有価証券報告書-第77期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、米中貿易摩擦に端を発する外需の低迷が見られましたが、堅調な個人消費に支えられ、上半期は緩やかな成長を維持しました。その後、消費税増税の駆け込み需要の反動による個人消費や設備投資の減少が見られ、直近では新型コロナウイルスの影響により、世界経済の減速やサプライチェーンの寸断、外国人旅行客の激減などにより、個人消費が大きく低迷しました。
このような状況のもと、当社グループは中期経営計画「PLAN20」の基本方針である「成長戦略の推進」と「経営基盤の拡充」に取り組みました。
LPガス事業については、当社独自のIoTプラットフォームの構築に向けた取り組みとして、京丹後市と協定を締結し、同市内のLPガス顧客に設置した通信機能付きガス漏れ警報器に電気・ガス・水道メーターを接続し、使用状況などのデータ収集を行う実証試験を開始しました。
水素エネルギー社会の実現に向けては、当社が参画する再生可能エネルギーを利用した世界最大級の水素製造装置を備えた「福島水素エネルギー研究フィールド」が完成し、稼働を開始しました。また、FCバスへの本格的な充填が可能なイワタニ水素ステーション 東京葛西を開所し、当社の運営するステーションは2020年3月末時点で28ヶ所となりました。なお、2020年度は既に9ヶ所の水素ステーションを開所しており、7月には38ヶ所目となる水素ステーションの開所を予定しております。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高6,867億71百万円(前年度比283億13百万円の減収)、営業利益287億28百万円(同22億72百万円の増益)、経常利益322億70百万円(同23億17百万円の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益209億94百万円(同17億73百万円の増益)となりました。なお、新型コロナウイルスの感染拡大による当連結会計年度の業績への影響は軽微でした。
当社グループの事業構造はエネルギー関連商品を主力としており、季節変動による影響を大きく受ける傾向にあります。LPガスの消費量は、気温や水温の影響を受けるため、販売量は夏季に減少し、冬季に増加します。このため当社グループは利益が下半期に偏る収益構造を有し、特に第4四半期の収益が大きな割合を占めています。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、従来「総合エネルギー事業」に区分しておりました連結子会社1社について「産業ガス・機械事業」に、「自然産業事業」に区分しておりました連結子会社1社について「総合エネルギー事業」に区分変更しており、前連結会計年度の比較・分析は変更後の区分方法に基づいております。
①総合エネルギー事業
総合エネルギー事業は、LPガス輸入価格の下落に伴う販売価格の低下や、気温が例年より高く推移したことによる販売数量の減少により減収となりました。
一方、利益面では、LPガスの市況要因(前年度比25億48百万円のプラス)に加え、「カセットこんろ・ボンベ」やガス保安機器、およびLPガス非常用発電機の販売が好調に推移したことにより増益となりました。
この結果、当事業分野の売上高は3,135億6百万円(前年度比226億82百万円の減収)、営業利益は139億90百万円(同28億78百万円の増益)となりました。
②産業ガス・機械事業
産業ガス・機械事業は、エアセパレートガスについては、電子部品業界および光ファイバー業界向けの販売が減少しましたが、ヘリウムは、世界的な需給ひっ迫が継続し、市況上昇により増収となりました。液化水素は、半導体業界および光ファイバー業界向けの販売が低調に推移しましたが、水素関連設備案件が増加しました。機械設備については、大型案件の反動減により売上が減少しましたが、電子部品製造装置や溶接装置などが好調に推移しました。
この結果、当事業分野の売上高は1,905億20百万円(前年度比24億18百万円の増収)、営業利益は119億86百万円(同7億65百万円の増益)となりました。
③マテリアル事業
マテリアル事業は、低環境負荷PET樹脂やエアコン向け金属加工品の販売が伸長しましたが、二次電池材料の市況が下落したことに加え、機能性フィルムの販売が減少しました。また、ミネラルサンドについては、国内でチタンの販売は増加しましたがジルコンは減少し、収益が減少しました。
この結果、当事業分野の売上高は1,495億65百万円(前年度比95億37百万円の減収)、営業利益は45億5百万円(同12億34百万円の減益)となりました。
④自然産業事業
自然産業事業は、外食および事業所給食向け冷凍食品の販売が伸長しました。また、種豚の出荷は減少しましたが、農業設備および畜産設備案件は堅調に推移しました。
この結果、当事業分野の売上高は273億13百万円(前年度比8億73百万円の増収)、営業利益は11億84百万円(同3億90百万円の増益)となりました。
⑤その他
