有価証券報告書

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2020/06/19 15:44
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104項目
(1) 重要な会計方針及び見積り
財務諸表の作成にあたり、経営者は、決算日における資産及び負債の報告金額、偶発資産及び負債の開示、報告期間における収益及び費用の報告金額に影響を与える様な見積りを行う必要があります。見積りは、過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき行っており、他の情報源からは得られない資産及び負債の帳簿価額について当社及び連結子会社の判断の基礎となっています。経営者は見積りが必要となる項目に関する評価は合理的であると判断しています。ただし、これらの評価には経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、見積りと将来の実績が異なることもあります。
当社及び連結子会社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目の詳細は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記事項 2. 作成の基礎 (5)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」をご参照ください。
(2) 当連結会計年度の業績の概況
当連結会計年度の経済環境としては、世界経済の減速基調が続く中で、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が発生し、日米欧などの先進国の経済成長率が押し下げられました。米中貿易摩擦などを背景に中国の成長率は低下し、インドは景気減速に直面するなど、新興国にも下振れが見られました。
このような環境下、当連結会計年度の業績の概況は、以下のとおりとなりました。当連結会計年度における主な取り組みや、経営環境に関しては、「1 経営戦略、経営方針及び対処すべき課題」の「2.中経経営戦略2021の進捗」及び「3.当連結会計年度のセグメント別の事業環境と翌連結会計年度以降の見通し」もご参照ください。
① 収益
当連結会計年度の収益は、石油化学事業における取引数量減少や市況下落に伴う販売価格の下落の影響などにより、前連結会計年度を1兆3,241億円(8%)下回る14兆7,797億円となりました。
② 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、豪州原料炭事業における市況下落や生産コストの上昇、及び原油デリバティブ取引関連の損失などにより、前連結会計年度を1,987億円(10%)下回る1兆7,891億円となりました。
③ 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度からほぼ横ばいの1兆4,312億円となりました。
④ 有価証券損益
当連結会計年度の有価証券損益は、電力事業や食品産業事業における関係会社株式の売却益、及び評価益などにより、前連結会計年度を470億円(236%)上回る669億円(利益)となりました。
⑤ 固定資産除・売却損益
当連結会計年度の固定資産除・売却損益は、前連結会計年度に計上した資源関連資産に係る売却益の反動などにより、前連結会計年度を442億円下回る1億円(損失)となりました。
⑥ 固定資産減損損失
当連結会計年度の固定資産減損損失は、前連結会計年度に計上した探鉱開発資産に係る減損損失の反動などにより、前連結会計年度から109億円(25%)改善し329億円となりました。
⑦ その他の損益-純額
当連結会計年度のその他の損益は、為替関連損益の変動などにより、前連結会計年度から57億円(29%)悪化し、256億円(損失)となりました。
⑧ 金融収益
当連結会計年度の金融収益は、資源関連投資先からの受取配当金の減少などにより、前連結会計年度を257億円(13%)下回る1,733億円となりました。
⑨ 金融費用
当連結会計年度の金融費用は、前連結会計年度からほぼ横ばいの700億円となりました。
⑩ 持分法による投資損益
当連結会計年度の持分法による投資損益は、三菱自動車工業宛て投資の減損による減少があったものの、前連結会計年度に計上した千代田化工建設の工事損益悪化等による一過性損失や、チリ鉄鉱石事業における一過性損失の反動などにより、前連結会計年度を420億円(31%)上回る1,793億円(利益)となりました。
⑪ 税引前利益
当連結会計年度の税引前利益は、上記の理由から、前連結会計年度を2,029億円(24%)下回る6,489億円となりました。
⑫ 法人所得税
当連結会計年度の法人所得税は、税引前利益の減少及びチリ銅事業再編に伴う繰延税金資産の計上などにより、前連結会計年度を1,493億円(72%)下回る567億円となりました。
⑬ 非支配持分に帰属する当期純利益
当連結会計年度の非支配持分に帰属する当期純利益は、前連結会計年度から18億円(3%)増加し、568億円となりました。
⑭ 当社の所有者に帰属する当期純利益
以上の結果、当連結会計年度の当社の所有者に帰属する当期純利益は、前連結会計年度を553億円(9%)下回る5,354億円となりました。これにより、ROEは9.8%となりました。
(3) 当連結会計年度のセグメント別業績概況
(以下「当期純利益」は、「当社の所有者に帰属する当期純利益」を指しています。)
① 天然ガスグループ
