されるエチレン、メタノール、塩といった基礎原料から、プラスチック、電子材料、食品素材、肥料や医農薬などの川下・川中製品まで、幅広い化学品の分野において、販売取引、事業開発、投資などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、IFRS第15号適用などにより、前連結会計年度から6,731億円(50%)増加し、2兆327億円となりました。
売上総利益は、前連結会計年度からほぼ横ばいの1,191億円となりました。
持分法による投資損益は、前連結会計年度の基礎化学事業における繰延税金負債計上等に伴う一過性損失の反動などにより、40億円(25%)増加し、202億円となりました。
当期純利益は381億円となり、前連結会計年度と比較して75億円(25%)の増加となりました。
⑦ 生活産業グループ
生活産業グループは、食料、衣料、日用品、ヘルスケアなど、消費者の生活に身近な分野で、原料の調達から、流通・小売に至るまでの幅広い領域において、商品・サービスの提供、事業開発などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、IFRS第15号適用などにより、前連結会計年度から2兆807億円(72%)増加し、4兆9,571億円となりました。
売上総利益は、前連結会計年度からほぼ横ばいの9,745億円となりました。
持分法による投資損益は、海外食品原料事業における減損損失などにより、前連結会計年度から256億円減少し、20億円(損失)となりました。
当期純利益は377億円となり、前連結会計年度と比較して370億円(50%)の減少となりました。
地域別情報は以下のとおりです。
① 日本
当連結会計年度の収益は、IFRS第15号の適用の影響などにより、前連結会計年度から4兆1,943億円(92%)増加し、8兆7,642億円となりました。
② シンガポール
当連結会計年度の収益は、IFRS第15号の適用の影響などにより、前連結会計年度から2兆514億円(3,113%)増加し、2兆1,173億円となりました。
③ アメリカ
当連結会計年度の収益は、IFRS第15号の適用の影響などにより、前連結会計年度から1兆215億円(123%)増加し、1兆8,548億円となりました。
④ その他地域
当連結会計年度の収益は、前連結会計年度から1兆2,691億円(60%)増加し、3兆3,675億円となりました。
(4) 当連結会計年度のセグメント別の事業環境
① 地球環境・インフラ事業グループ
当連結会計年度は、千代田化工建設における工事損益悪化等による一過性損失などにより、前連結会計年度と比較して減益となりました。
電力事業においては、欧州・米州・日本等の先進国を中心に電力自由化が進み、電力取引市場向け売電事業、分散型発電事業や電力小売り事業等、電力自由化市場の拡大と共に事業の取組機会が増加しました。また、世界的な脱化石燃料の動きが加速し、風力・太陽光を中心に再生可能エネルギーの導入が拡大しました。
環境関連事業においては、電気自動車やプラグイン・ハイブリッド車などの普及や蓄電などの産業用市場への広がりも加わって、リチウムイオン電池市場の景況は堅調に推移しました。また、低炭素社会の実現に向けた水素などの次世代エネルギーの開発が進展しました。
その他インフラ事業においても各分野総じて堅調に推移しました。プラントエンジニアリング事業は中長期的にはマクロ的なエネルギー需要は拡大する見込みであることから、新規プラント需要は着実に見込める事業環境にあると認識しています。また、交通インフラの需要も引き続き旺盛であり、事業環境は堅調に推移しました。水事業においては、アジア・中東・アフリカを中心に上下水処理・海水淡水化等のプラントに対する需要が引き続き堅調に推移しました。
② 新産業金融事業グループ
当連結会計年度は、前連結会計年度に計上した保有不動産の交換益の反動などにより、前連結会計年度と比較して減益となりました。
当グループの事業領域である不動産、リース、プライベートエクイティ、物流の各業界を取り巻く事業環境は、主要国における潜在成長率の低下及び中東や東アジア情勢の地政学的リスク、米中貿易摩擦に伴う景気の下振れなど一部足許の懸念要素はあったものの、米国を中心に財政面からの景気刺激策による下支え効果や資源国経済の回復、新興国の底堅い経済成長に支えられ、当グループの対面市場の景況は安定的に推移しました。
③ エネルギー事業グループ
当グループは天然ガス・石油の生産・開発事業、液化天然ガス(LNG)事業、原油・石油製品・炭素製品・LPG等の販売取引、新規エネルギー事業の企画開発などを行っています。
LNG事業においては、平成30年暦年の世界需要は前年比8%増の3.1億トンと過去最高を更新しました。特に世界第2位の輸入国である中国の需要は前年比38%増の54百万トンと大幅に増加しています。
