有価証券報告書-第77期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/26 14:16
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158項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続くなか、緩やかな回復基調で推移しましたが、米中貿易摩擦や中国経済の成長鈍化等による世界経済の不確実性に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、景気の先行きについては厳しい状況が続くものと予想されております。
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、生産設備分野において半導体関連の設備投資の抑制が続きましたが、首都圏の再開発案件など建設関連投資は堅調に推移しました。
このような状況の中、当社グループは持続的成長と企業価値向上の実現に向けて、中期経営計画の基本方針に基づきグループ総合力の発揮、財務体質の改善等に取り組んでまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
イ. 財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ54億88百万円減少し、470億77百万円となりました。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ66億98百万円減少し、302億78百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ12億9百万円増加し、167億99百万円となりました。
当社グループでは、財務状況の安定性に関する指標である自己資本比率について目標を掲げており、当連結会計年度末における同比率は34.8%となりました。
ロ. 経営成績
当連結会計年度の売上高は986億97百万円(前年同期比4.3%減)、営業利益は23億59百万円(前年同期比6.1%減)、経常利益は24億27百万円(前年同期比6.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は15億94百万円(前年同期比11.1%減)となりました。
当社グループでは、収益性に関する指標である自己資本当期純利益率(ROE)について目標を掲げており、当連結会計年度における同比率は10.1%となりました。なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、先々を見通すことが困難な状況ではありますが、顧客のニーズをしっかりと把握し、当社グループとして今できること、今やらなければならないことを確実に実践することが重要であると考えております。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
なお、セグメント利益は連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。
電機関連事業は、売上高は239億円(前年同期比0.7%減)、セグメント利益は11億89百万円(前年同期比0.3%減)となりました。
機械関連事業は、売上高は99億70百万円(前年同期比17.0%減)、セグメント利益は50百万円(前年同期比70.0%減)となりました。
建材・燃料関連事業は、売上高は435億1百万円(前年同期比2.6%減)、セグメント利益は8億11百万円(前年同期比11.1%増)となりました。
海運関連事業は、売上高は163億92百万円(前年同期比8.4%減)、セグメント利益は1億95百万円(前年同期比34.1%減)となりました。
建設機械関連事業は、売上高は49億33百万円(前年同期比10.0%増)、セグメント利益は1億68百万円(前年同期比3.7%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は104億17百万円(前年同期は94億18百万円)となり、前連結会計年度末に比べて9億98百万円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、22億41百万円の収入(前年同期は13億30百万円の収入)となりました。
主な収入項目は、税金等調整前当期純利益23億98百万円及び売上債権の減少額63億89百万円であり、主な支出項目は、仕入債務の減少額64億55百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、6億5百万円の支出(前年同期は3億5百万円の支出)となりました。
主な支出項目は、有形固定資産の取得による支出5億13百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、6億36百万円の支出(前年同期は9億9百万円の支出)となりました。
主な支出項目は、借入金の純減少額1億42百万円及び配当金の支払額2億95百万円であります。
当社グループでは、中期経営計画の基本方針として財務体質の改善と安定キャッシュ・フローの創出を定めており、資産の効率的な活用及び有利子負債の削減に努めております。また、財務体質の強化と今後の事業展開に必
要な内部留保の充実を図りつつ、収益状況に応じて安定的な配当を行うことを基本としております。新型コロナ
ウイルス感染拡大の影響により、先行きの不透明な状況ではありますが、中長期的な視点から成長が見込まれる
事業分野に経営資源を投入し、企業価値の持続的な向上に努めてまいります。
③ 売上、成約及び仕入の実績
下記「イ. 売上、成約の実績」及び「ロ. 仕入の実績」の金額には、消費税等は含まれておりません。
イ. 売上、成約の実績
セグメントの名称当連結会計年度
成約高
(百万円)
前年同期比(%)売上高
(百万円)
前年同期比(%)成約残高
(百万円)
前年同期比(%)
電機関連事業25,0944.823,900△0.72,55787.7
機械関連事業8,694△2.49,970△17.02,551△33.3
建材・燃料関連事業43,080△4.243,501△2.64,379△8.8
海運関連事業16,392△8.416,392△8.4--
建設機械関連事業5,08614.14,93310.057036.7
合計98,349△1.898,697△4.310,058△3.3

(注)「当連結会計年度売上高」は、外部顧客に対する売上高を用いております。
ロ. 仕入の実績
セグメントの名称当連結会計年度
金額(百万円)前年同期比(%)
電機関連事業19,828△3.9
機械関連事業8,727△18.1
建材・燃料関連事業40,926△3.1
海運関連事業14,206△8.4
建設機械関連事業4,58311.1
合計88,272△5.3

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。
イ. 財政状態
当連結会計年度末における総資産合計は、前連結会計年度末に比べ54億88百万円減少し、470億77百万円となりました。主な要因は、受取手形及び売掛金の減少62億91百万円、有形固定資産のうち機械装置及び運搬具の増加11億93百万円であります。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ66億98百万円減少し、302億78百万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金の減少64億55百万円であります。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ12億9百万円増加し、167億99百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加13億2百万円であります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ5.9ポイント増加し、34.8%となりました。
当社グループでは、中期経営計画において自己資本比率の数値目標(35.0%)を掲げているため、目標達成に向け有利子負債の削減など財務体質の改善に取り組んでおります。
ロ. 経営成績
(売上高)