天然ガスグループは、北米、東南アジア、豪州、ロシアなどにおいて、天然ガス・原油の生産・開発事業、液化天然ガス(LNG)事業などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、LNG関連事業における販売価格下落の影響などにより、前連結会計年度から1,400億円(20%)減少し、5,458億円となりました。
売上総利益は、LNG関連事業における販売価格下落に伴う取引利益の減少などにより、前連結会計年度から83億円(28%)減少し、209億円となりました。
持分法による投資損益は、LNG関連事業における持分利益の減少や北米シェールガス事業における一過性損失などにより、前連結会計年度から309億円(49%)減少し、324億円となりました。
上記のほか、前連結会計年度に計上した資産入替に伴う一過性損失の反動があったものの、当期純利益は703億円となり、前連結会計年度と比較して191億円(21%)の減少となりました。
② 総合素材グループ
総合素材グループは、自動車・モビリティや建設・インフラなどといった対面業界において、炭素、鉄鋼製品、機能素材など多岐にわたる素材の販売取引、事業開発、事業投資を行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、鉄鋼製品事業における事業再編に伴い一部子会社が持分法適用先となった影響などにより、前連結会計年度から2,633億円(12%)減少し、1兆9,676億円となりました。
売上総利益は、鉄鋼製品事業における取引利益の減少などにより、前連結会計年度から247億円(15%)減少し、1,401億円となりました。
持分法による投資損益は、炭素事業における持分利益の減少などにより、35億円(32%)減少し、76億円となりました。
当期純利益は261億円となり、前連結会計年度と比較して92億円(26%)の減少となりました。
③ 石油・化学グループ
石油・化学グループは、原油、石油製品、LPG、エチレン、メタノール、塩、アンモニア、プラスチック、肥料など幅広い石油・化学関連分野において、販売取引、事業開発、投資などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、石油化学事業における取引減少や販売価格下落の影響などにより、前連結会計年度から7,838億円(16%)減少し、4兆330億円となりました。
売上総利益は、シンガポールの原油・石油製品トレーディング会社における原油デリバティブ取引関連の一過性損失343億円を「原価」等に計上したことなどにより、前連結会計年度から485億円(44%)減少し、606億円となりました。
持分法による投資損益は、石油化学事業における持分利益の減少などにより、82億円(50%)減少し、81億円となりました。
当期純損失は120億円となり、前連結会計年度と比較して478億円の減少となりました。
④ 金属資源グループ
金属資源グループは、原料炭、銅、鉄鉱石、アルミといった金属資源への投資・開発などを通じて事業経営に携わると共に、グローバルネットワークを通じた鉄鋼原料、非鉄原料・製品における質の高いサービスや機能を活かし、供給体制を強化しています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、豪州原料炭事業における市況下落や豪州一般炭権益売却による事業収益の減少などにより、前連結会計年度から1,880億円(10%)減少し、1兆7,433億円となりました。
売上総利益は、豪州原料炭事業における市況下落や生産コスト上昇、豪州一般炭権益売却による事業収益の減少などにより、前連結会計年度から1,388億円(37%)減少し、2,386億円となりました。
持分法による投資損益は、前連結会計年度に計上したチリ鉄鉱石事業における減損損失の反動などにより、408億円増加し、153億円となりました。
上記のほか、チリ銅事業再編に伴う一過性利益767億円を「法人所得税」に計上した一方、海外製錬事業における減損損失などにより、当期純利益は2,123億円となり、前連結会計年度と比較して402億円(16%)の減少となりました。
⑤ 産業インフラグループ
産業インフラグループは、エネルギーインフラ、産業プラント、工作機械、農業機械、鉱山機械、エレベーター、エスカレーター、船舶、宇宙航空関連機器など幅広い分野における事業及び関連する取引などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、千代田化工建設子会社化に伴う増加などにより、前連結会計年度から1,560億円(44%)増加し、5,126億円となりました。
売上総利益は、千代田化工建設子会社化に伴う増加などにより、前連結会計年度から106億円(13%)増加し、944億円となりました。
持分法による投資損益は、前連結会計年度に計上した千代田化工建設関連一過性損失の反動などにより、683億円増加し、291億円となりました。
当期純利益は414億円となり、前連結会計年度と比較して818億円の増加となりました。
⑥ 自動車・モビリティグループ
自動車・モビリティグループは、乗用車・商用車の販売や販売金融を中心に、生産、アフターサービスも含め一連のバリューチェーン事業に深く関与しています。また、ヒトやモノの移動に関する課題を解決するモビリティ関連事業に取り組んでいます。
当連結会計年度において、当グループの収益は、前連結会計年度から726億円(9%)減少し、7,111億円となりました。
売上総利益は、前連結会計年度から47億円(4%)減少し、1,295億円となりました。
持分法による投資損益は、三菱自動車工業宛て投資の減損損失及び持分利益の減少などにより、651億円減少し、109億円(損失)となりました。
当期純利益は196億円となり、前連結会計年度と比較して776億円(80%)の減少となりました。
⑦ 食品産業グループ