石油事業においては、米中貿易摩擦による世界景気減速懸念を背景に原油価格(Brent)が一時1バレル当たり50ドル台まで下落しましたが、主要産油国による原油減産合意が継続され60ドル台まで上昇しました。
炭素事業においては、中国、インドを中心に鉄鋼需要が堅調に伸長する中で、特に中国においては環境規制強化により「地条鋼」といわれる粗悪な鋼材の生産設備の撤廃が進み電炉鋼の生産量も増えたことにより、電炉向けを中心に炭素材市況も堅調に推移しました。
当連結会計年度は、前連結会計年度に計上した一過性損失の反動や、LNG関連事業における持分利益、受取配当金の増加などにより、前連結会計年度と比較して大幅な増益となりました。
④ 金属グループ
当連結会計年度の鋼材・金属市況は、底堅い需要に支えられ、全般的に堅調に推移しました。
平成30年暦年の世界粗鋼生産量は前年比4.6%増の約18億トンとなり、2年連続で過去最高を更新しました。主な要因としては、国別生産量第1位で全世界粗鋼生産量の約半分を占める中国で、平成29年に違法鋼材である「地条鋼」が撤廃された分、高炉での粗鋼生産が増加し、前年比6.6%増の9.3億トンと過去最高を記録したこと、インドで旺盛なインフラ投資需要により、粗鋼生産量1.07億トンと前年比4.9%増加し、日本を抜き第2位に浮上したこと等があり、国別に事情は異なりますが、総じて好調な経済に支えられ生産量が増加しました。なお、第3位の日本は、災害による設備被害や生産不調が影響し、前年比0.3%減の1.04億トンとなりました。
また、鉄鋼原料であり、当グループの主力事業の1つである原料炭についても、堅調な粗鋼生産を背景に需給はタイトに推移しました。特に、秋から年末にかけて、豪州一部炭鉱の生産不調や出荷港の滞船長期化等の影響によって供給が制限され、価格が上昇しました。また、もう1つの主力事業である銅に関しても、市況価格には米中貿易摩擦等の経済要因の影響がみられたものの、需要は着実に伸長しました。
この様な事業環境下、当グループの当期純利益は、チリ鉄鉱石事業において減損損失などが発生した一方、資産入替に伴う利益を計上したことに加え、豪州石炭事業における販売価格上昇による持分利益の増加等により、前連結会計年度と比較して増益となりました。
⑤ 機械グループ
当連結会計年度は、三菱自動車工業の持分法適用開始による持分利益の増加やアジア自動車事業の好調などを受け、前連結会計年度と比較して大幅な増益となりました。
自動車関連事業は主力のタイ・インドネシア市場での販売台数増、国内レンタル事業は首都圏を中心とした大型再開発工事や老朽化インフラ更新事業による需要増、船舶事業は堅調な市況を受けての安定的な運航益獲得、産業設備事業は国内・米国等での工作機械販売好調、エレベーター事業はアセアン各国での安定的な保守収益の獲得など、各事業総じて堅調に推移しました。
⑥ 化学品グループ
当連結会計年度は、前連結会計年度の基礎化学事業における繰延税金負債計上等に伴う一過性損失の反動や、石油化学事業における取引利益の増加などにより、前連結会計年度と比較して増益となりました。
当連結会計年度の上期の化学品市況は堅調に推移しました。要因は前連結会計年度より継続しているアジア市場における堅調な需要に加え、中国において環境規制の強化が進み、排水・排ガス等の問題から供給側の一部生産設備の操業を停止したことや廃プラスチックの輸入が禁止され、追加の需要増が見られたこと等でした。一方下期は、米中貿易摩擦に端を発する中国経済の減速気運や、原油価格下落により、製品市況は下落基調となりました。
⑦ 生活産業グループ
当連結会計年度は、持続する日本経済の景気回復に支えられ、国内消費市場の景況感は比較的良好に推移しました。一方、インターネット通販の拡大やシェアリングエコノミーの浸透等を背景に、業態を超えて競争が激化しています。また、原料調達の領域においては、安心・安全な食糧資源へのニーズが益々高まっています。
当連結会計年度の当グループの当期純利益は、海外食品原料事業における減損損失の発生などにより、前連結会計年度と比較して減益となりました。
(5) 翌連結会計年度以降のセグメント別の事業環境の見通し
意図した事業ポートフォリオを構築し、成長力を一段と高めるため、収益の柱として自立可能な事業はグループとして独立させ、一方、業界での立ち位置の再定義により新たな展開が考えうる事業を統合するという考え方の下、当連結会計年度までの7グループ体制を、翌連結会計年度から10グループ体制へと改編します。
① 天然ガスグループ