売上高は58億66百万円(前年度比6億14百万円の増収)、営業利益は8億62百万円(同1億14百万円の減益)となりました。
(2) 財政状態の状況
①総資産
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ121億11百万円増加の4,697億15百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金が128億15百万円減少となったものの、電子記録債権が111億45百万円、有形固定資産が73億51百万円、現金及び預金が55億77百万円、未収入金等の流動資産「その他」が7億47百万円それぞれ増加となったこと等によるものです。
②負債
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比べ50億53百万円減少の2,785億63百万円となりました。これは、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が41億21百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が46億68百万円、短期借入金が36億29百万円、未払金等の流動負債「その他」が9億15百万円それぞれ減少となったこと等によるものです。
なお、当連結会計年度末のリース債務を含めた有利子負債額は、前連結会計年度末と比べ2億18百万円増加の1,265億77百万円となりました。
③純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べ171億65百万円増加の1,911億52百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金が21億64百万円減少したものの、利益剰余金が177億93百万円、繰延ヘッジ損益が9億46百万円、為替換算調整勘定が5億80百万円それぞれ増加となったこと等によるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ56億10百万円増加の251億21百万円となりました。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ収入が11億46百万円増加したことにより402億64百万円の収入となりました。
これは主に、仕入債務の減少額56億11百万円等による資金の減少、税金等調整前当期純利益321億97百万円、減価償却費191億97百万円等による資金の増加によるものです。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ支出が71億91百万円増加したことにより308億85百万円の支出となりました。
これは主に、有形固定資産の取得221億69百万円、無形固定資産の取得36億36百万円、投資有価証券の取得による支出33億28百万円等による資金の減少によるものです。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ支出が100億26百万円減少したことにより35億87百万円の支出となりました。
これは主に、配当金の支払額31億96百万円等による資金の減少によるものです。
(4) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業形態は主に商品の仕入による販売を主要業務としているため、生産実績及び受注状況に代えて仕入実績を記載しております。
①仕入実績
当連結会計年度における外部からのセグメントごとの仕入実績(役務原価等を含む)は次のとおりであります。
(注) 記載金額には、消費税等は含まれておりません。
②販売実績
当連結会計年度における外部顧客へのセグメントごとの販売実績(役務収益等を含む)は次のとおりであります。
(注) 1 記載金額には、消費税等は含まれておりません。
2 販売実績が総販売実績の100分の10以上を占める相手先はありません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。なお、見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
①繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性については、将来の利益計画に基づいた課税所得の見積りを実施したうえで、将来の税金負担額を軽減する効果があるかどうかにより判断しております。なお、経済環境等の変化により当該課税所得の見積りについて見直しが必要となった場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
②固定資産の減損処理
減損損失の認識及び測定に用いられる将来キャッシュ・フローについては、将来の利益計画に基づき、経営環境等の外部要因に関する情報や売上見込み及び予算等の内部情報との整合性及び資産グループの現在の使用状況や使用計画等を考慮したうえで見積りを行っております。なお、当該見積りの前提となる条件に見直しが必要となった場合には、追加の減損損失が発生する可能性があります。