食品産業グループは、食糧、生鮮品、生活消費財、食品素材などの「食」に関わる分野で、原料の生産・調達から製品製造に至るまでの幅広い領域において、販売取引、事業開発などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、前連結会計年度から767億円(4%)減少し、1兆6,994億円となりました。
売上総利益は、前連結会計年度から27億円(1%)減少し、2,550億円となりました。
持分法による投資損益は、前連結会計年度に計上した海外食品原料事業における減損損失の反動などにより、前連結会計年度から276億円増加し、186億円となりました。
上記のほか、海外食品事業における一過性利益などにより、当期純利益は532億円となり、前連結会計年度と比較して433億円(437%)の増加となりました。
⑧ コンシューマー産業グループ
コンシューマー産業グループは、リテイル、アパレル・S.P.A.、ヘルスケア・食品流通、物流の各領域において、商品・サービスの提供、事業開発などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、前連結会計年度から584億円(2%)増加し、3兆4,078億円となりました。
売上総利益は、前連結会計年度から112億円(1%)増加し、7,631億円となりました。
持分法による投資損益は、TOYO TIREの持分法適用開始に伴う増加などにより、前連結会計年度から44億円(55%)増加し、124億円となりました。
上記のほか、CVS事業における不採算店舗の閉鎖増や、物流事業における前連結会計年度の倉庫売却益の反動に伴う持分利益の減少などにより、当期純利益は227億円となり、前連結会計年度と比較して88億円(28%)の減少となりました。
⑨ 電力ソリューショングループ
電力ソリューショングループは、発電・送電事業、電力トレーディング事業、電力小売事業や発送電関連機器・設備の販売に取り組むと共に、リチウムイオン電池の開発・製造・販売事業、電池サービス事業、次世代エネルギー(水素等)の開発などを行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、前連結会計年度から61億円(8%)増加し、819億円となりました。
売上総利益は、米州電力事業における取引利益の増加などにより、前連結会計年度から42億円(11%)増加し、411億円となりました。
持分法による投資損益は、海外電力事業における持分利益の増加などにより、前連結会計年度から36億円(14%)増加し、294億円となりました。
上記のほか、Eneco子会社化に伴う評価益などにより、当期純利益は515億円となり、前連結会計年度と比較して184億円(56%)の増加となりました。
⑩ 複合都市開発グループ
複合都市開発グループは、都市開発・不動産、企業投資、リース、インフラなどの分野において、開発事業、運用・運営を行っています。
当連結会計年度において、当グループの収益は、交通EPC取引の減少などにより、前連結会計年度から202億円(24%)減少し、651億円となりました。
売上総利益は、国内不動産事業における物件売却益の増加などにより、前連結会計年度から24億円(7%)増加し、382億円となりました。
持分法による投資損益は、リース事業や北米不動産事業における持分利益の増加などにより、前連結会計年度から58億円(18%)増加し、376億円となりました。
当期純利益は343億円となり、前連結会計年度と比較して19億円(6%)の増加となりました。
(4) 販売、仕入及び受注の状況
① 販売の状況
「(2) 当連結会計年度の業績の概況」及び「第5 経理の状況 連結財務諸表注記事項 6. セグメント情報」を参照願います。
② 仕入の状況
仕入は販売と概ね連動しているため、記載は省略しています。
③ 受注の状況
販売までの期間が1年以内の受注は販売と概ね連動しているため、記載は省略しています。販売までの期間が1年超の受注については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記事項 24. 収益」を参照願います。
(5) 流動性と資金の源泉
① 資金調達方針と流動性マネジメント
当社では事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金が確保できることを目標として取り組んでいます。資金調達にあたっては、コマーシャル・ペーパーや社債等の直接金融と銀行借入等の間接金融とを機動的に選択・活用しており、その時々でのマーケット状況での有利手段を追求しています。当社は資本市場でのレピュテーションも高く、加えて間接金融についても、メガバンク以外に外銀・生保・地銀等の金融機関とも幅広く好関係を維持しており、調達コストは競争力のあるものとなっています。今後とも長期資金を中心とした資金調達を継続すると共に、十分な流動性の確保を行っていく方針です。当連結会計年度の資金調達活動としては、前連結会計年度に引き続き、財務健全性の向上に努めつつ、外貨建社債等による調達を行いました。
これらの資金調達活動の結果、当連結会計年度末のグロス有利子負債(リース負債除く)残高は、前連結会計年度末から6,680億円増加し5兆7,601億円となり、このうち81%が長期資金となっています。有利子負債のうち、6,000億円はハイブリッドファイナンスであり、格付機関は残高の50%である3,000億円を資本と同等に扱っています。なお、当社単体のグロス有利子負債残高は4兆1,578億円であり、このうち長期資金は76%を占め、平均残存期間は約6年となっています。
翌連結会計年度は、引き続き資金調達ソースの多様化等を通じて、中長期的に安定した調達基盤を維持する方針です。また、連結ベースでの資金効率の向上に向けた取り組みも継続します。