当グループは北米、東南アジア、豪州、ロシアなどにおいて、天然ガス・原油の生産・開発事業、液化天然ガス(LNG)事業などを行っています。グループの柱となるLNG事業は、6ヵ国で11の生産中案件に参画している他、3つの建設中案件にも投資しています。当グループの天然ガス・原油の持分生産量は日量約24万バレル、保有埋蔵量は約17億バレルです(平成30年暦年実績)。
LNGは、エネルギー需要増や環境面での優位性などを背景として、今後もアジアを中心に需要拡大が見込まれており、引き続き成長が見込める事業領域と考えています。当グループは既存事業の強化及び新規事業への投資などを通じて事業拡大を進めていきます。なお、当グループの業績には原油価格が少なからぬ影響を与えます。翌連結会計年度の業績見通しの算出に際しては、原油価格の前提をDubai原油1バレル当たり65ドルとしています。ただし、原油価格の変動が当グループの業績に影響を及ぼすまでにはタイムラグがあるため、価格変動が直ちに業績に反映されるとは限りません。
② 総合素材グループ
当グループは、旧エネルギー事業グループの炭素本部、旧金属グループの鉄鋼製品本部、旧化学品グループの機能素材事業と旧生活産業グループの住宅資材事業を統合した機能素材本部の3本部で構成しています。自動車・モビリティや建設・インフラ等といった対面業界において、ニードルコークス、電極、鉄鋼製品、炭素繊維、塩化ビニール、硅砂、セメント等多岐にわたる素材の販売取引、事業開発、事業投資を行っています。
足許、当グループの取り巻く環境としては、新興国の経済成長が世界経済を牽引し、素材関連の需要や市況は底堅く推移していく見通しです。中長期的には、素材ニーズの多様化により見込まれる事業機会がある一方、競争が厳しさを増す業界環境において、当グループが対面業界の課題解決において貢献できる役割を再確認し、強みや機能を発揮できる事業への集中を進めていきます。
③ 石油・化学グループ
当グループは、原油・石油製品・LPG・エチレン・メタノール・塩・アンモニア・プラスチック・肥料等幅広い石油・化学関連分野において販売取引、事業開発、投資などを行っています。
今後も、アジア市場を中心とした需要の伸長が期待される一方、産油国を取り巻く環境や世界の経済成長等において、先行き不透明な状況が当面続くものと予想されます。中長期的には、低炭素社会への移行や、海洋プラスチック問題への対応等に代表される循環型社会の実現の重要性が更に増加し、構造変化は加速すると考えられます。その他、シェールガス革命を背景とした北米石油化学産業の台頭による構造変化(業界再編、設備統廃合等)、日本のガソリン需要減少に伴う石油製品の需給バランス変化等、業界を取り巻く環境は大きく変化することが予想されます。このような大きな変化を見据え、国内外にある中核事業投資先の更なる強化を図ると共に、石油・化学の総合力を活かした新規事業に取り組んでまいります。
④ 金属資源グループ
当グループでは、原料炭・銅を中核とし、世界最高水準のコスト競争力と品質を兼ね備えた優良資源を更に磨き、環境・安定供給の両面において長期的に持続可能なビジネスモデルを実現していきます。
当グループは原料炭、銅、鉄鉱石、アルミといった金属資源への投資・開発などを通じて事業経営に携わると共に、グローバルネットワークを通じた鉄鋼原料、非鉄原料・製品における質の高いサービスや機能を活かし、供給体制を強化しています。中長期的には、新興国を中心とする世界経済の成長により、金属資源・製品の需要・市況は今後も堅調に推移していく見通しです。
⑤ 産業インフラグループ
当グループは、産業基盤となるインフラ分野における事業や関連する取引、工作機械、農業機械、鉱山機械、エレベーター、エスカレーター、船舶、宇宙航空関連機器など幅広い分野における販売、金融、物流、投資などを行っています。
プラントエンジニアリング事業は、油価の動向に不透明感があるものの中長期的にはマクロ的なエネルギー需要は拡大する見込みであることから、新規プラント需要は着実に見込める事業環境にあると認識しています。
産業機械事業における国内レンタル事業では、東京オリンピック、老朽化インフラ対策等の建設投資が旺盛で高位安定しています。オリンピック後の令和2年以降も大都市圏の大型再開発工事や老朽化インフラ更新工事等の公共民間工事が計画されており、当面は堅調な建設投資を見込んでいます。ビルソリューション事業は、アセアン諸国の経済成長率は総じて緩やかな上昇基調にあり、建設・不動産需要動向と密接な関係があるエレベーター販売も引き続き着実な成長が見込まれます。工作機械事業は、昨今の中国景気減速や米中貿易摩擦による中国製品への制裁関税発動等動向を注視していく必要があります。
船舶関連事業は、撒積船事業では需要面で海上荷動きが米中貿易摩擦の影響等を受ける可能性はあるものの、全世界ベースでの需要に牽引されて底堅く推移すると見込まれ、荷動きと船腹量の需給バランスを慎重に見守っていきます。ガス船事業では環境対策・開発途上国の経済成長等に伴い世界的なLNG需要は引き続き増加が見込まれ、中長期的にはガス船需要は底堅い見通しです。