また、会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、第1四半期を中心に上期を通じて続くことを前提として会計上の見積りを行った結果、当連結会計年度及び翌連結会計年度における連結財務諸表に及ぼす影響は軽微なものと判断しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①経営成績の分析
(a) 売上高及び売上総利益
売上高は、前連結会計年度に比べ4.0%減収の6,867億71百万円となりました。これは、主にLPガス輸入価格が下落し減収となったことによるもので、詳細は「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営成績等の状況の概要)(1)経営成績の状況」のセグメント別の経営成績をご参照ください。
売上総利益は、売上高は減収となったものの、売上高総利益率が1.8ポイント上昇したことから、前連結会計年度に比べ3.3%増益の1,762億59百万円となりました。
(b) 営業利益
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ2.3%増加の1,475億31百万円となりました。これは主に、人件費及び減価償却費の増加によるものです。この結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ8.6%増益の287億28百万円となりました。
(c) 経常利益
営業外損益は、35億42百万円の収益(純額)となり、前連結会計年度の34億96百万円の収益(純額)に比べ45百万円増加しました。これは主に、金融収支の改善によるものです。
この結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ7.7%増益の322億70百万円となりました。
(d) 親会社株主に帰属する当期純利益
特別損益は、72百万円の損失(純額)となり、前連結会計年度の5億14百万円の損失(純額)に比べ4億41百万円の増益要因となりました。これは主に、負ののれん発生益を計上したことによるものです。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ9.2%増益の209億94百万円となり、1株当たりの当期純利益は、前連結会計年度の390円62銭に対し426円63銭となりました。
当社は、中期経営計画「PLAN20」において、最終年度の2021年3月期に、経常利益330億円、ROE10.0%以上、ネットD/Eレシオ0.7倍の達成を目指しております。前連結会計年度及び当連結会計年度、PLAN20最終年度の経常利益、ROE、ネットD/Eレシオは下記のとおりであります。
(PLAN20との比較)
(第77期目標との比較)
(LPガス輸入価格変動要因(市況要因)を除いた経常利益)
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(a) 総合エネルギー事業
当事業分野の売上高は3,135億6百万円(前年度比226億82百万円の減収)、営業利益は139億90百万円(同28億78百万円の増益)となりました。
総合エネルギー事業における重要事業指標の推移は下記のとおりであります。
LPガスの直売顧客数は、PLAN20目標値である100万戸を1年前倒しで達成しました。国内外カセットこんろの販売数量については379万台、ボンベは132百万本となり、国内でのシェアはそれぞれ80%、60%と伸長しました。
引き続き、M&A推進により直売顧客数の拡大を図り、LPガス販売数量の増加に努めます。
また、LPガスや都市ガスの顧客に対して、BCP需要を取り込んだエネルギー関連機器の拡販を行うとともに、インターネットなどの販売チャネルも活用したBtoC商品の販売を強化します。カートリッジガス事業においては国内外での事業拡大を図ります。
(b) 産業ガス・機械事業
当事業分野の売上高は1,905億20百万円(前年度比24億18百万円の増収)、営業利益は119億86百万円(同7億65百万円の増益)となりました。
産業ガス・機械事業における重要事業指標の推移は下記のとおりであります。
エアセパレートガスは、電子部品業界や光ファイバー業界の落ち込みによる影響で、15億㎥に減少しました。液化水素は、新規顧客獲得を進めましたが、光ファイバーや半導体工場などの稼働低下により、59百万㎥に減少しました。
引き続き目標達成に向け、次世代通信関連や再生医療分野等の成長分野を中心に産業ガスの拡販を進めてまいります。また、液化水素については引き続き新規ユーザーの獲得に努めてまいります。ヘリウムについては、新ソースの稼働はまだ先と見られており、世界的な需給のひっ迫は今後も継続する見通しです。当社としては、高効率のヘリウム回収設備を導入したヘリウムセンターや自社所有のコンテナを有効活用し、効率的かつ安定的な供給に努めます。機械設備については、自動化や省力化に向けたロボットや自動化設備、および電子部品や半導体業界における5G関連設備といった、需要が拡大すると見込まれる分野を中心に拡販を進めます。引き続き産業ガス事業との相乗効果を発揮し、事業の拡大を図ってまいります。
