有価証券報告書-第71期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大が長期化し、国内外の経済活動に甚大な影響を及ぼしており、先行き不透明な状況が続いております。食品流通業界におきましては、コロナ禍の影響で外食産業や宿泊施設等の業務筋は厳しい状況にある一方、巣ごもり消費等により内食需要は伸長傾向にありますが、将来への不安感から消費マインドの低下や節約志向が強まるなど、予断を許さない状況が継続しております。
このような状況下、当社グループは食のライフラインを担う地域のインフラという社会的使命を果たすべく、当社グループが策定した新型コロナウイルス感染防止対策のガイドラインを徹底しながら食品の安定供給を継続しております。経営方針としましては、今年度を初年度とする中期経営計画「創造2022」の基本方針「人の成長を以て変革を成し遂げ、更なる飛躍のための創造を推進する」に基づき、当社グループの強みを発揮できる「産地との強固な関係、原料からの差別化」「素材から惣菜へ」「メーカー型卸事業の推進」「中間流通コストの合理化」を大切にしたい考え方として各事業セグメントの具体的施策を策定し、成長戦略による事業規模の拡大と付加価値による収益力の向上に全社を挙げて取り組んでおります。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における総資産は529億86百万円となり、前連結会計年度末と比較して17億3百万円の増加となりました。主な要因は、現金及び預金が4億57百万円、商品及び製品が4億89百万円、ソフトウェア仮勘定が7億50百万円増加したことによります。
(負債合計)
負債は297億37百万円となり、前連結会計年度末と比較して4億56百万円の増加となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金が1億83百万円増加したことによります。
(純資産合計)
純資産合計は232億48百万円となり、前連結会計年度末と比較して12億46百万円の増加となりました。
以上の結果、自己資本比率は42.9%となりました。
b.経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は内食需要が堅調に推移したことで量販店への納品が伸長したことから2,378億73百万円(前期比3.1%増)となりました。2020年5月12日に開示しております連結業績予想における売上高目標2,400億円に対しては0.9%の未達となりました。なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う売上高への影響は、内食需要の拡大により小売店への販売が増加し、一方で外食及び観光等の業務用顧客への販売が苦戦しましたが、当社グループ全体に与えた影響は軽微であります。
中期経営計画「変革2022」に対しては、2023年3月期の売上高目標に向けて概ね計画通りの進捗と評価しております。
(利益面)
新型コロナウイルス感染症への対策費用が増加する一方でWEB会議の活用による旅費交通費の削減をはじめとする管理費の減少や、調達・配荷物流の適正化により物流コストの抑制に努めたことから、営業利益は19億29百万円(前期比2.6%増)、経常利益は25億90百万円(同9.0%増)となりました。連結業績予想に対しては、営業利益目標19億円に対して1.5%増、経常利益目標24億円に対して7.9%増となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、長野県内水産拠点の固定資産見直し等の減損損失計上により12億35百万円(前期比5.2%減)となり、連結業績予想15億円に対しては17.6%の未達となりました。なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う利益面への影響は、売上高同様に軽微であります。
中期経営計画「変革2022」に対しては、経常利益率目標1.0%以上、親会社株主に帰属する当期純利益率目標0.8%以上に対し、減損による影響で親会社株主に帰属する当期純利益率は目標を下回ったものの、経常利益段階では1.1%となり、概ね順調に推移していると評価しております。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
※ 各セグメントの売上高については、セグメント間の内部売上高を除いて記載しております。
(水産事業)
水産事業を取り巻く環境は、調達面ではサンマをはじめとする国内天然魚の水揚げ量減少や、コロナ禍に伴う業務筋向け商品の需要鈍化による相場下落、販売面では内食需要拡大に伴い量販店向けの販売は堅調に推移したものの、業務筋への販売が苦戦しております。
このような環境下、水産部門は国産天然魚やマグロ、鮭鱒を中心に調達機能の強化と販売拡大を進め、養殖魚事業においては産地・生産者の支援を目的とする政府補助事業を活用しながら養殖ブリやカンパチ、真鯛などを量販店へ提案し拡販いたしました。デイリー部門では重点顧客との商品開発の強化と、洋菓子のオリジナルブランド「Sweets Story」をはじめとする自社開発商品の拡売、フードサービス部門では当社の水産物の調達力を活かした商品開発と販売を進めました。
以上の結果、業績につきましては、売上高は内食需要の増加に伴い、特に首都圏・中京圏の量販店に対する販売が拡大したことから1,374億40百万円(前期比2.6%増)、営業利益は売上高の拡大による売上総利益の増加等により、8億83百万円(同46.4%増)となりました。
