四半期報告書

【提出】
2021/11/12 15:14
【資料】
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【項目】
41項目
(以下「四半期純利益」は「当社の所有者に帰属する四半期純利益」を指しています。)
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社及び連結子会社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目の詳細は、第4 経理の状況 要約四半期連結財務諸表注記4をご参照ください。
(2) 業績
当第2四半期連結累計期間の経済環境は、中国、米国に続いて、欧州でも新型コロナウイルス禍からの経済活動の正常化が進みました。日本は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然厳しい状況にありつつも、世界経済回復を背景に景気は持ち直しの動きが続きました。新興国経済も総じて持ち直しに転じましたが、一部の国では感染再拡大に伴う経済回復の遅れも見られました。
このような環境の下、当第2四半期連結累計期間の収益は、市況好転による価格上昇及び取引数量の増加などにより、前第2四半期連結累計期間を1兆9,984億円(35%)上回る7兆7,267億円となりました。
売上総利益は、豪州原料炭事業や鮭鱒養殖事業における市況好転及び鉄鋼製品事業における販売価格の上昇などにより、前第2四半期連結累計期間を1,166億円(15%)上回る8,778億円となりました。
販売費及び一般管理費は、前第2四半期連結累計期間からほぼ横ばいの6,869億円となりました。
有価証券損益は、航空機リース事業会社売却方針に伴う減損損失の一方、ファンド評価益の改善などにより、前第2四半期連結累計期間を117億円(70%)上回る285億円(利益)となりました。
固定資産減損損失は、前第2四半期連結累計期間からほぼ横ばいの31億円となりました。
その他の損益は、市況好転による生物資産の評価損益の変動などにより、前第2四半期連結累計期間から260億円改善し、202億円(利益)となりました。
金融収益は、資源関連投資先からの受取配当金の増加などにより、前第2四半期連結累計期間を473億円(106%)上回る918億円となりました。
金融費用は、米ドル金利の低下などにより、前第2四半期連結累計期間から35億円(14%)減少し、215億円となりました。
持分法による投資損益は、三菱自動車工業における前年同期に計上した減損損失の反動や販売台数の回復、及び複数事業における市況好転による持分損益の改善などにより、前第2四半期連結累計期間を1,503億円(378%)上回る1,901億円(利益)となりました。
これらの結果、税引前利益は、前第2四半期連結累計期間を3,559億円(248%)上回る4,994億円となりました。
以上により、四半期純利益は、前第2四半期連結累計期間を2,739億円(316%)上回る3,606億円となりました。
事業セグメント別の業績を示すと次のとおりです。
a.天然ガス
天然ガスグループは、北米、東南アジア、豪州、ロシアなどにおいて、天然ガス・原油の開発・生産事業、液化天然ガス(LNG)事業などを行っています。
当第2四半期連結累計期間の四半期純利益は403億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して317億円の増加となりました。これは、LNG関連事業における受取配当金や北米シェールガス事業における持分利益の改善などにより増益となったものです。
b.総合素材
総合素材グループは、自動車・モビリティや建設・インフラなどといった対面業界において、セメント・生コン、硅砂、炭素材、塩ビ・化成品、鉄鋼製品など多岐にわたる素材の販売取引、事業開発、事業投資を行っています。
当第2四半期連結累計期間の四半期純利益は208億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して213億円の改善となりました。これは、鉄鋼製品事業や北米樹脂建材事業における持分利益の増加などによるものです。
c.石油・化学ソリューション
石油・化学ソリューショングループは、原油、石油製品、LPG、エチレン、メタノール、塩、アンモニア、プラスチック、肥料など幅広い石油・化学関連分野において、販売取引、事業開発、投資などを行っています。
当第2四半期連結累計期間の四半期純利益は206億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して71億円の増加となりました。これは、LPG事業や石油化学事業における持分利益の増加などにより増益となったものです。
d.金属資源
金属資源グループは、原料炭、銅、鉄鉱石、アルミといった金属資源への投資・開発などを通じて事業経営に携わると共に、グローバルネットワークを通じた鉄鋼原料、非鉄原料・製品における質の高いサービスや機能を活かし、供給体制を強化しています。