(c) マテリアル事業
当事業分野の売上高は1,495億65百万円(前年度比95億37百万円の減収)、営業利益は45億5百万円(同12億34百万円の減益)となりました。
低環境負荷PET樹脂については、飲料用に加えて新たにフィルム用の納入を開始するなど好調に推移する見通しです。また、バイオマス事業についても、長期契約が開始することで、販売数量の増加が見込まれます。SDGsへの意識の高まりに伴う、環境分野の市場拡大を見据え、環境商品の拡販を進めるとともに、新商品の開発に努めます。二次電池材料については、主力商品であるコバルトの価格が下落しましたが、次世代自動車向けの需要が増加する見通しで、引き続き拡販に取り組んで参ります。また、海外では新市場への参入や製造能力の増強を進め、メーカー機能の拡充に取り組みます。加えて、機能性アルミ箔やナノマテリアルなどの新たな商材にも取り組み、事業規模の拡大を図ってまいります。
(d) 自然産業事業
当事業分野の売上高は273億13百万円(前年度比8億73百万円の増収)、営業利益は11億84百万円(同3億90百万円の増益)となりました。
国内外で外食や惣菜・弁当などの中食業界向けに冷凍野菜の新規開拓に努めるとともに、農業生産事業への参入や省人化・自動化機器の開発・販売、大手養豚事業会社向け畜産設備・種豚販売の強化を図ります。
②資本の財源及び資金の流動性についての分析
キャッシュ・フローの状況については、「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営成績等の状況の概要)(3) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(a) 資金需要
当社グループの事業活動における運転資金の主なものは、商品の仕入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&Aによる株式取得のためのものであります。当社グループにおいては、安心・安全を支えるインフラ整備については事業全体の収益を考慮して、将来の成長投資については資本コスト等を考慮して多角的かつ慎重に投資判断を行う方針であります。
(b) 財務政策
当社グループは、財務の健全性を保ちつつ、安定的に営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことで、事業運営上必要な資本の財源及び資金の流動性を確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入により調達を行っております。設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金並びに金融機関からの長期借入、社債の発行等により行っております。また、グループ内資金の効率化を目的として、グループ会社間で貸付等を行っております。
なお、当連結会計年度末のリース債務を含めた有利子負債額は、前連結会計年度末と比べ2億18百万円増加の1,265億77百万円となりました。
また、当社は現状の短期借入枠で資金繰りに不安はございませんが、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、企業活動の先行き不透明感が増す中、不測の事態に備えるため、2020年4月30日付で総額300億円の短期借入枠を新たに設定し、借入を実行しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、米中貿易摩擦に端を発する外需の低迷が見られましたが、堅調な個人消費に支えられ、上半期は緩やかな成長を維持しました。その後、消費税増税の駆け込み需要の反動による個人消費や設備投資の減少が見られ、直近では新型コロナウイルスの影響により、世界経済の減速やサプライチェーンの寸断、外国人旅行客の激減などにより、個人消費が大きく低迷しました。
このような状況のもと、当社グループは中期経営計画「PLAN20」の基本方針である「成長戦略の推進」と「経営基盤の拡充」に取り組みました。
LPガス事業については、当社独自のIoTプラットフォームの構築に向けた取り組みとして、京丹後市と協定を締結し、同市内のLPガス顧客に設置した通信機能付きガス漏れ警報器に電気・ガス・水道メーターを接続し、使用状況などのデータ収集を行う実証試験を開始しました。