財政状態につきましては、セグメント資産は229億38百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億21百万円の増加となりました。セグメント負債は125億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億3百万円の増加となりました。
(一般食品事業)
一般食品事業を取り巻く環境は、巣ごもり消費により需要が増加した商品群がある一方で、外食産業や観光地向け商品の販売は厳しい状況が続いております。また、在宅勤務の増加に伴う消費者の購買行動の変化や、強まる節約志向への対応が求められております。
このような環境下、一般食品事業セグメントでは当社グループの水産品調達力を活かした缶詰製品等の付加価値のある自社商品開発と全国への販路拡大、重点顧客への生鮮素材を基軸とした販促提案による長野県内マーケットの深耕化を進めております。
以上の結果、業績につきましては、売上高は帰省や観光による長野県内への流入が減少した影響もあり297億43百万円(前期比2.8%減)、営業損益は構内物流業務の改善等で販管費の低減に努めたものの、売上高の減少に伴う売上総利益の減少と、子会社信田缶詰㈱における缶詰製品への一過性の特需からの反動による売上停滞の影響もあり1億94百万円の営業損失(前期は2億18百万円の営業利益)となりました。
財政状態につきましては、セグメント資産は86億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億92百万円の減少となりました。セグメント負債は53億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億56百万円の減少となりました。
(畜産事業)
畜産事業を取り巻く環境は、各畜種とも総じて相場高で推移する中、食肉の消費が引き続き堅調に推移したことに加え、コロナ禍による内食需要の増加もあり量販店への販売は好調に推移いたしました。一方で業務筋への販売は特に国産牛の需要が減少したことから苦戦が続いております。
このような環境下、畜産事業セグメントでは、供給不足の中での輸入豚肉の商品確保や、長野県産オリジナル商品の生産と販売の強化を推進しております。商品加工面ではパック肉などの流通加工機能の強化を図っております。これらの商品調達力と加工機能を活かし、関東・東海・中京エリアへの販売拡大を進めております。
以上の結果、業績につきましては、帰省の自粛も相まって首都圏エリアへの売上が伸長したことから384億76百万円(前期比11.1%増)となりました。営業利益は昨年末以降に国産牛の枝肉相場が上昇した影響もあり4億78百万円(同4.9%減)となりました。
財政状態につきましては、セグメント資産は70億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億96百万円の増加となりました。セグメント負債は41億3百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億97百万円の増加となりました。
(丸水長野県水グループ)
丸水長野県水グループセグメントでは、各事業分野において長野商圏における当社グループ内での連携強化による主要顧客との取組み強化を図っております。水産事業では取組みメーカーとの連携による養殖魚の販売強化や丸水ブランドの商品開発、畜産事業では仕入から販売までの一貫生産体制の強みを活かした主要顧客との取組み強化、冷食事業では冷凍物流事業の拡大と県内顧客を基軸とした販売強化を進めております。
以上の結果、業績につきましては、売上高は業務筋を主要顧客とする子会社の販売が苦戦したものの、内食需要の拡大もあり312億18百万円(前期比2.8%増)、営業利益は売上高の増加に伴う売上総利益の増加等により6億21百万円(同22.5%増)となりました。
財政状態につきましては、セグメント資産は58億98百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億54百万円の増加となりました。セグメント負債は42億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億12百万円の減少となりました。
(その他(物流・冷蔵倉庫事業、OA機器・通信機器販売及び保険代理店事業))
子会社マルイチ・ロジスティクス・サービス㈱は、当社グループの物流業務・冷蔵倉庫事業の品質向上とローコスト体制の構築をグループ内の各事業と連携しながら推進いたしました。
業績につきましては、子会社マルイチ・ロジスティクス・サービス㈱の受託業務の見直しと、構内物流作業の生産性向上により、売上高は9億93百万円(前期比18.2%減)、営業利益は1億39百万円(同192.4%増)となりました。
財政状態につきましては、セグメント資産は12億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ36百万円の増加となりました。セグメント負債は5億11百万円となり、前連結会計年度末に比べ12百万円の減少となりました。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。また、売上高、営業利益及び経常利益については「b.経営成績」に記載しております。
ROEについては、親会社株主に帰属する当期純利益が長野県内の水産拠点の固定資産見直し等で減損損失を計上したことにより前期比で5.2%減となったため5.6%(前期は6.1%)となりましたが、減損損失を除いた場合には計画通りに推移しており、概ね順調な水準であると評価しております。