金融市場の環境は、地政学的リスクや主要国の金融政策の変化等、引き続き予断を許さない状況のため、細心の注意を払って対処すべく、現預金等及び銀行融資枠(コミットメントライン)を十分に確保し、流動性を維持していきます。
連結ベースでの資金管理体制については、当社を中心に国内外の金融子会社、海外現地法人等において集中して資金調達を行い、子会社へ資金供給するというグループファイナンス方針を原則としています。結果として、当連結会計年度末では、連結有利子負債のうち81%が当社、国内外の金融子会社、海外現地法人等による調達となっています。今後も、連結経営の深化を見据え、連結ベースでの資金管理体制の更なる充実を図ります。
当連結会計年度末の流動比率は連結ベースでは130%となっており、流動性の点で当社の財務健全性は高いといえます。また、当連結会計年度末時点の当社、米国三菱商事、Mitsubishi Corporation Finance、MC Finance & Consulting Asia、MC Finance AustraliaでCP及び1年以内に償還を予定している社債を合わせた短期の市場性資金が5,382億円あるのに対して、現預金、フィーを支払って確保しているコミットメントライン、一年以内に満期の到来する公社債が合計で1兆3,286億円あり、カバー超過額は7,904億円と十分な水準にあると考えています。なお、当社のコミットメントラインについては、協調融資枠として円貨で5,100億円を国内主要銀行より、外貨で主要通貨10億米ドル、ソフトカレンシー1.5億米ドル相当を欧米を中心とした国内外の主要銀行より取得しています。
当社ではグローバルな資金調達とビジネスを円滑に行うため、格付投資情報センター(R&I)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(ムーディーズ)、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の3社から格付けを取得しています。3社の2020年5月時点の当社に対する格付け(長期/短期)は、R&IがAA-/a-1+(見通し安定的)、ムーディーズがA2/P-1(見通しネガティブ)、S&PがA/A-1(見通し安定的)となっています。
② 資産及び負債・資本
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より1兆5,169億円(9%)増加し、18兆497億円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末より1,015億円(1%)減少し、6兆9,374億円となりました。これは、石油化学事業における取引数量の減少などに伴い営業債権及びその他の債権が減少したことなどによるものです。
非流動資産は、前連結会計年度末より1兆6,184億円(17%)増加し、11兆1,123億円となりました。これは、IFRS第16号「リース」の適用に伴い使用権資産が増加したことや、千代田化工建設及びEneco子会社化などに伴い無形資産及びのれんが増加したことなどによるものです。当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末より1兆9,369億円(20%)増加し、11兆8,328億円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末より1,926億円(4%)増加し、5兆3,463億円となりました。これは、IFRS第16号「リース」の適用に伴いリース負債が増加したことや、貴金属リース取引において価格上昇に伴いその他流動負債が増加したことなどによるものです。
非流動負債は、前連結会計年度末より1兆7,443億円(37%)増加し、6兆4,865億円となりました。これは、IFRS第16号「リース」の適用に伴いリース負債が増加したことや、新規資金調達に伴い社債及び借入金が増加したことなどによるものです。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末より4,200億円(6%)減少し、6兆2,169億円となりました。
当連結会計年度末の当社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末より4,688億円(8%)減少し、5兆2,274億円となりました。これは、連結純利益の積み上がりにより利益剰余金が増加した一方で、豪ドル及び米ドル安進行による在外営業活動体の換算差額の減少や自己株式の取得、配当の支払いにより利益剰余金が減少したことなどによるものです。
また、非支配持分は、前連結会計年度末より488億円(5%)増加し、9,895億円となりました。
有利子負債総額から現金及び現金同等物や定期預金を控除したネット有利子負債(リース負債除く)は、前連結会計年度末より6,127億円(16%)増加し、4兆3,363億円となりました。
また、セグメントごとの前連結会計年度及び当連結会計年度における情報は以下のとおりです。

(前連結会計年度) (単位:億円)
天然ガス総合素材石油・化学金属資源産業インフラ自動車・
モビリティ
持分法で会計処理される投資6,9751,3241,3864,7761,3463,614
その他の投資4,0921,1918583,6504441,266
有形固定資産及び投資不動産1,1101,1196507,6391,604303
無形資産及びのれん37102441085110
資産合計15,37014,51513,17928,1256,85815,244

(単位:億円)
食品産業コンシューマー産業電力
ソリューション
複合都市開発その他、調整・消去連結金額