水素エネルギー社会の実現に向けては、当社が参画する再生可能エネルギーを利用した世界最大級の水素製造装置を備えた「福島水素エネルギー研究フィールド」が完成し、稼働を開始しました。また、FCバスへの本格的な充填が可能なイワタニ水素ステーション 東京葛西を開所し、当社の運営するステーションは2020年3月末時点で28ヶ所となりました。なお、2020年度は既に9ヶ所の水素ステーションを開所しており、7月には38ヶ所目となる水素ステーションの開所を予定しております。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高6,867億71百万円(前年度比283億13百万円の減収)、営業利益287億28百万円(同22億72百万円の増益)、経常利益322億70百万円(同23億17百万円の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益209億94百万円(同17億73百万円の増益)となりました。なお、新型コロナウイルスの感染拡大による当連結会計年度の業績への影響は軽微でした。
当社グループの事業構造はエネルギー関連商品を主力としており、季節変動による影響を大きく受ける傾向にあります。LPガスの消費量は、気温や水温の影響を受けるため、販売量は夏季に減少し、冬季に増加します。このため当社グループは利益が下半期に偏る収益構造を有し、特に第4四半期の収益が大きな割合を占めています。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、従来「総合エネルギー事業」に区分しておりました連結子会社1社について「産業ガス・機械事業」に、「自然産業事業」に区分しておりました連結子会社1社について「総合エネルギー事業」に区分変更しており、前連結会計年度の比較・分析は変更後の区分方法に基づいております。
①総合エネルギー事業
総合エネルギー事業は、LPガス輸入価格の下落に伴う販売価格の低下や、気温が例年より高く推移したことによる販売数量の減少により減収となりました。
一方、利益面では、LPガスの市況要因(前年度比25億48百万円のプラス)に加え、「カセットこんろ・ボンベ」やガス保安機器、およびLPガス非常用発電機の販売が好調に推移したことにより増益となりました。
この結果、当事業分野の売上高は3,135億6百万円(前年度比226億82百万円の減収)、営業利益は139億90百万円(同28億78百万円の増益)となりました。
②産業ガス・機械事業
産業ガス・機械事業は、エアセパレートガスについては、電子部品業界および光ファイバー業界向けの販売が減少しましたが、ヘリウムは、世界的な需給ひっ迫が継続し、市況上昇により増収となりました。液化水素は、半導体業界および光ファイバー業界向けの販売が低調に推移しましたが、水素関連設備案件が増加しました。機械設備については、大型案件の反動減により売上が減少しましたが、電子部品製造装置や溶接装置などが好調に推移しました。
この結果、当事業分野の売上高は1,905億20百万円(前年度比24億18百万円の増収)、営業利益は119億86百万円(同7億65百万円の増益)となりました。
③マテリアル事業
マテリアル事業は、低環境負荷PET樹脂やエアコン向け金属加工品の販売が伸長しましたが、二次電池材料の市況が下落したことに加え、機能性フィルムの販売が減少しました。また、ミネラルサンドについては、国内でチタンの販売は増加しましたがジルコンは減少し、収益が減少しました。
この結果、当事業分野の売上高は1,495億65百万円(前年度比95億37百万円の減収)、営業利益は45億5百万円(同12億34百万円の減益)となりました。
④自然産業事業
自然産業事業は、外食および事業所給食向け冷凍食品の販売が伸長しました。また、種豚の出荷は減少しましたが、農業設備および畜産設備案件は堅調に推移しました。
この結果、当事業分野の売上高は273億13百万円(前年度比8億73百万円の増収)、営業利益は11億84百万円(同3億90百万円の増益)となりました。
⑤その他
売上高は58億66百万円(前年度比6億14百万円の増収)、営業利益は8億62百万円(同1億14百万円の減益)となりました。
(2) 財政状態の状況
①総資産
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ121億11百万円増加の4,697億15百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金が128億15百万円減少となったものの、電子記録債権が111億45百万円、有形固定資産が73億51百万円、現金及び預金が55億77百万円、未収入金等の流動資産「その他」が7億47百万円それぞれ増加となったこと等によるものです。
②負債
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比べ50億53百万円減少の2,785億63百万円となりました。これは、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が41億21百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が46億68百万円、短期借入金が36億29百万円、未払金等の流動負債「その他」が9億15百万円それぞれ減少となったこと等によるものです。