(注)上記の記載金額及びこれ以降に記載しております売上高、仕入高等には消費税等は含まれておりません。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は92億65百万円となり、前連結会計年度末と比較して4億60百万円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は22億16百万円となりました(前連結会計年度に減少した資金は2億12百万円)。これは主に、税金等調整前当期純利益が23億15百万円、減価償却費が6億16百万円となり、売上債権・たな卸資産・仕入債務からなる運転資金が3億49百万円減少したことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は9億71百万円となりました(前連結会計年度に減少した資金は8百万円)。これは主に、設備営繕等に伴う有形固定資産の取得による支出が3億80百万円、新基幹システムの構築に伴う無形固定資産の取得による支出が7億30百万円となったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は7億85百万円となりました(前連結会計年度に減少した資金は10億27百万円)。これは主に、長期借入金の返済による支出が2億75百万円、リース債務の返済による支出が2億4百万円、配当金の支払額が3億75百万円となったことによります。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループは、食品卸売事業の補完機能として製造加工業務を行っており、生産実績は仕入実績に含めて記載しております。なお、受注生産は行っておりません。
(1) 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.販売実績に対して10%以上に該当する販売先はありません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.各事業の主な内容
水産事業…水産物、水産加工品、日配品及び冷凍食品の販売事業
一般食品事業…一般のドライ食品、一般加工食品及び菓子の販売事業
畜産事業…畜産物及び畜産加工品の販売事業
丸水長野県水グループ…長野県内エリアを中心とする食品卸売事業
その他…物流・冷蔵倉庫事業、OA機器・通信機器販売・保険の代理店事業
4.当連結会計年度より、当社グループ内の経営管理体制の変更に伴い、信田缶詰㈱の事業については、報告
セグメントを「水産事業」から「一般食品事業」に変更しております。また、これに伴い、前年同期比は
変更後のセグメント区分で算定しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「2 事業等のリスク」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容及び資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。
(資金需要)
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、商品・原材料の購入費、及び販売運賃・人件費等の営業費用によるものであります。なお、設備の新設等の計画に関する内容につきましては、「3 設備の新説、除却等の計画」に記載しております。
(財務政策)
当社グループでは、事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、営業キャッシュ・フローで獲得した内部資金の活用及び金融機関からの借入等により資金調達を行っております。
長期借入金等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施していくこととしております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されており、その作成過程においては経営者による会計上の見積り及び仮定を含んでおります。これらの見積り及び仮定は、過去の実績及び決算日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。しかし、その性質上、将来において、これらの見積り及び仮定とは異なる結果となる可能性があります。会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、当社グループの経営成績に重要な影響を与える項目は、以下のとおりです。
なお、現時点で新型コロナウイルス感染症の収束時期などを想定することは困難であるものの、当社グループの売上高に影響を及ぼす一般消費者の食品の消費量、物流の状況及び商品の仕入状況等の情報に基づき検討した結果、同感染症による今後の当社グループの業績には大きな影響を及ぼさないとの仮定により当連結会計年度(2021年3月期)の会計上の見積りを行っております。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大が長期化し、国内外の経済活動に甚大な影響を及ぼしており、先行き不透明な状況が続いております。食品流通業界におきましては、コロナ禍の影響で外食産業や宿泊施設等の業務筋は厳しい状況にある一方、巣ごもり消費等により内食需要は伸長傾向にありますが、将来への不安感から消費マインドの低下や節約志向が強まるなど、予断を許さない状況が継続しております。