⑥ 自動車・モビリティグループ
当グループは、乗用車・商用車の販売や販売金融を中心に、生産、アフターサービスも含め一連のバリューチェーンに深く関与しています。既存のバリューチェーン事業を更に強化・拡張すると共に、アセアン・新興国を中心に更なる事業展開と一層の拡販に努めます。
主力のタイ・インドネシア市場の令和元年自動車需要は前年比ほぼ横ばいと予想されますが、引き続き両国事業の維持・強化を図ると共に、今後も中長期的な成長を目指し、中国・ロシア・インドなど他市場での販売強化にも取り組んで参ります。加えて、デジタル化やCASEの進展による業界構造変化を捉え、長年培ってきた機能と地域密着型のネットワークといった事業基盤を活かして、モビリティ・サービス事業への取り組みを進めて参ります。
⑦ 食品産業グループ
当グループは、食糧、生鮮品、生活消費財、食品素材などの「食」に関わる分野で、原料の生産・調達から製品製造に至るまでの幅広い領域において、販売取引、事業開発などを行っています。
国内消費市場は人口減少により縮小傾向にあるとみられますが、足許では堅調な雇用環境を受け、個人消費は底堅く推移すると共に、消費者の価値観や生活スタイルの変化などによって、新たな需要創出が期待できると捉えています。海外消費市場においては、米中間の通商問題に端を発した世界貿易量の伸び悩みは見受けられるものの、新興国を中心とした人口の増加や、中産階級の拡大に伴う家計支出の伸長に伴い、食品への需要は底堅く推移するものと予想しています。また、サステナビリティの追求などの「食」をめぐる社会的課題への関心は国内外問わず高まっており、それらの課題解決に繋がる事業モデルを持続可能な形で構築することで、当グループの成長を実現して参ります。
⑧ コンシューマー産業グループ
当グループは、リテイル、アパレル・S.P.A.、ヘルスケア・食品流通、物流の各領域において、消費社会における重要課題の解決に持続的に取り組むとともに、リアルとデジタルの融合を通じて、消費者にとって利用価値の高い小売・流通プラットフォームの構築を目指しています。
当グループの対面する消費市場においては、スマートフォンの普及やAI・IoT・ブロックチェーンなどの技術革新により、消費者ニーズは益々多様化・細分化すると予想されます。この様な環境認識の下、当グループでは消費者との幅広い接点を活かして、常に変化する消費者ニーズを的確に捉えた価値創出に取り組んでいきます。
⑨ 電力ソリューショングループ
当グループは、電力及び環境関連分野における事業や関連する取引などを行っています。
電力事業においては、先進国、新興国共に、再生可能エネルギーを中心とした事業機会の拡大が引き続き見込まれています。欧州では洋上風力発電を中心に更なる再生可能エネルギーの市場拡大が見込まれており、この動きは日本や米州にも拡大するものと予想されます。また、先進国では分散型発電事業や電力小売り事業等、新たなビジネスモデルへの取組機会が拡大しています。
環境関連事業においては、電気自動車やプラグイン・ハイブリッド車などの普及や蓄電などの産業用市場への広がりも加わって、リチウムイオン電池の市場規模の拡大が期待されます。また、低炭素社会の実現に向けた水素などの次世代エネルギーの開発が更に進むことが予想されます。
⑩ 複合都市開発グループ
当グループは、「都市開発」を軸に、これまで培ってきた不動産、インフラ、リース、企業投資等の様々な知見を複合的に組合せ、各国の社会ニーズに応じた、付加価値の高い、規模感のある都市開発事業の展開を目指します。
海外不動産関連事業は、特にアセアンでは、人口増加を背景に都市化が進み、政治動向も比較的安定していることから今後も経済成長が期待され、不動産市場の拡大や大規模な都市開発事業の機会増加が見込まれます。一方、米中貿易摩擦などの地政学的リスクは引続き注視が必要です。
国内不動産関連事業については、金融緩和策が当面維持される見通しであること等から堅調に推移していますが、投資対象物件の供給量の減少等から、物件取得に関しては厳しい競合環境が続く見通しです。
リース事業は、中国経済の減速等による設備投資の減少傾向がある一方、新興国を中心とした経済成長に伴う一定の設備投資、及びリース浸透率の増加等により、引続き堅調な市場拡大・需要増加が見込まれます。
プライベートエクイティ関連事業は、国内では、中堅・中小企業の事業承継ニーズや、大企業からのカーブアウトニーズが着実に増大しています。海外では、アセアンでの底堅い経済成長を背景とした成長資金ニーズの高まり、米国でのファンドを活用した成長戦略としてのM&Aの底堅い推移により更なる市場の拡大が期待されます。