なお、当連結会計年度末のリース債務を含めた有利子負債額は、前連結会計年度末と比べ2億18百万円増加の1,265億77百万円となりました。
③純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べ171億65百万円増加の1,911億52百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金が21億64百万円減少したものの、利益剰余金が177億93百万円、繰延ヘッジ損益が9億46百万円、為替換算調整勘定が5億80百万円それぞれ増加となったこと等によるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ56億10百万円増加の251億21百万円となりました。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ収入が11億46百万円増加したことにより402億64百万円の収入となりました。
これは主に、仕入債務の減少額56億11百万円等による資金の減少、税金等調整前当期純利益321億97百万円、減価償却費191億97百万円等による資金の増加によるものです。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ支出が71億91百万円増加したことにより308億85百万円の支出となりました。
これは主に、有形固定資産の取得221億69百万円、無形固定資産の取得36億36百万円、投資有価証券の取得による支出33億28百万円等による資金の減少によるものです。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ支出が100億26百万円減少したことにより35億87百万円の支出となりました。
これは主に、配当金の支払額31億96百万円等による資金の減少によるものです。
(4) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業形態は主に商品の仕入による販売を主要業務としているため、生産実績及び受注状況に代えて仕入実績を記載しております。
①仕入実績
当連結会計年度における外部からのセグメントごとの仕入実績(役務原価等を含む)は次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年度比(%) |
| 総合エネルギー事業 | 210,005 | △11.8 |
| 産業ガス・機械事業 | 132,091 | 0.6 |
| マテリアル事業 | 131,760 | △7.1 |
| 自然産業事業 | 20,278 | △2.4 |
| その他 | 17,589 | 24.6 |
| 合計 | 511,725 | △6.3 |
(注) 記載金額には、消費税等は含まれておりません。
②販売実績
当連結会計年度における外部顧客へのセグメントごとの販売実績(役務収益等を含む)は次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年度比(%) |
| 総合エネルギー事業 | 313,506 | △6.7 |
| 産業ガス・機械事業 | 190,520 | 1.3 |
| マテリアル事業 | 149,565 | △6.0 |
| 自然産業事業 | 27,313 | 3.3 |
| その他 | 5,866 | 11.7 |
| 合計 | 686,771 | △4.0 |
(注) 1 記載金額には、消費税等は含まれておりません。
2 販売実績が総販売実績の100分の10以上を占める相手先はありません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。なお、見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
①繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性については、将来の利益計画に基づいた課税所得の見積りを実施したうえで、将来の税金負担額を軽減する効果があるかどうかにより判断しております。なお、経済環境等の変化により当該課税所得の見積りについて見直しが必要となった場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
②固定資産の減損処理
減損損失の認識及び測定に用いられる将来キャッシュ・フローについては、将来の利益計画に基づき、経営環境等の外部要因に関する情報や売上見込み及び予算等の内部情報との整合性及び資産グループの現在の使用状況や使用計画等を考慮したうえで見積りを行っております。なお、当該見積りの前提となる条件に見直しが必要となった場合には、追加の減損損失が発生する可能性があります。