売上高は、首都圏の再開発事業等における建設需要を取り込み、建築設備関連の制御機器や空調機器、コンクリート関連機械等の販売が順調に推移しましたが、農業施設分野において設備投資が減少したことにより、前連結会計年度に比べ4.3%減の986億97百万円となりました。
(営業利益)
売上総利益は前連結会計年度に比べ0.2%減の101億円(売上総利益率は前連結会計年度に比べ0.4ポイント増加の10.2%)となり、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ1.7%増の77億41百万円となりました。
以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ6.1%減の23億59百万円、売上高営業利益率は前連結会計年度と同様2.4%となりました。
(経常利益)
営業外収益は前連結会計年度に比べ9.6%減の1億81百万円となり、営業外費用は前連結会計年度に比べ5.4%減の1億12百万円となりました。
以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ6.4%減の24億27百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益において固定資産売却益11百万円等、特別損失において投資有価証券評価損40百万円等を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ11.1%減の15億94百万円となりました。
当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、以下のとおりであります。
当社グループは、持続的成長の実現と企業価値の向上がすべてのステークホルダーの利益に合致するものとの考えから、自己資本比率と自己資本当期純利益率(ROE)を重要な指標として位置付け、収益基盤・事業基盤の強化並びに財務基盤の強化に取り組んでおります。
当連結会計年度末における自己資本比率は34.8%(前年同期比5.9ポイント増加)、自己資本当期純利益率(ROE)は10.1%(前年同期比2.2ポイント減少)となりました。
これらの指標につきましては、更なる改善に向けて取り組んでまいります。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(電機関連事業)
電機関連事業では、生産設備関連において半導体メーカーによる設備投資抑制の影響が続きましたが、年明け以降5Gの普及に向け回復の兆しが見え始めております。建築設備関連においては首都圏の設備需要を取り込み、制御機器や空調機器等の販売が順調に推移しました。
以上の結果、売上高は239億円(前年同期比0.7%減)、セグメント利益は11億89百万円(前年同期比0.3%減)となりました。
(機械関連事業)
機械関連事業では、産業機械分野において環境エネルギーの大型物件の受渡しがあり、また、食品機械や工業機械も順調に推移しました。一方、農業施設分野においては、設備投資の減少や建築工事遅延等の影響により物件の受渡し予定時期に遅れが生じるなど、苦戦しました。
以上の結果、売上高は99億70百万円(前年同期比17.0%減)、セグメント利益は50百万円(前年同期比70.0%減)となりました。
(建材・燃料関連事業)
建材関連事業では、北海道新幹線延伸工事に伴うセメント、生コン等の出荷、首都圏をはじめとした再開発事業における外壁工事等建築資材の受渡しが伸長しました。燃料関連事業では、下半期は暖冬・少雪の影響により灯油等の販売が伸び悩んだものの、安定した市況が続いたことから、収益面は堅調に推移しました。
以上の結果、売上高は435億1百万円(前年同期比2.6%減)、セグメント利益は8億11百万円(前年同期比11.1%増)となりました。
(海運関連事業)
海運関連事業では、連結子会社のナラサキスタックス㈱において、石炭の取扱い減少、道内鋼材需要の伸び悩みに加え、新型コロナウイルスの影響により貨物取扱量が減少しました。作業効率改善等によるコスト削減に努めましたが、収益面は低調に推移しました。
以上の結果、売上高は163億92百万円(前年同期比8.4%減)、セグメント利益は1億95百万円(前年同期比34.1%減)となりました。
(建設機械関連事業)
建設機械関連事業では、首都圏再開発による建設工事や道路工事が継続しており、コンクリート関連及び道路関連機械の販売が堅調に推移しました。
以上の結果、売上高は49億33百万円(前年同期比10.0%増)、セグメント利益は1億68百万円(前年同期比3.7%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。
当社グループの財務運営の方針及び目的は、効率的な営業活動を心掛けるとともに、資産の効率的な活用及び有利子負債の削減に努め、財務体質の改善・強化を図ることであります。当社グループでは、短期運転資金や借入金の返済については主に営業活動によるキャッシュ・フローを資金の源泉としております。一方、設備投資や長期運転資金の調達につきましては金融機関からの借入れによっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、経営者は見積りが必要な事項について、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積りは不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
イ. 貸倒引当金
当社グループでは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般の債権については過去の貸倒実績率により、貸倒懸念債権等の特定の債権については個別に債権の回収状況、債務者の財務内容及び担保価値などから回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。
将来において、債務者の財務内容の悪化や担保価値の下落等により、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。
ロ. 投資の減損
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために特定の取引先及び金融機関の株式等を保有しております。
市場価格のある有価証券については、個別銘柄毎に時価を把握するとともに、発行体外部信用格付や公表財務諸表ベースでの各種財務比率の検討による信用リスクの定量評価を行い、時価が著しく下落した銘柄については回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。
また、市場価格のない有価証券については、純資産額の下落幅、投資先の財政状態及び将来の業績見通し等を総合的に勘案し、時価の下落が一時的であり、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。
将来の株式市場の低迷または投資先の財政状態の悪化により、追加の減損処理又は新たな減損処理が必要となる可能性があります。
ハ. 固定資産の減損
当社グループは、収益性が著しく低下した資産又は資産グループについて、割引前将来キャッシュ・フローを見積りその総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、その金額を減損損失として計上しております。減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討を行っておりますが、資産又は資産グループの市場価格の下落や新型コロナウイルスの感染拡大等により経営環境が変化した場合には、追加の減損損失又は新たな減損損失の計上が必要となる可能性があります。
ニ. 退職給付費用及び退職給付債務
従業員に対する退職給付費用及び退職給付債務を数理計算上で設定される前提条件に基づき算出しております。これらの前提条件には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率等の要素が含まれており、実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
ホ. 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、新型コロナウイルスの感染拡大等により経営環境が変化し、課税所得の見積りが減少した場合や、税制改正により税率の変更等が生じた場合には、繰延税金資産の取崩しにより税金費用が計上される可能性があります。