このような状況下、当社グループは食のライフラインを担う地域のインフラという社会的使命を果たすべく、当社グループが策定した新型コロナウイルス感染防止対策のガイドラインを徹底しながら食品の安定供給を継続しております。経営方針としましては、今年度を初年度とする中期経営計画「創造2022」の基本方針「人の成長を以て変革を成し遂げ、更なる飛躍のための創造を推進する」に基づき、当社グループの強みを発揮できる「産地との強固な関係、原料からの差別化」「素材から惣菜へ」「メーカー型卸事業の推進」「中間流通コストの合理化」を大切にしたい考え方として各事業セグメントの具体的施策を策定し、成長戦略による事業規模の拡大と付加価値による収益力の向上に全社を挙げて取り組んでおります。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における総資産は529億86百万円となり、前連結会計年度末と比較して17億3百万円の増加となりました。主な要因は、現金及び預金が4億57百万円、商品及び製品が4億89百万円、ソフトウェア仮勘定が7億50百万円増加したことによります。
(負債合計)
負債は297億37百万円となり、前連結会計年度末と比較して4億56百万円の増加となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金が1億83百万円増加したことによります。
(純資産合計)
純資産合計は232億48百万円となり、前連結会計年度末と比較して12億46百万円の増加となりました。
以上の結果、自己資本比率は42.9%となりました。
b.経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は内食需要が堅調に推移したことで量販店への納品が伸長したことから2,378億73百万円(前期比3.1%増)となりました。2020年5月12日に開示しております連結業績予想における売上高目標2,400億円に対しては0.9%の未達となりました。なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う売上高への影響は、内食需要の拡大により小売店への販売が増加し、一方で外食及び観光等の業務用顧客への販売が苦戦しましたが、当社グループ全体に与えた影響は軽微であります。
中期経営計画「変革2022」に対しては、2023年3月期の売上高目標に向けて概ね計画通りの進捗と評価しております。
(利益面)
新型コロナウイルス感染症への対策費用が増加する一方でWEB会議の活用による旅費交通費の削減をはじめとする管理費の減少や、調達・配荷物流の適正化により物流コストの抑制に努めたことから、営業利益は19億29百万円(前期比2.6%増)、経常利益は25億90百万円(同9.0%増)となりました。連結業績予想に対しては、営業利益目標19億円に対して1.5%増、経常利益目標24億円に対して7.9%増となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、長野県内水産拠点の固定資産見直し等の減損損失計上により12億35百万円(前期比5.2%減)となり、連結業績予想15億円に対しては17.6%の未達となりました。なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う利益面への影響は、売上高同様に軽微であります。
中期経営計画「変革2022」に対しては、経常利益率目標1.0%以上、親会社株主に帰属する当期純利益率目標0.8%以上に対し、減損による影響で親会社株主に帰属する当期純利益率は目標を下回ったものの、経常利益段階では1.1%となり、概ね順調に推移していると評価しております。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
※ 各セグメントの売上高については、セグメント間の内部売上高を除いて記載しております。
(水産事業)
水産事業を取り巻く環境は、調達面ではサンマをはじめとする国内天然魚の水揚げ量減少や、コロナ禍に伴う業務筋向け商品の需要鈍化による相場下落、販売面では内食需要拡大に伴い量販店向けの販売は堅調に推移したものの、業務筋への販売が苦戦しております。
このような環境下、水産部門は国産天然魚やマグロ、鮭鱒を中心に調達機能の強化と販売拡大を進め、養殖魚事業においては産地・生産者の支援を目的とする政府補助事業を活用しながら養殖ブリやカンパチ、真鯛などを量販店へ提案し拡販いたしました。デイリー部門では重点顧客との商品開発の強化と、洋菓子のオリジナルブランド「Sweets Story」をはじめとする自社開発商品の拡売、フードサービス部門では当社の水産物の調達力を活かした商品開発と販売を進めました。
以上の結果、業績につきましては、売上高は内食需要の増加に伴い、特に首都圏・中京圏の量販店に対する販売が拡大したことから1,374億40百万円(前期比2.6%増)、営業利益は売上高の拡大による売上総利益の増加等により、8億83百万円(同46.4%増)となりました。
財政状態につきましては、セグメント資産は229億38百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億21百万円の増加となりました。セグメント負債は125億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億3百万円の増加となりました。
(一般食品事業)
一般食品事業を取り巻く環境は、巣ごもり消費により需要が増加した商品群がある一方で、外食産業や観光地向け商品の販売は厳しい状況が続いております。また、在宅勤務の増加に伴う消費者の購買行動の変化や、強まる節約志向への対応が求められております。