また、会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、第1四半期を中心に上期を通じて続くことを前提として会計上の見積りを行った結果、当連結会計年度及び翌連結会計年度における連結財務諸表に及ぼす影響は軽微なものと判断しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①経営成績の分析
(a) 売上高及び売上総利益
売上高は、前連結会計年度に比べ4.0%減収の6,867億71百万円となりました。これは、主にLPガス輸入価格が下落し減収となったことによるもので、詳細は「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営成績等の状況の概要)(1)経営成績の状況」のセグメント別の経営成績をご参照ください。
売上総利益は、売上高は減収となったものの、売上高総利益率が1.8ポイント上昇したことから、前連結会計年度に比べ3.3%増益の1,762億59百万円となりました。
(b) 営業利益
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ2.3%増加の1,475億31百万円となりました。これは主に、人件費及び減価償却費の増加によるものです。この結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ8.6%増益の287億28百万円となりました。
(c) 経常利益
営業外損益は、35億42百万円の収益(純額)となり、前連結会計年度の34億96百万円の収益(純額)に比べ45百万円増加しました。これは主に、金融収支の改善によるものです。
この結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ7.7%増益の322億70百万円となりました。
(d) 親会社株主に帰属する当期純利益
特別損益は、72百万円の損失(純額)となり、前連結会計年度の5億14百万円の損失(純額)に比べ4億41百万円の増益要因となりました。これは主に、負ののれん発生益を計上したことによるものです。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ9.2%増益の209億94百万円となり、1株当たりの当期純利益は、前連結会計年度の390円62銭に対し426円63銭となりました。
当社は、中期経営計画「PLAN20」において、最終年度の2021年3月期に、経常利益330億円、ROE10.0%以上、ネットD/Eレシオ0.7倍の達成を目指しております。前連結会計年度及び当連結会計年度、PLAN20最終年度の経常利益、ROE、ネットD/Eレシオは下記のとおりであります。
(PLAN20との比較)
| 項目 | 第76期実績 | 第77期実績 | PLAN20 最終年度目標 |
| 経常利益(億円) | 299 | 322 | 330 |
| ROE | 12.0% | 12.1% | 10.0%以上 |
| ネットD/Eレシオ | 0.64倍 | 0.55倍 | 0.7倍 |
(第77期目標との比較)
| 項目 | 第76期実績 | 第77期実績 | 第77期目標 |
| 売上高(億円) | 7,150 | 6,867 | 7,473 |
| 営業利益(億円) | 264 | 287 | 305 |
| 経常利益(億円) | 299 | 322 | 330 |
| 親会社株主に帰属する 当期純利益(億円) | 192 | 209 | 205 |
(LPガス輸入価格変動要因(市況要因)を除いた経常利益)
| 項目 | 第76期実績 | 第77期実績 | 第77期目標 |
| 経常利益(億円) | 299 | 322 | 330 |
| 市況要因(億円) | △28 | △2 | - |
| 市況要因を除く 経常利益(億円) | 327 | 325 | 330 |
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(a) 総合エネルギー事業
当事業分野の売上高は3,135億6百万円(前年度比226億82百万円の減収)、営業利益は139億90百万円(同28億78百万円の増益)となりました。
総合エネルギー事業における重要事業指標の推移は下記のとおりであります。
| 項目 | 第76期実績 | 第77期実績 | PLAN20 最終年度目標 |
| LPガス直売顧客数 | 99万戸 | 100万戸 | 100万戸 |
| カセットこんろ 販売数量 | 3,869千台 | 3,796千台 | 4,400千台 |
| ボンベ販売数量 | 121百万本 | 132百万本 | 137百万本 |
LPガスの直売顧客数は、PLAN20目標値である100万戸を1年前倒しで達成しました。国内外カセットこんろの販売数量については379万台、ボンベは132百万本となり、国内でのシェアはそれぞれ80%、60%と伸長しました。
引き続き、M&A推進により直売顧客数の拡大を図り、LPガス販売数量の増加に努めます。
また、LPガスや都市ガスの顧客に対して、BCP需要を取り込んだエネルギー関連機器の拡販を行うとともに、インターネットなどの販売チャネルも活用したBtoC商品の販売を強化します。カートリッジガス事業においては国内外での事業拡大を図ります。