都市インフラ関連事業は、空港、鉄道などの交通インフラでは世界各地の都市部の人口増加と経済成長に牽引されて需要が引続き旺盛です。また、データ流通と貯蔵の拡大を満たす新規デジタルインフラの整備が世界的に進められています。水事業の分野においても、アジア・中東・アフリカを中心に、上下水処理・海水淡水化等のプラントに対する需要は引続き堅調な見通しです。
(6) 販売、仕入及び受注の状況
① 販売の状況
「(2) 当連結会計年度の業績の概況」及び「第5 経理の状況 連結財務諸表注記事項 6. セグメント情報」を参照願います。
② 仕入の状況
仕入は販売と概ね連動しているため、記載は省略しています。
③ 受注の状況
販売までの期間が1年以内の受注は販売と概ね連動しているため、記載は省略しています。販売までの期間が1年超の受注については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記事項 24. 収益」を参照願います。
(7) 流動性と資金の源泉
① 資金調達方針と流動性マネジメント
当社では事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金が確保できることを目標として取り組んでいます。資金調達にあたっては、コマーシャル・ペーパーや社債等の直接金融と銀行借入等の間接金融とを機動的に選択・活用しており、その時々でのマーケット状況での有利手段を追求しています。当社は資本市場でのレピュテーションも高く、加えて間接金融についても、メガバンク以外に外銀・生保・地銀等の金融機関とも幅広く好関係を維持しており、調達コストは競争力のあるものとなっています。今後とも長期資金を中心とした資金調達を継続すると共に、十分な流動性の確保を行っていく方針です。
当連結会計年度の資金調達活動としては、前連結会計年度に引き続き、財務健全性の向上に努めつつ、外貨建社債等による調達を行いました。
これらの資金調達活動の結果、当連結会計年度末のグロス有利子負債残高は、前連結会計年度末から1,377億円増加し5兆921億円となり、このうち79%が長期資金となっています。有利子負債のうち、6,000億円はハイブリッドファイナンスであり、格付機関は残高の50%である3,000億円を資本と同等に扱っています。なお、当社単体のグロス有利子負債残高は3兆6,579億円であり、このうち長期資金は82%を占め、平均残存期間は約6年となっています。
翌連結会計年度は、引き続き資金調達ソースの多様化等を通じて、中長期的に安定した調達基盤を維持する方針です。また、連結ベースでの資金効率の向上に向けた取り組みも継続します。
金融市場の環境は、地政学的リスクや主要国の金融政策の変化等、引き続き予断を許さない状況のため、細心の注意を払って対処すべく、現預金等及び銀行融資枠(コミットメントライン)を十分に確保し、流動性を維持していきます。
連結ベースでの資金管理体制については、当社を中心に国内外の金融子会社、海外現地法人等において集中して資金調達を行い、子会社へ資金供給するというグループファイナンス方針を原則としています。結果として、当連結会計年度末では、連結有利子負債のうち81%が当社、国内外の金融子会社、海外現地法人等による調達となっています。今後も、連結経営の深化を見据え、連結ベースでの資金管理体制の更なる充実を図ります。
当連結会計年度末の流動比率は連結ベースでは137%となっており、流動性の点で当社の財務健全性は高いといえます。また、当連結会計年度末時点の当社、米国三菱商事、Mitsubishi Corporation Finance、MC Finance & Consulting Asia、MC Finance AustraliaでCP及び1年以内に償還を予定している社債を合わせた短期の市場性資金が5,182億円あるのに対して、現預金、フィーを支払って確保しているコミットメントライン、一年以内に満期の到来する公社債が合計で1兆3,336億円あり、カバー超過額は8,154億円と十分な水準にあると考えています。なお、当社のコミットメントラインについては、円貨で5,100億円を国内主要銀行より、外貨で主要通貨10億米ドル、ソフトカレンシー1.5億米ドル相当を欧米を中心とした国内外の主要銀行より取得しています。
当社ではグローバルな資金調達とビジネスを円滑に行うため、格付投資情報センター(R&I)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(ムーディーズ)、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の3社から格付けを取得しています。3社の令和元年5月時点の当社に対する格付け(長期/短期)は、R&IがAA-/a-1+(見通し安定的)、ムーディーズがA2/P-1(見通し安定的)、S&PがA/A-1(見通し安定的)となっています。