このような環境下、一般食品事業セグメントでは当社グループの水産品調達力を活かした缶詰製品等の付加価値のある自社商品開発と全国への販路拡大、重点顧客への生鮮素材を基軸とした販促提案による長野県内マーケットの深耕化を進めております。
以上の結果、業績につきましては、売上高は帰省や観光による長野県内への流入が減少した影響もあり297億43百万円(前期比2.8%減)、営業損益は構内物流業務の改善等で販管費の低減に努めたものの、売上高の減少に伴う売上総利益の減少と、子会社信田缶詰㈱における缶詰製品への一過性の特需からの反動による売上停滞の影響もあり1億94百万円の営業損失(前期は2億18百万円の営業利益)となりました。
財政状態につきましては、セグメント資産は86億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億92百万円の減少となりました。セグメント負債は53億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億56百万円の減少となりました。
(畜産事業)
畜産事業を取り巻く環境は、各畜種とも総じて相場高で推移する中、食肉の消費が引き続き堅調に推移したことに加え、コロナ禍による内食需要の増加もあり量販店への販売は好調に推移いたしました。一方で業務筋への販売は特に国産牛の需要が減少したことから苦戦が続いております。
このような環境下、畜産事業セグメントでは、供給不足の中での輸入豚肉の商品確保や、長野県産オリジナル商品の生産と販売の強化を推進しております。商品加工面ではパック肉などの流通加工機能の強化を図っております。これらの商品調達力と加工機能を活かし、関東・東海・中京エリアへの販売拡大を進めております。
以上の結果、業績につきましては、帰省の自粛も相まって首都圏エリアへの売上が伸長したことから384億76百万円(前期比11.1%増)となりました。営業利益は昨年末以降に国産牛の枝肉相場が上昇した影響もあり4億78百万円(同4.9%減)となりました。
財政状態につきましては、セグメント資産は70億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億96百万円の増加となりました。セグメント負債は41億3百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億97百万円の増加となりました。
(丸水長野県水グループ)
丸水長野県水グループセグメントでは、各事業分野において長野商圏における当社グループ内での連携強化による主要顧客との取組み強化を図っております。水産事業では取組みメーカーとの連携による養殖魚の販売強化や丸水ブランドの商品開発、畜産事業では仕入から販売までの一貫生産体制の強みを活かした主要顧客との取組み強化、冷食事業では冷凍物流事業の拡大と県内顧客を基軸とした販売強化を進めております。
以上の結果、業績につきましては、売上高は業務筋を主要顧客とする子会社の販売が苦戦したものの、内食需要の拡大もあり312億18百万円(前期比2.8%増)、営業利益は売上高の増加に伴う売上総利益の増加等により6億21百万円(同22.5%増)となりました。
財政状態につきましては、セグメント資産は58億98百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億54百万円の増加となりました。セグメント負債は42億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億12百万円の減少となりました。
(その他(物流・冷蔵倉庫事業、OA機器・通信機器販売及び保険代理店事業))
子会社マルイチ・ロジスティクス・サービス㈱は、当社グループの物流業務・冷蔵倉庫事業の品質向上とローコスト体制の構築をグループ内の各事業と連携しながら推進いたしました。
業績につきましては、子会社マルイチ・ロジスティクス・サービス㈱の受託業務の見直しと、構内物流作業の生産性向上により、売上高は9億93百万円(前期比18.2%減)、営業利益は1億39百万円(同192.4%増)となりました。
財政状態につきましては、セグメント資産は12億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ36百万円の増加となりました。セグメント負債は5億11百万円となり、前連結会計年度末に比べ12百万円の減少となりました。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。また、売上高、営業利益及び経常利益については「b.経営成績」に記載しております。
ROEについては、親会社株主に帰属する当期純利益が長野県内の水産拠点の固定資産見直し等で減損損失を計上したことにより前期比で5.2%減となったため5.6%(前期は6.1%)となりましたが、減損損失を除いた場合には計画通りに推移しており、概ね順調な水準であると評価しております。