(b) 産業ガス・機械事業
当事業分野の売上高は1,905億20百万円(前年度比24億18百万円の増収)、営業利益は119億86百万円(同7億65百万円の増益)となりました。
産業ガス・機械事業における重要事業指標の推移は下記のとおりであります。
| 項目 | 第76期実績 | 第77期実績 | PLAN20 最終年度目標 |
| エアセパレートガス 販売数量 | 16億㎥ | 15億㎥ | 17億㎥ |
| 液化水素販売数量 | 70百万㎥ | 59百万㎥ | 90百万㎥ |
エアセパレートガスは、電子部品業界や光ファイバー業界の落ち込みによる影響で、15億㎥に減少しました。液化水素は、新規顧客獲得を進めましたが、光ファイバーや半導体工場などの稼働低下により、59百万㎥に減少しました。
引き続き目標達成に向け、次世代通信関連や再生医療分野等の成長分野を中心に産業ガスの拡販を進めてまいります。また、液化水素については引き続き新規ユーザーの獲得に努めてまいります。ヘリウムについては、新ソースの稼働はまだ先と見られており、世界的な需給のひっ迫は今後も継続する見通しです。当社としては、高効率のヘリウム回収設備を導入したヘリウムセンターや自社所有のコンテナを有効活用し、効率的かつ安定的な供給に努めます。機械設備については、自動化や省力化に向けたロボットや自動化設備、および電子部品や半導体業界における5G関連設備といった、需要が拡大すると見込まれる分野を中心に拡販を進めます。引き続き産業ガス事業との相乗効果を発揮し、事業の拡大を図ってまいります。
(c) マテリアル事業
当事業分野の売上高は1,495億65百万円(前年度比95億37百万円の減収)、営業利益は45億5百万円(同12億34百万円の減益)となりました。
低環境負荷PET樹脂については、飲料用に加えて新たにフィルム用の納入を開始するなど好調に推移する見通しです。また、バイオマス事業についても、長期契約が開始することで、販売数量の増加が見込まれます。SDGsへの意識の高まりに伴う、環境分野の市場拡大を見据え、環境商品の拡販を進めるとともに、新商品の開発に努めます。二次電池材料については、主力商品であるコバルトの価格が下落しましたが、次世代自動車向けの需要が増加する見通しで、引き続き拡販に取り組んで参ります。また、海外では新市場への参入や製造能力の増強を進め、メーカー機能の拡充に取り組みます。加えて、機能性アルミ箔やナノマテリアルなどの新たな商材にも取り組み、事業規模の拡大を図ってまいります。
(d) 自然産業事業
当事業分野の売上高は273億13百万円(前年度比8億73百万円の増収)、営業利益は11億84百万円(同3億90百万円の増益)となりました。
国内外で外食や惣菜・弁当などの中食業界向けに冷凍野菜の新規開拓に努めるとともに、農業生産事業への参入や省人化・自動化機器の開発・販売、大手養豚事業会社向け畜産設備・種豚販売の強化を図ります。
②資本の財源及び資金の流動性についての分析
キャッシュ・フローの状況については、「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営成績等の状況の概要)(3) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(a) 資金需要
当社グループの事業活動における運転資金の主なものは、商品の仕入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&Aによる株式取得のためのものであります。当社グループにおいては、安心・安全を支えるインフラ整備については事業全体の収益を考慮して、将来の成長投資については資本コスト等を考慮して多角的かつ慎重に投資判断を行う方針であります。
(b) 財務政策
当社グループは、財務の健全性を保ちつつ、安定的に営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことで、事業運営上必要な資本の財源及び資金の流動性を確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入により調達を行っております。設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金並びに金融機関からの長期借入、社債の発行等により行っております。また、グループ内資金の効率化を目的として、グループ会社間で貸付等を行っております。
なお、当連結会計年度末のリース債務を含めた有利子負債額は、前連結会計年度末と比べ2億18百万円増加の1,265億77百万円となりました。
また、当社は現状の短期借入枠で資金繰りに不安はございませんが、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、企業活動の先行き不透明感が増す中、不測の事態に備えるため、2020年4月30日付で総額300億円の短期借入枠を新たに設定し、借入を実行しております。