持分法で会計処理される投資2,8431,4713,8534,21910431,911
その他の投資1,6583,4311291,4762,89521,090
有形固定資産及び投資不動産2,9724,97860347792822,383
無形資産及びのれん1,7537,6222392033710,359
資産合計17,19934,2367,2338,7534,616165,328


(当連結会計年度) (単位:億円)
天然ガス総合素材石油・化学金属資源産業インフラ自動車・
モビリティ
持分法で会計処理される投資6,8081,4261,3014,5501,9933,325
その他の投資3,5509497993,023449740
有形固定資産及び投資不動産1,1151,0946156,5511,570312
無形資産及びのれん3011742131,348106
資産合計15,19812,7408,92830,05711,84615,111

(単位:億円)
食品産業コンシューマー産業電力
ソリューション
複合都市開発その他、調整・消去連結金額
持分法で会計処理される投資3,1091,6533,1934,8231532,196
その他の投資7753,0691991,2302,29817,081
有形固定資産及び投資不動産2,7593,4534,53357487323,449
無形資産及びのれん1,5447,3383,3162135314,228
資産合計15,99241,30916,3889,0103,918180,497

③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,622億円増加し、1兆3,228億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動により資金は8,497億円増加しました。これは、法人所得税や利息の支払いなどがあったものの、営業収入や配当収入などにより資金が増加したものです。
また、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、IFRS第16号「リース」適用に伴うリース負債支払額の財務活動によるキャッシュ・フローへの組換えなどにより、前連結会計年度と比較して1,970億円の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動により資金は5,007億円減少しました。これは、上場有価証券や関連会社への投資の売却などによる収入があったものの、Eneco社の取得や、設備投資、関連会社への投資や融資などによる支出により、資金が減少したものです。
また、当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、Eneco社の取得などにより、前連結会計年度と比較して、2,270億円の減少となりました。
投資キャッシュ・フローの主な内容及びセグメントは以下のとおりです。
新規・更新投資
・Eneco社(電力ソリューション)
・千代田化工建設優先株式(産業インフラ)
・銅事業(金属資源)
・豪州原料炭事業(金属資源)
・CVS事業(コンシューマー産業)
・LNG関連事業(天然ガス)
売却及び回収
・海外電力事業(電力ソリューション)
・豪州一般炭権益(金属資源)
・北米不動産事業(複合都市開発)
・上場有価証券(食品産業・コンシューマー産業・その他)
・定期預金(その他)
以上の結果、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計であるフリーキャッシュ・フローは3,490億円の資金増となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動により資金は1,566億円減少しました。これは、資金調達があったものの、自己株式の取得やリース負債の返済、配当金の支払いなどにより資金が減少したものです。
また、当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得やIFRS第16号「リース」適用に伴うリース負債支払額の営業活動によるキャッシュ・フローからの組換えなどがあった一方、資金調達により、前連結会計年度と比較して、709億円の増加となりました。
配当は持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を行う方針としています。自己株式の取得は、「中期経営戦略2018」期間中のキャッシュ・フローや適切な資本水準などを考慮の上、資本効率の向上を図るために実施したものです。負債による資金調達は、流動性と財務健全性の観点で適切な水準を維持する方針としています。
なお、IFRS第16号「リース」の適用に伴い認識されたリース負債の返済額は、全額財務活動によるキャッシュ・フローに含まれています。
また、上記の財務会計上の営業キャッシュ・フローとは別に、将来の新規投資や株主還元などの原資を適切に表すべく、運転資金の増減影響を控除した営業キャッシュ・フローに、事業活動における必要資金であるリース負債支払額を反映した「営業収益キャッシュ・フロー(リース負債支払後)」と、更に投資活動によるキャッシュ・フローを加えた「調整後フリーキャッシュ・フロー」を定義しています。
営業収益キャッシュ・フロー(リース負債支払後)は、当連結会計年度において6,721億円の資金増となりました。
また、前連結会計年度と比較して2,152億円の減少となりました。
この結果、調整後フリーキャッシュ・フローは、1,714億円の資金増となりました。
(6) 経営戦略の進捗状況
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照願います。