当第2四半期連結累計期間の四半期純利益は1,427億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して1,074億円の増加となりました。これは、豪州原料炭事業における市況上昇による影響や鉄鉱石事業における持分利益の増加、及び銅事業における受取配当金の増加などにより増益となったものです。
e.産業インフラ
産業インフラグループは、エネルギーインフラ、産業プラント、建設機械、工作機械、農業機械、エレベーター、エスカレーター、ファシリティマネジメント、船舶、宇宙航空関連機器など幅広い分野における事業及び関連する取引などを行っています。
当第2四半期連結累計期間の四半期純利益は123億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して14億円の減少となりました。これは、一般商船事業における持分利益の増加の一方、千代田化工建設における一過性損失などにより減益となったものです。
f.自動車・モビリティ
自動車・モビリティグループは、乗用車・商用車の販売や販売金融を中心に、生産、アフターサービスも含め一連のバリューチェーン事業に深く関与しています。また、ヒトやモノの移動に関する課題を解決するモビリティ関連事業に取り組んでいます。
当第2四半期連結累計期間の四半期純利益は520億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して734億円の改善となりました。これは、前年同期に計上した三菱自動車工業における一過性損失の反動に加え、三菱自動車工業やアジア自動車事業における持分利益の増加などによるものです。
g.食品産業
食品産業グループは、食糧、生鮮品、生活消費財、食品素材などの「食」に関わる分野で、原料の生産・調達から製品製造に至るまでの幅広い領域において、販売取引、事業開発などを行っています。
当第2四半期連結累計期間の四半期純利益は434億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して221億円の増加となりました。これは、鮭鱒養殖事業における持分利益の改善などにより増益となったものです。
h.コンシューマー産業
コンシューマー産業グループは、小売・流通、物流、ヘルスケア、衣料、タイヤ他の各領域において、商品・サービスの提供、事業開発などを行っています。
当第2四半期連結累計期間の四半期純利益は173億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して149億円の増加となりました。これは、CVS事業やタイヤ関連事業における持分利益の増加などにより増益となったものです。
i.電力ソリューション
電力ソリューショングループは、国内外の産業の基盤である電力・水関連事業における幅広い分野に取り組んでいます。具体的には、発・送電事業、電力トレーディング、電力小売事業等に加え、リチウムイオン電池の製造や、分散電源事業等の電池サービス事業、水素エネルギー開発等を行っています。
当第2四半期連結累計期間の四半期純利益は53億円(損失)となり、前第2四半期連結累計期間と比較して62億円の悪化となりました。これは、発電資産等の売却益の減少や海外電力事業における持分利益の減少などによるものです。
j.複合都市開発
複合都市開発グループは、都市開発・不動産、企業投資、リース、インフラなどの分野において、開発事業、運用・運営を行っています。
当第2四半期連結累計期間の四半期純利益は156億円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して99億円の増加となりました。これは、航空機リース事業会社売却方針に伴う減損損失等の一方、ファンド評価益の増加やリース事業における統合関連利益などにより増益となったものです。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ460億円増加し、1兆3,638億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において、営業活動により資金は3,548億円増加しました。これは、運転資金負担の増加や法人所得税の支払いなどがあったものの、営業収入や配当収入などにより資金が増加したものです。
また、前第2四半期連結累計期間と比較して2,628億円の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において、投資活動により資金は1,397億円減少しました。これは、関連会社への投資やその他の投資の売却などによる収入があったものの、設備投資、関連会社への投資や融資などによる支出により、資金が減少したものです。
また、前第2四半期連結累計期間と比較して742億円の増加となりました。
投資キャッシュ・フローの主な内容及びセグメントは以下のとおりです。
新規・更新投資
・豪州原料炭事業(金属資源)
・銅事業(金属資源)
・北米不動産事業(複合都市開発)
・LNG関連事業(天然ガス)
・欧州総合エネルギー事業(電力ソリューション)
・CVS事業(コンシューマー産業)
売却及び回収
・北米シェールガス事業(天然ガス)
・北米不動産事業(複合都市開発)