② 資産及び負債・資本
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より4,958億円(3%)増加し、16兆5,328億円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末より2,601億円(4%)増加し、7兆389億円となりました。これは、株式会社ローソン銀行の開業などに伴い現金及び現金同等物が増加したことや、取引数量の増加などに伴い営業債権及びその他の債権が増加したことなどによるものです。
非流動資産は、前連結会計年度末より2,357億円(3%)増加し、9兆4,939億円となりました。これは、株式追加取得などにより持分法で会計処理される投資が増加したことなどによるものです。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末より1,241億円(1%)増加し、9兆8,959億円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末より2,368億円(5%)増加し、5兆1,537億円となりました。これは、新規資金調達などにより社債及び借入金が増加したことや、取引数量の増加などに伴い、営業債務及びその他の債務が増加したことなどによるものです。
非流動負債は、前連結会計年度末より1,126億円(2%)減少し、4兆7,422億円となりました。これは、主に短期への振替により社債及び借入金が減少したことなどによるものです。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末より3,717億円(6%)増加し、6兆6,369億円となりました。
当連結会計年度末の当社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末より3,638億円(7%)増加し、5兆6,962億円となりました。これは、連結純利益の積み上がりがあったことなどによるものです。
また、非支配持分は、前連結会計年度末より79億円(1%)増加し、9,407億円となりました。
有利子負債総額から現金及び現金同等物や定期預金を控除したネット有利子負債は、前連結会計年度末より94億円(0%)増加し、3兆7,236億円となりました。
③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,551億円増加し、1兆1,606億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動により資金は6,527億円増加しました。これは、運転資金の負担増や法人所得税の支払いなどがあったものの、営業収入や配当収入などにより資金が増加したものです。
また、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、法人所得税の支払い増加に加え、運転資金の負担増などにより、前連結会計年度と比較して898億円の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動により資金は2,737億円減少しました。これは、上場有価証券の売却、豪州石炭事業における事業の売却、航空機リース事業における固定資産売却及び貸付金の回収などによる収入があったものの、ペルー銅鉱山権益の追加取得、設備投資、自動車用タイヤ事業会社の株式取得などによる支出により資金が減少したものです。
また、当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、豪州石炭事業における事業売却などにより、前連結会計年度と比較して、439億円の増加となりました。
以上の結果、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計であるフリーキャッシュ・フローは3,790億円の資金増となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動により資金は2,275億円減少しました。これは、運転資金需要増に伴う借入金の調達があったものの、借入金の返済や配当金の支払などにより資金が減少したものです。
また、当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、運転資金需要増に伴う借入金の調達などにより、前連結会計年度と比較して、3,268億円の増加となりました。
(8) 経営戦略の進捗状況
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照願います。