(注)上記の記載金額及びこれ以降に記載しております売上高、仕入高等には消費税等は含まれておりません。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は92億65百万円となり、前連結会計年度末と比較して4億60百万円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は22億16百万円となりました(前連結会計年度に減少した資金は2億12百万円)。これは主に、税金等調整前当期純利益が23億15百万円、減価償却費が6億16百万円となり、売上債権・たな卸資産・仕入債務からなる運転資金が3億49百万円減少したことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は9億71百万円となりました(前連結会計年度に減少した資金は8百万円)。これは主に、設備営繕等に伴う有形固定資産の取得による支出が3億80百万円、新基幹システムの構築に伴う無形固定資産の取得による支出が7億30百万円となったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は7億85百万円となりました(前連結会計年度に減少した資金は10億27百万円)。これは主に、長期借入金の返済による支出が2億75百万円、リース債務の返済による支出が2億4百万円、配当金の支払額が3億75百万円となったことによります。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループは、食品卸売事業の補完機能として製造加工業務を行っており、生産実績は仕入実績に含めて記載しております。なお、受注生産は行っておりません。
(1) 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
水産事業(百万円) | 122,217 | 103.4 |
一般食品事業(百万円) | 26,491 | 97.7 |
畜産事業(百万円) | 35,648 | 110.2 |
丸水長野県水グループ(百万円) | 24,397 | 102.1 |
報告セグメント計(百万円) | 208,754 | 103.6 |
その他(百万円) | 3,927 | 90.9 |
合計(百万円) | 212,681 | 103.3 |
(2) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
水産事業(百万円) | 137,440 | 102.6 |
一般食品事業(百万円) | 29,743 | 97.2 |
畜産事業(百万円) | 38,476 | 111.1 |
丸水長野県水グループ(百万円) | 31,218 | 102.8 |
報告セグメント計(百万円) | 236,879 | 103.2 |
その他(百万円) | 993 | 81.8 |
合計(百万円) | 237,873 | 103.1 |
(注)1.販売実績に対して10%以上に該当する販売先はありません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.各事業の主な内容
水産事業…水産物、水産加工品、日配品及び冷凍食品の販売事業
一般食品事業…一般のドライ食品、一般加工食品及び菓子の販売事業
畜産事業…畜産物及び畜産加工品の販売事業
丸水長野県水グループ…長野県内エリアを中心とする食品卸売事業
その他…物流・冷蔵倉庫事業、OA機器・通信機器販売・保険の代理店事業
4.当連結会計年度より、当社グループ内の経営管理体制の変更に伴い、信田缶詰㈱の事業については、報告
セグメントを「水産事業」から「一般食品事業」に変更しております。また、これに伴い、前年同期比は
変更後のセグメント区分で算定しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「2 事業等のリスク」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容及び資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。
(資金需要)
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、商品・原材料の購入費、及び販売運賃・人件費等の営業費用によるものであります。なお、設備の新設等の計画に関する内容につきましては、「3 設備の新説、除却等の計画」に記載しております。
(財務政策)
当社グループでは、事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、営業キャッシュ・フローで獲得した内部資金の活用及び金融機関からの借入等により資金調達を行っております。
長期借入金等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施していくこととしております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されており、その作成過程においては経営者による会計上の見積り及び仮定を含んでおります。これらの見積り及び仮定は、過去の実績及び決算日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。しかし、その性質上、将来において、これらの見積り及び仮定とは異なる結果となる可能性があります。会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、当社グループの経営成績に重要な影響を与える項目は、以下のとおりです。
なお、現時点で新型コロナウイルス感染症の収束時期などを想定することは困難であるものの、当社グループの売上高に影響を及ぼす一般消費者の食品の消費量、物流の状況及び商品の仕入状況等の情報に基づき検討した結果、同感染症による今後の当社グループの業績には大きな影響を及ぼさないとの仮定により当連結会計年度(2021年3月期)の会計上の見積りを行っております。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。