以上の結果、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計であるフリーキャッシュ・フローは2,151億円の資金増となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において、財務活動により資金は1,744億円減少しました。これは、運転資金需要増などに伴う資金調達があったものの、リース負債の返済や配当金の支払い、長期借入債務の返済などにより資金が減少したものです。
また、前第2四半期連結累計期間と比較して175億円の増加となりました。
配当は持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を行う方針としています。負債による資金調達は、流動性と財務健全性の観点で適切な水準を維持する方針としています。
また、上記の財務会計上の営業キャッシュ・フローとは別に、将来の新規投資や株主還元などの原資を適切に表す
べく、運転資金の増減影響を控除した営業キャッシュ・フローに、事業活動における必要資金であるリース負債支
払額を反映した「営業収益キャッシュ・フロー(リース負債支払後)」と、更に投資活動によるキャッシュ・フ
ローを加えた「調整後フリーキャッシュ・フロー」を定義しています。
営業収益キャッシュ・フロー(リース負債支払後)は、当第2四半期連結累計期間において4,932億円の資金増となりました。
また、前第2四半期連結累計期間と比較して2,641億円の増加となりました。
この結果、調整後フリーキャッシュ・フローは、3,535億円の資金増となりました。
(4) 事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題
前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」について重要な変更があった事項は次のとおりです。
a.中期経営戦略2021の進捗
2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた一方で、デジタル化、低・脱炭素社会に向けた潮流が加速する中、重要課題であるデジタルトランスフォーメーション(DX)、エネルギートランスフォーメーション(EX)を一体で推進しました。
2021年度の連結純利益の見通しについては、5月7日に3,800億円と公表していましたが、金属資源セグメントにおける資源価格の上昇に加え、自動車関連事業やLNG関連事業をはじめとする各事業の堅調な業績などを踏まえ、11月5日に7,400億円に上方修正しました。また、1株当たり配当見通しについても、上方修正に合わせて、5月7日公表の期初見通し134円から8円増配の142円に修正しました。
b. カーボンニュートラル社会の実現に向けて
当社は2021年10月に温室効果ガス(GHG)排出量の新たな削減目標と、EX関連投資に関する指針を策定しました。資源・エネルギーを始めとする様々な事業に携わってきた当事者として、天然ガスなどのエネルギーの安定供給責任を果たしつつ、地球規模の共通課題であるカーボンニュートラル社会実現との両立に取り組んで参ります。
(カーボンニュートラル社会へのロードマップ)
・GHG排出量の削減目標:2030年度半減(2020年度比)/2050年ネットゼロ
・EX関連投資:2030年度までに2兆円規模
・EX・DX一体推進による「新たな未来創造」
(5) 研究開発活動
特に記載すべき事項はありません。
(6) 流動性と資金の源泉
当社では事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金が確保できることを目標として取り組んでいます。資金調達にあたっては、コマーシャル・ペーパーや社債等の直接金融と銀行借入等の間接金融とを機動的に選択・活用しており、その時々でのマーケット状況での有利な手段を追求しています。当社は資本市場でのレピュテーションも高く、加えて間接金融についても、メガバンク以外に外銀・生保・地銀等の金融機関とも幅広く良好な関係を維持しており、調達コストは競争力のあるものとなっています。今後とも長期資金を中心とした資金調達を継続するとともに、十分な流動性の確保を行っていく方針です。
当第2四半期連結会計期間末の連結ベースでのグロス有利子負債残高(リース負債除く)は、前連結会計年度末から976億円増加し5兆7,419億円となり、このうち82%が長期資金となっています。有利子負債(リース負債除く)のうち、6,000億円はハイブリッドファイナンスであり、格付機関は残高の50%である3,000億円を資本と同等に扱っています。また、現預金の残高は、前連結会計年度末から486億円増加し1兆5,145億円となっています。当第2四半期連結会計期間末の流動比率は連結ベースで127%となっており、流動性の点で財務健全性は高いと考えています。
(注意事項)
当報告書の将来の予測などに関する記述は、当四半期連結累計期間の末日現在において入手された情報に基づき合理的に判断した予想です。従いまして、潜在的なリスクや不確実性その他の要因が内包されており、実際の結果と大きく異なる場合があります。